モータージャーナリスト兼コンサルタントの二階堂仁です。今回も多く寄せられている質問にお答えしていきます。
「セレナは貧乏臭い?」「アルファードと比べて妥協案なの?」といった疑問、よく分かります。私も両方所有するからこそ、その悩みは痛感しています。ミニバン選びは価値観が問われる大きな決断。ネットの噂に惑わされていませんか?

引用 : 日産公式HP (https://global.nissannews.com/ja-JP/channels/serena?selectedTabId=serena-releases)
この記事ではプロの視点でセレナの真価を徹底解説します。読み終える頃には、セレナが「妥協」ではなく「賢明な選択」である理由が分かり、あなたの疑問はスッキリ解決しているはずです。
記事のポイント
- 「セレナは貧乏」という噂の多角的な真相解明
- 自動車のプロが語るセレナの本当の実力と価値
- アルファードとの徹底比較で見えるそれぞれの魅力
- セレナは「妥協」ではなく「賢い選択」である理由

新しい車に乗り換える際、今乗っている愛車をどれだけ高く売却できるかは、次の車の選択肢にも大きく影響します。
私自身、一括見積もりサイトを活用したことで、ホンダヴェゼルからレクサスRXに乗り換えることができました。
日産セレナは貧乏と言われる5つの理由
ファミリーカーの代名詞として、長年多くの家庭を支えてきた日産セレナ。しかし、いつからか「セレナ乗りは貧乏」「無理してミニバンに乗っている」といったネガティブなイメージが囁かれるようになりました。

引用 : 日産公式HP (https://global.nissannews.com/ja-JP/channels/serena?selectedTabId=serena-releases)
オーナーとしては心外ですし、これから購入を検討している方にとっては大きな不安要素でしょう。なぜ、このようなイメージが定着してしまったのでしょうか。自動車コンサルタントとして、そして一人のオーナーとして、その背景を多角的に分析します。
理由1:ミドルクラスミニバンという絶妙な価格帯
日産セレナは、ミニバン市場において「ミドルクラス」に位置づけられます。新車価格は、最も安価なグレードであれば約300万円から、最上級グレードでも500万円弱で購入可能です。
これは、トヨタのアルファードやヴェルファイアといった高級ミニバン(500万円~900万円)と比較すると、明らかに手頃な価格設定です。この「手の届きやすさ」が、結果として「安価なミニバン」というイメージに繋がり、「貧乏」という短絡的な言葉で表現される一因となっています。
しかし、これはあくまで相対的な評価に過ぎません。自動車の価格としては決して安いものではなく、多くの家庭にとっては一大決心が必要な買い物であることに変わりはありません。
理由2:圧倒的な販売台数がもたらす「大衆車」イメージ
セレナは、ミニバンカテゴリーにおいて常に販売台数ランキングの上位に位置する人気車種です。街を歩けば、必ずと言っていいほどセレナを見かけます。
この「どこにでもいる」という安心感と信頼性の証が、裏を返せば「ありふれた大衆車」というイメージを生み出しています。希少性やステータス性を求める層からは、物足りなさを感じられることがあるのかもしれません。人間は、珍しいものや高価なものに価値を見出す傾向がありますからね。この大衆性が、一部でネガティブなイメージに繋がっていると考えられます。
理由3:絶対王者「アルファード」との比較対象にされやすい
ミニバン市場において、トヨタ・アルファードは「絶対王者」として君臨しています。豪華な内外装、広大な室内空間、そして圧倒的な存在感は、多くの人にとって憧れの対象です。
このアルファードと比較された際に、セレナは「妥協の選択肢」と見なされがちです。「本当はアルファードが欲しいけれど、予算的にセレナにした」という声が実際に存在することも、このイメージを助長しています。メディアや口コミサイトでも、この2台は頻繁に比較対象となり、価格や豪華さの面で劣るセレナが、ネガティブな文脈で語られることが少なくありません。
理由4:一部のドライバーによるマナーの問題
これはセレナに限った話ではありませんが、販売台数が多い車種は、それだけドライバーの数も多くなります。残念ながら、その中には運転マナーが決して良いとは言えないドライバーも一定数存在します。
乱暴な運転や迷惑な駐車などがSNSなどで拡散される際、「またセレナか」というように車種と結びつけて語られてしまうことがあります。このような一部の不心得なドライバーの行動が、車種全体のイメージを低下させている側面は否定できません。
理由5:ネットやSNSでのネガティブな情報の拡散
インターネット、特に匿名性の高いSNSでは、過激な意見や偏見が拡散されやすい傾向にあります。
「セレナ 貧乏」「セレナ 恥ずかしい」といったキーワードで検索すると、面白半分で書かれたような根拠のない情報や、個人の主観に基づいた批判的な意見が数多く見つかります。これらの情報に繰り返し触れることで、無意識のうちにネガティブなイメージが刷り込まれてしまうのです。購入を検討している方は、こうした偏った情報に惑わされず、客観的な事実に基づいて判断することが重要です。
プロが断言!日産セレナは「妥協」ではなく「賢い選択」
さて、ここまでセレナにまつわるネガティブなイメージの背景を解説してきました。しかし、自動車のプロとして、そしてセレナのオーナーとして断言します。日産セレナを選ぶことは、決して「貧乏」だからでも「妥協」でもありません。むしろ、現代の家族のライフスタイルを深く理解した、極めて「賢い選択」なのです。

引用 : 日産公式HP (https://global.nissannews.com/ja-JP/channels/serena?selectedTabId=serena-releases)
ここからは、なぜそう断言できるのか、セレナが持つ本当の価値と魅力を具体的に解説していきます。
魅力1:クラスを超えた圧倒的なコストパフォーマンス
セレナの最大の魅力は、その価格からは考えられないほど充実した装備と機能、つまり圧倒的なコストパフォーマンスにあります。
特に、日産が誇る先進技術「e-POWER」と「プロパイロット2.0」は、セレナの価値を飛躍的に高めています。
e-POWERがもたらす静かで力強い走り
セレナのe-POWERは、エンジンを発電にのみ使用し、100%モーターで駆動する独自のハイブリッドシステムです。これにより、電気自動車(EV)のような非常に静かで滑らかな加速を実現しています。アクセルを踏んだ瞬間からスムーズに立ち上がる力強いトルクは、街中でのストップ&ゴーや高速道路での合流を驚くほど快適にしてくれます。この上質な走りは、同クラスのライバル車だけでなく、一クラス上のミニバンと比較しても遜色ありません。
プロパイロット2.0による運転の疲労軽減
最上級グレード「ルキシオン」に搭載される「プロパイロット2.0」は、一定の条件下で高速道路でのハンズオフ(手放し)運転を可能にする画期的な運転支援システムです。長距離移動時のドライバーの疲労を劇的に軽減し、家族での旅行をより安全で楽しいものに変えてくれます。このレベルの先進技術を、この価格帯のミニバンで体験できることは、まさに驚異的と言えるでしょう。
魅力2:徹底的に追求された「家族のための使いやすさ」

引用 : 日産公式HP (https://global.nissannews.com/ja-JP/channels/serena?selectedTabId=serena-releases)
セレナは、「家族のためのミニバン」として、細部に至るまで徹底的に使いやすさが追求されています。
- 酔いにくい室内空間: e-POWERの滑らかな走りに加え、新開発のサスペンションや高いボディ剛性により、ミニバン特有の揺れを大幅に抑制。車酔いしやすいお子様も安心して乗せることができます。
- 多彩なシートアレンジ: 2列目シートが左右にスライドできる「スマートマルチセンターシート」など、乗車人数や荷物の量に合わせて自由自在に空間をアレンジできます。家族構成の変化にも柔軟に対応できる懐の深さがあります。
- 乗り降りのしやすさ: ハンズフリースライドドアや、低床設計により、小さなお子様やお年寄りでも楽に乗り降りが可能です。
- 考え抜かれた収納: ドリンクホルダーやUSBポートの位置、小物入れの数や大きさなど、乗る人全員が快適に過ごせるよう、細やかな配慮が行き届いています。
これらの機能は、決して派手ではありませんが、日々の生活の中で「買ってよかった」と実感できるものばかりです。
魅力3:アルファードと比較してわかる維持費の優位性
車を所有するには、車両本体価格だけでなく、税金、保険、燃料代、メンテナンス費用といった維持費がかかります。この点で、セレナはアルファードに対して大きなアドバンテージがあります。
項目 | 日産 セレナ (e-POWER) | トヨタ アルファード (ハイブリッド) |
---|---|---|
車両本体価格 (目安) | 約350万円~480万円 | 約620万円~870万円 |
自動車税 (年額) | 36,000円 (1.4L) | 43,500円 (2.5L) |
燃費 (WLTCモード) | 18.4~20.6 km/L | 16.5~17.7 km/L |
重量税 (エコカー減税適用時) | 免税~ | 免税~ |
任意保険料 (目安) | やや安い | やや高い |
※上記はあくまで一例であり、グレードや加入する保険によって異なります。
表を見てわかる通り、税金や燃費の面でセレナは優位にあります。特に燃料代は、日々のランニングコストに直結するため、e-POWERの優れた燃費性能は家計にとって大きな助けとなるでしょう。年間に換算すると、数万円単位での差が生まれることも珍しくありません。
「見栄」でアルファードを選ぶことも一つの価値観ですが、その差額を家族旅行や子供の教育費に充てるという考え方も、また一つの賢い選択と言えるのではないでしょうか。
魅力4:中古車市場での賢い選び方
予算を抑えたい方にとって、中古車は非常に魅力的な選択肢です。セレナは人気車種で流通量が多いため、中古車市場でも豊富なタマ数の中から、自分の条件に合った一台を見つけやすいというメリットがあります。

引用 : 日産公式HP (https://global.nissannews.com/ja-JP/channels/serena?selectedTabId=serena-releases)
狙い目は5代目(C27型)後期モデル
特におすすめなのが、先代モデルにあたる5代目(C27型)の後期モデル(2019年8月~)です。このモデルは、フロントマスクのデザインがより洗練され、安全装備も大幅にアップデートされています。特にe-POWER搭載車は、現行モデルにも通じる静かで力強い走りを十分に堪能でき、価格もこなれてきているためコストパフォーマンスは抜群です。
中古車選びの注意点
中古セレナを選ぶ際は、以下の点に注意しましょう。
- e-POWERのバッテリー状態: e-POWERは駆動用バッテリーの状態が走りに影響します。保証の有無や、ディーラーでの点検記録などを確認しましょう。
- スライドドアの動作: 電動スライドドアは便利な反面、故障すると修理費が高額になりがちです。開閉がスムーズか、異音がないかを必ずチェックしてください。
- 整備記録の確認: ファミリーカーとして使われてきた個体が多いため、定期的なメンテナンスがしっかり行われてきたかどうかが重要です。整備記録簿を確認し、オイル交換などの履歴をチェックしましょう。
まとめ
今回は、「日産セレナ乗りは貧乏」という噂の真相について、多角的に掘り下げてきました。
確かに、価格帯や販売台数の多さから、アルファードのような高級ミニバンと比較するとステータス性では見劣りするかもしれません。しかし、それはセレナの価値を正しく評価したものではありません。
セレナは、家族の幸せな時間を創造するために、走り、快適性、使い勝手、そして経済性といったあらゆる要素を極めて高い次元でバランスさせた「ミニバンの優等生」です。特にe-POWERがもたらす上質な走りと優れた燃費性能、そしてプロパイロットによる先進の安全性は、同クラスのライバルを凌駕するほどの魅力を秘めています。
アルファードへの憧れを持つことは、決して悪いことではありません。しかし、もしあなたが「見栄」や「世間体」のためではなく、「家族の笑顔」を最優先に考えるのであれば、日産セレナは後悔のない、最高の選択肢の一つとなるはずです。
ネット上の不確かな情報に惑わされることなく、ぜひ一度ご自身の目でセレナの真価を確かめてみてください。きっと、その「賢い選択」に納得できるはずです。