モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は20系レクサスNXが気になっていると思います。 私も実際に20系レクサスNXを所有し、日々乗っているので、気になる気持ちはよくわかります。
引用 : TOYOTA HP (https://lexus.jp/)
この記事を読み終える頃には、20系レクサスNXの購入に関する疑問や不安がすっきりと解決しているはずです。
記事のポイント
- 内装一部のプラスチック感や傷つきやすいピアノブラック素材によるチープさ
- 車体気密性の高さから後席ドアが一度で閉まらず半ドアになりやすい不満
- 最小回転半径が5.8mと大きく狭い駐車場や街中での小回りの利きにくさ
- 年次改良前のモデルに存在する7インチメーターや予防安全装備の遅れ
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20系レクサスNXの購入で後悔しやすい内装と構造のチープさ
レクサスNXの内装がチープで安っぽいと感じるプラスチック素材
レクサスはトヨタが誇るプレミアムブランドです。 そのため、購入するユーザーが内装に求めるハードルは極めて高くなります。 しかし、20系レクサスNXの室内に乗り込むと、意外なほどプラスチック素材が露出していることに気づきます。

引用 : TOYOTA HP (https://lexus.jp/)
ドアスイッチ周りと足元のチープな質感
特に気になるのが、ドアスイッチベースやドアトリムの下部(ロアドアトリム)です。 ここには、触るとカチカチとした音がする、典型的なハードプラスチック(硬質樹脂)がそのまま使われています。 1,000万円クラスのRXやLXと比較するのは酷かもしれません。 しかし、乗り出し価格が600万円から800万円を超えるミドルクラスSUVとしては、もう少しソフトパッドやステッチの加飾を増やしてほしかったというのが本音です。 友人や知人を助手席や後部座席に乗せる際、こうした目に見える部分や触れる部分が安っぽいと、オーナーとして少し恥ずかしいと感じてしまう気持ちも理解できます。
開発コストと重量バランスの現実
元自動車開発者の視点から言えば、これは「コスト管理」と「車両の軽量化」のトレードオフです。 NXは走行性能を高めるために、重心から遠いドアパネル上部やトリム類に、軽くて強度の高い樹脂素材を効率的に配置しています。 プレミアムSUVとしての豪華さと、スポーティな運動性能を両立させるための設計思想なのですが、それがユーザーにとっては「安っぽさ」という形で受け止められてしまう原因になっているのです。
レクサスNXのセンターコンソールにおけるピアノブラックの傷つきやすさ
20系NXの内装で、デザインの大きな見どころとなっているのがセンターコンソール周辺です。 ここには艶やかな「ピアノブラック」塗装のパネルが採用されており、新車時の納車直後は目を見張るほどの美しさと高級感を演出しています。
引用 : TOYOTA HP (https://lexus.jp/)
傷と指紋の無限ループという不満
しかし、このピアノブラックは極めてデリケートな素材です。 爪が少し当たっただけでも、細かい線傷(ヘアラインスクラッチ)が簡単に入ってしまいます。 さらに、スマートフォンの画面と同じように、指紋や手の脂、空中に舞う細かなホコリが非常に付着しやすく、目立ちます。 どれだけ綺麗に掃除しても、翌日にはうっすらとホコリが積もっているのが見えてしまい、手入れを怠ると一気に生活感が出てチープな印象になってしまうのが弱点です。
美しさをキープするための実践的対策
この問題を解決するために、多くのオーナーが実践しているのが「スマホまもる君」などの硬化型ガラスコーティング剤の塗布です。 納車直後、あるいは傷が少ないうちにコーティングを重ねておくことで、細かな傷の発生を最小限に抑え、指紋が拭き取りやすくなります。 また、車内に極細繊維のマイクロファイバークロスと、ソフトなホコリ取り用のブラシを常備しておくことも重要です。 気になる方は、サードパーティから発売されている「リアルカーボン製」や「レザー調」の貼付け用コンソールパネルを被せることで、傷を防ぎつつインテリアの質感をアップグレードするカスタムも非常におすすめです。
レクサスNXのサンバイザーの小ささと日差し遮断の限界
毎日のドライブにおいて、意外な盲点となるのが「サンバイザー」の設計です。 20系NXのサンバイザーは、ルーフの形状やフロントガラスの傾斜に合わせてデザインされていますが、そのサイズ自体がやや小ぶりに作られています。
ドラポジによって顔面に直撃する日差し
このサンバイザーを実際に下ろしてみると、特定のシートポジションにおいて、遮光能力が極めて不足していることに気付かされます。 シート位置を低め、あるいはやや後方にセットするドライバーの場合、バイザーを下ろしても「おでこ」の周辺しか光を遮ることができません。 結果として、最も眩しい夕方や朝方の直射日光が、顔面を直撃してしまうのです。 これは、体型や座高、シートの調整範囲によって個人差がありますが、特に「胴長短足」を自認する私のような体型(座高が比較的高くなるドラポジ)では致命的です。
逃げ道のないシートポジションのジレンマ
「日差しが眩しいなら、シートの高さを上げればいいのでは?」と思うかもしれません。 しかし、シート高を上げすぎると、今度は天井(ルーフヘッドライニング)とのクリアランスが狭くなり、頭上が非常に窮屈になってしまいます。 特にパノラマルーフを装着している車両では、サンルーフの格納スペースの都合上、室内高が若干低くなるため、圧迫感がさらに増します。 このため、NXを運転する際は「お気に入りのサングラス」が年間を通じてマストアイテムとなります。 購入前の試乗時には、ぜひサンバイザーを下ろしたときの視界と、シートポジションのバランスを確認してください。
レクサスNXのシート周辺における構造的な不満と質感の差
NXのインテリアにおいて、最も体に触れる時間が長いのがシートです。 「F SPORT」専用のスポーツシートや、「version L」に採用されている本革シートは、素晴らしいホールド性と座り心地を提供してくれます。 しかし、シートの細部やベースグレードの仕様に目を向けると、チープさが垣間見えます。
引用 : TOYOTA HP (https://lexus.jp/)
グレードによる合成皮革の質感の開き
ベースグレードや一部の中間グレードに採用されている「L-tex(合成皮革)」は、耐久性に優れメンテナンスが容易という利点があります。 しかし、本革と比較すると、夏場に蒸れやすく、冬場にひんやりとする性質がやや強く出ます。 触れたときのしっとりとした高級感や、特有の香りといった「エモーショナルな満足感」においては、やはり本革仕様に一歩及びません。
見えない部分のコストカット
さらに気になるのは、シートを前後スライドさせるための「シートレール」が、むき出しの金属のまま処理されている点です。 高級欧州車(メルセデス・ベンツGLCやBMW X3など)では、シートレールの足元にプラスチックの樹脂カバーが丁寧に装着され、フロアカーペットとの境界線が美しく隠されていることが多いです。 これに対し、NXのシート下部をのぞき込むと、金属レールや配線が比較的見えやすい構造になっています。 普段の運転中に視界に入る場所ではありませんが、車内の掃除をする際や、後席に人を乗せたときに足元を見られると、どうしても「あ、ここはコストダウンされているな」と気づいてしまうポイントです。
レクサスNXの後席ドアが1発で閉まらない気密性と構造上の問題
20系NXを所有して、初期の段階から最も強くストレスを感じるオーナーが多いのが「後席ドアが1発で閉まらず、半ドアになりやすい」という問題です。 これは、単にドアが安っぽいから発生しているわけではありません。
ダブルウェザーストリップによる高い気密性
レクサスNXは、走行中の風切り音やロードノイズを極限まで低減させるため、ドア周りの防音ゴム(ウェザーストリップ)が非常に強固な2重、3重の構造(ダブルウェザーストリップ)になっています。 これにより、キャビン(室内)の「気密性」が極めて高い状態に保たれています。 この状態で、最後の1枚のドア(特に比較的軽量なリアドア)を閉めようとすると、室内の空気が逃げ場を失い、空気の圧力(バックプレッシャー)がドアを押し戻そうとする力として働きます。 その結果、普段通りの優しい力加減でドアを閉めると、圧迫感に負けて「カチッ」と半ドアになってしまうのです。
愛車を労わるオーナーを悩ませる仕様
愛車を大切に扱うオーナーほど、車体を傷めないように「バン!」と乱暴にドアを閉めることを嫌います。 そのため、そっと閉めようとして半ドアを多発させてしまうという皮肉な現象が起きています。 兄貴分であるRXやLXであっても「ドアイージークローザー(半ドア状態から自動で吸い込む機能)」は標準装備されていないため、NXにこれが付く可能性は極めて低いです。 どうしてもこの不満を解消したい場合、サードパーティの電装ショップなどで後付けのイージークローザーキットを装着する選択肢もありますが、部品代と工賃を合わせて10万円前後の高額な出費を覚悟する必要があります。
レクサスNXのフル液晶メーター非採用に対する不満と他車種比較
20系NXが2021年にフルモデルチェンジして登場した際、多くの車好きやレクサスファンを失望させたのが「メーターディスプレイの物足りなさ」でした。
7インチ単眼メーターというチープな選択
2023年モデルまでのNXには、7インチ相当のTFT液晶ディスプレイと、その右側に各種インジケーターを配した「単眼風」のメーターが採用されていました。 確かにカラーヘッドアップディスプレイ(HUD)がフロントガラスに情報を投影してくれるため、運転中にメーター自体を見る頻度は少ないです。 しかし、視界に入るメーターグラフィックそのものが、トヨタ車(ハリアーやクラウンなど)が採用している12.3インチのフル液晶メーターに比べて、明らかに小さく、表示される情報量も少なかったため、チープであるという批判が相次ぎました。 「レクサスの主力SUVなのに、なぜハリアーよりメーターが劣るのか」という不満は、長らくオーナーの間でくすぶっていました。
2024年の年次改良による劇的な進化
幸いなことに、レクサスもこのユーザーの声を無視し続けることはありませんでした。 2024年2月に発表された年次改良により、ついにNXにも「12.3インチTFT液晶メーター」が一部グレード(version LやF SPORTなど)に標準装備されました。 これにより、マルチグラフィック表示やナビゲーションマップの割り込み表示が可能となり、メーター周辺のチープさは最新モデルにおいて完全に払拭されました。 ただし、中古車市場で2021年〜2023年式の前期型(20系)を探す場合は、このメーターの違いが非常に大きな購入判断基準となりますので、十分にご注意ください。
レクサスNXの予防安全装備が他モデルより劣るシステム的なチープさ
レクサスが誇る予防安全パッケージ「Lexus Safety System +」は、世界トップレベルの衝突回避支援や運転支援機能を提供しています。 しかし、20系NXの初期モデルは、その後のトヨタ・レクサスの新型車に搭載された最新テクノロジーの進化スピードに対して、アップデートが追いついていないという構造的な弱点がありました。
最新トヨタ車に先を越された機能たち
具体的に、2023年モデルまでのNXが、後発の「トヨタ クラウンスポーツ」や、一部仕様向上した「ハリアー」などに劣っていた代表的な先進機能は以下の3つです。
- セカンダリーコリジョンブレーキ(後退時衝突対応): 自車が衝突を検知した際、速やかに自動でブレーキを作動させて二次被害を軽減する機能ですが、検知範囲や動作の細かさで最新システムに一歩劣っていました。
- 後方車両接近告知 / 周辺車両接近時サポート: 後方からの車両接近をドライバーに強く警告し、自動的にドライブレコーダーにイベント録画を記録する機能など、実用的な防犯・防衛機能の追加が遅れていました。
- プロアクティブドライビングアシスト(PDA)の交差点対応: 最新世代のPDAでは、信号のある交差点での右左折時の減速支援などが加わっていますが、NXの初期型では一部の動作範囲が制限されていました。
進化を止めない「Lexus Always On」の精神
レクサスは「常に車を改善し続け、最新の価値を届け続ける」という「Lexus Always On」の思想を掲げています。 2024年の年次改良によって、これらの機能差の多くが埋められ、ドラレコ連携機能や最新の安全機能が拡充されました。 しかし、購入時期や中古車の年式によって「安全装備の世代」が異なるため、中古で購入する際はどの機能が備わっているかを細かくスペック表で確認することをお勧めします。
レクサスNXのチープさを補うおすすめの社外品カスタム対策
20系NXの内装や構造に見られる「細かなチープさ」ですが、これらはオーナー自身の工夫や、サードパーティから豊富にリリースされている「社外品カスタムパーツ」を導入することで、驚くほど簡単に解決できます。
チープなプラスチック部を補うおすすめパーツ
車内をよりラグジュアリーに仕立てるために、現在多くのNXオーナーが愛用している実用的なカスタムパーツをいくつかご紹介します。
- ドアスイッチ周りのドレスアップパネル: ピアノブラック調、リアルカーボン調、サテンメッキ調などの貼付け式パネルが販売されています。これを貼るだけで、プラスチック感の強かったドアスイッチ周りが一瞬で華やかになります。
- ドアロアキックガード: 乗り降りの際に靴で傷がつきやすいドア下部の樹脂パーツに、レザー調のシートや起毛タイプのキックガードを貼り付けます。見た目の質感が大幅に向上するだけでなく、実用的な防汚効果も発揮します。
- Bピラー下部やシートサイドの保護カバー: シートベルトのバックルが当たって傷つきやすいBピラー周辺や、シートレールの金属部を隠す専用のカバーです。
DIYで他人を乗せても恥ずかしくない車内を作る
こうしたアフターパーツを上手に選んで装着すれば、納車直後のノーマル状態よりも、確実に「1クラス上」のラグジュアリーな室内空間を作り上げることができます。 自分の手で少しずつNXを理想の形に育てていくDIYカスタムは、所有する喜びをさらに深めてくれる素晴らしいアプローチです。 友人を乗せた際も「こだわりのカスタマイズ」として紹介できるため、恥ずかしさを感じるどころか、自慢の愛車として誇らしく思えるはずです。
20系レクサスNXの購入を検討する人が知るべき使い勝手と不満の真実
レクサスNXの最小回転半径5.8mによる小回り性能の低さ
レクサスNXの全長は4,660mm、全幅は1,865mmです。 日本の道路環境やマンションの立体駐車場において、これはいわゆる「ジャストサイズ」と呼ばれる、最も扱いやすい大きさに収まっています。 しかし、実際に乗り出すと、そのサイズ感から受けるイメージとは裏腹に、「意外なほど小回りが利かない」という構造的な問題に直面します。
驚きの最小回転半径「5.8m」という現実
NXのカタログスペック上の最小回転半径は、全グレードで「5.8m」に設定されています。 この「5.8m」という数値は、全長が4,890mmもある一回り大きな「レクサスRX」の非DRS装着車(5.9m)と、ほとんど大差がありません。 これにより、日常の運転シーンで以下のような状況に遭遇した際、一発で回りきれず、切り返しを余儀なくされるケースが多発します。
- 商業施設の狭い立体駐車場の急なスロープを上り下りするとき
- 幅の狭い片側1車線の道路でUターン(転回)しようとするとき
- 住宅街のクランク状の細い角を右左折するとき
GA-Kプラットフォームの設計上の制約
なぜこれほど小回りが利かないのでしょうか。 それは、NXが採用している「GA-Kプラットフォーム(車台)」と、フロントタイヤのサイズ(最大20インチ、タイヤ幅235mm)に原因があります。 サスペンションのストロークを十分に確保しつつ、大きな20インチタイヤがフェンダーのインナー(内壁)に干渉するのを防ぐため、タイヤの最大切れ角(舵角)が物理的に制限されているのです。 この切れ角の小ささが、最小回転半径「5.8m」という小回りの悪さとして表れています。
レクサスNXの取り回し性能をライバルSUVの数値と比較
NXの小回り性能の悪さを、より客観的に理解するために、同じようなサイズ感を持つ競合SUVや兄弟車、上位モデルとの数値を比較表にまとめました。
最小回転半径の比較表
| 車種 | 全長 (mm) | 最小回転半径 (m) | 構造的特徴と小回り性能 |
|---|---|---|---|
| レクサス NX (20系) | 4,660 | 5.8 | GA-Kプラットフォーム/切れ角が少ない |
| レクサス RX (現行) | 4,890 | 5.9 | NXより23cm長いが小回りは同等レベル |
| レクサス RX (DRS装着車) | 4,890 | 5.5 | 後輪操舵(DRS)の恩恵でNXより小回りが利く |
| トヨタ クラウンスポーツ | 4,720 | 5.4 | 後輪操舵(DRS)が標準で極めて優秀 |
| トヨタ ハリアー | 4,740 | 5.5〜5.7 | 全長はNXより長いが、小回りは良好 |
| メルセデス・ベンツ GLC | 4,720 | 5.1〜5.5 | リア・アクスルステアリング装着車は劇的 |
この表からわかるように、NXは全長が最も短いにもかかわらず、最小回転半径が「5.8m」と最も大きくなっています。 特に、後輪操舵システム(DRS)を搭載した「クラウンスポーツ」や「RXのF SPORT」、あるいは欧州ライバル車の「GLC」などと比較すると、狭い場所でのハンドリングや取り回しのしやすさにおいては、明らかにNXが不利であることが数値的にも証明されています。
レクサスNXの加速時に気になる直4エンジンの騒がしい音
レクサスの車に誰もが期待するのが、ノイズや振動がシャットアウトされた「静粛性の高い快適空間」です。 確かに、20系NXの静粛性は非常に高いレベルにあります。 遮音ガラス(フロントドアガラス等)や適切な吸音材の配置により、ロードノイズや街乗りの微低速域では、レクサスらしい静かで上質なクルージングを提供してくれます。
加速時のガサツな直4ノイズというギャップ
しかし、ひとたび幹線道路への合流や、高速道路の料金所からの加速、急な上り坂などでアクセルを踏み込むと、静寂の世界は一変します。 フロントのエンジンルームから、2.5L直列4気筒エンジンが「ブォー」と唸りながら頑張っている音が、ダイレクトにキャビンへと侵入してくるのです。 静粛性の高さをアピールする車だけに、この「踏み込んだときのエンジン音」のざらついた音質と騒がしさは、多くのドライバーにとって大きなギャップとして感じられます。 「普段が静かすぎるため、エンジンのノイズが過剰に際立って聞こえてしまう」という不満点です。
遮音対策におけるRXとのヒエラルキー
この点は、やはり上位モデルである「RX」との明確な差別化(ヒエラルキー)が施されている部分です。 同じ直列4気筒ハイブリッドシステムを搭載していても、RXの方がバルクヘッド(エンジンルームとキャビンを仕切る壁)やフロア周りの遮音材の厚み、配置においてコストが掛けられており、加速時であってもエンジン音は一枚ベールを被せたように静かに抑えられています。 NXにも、アクティブノイズコントロール(スピーカーから逆位相の音を出してエンジン騒音を打ち消すシステム)を全面的に採用してほしいというのが、一オーナーとしての切実な要望です。
レクサスNXの街中での高い遭遇率と所有する特別感の低下
20系レクサスNXは、世界中で大ヒットを記録しているレクサスの超売れ筋SUVです。 特に2024年の年次改良(一部改良)以降、生産状況の改善やグレード追加によって人気にさらに拍車がかかり、驚くべきスピードで街中に増殖しています。
希少価値と特別感の減退という寂しさ
発売直後(2021年〜2022年)は、半導体不足による長大な納期もあり、街中でNXとすれ違うことは稀でした。 その当時は、乗っているだけで「一目置かれる特別感」や、高いステータス性(ちょっとした優越感)を味わうことができました。 しかし現在では、近所のスーパーの駐車場、通勤ルート、休日の高速道路など、どこを走っていても必ずと言っていいほど同型のNX(それも同じボディカラー)とすれ違います。 人と違う車に乗ることで個性を表現したい、あるいは「自分だけの特別なラグジュアリーSUVを所有している」という所有欲を満たしたい人にとっては、あまりにも街中で見かける頻度が高いため、特別感を感じにくくなっているのが後悔の引き金になり得ます。
人気モデルゆえの圧倒的な安心感とリセールバリュー
一方で、これだけ多くの人に選ばれているということは、NXのパッケージング、デザイン、価格、信頼性が「日本市場における最高解」であることの裏返しです。 さらに、街中にこれだけ流通しているにもかかわらず、中古車市場での人気(リセールバリュー)は極めて高く、安定しています。 「買った後に価値が下がりにくい、失敗のない車」という意味では、これ以上の安心材料はありません。 他者と被ることを嫌うか、それとも信頼と実利を取るか、ユーザーの価値観によってこの「遭遇率の高さ」は良くも悪くも評価が分かれるポイントです。
レクサスNXのオートブレーキホールドにおける非メモリー機能の不満
日常の市街地走行や、大都市の渋滞においてなくてはならない超便利機能が「オートブレーキホールド(ABH)」です。 信号などで車が完全停止した際、ブレーキペダルから足を離しても、車が停止状態を維持してくれるため、ドライバーの足への負担を劇的に軽減してくれます。
毎回スイッチを押す手間の「だるさ」
しかし、20系レクサスNXの標準仕様では、このオートブレーキホールドのオン/オフが「メモリー機能なし」となっています。 つまり、イグニッション(パワースイッチ)をオンにするたびに、センターコンソールに配置されたブレーキホールドの「A」の物理ボタンを、毎回自分でポチッと押してシステムを有効化しなければならないのです。 トヨタの一部車種や、メルセデス・ベンツ、BMW、ボルボなどの欧州車の多くは、一度システムをオンにしておけば、次にエンジンをかけたときも自動でオン状態を記憶(メモリー)してくれます。 「レクサスという高級ブランドでありながら、なぜこの細かなメモリー機能すら備わっていないのか」というのは、毎日車を動かすドライバーにとって非常に「だるい」と感じる実用的な不満点です。
DIYキットによる完璧な対策方法
この地味ながらストレスフルな問題を解決するため、私は愛車に社外品の「ブレーキホールド自動オン配線キット」をDIYで取り付けました。 これは、運転席のシートベルトバックル裏やコンソール裏の配線にカプラーオンで割り込ませるだけで、シートベルトを締めたと同時に自動でオートブレーキホールドがオンになるカスタムパーツです。 部品代は数千円で済み、一度取り付けてしまえば、このストレスから完全に解放されます。 これからNXを購入される方は、こうした簡単なライフハックカスタムがあることも、ぜひ頭の片隅に置いておいてください。
レクサスNXの静粛性を重視するならプラグインハイブリッド(PHEV)が最適な理由
これまでに解説した「加速時のエンジンノイズの騒がしさ」や「静粛性のギャップ」に対する不満を、テクノロジーの力で根本から覆し、真のレクサス・ラグジュアリーを体現しているグレードが存在します。 それが、最上位に位置するプラグインハイブリッド(PHEV)モデルの「NX450h+」です。
EV走行がもたらす圧倒的な「静寂の極み」
NX450h+は、大容量のリチウムイオンバッテリーを搭載しており、日常の買い物や通勤といった移動であれば、エンジンを一度も始動させることなく「EV(電気自動車)モード」だけで約80km以上の距離を走りきることができます。 加速時にアクセルを深く踏み込んだとしても、強力な高出力フロント&リアモーターがリニアに車体を押し出すため、直4エンジンが悲鳴のような音を上げて唸る必要がそもそもありません。 さらに、バッテリー重量が車両の中央底面に低く配置されているため、走行安定性(低重心化)が向上し、路面の凸凹を通過した際の乗り心地や、車体の揺すられ感も通常のハイブリッドモデル(NX350hなど)に比べて圧倒的にフラットで上質です。
予算が許すなら後悔しない最善の選択肢
価格設定は他のグレードより一段と高くなります。 しかし、静粛性へのこだわり、他人を乗せた時の乗り心地の質感、そしてEVとしての近未来的な静寂の走りを手に入れたいのであれば、450h+こそが最も満足度が高く、購入後に「音がうるさい」「チープだ」と後悔するリスクを完全にゼロにしてくれる最良の選択肢となります。
レクサスNXを試乗する際に失敗しないための時間とルートの選び方
レクサスNXを検討中の方が、購入後に「思っていたのと違った」「小回りが利かなくて後悔した」というミスマッチを防ぐためには、ディーラーでの「試乗の質」を最大限に高める必要があります。
15分の標準試乗では気づけない罠
多くのディーラーで提供される一般的な試乗時間は、およそ15分〜20分程度です。 営業担当者が助手席に同乗し、ディーラーの周りのきれいに舗装された大通りをぐるっと一周して終わるケースがほとんどでしょう。 しかし、この短い時間や恵まれたルートでは、先述した「最小回転半径5.8mの扱いづらさ」「夕方のサンバイザーのサイズ不足」「後席ドアの半ドア問題」などには、まず気がつくことができません。 「すごく静かで、よく走る良い車だな」という一時の興奮状態(試乗ハイ)のまま契約書にサインしてしまい、納車後に日常使いを始めてから不満が噴出することになるのです。
ジャーナリストが勧める「賢い試乗プロセス」
購入で失敗しないために、以下のポイントを意識して営業担当者に試乗の相談をしてみてください。
- 30分以上の長めの試乗をリクエストする: 事前にアポイントを取り、確認したい項目があることを伝えて、時間を長めに確保してもらいます。
- 日常で使うリアルなルートを走る: 可能であれば、普段自分がよく利用する狭いスーパーの駐車場や立体駐車場、車庫入れを行う自宅周辺の狭い道路、見通しの悪い交差点などをルートに組み込みます。
- 複数日に分けて試乗する / 異なる時間帯に試乗する: 一度だけでなく、夕方(日差しの入り方、サンバイザーの機能、ライトの配光を確認するため)など、条件を変えて試乗させてもらい、高い買い物に対する納得度を深めてから決断することが大切です。
まとめ
20系レクサスNXは総合的な満足度が非常に高い名作SUV
今回は、あえて20系レクサスNXの「後悔しやすい理由」や「内装・構造のチープさ」「日常の細かな不満」に焦点を当て、プロのジャーナリスト、そしてリアルオーナーとしての厳しい視点から重箱の隅をつつくように詳細を解説してきました。 しかし、誤解してほしくないのは、これらの不満点はすべて「NXという車の完成度が極めて高く、全体的な満足度が非常に高いレベルにあるからこそ、あえて際立って見えてしまう細かな欠点」に過ぎないということです。
流麗でアグレッシブなエクステリアデザインのカッコよさ、高いボディ剛性がもたらす意のままに操れるハンドリング、そして次世代のレクサスを切り開いた高い商品力と、売却時にも大いに有利に働く高いリセールバリュー。 これらすべての要素を総合的に評価すれば、20系レクサスNXがミドルクラスSUVとして市場で絶対的な支持を集めている理由は明確であり、購入して絶対に損のない、大満足を約束してくれる素晴らしい名作SUVであることは間違いありません。 この記事で紹介した弱点や対策を十分に理解し、納得した上で選ぶのであれば、あなたのNXライフは後悔とは無縁の、最高に豊かで特別なものになるはずです。
筆者情報
二階堂 仁(にかいどう じん) モータージャーナリスト兼コラムニストとして活動。 慶應義塾大学卒業後、大手自動車メーカーに就職し、サスペンションやシャシーの車両開発部で開発エンジニアとしてキャリアをスタート。 数々の名車の開発に携わった後、文章で車の魅力を広く伝えるため出版業界へ転身。 自動車専門誌の編集長を経て、ジャーナリストとしての憧れから独立し、現在はWEBや専門誌などでコラムを執筆中。 自他ともに認めるエンスージアストであり、現在の愛車はレクサスLFA、日産スカイラインGT-R(R34)、そして日常の足であり相棒でもある「20系レクサスNX」を複数メーカーの車両とともにガレージに収め、日々その実力を検証している。

