モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、新型クラウンエステートの仕上がりやネット上の評価が気になっていると思います。 私も実際にクラウンエステートを所有し、1年間乗り込んで様々な気づきを得たので、気になる気持ちはよくわかります。
引用 : メーカーHP
質感への疑問やオーナーの不満、そして1年乗ってわかった実用性を徹底的に解説します。 この記事を読み終える頃には、クラウンエステートに対する疑問や不安が解決しているはずです。
- 1年間の実オーナー目線による詳細な質感検証
- クラウンエンブレムのステッカー仕様など安っぽいと感じる具体部
- 機械式駐車場のサイズ制限と内装の割り切りに対するリアルな批判
- 圧倒的な静粛性と荷室空間がもたらす高い実用性の証明
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新型クラウンエステートのオーナー評価と「安っぽい」とされる真相
クラウンエステートのステッカー式エンブレムに批判が集中する理由
クラウンエステートを納車されて最も驚いた部分の一つが、リアに配置されているクラウンのエンブレムです。 多くのオーナーが指摘している通り、このエンブレムは金属製の立体的なプレートではありません。 実際には、非常に薄い樹脂調のステッカー(デカール)仕様となっています。 指で強く押すとわずかにたわんで動くほどの厚みしかありません。 洗車時にウエスやスポンジ、爪を引っかけて剥がしてしまうのではないかという緊張感が常に漂います。
引用 : メーカーHP
車両本体価格が600万円を超える高級車セグメントにおいて、このような簡易的な処理が施されていることは驚きです。 所有満足度を著しく損ねる要因として、ネット上で批判が集まるのも無理はありません。 軽量化や製造コストの低減、あるいはフラットな近未来デザインを追求した結果であると考えられます。 しかし、質感重視の伝統的なユーザーにとっては受け入れがたいディテールの一つとなっています。 毎日眺めるリヤセクションだからこそ、ここには立体感と重厚感のある金属プレートを与えてほしかったというのが、オーナーたちの偽らざる本音です。
ドアを開けるたびに感じるドアハンドルの安っぽい質感とコストカット
車内に乗り込む際、必ず最初に触れることになるインナードアハンドルにも大きな割り切りが見られます。 このパーツは、握った瞬間に中空の軽いプラスチック素材であることがダイレクトに伝わってくる構造です。 手に伝わる頼りない感触は、200万円クラスのコンパクトカーや軽自動車と変わらないようなチープな質感です。 ドアを開閉するたびに、明確なコストカットの現実を突きつけられることになります。
クラウンという伝統的なブランドを名乗る以上、ここはもう少し配慮が欲しかった部分です。 金属調のサテンメッキ処理を施したり、剛性感のある肉厚な樹脂を採用したりするべき場所でした。 人間が頻繁に触れるインターフェース部分の質感を下げることは、クルマづくりの観点からも大きな痛手です。 車両全体の第一印象を「安っぽい」と感じさせる決定的な原因となっています。 毎日の通勤や買い物で何度も触る場所だからこそ、この触感の軽さは慣れるまでに相当な時間を要します。
プリウス共通のシフトノブがもたらす特別感の欠如
センターコンソールに配置されているエレクトロシフトマチックのシフトノブにも、大きな課題があります。 これは最新のプリウスなどと共通のデザインがそのまま採用されています。 操作性自体には何の問題もなく、直感的かつスムーズに変速動作を行うことができます。 しかし、クラウンエステートならではの特別感はどこにもありません。 高級車を運転しているという高揚感も、このシフトノブからは一切感じられない設計です。
プラットフォームや部品の共通化(TNGA)はトヨタの優れた生産技術です。 しかし、フラッグシップシリーズであるクラウンには、専用のステッチや本革巻きを与えるべきでした。 あるいはアルミ削り出し風の加飾を与えて、他のファミリーと明確に差別化を図るべきでした。 こうした「他車種からの流用感」が随所に見え隠れします。
夜間の車内が暗すぎるアンビエントライト問題
さらに車内の雰囲気を損ねているのが、夜間のアンビエントライト(間接照明)の貧弱さです。 クラウンセダンにはマルチカラーの華やかな照明が用意されています。 しかし、このエステートにはまともな間接照明が備わっておらず、夜間の車内は真っ暗になります。 850万円を超える乗り出し価格を考慮すると、あまりにも寂しいインテリアの夜間景観と言わざるを得ません。 その結果、目の肥えたベテランオーナーからの冷ややかな評価に繋がっています。
想像以上に狭いグローブボックスと収納スペースの限界
室内の実用性における最大の不満点として、助手席前のグローブボックスの狭さが挙げられます。 ボックスを開けると、車検証入れと取扱説明書を収納した時点で完全に満杯となってしまいます。 市販のティッシュペーパーのボックスを収納するスペースすら残されていません。 およそこの大柄なボディサイズからは想像できないほどの極端な容量不足です。
引用 : メーカーHP
インパネ内部のエアコンユニットや、安全装備のコンピューター配置による設計上の制約が原因と推測されます。 サングラスや小物の収納はセンターコンソールボックスに頼らざるを得ません。 しかし、そちらも決して大容量とは言えないサイズです。 車内の整理整頓には、常にテトリスのようなパズル的な工夫を求められる状況です。 スマートな収納ソリューションを期待していたファミリー層にとっては、非常に使い勝手の悪いポイントとなっています。
パノラマルーフ装着車におけるドア閉め時の不快な共振音
ドア閉鎖時に響くチープな金属音のメカニズム
パノラマルーフ(オプション)を装着した車両において、特有の不満が上がっています。 一部のオーナーから「ドアを閉めた時の音が安っぽい」という声が寄せられているのです。 実際にドアを閉めると、高級車らしいドスッという重厚な遮音音が響く一方で、ルーフ付近から「カン」という高い金属的な残響音が聞こえます。 これはパノラマルーフのフレーム中央部を走る補強ブレース(柱)が原因です。 ドアを閉めた際の車内気圧の急激な変化によって、この柱が共振を起こしているのです。 高級車において、建付けの悪さを想起させる共振音が発生することは極めて残念な現象と言えます。
ディーラーへのフィードバックと現状の対策
この問題は多くのオーナーからディーラーへ熱心に報告されています。 すでにメーカー側にも不具合や改善要望としてフィードバックが行われています。 しかし、現時点ではメーカー公認のサービスキャンペーンや対策部品の配付には至いません。 パノラマルーフ非装着車ではこの共振音はまったく発生しません。 そのため、静粛性やドアの閉まり音の「重厚感」を最優先に考えるのであれば、あえてパノラマルーフの選択を避けるのも一つの賢明な防衛策と言えます。 また、このパノラマルーフは開閉ができず、単なる明り取りの窓としてしか機能しない点も、装着を検討する上での注意点です。
歴代クラウンオーナーが新型のプラスチック素材に落胆したポイント
長年にわたりロイヤルサルーンやマジェスタなどの歴代クラウンを乗り継いできたオーナーほど、不満を抱きやすい傾向にあります。 新型の素材感に対する落胆の声は、こうしたベテラン層から多く聞かれます。 ダッシュボード上部やドアトリムの一部にはソフトパッドが贅沢にあしらわれています。 しかし、足元に近い下部パーツやコンソール側面は、硬質でカサカサとしたハードプラスチックが露出しています。 かつてのクラウンに見られた、全面をファブリックや上質な合皮で覆い尽くすような過剰なほどの「おもてなし感」は影を潜めました。
新しいクラウンエステートは、グローバル展開を見据えたモダンな合理主義に基づいて設計されています。 その大胆な割り切りが、従来のドメスティックな高級感を愛する層には「安っぽいコストカット」と映ってしまっています。 グローバル基準のプレミアムと、日本独自のクラウンらしさの乖離が浮き彫りになった部分です。 乗り降りする際に目に入るハードプラスチックの質感は、先代までのモデルと比較して格段に引き下げられており、ファンの落胆は小さくありません。
175万円の価格差に見合わないプラグインハイブリッドRSの専用装備
クラウンエステートには、2.5Lハイブリッド(HEV)の「Z」グレードがあります。 さらに、プラグインハイブリッド(PHEV)の「RS」グレードが設定されています。 その車両本体価格の差は実に175万円に達します。 しかし、これほどの価格差があるにもかかわらず、外観上の違いはわずかです。 赤色に塗装されたブレーキキャリパーや、専用デザインの21インチホイール程度にとどまります。 内装に至っては、後述するカラーリング以外の基本デザインやシート形状、プラスチックの質感はほぼ同一となっています。
引用 : メーカーHP
クラウンスポーツのPHEV仕様のように、よりホールド性の高い専用スポーツシートなどの差別化があれば納得感はありました。 しかし、エステートRSにおいては175万円という追加出費に対する「目に見える特別感」が非常に薄い仕様です。 さらに、リヤモーターの出力スペックもハイブリッドモデルと同一に据え置かれています。
PHEVならではの感動と電動感の薄さ
高額なPHEVを所有する喜びの一つに、滑らかな「電動感」があります。 しかし、このエステートRSは、ハイブリッドモードで走行しているとバッテリーが重い分、エンジンが始動しやすくなります。 そのため、一般的なトヨタのハイブリッド(THS2)に乗っている感覚と大きな差を感じられません。 日常の短距離移動であれば、自宅でのこまめな充電によりEV走行で賄うことができます。 しかし、週末のロングドライブや旅行がメインのユーザーにとっては、単に「重いハイブリッドカー」を走らせている印象になりがちです。 この点が、最上級グレードを期待して購入したオーナーの落胆を招いています。
選択肢がグレーッシュブルー1色に制限されたPHEV内装の不満
さらにオーナーを悩ませるのが、PHEVモデルである「RS」グレードを選択した場合の内装色です。 内装カラーが「グレーッシュブルー」の1色に強制的に固定されてしまいます。 ハイブリッドモデルの「Z」では、シックなブラックと、華やかで高級感のある「サドルタン」の2色から好みに合わせて選択が可能です。 175万円も高額な最上級グレードを注文しているにもかかわらず、選択肢が著しく制限されることになります。
特に人気の高いサドルタンの内装をPHEVで選べないという仕様には強い疑問が残ります。 このグレーッシュブルー自体は、非常にクリーンで知的な素晴らしい色合いです。 しかし、インテリアカラーに強いこだわりを持つ高価格帯のユーザー層にとって、選択の自由が奪われている現状は大きなマイナス評価となっています。 高い費用を支払う顧客ほど、細部まで自分好みにカスタマイズしたいという欲求が強いものです。 メーカーによるこのような一方的な選択肢の制限は、プレミアムセグメントにおいては致命的な欠点と言わざるを得ません。
クラウンエステートを1年間実乗して分かった走りと実用性の本質
2.5Lハイブリッドシステムがもたらす驚くほど軽快な出足と静粛性
ここまで質感や装備における厳しいポイントを挙げてきました。 しかし、一度ステアリングを握って走り出すと、クラウンエステートの評価は一変します。 搭載されている2.5Lハイブリッドシステムは、システム最高出力234psを発揮します。 これにより、大柄な車重をまったく感じさせない軽快な加速を実現しています。
アクセルペダルを軽く踏み込んだ瞬間から、大容量モーターが瞬時に立ち上がります。 豊かなトルクで滑らかに、そして静かに巨体を滑り出させます。 エンジンが始動する際のマウントの制御や遮音対策も徹底されています。 車内には極めて静かで穏やかな時間が流れます。 ドカンとくる暴力的な加速ではなく、ドライバーの意思に寄り添うように上品かつ力強く速度をのせていくフィーリングです。 これは長距離を移動するためのステーションワゴンとして、完璧なチューニングと言えます。 荒れた路面からの不快な高周波振動もしっかりとシャットアウトされており、極上の移動空間が完成しています。
大型ボディを感じさせないダイナミックリアステアリングの小回り性能
クラウンエステートの全長は4930mm、全幅は1880mmに達する堂々たる体躯です。 この大柄なボディにもかかわらず、都市部の入り組んだ路地や駐車場でストレスを感じません。 その最大の功労者が、ダイナミックリアステアリング(DRS)です。 低速走行時には、後輪が前輪と逆方向に切れる制御を行います。
これにより最小回転半径を小さく抑え、まるで一回り小さなコンパクトSUVを運転しているかのような感覚でクイックに曲がることができます。 狭い交差点での右左折や、スーパーの駐車場での切り返し回数が劇的に減少します。 日常使いにおける運転のしやすさは、同クラスの競合他車を圧倒しています。 電子制御を巧みに利用し、大型車のネガティブな要素を完全に見事に打ち消しています。 この技術的な仕上がりには、プロの目から見ても深く感銘を受けます。 巨体に恐れをなして購入をためらっている方には、ぜひ一度試乗してこの魔法のような小回り性能を体感してほしいと思います。
都市部での機械式駐車場における全幅1880mmの制限と対策
小回り性能が優れている一方で、物理的なサイズの問題は避けて通れません。 特に都市部に多く点在するタワーパーキングや機械式駐車場において、全幅1880mmというサイズは大きな障壁となります。 昭和期や平成初期に建設された機械式駐車場では、制限全幅が1800mm以下、あるいは1850mm以下に設定されているケースが非常に多いためです。
実際にパーキングの入り口まで行ってから「進入不可」の看板を見て諦めることもあります。 その結果、周囲の離れた平面駐車場を探し回る羽目になるというトラブルは、多くのオーナーが一度は経験する悩みです。 クラウンエステートを購入する際は、自宅の車庫だけでなく、普段よく訪れる目的地の駐車制限をあらかじめ調べておく必要があります。 スマートフォンのマップなどを活用し、対応サイズを確認しておくのが最も確実な防衛策です。
| 車両サイズスペック | 数値 | 都市部での影響 |
|---|---|---|
| 全長 | 4,930 mm | 5m制限枠であればほぼクリア可能 |
| 全幅 | 1,880 mm | 1,850mm制限の機械式駐車場は進入不可 |
| 全高 | 1,620 mm | 1,550mm制限の標準タワーは不可(ミドル・ハイルーフ枠が必要) |
| ホイールベース | 2,850 mm | 直進安定性に寄与するが、パレット内での前輪乗り上げに注意 |
レギュラーガソリン仕様によるクラスを超えた抜群の維持費と燃費性能
このセグメント of プレミアムカーとしては非常に珍しい特徴があります。 クラウンエステートの2.5Lハイブリッドモデルは「レギュラーガソリン仕様」となっています。 輸入車や同等クラスの国産高級車の多くがプレミアム(ハイオク)ガソリンを要求する設計です。 そのような中で、経済的なレギュラーガソリンで運用できるメリットは非常に大きいです。
ハイオクとの価格差はリッターあたり10円以上あるため、年間走行距離が多いユーザーほど、その経済的な恩恵を財布で実感できます。 実燃費についても、片道15km程度の市街地通勤や週末の遠出を含めた実測値で、驚くべき数値を記録します。 具体的にはリッターあたり17kmから19km前後という高い数値を安定してマークしてくれます。 この大柄な車体と高い実用性を考慮すれば、維持費の安さは競合モデルを遥かに凌駕する圧倒的なアドバンテージです。 日常のランニングコストを抑えつつ、高級車のステータスを維持したいユーザーにとって、これ以上の選択肢はありません。
サドルタン本革シートがもたらす長距離ドライブの快適性とインテリア
ハイブリッド「Z」グレードで選択可能なサドルタンの本革シートは、素晴らしいクオリティです。 視覚的な美しさだけでなく、乗員の身体を支えるサポート性能も一級品に仕上がっています。 明るいキャメル調の色合いは、車内全体をパッと明るくラグジュアリーな雰囲気に演出してくれます。 ドアを開けた瞬間に、オーナーとしての誇りと満足感を満たしてくれます。
シートの表皮は非常にしっとりとした質感で滑りにくい加工が施されています。 長時間のドライブでも身体の特定の部位に圧力が集中しないように、内部クッションが緻密に設計されています。 シートヒーターはもちろん、夏場にシート表面から熱気を吸い出すベンチレーション機能も完備されています。 さらにステアリングヒーターが標準装備されており、どのような季節であっても快適です。 乗車した瞬間から、乗員全員に極上の空調環境が提供されます。
後席の快適性と知っておくべき盲点
しかし、後部座席にはいくつかの盲点が存在します。 足元のスペースは拳が縦横に余裕で入るほど広大で、大人が足を組めるほどの解放感があります。 さらに、ドアが下端までしっかり覆う構造のため、雨の日でもズボンの裾を汚さずにフラットに乗り降りできます。 ですが、後席にはリクライニング機構がなく、背もたれの角度は固定されています。 また、ヘッドレストの高さ調整もできません。 シートヒーターも後席には非装備となっているため、冬場に後ろに乗る家族やゲストのために、ブランケットを常備しておく必要があります。
高速道路での疲労を劇的に軽減するトヨタセーフティセンスの精度
クラウンエステートに搭載されている「トヨタセーフティセンス」の運転支援システムは、一級品の仕上がりです。 実際に使用してみると、驚くほど高い精度で動作することがわかります。 レーダークルーズコントロールをセットすれば、先行車との距離を適切にキープします。 加減速の制御もミリ秒単位で行われているかのように、滑らかにコントロールしてくれます。
さらに、車線の中央を維持する「レーントレーシングアシスト」の制御も見事です。 横風や路面のわだち、うねりがあってもふらつくことがありません。 車両をピタッと白線の中間にキープし続けてくれます。 ドライバーはステアリングに軽く手を添えているだけで、長距離の高速巡航をストレスフリーで走りきることができます。
運転による疲労の蓄積が劇的に抑えられます。 目的地に到着した後の活動エネルギーを十分に確保できることは、この車の大きな強みです。 一度このレベルの運転支援を体験してしまうと、支援システムのない旧世代の車に戻ることは難しくなります。
フルフラットシートとAC100Vコンセントを活用した車中泊レビュー
圧倒的なフラット空間を作り出す「エクステンションボード」の恩恵
クラウンエステートのラゲッジルームには、非常に画期的なメカニズムが備わっています。 それが、トヨタとして初採用となる「エクステンションボード」です。 後席の背もたれを前に倒し、このボードを前方に展開します。 すると、後席シート裏面と荷室の間に生じるわずかな隙間や段差を完全に塞ぐことができます。
この機構により、完全にフラットな床面スペースを作り出すことができます。 荷室の奥行きは最大で約2mに達します。 これにより、身長の高い大人であっても足をしっかりと伸ばして横になることが十分に可能です。 ボードの継ぎ目部分にわずかなクッションの硬度差があります。 そのため、厚手のキャンプ用ウレタンマットを1枚敷くのがおすすめです。 それだけで、自宅のベッドと変わらない極上の寝心地を車内で確保できます。
災害時にも役立つ「1500Wアクセサリーコンセント」の実用性
車内には、家庭用と同じ「AC100V・1500W」のアクセサリーコンセントが標準装備されています。 これにより、車内で電気ケトルを使用してお湯を沸かすことができます。 さらに、電子レンジやホットプレートなどの消費電力の大きな電化製品も問題なく使用可能です。 ハイブリッドシステムの大容量バッテリーを利用するため、エンジンをかけ続ける必要はありません。
ガソリンが残っている限り、システムが必要に応じてエンジンを自動で断続的に始動させます。 これにより、数日間にわたって安定した電力を車内へ供給し続けることが可能です。 週末のアウトドアレジャーとしての車中泊を楽しむ用途には最適です。 それだけでなく、万が一の災害時や停電時における「移動する避難所」としても機能します。 非常用電源としての価値も備えており、ファミリーにとって極めて心強い性能を発揮します。
荷物の積載性を高める4対2対4分割シートが欲しかったステーションワゴンの本音
実用性の高い荷室空間を持つクラウンエステートですが、気になる点もあります。 ステーションワゴンとしての使い勝手を極める上で、どうしても惜しいと感じるのが後席シートの分割方式です。 現在の仕様は「6対4分割」となっています。 そのため、スキー板やスノーボード、釣竿などの長尺物を積載する際に問題が生じます。
左右どちらかのシートを大きく前方に倒さなければ、長い荷物を載せることができません。 その結果、後席に2名乗車することが不可能になり、実質的に3人乗り仕様となってしまいます。 これがもし、欧州のプレミアムワゴンに多く見られる「4対2対4分割」であれば解決していました。 中央の細いアームレスト部分だけを倒してラゲッジスルーにすることができたからです。
そうすれば、4名乗車を維持したまま、全員の荷物を載せてスキーやレジャーに出かけることが可能でした。 エステートというアクティブなライフスタイルを提案する車です。 だからこそ、シートアレンジの分割方式にはもう一歩踏み込んだこだわりが欲しかったというのが率直な意見です。 この点については、今後のマイナーチェンジ等での改善に期待したいところです。
まとめ
新型クラウンエステートは、一歩引いた視点から客観的に観察すると、完璧な車ではありません。 確かに、リアシールのエンブレムやインナードアハンドルのチープさは気になります。 グローブボックスの狭さなど、重箱の隅をつつけば価格に見合わないと感じる部分は存在します。 しかし、それらの質感に対するネガティブな要素は、走りの良さによって覆されます。
この車が提供する「圧倒的な移動の快適さ」と「優れた荷室実用性」が勝るからです。 静粛性の極めて高いラグジュアリーなキャビン空間が確保されています。 DRSによる小回りの効く洗練されたフットワークも大きな魅力です。 そして車中泊をも可能にする広大なフラット荷室と1500Wコンセントの利便性もあります。
これらをレギュラーガソリンという低いランニングコストで享受できる設計です。 競合する高額な輸入プレミアムSUVやワゴンと比較しても、極めて高いコストパフォーマンスを誇ります。 質感の割り切り部分を事前に納得して購入するのであれば、不満は出ないでしょう。 日常の通勤からロングドライブ、災害時の非常用電源までを一台で完璧にこなします。 あなたのカーライフにおいて、至高のマルチパフォーマーとなってくれるはずです。
筆者情報
- 名前:二階堂 仁(にかいどう じん)
- 経歴:慶應義塾大学工学部を卒業後、国内大手自動車メーカーにエンジニアとして就職。車両の走行性能開発やシャシー設計に携わった後、自動車ジャーナリズムの世界へ転身。元開発者ならではの技術的かつ多角的な視点から、新車の本質を見極めるコラムを多数執筆している。
- 現在の愛車:レクサスLFA、日産スカイラインGT-R(R34)など、走りに妥協のない複数台をガレージに収め、今回解説したクラウンエステートも実際に所有しデイリーユースで乗り倒している。

