モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方はレクサスLBXの居住スペースや荷室の狭さが気になっていると思います。 私も実際にレクサスLBXのリラックスを購入し、半年間日常生活から長距離取材まで徹底的に使い倒してきましたので、皆様が抱く「実際のところどうなのか」という気になる気持ちは非常によく分かります。 今回は、実オーナーだからこそ語れるリアルな不満点と、それ以上に感じるこの車の魅力について、包み隠さず徹底的にお答えしていきます。

引用 : メーカーHP
この記事を読み終える頃には、レクサスLBXが持つサイズ感の真実や、半年間使用して浮き彫りになった不満点に対する疑問がすべて綺麗に解決しているはずです。
1 後席居住スペースは大人4人での長距離移動には割り切りが必要なタイト設計
2 ラゲッジ容量は最大330Lとヤリスクロスに比べて積載力で劣る不満あり
3 半年所有して気づいたステアリングスイッチやブレーキホールドの操作不満
4 車格を超えた圧倒的な静粛性と極上のハンドリングがもたらす高い動的質感
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レクサスLBXの居住スペースとラゲッジの狭さに関するリアルな不満まとめ
レクサスLBXの後席居住スペースが「狭すぎる」と不満が集中する根本原因
レクサスLBXを検討する上で、誰もが最初に直面する課題が「後席居住スペースの狭さ」です。 この車は、トヨタのヤリスクロスと同じ「TNGA-B」と呼ばれるコンパクトカー向けプラットフォームをベースに開発されています。 しかし、単なるヤリスクロスのレクサス版だと思って後席のドアを開けると、そのあまりのタイトさに驚かされることになります。 その最大の原因は、レクサスが追求した「高級スニーカー」というコンセプトと、それに基づくプロポーションの美しさにあります。
引用 : メーカーHP
LBXは、視覚的な重心を低くし、タイヤを四隅に踏ん張らせる「ロー&ワイド」なスタイリングを極限まで追求しました。 その結果、キャビン(車室)の上半分を大きく絞り込むデザインを採用しています。 デザインを美しく仕上げるために、後席の頭上空間(ヘッドクリアランス)や、肩まわりの横幅スペースが大きく犠牲になってしまったのです。
さらに、レクサスとしてのプレミアム性を確保するため、前席のシート自体が非常に肉厚で贅沢なクッション構造で作られています。 この前席シートの厚みが、後ろに座る乗員の膝前スペースを物理的に圧迫していることも、狭さを助長している大きな要因です。 意匠(デザイン)と居住性のトレードオフにおいて、開発陣は完全に「デザインと前席優先」という割り切った決断を下しているのです。
狭さを生み出すデザイン上の主な要素
- キャビン上部の大胆な絞り込みによる頭上空間の減少
- レクサスクオリティを担保するために肉厚化された前席シート構造
- クーペライクなルーフラインがもたらす後方への傾斜
レクサスLBXの後席足元空間と前席シートバックの距離感
実際にシートに腰掛けてみると、足元のタイトさは数値以上に顕著に感じられます。 LBXは、ベース車であるヤリスクロスに対して、ホイールベース(前後の車輪の間隔)を20mm延長しています。 本来であれば、この20mmは後席の足元空間のゆとりとして還元されるはずのものです。 しかし、前述した前席シートの肉厚化により、そのアドバンテージは完全に相殺されています。
引用 : メーカーHP
例えば、身長172cmの私が運転席で適切なドライビングポジションを設定したとします。 その状態で、同じ身長172cmの私が後席に座ってみると、膝先からフロントシートの裏面(シートバック)までの距離は、握りこぶしが1個入るかどうかというレベルです。 シートの下に足の爪先を滑り込ませるスペースはあるものの、足元を動かす自由度はほとんどありません。
もし前席に身長175cm以上の乗員が座り、ゆったりとしたポジションを取った場合、後席乗員の膝は前席のシートバックに完全に接触してしまいます。 これでは、大人が4人乗車して片道1時間を超えるような中長距離のドライブに出かけるのは、実質的にかなりの苦行になると言わざるを得ません。
レクサスLBXの乗降性とドア開口角に潜む不満点
居住空間の狭さだけでなく、後席へのアクセス性、つまり「乗り降りのしにくさ」についても不満の声が多く聞かれます。 これもデザイン優先の設計がもたらした弊害の一つです。
まず、後席ドアの開口角度自体が、一般的なコンパクトSUVやハッチバックに比べてやや狭く設定されています。 さらに、リアフェンダーが大きく外側に張り出しているため、乗降時に足元を抜くためのスペースが非常にタイトになっています。 実際に乗り降りしようとすると、足元を大きくねじるような体勢を取らざるを得ず、靴がセンターピラーやフロントシートの端、あるいはリアドアの内張りに当たって汚れやすいのです。
乗降時にストレスを感じやすいポイント
- ドアの開き幅(開口角度)が狭く、大きな荷物を持った状態での乗降が難しい
- 足元の通路幅が狭いため、靴が内張りに干渉して傷や汚れがつきやすい
- ルーフラインが低いため、頭を大きくかがめないと乗降時に頭部をぶつけやすい
特に雨の日に、急いで乗り込もうとするときや、傘を差しながら荷物を後席に載せようとする際、この開口部の狭さは想像以上のストレスとして積み重なっていきます。
レクサスLBXへのチャイルドシート設置が「非推奨」とされる現実
ファミリー層や、将来的に子供を乗せる予定がある方がLBXを検討する場合、最も注意しなければならないのが「チャイルドシートの設置問題」です。 結論から申し上げますと、LBXへのチャイルドシート(特に新生児から使える後ろ向きタイプ)の設置は、実用性の面から全くおすすめできません。
チャイルドシートを後席に後ろ向きで装着しようとすると、その構造上の厚みから、フロントの助手席を限界近くまで前方にスライドさせる必要があります。 その結果、今度は助手席の足元スペースがほぼゼロになり、大人が座ると膝がグローブボックスに強く当たってしまう状態になります。 これでは、パートナーが快適に助手席で過ごすことは不可能です。
さらに、前述したドア開口角の狭さと天井の低さにより、重くてかさばるチャイルドシートを室内に搬入すること自体が困難を極めます。 日常的に子供を抱きかかえ、無理な中腰姿勢でベルトを装着する作業は、腰に大きな負担をかけることになります。 LBXは、若いファミリーがファーストカーとして選ぶべき車ではなく、子育てを終えた世代や、独身・カップル世帯がスマートに使いこなすためのパッケージングなのです。
レクサスLBXのラゲッジ容量(最大330L)がもたらす日常での狭さ
居住スペースの狭さと並び、ラゲッジスペース(荷室)の積載能力についても不満が目立ちます。 LBXのラゲッジ容量は、2WD(FF)モデルで最大330Lとなっています。 この数値は、BセグメントのコンパクトSUVとしては平均を下回る水準です。
引用 : メーカーHP
日常の買い出しで、スーパーの買い物カゴや大きめのマイバッグを複数個並べて載せようとすると、それだけで床面はほぼ一杯になります。 週末にゴルフへ出かける際、ゴルフバッグを横向きに載せることは不可能です。 後席を倒さずにゴルフバッグを積載する場合は、斜めに無理やり押し込むか、あるいはシートアレンジを駆使しなければなりません。
また、ファミリーユースで必須となる大型のA型ベビーカーなどを積載する場合も、ラゲッジの奥行きが足りないため、かなりの工夫が求められます。 荷室の床面自体も、後輪の足回りを支えるサスペンションの構造や、遮音材がふんだんに敷き詰められている関係上、ヤリスクロスほど低く設定されていません。 このため、高さのある荷物を積み込む際にも不便さを感じることが多くなります。
レクサスLBXとヤリスクロスのラゲッジ使い勝手の決定的な違い
ここで、ベースとなったトヨタ・ヤリスクロスと、レクサスLBXのボディサイズおよび室内寸法、ラゲッジ容量の具体的な数値を表で比較してみましょう。 この数字の差こそが、両車のキャラクターと実用性の違いを最も明確に物語っています。
| 項目 | レクサスLBX(FF) | トヨタ・ヤリスクロス(FF) | 差(LBX比) |
|---|---|---|---|
| 全長 (mm) | 4,190 | 4,180 | +10 |
| 全幅 (mm) | 1,825 | 1,765 | +60 |
| 全高 (mm) | 1,545 | 1,590 | -45 |
| ホイールベース (mm) | 2,580 | 2,560 | +20 |
| 室内長 (mm) | 1,820 | 1,845 | -25 |
| 室内幅 (mm) | 1,445 | 1,430 | +15 |
| 室内高 (mm) | 1,195 | 1,205 | -10 |
| ラゲッジ容量 (L) | 最大330 | 約390 | -60 |
この表から分かる通り、LBXはヤリスクロスよりも全長が10mm長く、全幅は60mmもワイドになっているにもかかわらず、室内長は25mm短く、荷室容量にいたっては60Lも狭くなっています。 全幅の拡大は、主に左右に大きく張り出したフェンダーのデザインやトレッド(左右の車輪の間隔)の拡大に費やされており、室内の広さには寄与していません。 また、全高を45mm低く抑えたロー&ワイドなフォルムが、室内高やラゲッジ容積の減少にダイレクトに影響しているのです。 実用性を最優先したヤリスクロスに対し、LBXは贅沢なデザインと走りのためにスペースを削ぎ落とした結果と言えます。
レクサスLBXの4対2対4分割シートとアームレスト不採用への不満
荷室の使い勝手を左右するシートアレンジについても、価格(約460万〜570万円)に見合わない割り切りがあり、オーナーの間で不満点として挙げられています。
ヤリスクロスの上位グレードでは、後席シートに「4対2対4分割」で倒せる機能が採用されています。 これにより、後席に大人2人が乗車したまま、中央の部分だけを倒してスキー板や釣り竿などの長尺物を積載することが可能です。 しかし、より高価格帯であるはずのレクサスLBXのシート分割比率は、一般的な「6対4分割」に留まっています。 長尺物を載せるためには、左右どちらかの大きなシートを倒さなければならず、後席の乗車人数が制限されてしまいます。
さらに大きな不満点として、LBXの後席には「センターアームレスト」が備わっていません。 後席にドリンクホルダー付きのアームレストがないため、後ろに座る乗員は飲み物の置き場所に困り、長距離ドライブでの快適性が著しく損なわれます。 ヤリスクロスには備わっている便利なユーティリティ機能が、高級車ブランドであるレクサスのLBXで省略されている点は、コストカットを感じさせる部分として非常に残念なポイントです。
レクサスLBXの狭さをカバーするための「二人乗り」割り切り論
ここまで居住性や積載性に関する多くのネガティブな側面をお伝えしてきましたが、これらはすべてLBXという車のコンセプトを理解すれば、納得のいく「割り切り」でもあります。 この車は、「大は小を兼ねる」という従来のSUVの価値観に対するアンチテーゼとして作られました。
普段の移動はほとんど1人、またはパートナーとの2人。 後席は、たまに友人や家族を駅まで送迎する際や、手荷物を放り込んでおくためのスペースとして使う。 そのような「実質的な2シーター+α」として割り切って使うことができるオーナーにとって、LBXのこのタイトさはデメリットではなく、むしろ「心地よい凝縮感」へと昇華します。
無駄に大きなボディを持て余すことなく、都会の狭い道路や立体駐車場をスイスイと走り抜け、高級ホテルのエントランスに横付けしても見劣りしない風格を持つ。 このパッケージングに共感し、自分のライフスタイルを明確に定義できる人にとって、LBXは唯一無二の魅力的な相棒となるのです。
レクサスLBXを半年使用して分かった実用上の不満と魅力
レクサスLBXを半年使用して感じた「お尻の張り出し」による運転のしにくさ
ここからは、私が実際に半年間にわたってLBXを日々走らせる中で感じた、よりリアルな使用感についてレビューしていきます。
まずスタイリングについてですが、半年経った今でもまったく飽きることがありません。 特に斜め後ろから見た際の大胆に張り出したリアフェンダーと、左右を一文字に繋ぐLEDテールランプの組み合わせは、この車をコンパクトサイズに見せない圧倒的な存在感と色気を放っています。 しかし、このお気に入りの美しいデザインが、日常生活の中で時として「運転のしにくさ」という不満に変わることがあります。
狭い日本の道路環境で気を使うシーン
- 対向車とのすれ違いがギリギリな住宅街の細い裏路地
- 両脇に電柱やブロック塀が迫るシチュエーションでの取り回し
- 隣の車両との間隔が狭いコインパーキングへのバック駐車
LBXは、サイドミラーの幅(全幅)の範囲内にはリアフェンダーが収まるように設計されています。 そのため、理論上はミラーが通れば後ろも通るはずです。 しかし、運転席からサイドミラー越しに後方を確認すると、想像以上に大きく張り出したフェンダーが視界に入り、実際の全幅(1,825mm)以上に車幅が広く感じられます。 狭いすれ違いのシーンでは、リアフェンダーを擦ってしまうのではないかという「精神的なドキドキ感」を常に抱えることになり、コンパクトカーらしい気軽な取り回しを期待していると、予想以上の緊張感を強いられます。
レクサスLBXのステアリングスイッチ「タッチトレーサー」の反応と操作性の不満
インテリアにおいて、半年間使い続けてもどうしてもストレスが解消されず、最大の不満点となっているのが、ステアリングに配置された「タッチトレーサーオペレーション」のスイッチです。
このシステムは、ステアリング左右の物理ボタンに触れると、その触れた位置がフロントガラスに投影されるヘッドアップディスプレイ(HUD)上に表示され、目線を下ろさずに様々な操作ができるという先進的なものです。 しかし、このスイッチの挙動と使い勝手が非常にスマートとは言えません。
まず、ボタンの反応性に一拍の遅れ(タイムラグ)があります。 運転中、例えばアダプティブクルーズコントロール(ACC)の速度を設定しようとした際、ボタンをパパッと素早く押してもシステムが反応しません。 スイッチに指を軽く触れたまま、HUDにインジケーターが表示されるのを一瞬待ってから押し込まなければならないのです。 ブラインド操作で直感的に、かつ瞬時に操作を完了させたい場面において、このワンテンポ待たされる仕様は非常に不便極まりありません。
タッチトレーサーの使いにくさを感じる要因
- 指を置いてからシステムが認識するまでのタイムラグによるもどかしさ
- ボタン自体に物理的なアイコンや文字の刻印がなく直感性に欠ける
- レーダークルーズ等の運転支援作動中に、メーター画面の切り替えが制限される仕様
さらに、運転支援システム(LSS+)が作動している最中は、ステアリング右側のページ切り替えボタンを押しても「ピピピピ」と警告音が鳴るだけでメーター画面の切り替えを拒絶されます。 メーターのデザインや表示情報を変更したいだけなのに、いちいちセンターの大型ディスプレイをタッチし、深い階層のメニューから設定を弄らなければならず、運転中のマルチタスク操作において大きなディスアドバンテージとなっています。
レクサスLBXに搭載された1.5Lハイブリッドとバイポーラニッケル水素電池の動力性能
ここまで不満点を中心に述べてきましたが、LBXの走りの実力は、それらのネガティブな要素を補って余りあるほどの素晴らしい完成度を誇っています。
心臓部に搭載されているのは、1.5Lの直列3気筒ガソリンエンジンにハイブリッドシステムを組み合わせたユニットです。 エンジン自体の型式はヤリスクロスと同じですが、レクサス専用のチューニングにより、システム出力は高められています。 そして何より、採用されている駆動用バッテリーが異なります。 LBXには、ヤリスクロスのリチウムイオン電池ではなく、より高出力で電気の出し入れが素早く行える「バイポーラ型ニッケル水素電池」が搭載されているのです。
バイポーラ型電池がもたらす走りのメリット
- アクセルを少し踏み込んだ瞬間から立ち上がる鋭く滑らかなトルク感
- モーター単独で走行できる領域(EV比率)が劇的に向上し、静粛性が高まる
- 高速道路の合流や追い越し加速時にも、3気筒感を感じさせない伸びやかなパワー
アクセルペダルを軽く踏み込むと、まるで大排気量のマルチシリンダー車に乗っているかのように、スッと滑らかに力強く車体を前に押し出してくれます。 レスポンスが非常にリニアで、思った通りの加減速が行えるため、走りの気持ちよさは格別です。 また、積極的にEV走行を維持しようとシステムが賢く制御してくれるため、一般道を法定速度で流している時の電動感は非常に高く、レクサスらしい洗練された走りを味わうことができます。
レクサスLBXの走りの質を引き上げる「動的質感」と「静粛性」の評価
LBXに乗るたびに感心させられるのが、その圧倒的な「動的質感」と、車格を大きく超えた「静粛性」の高さです。 これは、ベース車の影を微塵も感じさせない、完全なるプレミアムSUVの仕上がりとなっています。
一般的に3気筒エンジンは、特有のガサツな振動や安っぽい音が室内に侵入しやすいという弱点を持っています。 しかしLBXでは、エンジンマウントの最適化や、ダッシュパネル、フロア、ルーフに至るまで、信じられないほどの量と厚さの遮音材・吸音材が贅沢に奢られています。 時速60km/h程度での市街地クルージング中、室内は静寂そのものです。 耳障りな風切り音はほぼ完全に遮断され、かすかにタイヤが路面を捉えるロードノイズが聞こえる程度です。
動的質感を高めているシャシーの変更点
- ホイールの締結方法を一般的なナットから高剛性な「ハブボルト締結」へ変更
- フロントサスペンションの剛性大幅強化による無駄な揺れの収束
- ボディ要所への構造用接着剤とスポット溶接の増し打ちによるシェル剛性の向上
ハンドリングに関しても、ステアリングを切った分だけリニアに、遅れなくノーズが向きを変える極めて上質な乗り味を持っています。 車線変更を行う際も、グラついたり、お釣りが来たりするような不快な挙動は一切なく、まるで塊がそのままスライドするように美しくレーンを移動します。 この意のままに操れる気持ちよさは、ワインディングロードを軽快に駆け抜ける際にも、ドライバーに大きな安心感と歓びを与えてくれます。
レクサスLBXのブレーキホールド機能にメモリーがない不便さ
ストップ&ゴーが頻繁に発生する日本の都市部を走る上で、非常に大きなストレスとなっているのが「ブレーキホールドのメモリー機能がない」という問題です。
ブレーキホールド機能は、信号待ちなどで車両が完全停止した際、ブレーキペダルから足を離しても停止状態をキープしてくれる、現代の車において必須とも言える快適・安全装備です。 しかし、レクサスやトヨタの多くのモデルと同様に、LBXもエンジンを切るとこの機能が自動的にオフになってしまいます。
そのため、エンジンを始動して走り出すたびに、毎回センターコンソールにあるブレーキホールドボタンを手動で押してオンにする必要があります。 ホンダや日産、三菱といった多くの競合メーカーの最新モデルでは、前回の設定状態(オンのまま)をシステムが記憶してくれるメモリー機能が当たり前のように備わっています。
LBXは、「スニーカーのように気軽に街中を駆け抜けるシティコミューター」としてのキャラクターを掲げている車です。 だからこそ、最も使用頻度が高く、恩恵を受けるべきこの街乗り便利装備において、毎回ボタンを押さなければならない手間をオーナーに強いるのは、実用性の面で非常に残念な怠慢と言わざるを得ません。
レクサスLBXの運転支援システム「レクサスセーフティシステム+」の使いやすさ
操作系の不満がある一方で、LBXに標準搭載されている「レクサスセーフティシステム+」による運転支援機能の完成度は、世界最高水準にあると断言できます。
全車速追従機能付きのアダプティブクルーズコントロール(ACC)と、車線維持を支援するレーントレーシングアシスト(LTA)は、ステアリング左側のスイッチを一押しするだけで同時に、極めてシンプルに起動します。 システムが車線を認識する能力は極めて高く、夜間や激しい雨の日でも、路面の白線や先行車を正確に見失うことなく追跡してくれます。
運転支援システムにおける特筆すべき高評価ポイント
- 滑らかな加減速制御:割り込み車両に対しても急ブレーキを踏むことなく、熟練ドライバーのような自然さで減速
- 静電容量式ステアリング:センサーがステアリングへの接触を静電気で検知するため、軽く手を添えているだけで「ハンドルを握ってください」という警告が出にくい
- レーンチェンジアシスト(LCA):ウインカーレバーを軽く保持するだけで、システムが周囲の安全を確認し、ステアリングを自動制御してスムーズな車線変更をアシスト
この極めて洗練された電子制御によるアシストのおかげで、取材帰りの疲れた夜間の高速道路長距離ドライブであっても、精神的・肉体的な疲労は劇的に軽減されます。 走る、曲がる、止まるという基本動作を高い精度で補佐してくれるこの安心感は、LBXを所有する大きな付加価値となっています。
レクサスLBXのシートが長時間の運転でもたらす疲労感と腰痛の感想
最後に、乗り心地を大きく左右する「フロントシートの出来栄えと身体への相性」について、私の率直な感想をお伝えします。 LBXのフロントシートは、一見すると非常に大ぶりで、高級感あふれる仕立てとなっています。 しかし、半年間、数万キロにわたる様々なドライブ環境で使用してみると、私の体格(身長172cm、中肉中背)においては、いくつかの懸念事項が生じました。
フロントシートで気になったポイント
- クッションの底付き感:座面のウレタンがやや薄いか、あるいは硬めのセッティングになっているため、1時間以上連続して座っているとお尻の骨あたりに圧迫感(底付き感)を覚える
- ランバーサポートの相性:腰の張りを調整する電動ランバーサポートを最弱(引っ込めた状態)にしても、骨盤周辺に妙な突っ張り感があり、長時間の運転後に軽微な腰痛を誘発しやすい
- 小柄な体格におけるホールド性の甘さ:シート全体のサイズ自体が大きめに作られているため、小柄な方や女性ドライバーがタイトなコーナーを走る際、肩まわりや上半身が左右に滑りやすく、ホールド感に欠ける
もちろん、シートの座り心地や疲労感には個人差があり、体型や姿勢によって評価は180度変わるものです。 しかし、500万円を超えるラグジュアリーな「小さな高級車」としての位置づけを考慮すると、もう少し乗員を優しく包み込み、圧力を分散させてくれるような、しなやかで豊かなクッション性が備わっていれば、より完璧な一台になったのではないかと感じています。 購入を検討される際は、ディーラーでの短時間の試乗だけでなく、実際に運転姿勢をしっかり取り、腰まわりのフィット感を念入りにチェックされることを強く推奨します。
まとめ
レクサスLBXは、これまでの「大きい車ほど価値がある」というステータス重視のヒエラルキーを打ち破り、コンパクトでありながら本物の質感と極上の走りを手に入れるために生まれた、極めてエポックメイキングな車です。
本レビューで解説した通り、後席居住スペースやラゲッジスペースの狭さ、細かなユーティリティやスイッチ類の操作性に関しては、確かに目を瞑るべき不満点が複数存在します。 しかし、そのすべての弱点は、この車が身にまとっている圧倒的に美しいプロポーションと、Bセグメントとは思えない驚異的な静粛性、そして走る楽しさを実現するための必然の代償でもあります。
普段は1人、または2人での移動をメインとし、上質なプライベート空間と、日本の道路事情にマッチした扱いやすいサイズを何よりも大切にしたい。 そんなスマートな価値観を持つ方にこそ、レクサスLBXは最高の満足感を与えてくれるはずです。
筆者情報
二階堂 仁(にかいどう じん) モータージャーナリスト兼コラムニストとして活動。 慶應義塾大学を卒業後、国内大手自動車メーカーに就職。 車両開発の最前線に携わり、車の設計から評価技術までの基礎を徹底的に叩き込まれる。 その後、車が持つエモーショナルな魅力をより多くの人へ伝えるため、出版業界へ転身。 自動車ジャーナリストへの憧れから独立を果たし、現在は自動車専門誌、ウェブメディアなどで独自の辛口かつ論理的な批評コラムを展開中。 プライベートでの愛車は「レクサス LFA」をはじめ、「日産 スカイラインGT-R R34」など多数の歴史的名車をガレージに収め、常に最新・最良の自動車テクノロジーに触れ続けている。

