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TOYOTA

【レクサスLBX】幼児ファミリーが買ったら後悔|後席の狭さを解説

モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。

この記事を読んでいる方は、レクサスのコンパクトな新型SUVである「LBX」が気になっていると思います。 しかし、幼児がいるファミリーが購入すると後悔するのではないか、特に「後席が狭くてチャイルドシートが乗らない、あるいは非推奨とされているのではないか」という噂の真相を知りたいはずです。 私も実際にLBXを所有し、ファミリーでの実用シーンを経験したので、その気になる気持ちは本当によくわかります。

引用 : メーカーHP

この記事を読み終える頃には、LBXの後席のリアルな狭さや、子育て世代が選んだ際の実態についての疑問がすべて解決しているはずです。

この記事の要約
  1. 後部座席の足元空間は非常にタイトで大人が快適に過ごすには不向きな設計
  2. チャイルドシート設置時は前席スペースが大幅に犠牲となりファミリーユースは極めて困難
  3. ドア開口部が狭く子供の乗せ降ろしや荷物の出し入れで腰に負担がかかりやすい実態
  4. 荷室容量や車内収納が限られておりベビーカーや大量のベビー用品を積むには容量不足

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Contents
  1. レクサスLBXの後席が狭いと言われる決定的な理由
    1. プラットフォームの制約とLBXの室内寸法
    2. ベース車ヤリスクロスとLBXの室内サイズ比較
    3. 大人が座った時の膝元と頭上のクリアランス
    4. リクライニング機能の有無と背もたれの角度
    5. センターアームレストやドアポケットなどの収納不足
    6. 後席への乗降性を左右するドアの開口角度と幅
    7. 【所有者本音】半年乗って感じた後席の圧迫感と居住性
  2. 幼児ファミリーがレクサスLBXを選ぶと後悔する理由
    1. チャイルドシート適合表と実際の設置限界
    2. 新生児用(後ろ向き)チャイルドシート設置時の助手席スペース
    3. 子供の乗せ降ろし時に腰へかかる負担とドア開口部
    4. ベビーカーを載せたら終わり?ラゲッジ容量のリアル
    5. ファミリーに不向きな6:4分割シートと長尺物の積載制限
    6. 長距離移動における子供と大人のストレスと疲労度
    7. 【所有者本音】お尻が痛くなるシートのウレタンと腰痛問題
  3. ファミリー層が気になるレクサスLBXの走行性能と使い勝手
    1. 1.5Lハイブリッドとバイポーラ電池の走りの実力
    2. お尻の張り出しが狭い道で気になるボディサイズ
    3. 反応性と操作性に不満が残るステアリングスイッチ
    4. シティユースで毎回面倒なブレーキホールドのメモリ機能なし
    5. レクサスセーフティシステムプラスの運転支援レベル
    6. オーナーだからわかる500万クラスとしての内装質感
    7. 夜間のドライブを彩る64色アンビエントライトの魅力
  4. まとめ

レクサスLBXの後席が狭いと言われる決定的な理由

レクサスLBXは、その美しいスタイリングと高い質感が大きな魅力です。 しかし、ファミリーユース、特に幼児がいるご家庭において最も大きな障壁となるのが、後部座席の居住性です。 多くのメディアやオーナーが「狭い」と口を揃えるのには、明確な理由があります。 ここでは、パッケージングや寸法データをもとに、その決定的な理由を深掘りしていきます。

引用 : メーカーHP

プラットフォームの制約とLBXの室内寸法

レクサスLBXは、トヨタのコンパクトカー向けプラットフォームである「GA-Bプラットフォーム」を採用しています。 これはヤリスやヤリスクロスと同じ土台です。 コンパクトで軽快な走りを実現するためには最適なプラットフォームです。 しかし、室内空間を広く確保するという点においては、物理的な制約がどうしても生じてしまいます。 レクサスとしての静粛性や衝突安全性を確保するための補強も施されています。 そのため、内張りの厚みなども相まって、室内空間は外観から想像する以上にタイトに仕上がっています。 特に後席の足元スペースは、プラットフォームのホイールベースによる制限をダイレクトに受けているのです。

ベース車ヤリスクロスとLBXの室内サイズ比較

実際にLBXと、ベースとなったヤリスクロス、そしてワンサイズ上のレクサスUXの寸法を比較してみましょう。 数値で見ると、LBXの後席がいかにタイトに設計されているかがよくわかります。

項目 レクサス LBX トヨタ ヤリスクロス レクサス UX
全長 4,190 mm 4,180 mm 4,495 mm
全幅 1,825 mm 1,765 mm 1,840 mm
全高 1,545 mm 1,590 mm 1,540 mm
ホイールベース 2,580 mm 2,560 mm 2,640 mm
室内長 1,820 mm 1,845 mm 1,830 mm
室内幅 1,445 mm 1,430 mm 1,475 mm
室内高 1,195 mm 1,205 mm 1,175 mm

このように、LBXはヤリスクロスよりも全長が10mm長いにもかかわらず、室内長は25mmも短くなっています。 さらに室内高も10mm低く抑えられています。 これは、LBXがデザインやスタイリングを最優先し、リヤまわりの居住空間を削ってプロポーションを美しく見せているためです。 この数値の差が、後席に座ったときの圧倒的な狭さ感に直結しています。

デザイン優先のパッケージングがもたらす影響

LBXの全幅は1,825mmと、ヤリスクロスよりも60mmワイドに設計されています。 これにより、どっしりとしたトレッド幅と美しいフェンダーの張り出しを実現しています。 しかし、その恩恵は主に外観のカッコよさと走行安定性に振り分けられています。 室内幅こそ1,445mmと数値上はヤリスクロスを上回っています。 ですが、これは左右のドアトリム間の最大幅であり、後席乗員の肩まわりや足元の開放感にはさほど寄与していません。

大人が座った時の膝元と頭上のクリアランス

実際に身長170cm〜175cmほどの大人が後席に座ると、その狭さを体感することになります。 フロントシートを適切な運転ポジションに合わせた状態にします。 その状態で後席に座ると、膝前のクリアランスは握りこぶしが1個入るか入らないか、という極めてタイトな状態になります。 足先をフロントシートの下に滑り込ませるスペースも最小限です。 そのため、足を自由に動かすことができません。 また、頭上空間(ヘッドクリアランス)も同様です。 ルーフラインが車両後方に向けてなだらかに傾斜しているため、大人が背もたれにしっかりと背中をつけると、頭頂部が天井に触れそうになります。 圧迫感はかなり強く、長時間のドライブは大人にとっては苦行に近いものとなるでしょう。

引用 : メーカーHP

リクライニング機能の有無と背もたれの角度

LBXの後席シートには、リクライニング機能が備わっていません。 背もたれの角度は比較的立ち気味に固定されています。 これは乗員の姿勢を正しく保ち、万が一の衝突時に乗員を保護するための設計でもあります。 しかし、リラックスしてシートに身を預けたい同乗者にとっては、窮屈さを増幅させる要因になります。 背もたれが立っていることで、ただでさえ狭い足元スペースと相まって、乗車姿勢が常に一定に固定されます。 寝返りを打つような体勢の変化も難しいため、関節や腰への負担が大きくなります。 子供が車内で眠ってしまった際も、首が前にカクンと折れ曲がりやすい角度になってしまいます。

センターアームレストやドアポケットなどの収納不足

LBXの後席には、実用的な装備の省略が多く見られます。 その最たるものが、後席中央のセンターアームレストの省略です。 これがあるだけで、後席の快適性やホールド感は大きく向上するのですが、LBXには設定がありません。 さらに、後席ドアの内側には、書類や小物を入れるためのドアポケットが一切ありません。 あるのは小さなボトルホルダーが1つだけです。 手荷物の多いファミリーにとって、おしりふきや絵本、ちょっとしたおもちゃを置いておくスペースがドアにないのは、想像以上に不便を感じるポイントです。

収納スペースの絶対的な少なさ

車内全体を見渡しても、前席まわりのカップホルダーの位置や数に使いづらさがあります。 後席乗員が自由に使える収納はシートバックポケット(助手席側のみ)くらいしかありません。 子供の細々とした持ち物を整理整頓しておくのが非常に難しい車内環境となっています。

後席への乗降性を左右するドアの開口角度と幅

後部座席が狭いだけでなく、そこへアクセスするためのドアの設計もファミリーには厳しいものがあります。 LBXの後席ドアは、開口角度がそれほど広くありません。 また、ドア開口部の形状自体が、タイヤハウスの張り出しによって足元部分が大きく削られています。 これにより、乗り降りする際に足元を引っ掛けやすくなります。 大人が乗り込む際にも、体を小さくかがめながら滑り込ませる必要があります。 体をスムーズに動かせない幼児や、サポートをする親にとっては、この乗降性の悪さは毎日のストレスへと蓄積されていきます。

引用 : メーカーHP

【所有者本音】半年乗って感じた後席の圧迫感と居住性

私もLBXを所有して半年が経ちますが、後席の居住性に関しては、割り切りが必要な車だと痛感しています。 普段、1人や2人でフロントシートに乗っている分には、包み込まれるようなコックピット感と、非常に質感の高い静粛な空間に大満足しています。 しかし、たまに知人や家族を後席に乗せるシーンがあると、一気に緊張感が走ります。 フロントシートを少し前にスライドさせて調整する必要があります。 そうすると、今度は運転席のペダル操作や助手席の足元が窮屈になります。 お互いに気を遣いながら乗らなければならない空間構成は、プレミアムカーとしては少し寂しい部分です。 後席はあくまで「緊急用の補助席」または「手荷物置き場」と捉えるのが、精神衛生上最も正しい解釈だと感じています。

幼児ファミリーがレクサスLBXを選ぶと後悔する理由

「小さな高級車」という魅力的なコンセプトに惹かれ、おしゃれなファミリーカーとしてLBXを検討する方は少なくありません。 しかし、結論からお伝えすると、幼児がいるファミリーがLBXをメインカーとして購入すると、高い確率で後悔することになります。 子育て期ならではの具体的なハードルについて、詳しく解説します。

チャイルドシート適合表と実際の設置限界

レクサスLBXの取扱説明書に記載されている、チャイルドシートの適合状況を見てみましょう。 すべての席に自由に設置できるわけではありません。

着座位置 適合可否 推奨モデル(レクサス純正) 設置制限・物理的限界
助手席 × 設置不可 エアバッグ展開時の危険があるため設置はできません。ISOFIXロアアンカーも非装備です。
後席右 NEO G-Child i-Size / Junior 設置は可能ですが、運転席の後ろになるため、運転席のスライド量に大きな制限が出ます。
後席中央 × 設置不可 シート形状が平坦でなく、固定アンカーもないため、いかなるチャイルドシートも設置できません。
後席左 NEO G-Child i-Size / Junior 設置に最も適していますが、助手席をかなり前方にスライドさせる必要があります。

このように、実質的にチャイルドシートを設置できるのは「後席の左右どちらか」のみとなります。 チャイルドシートを1台設置した時点で、後席の残りのスペースに大人が快適に座ることはほぼ不可能です。 さらに、物理的な狭さゆえに、適合表で「○」となっていても、実際の設置や運用には多大なストレスが伴います。

新生児用(後ろ向き)チャイルドシート設置時の助手席スペース

乳幼児期(新生児から1歳半頃まで)は、安全基準(i-Sizeなど)により、チャイルドシートを「後ろ向き」に取り付けることが義務付けられています。 この「後ろ向き設置」こそが、LBXにおいて最大の悲劇を生みます。 後ろ向きチャイルドシートは、背もたれが前方に大きく張り出す形状をしています。 これを後席左側に設置すると、チャイルドシートの背面が助手席のシートバックに干渉します。 干渉を防ぐためには、助手席を最も前方の位置までスライドさせ、さらに背もたれを垂直に近い角度まで起こさなければなりません。 この状態になると、助手席に大人が座るためのスペースはほぼ消滅します。 ダッシュボードに膝が当たってしまい、窮屈極まりない姿勢を強いられます。 つまり、「運転手(パパ)」「赤ちゃん(後席後ろ向き)」「ママ(後席または助手席の極小スペース)」という陣形になり、移動中の快適性は皆無となります。

前向きシートに移行してからの変化

子供が大きくなり、チャイルドシートを前向きに設置できるようになれば、多少は助手席のスペースを復元できます。 しかし、今度は子供の成長に伴い、別の問題が発生します。 チャイルドシートに座った子供の足が、目の前にある運転席や助手席の背もたれにピッタリと届いてしまうのです。 子供が足をバタバタさせるたびに、前席のシートが蹴られ、運転や乗車の妨げになります。 シート裏の汚れ防止カバーが必須となりますが、根本的な狭さは解決しません。

子供の乗せ降ろし時に腰へかかる負担とドア開口部

子育て世代にとって、日々の「子供の乗せ降ろし」は重労働です。 LBXの後席ドアは開口部が小さく、ルーフ高も低いため、子供を抱っこしたまま車内へアクセスするのが非常に困難です。 赤ちゃんを抱えながら、自分の頭をぶつけないように深くかがみ込み、狭い車内へと滑り込ませる動作になります。 この姿勢は、親の首や腰に甚大な負担をかけます。 特に雨の日や、狭い駐車場での乗せ降ろしは、隣の車にドアをぶつけないように気を遣いながら行うため、さらに難易度が上がります。 スライドドアを採用したミニバンや、開口部の広いハイトワゴンに慣れている方からすれば、LBXの乗せ降ろしは苦行以外の何物でもありません。

ベビーカーを載せたら終わり?ラゲッジ容量のリアル

LBXのラゲッジ容量は、2WDモデルで332L(デッキボード下収納含む)です。 数値だけ見ると、BセグメントのコンパクトSUVとしては平均レベルに見えます。 しかし、ここにもファミリーユースにおける罠が潜んでいます。 多くのファミリーが日常的に使用する「ベビーカー」を載せてみると、その実態が明らかになります。 三つ折りになる超コンパクトなB型ベビーカーであれば、なんとか横向きに積載可能です。 しかし、しっかりとした骨格を持つA型ベビーカー(両対面式など)を載せると、ラゲッジスペースの横幅や奥行きの大部分を占有してしまいます。 ベビーカーを載せた時点で、ラゲッジの空きスペースはほぼゼロになります。 おむつのまとめ買いや、お買い物袋、旅行用のキャリーケースなどを同時に載せる余裕はなくなってしまいます。

ラゲッジの形状と積載の工夫

LBXのラゲッジは、リヤハッチがクーペ風に寝ているデザインです。 そのため、高さのある荷物を積むことが苦手です。 荷物を上に積み重ねようとすると、リヤガラスに干渉してハッチが閉まらなくなります。 ベビーカーを常時積載するようなライフステージのご家庭にとって、この積載性の低さは致命的な後悔ポイントになります。

ファミリーに不向きな6:4分割シートと長尺物の積載制限

ベースとなったヤリスクロスには、後席の背もたれを4:2:4の3分割で倒せる非常に便利な機構が備わっていました。 これにより、中央の「2」の部分だけを倒すことで、スキー板などの長尺物を積みつつ、後席の左右に2名が乗車するという柔軟なシートアレンジが可能でした。 しかし、プレミアムモデルであるはずのLBXでは、なぜかこの機能が省略され、平凡な「6:4分割」へとダウングレードされています。 長尺物を載せるためには、左右どちらかの大きなシートを倒す必要があります。 そうなると、ただでさえ狭い後席の乗車スペースがさらに半分になり、ファミリーでの移動と荷物の積載を両立させることが完全に不可能になります。 レジャーやアウトドアを楽しみたいファミリーにとって、この仕様変更は大きな痛手です。

長距離移動における子供と大人のストレスと疲労度

ファミリーカー選びで重要なのは、家族全員が長距離を疲れずに移動できるかどうかです。 LBXで遠出をする際、後席に乗る家族には少なからずストレスが蓄積します。 車内空間の狭さに加え、後席には専用のアウトレット(エアコン吹き出し口)がありません。 夏場、前席はエアコンの風で冷えていても、後席まで冷気が届きにくく、チャイルドシートに包まれた子供が汗だくになってしまうことがあります。 また、後席にUSBポートは備わっているものの、スマホやタブレットを固定するような気の利いた収納やトレイもありません。 逃げ場のない狭い空間で、子供の不機嫌をあやしながら移動する時間は、運転手にとっても同乗者にとっても、精神的な疲労を倍増させます。

【所有者本音】お尻が痛くなるシートのウレタンと腰痛問題

LBXに採用されているフロントシートは、一見すると非常にスポーティで仕立てが良いように見えます。 私が所有している「Relax(リラックス)」グレードには、上質なサドルタンカラーのセミアニリン本革シートが奢られています。 肌触りや見た目の高級感は抜群です。 しかし、半年間、長距離を含めて乗り込んでいくうちに、ある不満が出てきました。 それは、座面のウレタンが薄いのか、あるいは沈み込みが硬いのか、お尻の「底付き感」を感じやすい点です。 1時間以上連続して運転していると、徐々にお尻の骨のあたりが痛くなってきます。 また、シート形状と私の体型との相性もあるのでしょう。 正しい姿勢で座っていても、長時間ドライブではランバーサポートの調整を繰り返すほど、腰に鈍い痛み(腰痛)が発生します。 小柄な方にとっては、シート自体が大きく作られているため、体が左右に滑りやすく、ホールド感に欠ける印象を持つかもしれません。 このシートの硬さと長距離での疲労感は、試乗の短い時間だけでは見落としがちなポイントですので、購入前にじっくりと確認することをおすすめします。

ファミリー層が気になるレクサスLBXの走行性能と使い勝手

ここまで後席や実用性の厳しい部分を解説してきましたが、LBXはただ狭いだけの車ではありません。 自動車ジャーナリストとして、また一人のオーナーとして、この車の走りのクオリティや使い勝手についても公平に評価する必要があります。 もし、後席の狭さを許容できる、あるいはセカンドカーとして割り切れるのであれば、LBXには素晴らしい美点が数多く存在します。

1.5Lハイブリッドとバイポーラ電池の走りの実力

LBXのパワートレインには、1.5L直列3気筒エンジンにハイブリッドシステムを組み合わせた最新のユニットが搭載されています。 システム自体はヤリスクロスと共通ですが、中身は大きくアップグレードされています。 最も大きな違いは、駆動用バッテリーに「バイポーラ型ニッケル水素電池」を採用している点です。 これにより、従来の電池よりも圧倒的に素早く、大きな電力を出し入れすることが可能になりました。 実際にアクセルを踏み込んだ瞬間のレスポンスは、非常に強力かつリニアです。 モーターのトルクがすっと立ち上がり、車速をスムーズに押し上げてくれます。 合流や追い越しでのパワー不足を感じることはまずありません。

圧倒的な静粛性と3気筒の質感

また、3気筒エンジン特有の不快な振動や騒音は、レクサス独自の遮音対策によって徹底的に抑え込まれています。 エンジン始動時のショックも極めて小さく、普通に流している分には、まるで電気自動車(BEV)に乗っているかのような静かで滑らかな移動空間を提供してくれます。 ただし、急加速時や負荷が大きくかかった際には、さすがに3気筒特有のややガサツなエンジン音がかすかに車内に侵入してきます。 このあたりの音質に関しては、4気筒エンジンを搭載する上位モデルには一歩及ばない部分です。

お尻の張り出しが狭い道で気になるボディサイズ

LBXのボディサイズは、全長4,190mmと非常にコンパクトで、街中での取り回しは基本的に優秀です。 しかし、運転していて一つ気になるのが、1,825mmというワイドな「全幅」です。 特に、リヤフェンダーまわりが豊かに張り出したボリューミーな造形をしています。 これが外観のカッコよさを引き立てている一方で、狭い路地でのすれ違いや、両脇に電柱があるようなシーンでは、独特の緊張感を生みます。 ドアミラーの外側に収まる寸法ではあるものの、視覚的にお尻が大きく張り出して見えるため、車両感覚を掴むまでに少し慣れが必要です。 「スニーカー感覚で乗れるシティコミューター」としては、このリヤの車幅感にだけは少し気を遣う場面があります。

反応性と操作性に不満が残るステアリングスイッチ

最近のレクサス車に広く採用されている「タッチトレーサーオペレーション(ステアリングスイッチ)」ですが、これに関しては正直なところ、使いにくいと感じています。 このスイッチは、指で触れた位置をヘッドアップディスプレイ(HUD)に投影し、目線を落とさずに操作できるというコンセプトです。 しかし、実際の反応性が微妙です。 指を置いてからシステムが認識するまでに一瞬のタイムラグがあります。 パッと触れて瞬時にACC(アダプティブクルーズコントロール)の速度を下げたい、といった直感的な操作を行おうとすると、反応が遅れて効かないように感じることが多々あります。 また、スイッチに物理的な印字がないため、ブラインドタッチができるようになるまでには相当な時間と慣れを要します。 運転支援システムを作動させている状態では、メーター表示の切り替え操作が制限されるなど、ソフトウェアの使い勝手にも改善の余地を感じます。

シティユースで毎回面倒なブレーキホールドのメモリ機能なし

信号待ちなどでブレーキペダルから足を離しても停止状態を維持してくれる「ブレーキホールド」は、街乗りがメインとなるコンパクトSUVにこそ必須の装備です。 しかし、レクサスやトヨタの多くの車種が抱える共通の不満点として、このブレーキホールドの「メモリ機能」がLBXにもありません。 他メーカー(ホンダや日産、欧州車など)の多くは、一度ボタンを押して機能をONにしておけば、エンジンを再始動した後もその状態を記憶(メモリ)してくれます。 しかし、LBXは車に乗ってエンジン(システム)を始動するたびに、毎回手元のスイッチを押してホールド機能をONにしなければなりません。 日常のちょっとした動作ですが、毎日の通勤やお買い物で車を使う身からすると、この「毎回ボタンを押す」という一手間は、非常に面倒に感じられます。 プレミアムブランドを名乗るのであれば、こうした細かなロジックの利便性にも配慮が欲しかったところです。

レクサスセーフティシステムプラスの運転支援レベル

使い勝手の細かな不満はあるものの、LBXに搭載されている予防安全パッケージ「Lexus Safety System +」の支援精度は、世界トップレベルと言っても過言ではありません。 高速道路でのレーントレーシングアシスト(LTA)は、車線の中央を驚くほど正確にキープしてくれます。 車線をまたいだ際の再認識能力も早く、カメラとミリ波レーダーの「見る力」の高さが実感できます。 また、渋滞時の運転負荷を軽減するアドバンストドライブ(渋滞時支援)も設定されており、ハンズオフ(手放し)運転が可能です。 ステアリングの保持判断も、従来のトルク感応型(少し力をかけないと警告が出る)ではなく、「静電容量式」が採用されています。 これにより、軽く手を添えているだけでシステムがドライバーの保持を認識してくれるため、直線路での不要な警告に煩わされることがありません。 加減速の制御も非常にマイルドで、ギクシャクした急ブレーキや不自然な急加速が少ないため、同乗者にとっても安心感のあるスムーズなドライブを実現してくれます。

オーナーだからわかる500万クラスとしての内装質感

車両価格が約460万円から570万円に達するLBXですが、内装の仕立ての良さは、間違いなくその価格に見合う価値を持っています。 私が所有する「Relax」では、インパネからドアトリム、コンソールまわりにかけて、ふんだんにソフトパッドやシンセティックレザー(合成皮革)、本革が張り巡らされています。 樹脂パーツが剥き出しになっている部分が極めて少なく、どこに触れても高級感のあるしっとりとした触感が得られます。 センターコンソール周辺の独特な杢目(津軽びいどろをモチーフにした独自のフィルム加飾)なども、見る角度によって美しい陰影を見せてくれます。 Bセグメントという小さなサイズでありながら、これほどまでに密度感のある贅沢な空間を作り上げたレクサスの職人技には、所有する喜びを強く感じさせてくれます。

夜間のドライブを彩る64色アンビエントライトの魅力

夜間のドライブにおいて、車内の雰囲気を一変させてくれるのが「アンビエントイルミネーション」です。 LBXには、なんと64色から選べるアンビエントライトが標準装備(一部グレード除く)されています。 発光する部位は、インナードアハンドル周辺、足元、センターコンソール脇など、多岐にわたります。 欧州のプレミアムブランド(メルセデス・ベンツ等)に比べると、光のライン自体は控えめですが、間接照明としての見せ方が非常に上品です。 何より嬉しいのは、ユーザーからのフィードバックを反映し、発光量が十分に明るく確保されている点です。 夕暮れ時の少し薄暗い時間帯からでも、車内が美しく照らされているのがはっきりと確認できます。 好みのテーマカラーを選択し、お気に入りの音楽を聴きながら夜のハイウェイをクルージングする瞬間は、LBXを所有して最も心が満たされる時間の一つです。

まとめ

レクサスLBXは、非常にエモーショナルで魅力に満ちた一台です。 「プレミアムコンパクト」という新しいジャンルを切り開いた先駆者であり、その美しいスタイリング、圧倒的な内装質感、キビキビとした上質な走り、そしてリッター24km前後に達する実用燃費の良さは、他のコンパクトカーでは決して味わえない世界観を提供してくれます。

しかし、そのすべての魅力は、一つの明確な割り切りの上に成り立っています。 それは、後部座席と荷室のスペースを最小限に留めた「パーソナルモビリティ(1人または2人乗り)」としての設計思想です。

幼児がいるファミリーがメインカーとしてLBXを購入した場合、チャイルドシートの設置による前席の圧迫、乗せ降ろし時の腰への負担、ベビーカーを載せただけで満杯になる荷室など、日々の実用シーンで大きな壁にぶつかり、高い確率で後悔することになります。 子育て真っ最中のご家庭には、同じレクサスであればワンサイズ上の「UX」や「NX」、あるいはスライドドアを備えた実用的なファミリーカーを選ばれることを、強くおすすめします。

一方で、子育てがひと段落したご夫婦の「ダウンサイジング(減車)」としての選択や、すでにメインのミニバンや大型SUVを所有している方の「贅沢なセカンドカー」としての選択であれば、これほど魅力的な相棒はありません。 ご自身のライフステージと、車に求める役割をしっかりと見極めた上で、この美しい「小さな高級車」を検討してみてください。

筆者情報

二階堂 仁(にかいどう じん) モータージャーナリスト兼コラムニストとして活動。慶應義塾大学卒業後、大手自動車会社に就職。車両の先行開発やパッケージング設計に携わった後、自動車の魅力を独自の視点で伝えるべく出版業界へ転身。その後、フリーランスの自動車ジャーナリストとして独立し、現在は専門誌やWEBメディアなどで多数の連載コラムを執筆中。技術者としてのロジカルな分析と、ユーザー目線に立ったリアルな所有体験に基づく辛口な批評に定評がある。現在の愛車は、レクサスLFA、日産スカイラインGT-R(R34)、そして今回紹介したレクサスLBXなど、複数メーカーのモデルをガレージに収めている。

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