※本ページにはプロモーションが含まれる場合があります

レクサス

新型レクサスISの外観が素晴らしいと言われる理由|クラウンと一線を画すデザイン哲学

モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。

この記事を読んでいる方は、2025年9月に発表された新型レクサスISの、特にそのエクステリアデザインがなぜこれほどまでに魅力的なのか、そして最近のトヨタ車、特にクラウンなどに見られるハンマーヘッドデザインと何が違うのか、気になっていることでしょう。

引用 : TOYOTA HP (https://lexus.jp/)

私も長年レクサスISを複数台所有してきた経験から、その気持ちは痛いほどよくわかります。 今回のビッグマイナーチェンジは、単なる延命措置ではなく、レクサスが守り続けるべきデザイン哲学の表明とも言えるのです。

この記事を読み終える頃には、新型レクサスISのデザインに秘められた哲学と、あなたが惹かれる理由についての疑問が解決しているはずです。

記事のポイント

  • 熟成の極致に達したエクステリアデザイン
  • レクサスのアイデンティティ「スピンドル」の進化
  • トレンドに流されないFRセダンとしての矜持
  • トヨタブランドとは明確に異なるデザインフィロソフィー
【一括査定サイト必勝法】ヴェゼルを驚愕の高額査定で売却した方法を徹底解説新しい車に乗り換える際、今乗っている愛車をどれだけ高く売却できるかは、次の車の選択肢にも大きく影響します。 私自身、2021年式のホンダ ヴェゼル PLAYを驚愕の高価査定で売却できました。 今回の投稿では、一括査定サイトを利用して高額査定で売却するための必勝法を徹底的に解説しています。...

新しい車に乗り換える際、今乗っている愛車をどれだけ高く売却できるかは、次の車の選択肢にも大きく影響します。
私自身、一括見積もりサイトを活用したことで、ホンダヴェゼルからレクサスRXに乗り換えることができました。

\筆者おすすめ!一括見積もりサイトはこちら/
CTN

Contents
  1. 新型レクサスISのデザイン哲学:なぜこれほどまでに惹きつけられるのか
    1. 熟成の極み、3度目のビッグマイナーチェンジで到達した完成形
    2. ユニファイドスピンドルへの進化と伝統のアローヘッドライトの融合
    3. 低く構えたフロントエンドがもたらす圧倒的なスポーツセダン感
    4. クラウンやプリウスの「ハンマーヘッド」との明確な違い
    5. なぜレクサスはスピンドルグリルにこだわり続けるのか
    6. サイドビューとリアビューに見る「変えない美学」と細部の進化
    7. 新デザインの19インチホイールが足元を引き締める
    8. モデリスタなしでも完成されたスタイリング
  2. 内装と先進装備の大幅刷新:エクステリアだけではない新型ISの魅力
    1. ついに採用された12.3インチの大型ディスプレイとフル液晶メーター
    2. Tazuna Conceptに基づくドライバー中心のコックピット
    3. 質感向上への執念:スイッチ類から加飾パネルまで
    4. 待望のアンビエントライトが演出する上質な室内空間
    5. 最新の予防安全技術「Lexus Safety System +」の詳細
    6. 高速道路の運転を革新する「アドバンストドライブ」
    7. 従来のオーナーが羨む、USB-Cポートや置くだけ充電
  3. 走りの熟成とパワートレインの選択肢:知っておくべき評価点と懸念点
    1. ステアリングフィールの向上:ラック式EPSとVGRSの採用
    2. 新開発リニアソレノイド式AVSがもたらす乗り心地
    3. プラットフォームはキャリーオーバー、その影響は?
    4. パワートレインは変更なし:IS300hとIS350の評価
    5. 2.0Lターボ(IS300)モデル廃止の衝撃
    6. IS500は今後どうなるのか?憶測と期待
    7. なぜ最新のパワートレインを搭載しなかったのか?その背景を考察
  4. まとめ

新型レクサスISのデザイン哲学:なぜこれほどまでに惹きつけられるのか

今回のレビューで最も重点的にお伝えしたいのは、やはり新型レクサスISのデザインについてです。 2013年の現行モデル登場から数えて実に12年、ビッグマイナーチェンジとしては3回目となる今回の改良は、まさに「熟成の極み」と言えるでしょう。 特に、最近の自動車業界のデザインが大きく変化する中で、レクサスISが示した方向性は、多くのセダンファン、そしてレクサスファンにとって、喝采を送るべきものだと私は考えています。

引用 : TOYOTA HP (https://lexus.jp/)

熟成の極み、3度目のビッグマイナーチェンジで到達した完成形

通常、自動車のモデルライフは6〜7年が一般的です。 その中で12年もの長きにわたり第一線で戦い続けるというのは異例中の異例と言えるでしょう。 しかし、これは決してネガティブなことではありません。 むしろ、一つのプラットフォーム、一つのデザインテーマを徹底的に磨き上げ、完成の域にまで高めた証拠なのです。

2020年の前回のビッグマイナーチェンジでも、そのデザインは高く評価されました。 ワイド&ローを強調したフォルム、シャープなヘッドライト、そして一文字につながるリアコンビネーションランプは、FRスポーツセダンとしての素性の良さを最大限に引き出していました。 今回の新型ISは、その成功をベースに、さらに現代的な解釈とレクサスの最新デザイン言語を巧みに取り入れ、誰もが納得する「カッコよさ」を手に入れたのです。 これは、頻繁なフルモデルチェンジでは決して到達できない、熟成されたモデルだからこそ可能なデザインの深化と言えます。

ユニファイドスピンドルへの進化と伝統のアローヘッドライトの融合

フロントマスクの印象を決定づける最も大きな変更点は、グリルのデザインです。 これまでレクサスの象徴であった「スピンドルグリル」から、最新のレクサス車(例えばLBXなど)で採用されている「ユニファイドスピンドル」へと進化しました。

これは、グリルの境界線をボディと融合させ、より一体感のあるダイナミックな表情を生み出すデザイン手法です。 従来の「糸巻き形状」のフレームがなくなり、下部のみがメッシュとなることで、重心が低く見え、よりスポーティーでアグレッシブな印象を強調しています。

一方で、注目すべきはヘッドライトのデザインです。 近年のトヨタ・レクサス車が採用する上下に薄いシャープなデザインとは一線を画し、レクサスのアイデンティティでもある「L字」のアローヘッド形状を持つデイライトと、シャープな三眼LEDヘッドランプが踏襲されました。 この「新しさと伝統の融合」こそが、新型ISのデザインが多くの人々に受け入れられる理由の一つでしょう。 すべてを新しくするのではなく、守るべきアイデンティティは残す。 このさじ加減が絶妙なのです。

低く構えたフロントエンドがもたらす圧倒的なスポーツセダン感

ユニファイドスピンドルの採用と併せて、レクサスのエンブレム位置がグリル内部からボンネットフード先端へと移動したことも、デザインの進化に大きく貢献しています。 これにより、視覚的にフロントエンドがより低く見える効果が生まれ、FRセダンならではのロングノーズ・ショートデッキのプロポーションがさらに際立ちました。

地面に低く構えるようなスタンスは、まさに獲物を狙う猛獣のようであり、停止していても動きを感じさせる躍動感に満ちています。 この「スポーツセダンかくあるべし」という明確な意志を感じさせるデザインは、SUV全盛の現代において、セダンというカテゴリーが持つ本来の魅力を再認識させてくれます。

クラウンやプリウスの「ハンマーヘッド」との明確な違い

ここで、多くの読者が感じているであろう、最近のトヨタ車とのデザインの違いについて触れておきましょう。 新型クラウンシリーズやプリウス、アクアなどで採用されている「ハンマーヘッド」デザインは、シュモクザメをモチーフにした、フロントを一文字のランプで貫く先進的なものです。 これも一つのデザインの正解ではありますが、正直なところ、どの車種も似たような顔つきに見えてしまうという声が聞かれるのも事実です。

引用 : TOYOTA HP (https://toyota.jp/crownestate/)

対して新型レクサスISは、このトレンドとは明確に距離を置いています。 あくまでもレクサス独自の「スピンドル」というテーマを軸に進化させてきました。 これは、トヨタブランドとレクサスブランドのデザインフィロソフィーが、明確に異なる道を進んでいることの現れです。 トヨタが大衆車としてより多くの人々に受け入れられる普遍的な先進性を目指す一方、レクサスはプレミアムブランドとして独自のアイデンティティと世界観を深化させているのです。 ハンマーヘッドデザインに食傷気味の方々が、新型ISのデザインに安堵と称賛の声を上げるのは、至極当然のことと言えるでしょう。

なぜレクサスはスピンドルグリルにこだわり続けるのか

スピンドルグリルが初めて登場した2012年当時、その大胆なデザインは賛否両論を巻き起こしました。 しかし、レクサスは一貫してこのデザインを熟成させ続け、今や誰もがレクサスと認識できる強力なブランドアイコンへと育て上げました。

レクサスがスピンドルにこだわり続ける理由は、それが単なるデザイン要素ではなく、ブランドの哲学そのものを体現しているからです。 「機能性とデザイン性の融合」「空力性能の追求」「冷却性能の確保」といったエンジニアリング的な要求と、「アグレッシブでありながらエレガント」というデザイン的な要求。 この二律背反する要素を高い次元で両立させる象徴が、スピンドル形状なのです。 今回のユニファイドスピンドルへの進化も、この哲学を現代に合わせて再解釈した結果であり、レクサスのブレない軸を感じさせます。

サイドビューとリアビューに見る「変えない美学」と細部の進化

フロントマスクが大きく進化した一方で、サイドビューとリアビューの基本的な骨格は、2020年モデルから大きく変わっていません。 しかし、これもまた「完成されたデザインをあえて崩さない」というレクサスの自信の表れです。 抑揚の効いたキャラクターライン、流麗なルーフラインは、FRスポーツセダンとして理想的なプロポーションをすでに実現しています。

細部を見ていくと、着実な進化が見られます。 例えば、ウィンドウモールが従来のクロームメッキからダークなブラックメッキに変更され、より引き締まった印象を与えています。 シャークフィンアンテナもブラックで統一されるなど、細かな演出が全体のスポーティーさを高めています。

リアビューでは、レクサスのエンブレムが廃され、最新モデルに共通する「LEXUS」のロゴタイプに変更されました。 これにより、モダンで洗練された印象がプラスされています。 また、F SPORTには空力性能を考慮したブラックのリアスポイラーが装着され、視覚的なアクセントとしても機能しています。 基本は変えずに細部を磨き上げる。 これもまた、熟成モデルならではのデザイン手法です。

新デザインの19インチホイールが足元を引き締める

自動車のデザインにおいて、ホイールは全体の印象を大きく左右する重要なパーツです。 新型ISでは、新デザインの19インチ軽量アルミホイールが採用されました。 細くシャープなスポークが伸びるシンプルなデザインは、非常にスポーティーでありながら、レクサスらしい上品さも兼ね備えています。 このホイールが、ボディサイドの美しい造形と相まって、足元を軽快かつ力強く見せています。 特に、オプションで設定されるレッドブレーキキャリパーとの組み合わせは、走りへの期待感をがぜん高めてくれるでしょう。

モデリスタなしでも完成されたスタイリング

新型ISのデザインを見て強く感じるのは、「素の状態」で既にデザインが完成されているという点です。 もちろん、モデリスタなどのエアロパーツを装着することで、さらに迫力を増すことは可能ですが、その必要性を感じさせないほど、標準のバンパーデザインやボディラインがスタイリッシュに作り込まれています。 特にフロントバンパーサイドの造形は、空力性能まで考慮された機能美を感じさせ、これ見よがしな装飾に頼らない、大人のスポーツセダンとしての品格を漂わせています。

内装と先進装備の大幅刷新:エクステリアだけではない新型ISの魅力

エクステリアデザインの素晴らしさに目を奪われがちですが、新型レクサスISの真価は、大幅に刷新されたインテリアと、最新の先進装備にもあります。 これまでのISが抱えていたウィークポイントを的確に解消し、商品力を飛躍的に向上させてきました。

引用 : TOYOTA HP (https://lexus.jp/)

ついに採用された12.3インチの大型ディスプレイとフル液晶メーター

インテリアにおける最大の進化点は、メーターとナビゲーションディスプレイです。 まず、メーターは従来の可動式リングを持つタイプから、12.3インチのフル液晶メーターへと変更されました。 これにより、表示できる情報量が格段に増え、ナビゲーションとの連携や運転支援情報の表示など、視認性と機能性が大幅に向上しています。 可動式メーターが良かったという声も聞かれますが、現代の車に求められる機能性を考えれば、これは正常進化と言えるでしょう。

そして、センターディスプレイは従来の10.3インチから12.3インチへと大型化されました。 このサイズアップは、見た目の先進性だけでなく、操作性にも大きく貢献します。 地図の視認性が向上するのはもちろん、各種設定画面も見やすく、直感的な操作が可能になります。 ようやく現代のプレミアムセダンのスタンダードに追いついたと言えます。

Tazuna Conceptに基づくドライバー中心のコックピット

新型ISのインテリアは、レクサスが提唱する「Tazuna Concept(手綱コンセプト)」に基づいてデザインされています。 これは、馬と乗り手が手綱を通じて意思疎通するように、ドライバーが運転に集中しながら、直感的に各種操作を行えるコックピット思想です。

水平基調で構成されたインパネは、運転中の視線移動を最小限に抑え、広々とした視界を確保します。 そして、大型化されたセンターディスプレイやステアリングスイッチなどが、ドライバーを中心に機能的に配置されています。 これまでリモートタッチが配置されていたセンターコンソール部分は、自然な形でシートヒーター/ベンチレーションのスイッチやボリュームノブに置き換えられ、より使いやすく整理されました。

質感向上への執念:スイッチ類から加飾パネルまで

今回の改良では、内装の質感向上にも並々ならぬこだわりが感じられます。 従来モデルで一部指摘されていた、エアコン操作パネル周りのスイッチの質感が大幅に改善されました。 プラスチッキーな印象は払拭され、クリック感や見た目の上質さが向上しています。

また、新たに採用された加飾パネルにも注目です。 「フォージドバンブー(炭造竹)」と名付けられたパネルは、竹を炭化させて作り上げたもので、独特のマーブル模様が上質な空間を演出します。 本物の素材にこだわるレクサスの姿勢が表れた部分と言えるでしょう。 さらに、ウィンドウスイッチの台座部分にもヘアライン加工が施された金属調のパネルが採用されるなど、細部に至るまで質感が引き上げられています。

待望のアンビエントライトが演出する上質な室内空間

引用 : TOYOTA HP (https://lexus.jp/)

近年のプレミアムカーでは必須装備となりつつあるアンビエントライトが、ついに新型ISにも採用されました。 助手席前のダッシュボードやセンターコンソール、ドアトリムなどにライン状の照明が配置され、夜間の室内をムーディーに彩ります。 カラーは14色のテーマカラーと、好みに合わせて選べる50色のカスタムカラーが用意されており、合計64色の中からその日の気分に合わせた演出が可能です。 これまでは少し素っ気ない印象もあったISの夜間のインテリアですが、アンビエントライトの採用により、一気に華やかさと上質感が向上しました。

最新の予防安全技術「Lexus Safety System +」の詳細

安全性においても、新型ISは最新レベルへとアップデートされています。 進化した予防安全パッケージ「Lexus Safety System +」が採用され、中でも「プロアクティブドライビングアシスト(PDA)」の追加は大きなトピックです。

これは、従来の衝突被害軽減ブレーキよりも早い段階で、システムが運転状況に応じたリスクを先読みし、危険に近づきすぎないよう運転操作をサポートする機能です。 例えば、以下のような状況で支援を行います。

状況 システムの動作
横断中の歩行者や自転車 減速をアシスト
飛び出してきそうな歩行者 回避のためのステアリング操作とブレーキ操作をアシスト
前方の車両との車間距離が近い 緩やかに減速をアシスト
カーブを走行中 カーブに合わせてあらかじめ減速をアシスト

これらの機能により、ドライバーの認知・判断・操作をさりげなくサポートし、より安全で疲労の少ない運転を実現します。 「ぶつからない」ための安全から、「危険に近づかせない」ための安全へ。 レクサスの安全思想の進化がここにあります。

高速道路の運転を革新する「アドバンストドライブ」

さらに、高度運転支援技術「アドバンストドライブ(渋滞時支援)」が搭載されたことも、新型ISの価値を大きく高めています。 これは、高速道路や自動車専用道路での渋滞時(時速0km/h~約40km/h)において、一定の条件下でシステムがアクセル、ブレーキ、ステアリング操作を支援し、ドライバーは手放し運転が可能になるというものです。 ドライバーは常に前方を監視する必要がありますが、渋滞中のストレスや疲労を大幅に軽減してくれる画期的な機能です。 ステアリングコラムに設置されたドライバーモニターカメラが、ドライバーの状態を常に確認しており、脇見や居眠りなどを検知すると警告を発し、システムを解除するため、安全性も確保されています。

従来のオーナーが羨む、USB-Cポートや置くだけ充電

現代のカーライフに欠かせない、スマートフォンとの連携機能も強化されました。 センターコンソールにはUSB Type-Cポートが2口設置され、急速充電に対応します。 また、シフトレバー前方には「置くだけ充電(Qi)」のスペースも確保されており、ケーブルレスでスマートに充電が可能です。 こうした細かなアップデートが、日々の使い勝手を大きく向上させてくれるのです。

走りの熟成とパワートレインの選択肢:知っておくべき評価点と懸念点

デザイン、内装と並び、レクサスISの根幹をなすのが「走り」です。 今回の改良では、基本骨格であるプラットフォームはキャリーオーバーとしながらも、走りの質感を高めるための重要なアップデートが施されています。

引用 : TOYOTA HP (https://lexus.jp/)

ステアリングフィールの向上:ラック式EPSとVGRSの採用

走りにおいて最も期待できる進化点が、ステアリングシステムです。 従来モデルのオーナーやジャーナリストから指摘されることがあった、ステアリングフィールのリニア感の不足。 この点を解消すべく、電動パワーステアリング(EPS)が、従来のコラム式からよりダイレクトな操舵感が得られるラック式へと変更されました。

さらに、「バリアブルギヤレシオステアリング(VGRS)」も採用されています。 これは、車速に応じてステアリングのギア比を変化させるシステムで、低速走行時(車庫入れなど)は少ないステアリング操作でタイヤが大きく切れ、高速走行時は安定したフィーリングをもたらします。 これらの改良により、最近のトヨタ・レクサス車が持つ、スッキリとしていながら手応えのある、上質なステアリングフィールが実現されていることが期待されます。

新開発リニアソレノイド式AVSがもたらす乗り心地

サスペンションシステムも進化しています。 電子制御でショックアブソーバーの減衰力を最適化する「アダプティブバリアブルサスペンションシステム(AVS)」が、新開発のリニアソレノイド式へと刷新されました。 これにより、減衰力の可変範囲が拡大し、応答性も向上。 路面の凹凸をしなやかにいなし、フラットで快適な乗り心地と、コーナリング時の安定した姿勢を、より高い次元で両立します。 プラットフォームはそのままに、サスペンションの進化でどこまで乗り味を高められているのか、試乗が非常に楽しみなポイントです。

プラットフォームはキャリーオーバー、その影響は?

前述の通り、新型ISは最新のTNGA(Toyota New Global Architecture)プラットフォームではなく、従来型を改良して使用しています。 これをネガティブに捉える声があるのも事実です。 最新プラットフォームを採用した車種と比較した場合、ボディ剛性や静粛性、重心の低さといった基本性能のポテンシャルでは、どうしても不利になる面があることは否めません。

しかし、レクサスはこのプラットフォームを12年間にわたって熟成し続けてきました。 スポット溶接の増し打ちや構造用接着剤の塗布範囲拡大など、地道な改良を積み重ねることで、剛性は着実に向上しています。 最新ではない代わりに、熟成の限りを尽くした信頼性と、FRセダンとして理想的なパッケージングを維持しているというメリットもあります。 最新プラットフォームのクラウンやRXにどこまで迫る走りを実現できているのか、レクサスのエンジニアの意地とプライドが試される部分です。

パワートレインは変更なし:IS300hとIS350の評価

今回の発表で、少し残念な点として挙げられるのが、パワートレインが従来型から変更されなかったことです。 国内で販売されるのは、以下の2種類となる見込みです。

モデル名 パワートレイン
IS300h 2.5L 直列4気筒エンジン + ハイブリッドシステム
IS350 3.5L V型6気筒自然吸気エンジン

特にハイブリッドシステムの「IS300h」は、基本設計が10年以上前のものであり、最新のダイナミックフォースエンジンや第5世代ハイブリッドシステムを搭載したモデルと比較すると、燃費性能やシステム出力、静粛性といった面で見劣りする可能性があります。 バッテリーも、最新のバイポーラ型ニッケル水素電池やリチウムイオン電池ではなく、従来のニッケル水素電池が継続して使用されると見られています。

とはいえ、熟成されたシステムならではの滑らかさや信頼性の高さは魅力です。 今回の改良でソフトウェアの制御などがアップデートされ、フィーリングが改善されていることに期待したいところです。

2.0Lターボ(IS300)モデル廃止の衝撃

さらに衝撃的だったのは、これまでラインナップされていた2.0Lターボエンジン搭載の「IS300」が、今回の改良で廃止されたことです。 ダウンサイジングターボならではの軽快な走りと、自動車税の面でのメリットから、IS300は人気のグレードでした。 このモデルがなくなったことで、購入を検討していたユーザーにとっては選択肢が狭まることになります。 これは、近年の電動化へのシフトや、V6エンジンのIS350とのキャラクターの差別化を図るための判断かもしれません。

IS500は今後どうなるのか?憶測と期待

大排気量自然吸気エンジンの魅力を存分に味わえる「IS500 F SPORT Performance」の動向も気になるところです。 今回の発表では、IS500に関するアナウンスはありませんでした。 しかし、このデザインで5.0L V8エンジンを搭載したモデルが登場すれば、非常に魅力的であることは間違いありません。 一旦ラインナップから外れる可能性もありますが、熱心なファンの声に応える形で、後から特別仕様車として追加されることも期待されます。 続報を待ちたいところです。

なぜ最新のパワートレインを搭載しなかったのか?その背景を考察

デザインや内装にこれだけ大掛かりな改良を加えながら、なぜパワートレインはキャリーオーバーだったのでしょうか。 考えられる理由としては、開発コストの問題がまず挙げられます。 最新のハイブリッドシステムやエンジンを、旧来のプラットフォームに搭載するには、多大なコストと時間がかかります。

また、別の見方をすれば、これはレクサスの「選択と集中」の結果とも言えます。 電動化が加速する中で、内燃機関モデルに大規模な投資を行うのではなく、ユーザーが最も変化を実感しやすい内外装のデザインと先進装備のアップデートにリソースを集中させた、という考え方です。 そして、ISが持つべき「FRスポーツセダンとしてのフィーリング」を考えたときに、長年熟成させてきたV6エンジンや、モーターアシストのスムーズさに定評のあるハイブリッドシステムが最適解であると判断したのかもしれません。

まとめ

2025年9月に発表された新型レクサスIS。 それは、単なるビッグマイナーチェンジという言葉では片付けられない、レクサスの哲学と熟成の歴史が凝縮された一台です。

トレンドに流されることなく、自らのアイデンティティである「スピンドル」をユニファイドスピンドルへと進化させたエクステリアデザインは、FRスポーツセダンとしての理想的なプロポーションと相まって、見る者を強く惹きつけます。 最近のトヨタ車が採用するハンマーヘッドデザインとは明確に異なる、レクサス独自の道を歩むという強い意志が、そこには込められています。

インテリアも、大型ディスプレイやフル液晶メーター、そしてアンビエントライトの採用により、現代のプレミアムセダンにふさわしい先進性と上質さを手に入れました。 最新の安全装備や運転支援技術の搭載も、商品力を大きく高めています。

確かに、プラットフォームやパワートレインがキャリーオーバーであるという点は、懸念材料として残ります。 しかし、ステアリングやサスペンションの改良によって「走り」がどれだけ深化しているのか、非常に興味深いところです。

結論として、この新型レクサスISは、「デザインに惚れたなら買うべき一台」だと断言できます。 パワートレインの古さを補って余りあるほどの、所有する喜びと、見るたびに心が高揚するような美しいスタイリングが、この車にはあります。 セダン冬の時代と言われる今だからこそ、このような信念に満ちたモデルが登場したことを、一人の車好きとして心から歓迎したいと思います。