モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、新型クラウンエステートの購入を検討しており、実際の乗り出し価格や維持費が気になっていると思います。 私も実際にこの車両をガレージに収め、日々その実力を検証していますが、カタログスペックだけでは見えない「リアルな出費」への不安はよくわかります。
引用 : メーカーHP
この記事を読み終える頃には、購入時の合計金額から11年目までの維持費まで、すべての疑問が解決しているはずです。
- グレード別の正確な乗り出し価格と諸経費の内訳
- 残クレと通常ローンの具体的な月々支払額シミュレーション
- 燃料代やタイヤ代を含むリアルな年間維持費
- 11年目までを見据えたディーラー車検の費用スケジュール
車買い替えのご検討中の方へ
新しい車に乗り換える際、今乗っている愛車をどれだけ高く売却できるかは、次の車の選択肢にも大きく影響します。
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クラウンエステートのグレード構成と車両本体価格
クラウンシリーズ第4のモデルとして登場した「エステート」は、SUVの力強さとワゴンの機能性を融合させた、現代のライフスタイルに最も適した一台です。 現在、日本市場で展開されているのは、実用性の高い「2.5Lハイブリッド(HEV)」と、電動走行の魅力を極めた「2.5Lプラグインハイブリッド(PHEV)」の2つのパワートレインです。
引用 : メーカーHP
クラウンエステートのラインナップと基本スペック
| グレード | 駆動方式 | パワートレイン | 車両本体価格(税込) | システム最高出力 |
|---|---|---|---|---|
| ESTATE Z | 4WD (E-Four) | 2.5L HEV | 6,350,000円 | 234ps |
| ESTATE RS | 4WD (E-Four) | 2.5L PHEV | 8,100,000円 | 306ps |
開発背景と「エステート」の定義
かつてクラウンのラインナップに存在した「エステート」は、ステーションワゴンとしての完成度の高さで知られていました。 今回の新型では、単なるワゴンの復活ではなく「アクティブなライフスタイルを支える相棒」としての性格が強められています。 全幅1,880mmという堂々としたサイズ感は、圧倒的な室内空間と積載能力をもたらしており、ゴルフバッグの4個積みや、フルフラットによる車中泊も余裕でこなします。
ESTATE Z(HEVモデル)の深掘り解説
Zグレードは、クラウンエステートの核となるモデルです。 2.5Lダイナミックフォースエンジンと高出力モーターを組み合わせたハイブリッドシステムは、燃費性能と静粛性を高い次元で両立しています。 標準装備が極めて豪華であることも特徴で、21インチアルミホイールや本革シート、12.3インチの大型ディスプレイ、ヘッドアップディスプレイなどが最初からすべて備わっています。 「クラウンの名に恥じない高級感」を最もバランス良く手に入れられる選択肢です。
ESTATE RS(PHEVモデル)の深掘り解説
RSグレードは、単なる上位互換ではなく、別の乗り味を持つ一台と言えます。 大容量リチウムイオンバッテリーを搭載し、EV走行距離は約90km(目標値)を確保。 日常の移動はほぼ電気だけで賄える一方、アクセルを深く踏み込めば300馬力を超えるシステム出力が、SUVとは思えない加速感を提供します。 また、PHEV専用の足回りセッティングが施されており、重量増を活かした重厚感のある乗り心地が魅力です。
諸経費を含めた「乗り出し価格」の詳細シミュレーション
車両本体価格に加えて、税金、自賠責保険、リサイクル料金、そして登録諸費用がかかります。 さらに、満足度の高い一台に仕上げるための「定番オプション」を加味した、リアルな見積もりを算出しました。
引用 : メーカーHP
ESTATE Z(HEV)の乗り出し価格目安
HEVモデルは環境性能に優れるため、エコカー減税(重量税の免税等)の恩恵を受けられます。
| 項目 | 内容・詳細 | 金額 |
|---|---|---|
| 車両本体価格 | 標準仕様 | 6,350,000円 |
| メーカーオプション | プレシャスカラー、パノラマルーフ等 | 約187,000円 |
| ディーラーオプション | フロアマット、ETCセットアップ、コーティング等 | 約150,000円 |
| 税金・保険料 | 自動車税、自賠責(37ヶ月)等 | 約45,000円 |
| 販売諸費用 | 登録手続、車庫証明等 | 約70,000円 |
| リサイクル料金 | – | 約15,000円 |
| 合計(乗り出し価格) | 総支払額 | 約6,817,000円 |
オプション選びのポイント(HEV)
プレシャスホワイトパール(55,000円)やパノラマルーフ(110,000円)は、リセールバリューを考慮すると必須と言える装備です。 また、大画面を守るためのディスプレイ保護フィルムや、クラウン専用設計のフロアマット(エクセレントタイプ)は、所有満足度を大きく高めてくれます。
ESTATE RS(PHEV)の乗り出し価格目安
PHEVは本体価格こそ高いものの、各種税制優遇が最大級に適用され、さらに「CEV補助金」という強力な武器があります。
| 項目 | 内容・詳細 | 金額 |
|---|---|---|
| 車両本体価格 | RS専用仕様 | 8,100,000円 |
| メーカーオプション | パノラマルーフ、有料色等 | 約187,000円 |
| ディーラーオプション | フロアマット、コーティング、V2H対応等 | 約180,000円 |
| 税金・保険料 | 自動車税、自賠責(37ヶ月)等 | 約40,000円 |
| 販売諸費用 | 登録手続、車庫証明等 | 約70,000円 |
| リサイクル料金 | – | 約15,000円 |
| 合計(補助金前) | 店頭支払総額 | 約8,592,000円 |
| CEV補助金(見込) | 国からの交付金 | ▲550,000円 |
| 実質乗り出し価格 | 補助金考慮後 | 約8,042,000円 |
PHEVならではの補助金と優遇
CEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入促進補助金)は、年度によって金額が変動しますが、例年PHEVには手厚い額が設定されます。 さらに、東京都など自治体によっては追加で数十万円の補助金が出るケースもあり、そうなればHEVモデルとの価格差は100万円を切るレベルまで縮まります。
残価設定ローン(残クレ)と通常ローンの支払い比較
クラウンエステートのような高価格帯の車両では、資産価値の高さ(残価率の良さ)を活かした「残価設定型ローン(残クレ)」が人気です。 一方で、長く乗り続ける前提であれば、金利負担を抑えられる「通常ローン」や「銀行ローン」も選択肢に入ります。
引用 : メーカーHP
ESTATE Z(HEV)の支払いパターン
(頭金100万円、実質年率3.9%で試算)
| 支払い方法 | 回数(期間) | 月々の支払額 | ボーナス加算 | 最終回(残価) |
|---|---|---|---|---|
| 残クレ | 36回(3年) | 82,500円 | なし | 約3,490,000円 |
| 残クレ | 60回(5年) | 69,800円 | なし | 約2,410,000円 |
| 残クレ(ボーナス併用) | 60回(5年) | 39,800円 | 15万円/回 | 約2,410,000円 |
| 通常ローン(フル) | 60回(5年) | 108,500円 | なし | 0円 |
残クレのメリットは、月々の支払額を抑えつつ、3年後や5年後のライフスタイルの変化に合わせて「乗り換え」「返却」「買い取り」を選べる自由度にあります。 クラウンシリーズは伝統的に残価率が高く設定されるため、他車種よりも月々の負担を軽くできる傾向にあります。
ESTATE RS(PHEV)の支払いパターン
(頭金150万円、補助金を頭金に充当、実質年率3.9%で試算)
| 支払い方法 | 回数(期間) | 月々の支払額 | ボーナス加算 | 最終回(残価) |
|---|---|---|---|---|
| 残クレ | 36回(3年) | 112,000円 | なし | 約4,210,000円 |
| 残クレ | 60回(5年) | 89,500円 | なし | 約2,830,000円 |
| 残クレ(ボーナス併用) | 60回(5年) | 49,500円 | 20万円/回 | 約2,830,000円 |
| 通常ローン(フル) | 60回(5年) | 138,000円 | なし | 0円 |
PHEVモデルは車両価格が800万円を超えるため、月々の支払額はそれなりに高くなります。 しかし、補助金(55万円〜)を頭金として追加投入できれば、月々の支払いをさらに1万円程度軽減することが可能です。
年間の維持費を徹底解剖(燃料・タイヤ・点検)
「クラウンを買えるかどうか」よりも「クラウンを維持できるかどうか」を気にする方は多いです。 結論から言えば、トヨタの最新ハイブリッド技術のおかげで、かつてのクラウン(V6エンジン時代)に比べれば、維持費は劇的に安くなっています。
燃料代(ガソリン代・電気代)のリアルな数字
クラウンエステートの大きなメリットは、HEV・PHEV共に**「レギュラーガソリン仕様」**であることです。 欧州の競合SUV(BMW X5やメルセデスGLE等)はほぼ間違いなくハイオク指定であり、ここだけでリッターあたり10円以上の差が出ます。
| 項目 | ESTATE Z (HEV) | ESTATE RS (PHEV) |
|---|---|---|
| 実用燃費(目安) | 16.5km/L | 13.5km/L (HV時) |
| 年間走行距離 | 10,000km | 10,000km |
| 年間使用量 | 約606リットル | 約740リットル |
| 燃料単価(レギュラー) | 175円/L | 175円/L |
| 年間燃料代 | 約106,000円 | 約129,500円 |
※PHEVの場合、家庭で充電しEV走行(電気だけで走行)をメインにすれば、ガソリン代は年間数万円まで抑えられます。その代わり、電気代が月額2,000円〜4,000円程度加算されます。
21インチタイヤという宿命
クラウンエステートの足元を飾るのは、225/45R21という特殊サイズのタイヤです。 このサイズ、実は選択肢が非常に少なく、価格も高いのが現状です。
- タイヤ交換費用(4本): 約200,000円〜280,000円(工賃・廃タイヤ処分込)
- 交換目安: 30,000km 〜 40,000km(3〜4年に一度)
- 1年あたりの積立額: 約60,000円
このタイヤコストを「高い」と感じるか「安全とスタイリングへの投資」と感じるかが、オーナーとしての分かれ道になります。 格安の輸入タイヤは、クラウンの持つ静粛性や乗り心地を損なうため、あまり推奨しません。
自動車税と任意保険
- 自動車税(2.5Lクラス): 43,500円/年
- 任意保険(車両保険込): 約100,000円 〜 180,000円/年
- クラウンは盗難リスクや修理費用の高さを加味されるため、保険料は高めです。
- 弁護士特約や、万が一の際のレンタカー特約は付けておくべきでしょう。
ディーラー車検の費用目安と年数別のメンテナンス項目
トヨタのディーラー車検は、確実な安心感と引き換えに、町工場の車検よりも3割〜5割ほど高くなる傾向があります。 特にクラウンのようなハイテク車両は、専用の診断機による点検が不可欠です。
11年目までの車検費用スケジュール(概算)
| 回数 | 経過年数 | 法定費用 | 整備・部品代 | 合計目安 |
|---|---|---|---|---|
| 初回 | 3年目 | 約55,000円 | 約75,000円 | 約130,000円 |
| 2回目 | 5年目 | 約55,000円 | 約145,000円 | 約200,000円 |
| 3回目 | 7年目 | 約55,000円 | 約175,000円 | 約230,000円 |
| 4回目 | 9年目 | 約65,000円 | 約215,000円 | 約280,000円 |
| 5回目 | 11年目 | 約65,000円 | 約255,000円 | 約320,000円 |
※重量税の減税期間終了に伴い、後半になるほど法定費用が上がります。
各車検時の主要なメンテナンス内容
3年目(初回車検):新車の輝きを維持
走行距離が3万km以下であれば、消耗品の交換はエンジンオイル、ブレーキフルード、エアコンフィルター程度で済みます。 トヨタの「つくしプラン」という延長保証に加入しておく時期です。
5年目(2回目車検):最初の大きな分岐点
12Vバッテリー(補機バッテリー)の交換推奨時期です。クラウンのバッテリーは高性能なため、部品代だけで5万円前後します。 また、このタイミングでタイヤ交換が重なると、支払額は一気に40万円を超える可能性があります。
7年目・9年目:重整備の始まり
冷却水の交換、ゴムブッシュ類の劣化確認、ブレーキパッドの交換など、本格的な整備が必要になります。 特に電子制御サスペンション(AVS)のオイル漏れなどがないか、入念なチェックが行われます。
11年目:ハイブリッドシステムへの配慮
ハイブリッドバッテリーの健康状態が気になり始める時期です。 トヨタのハイブリッドシステムは極めて信頼性が高いですが、冷却ファンの清掃や電圧チェックなど、専門的なメンテナンスが重要になります。
所有満足度を最大化するためのアドバイス
私はこれまでに数え切れないほどの車を所有してきましたが、クラウンエステートは「長く乗るほど良さがわかる」一台です。 最後に、オーナーになる方へ3つのアドバイスを送ります。
1. コーティングには投資を惜しまない
クラウンの塗装(特にプレシャスカラー)は非常に深みがあり美しいですが、その美しさを維持するには新車時のガラスコーティングが不可欠です。 特にエステートはボディ面積が広いため、洗車の手間を減らす意味でも「ダブルダイヤモンドキーパー」クラスの施工を強くお勧めします。
2. V2H(Vehicle to Home)の検討(PHEV限定)
PHEVモデルを選ぶなら、自宅にV2H機器を設置することを検討してください。 災害時の非常用電源になるだけでなく、深夜の安い電力を蓄えて昼間に家庭で使うことで、電気代を劇的に節約できます。 これこそが、PHEVオーナーだけの特権です。
3. メンテナンスパックの加入は必須
トヨタの「スマイルパスポート」は、半年ごとの点検とオイル交換がセットになったお得なパックです。 車検費用を先払いする形になるため、いざ車検の時に「手元から出ていくお金」を法定費用だけに抑えることができ、家計の管理が非常に楽になります。
他のクラウンシリーズとのコストパフォーマンス比較
クラウンには現在4つのボディバリエーションがありますが、エステートはその中で最も「高価」ですが、最も「多才」です。
- vs クロスオーバー: 乗り出し価格は約100万円エステートが高い。しかし、後席の広さと積載性はエステートが圧倒。リセールもエステートの方が強いと予想されます。
- vs スポーツ: エステートの方がホイールベースが長く、直進安定性に優れます。スポーツは21インチの超幅広タイヤを採用しており、タイヤ交換費用はスポーツの方が高くなる傾向にあります。
- vs セダン: セダンは後輪駆動(FR)ベースであり、よりフォーマルですが、価格も高め。エステートは4WD標準であり、降雪地帯やアウトドアでの実用性はエステートの圧勝です。
まとめ
クラウンエステートは、車両本体価格こそ600万円〜800万円台というプレミアムな価格帯ですが、実際に維持してみると、トヨタならではの信頼性とハイブリッドの経済性によって、想像以上に「付き合いやすい」車です。
乗り出し価格として約680万円(HEV)、あるいは補助金を活用した**約800万円(PHEV)**を準備できれば、日本最高峰のワゴン・SUVライフが手に入ります。 維持費については、年間でガソリン代・保険・点検を含め約25万円〜35万円程度(タイヤ代積立含む)を見ておけば間違いありません。
この車は、あなたの人生のあらゆるシーンを上質に、そして豊かに彩ってくれるはずです。 自信を持って、ディーラーの門を叩いてみてください。
筆者情報
二階堂 仁(にかいどう じん) モータージャーナリスト兼コラムニストとして活動。 慶應義塾大学卒業後、国内最大手の自動車メーカーに就職。 サスペンション形式や空力デバイスの研究開発に携わり、その後、自動車ジャーナリストへの憧れから独立。 現在は、理論に基づいた車両評価と、ユーザー目線のコスト分析を両立させたレビューを得意とする。 愛車はレクサスLFA、日産GTR R34、そして最新のクラウンエステート。 「良い車とは、買った後もオーナーを笑顔にする車である」が信条。

