モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、ホンダが22年ぶりに復活させた「新型プレリュード」の購入を真剣に検討されていることと思います。 私自身、歴代のプレリュードを乗り継ぎ、今回の新型もガレージに収めた一人として、その期待と「実際のコストはどうなのか」という不安な気持ちは痛いほどよくわかります。
引用 : メーカーHP
かつてのデートカーとしての面影を残しつつ、最新のe:HEVを搭載したこのスペシャリティクーペを手に入れるためには、一体いくら用意し、維持にはどれほどの覚悟が必要なのか。
この記事を読み終える頃には、グレードごとの乗り出し価格から月々の支払い、そして10年先を見据えた維持費の全貌がクリアになっているはずです。
- 乗り出し価格は諸経費込みで約630万円から
- 残クレなら月々2万円台からの支払いで所有可能
- e:HEV採用により年間のガソリン代は10万円以下も
- ディーラー車検は回を重ねるごとに部品交換で上昇
車買い替えのご検討中の方へ
新しい車に乗り換える際、今乗っている愛車をどれだけ高く売却できるかは、次の車の選択肢にも大きく影響します。
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新型プレリュードのグレード展開と車両本体価格
2025年9月に満を持して発売された新型プレリュード。 今回の復活劇において、ホンダが提示したのは非常にシンプルなラインナップでした。 まずは、私たちが選択できるグレードとその基本的な価格設定から見ていきましょう。
引用 : メーカーHP
プレリュードのグレード構成と特徴
新型プレリュードは、基本的に「モノグレード(1グレード)」に近い展開となっています。 標準モデルとなる「ベースグレード」と、オンライン販売専用の「Honda ON Limited Edition」の2種類です。
| グレード名 | 車両本体価格(税込) | 主要な特徴 |
|---|---|---|
| ベースグレード | 6,179,800円 | 2.0L e:HEV、19インチアルミ、最新Honda SENSING標準 |
| Honda ON Limited Edition | 6,480,000円 | 専用ボディカラー、サブスクリプション特化装備、特別内装 |
ベースグレードであっても、かつてのプレリュードのような「廉価版」という概念は存在しません。 シビック e:HEVをベースにしながらも、専用のアルミホイールやスポーツサスペンション、そしてクーペ専用の贅沢な内装が最初からフル装備されています。
乗り出し価格(諸経費込み)の概算
自動車を購入する際、車両価格だけで計算するのは危険です。 税金や自賠責保険、登録諸費用を含めた「乗り出し価格」を把握しておく必要があります。 新型プレリュードは環境性能に優れたハイブリッド車(e:HEV)であるため、税制面での優遇があるのが救いです。
ベースグレードの乗り出し価格例
- 車両本体価格:6,179,800円
- 環境性能割:0円(非課税)
- 重量税:0円(免税・初回)
- 自賠責保険(37ヶ月):24,190円
- 登録諸費用(概算):約100,000円
- リサイクル料金:19,100円
- 合計:約6,323,090円
Honda ON Limited Editionの乗り出し価格例
- 車両本体価格:6,480,000円
- 諸経費合計(上記同様):約143,290円
- 合計:約6,623,290円
オプションで「プレミアムサンライトホワイト・パール」などの特別色(60,500円高)や、ディーラーオプションのエアロパーツを追加すると、さらに30万〜50万円ほど上乗せされることになります。 私の場合は、あえて標準のベースグレードにリアスポイラーを追加しましたが、最終的な見積もりは650万円を超えました。
残価設定型クレジット(残クレ)での月々支払額
今の時代、600万円を超える車を現金一括で買う方は少数派かもしれません。 特にホンダのユーザーに人気なのが、数年後の下取り価格を据え置く「残価設定型クレジット(残クレ)」です。 新型プレリュードの残価率は、スポーツクーペという希少性から比較的高めに設定されています。
引用 : メーカーHP
3年(37回)払いの場合のシミュレーション
3年後の残価率を約50%と仮定した場合の試算です。 「常に最新のモデルに乗り換えたい」という方に向いています。
| 項目 | ベースグレード | Honda ON Ltd |
|---|---|---|
| 頭金 | 1,000,000円 | 1,000,000円 |
| ボーナス払い(年2回) | 100,000円 | 100,000円 |
| 実質年率 | 3.5% | 3.5% |
| 月々の支払額 | 約48,500円 | 約54,200円 |
| 最終回据置額 | 約3,000,000円 | 約3,200,000円 |
5年(61回)払いの場合のシミュレーション
5年後の残価率は約35%程度になります。 月々の負担を抑えて、長くじっくり楽しみたい方向けのプランです。
| 項目 | ベースグレード | Honda ON Ltd |
|---|---|---|
| 頭金 | 1,500,000円 | 1,500,000円 |
| ボーナス払い(年2回) | 150,000円 | 150,000円 |
| 実質年率 | 3.5% | 3.5% |
| 月々の支払額 | 約27,800円 | 約33,500円 |
| 最終回据置額 | 約2,100,000円 | 約2,200,000円 |
残クレの最大のメリットは、月々の支払いを3万円以下に抑えつつ、浮いたお金を維持費やレジャーに回せる点にあります。 ただし、走行距離制限(月間1,000kmなど)があるため、ロングドライブを頻繁に楽しむ方は注意が必要です。
通常ローン(均等払い)での月々支払額
「最終的に自分のものにしたい」「距離を気にせず走りたい」という方は、通常のオートローンが選択肢に入ります。
引用 : メーカーHP
5年(60回)ローンの支払例
金利3.5%、頭金なしのフルローンの場合、支払額はかなりのインパクトになります。
| グレード | 総支払額(利息込) | 月々の支払額 |
|---|---|---|
| ベースグレード | 約6,900,000円 | 約115,000円 |
| Honda ON Ltd | 約7,230,000円 | 約120,500円 |
7年(84回)ローンの支払例
最近増えている長期ローンです。 月々の負担は減りますが、利息の総額が増える点には注意してください。
| グレード | 総支払額(利息込) | 月々の支払額 |
|---|---|---|
| ベースグレード | 約7,180,000円 | 約85,500円 |
| Honda ON Ltd | 約7,530,000円 | 約89,600円 |
正直なところ、月々10万円を超える支払いは家計への圧迫が大きいです。 車両価格が600万円クラスになると、やはり頭金を200万円程度用意するか、下取り車を高く売る戦略が必要になります。
新型プレリュードの年間維持費を徹底解剖
さて、車を買った後に待っているのが「維持費」です。 ここがスペシャリティクーペを所有する上での醍醐味でもあり、苦労するポイントでもあります。 ジャーナリストとしての視点から、現実的な数字を算出しました。
引用 : メーカーHP
ガソリン代と油種
新型プレリュード(BF1型)のエンジンは、シビック e:HEV譲りの2.0L直噴エンジンですが、驚くべきことに指定燃料は「レギュラー」です。 このクラスのスポーツモデルでハイオクを求められないのは、オーナーにとって最大の福音と言えるでしょう。
- 指定燃料:レギュラーガソリン
- WLTCモード燃費:23.6 km/L
- 実用燃費(推測):約18.0 km/L(街乗り〜高速混合)
年間10,000km走行時のガソリン代計算
- 10,000km ÷ 18.0km/L = 約555L
- 555L × 175円/L = 年間 97,125円
一ヶ月あたり約8,000円強です。 かつての5代目プレリュード(SiRなど)がハイオク指定で燃費も10km/L程度だったことを考えると、維持費は半分以下に抑えられています。
タイヤ代の落とし穴
一方で、維持費の中で最も気をつけなければならないのがタイヤです。 新型プレリュードは「235/40R19」という、非常に大径で薄いタイヤを履いています。
- タイヤサイズ:235/40R19
- 交換頻度:3年または30,000kmごと
- 交換費用(4本):150,000円 〜 220,000円(工賃込)
ホンダ純正指定のミシュラン・パイロットスポーツクラスを選択すると、ディーラー価格では20万円を超えることも珍しくありません。 年間で見れば、タイヤ代だけで「約60,000円」を積み立てておく必要があります。
その他の消耗品と自動車税
- 自動車税(種別割):36,000円(2,000cc以下)
- エンジンオイル交換:約15,000円(年1回・フィルター込)
- 任意保険:約80,000円 〜 150,000円(車両保険付・等級による)
任意保険については、新型プレリュードが「スポーツカー」扱いとなり、料率クラスが少し高めに設定される可能性があります。 私の場合は、車両保険込みで年間12万円ほどでした。
年間維持費の合計(目安)
| 項目 | 年間コスト(概算) |
|---|---|
| ガソリン代 | 約97,000円 |
| 自動車税 | 36,000円 |
| 任意保険 | 120,000円 |
| オイル・消耗品 | 20,000円 |
| タイヤ積立 | 60,000円 |
| 合計 | 約333,000円 |
月額に直すと「約27,750円」です。 これに駐車場代(都市部なら2〜3万円)が加わると、維持には月5〜6万円の余裕が必要になります。
ディーラー車検費用のスケジュール
ホンダ車を長く、そして安心して乗り続けるには、正規ディーラーでの車検がベストです。 「まかせチャオ」などの点検パックに入ることで費用は平準化されますが、ここでは単発で受けた場合の目安を紹介します。
車検費用の推移表(概算)
プレリュードはハイブリッド車であるため、重量税の減免措置が車検時にも影響します。 ただし、走行距離が伸びるにつれてバッテリー関連の点検や足回りの部品交換が発生します。
| 回数 | 年数 | 費用目安 | 主な交換・点検項目 |
|---|---|---|---|
| 初回 | 3年目 | 約100,000円 | 基本点検、オイル、ブレーキフルード |
| 2回目 | 5年目 | 約130,000円 | 冷却水、補機バッテリー、タイヤ交換時期 |
| 3回目 | 7年目 | 約160,000円 | ブレーキパッド、各種ゴムブッシュ類 |
| 4回目 | 9年目 | 約200,000円 | ドライブシャフトブーツ、e:HEV冷却系 |
| 5回目 | 11年目 | 約250,000円 | 足回りショック交換、各部センサー類 |
7年目以降の注意点
特に7年目、9年目あたりからは、e:HEV特有のメンテナンスに注意が必要です。 走行用バッテリー自体は10年・10万キロ程度の保証があることが多いですが、それを冷却するためのファンやフィルター、専用の冷却液(クーラント)の管理が、車を長持ちさせる秘訣です。
また、19インチという大径ホイールを支える足回りのブッシュ類も、プレリュードらしい「しなやかな走り」を維持するためには交換が必要になります。 スペシャリティクーペである以上、ここをケチると一気に「古い中古車」感が出てしまうのが切ないところです。
新型プレリュードの魅力と「買い」の判断基準
価格や維持費といった「数字」だけを見ると、新型プレリュードは決して安い買い物ではありません。 シビック e:HEVが400万円以下で買えることを考えれば、プラス200万円の価値はどこにあるのでしょうか。
デザインに支払う200万円の価値
プレリュードの本質は、スペック上の速さではなく「佇まい」にあります。 実際に自分のガレージで眺めてみると、フロントからリアにかけての流麗なライン、そして1,400mmを切る全高がいかに特別かがわかります。
- 唯一無二のシルエット:SUVが溢れる街中で、一際低く構えたクーペスタイル
- e:HEVの洗練:エンジン音と加速がシンクロするアクティブサウンドコントロール
- 所有欲:ドアを開けるたびに感じる「自分だけの空間」
今の時代、ホンダがこれほどまでに採算度外視で「美しさ」と「走る喜び」を追求したクーペを出してくれたこと自体が奇跡に近いと言えます。
購入前にチェックすべきポイント
最後に、実際にオーナーになってみて感じた「盲点」をお伝えします。
- 後席はあくまでエマージェンシー: 4人乗りですが、大人が長時間乗るのは不可能です。基本は2人乗り、または「荷物置き場」として割り切る必要があります。
- 車両幅の感覚: 全幅が1,800mmを超えているため、古いマンションのパレット式駐車場などは注意が必要です。
- 納期とリセールバリュー: 現在、新型プレリュードの納期は非常に不安定です。しかし、その分中古車市場での価格落ちは緩やかであると予想されます。
まとめ
新型プレリュードは、ベースグレードでも乗り出し630万円を超える高級車となりました。 しかし、その維持費はハイブリッド技術のおかげで、かつてのスポーツカーに比べれば驚くほどリーズナブルです。
- 一括購入なら、まずは650万円を予算に。
- 残クレなら、頭金次第で月々3万円以下が可能。
- 維持費は、タイヤ代さえ覚悟すれば月々3万円弱(駐車場別)。
この車は、効率や利便性だけで選ぶものではありません。 「一生に一度は、美しいクーペを愛でたい」 そんな願いを持つあなたにとって、新型プレリュードは間違いなくその対価に見合う価値を提供してくれるはずです。 この記事のシミュレーションが、あなたの新しいカーライフの一助となれば幸いです。
筆者情報
二階堂 仁(にかいどう じん) モータージャーナリスト兼コラムニスト。 慶應義塾大学卒業後、国内大手自動車メーカーにて車両開発・マーケティングに従事。 退職後、自動車雑誌のエディターを経て独立。 現在はWebメディアや専門誌を中心に、ユーザー目線に立った鋭い試乗レビューと、深いメカニズム解説を執筆している。 自身も無類のクルマ好きであり、レクサス LFAやスカイライン GT-R(R34)など、伝説的な名車をガレージに収めつつ、最新のBEVやハイブリッド車も積極的に所有。 「クルマは人生を豊かにする最高のガジェットである」をモットーに活動中。

