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ロールスロイス

中古ロールスロイスは車検を日本で受けられる?正規購入とのデメリットを解説

モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。 今回も多く寄せられている質問にお答えしていきます。

この記事を読んでいる方は、中古のロールスロイスを手に入れたいけれど、その後の車検や維持、そして正規ディーラーで新車を買うのと比べてどんなデメリットがあるのか、といった点が気になっていると思います。

引用 : ロールスロイスHP

何を隠そう、私自身も複数のロールスロイスを中古で手に入れ、維持してきた経験があるので、その気になる気持ちは痛いほどよくわかります。 憧れの車だからこそ、購入後に「こんなはずじゃなかった」と後悔してほしくないのです。

この記事を読み終える頃には、中古ロールスロイスの車検に関する具体的な方法から、購入前に知っておくべきデメリット、そしてそれを乗り越えて憧れのカーライフを実現するための秘訣まで、あなたの疑問がすべて解決しているはずです。

記事のポイント

  • ロールスロイス購入に特別な資格や職業審査は一切不要
  • 新車の購入方法は正規ディーラーでの注文のみ
  • 中古車であれば数百万円台から探せるという現実
  • 購入後の高額な維持費まで見据えた資金計画の重要性
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中古ロールスロイスの車検は本当に日本で受けられるのか?

これが最も多く寄せられる質問であり、多くの方が最初に抱く不安でしょう。 悠然と走るその姿に憧れを抱き、中古車市場を眺めてみると、意外にも現実的な価格の個体が見つかることがあります。 しかし、その瞬間に頭をよぎるのが「購入後、この特別な車をきちんと維持できるのか?」「そもそも日本で車検は通るのか?」という現実的な問題です。

引用 : ロールスロイスHP

私自身、初めて中古のファントムを手に入れたとき、同じ不安を抱えていました。 しかし、結論から言えば、その心配は全く不要です。

結論:中古ロールスロイスでも日本での車検は問題なく可能

はい、中古で購入したロールスロイスであっても、日本の法律(道路運送車両法)に定められた保安基準を満たしていれば、車検を取得し、公道を走行することは全く問題ありません。 それは正規ディーラーを通じて購入した車両であろうと、中古車販売店や個人から購入した車両であろうと、あるいは並行輸入された車両であろうと同じです。

重要なのは「どこで購入したか」ではなく、「その車両が日本の保安基準に適合しているか」という一点に尽きます。 もちろん、一部の並行輸入車などでは、日本の基準に合わせるための改善作業(例えばヘッドライトの光軸調整やウインカーの色の変更など)が必要になるケースもありますが、これらは専門の工場で対応可能な範囲です。 つまり、物理的に車検が通らないということは、まず考えられません。

車検はどこで受ければいい?3つの選択肢

では、具体的にどこへ車検を依頼すればよいのでしょうか。 選択肢は大きく分けて3つあります。 それぞれのメリット・デメリットを理解し、ご自身の車の状態や予算、そして何を重視するかによって最適な場所を選ぶことが重要です。

①正規ディーラー(コーンズ・モータースなど)

最も安心感が高い選択肢が正規ディーラーです。 ロールスロイス社から認定を受け、専門的なトレーニングを積んだテクニシャン(整備士)が、専用の診断機や特殊工具を用いて点検・整備を行ってくれます。

  • メリット
    • 圧倒的な専門知識と経験による信頼性
    • 最新の車両情報やサービスキャンペーンへの対応
    • 純正部品の使用による品質の担保
    • 整備記録が残り、将来的な車両価値の維持に繋がる
  • デメリット
    • 費用が最も高額になる傾向
    • 入庫までに予約が必要で、時間がかかる場合がある
    • 整備内容がパッケージ化されており、柔軟な対応が難しいケースも

特に高年式のモデルや、複雑な電子制御システムを搭載した車両の場合、正規ディーラーの専用診断機がなければ原因究明が難しいトラブルも存在します。 何物にも代えがたい安心感を求めるのであれば、正規ディーラーが最良の選択となるでしょう。

②ロールスロイスを専門とする整備工場

次に考えられるのが、ロールスロイスやベントレーといった英国高級車を専門に扱っている、ディーラー以外の整備工場です。 こうした工場には、元ディーラーメカニックが在籍していたり、長年の経験から独自のノウハウを蓄積していたりする場合が多く、ディーラーに引けを取らない高い技術力が期待できます。

  • メリット
    • ディーラーよりも費用を抑えられることが多い
    • オーナーの要望に応じた柔軟な整備(リビルト品やOEM品の活用など)が可能
    • ディーラーでは対応が難しい旧年式のモデルにも精通している
    • 直接メカニックと話せるため、コミュニケーションが取りやすい
  • デメリット
    • 工場の技術力や設備にばらつきがあるため、慎重な見極めが必要
    • 最新モデルへの対応力はディーラーに劣る可能性がある
    • 純正部品の調達に時間がかかる場合がある

信頼できる専門工場を見つけることができれば、ディーラー同様の安心感を、よりリーズナブルな価格で手に入れられる可能性があります。 口コミや評判をリサーチし、実際に工場を訪れて代表やメカニックと話してみることを強くお勧めします。

③一般的な輸入車整備工場

普段から様々な輸入車を扱っている整備工場でも、ロールスロイスの車検を受け付けてくれる場合があります。

  • メリット
    • 費用を最も安く抑えられる可能性がある
    • 自宅から近いなど、利便性が高い
  • デメリット
    • ロールスロイス特有の構造や整備方法に関する知識が乏しいリスク
    • 専用の特殊工具や診断機がないため、対応できる作業が限られる
    • トラブルが発生した場合に、原因究明が難航する可能性がある

基本的な点検整備や消耗品の交換であれば問題ないかもしれませんが、ロールスロイスは非常に特殊な構造を持つ車です。 安易に価格だけで選ぶと、後々大きなトラブルに見舞われる可能性も否定できません。 もしこの選択肢を考えるのであれば、その工場が過去にロールスロイスの整備経験があるか、最低限確認すべきでしょう。

気になる車検費用のリアルな相場

ロールスロイスの車検費用は、大きく「法定費用」と「整備費用」の2つに分けられます。

法定費用

これは法律で定められた、どこで車検を受けても一律にかかる費用です。

費用項目 目安金額(2年分) 備考
自動車重量税 ¥41,000 ~ ¥63,000 車両重量に応じて変動(2.5トン前後が多いため)
自賠責保険料 ¥17,650 2023年4月以降の保険料(24ヶ月)
印紙代 ¥1,600 ~ ¥2,300 認証工場か指定工場かで変動
合計 約 ¥60,250 ~ ¥82,950

この法定費用自体は、他の国産大型セダンと大きく変わるものではありません。 問題は次にお話しする「整備費用」です。

整備費用

整備費用は、24ヶ月点検の基本料金に加え、交換が必要な部品代や作業工賃が含まれます。 この金額が、車両の状態やどこで車検を受けるかによって大きく変動します。

  • 正規ディーラーの場合
    • 24ヶ月点検基本料金: 150,000円~
    • 交換部品・工賃: 100,000円~数百万円
    • 合計目安: 最低でも300,000円~、状態によっては1,000,000円以上になることも珍しくありません。
  • 専門工場の場合
    • 24ヶ月点検基本料金: 80,000円~
    • 交換部品・工賃: ディーラーより2~4割程度安価な傾向
    • 合計目安: 200,000円~、状態に応じて変動

私の経験上、特に問題がない状態でも、オイルやフィルター類、ブレーキフルードなどの基本的な消耗品を交換するだけで、総額30万円~50万円程度は見ておくべきでしょう。 もし、サスペンションやブレーキ系統に部品交換が必要となれば、費用は一気に跳ね上がります。 例えば、エアサスペンションのコンプレッサーやストラット、あるいは油圧システムのブレーキアキュムレーターなどは非常に高価な部品の代表例です。

私の体験談:中古ファントムの初回車検

ここで、私が以前所有していた2008年式の中古ファントムを、購入後初めて車検に通した際の体験をお話しします。 購入したのはロールスロイスを専門に扱う中古車販売店で、納車前の整備はしっかり行われていました。 しかし、2年後の車検ではどうなるか、一抹の不安があったのも事実です。

引用 :Lesury Motors Journal イメージ

私はお付き合いのあった専門工場に依頼しました。 結果として、かかった費用は総額で約45万円。 内訳は、法定費用と車検基本料金のほかに、エンジンオイル、オイルフィルター、ブレーキフルード、エアコンのマイクロフィルター、ワイパーブレードの交換でした。 幸いにも大きなトラブルはなく、基本的な消耗品の交換のみで済みましたが、それでも国産車とは比較にならない金額です。 メカニックの方からは「非常に状態の良い個体ですね。 それでも、次の車検ではブレーキパッドとローターの交換が必要になる可能性が高いです。 その場合は部品代だけで50万円以上は見ておいてください」と告げられました。 この言葉こそが、ロールスロイスを維持するということの現実を物語っています。

正規ディーラー購入に対する中古ロールスロイスのデメリット

車検の問題がクリアになったところで、次に考えるべきは「なぜ新車ではなく、あえて中古を選ぶのか」という点、そしてそれに伴うデメリットです。 価格的な魅力は大きいですが、その裏に潜むリスクを正確に理解しておく必要があります。

引用 :Lesury Motors Journal イメージ

デメリット①:品質のばらつきと個体の見極めの難しさ

正規ディーラーで販売される新車は、当然ながら品質が完全に保証されています。 しかし、中古車は一台一台のコンディションが全く異なります。 走行距離、年式、そして何より「前オーナーがどれだけ愛情を注いでメンテナンスしてきたか」によって、その後の維持費や乗り味は天と地ほどの差が生まれるのです。

メンテナンス履歴の重要性

ロールスロイスの中古車を選ぶ上で最も重要なのが、過去のメンテナンス履歴です。 正規ディーラーや信頼できる専門工場での点検・整備記録がきちんと残っている個体は、素性が明らかで安心感が高いと言えます。 逆に、記録簿がなかったり、内容が曖昧だったりする車両は、どんなに内外装が綺麗でも避けるのが賢明です。 見えない部分に大きなトラブルの種を抱えている可能性があります。

チェックすべき重要ポイント

購入前には、専門家の目で徹底的に車両をチェックしてもらうことをお勧めします。 特に以下の点は、後々高額な修理に繋がりやすいウィークポイントとして知られています。

  • サスペンション: エアサスペンションの抜けやコンプレッサーの異音。油圧サスペンションのオイル漏れ。
  • エンジン・駆動系: エンジンからのオイル漏れや異音。トランスミッションの変速ショック。
  • ブレーキ: 油圧ブレーキシステムからのオイル漏れ。ブレーキの効き具合や異音。
  • 電子制御システム: 各種警告灯の点灯履歴。ナビやエアコン、パワーウィンドウなどの電装品の動作確認。
  • 内外装: 雨漏れの痕跡(トランクやフロアカーペット)。ウッドパネルのひび割れやクリア塗装の剥がれ。レザーシートの擦れやへたり具合。

これらの点を素人が見極めるのは困難です。 信頼できる販売店を選ぶか、購入前に第三者の専門工場に点検(購入前診断)を依頼する費用を惜しんではいけません。

デメリット②:予測不能な高額な維持費のリスク

前述の車検費用もさることながら、中古ロールスロイスの最大のデメリットは、突発的な故障による高額な修理費用です。 新車であればメーカー保証がありますが、中古車(特に保証期間が切れた低年式のモデル)は、すべての修理費用が自己負担となります。

「部品一つが国産車の車検代」と言われることもあり、これは決して大袈裟な表現ではありません。

部品名 修理費用目安
エアサスペンション(1本) ¥300,000 ~ ¥800,000
ブレーキローター&パッド(1台分) ¥500,000 ~ ¥1,000,000
オルタネーター(発電機) ¥200,000 ~ ¥500,000
パワーステアリングポンプ ¥300,000 ~ ¥600,000
エンジンオイル漏れ修理 ¥100,000 ~ ¥1,000,000以上(箇所による)

これらの費用はあくまで一例です。 複雑な電子制御が絡むトラブルでは、原因究明だけで数十万円かかることもあります。 中古ロールスロイスを所有するということは、車両価格とは別に、常に100万円~200万円程度の緊急修理用予算を確保しておく覚悟が必要だということです。 この覚悟がなければ、幸せなカーライフは送れません。

デメリット③:最新のテクノロジーや快適装備ではない

自動車の技術は日進月歩です。 たとえ10年前のフラッグシップモデルであっても、現代の車と比較すると、特にインフォテインメントシステムや先進安全装備の面で見劣りするのは否めません。

  • ナビゲーションシステム: 地図データが古く、操作性も現代のスマホ連携ナビには及ばない。
  • オーディオ: Bluetooth接続ができない、あるいは接続が不安定なモデルもある。
  • 先進安全装備: アダプティブクルーズコントロールや衝突被害軽減ブレーキなどが装備されていない、あるいは性能が限定的。

もちろん、ロールスロイスの本質的な価値は、静粛性や乗り心地、そしてクラフトマンシップにあり、これらの装備がすべてではありません。 しかし、日常的に使用する上で、現代の車の利便性に慣れていると、不便を感じる場面があるかもしれないことは理解しておくべきでしょう。

デメリット④:購入後のサポート体制の違い

正規ディーラーで新車を購入すれば、手厚い保証はもちろんのこと、オーナー向けのイベントへの招待や、きめ細やかなアフターフォローが受けられます。 まさに「至れり尽くせり」のサービスです。

引用 : ロールスロイスHP

一方で、中古車販売店で購入した場合、そうした特別なサポートは期待できません。 保証があったとしても期間や範囲は限定的であり、購入後は自分で信頼できる整備工場を探し、良好な関係を築いていく必要があります。 言わば、車のコンディションを維持する責任は、すべて自分自身にかかってくるのです。 このプロセスを楽しめるかどうか、という点も、中古ロールスロイスに向いているかどうかの分かれ道かもしれません。

これらのデメリットを乗り越えるために

では、これらのデメリットを理解した上で、それでも中古ロールスロイスという選択を成功させるためにはどうすればよいのでしょうか。 私の経験から言える、最も重要なポイントは以下の3つです。

  1. 焦らず、最高の個体と出会うまで待つ勇気を持つ 価格が安いという理由だけで飛びついてはいけません。 市場には多くの個体が出回っていますが、本当にコンディションの良いものはごく僅かです。 完璧なメンテナンス履歴を持ち、内外装の状態も良く、試乗して違和感のない一台に出会うまで、じっくりと時間をかけることが最大の防御策です。
  2. 車両価格だけでなく「総額」で考える 「車両価格+納車前整備費用+当面の維持費(最低2年分の車検代と100万円程度の予備費)」までを含めた総額で予算を考えましょう。 この計算ができないのであれば、まだ購入すべきタイミングではありません。
  3. 最高の主治医(整備工場)を見つける 購入後、あなたのロールスロイスのコンディションを維持してくれる、信頼できる整備工場(主治医)の存在が不可欠です。 技術力はもちろんのこと、あなたのカーライフに寄り添い、親身に相談に乗ってくれるパートナーを見つけることができれば、中古ロールスロイスとの生活は、何物にも代えがたい豊かなものになるでしょう。

まとめ

今回は、中古のロールスロイスの車検と、正規購入と比較した際のデメリットについて、私の実体験を交えながら詳しく解説してきました。

結論として、中古ロールスロイスの車検を日本で受けることは全く問題なく可能です。 しかし、その維持には相応の費用と覚悟が必要であり、購入時には新車にはない様々なリスクが伴います。 品質のばらつき、予測不能な高額修理、旧世代の装備など、価格的な魅力の裏にあるデメリットを正しく理解しなければなりません。

しかし、これらのハードルは、決して乗り越えられないものではありません。 正しい知識を身につけ、信頼できるパートナー(販売店と整備工場)を見つけ、そして何よりもその車に対する深い愛情を持つことができれば、中古ロールスロイスはあなたの人生を間違いなく豊かにしてくれる特別な存在となります。

この記事が、あなたの夢の実現に向けた一助となれば、これほど嬉しいことはありません。 どうか、最高のカーライフを手に入れてください。

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