モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。今回も多く寄せられている質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、レクサスUXの中古車価格があまりに安くなっていることに驚き、その理由や裏にある事情が気になっているのだと思います。私も実際にUXを所有し、その特性や市場の動きを長年見てきましたので、高級車ブランドであるはずのレクサスがなぜこれほど安価に手に入るのか、逆に何か致命的な欠陥があるのではないかと疑ってしまうお気持ちは痛いほどよくわかります。

引用 : TOYOTA HP (https://lexus.jp/models/ux/features/interior/)
新車価格はオプション込みで500万円〜600万円する車両が、わずか数年で半値以下、場合によっては軽自動車並みの価格で並んでいる現状。これは単なる偶然ではなく、明確な市場原理と車両特性による理由が存在します。しかし、理由さえ理解できれば、これほどコストパフォーマンスの高い選択肢がないのも事実です。
この記事を読み終える頃には、なぜUXが安いのかという疑問が完全に解決し、あなたがUXを買うべきか、それとも他の選択肢を検討すべきかの判断が明確についているはずです。
記事のポイント
- SUVとしての実用性と市場需要のミスマッチ
- 兄貴分NXおよび弟分LBXとの比較による立ち位置
- 新車購入層と中古購入層の求める価値の乖離
- 所有して初めてわかるリアルなメリットとデメリット
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レクサスUXの中古車が異常に安い4つの理由
中古車市場において、レクサスUXの価格が崩壊していると言われるほど安くなっているのには、明確な構造的理由があります。単に「人気がない」の一言で片付けるのは簡単ですが、我々専門家の視点から見ると、そこには4つの複合的な要因が絡み合っていることがわかります。これらを理解することで、この安さが「危険な安さ」なのか、それとも「お買い得な安さ」なのかが見えてきます。
引用 : TOYOTA HP (https://lexus.jp/models/ux/features/interior/)
SUVとしての実用性が低いという市場評価
まず最大の要因として挙げられるのが、SUVというカテゴリーに求められる「実用性」と、UXが提供するパッケージングの乖離です。現在、世界的なトレンドとしてSUVが爆発的な人気を誇っていますが、ユーザーがSUVに求めているのは「広い室内」「たくさんの荷物が積める」「多人数での快適な移動」という実利的な要素です。
しかし、UXはこの点において極めて厳しい評価を受けています。ベースとなっているのはトヨタのC-HRやカローラスポーツと同じ「GA-Cプラットフォーム」であり、本質的にはハッチバック車の車高を少し上げたクロスオーバーという立ち位置です。そのため、後部座席の居住空間はタイトであり、大人が長時間快適に過ごすには少々窮屈さを感じざるを得ません。
さらに致命的なのがラゲッジスペース(荷室)の容量不足です。特にハイブリッドモデルではバッテリーの配置関係で床面が高く、容量は220リットル程度(VDA方式)と、コンパクトカーのヤリスやフィットよりも狭いという逆転現象が起きています。ゴルフバッグを横積みにできない、大型のスーツケースが積めないといった点は、レクサスを所有する層のライフスタイル(ゴルフや旅行)とアンマッチを起こしてしまいました。
中古車市場では「実用性の高い車」ほど値落ちしにくい傾向にあります。ハリアーやRAV4が高値を維持しているのはそのためです。逆に、「実用性が低いSUV」と見なされてしまったUXは、需要が限定的になり、価格競争力を失ってしまったのです。
弟分「LBX」の登場による立ち位置の喪失
2つ目の理由は、2023年以降に決定的となった「LBX」の登場です。これまでUXはレクサスのラインナップにおける「最小SUV」として、エントリーモデルの役割を担ってきました。「小さいレクサスが欲しいならUX」という唯一無二のポジションがあったのです。
しかし、さらにコンパクトでありながら、「小さな高級車」というコンセプトを掲げたLBXが登場したことで、UXの存在意義が大きく揺らぎました。LBXはクラスを超えた内装の質感や、最新の安全装備、そしてハイブリッドシステムの進化を備えており、ダウンサイジングを求める富裕層の指名買いをさらっていきました。
これにより、市場の構図は以下のように変化しました。
- 小さい高級車が欲しい層 → LBXへ流れる
- 実用性と広さが欲しい層 → NXやRXへ流れる
UXはこの2つの需要の谷間に落ちてしまい、「LBXより古くて質感が低く、NXより狭くて実用性がない」という中途半端な立ち位置になってしまったのです。新型モデルや強力なライバルの登場が、既存モデルの中古相場を押し下げるのは自動車市場の常ですが、UXの場合は身内であるレクサスブランド内での共食いが起きてしまったことが、価格下落に拍車をかけました。
内装の質感に対する厳しいユーザー評価
3つ目は、内装の質感に対するコストパフォーマンスの評価です。新車価格が500万円を超える車として見た場合、UXの内装にはコストカットの跡が見え隠れするという指摘が発売当初から絶えませんでした。
ダッシュボード上部やドアトリムの一部にプラスチック素材が多用されており、特に「和紙調」と呼ばれるシボ加工は好みが分かれるところですが、一部のユーザーからは「チープに見える」という厳しい意見もありました。兄貴分のNXやRXが、革や木目をふんだんに使い、圧倒的な「レクサス・クオリティ」を表現しているのと比較すると、UXはどうしても見劣りしてしまいます。
新車で購入したオーナーが納車後に「トヨタ車とあまり変わらないのでは?」と感じてしまい、早期に手放すケースも少なくありませんでした。また、中古車検討層も「この内装にこの金額は出せない」と判断し、より安価なトヨタ・ハリアーやカローラクロスの上級グレードに流れる傾向があります。
「レクサス=豪華」という期待値が高すぎるがゆえに、その基準に達していないと判断された時の反動は大きく、それがリセールバリュー(再販価値)の低下として如実に表れているのです。
海外輸出需要の低さと国内需要の飽和
4つ目は、中古車相場を支える大きな柱である「海外輸出」の需要がUXには薄いという点です。通常、レクサスのSUV(特にNX、RX、LX)は、日本国内で古くなったり走行距離が伸びたりしても、ロシア、中東、東南アジア、アフリカなどで絶大な人気があるため、高値で輸出されていきます。これがレクサスの驚異的なリセールバリューを支える安全装置となっています。
しかし、UXのパッケージングは海外市場ではあまり好まれません。海外では「車は大きければ大きいほど良い」「たくさんの人や荷物が積めることが正義」という価値観が強い地域が多く、コンパクトで室内が狭いUXは需要が低いのです。
輸出需要がないということは、日本国内で発生した中古車は、日本国内で消費しきらなければならないことを意味します。新車販売台数はそこそこ売れていたため、中古車市場には大量のUXが供給されますが、それを受け止めるだけの国内需要が追いついていません。
「供給過多」かつ「輸出という逃げ道がない」状態。これが、走行距離が少なくても、年式が新しくても、UXの価格が上がらない、むしろ下がり続ける需給バランスの崩壊を生み出しているのです。
レクサスUXとNXの残価率を徹底比較
「レクサスを買えばリセールが良いから損をしない」というのは、多くの人が抱くイメージですが、UXに関してはその神話は通用しません。ここでは、兄貴分であるNXと具体的な数字を比較しながら、その残酷なまでの格差を解説します。
引用 : TOYOTA HP (https://lexus.jp/models/ux/features/interior/)
5年後の残価率に20%以上の差が出る現実
自動車の資産価値を測る指標として「残価率(新車価格に対する買取価格の割合)」がありますが、UXとNXではここに決定的な差があります。一般的なデータや市場の動きを見ると、5年落ちの時点での残価率は以下のようになります。
- レクサス NX(先代後期〜現行初期):約60% 〜 70%
- レクサス UX:約40% 〜 45%
この20%近い差は、金額に換算すると衝撃的です。例えば、新車価格550万円のUXと、650万円のNXを購入したとします。5年後の価値は、UXが約230万円、NXが約400万円程度になる可能性があります。
購入時はNXの方が100万円高いですが、5年後に手放す際にはNXの方が170万円高く売れる。つまり、トータルの出費(償却額)で見ると、UXの方が高くつく、あるいは「損をする」という逆転現象が起きています。これが、「UXは中古が安すぎる」と言われる背景であり、逆に言えば新車オーナーが多額の価値減損を負担してくれたおかげで、中古車ユーザーは安く買えるわけです。
新車価格と中古価格の逆転現象
さらに興味深いのが、オプション装備の評価です。レクサス車には「三眼フルLEDヘッドランプ」や「ムーンルーフ」、「マークレビンソン・サラウンドシステム」といった高額オプションが存在します。
NXの場合、これらのオプションが付いていると、中古車買取価格にしっかりとプラス査定されます。特に輸出需要のあるNXでは、サンルーフの有無で30万円以上価格が変わることも珍しくありません。
しかしUXの場合、これらの高額オプションを装備していても、中古車価格への反映は限定的です。中古でUXを探している層は、主に「安さ」や「手軽さ」を求めているため、プラス数十万円を払ってまで豪華装備を欲しがる人が少ないのです。そのため、フルオプションのUXであっても、ベースグレードに近い価格まで落ちてくることがあり、装備内容にこだわって探す中古車バイヤーにとっては「宝の山」とも言える状況になっています。
どちらを買うべきか?資産価値の観点から考察
資産価値、つまり「将来高く売れること」を最優先にするのであれば、無理をしてでもNX、あるいはRXを選ぶべきであることは間違いありません。UXを新車や高年式の中古車で買うことは、資産防衛の観点からはリスクが高いと言わざるを得ません。
しかし、これは「売る人」にとってのデメリットであり、「買う人」にとっては最大のメリットです。不人気ゆえに価格が下がっているということは、本来の車両の性能や品質に対して、割安な価格札が付いている状態(アンダーバリュー)です。
「リセールなんて気にしない、乗り潰すつもりだ」あるいは「初期費用を徹底的に抑えてレクサスオーナーになりたい」という方にとって、UXのこの暴落ぶりは歓迎すべき事態です。300万円台で新車のヤリスクロスやヴェゼルを検討している予算があれば、少し走行距離の少ない上質なUXが射程圏内に入ってくるのですから。
【表で比較】UXとNXのボディサイズ・スペック
ここでは、サイズ感やスペックの違いを数値で確認しておきましょう。UXがいかにコンパクトであるかが分かります。
| 項目 | レクサス UX250h (2WD) | レクサス NX350h (2WD) | 差分(NX-UX) |
|---|---|---|---|
| 全長 | 4,495 mm | 4,660 mm | +165 mm |
| 全幅 | 1,840 mm | 1,865 mm | +25 mm |
| 全高 | 1,540 mm | 1,660 mm | +120 mm |
| ホイールベース | 2,640 mm | 2,690 mm | +50 mm |
| 車両重量 | 1,580 kg | 1,760 kg | +180 kg |
| 最小回転半径 | 5.2 m | 5.8 m | +0.6 m |
| 荷室容量 | 220 L | 520 L | +300 L |
| 燃費 (WLTC) | 22.8 km/L | 22.2 km/L | -0.6 km/L |
| 中古相場目安 | 180万〜350万円 | 350万〜650万円 | — |
この表から分かる通り、全長や全幅の差以上に、全高と荷室容量の違いが決定的です。しかし、最小回転半径5.2mという取り回しの良さはUXの圧倒的な武器であり、都市部での扱いやすさはNXを凌駕しています。
「壊れやすい」は本当か?UXの弱点と不具合
中古車価格が安いと「どこか壊れやすいのではないか?」と不安になるのは当然です。しかし、結論から言えばレクサスUXは機械としての信頼性は世界トップクラスです。なぜなら、中身の主要コンポーネントはトヨタの「カローラ」や「プリウス」、「C-HR」と共通の部分が多く、熟成された技術で作られているからです。とはいえ、中古車ならではの注意点は存在します。
引用 : TOYOTA HP (https://lexus.jp/models/ux/features/interior/)
ハイブリッドシステムの信頼性とバッテリー寿命
UXの主力グレードである「UX250h」には、2.0L直列4気筒エンジンとモーターを組み合わせたTHS II(トヨタ・ハイブリッド・システム)が搭載されています。このシステムは世界で最も実績のあるハイブリッドシステムであり、エンジン本体やモーターが突然壊れるというリスクは極めて低いです。
ただし、中古車市場で散見される「10万km超え」や「15万km超え」の激安個体を狙う場合は、駆動用バッテリー(ニッケル水素またはリチウムイオン)の寿命に注意が必要です。一般的にハイブリッドバッテリーの寿命は15万km〜20万kmと言われていますが、交換となると20万円前後の費用が発生します。
150万円台で売られているUXの多くは過走行車です。車両価格が安くても、購入直後にハイブリッドバッテリーの警告灯が点灯してしまっては、安物買いの銭失いになりかねません。診断機を使ってバッテリーセルの電圧バラツキを確認できる店で購入するか、バッテリー交換費用を予算に組み込んでおく覚悟が必要です。
電動パーキングブレーキや電装系のトラブル事例
現代の車の宿命ですが、UXも多くの電装品を搭載しています。特に報告が散見されるのが、電動パーキングブレーキのアクチュエーターの不具合や、ドアミラーの開閉不良です。これらはUX固有の欠陥というよりは、経年劣化によってどの車種でも起こりうるトラブルですが、レクサス純正部品は部品代がそれなりに高価です。
また、エアコンのコンプレッサーやナビゲーションシステムのフリーズなども、初期型(2018年〜2019年モデル)では稀に報告されています。試乗の際には、必ずエアコンを最大風量で稼働させたり、ナビの操作を一通り行ったりして、動作確認を徹底することをおすすめします。
経年劣化による内装の異音や軋み
「壊れる」というほどではありませんが、オーナーの満足度を下げる要因として「異音(ビビリ音)」があります。前述した通り、UXの内装には硬質プラスチックが多く使われている箇所があり、走行距離が伸びてボディや内装パーツが馴染んでくると、路面の段差を乗り越えた際などに「ミシミシ」「カタカタ」といった音が発生しやすくなります。
特にダッシュボード周りや、後席ドア付近からの異音は、静粛性の高いハイブリッド車だけに気になりがちです。これは走行性能には影響しませんが、「高級車に乗っている」という気分を削ぐ要因になります。中古車選びの際は、オーディオを消して試乗し、内装からのきしみ音がないか耳を澄ませてみてください。
リコール情報とメンテナンスの重要性
UXに関しては、過去に燃料ポンプの不具合や、ブレーキ制御コンピュータのプログラム書き換えなどのリコールが出ています。しかし、これらはトヨタ・レクサスの正規ディーラーできちんと対策されていれば問題ありません。
中古車を購入する際は、整備手帳(メンテナンスノート)を確認し、過去のリコール対策が実施済みか、また「半年点検」や「12ヶ月点検」がレクサスディーラーで定期的に行われていたかをチェックすることが重要です。レクサスオーナーはメンテナンスパックに加入している率が高いため、比較的状態の良い個体が多いのもUXの特徴です。しっかりとメンテナンスされてきた過走行車は、放置された低走行車よりも調子が良いことが多々あります。
実際に所有して分かったレクサスUXのデメリット
私は仕事柄多くの車に乗りますが、UXを実際に所有してみて感じた「カタログスペックでは見えないデメリット」について、オーナーとしての本音をお話しします。これから購入を検討している方には、ここが一番知りたい部分でしょう。
後部座席の狭さはファミリーユースに耐えうるか
はっきり申し上げます。中学生以上のお子さんがいる4人家族、あるいはチャイルドシートが必要な幼児がいる家庭の「メインカー」としてUXを使うのは、かなり厳しいです。
運転席と助手席を身長175cmの男性が適切なポジションに合わせると、後部座席の膝前スペースは拳1個分入るかどうかというレベルです。さらに、ルーフラインが後ろ下がりのデザインになっているため、後席の頭上空間も圧迫感があります。また、リアドアの開口部も狭く、チャイルドシートへの子供の乗せ降ろしは腰に負担がかかります。
「独身」や「カップル」、「子供が独立した夫婦」であれば全く問題ありませんが、後席に頻繁に人を乗せる使い方を想定しているなら、購入前に必ず家族全員で試乗し、後席の居住性を確認してください。ここを妥協すると、購入後に家族から不満が出て買い換えることになりかねません。
ラゲッジスペース(荷室)の容量不足問題
UXの最大の弱点と言われるラゲッジスペース。特にハイブリッドモデル(2020年の改良前)は、ラゲッジの床面が驚くほど高い位置にあります。開口部との段差がないのは荷物の出し入れには良いのですが、絶対的な高さ方向の容量が足りません。
スーパーの買い物カゴ2つ分程度なら問題ありませんが、IKEAやコストコで大きな買い物をしたり、家族4人で1泊旅行の荷物を積もうとすると、テトリスのように工夫して詰め込む必要があります。トノカバー(目隠し)を外せば多少は積めますが、後方視界を遮ることになります。
「SUVだから荷物が積めるだろう」という先入観は捨ててください。UXは「背の高いハッチバック」であり、積載能力はカローラスポーツと同等か、床が高い分それ以下と感じる場面もあります。
ロードノイズと乗り心地のリアルな評価
UXはスポーティな走りを目指して開発されており、ボディ剛性は非常に高く、ハンドリングはキビキビとしていて楽しい車です。しかし、その反面、足回りは「硬め」という評価になります。
特に「F SPORT」グレードに標準装備されているランフラットタイヤは、パンクしても走れるというメリットがある反面、サイドウォールが硬いため、路面の細かい凹凸を拾いやすく、「ゴツゴツ」とした突き上げ感を感じることがあります。また、タイヤが拾うロードノイズ(ゴーという音)も、静かなハイブリッド走行時やレクサスというブランドイメージからすると、「意外とうるさいな」と感じるレベルです。
2020年の年次改良以降や、特別仕様車ではランフラットタイヤをやめて通常のノーマルタイヤを採用しているモデルもあり、そちらは乗り心地がマイルドになっています。乗り心地を重視するなら、タイヤの種類やインチ数(18インチより17インチの方が快適)にも注目してください。
ナビ画面の操作性と旧世代リモートタッチ
2022年のビッグマイナーチェンジ以前のモデル(前期・中期型)における最大のストレス要因が、ナビゲーション操作を行う「リモートタッチ(トラックパッド)」です。ノートパソコンのタッチパッドのような操作感ですが、走行中に狙ったボタンにカーソルを合わせるのが非常に難しく、誤操作を誘発しやすいです。
現在のスマホやタブレットのような「画面タッチ操作」に慣れている人にとっては、このインターフェースは時代遅れで使いにくいと感じるでしょう。2022年以降の後期型ではタッチディスプレイ化され、このパッドは廃止されましたが、中古市場で安く出回っているのは大半がこの「パッド操作」のモデルです。
慣れればブラインド操作も可能ですが、慣れるまではナビの目的地設定一つでイライラする可能性があることを覚悟しておいてください。
それでもレクサスUXを中古で買うべき人の特徴
ここまで厳しい現実を突きつけてきましたが、それでも私はUXを手放していませんし、特定の人には「最高の相棒」になると確信しています。中古価格が暴落している今だからこそ、UXは最強のコストパフォーマンスを発揮します。以下のような条件に当てはまる人には、強くおすすめします。
とにかく初期費用を抑えてレクサスに乗りたい人
「レクサス」というブランドには憧れるけれど、新車やNXは予算オーバー。そんな方にとって、総額200万円台前半から狙えるUXは救世主です。エンブレム、塗装の品質、ディーラーでの対応(CPO購入の場合)は、間違いなくレクサスの世界観そのものです。
腐ってもレクサス。隣に軽自動車やコンパクトカーが並んだ時の優越感や、ホテルやゴルフ場への乗り入れ時の安心感は、150万円〜200万円で買える車の中では群を抜いています。見栄と言われようが、安く高級ブランドに乗ることは賢い消費者行動の一つです。
取り回しの良さと立体駐車場に入るサイズ感を重視する人
都心のマンションに住んでいる方にとって、最大のハードルが「機械式立体駐車場」のサイズ制限です。多くの機械式駐車場は「全幅1850mm以下」「全高1550mm以下」という制限があります。
NXやハリアー、最近のSUVの多くは全幅が1850mmを超えたり、全高が高すぎたりして入庫できません。しかしUXは、全幅1840mm、全高1540mmと、この制限に見事に収まるサイズに設計されています。 「レクサスのSUVに乗りたいけど、駐車場に入らない」という悩みを解決できるのは、現行ラインナップではUX(とLBX)だけです。このサイズ感こそがUXの真骨頂であり、都市生活者にとっては代えがたい価値となります。
1人〜2人乗車がメインで後席を使わない人
前述の「狭い」というデメリットは、後席を使わない人にとっては全く関係のない話です。運転席と助手席の空間は十分に広く、設計もドライバー中心に作られているため、コックピットに収まった時の包まれ感やドライビングポジションの良さは素晴らしいものがあります。
通勤、買い物、パートナーとのドライブ。これらが用途の9割を占めるのであれば、無駄に広い後席や巨大なラゲッジは空気運んでいるようなものです。パーソナルカーとして割り切って使う分には、UXは非常に贅沢で満足度の高いクーペのようなSUVとして機能します。
燃費性能とランニングコストを最優先する人
維持費の安さも特筆すべき点です。UX250hの実燃費は、街乗りでも18km/L〜20km/L、流れの良い郊外なら23km/L以上走ることも珍しくありません。レギュラーガソリン仕様であることも財布に優しいポイントです。
輸入車のSUVや、排気量の大きいNXと比較すると、ガソリン代と自動車税の安さは圧倒的です。車両本体が安く買えて、日々の維持費も安い。浮いたお金で美味しいものを食べたり、旅行に行ったりする。車そのものへの投資よりも、車を使ったライフスタイルの充実にお金を使いたい人にとって、中古のUXは最高の選択肢となります。
中古UX選びで失敗しないためのチェックポイント
最後に、中古のUXを購入する際に「ハズレ」を引かないための具体的な選び方のコツを伝授します。安さだけで飛びつくと後悔します。
狙い目の年式と避けるべき過走行車両
個人的な狙い目は、2019年〜2020年式の走行距離3万km〜5万kmの個体です。このあたりの年式は初期不良も落ち着いており、価格の下落幅も大きいため、最もコスパが良いゾーンです。価格帯としては総額230万円〜280万円あたりが目安になります。
逆に避けるべきは、150万円台〜180万円台の激安車両です。これらは走行距離が10万kmを超えているケースが多く、前述したハイブリッドバッテリーや足回りのブッシュ類、ショックアブソーバーの交換時期が迫っています。購入後に30万円、50万円と修理費がかかっては意味がありません。「安物買いの銭失い」を避けるためにも、ある程度の残存価値が残っている個体を選びましょう。
必須オプション(三眼LED・ムーンルーフ)の有無
リセールを気にしないと言っても、所有満足度の観点から以下の2つのオプションはこだわって探すべきです。
- 三眼フルLEDヘッドランプ:見た目の精悍さが全く違います。標準の単眼ライトだと、少しのっぺりした印象になりがちです。夜間の視認性もアダプティブハイビームシステム(AHS)が付くため格段に良いです。
- ムーンルーフ:室内の狭いUXだからこそ、頭上の開放感を得られるムーンルーフの効果は絶大です。リセールにもプラスに働きますし、何より車内の明るさが変わります。
これらが付いている個体は人気ですぐ売れてしまいますが、根気よく探す価値はあります。
「F SPORT」と「version L」どちらを選ぶべきか
グレード選びで迷ったら、自分の好みに合わせて以下の基準で選んでください。
- F SPORT:専用のグリル、専用シート、専用メーター、少し硬めのサスペンション。スポーティな見た目と走りが好きな人向け。市場の流通量が多く、リセールも比較的安定しています。
- version L:本革シート(ベンチレーション機能付き)が標準装備され、快適装備が充実したラグジュアリー仕様。乗り心地はF SPORTよりマイルド。高級感を重視するならこちら。
ベースグレードや「version C」は価格は安いですが、内装の質感(シートがファブリック等)が落ちるため、満足度を考えると上位2グレードをおすすめします。
認定中古車(CPO)と一般中古車店の選び方
安心を金で買うなら、レクサスディーラーが扱う「CPO(認定中古車)」一択です。2年間の走行距離無制限保証や、無料メンテナンスが付帯し、レクサスオーナーズラウンジも利用可能です。ただし、車両価格は高めです。
コスト優先なら一般の中古車店ですが、その際は必ず「保証内容」を確認してください。ハイブリッドシステムやエアコンなどの高額部品が保証対象になっているか。保証期間は十分か。ここがしっかりしていれば、一般店で安く購入するのも賢い選択です。
まとめ
レクサスUXの中古車が安いのには、「SUVとしての実用性不足」「身内ライバルの存在」「輸出需要の弱さ」といった明確な理由があります。新車で購入したオーナーにとっては、資産価値が目減りする辛い現実ですが、これから中古車を購入しようとしているあなたにとっては、この上ないチャンスです。
- 実用性よりもスタイルや取り回しを重視する
- 後席にはほとんど人を乗せない
- とにかく安く、維持費も抑えてレクサスに乗りたい
もしあなたがこれらに当てはまるなら、UXは最高の相棒になります。150万円台の過走行車という極端な例に惑わされず、適正なコンディションの車両を200万円台で手に入れれば、その価格以上の満足感と「レクサスのある生活」を享受できるでしょう。
世間の評判やリセールバリューという数字に振り回されず、あなたのライフスタイルにUXがフィットするかどうか。そこさえクリアできれば、これほど賢い買い物はありません。ぜひ、あなたにぴったりの一台を見つけてください。

