モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、新型クラウンスポーツが価格に見合っているのか、あるいは安っぽい作りがないか気になっていると思います。 私も実際にクラウンスポーツを所有し、その細部までしっかりと経験したので、気になる気持ちは本当によくわかります。
引用 : メーカーHP
この記事を読み終える頃には、クラウンスポーツの価格や作りに関するすべての疑問が解決しているはずです。
- 高級セグメントとしては質感が物足りない内装仕上げ
- ボンネットダンパー未採用など細部の過度なコストカット
- 狭いラゲッジスペースや車幅による使い勝手の制限
- DRSや走行性能の高さに見る卓越した運動性能
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クラウンスポーツが「価格に見合わない」と批判される理由
クラウンスポーツの価格設定と他車スペック比較でのギャップ
クラウンスポーツの基本グレードである「SPORT “Z”(HEV・E-Four)」の車両本体価格は590万円に設定されています。 オプションを加え、諸経費や税金を合算すると、最終的な乗り出し価格は容易に600万円を突破します。 この600万円という価格帯は、プレミアムブランドであるレクサスのミドルサイズSUV「NX」のハイブリッドモデルとほぼ重なる領域です。
引用 : メーカーHP
それゆえに、多くのユーザーや購入検討者が「レクサスと同等の価値があるのか」という厳しい視線を注ぐことになります。 まずは、クラウンスポーツと、プラットフォームを共有するレクサスNX、そしてトヨタブランドの人気SUVであるハリアーのスペックを比較してみましょう。
| 項目 | クラウンスポーツ SPORT “Z” | レクサス NX350h “F SPORT” | ハリアー Z “Leather Package” |
|---|---|---|---|
| 車両本体価格(税込) | 5,900,000円 | 6,676,000円 | 4,628,000円 |
| 基本プラットフォーム | TNGA-K | GA-K(TNGA-Kベース) | TNGA-K |
| 全長 (mm) | 4,720 | 4,660 | 4,740 |
| 全幅 (mm) | 1,880 | 1,865 | 1,855 |
| 全高 (mm) | 1,565 | 1,660 | 1,660 |
| ホイールベース (mm) | 2,770 | 2,690 | 2,690 |
| タイヤサイズ | 21インチ(235/45R21) | 20インチ(235/50R20) | 19インチ(225/55R19) |
| パワートレイン | 2.5L HEV(E-Four) | 2.5L HEV(E-Four) | 2.5L HEV(E-Four / FF) |
| 最小回転半径 (m) | 5.4(後輪操舵DRS搭載) | 5.8 | 5.7 |
| トランク容量 (L) | 397 | 520 | 409 |
この比較表から見えてくるのは、クラウンスポーツの特異なパッケージングです。 ハリアーと比較すると120万円以上高額であり、レクサスNXのハイグレードモデルに迫る価格でありながら、実用面での数値は必ずしも優位に立っていません。 特にトランク容量の小ささは際立っており、これが「高価格の割に実用性が低い」という批判に直結しています。 車体サイズがこれだけ大きいにもかかわらず、荷室が狭いというギャップが、合理性を重んじるユーザーの不満を誘発しているのです。
クラウンスポーツの内装に漂う一部プラスチッキーな印象
クラウンスポーツの内装は、クラウンクロスオーバーの流れを汲むアシンメトリー(左右非対称)で運転席に囲まれ感のあるデザインを採用しています。 一見すると非常にドライバーズカーらしく、スポーティでモダンな雰囲気に仕上がっています。
引用 : メーカーHP
しかし、細部をじっくりと観察していくと、600万円の車としては物足りなさを感じる部分が散見されます。 例えば、ドアトリムの下部やセンターコンソールの側面など、乗員の目線より下に位置する部分には硬質なプラスチックがそのまま露出しています。 レクサスNXであれば、こうした部位にもソフトパッドが貼り巡らされ、触れたときの心地よさや視覚的な均一性が保たれています。 また、エアコンの吹き出し口周辺や、パワーシートの調整スイッチといった細かなプラスチックパーツの成型品質も、一般的な実用車(ハリアーやRAV4など)と大きな差がありません。 「クラウン」という高貴なブランド名から想像する、どこを触ってもソフトで上質な仕立てを期待していると、こうした部分的なコストカットに落胆することになります。 全体的な高級感の演出が薄く、どこかデジタルデバイス的な乾いた質感に見えてしまう点が、従来からのクラウンファンにとって安っぽく映る原因となっています。
クラウンスポーツのボンネットステーに見る手動固定の落胆
自動車のボンネットを開けたとき、その車にどれだけコストがかけられているかが一目でわかる装備があります。 それが「ボンネットダンパー」です。 一般的な高級車であれば、ボンネットのロックを解除して少し持ち上げるだけで、ガス圧式のダンパーがスーッと自立させてくれます。 しかし、クラウンスポーツにはこのダンパーが装備されておらず、手動で金属製の棒(ステー)を差し込んで支える、古典的な「つっかえ棒仕様」が採用されています。 乗り出し600万円を超えるクルマでありながら、200万円台の大衆車と同じ作業を強いられる点には、オーナーとしても強いチープさを感じざるを得ません。 かつてのクラウンは、こうしたエンジンルームの質感や整備性にも徹底してこだわっていました。 ボンネットを開ける頻度は一般のドライバーであればそれほど高くありません。 しかし、洗車時にエンジンルームを拭き上げたり、ウォッシャー液を補充したりする際に、重いアルミ製のボンネットを片手で持ち上げながらステーを立てる作業は、高級車としての所作を著しく損ないます。 このような見えない部分、あるいは日常的ではない部分での分かりやすいコストカットが、ユーザーに「価格に見合っていない」と批判される大きな引き金となっているのです。
クラウンスポーツのパドルシフト非搭載が呼ぶ物足りなさ
「スポーツ」というその名が示す通り、この車はきびきびとした軽快な走りを最大のセールスポイントにしています。 しかしながら、標準のハイブリッドモデル(HEV)には、ステアリング裏にパドルシフトが装備されていません。 プラグインハイブリッドモデル(PHEV)にはパドルシフトが装備されているため、これは明確なグレード間、あるいはパワートレイン間の格差です。 HEVモデルでエンジンブレーキを強くかけたいときや、ワインディングロードでギヤを固定して立ち上がりたいとき、ステアリングから手を離さずに変速操作を行うことができません。 さらに言えば、エレクトロシフトマチック(電子制御シフトノブ)を採用しているため、シフトノブ自体を前後に動かしてマニュアル風に変速操作を行うことも不可能です。 せっかく俊敏なフットワークを持つシャシーが与えられているのに、ドライバーが意図的に駆動力やエンジンブレーキをコントロールする手段が極めて制限されているのです。 スポーツドライビングを楽しみたいと考えてこの車を選んだオーナーにとって、このパドルシフトの欠如は、運転の楽しさを半減させる大きな要素となってしまっています。 「名前はスポーツなのに、なぜ走りの操作系がここまで割り切られているのか」という疑問が、批判的な声としてネット上で多く見られるのは当然の結果と言えるでしょう。
クラウンスポーツのアンビエントライトによる薄暗い光量
近年の高級車のインテリアにおいて、夜間のムードを決定づける「アンビエントライト(間接照明)」は必須の装備となっています。 レクサスやメルセデス・ベンツ、BMWといったプレミアムブランドは、ドアトリムや足元、コンソール周辺を美しいライン状のLEDで彩り、オーナーの所有欲を満たしています。 クラウンスポーツにもアンビエントライト自体は装備されているものの、その光量が極めて控えめで、夜間でも点灯しているのかどうかが判別しにくいレベルに留まっています。
引用 : メーカーHP
これはトヨタの「夜間の安全運転に支障をきたさないようにする」という設計思想に基づいていると言われています。 しかし、あまりにも暗すぎるため、夜間の車内はほぼ真っ暗で、華やかさや先進的な雰囲気がほとんど感じられません。 車内の雰囲気を変えるために、後付けで社外品のラインLEDをダッシュボードやドアトリムにカスタム装着するオーナーが後を絶たないのが現状です。 購入段階で600万円近く支払っているにもかかわらず、夜間の演出性が低く、自分で手を加える必要があるというのは、少々寂しい仕様と言わざるを得ません。 調光機能やカラーチェンジ機能を備え、不要な人はオフにできるようにする、という細やかな気配りが純正状態で欲しかったところです。
クラウンスポーツの給油口カバーに見られる僅かなチリ浮き
クラウンスポーツの外観デザインは非常に洗練されており、複雑な曲線と面構成で成り立っています。 しかし、その美しい造形ゆえに、ボディパネル同士の隙間(チリ)のズレが目立ちやすいという繊細な側面を持っています。 特に一部のオーナーから報告されており、私自身も経験したのが、左リヤフェンダーにある給油口(フューエルリッド)のカバーが、ボディラインからわずかに浮いて見える現象です。 個体差はあるものの、カバーの端がボディの面に対して2mm〜3mmほど外側に飛び出しているように見え、触るとわずかな段差を感じるケースがあります。 ディーラーに相談して対策を依頼しても、パーツ自体の構造や樹脂製カバーの反発力の影響により、完全なフラット(平滑)状態に直すことが難しい場合があります。 このような細かい建て付け(フィッティング)の甘さは、1000分の1ミリ単位での精度を誇る日本のモノづくり、ましてや「クラウン」という金看板を背負う車としては、少々首をかしげたくなるポイントです。 車全体のデザインが非常に美しいだけに、こうした微細なズレが視覚的なノイズとなり、見るたびに気になってしまう神経質なオーナーにとっては、質感の低さを感じさせるネガティブ要素となっています。
クラウンスポーツのドア閉まり音と裏側に潜む作りのチープさ
車の高級感を最も直感的に伝える音、それが「ドアを閉めたときの音」です。 高級車はドアの内部に大量の吸音材や制振材が奢られ、ダブルまたはトリプルに配されたウェザーストリップ(ゴム製パッキン)によって、閉めた瞬間に「ズバッ」「ドスッ」という重厚で密閉感の高い音を響かせます。 クラウンスポーツのフロントドアに関しては、十分に重厚でプレミアムな閉まり音を実現しています。 しかし、後席(リヤドア)を開閉した瞬間、その軽々しい音に驚かされることになります。 フロントに比べて明らかに遮音・制振対策が省かれているような「バタン」という乾いた軽い音が響き、まるでコンパクトカーや実用的なミニバンのような印象を与えます。 また、日常的に触れる部分ではありませんが、ステアリングコラム(ステアリングホイールの付け根部分)の真裏や下部を覗き込むと、カバーの合皮素材の折り返し部分にシワが寄っていたり、成型時の処理がポコポコと波打っていたりする部分があります。 こうした「普段は見えない場所」や「後席の乗員しか触れない場所」に対する徹底的なコスト削減が、目の肥えたユーザーに透けて見えてしまうことが、安っぽいと言われる決定的な要因です。 フロントシート周辺の運転環境だけに予算を集中させ、それ以外を割り切る手法は、全方位に完璧を求めた往年のクラウンの思想とは明らかに異なっています。
クラウンスポーツの全幅1880mmによる駐車環境のストレス
クラウンスポーツのボディサイズは、全長4,720mmに対して、全幅が1,880mmという非常にワイドなプロポーションを誇ります。 この1,880mmという車幅は、デザインの美しさや走行安定性に大きく貢献しているものの、日本の都市部における日常的な使い勝手においては、明確なストレス要因となります。 特に日本国内の古い規格で作られた立体駐車場やコインパーキングは、全幅1,850mm以下を制限としている場所が非常に多く存在します。 このため、目的地の駐車場に「車幅制限オーバー」で入庫を断られるケースが頻発します。 また、病院やスーパーなどの一般的な駐車枠に止めた際にも、両サイドの白線との余裕がほとんどなく、ドアを開けて乗り降りする際に隣の車にぶつけないよう、細心の注意を払わなければなりません。 実際に病院の機械式駐車場などに進入を試みた際、左右のタイヤがパレットのガイドにカツカツで、ホイールをこすってしまわないかヒヤヒヤする場面を何度も経験します。 この日本のインフラにマッチしない「肥大化したサイズ感」は、実用的な下駄代わりに使いたいライトなユーザー層にとって、所有をためらわせる最大の物理的障壁となっています。
クラウンスポーツをオーナー目線で評価するメリットと対策
クラウンスポーツのトランク容量がもたらす日常積載の限界
クーペのように流麗なリヤスタイルを採用した結果、クラウンスポーツのラゲッジスペース(トランク容量)は397Lと、このクラスのSUVとしては極めてミニマムな数値に留まっています。 荷室の床面自体はそれなりの奥行きがあるものの、リヤガラスが大きく寝かされているため、高さのある荷物を積み上げるスペースが著しく不足しています。 ゴルフバッグを積載する場合、多くのSUVでは横向きにすっぽりと収まりますが、クラウンスポーツでは横積みができず、後席シートの片側を倒して縦方向に積むなどの工夫が必要です。 また、4人家族で旅行に出かける際、人数分のスーツケースやボストンバッグを載せようとすると、まるでテトリスのように隙間なくはめ込んでいく「パズル作業」が発生します。 バーベキューの機材やキャンプ用品といった、不揃いでかさばる荷物を大量に積載することはほぼ不可能であり、アウトドア用途としての実用性はハリアーやRAV4に遠く及びません。 しかし、この弱点は最初から「スタイル重視 of クロスオーバー」であると割り切って購入すれば、十分に許容できる範囲でもあります。 積載性の低さに直面した際の対策としては、トランクの上部カバー(トノカバー)を取り外し、後席の背もたれをフレキシブルに前倒しして空間を拡張する使い方が基本となります。 ファミリーでの長期レジャーを頻繁に行う方にとっては、この荷室の狭さは購入を決定的に思いとどまらせる要因になるため、自身のライフスタイルとの合致を慎重に見極める必要があります。
クラウンスポーツのスマートキーデザインに感じる寂しさ
愛車を所有する喜びは、車から離れているときにも感じられるべきものです。 その媒介となるのがスマートキーですが、クラウンスポーツの標準キーは、トヨタの他車種(ハリアーやRAV4など)とほぼ共通の形状を採用しています。 裏面のエンブレムこそクラウンの「王冠マーク」に変更されているものの、キー自体のプラスチックの質感やボタンの押し心地、全体の軽さは非常に大衆車的です。 さらに不満を高めているのが、ディーラーオプションとして用意されている2万2,000円の「クラウン専用スマートキー」のクオリティです。 高額な追加オプションでありながら、届いた実物は全体的に樹脂のチャチさが目立ち、価格に見合った重厚感や工芸品のような美しさは微塵も感じられません。 これであれば、標準のスマートキーをそのまま使用し、サードパーティ製の上質な本革キーケースなどを数千円で買い求めた方が、はるかに高い満足度を得ることができます。 スマートキーという、日常的に毎日ポケットやバッグから出し入れする小物の品質にこそ、ブランドの誇りを宿して欲しかったというのが、オーナーとしての切実な本音です。
クラウンスポーツの外観デザインにみるフェラーリへの類似性
クラウンスポーツが発表された当初から、ネット上を騒がせているのが「フェラーリの新型SUVであるプロサングエに酷似している」というデザインに関する意見です。 特に薄型のコの字型LEDヘッドライト(ハンマーヘッドデザイン)や、低く構えたノーズ、そして筋肉質に盛り上がったリヤフェンダーのラインは、確かにプロサングエを想起させます。 ボディカラーにイメージ色の「エモーショナルレッド」を選択すると、そのスポーティなオーラも相まって、さらにその傾向が強まります。 これを「二番煎じの安易な模倣」と冷ややかに捉えるか、「手が届かないスーパーSUVの雰囲気を身近に味わえる傑作デザイン」と肯定的に捉えるかで、この車に対する評価は180度変わります。 私個人の自動車ジャーナリストとしての視点から言えば、このワイド&ローの美しさをこの価格帯で具現化し、量産化したトヨタの技術力と英断は極めて高く評価されるべきです。 単に似ているというレベルを超えて、実車が持つ彫刻のような陰影と圧倒的な存在感は、ライバルとなる同クラスのSUVを一瞬で過去のものにするほどのパワーを持っています。 模倣という批判的な声を軽々と黙らせるほどの「カッコよさ」こそが、この車の最大の価値であり、衝動買いを誘発する強力な武器となっています。
クラウンスポーツの販売台数の少なさと受注枠巡る混乱
クラウンスポーツはその注目度の高さに対して、メーカーが提示した月間の基準販売台数が「わずか700台」という極めて少数の枠に設定されていました。 これに対して、同社の人気SUVであるハリアーや、ミニバンのアルファードなどは数千台規模の月産枠が確保されていました。 この極端に少ない生産体制により、発売直後から全国のディーラーで注文が殺到し、各店舗に割り当てられる台数は「月に1台〜2台」という極めて狭き門となりました。 結果として、多くの購入希望者が商談すらできないまま受注ストップを告げられ、オークションや中古車市場での価格高騰を招くなど、市場の混乱を誘発しました。 「欲しいのに買えない」「商談の権利すら抽選になる」という販売現場の状況は、ユーザーに強い不満と徒労感を与えました。 なぜ売れることが確実視されていたこのスタイリッシュなSUVの増産体制を整えなかったのか、メーカーの販売戦略には疑問が残ります。 この入手困難な状況が、希少価値を高めるプレミアム性に寄与している側面はあるものの、一般のユーザーにとってはクラウンブランドに対する敷居の高さを無用に引き上げる結果となっています。
クラウンスポーツの走行フィーリングに漂う伝統の重厚感
デザインや細部の安っぽさに厳しい目を向けてきましたが、ひとたび走り始めると、この車がやはり「クラウン」の血統を受け継ぐ本物であることを痛感させられます。 基本骨格には、定評のある「TNGA-Kプラットフォーム」を採用していますが、そのセッティングはクラウンスポーツ専用に極めてハイレベルな磨き上げが施されています。 サスペンションのしなやかなストローク感と、コーナーでのロール(車体の傾き)の少なさは見事なバランスで両立されており、路面からの不快な突き上げを完璧にいなします。 さらに、特筆すべきはリヤタイヤを電子制御で能動的に操舵する「DRS(ダイナミック・リア・ステアリング)」の恩恵です。 低速域では逆位相(前輪と逆の方向)にリヤタイヤをわずかに切ることで、車幅1,880mmを感じさせないほどクルリと小回りが利く(最小回転半径5.4m)抜群の扱いやすさを実現します。 そして中高速域では同位相(前輪と同じ方向)に切り替わり、レーンチェンジや高速道路のカーブにおいて、まるで車軸が地面に吸い付いているかのような圧倒的な安定性を提供します。 静粛性に関しても、遮音ガラスの採用やアクティブノイズコントロールなどにより、不快なロードノイズやエンジン音は完全にシャットアウトされた静寂の空間が保たれます。 この「極上の乗り心地と、意のままに曲がる走りの楽しさ」の両立こそが、クラウンスポーツの真の価値であり、ハードウェアとしての完成度は間違いなく一線級の実力を持っています。
クラウンスポーツのシフトノブをレクサスLC用にするカスタム効果
クラウンスポーツに乗り続けていく中で、私がどうしても馴染めなかったのが、標準装備されている小ぶりな電子制御シフトノブの存在でした。 デザイン自体はスマートなのですが、握り心地が軽く、どこかプラスチックのおもちゃを操作しているような物足りなさがありました。 そこで施したのが、トヨタ・レクサスのフラグシップクーペである「レクサスLC」の純正本革シフトノブを流用装着するというカスタムです。 LC用のシフトノブは、上質な本革と緻密にポリッシュされた金属過飾が組み合わされており、握った瞬間のしっとりとした触感と程よい重量感が、ドライバーに最高の満足感を与えてくれます。 実は、クラウンスポーツのシフトシャフト径やネジピッチはレクサスLC用と基本的に互換性があり、少しの加工(ノブ内部のストッパーの微調整など)で美しくポン付け流用が可能です。 このLC用シフトノブを装着することで、インテリアの質感が劇的に向上するだけでなく、実用面でも素晴らしいメリットが生まれます。 ノブ自体が適度に大型化するため、シフトノブの上に左手首を添えて置いたまま、指先をすっと伸ばすだけでエアコンの風量や温度調整といったスイッチ類にアクセスできるようになります。 腕を中ぶらりんに浮かせて操作するよりも肩への負担が格段に減り、長距離ドライブの快適性が大幅に向上します。 このような「ちょっとした工夫とカスタム」を施すことで、メーカーがコストカットした部分を自らの手でアップグレードし、愛車への愛着を極限まで高めていく行為こそが、車を所有する真の醍醐味なのです。
クラウンスポーツの所有満足度を高める愛車への総評結論
クラウンスポーツを2年間、日常使いから長距離の取材ドライブまで徹底的に連れ添った上での私の結論は、「ライフスタイルが合致するなら間違いなく全力でおすすめできる名車」です。 確かに、細部のプラスチッキーな質感や、つっかえ棒仕様のボンネット、狭いラゲッジスペースなど、100点満点とは言えない部分や安っぽさを感じるポイントはあります。 しかし、それらのネガティブ要素をすべて補って余りあるほどの「圧倒的に美しいエクステリアデザイン」と「極上の静粛性・走行パフォーマンス」がこの車には備わっています。 もしあなたが、4人家族で毎回大量の荷物を積んでキャンプに出かけるような実用性をSUVに求めているなら、この車は選ぶべきではありません。 その場合は、より実用的で使い勝手の良いハリアーや、いっそミニバンを選択するべきです。 しかし、普段は1人か2人での乗車がメインで、時折ゲストを乗せる程度であり、何よりも「ガレージに止まっている愛車の姿を見て惚れ惚れしたい」というエモーショナルな価値を求めるなら、クラウンスポーツ以上の選択肢は同価格帯に存在しません。 細かい不満点は、先述したアンビエントライトの追加カスタムや、レクサスパーツの流用といったD.I.Y.精神でいくらでも解決し、自分好みの極上仕様に仕上げていくことが可能です。 クラウンという伝統の名に恥じない底力を持ったこの個性的なクロスオーバーは、一度乗ればその魅力の深さに必ずや魅了されることでしょう。
まとめ
本日は、新型クラウンスポーツに関する「価格に見合わない」とされる批判の真相や、安っぽいと言われる部位について、実体験を基に深掘り解説してきました。 一見すると過度なコストカットが目立つ部分もありますが、それはこの美しい外観と優れた走行メカニズムに予算を集中させた、現代の車づくりにおける合理的なパッケージングの結果でもあります。 弱点やクセを正しく理解し、それらをカスタムなどの工夫でカバーして楽しむ大人の余裕こそが、この先鋭的なクラウンスポーツを乗りこなす上での最大の秘訣と言えるでしょう。 この記事が、皆さんの車選びの参考になれば幸いです。
筆者情報
二階堂 仁(にかいどう じん) モータージャーナリスト兼コラムニストとして活動。 慶應義塾大学卒業後、大手自動車メーカーに就職。 長年にわたり車両の基本設計および先行開発プロセスに携わる。 その後、自動車の魅力を言葉で伝える出版業界へと転身。 より客観的かつ情熱的なジャーナリズムを追求するため独立し、現在に至る。 エンジニア時代の理論的アプローチと、自ら多数の車を所有してきたコアなオーナー目線を融合させた、容赦なくも愛情に満ちた鋭い試乗コラムに定評がある。 現在のガレージには、至高のV10サウンドを奏でる「レクサスLFA」や、不朽の名作「日産スカイラインGT-R(R34)」など、メーカーの魂が宿るスポーツモデルを複数台所有。

