モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。今回も多く寄せられている質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、新型RAV4の購入を検討しつつも「維持費が高すぎるのではないか」という不安を感じていることと思います。私自身もRAV4を所有し、開発現場や市場動向を見てきた経験から、その懸念は非常に合理的であると断言できます。特にタイヤの大型化によるコスト増は、従来のSUVの常識を覆すレベルに達しています。

引用 : メーカーHP
この記事を読み終える頃には、新型RAV4の維持費における懸念がすべて解消し、納得して購入(あるいは見送り)の判断ができるようになっているはずです。
- 19インチタイヤの交換費用は4本で15万円から20万円が相場
- ハイブリッド車は燃費性能に優れるが自動車税と重量税が割高
- アドベンチャーグレードの専用装備は修理や部品交換が割高
- リセールバリューの高さが最終的な所有コストを劇的に下げる
車買い替えのご検討中の方へ
新しい車に乗り換える際、今乗っている愛車をどれだけ高く売却できるかは、次の車の選択肢にも大きく影響します。
私自身、一括見積もりサイトを活用したことで、ホンダヴェゼルからレクサスRXに乗り換えることができました。
CTN一括査定は自動車業界紙にも多数掲載されているので、安心してご利用できます。
新型RAV4の維持費を左右する「タイヤ大型化」の真実
新型RAV4、特に上位グレードや「Adventure(アドベンチャー)」、特別仕様車の「OFFROAD package」を検討している方が最も驚くのが、タイヤの交換コストです。ここでは、なぜここまでコストが跳ね上がるのか、その深層を探ります。
引用 : メーカーHP
19インチタイヤが家計を圧迫する理由
現行の5代目RAV4では、デザイン性と走破性を両立させるために、19インチという大径ホイールが採用されています。一昔前であれば、19インチは高級スポーツカーや大型プレミアムSUVに限定されたサイズでしたが、今はミドルサイズSUVの標準になりつつあります。
しかし、サイズが大きくなれば当然、タイヤ1本当たりの単価は跳ね上がります。ゴムの量、構造の補強、そして物流コスト。これらすべてが17インチや18インチとは別次元です。
タイヤサイズ別の価格目安(4本合計・工賃別)
| タイヤサイズ | 装着グレード例 | 国産ブランド(エコ/街乗り) | プレミアム/オールテレーン |
|---|---|---|---|
| 225/65R17 | X, ハイブリッドX | 約60,000円〜 | 約90,000円〜 |
| 225/60R18 | G, ハイブリッドG | 約85,000円〜 | 約120,000円〜 |
| 235/55R19 | Adventure, G “Z package” | 約120,000円〜 | 約180,000円〜 |
このように、エントリーグレードの17インチと上位グレードの19インチでは、交換費用に2倍以上の差が生じます。車検のタイミングで「はい、タイヤ代で20万円です」と言われて絶句するオーナーが後を絶たないのが現実です。
オールテレーンタイヤの寿命とコストの罠
Adventureグレードに装着されている「オールテレーンタイヤ」は、オフロード走行を想定した深い溝が特徴です。見た目は非常にタフで格好良いのですが、舗装路(オンロード)をメインで走る場合、一般的なサマータイヤよりも摩耗が早くなる傾向があります。
特に夏場の高温になったアスファルトでは、柔らかいコンパウンドが削れやすく、消しゴムのように減っていくこともあります。また、ロードノイズを抑えるための特殊な構造を採用しているため、単価も高くなりがちです。
摩耗を早める要因
- SUV特有の車両重量: ハイブリッドE-Fourモデルでは1.9トン近くに達し、タイヤへの面圧が非常に高い。
- 高い重心: コーナリング時に外側のショルダー部に大きな負荷がかかり、偏摩耗(外減り)を誘発する。
- 低空気圧走行: SUVらしく見せるために太いタイヤを履いているが、空気圧管理を怠ると劣化が加速する。
スタッドレスタイヤ選びの絶望感
雪国に住む方や、ウィンタースポーツを楽しむ方にとって、スタッドレスタイヤの購入は必須です。ここでも19インチの壁が立ちはだかります。
19インチのスタッドレスタイヤをホイールセットで購入しようとすると、安く見積もっても25万円、ブリヂストンなどのトップブランドを選べば30万円を超えることも珍しくありません。多くのオーナーは、冬場だけ17インチに「インチダウン」することでコストを抑えていますが、そのための予備ホイール代(4本で5〜8万円)も初期投資として必要になります。
燃料費と税金から見るRAV4の「実質」維持費
タイヤ以外にも、維持費を構成する要素は多岐にわたります。特に「ガソリン車」と「ハイブリッド車」では、その構造が大きく異なります。
引用 : メーカーHP
自動車税:排気量による微妙な差
RAV4のエンジンラインナップは、2.0Lガソリンと2.5Lハイブリッド(およびPHV)です。
| エンジン種類 | 排気量 | 自動車税(年額) |
|---|---|---|
| ガソリン車 | 1,986cc | 36,000円 |
| ハイブリッド車 | 2,487cc | 43,500円 |
ハイブリッド車は、燃費が良い一方で、毎年の自動車税がガソリン車よりも7,500円高くなります。これを10年維持すれば75,000円。この差を燃料代で取り戻せるかどうかが、損得勘定の分かれ目になります。
重量税とエコカー減税の恩恵
一方で、重量税に関してはハイブリッド車に分があります。
- ガソリン車: エコカー減税の対象外、または減税率が低いため、新車購入時や車検時に相応の負担が発生します。
- ハイブリッド車: 免税または大幅減税の対象となるため、初期費用と初回の車検費用を抑えることが可能です。
長期保有(10年以上)を前提とする場合、13年経過後の増税リスクなども考慮すると、トヨタのハイブリッドユニットの信頼性と税制優遇は大きなメリットと言えるでしょう。
実燃費のシミュレーション
カタログ数値(WLTCモード)ではなく、実際のオーナーの声を反映した実燃費で計算します。
年間走行距離10,000kmの場合(レギュラー170円/L計算)
| 項目 | ガソリン車 (4WD) | ハイブリッド車 (E-Four) |
|---|---|---|
| カタログ燃費 | 15.2km/L | 20.6km/L |
| 実燃費(平均) | 約11.5km/L | 約18.5km/L |
| 年間使用燃料量 | 約870L | 約540L |
| 年間ガソリン代 | 147,900円 | 91,800円 |
差額は約56,000円。ハイブリッド車の車両本体価格は約60万円高いため、単純計算で10年以上乗らないとガソリン代だけでは元が取れません。ただし、後述するリセールバリューを含めると話は変わってきます。
点検・整備・消耗品:SUVならではのチェックポイント
RAV4はタフなSUVとして設計されていますが、その性能を維持するためには繊細なメンテナンスが求められます。
引用 : メーカーHP
オイル交換の頻度と粘度指定
最新のダイナミックフォースエンジンは、極めて緻密な設計がなされています。
指定オイルは「0W-8」や「0W-16」といった超低粘度オイルです。これらは摩擦抵抗を極限まで減らして燃費を稼ぐためのものですが、従来のオイルに比べて酸化しやすく、交換サイクルを守らないとエンジンの寿命を著しく縮めます。特にハイブリッド車はエンジンの始動と停止を繰り返すため、水分が混入しやすく、5,000kmごとの交換が推奨されます。
ブレーキパッドとフルードの摩耗傾向
車重が重いSUVにとって、ブレーキは命綱です。
- ガソリン車: 全重量を物理ブレーキで止めるため、特に下り坂を多用する方は摩耗が早いです。
- ハイブリッド車: モーターによる「回生ブレーキ」が強力なため、パッドは驚くほど長持ちします。
- ブレーキフルード: 水分を吸収しやすいため、車検ごとの交換は必須です。これを怠ると、高額なABSアクチュエーターの故障(修理費20万円以上)を招く恐れがあります。
4WDシステムのメンテナンス
RAV4には3種類の4WDシステムが存在し、それぞれ維持費が異なります。
- ダイナミックトルクコントロール4WD(ガソリンX): コンベンショナルなシステム。オイル交換は安価。
- ダイナミックトルクベクタリングAWD(Adventure / GZ): 旋回性能を高める機構。デフオイルが特殊で、交換費用がやや高い。
- E-Four(ハイブリッド): プロペラシャフトがないため駆動系オイルの管理は楽。ただし、リアモーターの故障は高額。
車検費用:3年目、5年目に突きつけられる現実
新車で購入した後の最大のイベントが車検です。
初回車検(3年目)の費用内訳
3年目はまだ新しいこともあり、消耗品交換は少ないです。
- 自賠責・重量税・印紙代:約4〜6万円
- 点検基本料:約3〜5万円
- 油脂類交換:約1〜2万円
- 合計目安:約10〜13万円
2回目車検(5年目)で跳ね上がる理由
5年目になると、メーカー保証が切れるタイミングと重なります。
ここで前述の「19インチタイヤ(20万円)」、「バッテリー(6万円)」、「Vベルト」、「冷却水(LLC)」などの交換が重なると、車検見積もりが一気に40万円を超えるケースがあります。これが「RAV4の維持費は高い」と言われる最大の原因です。
任意保険:SUVの料率クラスと事故リスク
自動車保険(任意保険)の保険料は「型式別料率クラス」によって決まります。
RAV4の料率クラスと盗難リスク
RAV4は世界中で人気があるため、残念ながら日本国内でも盗難のターゲットになりやすい車種です。
- 車両保険料への影響: 盗難リスクが高い車種は車両保険の料率クラスが上がります。
- 修理費の高さ: LEDヘッドライト1個で15万円以上するため、軽微な接触でも保険を使うことになり、クラスが下がりにくい。
- 対人・対物: 衝突安全性能が高い一方、相手車両への攻撃性も高いため、保険料はコンパクトカーの1.5倍程度を見込む必要があります。
盗難対策コストという隠れた維持費
保険料を抑えるため、あるいは愛車を守るために必要なコストがあります。
- 物理対策: ハンドルロック、タイヤロック(数千円〜数万円)
- 電子対策: 社外セキュリティ(GrgoやCLIFFORDなど:15万円〜30万円)
- CANインベーダー対策: キーレスの電波を遮断するポーチなど
これらはカタログ上の維持費には載りませんが、RAV4を所有する上での「必須経費」と考えた方が賢明です。
トヨタ・セーフティ・センスのメンテナンス
最新の安全装備「Toyota Safety Sense」は、ドライバーを強力にサポートしますが、維持管理には注意が必要です。
センサーのキャリブレーション(エーミング)
フロントガラス上部のカメラや、グリル内のレーダー。これらはミリ単位の精度で取り付けられています。
もし飛び石でフロントガラスを交換する場合、ガラス代(約10万円)に加えて、カメラの認識を再設定する「エーミング作業(約2〜3万円)」が発生します。SUVは車高が高く、高速道路で前車の跳ね上げた石を食らいやすいため、車両保険に加入しておくことは必須と言えます。
ソフトウェアアップデート
最近のRAV4は通信機能を備えており、ソフトウェアの更新で性能が改善されることがあります。基本は無料ですが、保証期間が過ぎた後にハードウェアの不具合が露呈した場合、その対応費用が発生する可能性があります。
故障と保証:長く乗るための「つくしプラン」
「維持費が高い」という不安を解消する一つの手段が、トヨタの延長保証「つくしプラン」です。
高額部品の故障事例
新型RAV4は熟成されていますが、複雑な機械ゆえに故障のリスクはゼロではありません。
- 電動パーキングブレーキ: 故障すると数万円。
- パワーバックドア: センサーやモーターの不具合で10万円以上。
- ハイブリッドバッテリー: 15万km〜20万km走行後には20万円以上の交換費用が発生。
これらをカバーする「つくしプラン」の加入料(数千円〜)は、将来の大きな出費に対する「保険」として、私は強く加入を勧めています。
アドベンチャーグレード特有の維持費
私が所有しているAdventureグレードは、最もSUVらしく、最も格好良い選択肢ですが、維持費の面では少し「わがまま」な側面があります。
専用外装パーツの修理・交換
Adventure専用のフロントグリルやバンパー。これらは標準グレードとの互換性がありません。
もし自損事故で破損させた場合、中古パーツの流通量が少ないため、新品部品を取り寄せるしかありません。また、マットブラック塗装のパーツなどは修理が難しく、交換対応となるため費用が高止まりします。
足回りの過酷な使用条件
「Adventure」という名前通り、未舗装路や雪道へ積極的に踏み出すオーナーが多いのもこのグレードの特徴です。
- ドライブシャフトブーツの破損: 泥や小石が噛むことでゴムが切れやすくなる。
- ブッシュのヘタリ: 激しい段差越えは、ゴム部品の劣化を早める。
「オフロードを走れる車」ですが、「オフロードを走ってもノーダメージな車」ではありません。遊んだ分だけ、メンテナンス費用という「代償」が必要なのです。
賢く維持費を抑えるための5つの戦略
ここまで「高い」話ばかりしてきましたが、工夫次第で維持費を劇的に下げることは可能です。
1. タイヤは「ネット購入+持ち込み交換」一択
ディーラーでタイヤ交換をするのは、最も贅沢な選択です。
楽天やAmazonなどでタイヤを購入し、近所のタイヤプロショップやガソリンスタンドへ持ち込むだけで、19インチなら合計で5〜8万円は安くなります。特に「ミシュラン」や「ヨコハマ」などの一流ブランドでも、ネットなら驚くほど安く手に入ります。
2. インチダウンという合理的な選択
見た目よりも実利を取るなら、17インチへのインチダウンは最強の維持費削減策です。
- 燃費の向上: ホイールが軽くなるため、発進加速がスムーズになり、燃費が改善する。
- 乗り心地: タイヤの肉厚が増えるため、路面からの突き上げがマイルドになる。
- 価格: タイヤ交換費用が半額になる。
3. 車検の見積もりを精査する
ディーラーの「お任せ車検」は禁物です。
- ワイパーゴム交換: カー用品店で1,000円。ディーラーなら3,000円。
- エアコンフィルター: 自分で替えれば2,000円。ディーラーなら5,000円。
- 下回り防錆塗装: 雪国でなければ毎回行う必要はない。
これらを精査するだけで、車検費用は2〜3万円簡単に下がります。
4. 任意保険をダイレクト系に見直す
代理店型(ディーラー型)からダイレクト型(通販型)へ切り替えるだけで、補償内容を変えずに保険料を30〜50%カットできる可能性があります。RAV4は年間保険料が高いため、この数パーセントの差が年間数万円の節約に直結します。
5. リセールバリューを意識した乗り換え
「維持費」の真の計算式は以下の通りです。 【(車両価格 + 維持費 + 税金) - 売却価格】 ÷ 保有期間
RAV4はこの「売却価格」が異常に高いため、実は月々の実質負担額は軽自動車と大差ないケースもあります。3年、あるいは5年の車検前に「高値で売って、新車へ乗り換える」。これが、実は最も賢いRAV4の「維持」方法かもしれません。
競合SUVとの維持費比較
RAV4のライバル車と比較して、RAV4の立ち位置を確認しましょう。
トヨタ・ハリアー vs RAV4
ハリアーは中身がほぼ同じですが、コンセプトが異なります。
- ハリアー: 都会派。19インチの設定もあるが、タイヤはオンロード専用のエコタイヤが主流で、Adventureのタイヤよりは少し安い。
- RAV4: 4WD性能に振っている分、駆動系オイルの交換頻度がハリアーより高くなる傾向がある。
日産・エクストレイル (T33) vs RAV4
日産のe-POWERは非常に魅力的ですが、維持費の面ではどうでしょうか。
- エクストレイル: 100%モーター駆動のため、ブレーキの減りはRAV4ハイブリッドと同様に少ない。しかし、発電用エンジンとモーターの制御が複雑で、長期保有時の修理費はトヨタ(RAV4)の方が予測しやすい。
新型RAV4を所有する「喜び」と「コスト」のバランス
維持費は確かに高いですが、それを上回る価値がこの車にはあります。
SUV界の「スイスアーミーナイフ」
RAV4の魅力は、その圧倒的な汎用性にあります。
私はスーパーカーやビンテージGT-Rも所有していますが、それらと比較しても、RAV4の「道具としての完成度」は群を抜いています。家族を乗せ、大量のキャンプ道具を積み、雪道をものともせず、それでいて高速道路ではACC(アダプティブクルーズコントロール)で快適に移動できる。 この「全能感」に対して支払う維持費と考えれば、19インチタイヤ代も「納得のコスト」に変わるはずです。
結論:新型RAV4の維持費は「コントロール可能」である
「新型RAV4は維持費が高すぎる」という噂の正体は、主に「無知による過剰支出」です。
タイヤ選び、保険選び、そしてメンテナンスの優先順位。これらをオーナー自身が判断すれば、RAV4は決して経済を圧迫するような車ではありません。
購入前に確認すべき3つのチェックリスト
- タイヤ代: 2〜3年に一度、15万円の出費を計画に組み込めるか。
- 走行距離: 月1,000km以上走るならハイブリッド、それ以下ならガソリン車の方が生涯コストは安い。
- 出口戦略: 5年後にいくらで売れるかを想定しているか。
これらをクリアできるのであれば、RAV4は間違いなくあなたを後悔させない最高の相棒になってくれるでしょう。
まとめ
新型RAV4の維持費が高いと言われる最大の理由は、タイヤの大型化とSUV特有の重量にあります。 しかし、本レビューで紹介したような対策を講じれば、決して「維持できない車」ではありません。
むしろ、圧倒的なリセールバリューという強力な武器があるため、出口戦略(売却)まで含めたトータルコストでは、他の車よりも圧倒的に有利になるケースがほとんどです。
「維持費が高いから」と諦めるのはもったいない。 賢く備え、賢く運用することで、RAV4との豊かなカーライフをぜひ手に入れてください。
二階堂仁 プロフィール
モータージャーナリスト兼コラムニストとして活動。慶應義塾大学卒業後、大手自動車メーカーに就職。車両開発の最前線でサスペンションや駆動系の設計に携わり、自動車の「骨格」を知り尽くす。その後、自身の知見をより広く伝えるため出版業界へ転身。 現在は独立し、専門誌への寄稿やYouTubeでの試乗レビュー、ユーザー向けの購入相談を行っている。 忖度のない鋭い分析が持ち味。愛車はレクサスLFA、日産スカイラインGT-R R34、そして実用車として新型RAV4を日常の足として使い倒している。

