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国産車

【新型エルグランド】良い点・悪い点まとめ|実際に乗って分かったリアルを解説

モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。

この記事を読んでいる方は新型エルグランドが気になっていると思います。 私も実際に新型エルグランドの走りを経験し、その仕上がりの高さに驚かされました。 気になる気持ちは痛いほどよくわかります。

引用 : 日産HP (https://global.nissannews.com/ja-JP/releases/251029-01-j)

この記事を読み終える頃には、新型エルグランドの良い点や悪い点、そして購入すべきかどうかの疑問がすっきりと解決しているはずです。

この記事の要約
  1. 第3世代e-POWERと5in1ユニットによる圧倒的な静粛性と振動低減
  2. e-4ORCEの緻密な4輪制御と500Nmトルクによる怒涛の加速性能
  3. 電子制御サスペンションがもたらす極上のフラットな乗り心地
  4. 完全停止までサポートする先進の運転支援システムの搭載

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Contents
  1. 新型エルグランドの革新的な技術と実際に乗って分かったメリット
    1. 新型エルグランドに導入された第3世代e-POWERの静粛性
    2. 新型エルグランドのアクティブノイズコントロールによる異次元の消音
    3. 新型エルグランドが採用した高遮音ガラスによる外部遮音効果
    4. 新型エルグランドのインテリジェント・ダイナミック・サスペンションの制御
    5. 新型エルグランドを支えるe-4ORCEの圧倒的な旋回・加速性能
    6. 新型エルグランドのスムースストップ機能がもたらす上質な減速
    7. 新型エルグランドのプロパイロット2.0による先進の高速運転支援
    8. 新型エルグランドのインテリジェントディスタンスコントロールの安全性
  2. 新型エルグランドの弱点とライバル比較から見えるリアルな評価
    1. 新型エルグランドの高速燃費に立ちはだかるe-POWERの課題
    2. 新型エルグランドとヴェルファイアの走りの質感における直接比較
    3. 新型エルグランドの低重心パッケージが車内空間に与える影響
    4. 新型エルグランドのゼログラビティシートがもたらす驚異の疲労低減効果
    5. 新型エルグランドのドライブモード変更における味付けの極端な変化
    6. 新型エルグランドに用意されたパーソナルモードの圧倒的な自由度
    7. 新型エルグランドの購入を検討する上で絶対に外せない最終的な判断基準
  3. まとめ

新型エルグランドの革新的な技術と実際に乗って分かったメリット

新型エルグランドに導入された第3世代e-POWERの静粛性

新型エルグランドの走りを語る上で、最も重要となるのがパワートレインの進化です。 今回、心臓部として採用されたのが「第3世代e-POWER」です。 このシステムは、これまでの日産の電動化技術の集大成と言える仕上がりになっています。

引用 : 日産HP (https://global.nissannews.com/ja-JP/releases/251029-01-j)

5in1ユニットがもたらす物理的な振動抑制

第3世代e-POWERの最大の特徴は、主要部品を一体化した「5in1」コンセプトにあります。 一体化された構成部品は以下の通りです。

  • 駆動モーター
  • 発電機
  • インバーター
  • 減速機
  • 増速機

これらを1つのコンパクトなハウジングに収めることで、ユニット全体の剛性が飛躍的に高まりました。 結果として、エンジン作動時の不快な振動が従来比で約40%も低減しています。 実際にドライブを開始した瞬間、エンジンがいつ始動したのか全く気付かないほどの滑らかさに圧倒されました。

発電専用1.5L VCターボエンジンの役割

搭載される1.5リッター直列3気筒ターボエンジンは、駆動には一切関与しません。 完全に「発電専用」として割り切った設計がなされています。 日産独自の可変圧縮比技術(VCターボ)を組み合わせることで、最も効率の良い回転域だけで運転されます。 そのため、急加速時であってもエンジンが悲鳴を上げるような高回転のノイズは皆無です。 ドライバーの右足の動きに完全に同期した、極めて洗練された電力供給を実現しています。

新型エルグランドのアクティブノイズコントロールによる異次元の消音

車内の静粛性を徹底的に追求するため、新型エルグランドには高度なアクティブ・ノイズ・コントロール(ANC)が搭載されています。 これは高級ヘッドフォンに採用されているノイズキャンセリング技術を、車内空間全体に展開したものです。

ロードノイズとエンジン音を同時に打ち消す仕組み

システムは車内に設置された複数のマイクで、不快なロードノイズやエンジン音を常にモニタリングしています。 感知した騒音と「逆位相(逆の波形)」の音を、車内のスピーカーから瞬時に出力します。 これにより、音波同士が互いを打ち消し合い、乗員の耳に届く前に騒音をシャットアウトする仕組みです。 一般的なANCはエンジン音のみを対象とすることが多いですが、日産のシステムはロードノイズにも対応しています。

驚異的な騒音カット率の実現

この技術の恩恵は、数値としてもはっきりと現れています。

  • エンジン騒音:最大60%低減
  • ロードノイズ:最大50%低減

実際に試乗中、ANCを途中でオフにするデモンストレーションを行いました。 スイッチを切った途端、床下から「ゴー」というロードノイズと、遠くで回るエンジンのこもった音が侵入してきます。 再びオンにすると、まるで耳栓をしたかのように、一瞬でキャビンが静寂に包まれました。 声の通りが非常にクリアになり、前席と後席の間で声を張らずに会話が楽しめます。

新型エルグランドが採用した高遮音ガラスによる外部遮音効果

静粛性を極限まで高めるためのこだわりは、ガラス素材の選定にも及んでいます。 新型エルグランドには、国産車でも類を見ない贅沢な高遮音ガラスが採用されています。

引用 : 日産HP (https://global.nissannews.com/ja-JP/releases/251029-01-j)

車音剤をサンドイッチした特殊構造

採用された高遮音ガラスは、2枚のガラスの間に特殊な高性能中間膜(遮音シート)を挟み込んだ構造です。 この中間膜が音の振動を吸収し、外部からの騒音の透過を防ぎます。 この高遮音ガラスが、以下の部位に惜しみなく使用されています。

  • フロントウインドシールドガラス
  • フロントドアガラス
  • リアドアガラス(スライドドア部)

前後左右を遮音ガラスで囲むことで、対向車とすれ違う際の発音や、並走するトラックの排気音が劇的に遮断されます。

風切り音25%低減がもたらす高速域の快適性

高速道路を100km/hでクルージングしている際、耳元で発生する「ザワザワ」とした風切り音はストレスの元です。 新型エルグランドでは、この風切り音を従来比で25%も低減することに成功しました。 キャビン全体の静粛性向上は数値にして「-2.6dB」を達成しています。 これは人間の耳にとって、ノイズのボリュームが明らかに一段下がったと感じられるほどの劇的な変化です。 雨の日に試乗した際も、ルーフやガラスを叩く雨音が遠くでかすかに聞こえる程度に抑えられていました。

新型エルグランドのインテリジェント・ダイナミック・サスペンションの制御

ミニバン最大の弱点である「揺れ」を克服するため、足回りには最先端の電子制御テクノロジーが投入されています。 それが「インテリジェント・ダイナミック・サスペンション」です。

減衰力を瞬時に変化させる電子制御ダンパー

このサスペンションは、路面の状態や車両の挙動をセンサーが1/1000秒単位で検知します。 そして、4輪それぞれのダンパーの減衰力(硬さ)をリアルタイムで最適に変化させます。 従来のコイルスプリングとダンパーだけでは両立できなかった、「不快な突き上げの遮断」と「姿勢の安定」を高い次元でクリアしました。

突き上げ30%減とうねり抑制10%の両立

具体的な効果は以下の数値が証明しています。

評価項目 従来モデル比の効果 もたらすメリット
段差での突き上げ感 30%低減 荒れた路面でのショックをいなし、乗員への不快な振動を防ぐ
うねり路での上下動 10%抑制 高速道路の大きなうねりでも、ボディがふわふわ浮かず一発で収束する

試乗ルートにあるキャッツアイや荒れた舗装を通過した際、車内には「トントン」という乾いた音が響くだけでした。 乗員の頭が左右に揺さぶられるような挙動が徹底的に抑えられており、乗っているだけで上質さを実感できます。

新型エルグランドを支えるe-4ORCEの圧倒的な旋回・加速性能

日産が誇る独自の電動4輪制御技術「e-4ORCE」は、新型エルグランドの走りの質感を決定づける最大のハイライトです。 前後2基の高出力モーターを緻密にコントロールすることで、巨体を感じさせない俊敏な走りを実現しています。

3.0Lディーゼルに匹敵する最大トルク500Nm

新型エルグランドのシステム最大トルクは、実に出力500Nmに達します。 これは大排気量の3.0リッターV6ディーゼルターボエンジンをも凌駕する圧倒的な数値です。 電気モーターならではの「レスポンスの速さ」と相まって、右足に少し力を込めるだけで、静かに、そして鋭く加速します。 加速時のG(加速度)が立ち上がる際も、唐突感がなく非常にシームレスです。 ドライバーの意のままに巨大なボディを前へと滑り出させます。

コーナリング中の挙動を変える1/10000秒のトルク配分

e-4ORCEは、前後モーターの駆動力だけでなく、4輪のブレーキを個別に制御します。 コーナリング中、曲がり始めにはリアモーターの駆動力を高めて旋回性を向上させます。 さらに、カーブの内側の車輪にわずかに自動でブレーキをかけることで、外側への膨らみ(アンダーステア)を抑制します。 この一連の動作が1/10000秒という超高速で処理されているため、運転者はアシストの介入に全く気づきません。 ただ「自分が運転上手になった」と錯覚するほど、狙ったラインをピタリとなぞって駆け抜けることができます。

新型エルグランドのスムースストップ機能がもたらす上質な減速

高級ミニバンとして、乗員に不快感を与えない「減速」の美学も追求されています。 その象徴となるのが、今回初導入された「スムースストップ」制御です。

引用 : 日産HP (https://global.nissannews.com/ja-JP/releases/251029-01-j)

カックンブレーキを自動で防ぐ匠の技

運転に慣れていないドライバーがブレーキを踏むと、停止する瞬間に車体が前後に揺れる「カックン」現象が発生しがちです。 プロのドライバーは、停止する寸前にわずかにブレーキペダルを緩めることで、この揺れを防ぎます。 スムースストップは、この「匠のブレーキワーク」をシステムが自動で再現する機能です。 一定の減速度で減速していくと、車速が極限まで落ちた停止直前の瞬間に、制動力を緻密にカットします。 これにより、乗員の頭が前に揺さぶられることなく、まるで滑り込むようにピタッと美しく停止します。

e-4ORCEのピッチング抑制との協調制御

このスムースストップは、e-4ORCEのピッチング(前後の傾き)抑制制御と連動しています。 減速時にフロントが沈み込む動きに対し、リアモーターの回生ブレーキや出力を細かく調整して車体をフラットに保ちます。 減速から完全停止にいたるまで、常に姿勢が水平に維持されるため、後席の乗員がスマートフォンの画面を見ていても車酔いしにくい環境が整っています。

新型エルグランドのプロパイロット2.0による先進の高速運転支援

長距離移動の機会が多いミニバンにとって、運転支援システムの充実は必須条件です。 新型エルグランドには、日産の最先端技術である「プロパイロット2.0」が採用されています。

高速道路での制限速度内ハンズオフアシスト

プロパイロット2.0は、3D高精度地図データと周囲の状況を監視するセンサーを組み合わせたシステムです。 一定の条件下において、高速道路の同一車線内で「ハンズオフ(手放し)運転」を可能にします。 制限速度のプラス10km/hの範囲内であれば、ステアリングから手を離した状態でのクルージングを維持できます。 これにより、長距離のドライブにおけるドライバーの疲労感は劇的に軽減されます。

2本のシャークフィンアンテナに秘められた高精度受信

プロパイロット2.0搭載車両のルーフ後方には、2本のシャークフィンアンテナが配置されています。 これは、GPSをはじめとする衛星からの位置情報をより正確に受信するための装備です。 自車位置をセンチメートル単位で把握することで、複雑なインターチェンジの分岐やカーブの手前でも、車両がブレることなく極めて滑らかな進路変更や加減速を行います。 まさに未来の移動空間を具現化した装備です。

新型エルグランドのインテリジェントディスタンスコントロールの安全性

日常の街中走行で真価を発揮するのが、衝突回避と疲労軽減を両立する「インテリジェントディスタンスコントロール」です。

先行車との距離を常に最適化

このシステムは、フロントのレーダーとカメラによって先行車との距離を常に監視しています。 アクセルを踏んで走行している際、先行車が減速したり、車間距離が詰まったりすると、アクセルペダルを押し戻す反力を発生させてドライバーに知らせます。 さらに、必要に応じて自動で緩やかにブレーキをかけ、適切な車間距離を維持し続けます。

トヨタの運転支援システム(PDA)との決定的な違い

ここで注目すべきは、ライバルであるトヨタの「プロアクティブ・ドライビング・アシスト(PDA)」との制御の違いです。 違いをわかりやすく表にまとめました。

機能特性 日産:インテリジェントディスタンスコントロール トヨタ:プロアクティブ・ドライビング・アシスト(PDA)
減速アシストの範囲 完全停止まで自動でフルサポート 時速約15kmまで減速し、その後は警告音を発してドライバーの操作を促す
街中での実用性 信号待ちでの追突リスクをほぼゼロに抑える極めて高い安心感 ドライバーによる最後のブレーキ操作が必要となり、完全にシステムに頼り切ることはできない

日産のシステムは完全停止までカバーしてくれるため、ストップ&ゴーが連続する渋滞路での安心感と快適性は、新型エルグランドが頭一つ抜けていると言えます。

新型エルグランドの弱点とライバル比較から見えるリアルな評価

新型エルグランドの高速燃費に立ちはだかるe-POWERの課題

ここまで新型エルグランドの数々のメリットを解説してきましたが、ジャーナリストとして無視できない「弱点」も存在します。 その最たるものが、高速道路における実燃費の伸び悩みです。

引用 : 日産HP (https://global.nissannews.com/ja-JP/releases/251029-01-j)

モーター駆動ゆえの高速域での効率低下

e-POWERは、エンジンで発電した電気を使い、100%モーターで走行するシステムです。 モーターは構造上、低速〜中速域では極めて高い効率を誇りますが、高速域(100km/h以上)になるとギヤ比が固定されている関係上、回転数が上がりすぎて電力消費が急激に増大します。 そのため、高速道路を巡航するシーンでは、発電用のエンジンが常に高回転で回り続ける必要が生じます。

第3世代e-POWERによる高速燃費の改善と限界

今回の第3世代では、高効率なVCターボエンジンの採用やインバーターの改良により、高速燃費は従来型e-POWERよりも確実に向上しています。 しかし、システム全体の物理的な特性を完全に覆すまでには至っていません。 市街地ではWLTCモードに迫る低燃費を叩き出す一方で、高速道路での長距離移動時の実燃費は、エンジン直結クランクを持つトヨタのストロングハイブリッド(アルファード/ヴェルファイア)に対して後塵を拝することになります。 長距離の高速移動がメインのユーザーにとっては、燃料コストの面でやや不利になる可能性がある点は覚悟しておくべきでしょう。

新型エルグランドとヴェルファイアの走りの質感における直接比較

私は現在、現行型のヴェルファイア(ターボ仕様およびハイブリッド仕様)を所有しています。 新型エルグランドのステアリングを握り、コースを走らせた瞬間から、脳内ではヴェルファイアとの直接対決が始まっていました。

乗り心地の方向性の違い

この2台は、高級ミニバンでありながら走りのキャラクターが明確に異なります。

  • ヴェルファイアの特性: ボディの剛性感が極めて高く、足回りを比較的「硬め」に引き締めています。 欧州のセダンのような、かっちりとした重厚な接地感とフラットな高速安定性が魅力です。 しかし、荒れた路面では低扁平タイヤによる細かなバイブレーションを車内に伝えてしまう傾向があります。
  • 新型エルグランドの特性: しなやかなサスペンションが路面の凹凸を「いなす」能力に長けています。 インテリジェント・ダイナミック・サスペンションの緻密な制御により、路面からの不快な雑味が一切排除されています。 まるで魔法の絨毯に乗っているかのような、滑らかで澄んだ乗り味が印象的です。

静粛性における圧倒的なアドバンテージ

静粛性の勝負においては、新型エルグランドの圧勝と言わざるを得ません。 ライバルに対して車内騒音レベルで「5dB」の差をつけているという日産の主張は、体感的にも全く誇張ではありません。 5dBの差とは、スマートフォンの音量を3目盛り分調整した時の差に相当します。 ヴェルファイアも国産車の中では最高峰の静けさを誇りますが、新型エルグランドの後遮音ガラスとアクティブノイズコントロールの組み合わせは、キャビンを完全に外界から切り離された静寂のシェルターに変貌させています。

新型エルグランドの低重心パッケージが車内空間に与える影響

エルグランドのアイデンティティとも言える「低重心パッケージ」は、走りの良さをもたらす一方で、室内空間の広さにおいてはデメリットにもなり得ます。

全高の低さがもたらす卓越したハンドリング

新型エルグランドは、ライバルたち(全高約1,950mmクラス)と比較して、全高を低く抑えたロースタイリッシュなプロポーションを採用しています。 これにより重心位置が下がり、コーナリング時の車体の傾き(ロール)が抑えられ、セダンのように軽快で安定したハンドリングを手に入れています。 横風の影響も受けにくく、高速走行時の安心感は抜群です。

室内高の限界と「広さ感」のトレードオフ

しかし、この全高の低さは、そのまま室内高の数値に直結します。 アルファードやヴェルファイアのように、車内で小さな子供が立って移動できるほどの圧倒的なヘッドクリアランス(頭上空間)はありません。 また、シートポジションもやや低めに設定されているため、ミニバン特有の「見下ろすような高い視点(コマンドポジション)」を期待するユーザーにとっては、少し物足りなさを感じるかもしれません。 走りの質を追求した結果、ミニバンとしての「圧倒的な空間のゆとり」は多少犠牲になっていることを理解しておく必要があります。

新型エルグランドのゼログラビティシートがもたらす驚異の疲労低減効果

シート開発において、日産は自動車メーカーの中でも独自の哲学を持っています。 新型エルグランドに採用された「ゼログラビティシート(宇宙の無重力状態を再現するシート構造)」は、後席だけでなく運転席にも採用されており、その快適性は競合を圧倒しています。

骨盤と背骨を理想的な位置に支える中折れシート

一般的なシートは、背もたれをリクライニングさせると胸部が後方に倒れ、視線を前方に保とうとするため首に負担がかかります。 しかし、日産のゼログラビティシートはシートバックが「中折れ」する構造を持っています。 骨盤をしっかりとホールドしながら、背骨のラインを最も負担の少ないS字カーブに維持したまま、胸部から頭部にかけて最適な角度でサポートします。 これにより、身体への局所的な圧迫が分散され、血流の滞りが最小限に抑えられます。

運転席と2列目キャプテンシートの極上の座り心地

実際に試乗した際、2列目のキャプテンシートに深く腰掛け、オットマンを展開してシートをリクライニングさせてみました。 身体全体が優しく、かつしっかりと包み込まれるようなフィット感があり、筋肉の余計な緊張がすっと解けていく感覚を覚えました。 このシートであれば、東京から大阪までの長距離ドライブであっても、一切腰の痛みや疲労を感じることなく移動できると確信しています。 ドライバーだけでなく、同乗者全員に極上のホスピタリティを提供する仕上がりです。

新型エルグランドのドライブモード変更における味付けの極端な変化

新型エルグランドには、ドライバーの気分や走行状況に合わせて選べる、多彩なドライブモードが用意されています。

用意された6つのドライブモード

  • スタンダードモード(日常域でバランスの良い制御)
  • スポーツモード(足回り、ステア、出力をシャープに設定)
  • コンフォートモード(乗り心地と静粛性を最優先)
  • エコモード(電力消費を抑え、燃費効率を最大化)
  • スノーモード(滑りやすい路面での駆動力制御を最適化)
  • パーソナルモード(好みのセッティングを自由にカスタマイズ)

モード切り替えで激変するキャラクター

驚くべきは、それぞれのモードを切り替えた際、車両のキャラクターが極端なほど変化することです。 例えば、「コンフォート」から「スポーツ」へとモードを変更した瞬間、電子制御サスペンションが引き締まり、ステアリングの操舵力がズシッと重くなります。 同時に、アクセル開度に対する加速レスポンスが極めて過敏になり、500Nmのビッグトルクがダイレクトに路面へ伝わります。 この極端な変化は、1台で「送迎用の快適リムジン」と「ドライバーをその気にさせるスポーツツアラー」の2つの顔を味わえる面白さがあります。 しかし一方で、普段使いの感覚でモードを急に切り替えると、その豹変ぶりに少し戸惑うかもしれません。

新型エルグランドに用意されたパーソナルモードの圧倒的な自由度

極端に変わるキャラクターに不満を抱くユーザーのために、新型エルグランドには自分好みのセッティングを作り出せる「パーソナルモード」が用意されています。

自分だけの黄金比率を設定可能

パーソナルモードでは、以下の制御項目を個別にカスタムすることができます。

  • パワートレインの出力特性(ノーマル/スポーツ/エコ)
  • ステアリングフィールの重さ(ライト/ノーマル/ヘビー)
  • サスペンションの減衰力(ソフト/ノーマル/ハード)
  • e-4ORCEの駆動力配分

この設定の自由度は、電子制御ダンパーを備えた高級車ならではの特権です。

私がおすすめするパーソナル設定

もし私がこの車を普段使いするならば、以下のように設定します。

  1. パワートレイン:ノーマル(穏やかで滑らかな加速)
  2. ステアリング:ヘビー(どっしりとした直進安定性を確保)
  3. サスペンション:ハード(コーナリング時のロールを抑えてフラットな走りを重視)

このように、ユーザー個々のドライビングスタイルや、よく走る道路環境に合わせて最適な走りの質感を作り出せます。 「ドライバーが主役になれるミニバン」としての完成度は、間違いなくライバルを大きく凌駕しています。

新型エルグランドの購入を検討する上で絶対に外せない最終的な判断基準

新型エルグランドは、数々の最先端技術を惜しみなく投入し、ライバルであるアルファードやヴェルファイアを徹底的に研究して作り上げられた意欲作です。

価値を最大化できるユーザー像

この車の購入を強くおすすめできるのは、以下のような価値観を持つユーザーです。

  • 車内での「究極の静粛性」と「心地よい会話環境」を何よりも大切にしたい
  • ミニバンであっても、運転する楽しさや正確なハンドリングを諦めたくない
  • プロパイロット2.0による、未来的な高速クルージングを体験したい
  • 2列目だけでなく、運転席の座り心地や疲労感の少なさを重視する

購入前に検討すべき注意点

逆に、以下の点に強いこだわりがある場合は、購入後に後悔する可能性があります。

  • 高速道路での実燃費の数値を最重視する(トヨタのハイブリッドに軍配)
  • 車内での圧倒的な空間の広さや、高い視点からの開放感を求める(アルヴェルの勝ち)
  • シンプルな操作系を好み、電子制御によるキャラクターの変化を求めない

新型エルグランドは、単なる「多人数乗用車」としての枠を超え、走りの愉しさと極上の快適性を高次元で融合させた、新しい時代のグランドツアラーです。

まとめ

新型エルグランドは、日産の持てるすべての技術(第3世代e-POWER、e-4ORCE、プロパイロット2.0、アクティブノイズコントロールなど)を惜しみなく注ぎ込むことで、従来の高級ミニバンの常識を完全に破壊するレベルの静粛性とハンドリングを手に入れました。 アルファードやヴェルファイアといった強力なライバルに対し、ただ空間の広さで競うのではなく、「走りの質感」と「乗員の快適性」という、クルマの本質的な価値において真正面から戦いを挑み、勝利を収めている部分が多々あります。 特に、実際にドライブした際の「静かさ」と、うねり路での「フラット感」は、一度体験すると他のミニバンに戻れなくなるほどの強い説得力に満ちています。 金額やグレードの詳細な情報についてはこれからの発表になりますが、私はすでにガレージへ迎え入れることを決めています。 これから購入を検討される方は、ぜひ一度、実車をディーラーで試乗し、この異次元の滑らかさを体感してみてください。

筆者情報

モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁。 慶應義塾大学工学部を卒業後、国内大手自動車メーカーに就職。 サスペンションや操縦安定性の車両開発メンバーとして新型車開発に直接携わる。 その後、クルマの魅力を言葉で伝える出版業界へと転身し、編集長を経て、かねてからの夢であった独立を果たす。 現在は、理論的な車両メカニズム解説とユーザー目線に立った鋭いコラムで絶大な支持を得ている。 ガレージにはレクサスLFA、日産スカイラインGT-R(R34)などを収めるクルマフリークであり、今回紹介した新型エルグランドもすでに購入・所有を決定。 オーナーならではの深いリアルな情報をお届けしている。

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