モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。
「GLS」の購入を検討中の方は、総額や維持費に不安を感じているはずです。歴代モデルを所有してきた私自身、新モデルが出るたびに「維持費で生活が圧迫されないか」と同じ悩みを抱きます。
引用 : メルセデスベンツHP
「SクラスのSUV版」と称される豪華さと安心感は唯一無二ですが、相応の対価も必要です。本記事では、カタログだけでは見えないリアルな維持費や賢い購入方法を、私の経験を交えて徹底解説します。
読み終える頃には、正確な見積もりから10年先のメンテナンス費用までの疑問がすべて解決しているでしょう。
- グレード別車両本体価格と諸費用を含めた最新の乗り出し総額
- 残クレと通常ローンにおける具体的な月々支払額の徹底シミュレーション
- 燃料代やタイヤ代などフラッグシップSUV特有の年間維持費の実態
- 3年目から11年目までディーラー車検で発生するリアルな整備費用
車買い替えのご検討中の方へ
新しい車に乗り換える際、今乗っている愛車をどれだけ高く売却できるかは、次の車の選択肢にも大きく影響します。
私自身、一括見積もりサイトを活用したことで、ホンダヴェゼルからレクサスRXに乗り換えることができました。
CTN一括査定は自動車業界紙にも多数掲載されているので、安心してご利用できます。
メルセデス・ベンツGLSのグレード別乗り出し価格の詳細
メルセデス・ベンツGLSを新車で購入する際、多くのユーザーが驚くのが「諸費用の重さ」です。 特に2.5トンを超える巨体、そしてISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)を搭載した最新パワートレインは、税制面で有利な点と、逆に車両価格の高さゆえに高額になる項目が混在しています。
引用 : メルセデスベンツHP
ここでは、現在展開されている主要3グレードの「現実的な乗り出し価格」を算出します。
GLS 450 d 4MATIC(ISG搭載モデル)の乗り出し総額
日本市場におけるGLSの主役は、間違いなくこの「450 d」です。 3.0L直列6気筒クリーンディーゼルエンジンと48V電気システムの組み合わせは、静粛性と爆発的なトルクを両立しています。
| 項目 | 内容・金額(推定) |
|---|---|
| 車両本体価格 | 15,340,000円 |
| オプション費用(AMGライン・レザーエクスクルーシブ等) | 約1,800,000円 |
| 自動車税種別割 | 51,000円(登録月により変動) |
| 自動車重量税 | 0円(エコカー減税適用の場合) |
| 自賠責保険料(37ヶ月) | 24,110円 |
| 環境性能割(旧・自動車取得税相当) | 約450,000円 |
| 登録諸費用・リサイクル料金 | 約100,000円 |
| 合計(乗り出し価格目安) | 約17,765,110円 |
ディーゼル特有の税制メリット
GLS 450 dの最大の強みは、クリーンディーゼル車としての免税・減税措置です。 2.5トンを超える車重であれば、通常なら数万円かかる重量税が「0円」になるメリットは非常に大きく、購入時の負担を数十万円単位で軽減してくれます。 ただし、オプションを盛り込むと車両価格自体が挑ね上がるため、最終的な支払額は1,800万円近くになるのが一般的です。
GLS 580 4MATIC Sport(ISG搭載モデル)の乗り出し総額
「やはりSUVでもV8の鼓動を感じたい」という層に根強い人気を誇るのがGLS 580です。 4.0L V型8気筒ツインターボエンジンは、ISGのサポートにより、信号待ちからの発進でも巨体を感じさせない滑らかさを提供します。
| 項目 | 内容・金額(推定) |
|---|---|
| 車両本体価格 | 20,510,000円 |
| オプション費用(標準装備が多いため控えめ) | 約1,000,000円 |
| 自動車税種別割 | 66,500円(登録月により変動) |
| 自動車重量税 | 73,800円(エコカー減税対象外) |
| 自賠責保険料(37ヶ月) | 24,110円 |
| 環境性能割 | 約615,000円 |
| 登録諸費用・リサイクル料金 | 約100,000円 |
| 合計(乗り出し価格目安) | 約22,389,410円 |
V8モデルが背負う「高級車としての宿命」
GLS 580は排気量が大きいため、毎年の自動車税も450 dより一段階高くなります。 また、燃費基準の関係でエコカー減税の対象外となるため、重量税や環境性能割が満額かかります。 さらに、2,000万円を超える車両価格に対しては環境性能割の料率も高く設定されるため、諸費用だけで200万円近い予算を見ておく必要があります。
メルセデス・マイバッハ GLS 600 4MATICの乗り出し総額
究極のラグジュアリーを体現するのが、マイバッハブランドからリリースされている「GLS 600」です。 もはやSUVという枠を超え、移動するプライベートジェットのような空間が広がります。
| 項目 | 内容・金額(推定) |
|---|---|
| 車両本体価格 | 32,200,000円 |
| オプション費用(マニュファクチュール等) | 約3,000,000円 |
| 諸費用合計 | 約2,800,000円 |
| 合計(乗り出し価格目安) | 約38,000,000円 |
マイバッハの場合、ツートーンカラーのペイントだけで200万円以上の追加費用がかかる場合もあり、こだわればこだわるほど乗り出し価格は4,000万円を超えていきます。
メルセデス・ベンツGLSの残クレ(残価設定ローン)支払シミュレーション
GLSのような高額なフラッグシップモデルを現金一括で購入する方は、実はそれほど多くありません。 多くのオーナーが利用しているのが、車両価格の一部を将来の下取り価格(残価)として据え置く「ウェルカムプラン(残価設定型ローン)」です。
引用 : メルセデスベンツHP
GLS 450 d 4MATICの残クレ支払額(頭金300万円の場合)
もっとも一般的な3年、5年のプランでシミュレーションしてみましょう。 (金利:キャンペーン適用時の1.90%〜通常時の2.90%を想定)
| プラン | 3年プラン(36回) | 5年プラン(60回) |
|---|---|---|
| 乗り出し総額 | 17,765,110円 | 17,765,110円 |
| 頭金 | 3,000,000円 | 3,000,000円 |
| ローン元金 | 14,765,110円 | 14,765,110円 |
| 据置額(残価) | 約8,800,000円 (57%) | 約6,100,000円 (40%) |
| 月々支払額 | 約185,000円 | 約161,000円 |
| ボーナス払い | 0円 | 0円 |
残価設定のカラクリと「精算」の恐怖
GLSはSUVブームの影響もあり、残価率が非常に高く設定されています。 月々10万円台後半で「1,700万円超の車」に乗れるのは非常に魅力的ですが、注意すべきは返却時の条件です。 年間の走行距離制限(10,000kmなど)を1kmでもオーバーすると、1kmあたり数十円の精算金が発生します。 また、大型車ゆえに擦りやすいバンパーや、21インチを超える巨大なホイールのガリ傷も、返却時の査定に大きく響きます。
GLS 580 4MATIC Sportの残クレ支払額(頭金500万円の場合)
V8モデルはさらに価格帯が上がるため、頭金を多めに入れるケースが目立ちます。
| プラン | 3年プラン(36回) | 5年プラン(60回) |
|---|---|---|
| 乗り出し総額 | 22,389,410円 | 22,389,410円 |
| 頭金 | 5,000,000円 | 5,000,000円 |
| 据置額(残価) | 約11,000,000円 | 約8,200,000円 |
| 月々支払額 | 約232,000円 | 約198,000円 |
月々20万円前後の支払いは、経営者の方が法人名義で契約し、リース感覚で経費化する際に非常に「収まりの良い」金額となります。
メルセデス・ベンツGLS의 通常ローン(フルローン)支払シミュレーション
「残価を気にせず、長く乗り続けたい」「最終的には自分の資産にしたい」という方には、通常の自動車ローンが選択肢に入ります。
GLS 450 d 4MATICを5年通常ローンで購入
頭金を一切入れないフルローンの場合、支払額は異次元の領域に突入します。
- ローン合計額:17,765,110円
- 支払期間:60ヶ月(5年)
- 実質年率:2.5%
- 月々支払額:約315,200円
銀行ローンという選択肢
ディーラーローン(2.5%〜)に対し、地方銀行などの自動車ローンを活用すれば、1%台の金利を狙える場合があります。 1,700万円の元金に対して1%の金利差は、5年間で約40万円〜50万円もの差額を生みます。 GLSを購入できるような属性の方であれば、銀行融資の審査も通りやすいため、手間を惜しまず比較することをお勧めします。
メルセデス・ベンツGLSの年間維持費を徹底分析
さて、ここからは「買った後の話」です。 GLSを維持することは、並大抵の覚悟では務まりません。 車重2.5トン超、全長5.2メートルの巨体は、あらゆる消耗品をハイスピードで消費していくからです。
燃料代と油種:ディーゼル vs ガソリンの決定的な差
年間10,000km走行、現在の燃料価格(軽油150円/L、ハイオク185円/L)を前提としたシミュレーションです。
| 項目 | GLS 450 d (ディーゼル) | GLS 580 (V8ガソリン) |
|---|---|---|
| 実燃費(高速・街乗り平均) | 約10.5km/L | 約5.5km/L |
| 燃料単価 | 150円/L | 185円/L |
| 年間燃料代 | 約142,857円 | 約336,363円 |
長距離ツアラーとしての450 dの価値
驚くべきことに、450 dと580では、燃料代だけで年間20万円近い差が発生します。 5年所有すれば100万円です。 ディーゼルモデルは一度の満タン(90Lタンク)で、高速道路なら1,000km近い巡航が可能です。 給油回数が少なくて済むという「時間の節約」も、忙しいオーナーにとっては大きなメリットとなります。
タイヤ代:21インチ〜23インチという「巨大な消耗品」
GLSの維持費において、オーナーを最も悩ませるのがタイヤです。 このクラスのSUVは、重い車重を支えるために、想像以上にタイヤを酷使します。
| サイズ | 主なタイヤ銘柄 | 4本交換費用(目安) |
|---|---|---|
| 21インチ | コンチネンタル、ピレリ等 | 約350,000円 |
| 22インチ | ミシュラン、コンチネンタル等 | 約500,000円 |
| 23インチ(マイバッハ) | ピレリ P ZERO等 | 約700,000円 |
なぜタイヤが持たないのか?
GLSには「AIRMATICサスペンション」が備わっており、乗り心地は極めてフラットですが、コーナリングやブレーキング時にタイヤにかかるストレスは物理法則から逃れられません。 特にフロントタイヤの外側が削れやすく、20,000kmを過ぎたあたりで「まだ溝はあるが、サイドがツルツル」という状態になりがちです。 2年に1回、あるいは車検ごとに数十万円のタイヤ代が発生することを予算に組み込んでおく必要があります。
任意保険:高額車両ゆえのプレミアム価格
車両価格が1,500万円〜3,000万円を超えるため、一般的な自動車保険の枠組みでは収まらないことがあります。
- 年間保険料目安:250,000円 〜 450,000円
- GLSは「盗難リスク」も高く、車両保険金額が大きいため、保険料は高騰します。
- 修理費用も高額です。例えば「ヘッドライト片側」の交換だけで、デジタルライトの部品代と工賃を合わせて約50万円かかります。
- 「10等級以下」などの若いドライバーが車両保険付きで加入しようとすると、年間100万円近い見積もりが出ることも珍しくありません。
駐車場:サイズという「隠れた維持費」
GLSを維持する上で、実は最も苦労するのが「物理的なスペース」です。
- 全長:5,210mm
- 全幅:1,955mm 〜 2,030mm(ミラー含まず)
都心のマンションに多い「全幅1,850mm制限」や「全幅1,900mm制限」の機械式駐車場には、まず入りません。 大型車専用の平置き駐車場を探す必要がありますが、都内の主要エリアであれば、駐車場代だけで月額5万円〜8万円、高い場所では10万円を超えることもあります。
メルセデス・ベンツGLSのディーラー車検費用
新車から3年間は「メルセデス・ケア」により、オイル交換やワイパー交換、故障修理の多くが無料です。 しかし、この魔法が切れた瞬間に、維持費のフェーズは一段階上がります。
初回車検(3年目)の費用
走行距離が30,000km未満であれば、大きな部品交換は発生しません。
- 費用目安:約200,000円 〜 250,000円
- 法定費用(自賠責・重量税等):約75,000円(ディーゼルは優遇あり)
- 代行手数料・基本検査料:約60,000円
- メルセデス・ケア対象外の諸作業:約80,000円
- ポイント: ここでタイヤ交換を勧められることが多く、その場合はプラス40万円となります。
2回目車検(5年目)の費用
ここが最初の「壁」です。「メンテナンスプラス(延長保証)」が終了するタイミングです。
- 費用目安:約450,000円 〜 650,000円
- ブレーキパッド&ローター(前後):約250,000円
- GLSのような重い車は、パッドだけでなくローターも削れます。セット交換が基本です。
- メインバッテリー交換:約90,000円
- 高度な電装系を支える大型AGMバッテリーは高価です。
- 各種油脂類(エンジン、ブレーキ、デフオイル等):約100,000円
- 法定費用+基本料金:約150,000円
- ブレーキパッド&ローター(前後):約250,000円
3回目以降(7年・9年・11年目)の費用
長期所有を考える場合、この時期に「GLSならではの特病」が発生し始めます。
| 車検時期 | 想定される主な重整備 | 費用目安(トータル) |
|---|---|---|
| 7年目 | エアサスベローズの亀裂、冷却系ホース類 | 600,000円〜 |
| 9年目 | エアサスコンプレッサー、オルタネーター | 800,000円〜 |
| 11年目 | 燃料ポンプ、制御コンピューター系 | 1,000,000円〜 |
エアサスペンションの寿命と「全交換」の衝撃
GLSの快適な乗り心地を支える「AIRMATICサスペンション」は、ゴム製のベローズ(風船のようなパーツ)で車体を支えています。 7年〜10年、あるいは走行8万kmを超えたあたりで、このゴムに亀裂が入り、朝起きると車高が下がっている「エア漏れ」が発生します。 ディーラーで4輪すべてを新品に交換し、コンプレッサーまでリフレッシュすると、見積もりは優に100万円を超えます。 このタイミングで手放すか、修理して乗り続けるかがオーナーにとっての最大の分かれ道となります。
GLS購入時に検討すべきオプションとリセールの関係
「乗り出し価格」を下げるためにオプションを削るのは、GLSにおいては悪手です。 売却時の「リセールバリュー」を考慮すると、外せない装備が決まっているからです。
必須中の必須:AMGライン
これがないGLSは、中古市場では「非常に売りにくい」個体となります。
- 内容:AMGスタイリングパッケージ(外装)、21インチアルミ、スポーツブレーキ、本革巻スポーツステアリング。
- オプション価格:約60万円〜
- リセールへの影響: 装着していれば、査定額で100万円以上の差が出ることが一般的です。
内装の華:レザーエクスクルーシブパッケージ
フラッグシップとしての質感を完成させるパッケージです。
- 内容:ナッパレザーシート、Burmesterサラウンドシステム、シートベンチレーター、パフュームアトマイザー。
- これがないと、室内が「高級SUVとしては少し寂しい」印象になり、特に中古車購入層から敬遠されます。
カラー選択:白・黒が絶対王者
GLSほどの巨体になると、有彩色(赤や青)は個性的で素敵ですが、下取り価格は「ダイヤモンドホワイト」や「オブシディアンブラック」に比べて30万円〜50万円ほど下がる傾向にあります。 ビジネスユースも考慮される車であるため、コンサバティブな色が最も価値を維持します。
プロが教える「GLSを賢く所有する」ための3つのアドバイス
1,700万円以上の投資を失敗させないための、私なりのアドバイスです。
1. 「保証プラス」は必須の保険
新車購入から5年目までは、メーカー保証を延長する「保証プラス」に必ず加入してください。 GLSの電子制御は極めて複雑で、ヘッドアップディスプレイやドアのクロージングサポートの不調など、マイナートラブルでも修理代は数十万円単位です。 加入料の30万円程度は、一度の修理で元が取れる計算です。
2. ディーゼル(450 d)の圧倒的な中古車人気
現在、日本の中古車市場ではディーゼル人気が圧倒的です。 「燃料代が安い」「トルクが太くて運転しやすい」という理由から、5年後の残存価値は580(V8ガソリン)よりも450 dの方が高くなるケースが多いです。 趣味でV8を選ぶのでなければ、経済合理性では450 dの一択です。
3. 車幅感覚を養う「360度カメラ」の活用
GLSを擦ってしまう一番の原因は「内輪差」です。 あまりに巨体であるため、狭い路地で左後方を縁石にヒットさせるケースが非常に多いです。 メルセデスの360度カメラは極めて優秀ですので、常にモニターを確認する癖をつけるだけで、年間数十万円の板金代を浮かせることができます。
まとめ
メルセデス・ベンツGLSは、その圧倒的な存在感、7人が最高の快適さで移動できる空間、そしてメルセデスならではの最新安全装備を誇る「SUVの王者」です。 乗り出しで1,700万円〜2,200万円、年間の維持費で100万円〜150万円(燃料・保険・駐車場・車検按分)を許容できるのであれば、これほど満足度の高い一台はありません。
しかし、その維持には「計画的な予算管理」が不可欠です。 特にタイヤや車検といった、数年おきにやってくる「数十万円〜百万円単位の出費」をあらかじめ想定しておくことで、心の余裕を持ってこの最高の一台を楽しむことができます。
今回の詳細なシミュレーションが、あなたのラグジュアリーなカーライフの第一歩となることを願っています。
筆者情報
二階堂 仁(にかいどう じん) モータージャーナリスト兼コラムニストとして活動。慶應義塾大学卒業後、国内大手自動車メーカーにて車両開発エンジニアとして勤務。サスペンションの挙動解析や操縦安定性の開発に深く携わる。その後、自動車専門誌の編集記者を経て、ジャーナリストとして独立。 理論に基づいた車両解説と、自ら多くのスーパーカーや高級SUVを所有・メンテナンスする実践的な視点が支持され、経営者や車愛好家からの信頼が厚い。愛車はレクサスLFA、日産GT-R R34、そして歴代のメルセデス・ベンツを愛し、現在は最新のGLSを日常の足として活用している。

