モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、憧れのエリアのナンバープレートを取得するために「車庫飛ばし」という行為が気になっているのではないでしょうか。

私も数多くの車を乗り継いできましたが、若い頃には特定のナンバーに憧れを抱いた時期もあり、その気になる気持ちはよくわかります。 しかし、その憧れを叶えるために、絶対にとってはいけない手段があるのも事実です。
この記事を読み終える頃には、「車庫飛ばし」が一体どのようなもので、どれほどのリスクを伴うのか、その全ての疑問が解決しているはずです。
記事のポイント
- 車庫飛ばしの概要と違法性
- 車庫飛ばしが発覚する具体的なケース
- ナンバープレートが持つ本来の役割と重要性
- 車庫飛ばしによって失うものの大きさ

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車庫飛ばしに関する基本知識

そもそも車庫飛ばしとは?その仕組みを解説
「車庫飛ばし」とは、自動車を登録する際に、実際に車を保管する場所とは別の、虚偽の場所を「自動車の保管場所(車庫)」として警察署に申請し、「保管場所標章(車庫証明ステッカー)」とナンバープレートを不正に取得する行為を指します。
自動車を登録するためには、「自動車の保管場所の確保等に関する法律(通称:車庫法)」に基づき、使用の本拠の位置(自宅など)から半径2km以内に駐車場を確保し、警察署から車庫証明を発行してもらう必要があります。 そして、ナンバープレートは、この「使用の本拠の位置」を管轄する運輸支局または自動車検査登録事務所で交付されるのが原則です。
例えば、東京都八王子市に住んでいる人が、八王子自動車検査登録事務所の管轄である「八王子ナンバー」ではなく、東京運輸支局の管轄である「品川ナンバー」を取得したいと考えたとします。 この場合、正規の手続きでは品川区や港区などに住んでいなければ品川ナンバーは取得できません。
そこで、品川区に住む友人や親戚の住所を借りたり、あるいは実態のないペーパーカンパニーの所在地やレンタルオフィスなどを借りたりして、あたかもそこに使用の本拠があり、駐車場も確保しているかのように偽装して車庫証明を申請します。 警察署の審査を通過して車庫証明が発行されれば、それを使って品川ナンバーの車を登録できてしまいます。 しかし、実際にはその車は八王子市の自宅に保管・使用されることになります。
このように、車庫証明の制度を悪用し、実態とは異なる場所で登録することで希望のナンバープレートを手に入れる行為、それが「車庫飛ばし」の正体です。 一見すると、書類上の手続きだけで簡単にできてしまうように思えるかもしれませんが、これは紛れもない法律違反、犯罪行為なのです。
車庫飛ばしが横行する背景にあるナンバープレートへの憧れ
なぜ、わざわざ法律を破るリスクを冒してまで「車庫飛ばし」を行う人が後を絶たないのでしょうか。 その根底には、特定の地域名が表示されたナンバープレートに対する強い「憧れ」や「ブランドイメージ」があります。
日本では、ナンバープレートに表示される地名は、その車が登録された「使用の本拠の位置」を示すものです。 そして、一部の地域名には、多くの人々が抱く特定のイメージが存在します。
- 品川ナンバー:港区、千代田区、渋谷区といった都心部を管轄。高級住宅街やオフィス街が広がり、「富裕層」「都会的」「ステータス」といったイメージを持つ人が多いでしょう。
- 横浜ナンバー:異国情緒あふれる港町、洗練された街並みから、「おしゃれ」「スマート」「先進的」といったイメージ。
- 湘南ナンバー:海、サーフィン、リゾート地といったイメージが強く、「スタイリッシュ」「自由」「スローライフ」などを連想させます。
- 富士山ナンバー:山梨県と静岡県の一部地域で交付されるご当地ナンバー。日本を象徴する富士山の麓という特別なロケーションから、一種のブランドとなっています。
これらのナンバーを付けていることは、その地域に住んでいることの証であり、ある種、自身のライフスタイルや社会的地位を表現する手段と捉える人も少なくありません。 一方で、自身の居住地のナンバープレートに、いわゆる「ダサい」といったネガティブなイメージを抱いてしまうケースもあります。
今回の相談者の方のように、八王子市に住んでいて「八王子ナンバー」になることに抵抗を感じ、代わりに「横浜ナンバー」や「品川ナンバー」を付けたいという願望は、まさにこの典型例と言えるでしょう。 愛車をより魅力的に見せたい、自己表現をしたいという純粋な気持ちが、結果として違法行為である「車庫飛ばし」へと向かわせる大きな動機となっているのです。 しかし、その動機がいかに純粋なものであっても、法律違反が正当化されることは決してありません。
なぜ法律で禁止されているのか?車庫証明の重要性
「たかがナンバープレートの地名のために、なぜそこまで厳しく取り締まるのか」と疑問に思う方もいるかもしれません。 しかし、車庫証明制度、そしてそれに基づくナンバープレートの登録制度は、私たちの安全で円滑なカーライフを支える上で、非常に重要な役割を担っています。
車庫法(自動車の保管場所の確保等に関する法律)の第一条には、その目的が明確に記されています。
第一条 この法律は、自動車の保有者等に自動車の保管場所を確保し、道路を自動車の保管場所として使用しないように義務づけること等により、道路使用の適正化、道路における危険の防止及び道路交通の円滑化を図ることを目的とする。
つまり、この法律の根幹は**「路上駐車をなくし、交通の安全と円滑さを確保すること」**にあります。 もし、誰もが駐車場を確保せずに車を所有できるようになったらどうなるでしょうか。 道という道は駐車車両であふれかえり、緊急車両の通行が妨げられたり、見通しの悪い場所での事故が多発したりと、交通は麻痺し、社会機能に大きな支障をきたすことは想像に難くありません。 車庫証明制度は、車を所有する者に対して保管場所の確保を義務付けることで、こうした事態を防いでいるのです。
さらに、車検証に記載される「使用の本拠の位置」とナンバープレートは、その車両が「どこで、誰によって主に使用されているか」を特定するための重要な情報です。
- 事故や事件発生時の車両特定:ひき逃げ事件や犯罪に使われた車両を追跡する際、ナンバープレートは最も重要な手がかりとなります。登録情報が正確でなければ、捜査は著しく困難になります。
- 税金の徴収:自動車税(種別割)や軽自動車税(種別割)は、車検証に記載された主たる定置場の市区町村が課税します。車庫飛ばしは、この納税義務を不正に免れる脱税行為にも繋がりかねません。
- リコールや行政からの通知:自動車メーカーからのリコール情報や、警察からの交通違反に関する通知などは、車検証の登録情報をもとに送付されます。情報が不正確だと、重要な通知が届かず、安全上の問題や法的なトラブルに発展する可能性があります。
このように、車庫証明とそれに基づく登録制度は、単にナンバープレートの地名を決めるためだけのものではありません。 交通インフラの維持、犯罪捜査、税務行政、そして私たち自身の安全確保といった、社会の根幹を支える重要な役割を担っているのです。 「車庫飛ばし」は、この社会システム全体を欺き、その根幹を揺るがしかねない悪質な行為であると理解する必要があります。
典型的な車庫飛ばしの手口
車庫飛ばしは、様々な手口で行われますが、その多くは第三者の協力やサービスを悪用する形で行われます。 ここでは、代表的な手口をいくつか紹介します。 もちろん、これらの行為はすべて違法であり、決して真似をしてはいけません。
友人・知人・親族の住所を借りる
最も古典的で安易に行われがちな手口です。 希望するナンバーの管轄地域に住んでいる友人や親族に頼み込み、その人の住所や駐車場を借りたことにして車庫証明を申請します。 「名前を貸すだけだから」といった軽い気持ちで協力してしまうケースも少なくありませんが、協力者も罪に問われる可能性がある、非常にリスクの高い行為です。
レンタルオフィスやバーチャルオフィスを利用する
法人名義で車を登録する場合に悪用されることがある手口です。 都心部などに安価で借りられるレンタルオフィスや、住所だけを借りられるバーチャルオフィスの住所を「使用の本拠の位置(事業所の所在地)」として申請します。 実際に事業を行っているわけではなく、あくまでもナンバープレートを取得するためだけに契約するのです。 駐車場も、そのオフィス近くの月極駐車場を一時的に契約し、車庫証明が取得できたらすぐに解約するといった悪質なケースもあります。
私書箱サービスを悪用する
郵便物を受け取るための私書箱を「使用の本拠の位置」として偽る手口です。 もちろん、私書箱は居住の実態がないため、本来は車庫証明の申請は受理されません。 しかし、他の書類と組み合わせて巧妙に偽装することで、審査をすり抜けようとします。
車庫飛ばしを請け負う悪質業者の存在
残念ながら、こうした違法行為をビジネスとして請け負う悪質な業者も存在します。 彼らは、車庫飛ばしのための架空の住所や駐車場(名義貸し駐車場)を用意し、手数料と引き換えに車庫証明の不正取得を代行します。 インターネットなどで「希望ナンバー取得します」といった謳い文句で宣伝していることがありますが、その実態は車庫飛ばしの斡旋業者であることがほとんどです。 このような業者を利用することは、自ら積極的に犯罪に加担する行為であり、極めて危険です。
警察もこれらの手口は熟知しており、申請内容に不審な点があれば、現地調査や内偵捜査を行います。 「書類さえ揃えればバレない」という考えは、あまりにも安易で危険な幻想に過ぎません。
車庫飛ばしの甚大なリスクと罰則

軽い気持ちで行った車庫飛ばしが、あなたの人生にどれほど大きな影響を与えるか、具体的に見ていきましょう。 「バレなければ大丈夫」という考えがいかに危険か、罰金の額や失うものの大きさを知れば、きっと理解できるはずです。
適用される法律と具体的な罰則
車庫飛ばしは、複数の法律に抵触する可能性のある犯罪行為です。 発覚した場合、以下のような厳しい罰則が科せられます。
法律名 | 罪状 | 罰則内容 | 解説 |
---|---|---|---|
自動車の保管場所の確保等に関する法律(車庫法) | 虚偽の保管場所証明申請 | 20万円以下の罰金 | 虚偽の住所で車庫証明を申請・取得したことに対する罰則です。これが車庫飛ばしの最も直接的な罰則となります。 |
自動車の保管場所の確保等に関する法律(車庫法) | 保管場所の不届・虚偽届出 | 10万円以下の罰金 | 引っ越しなどで車の保管場所が変わったにもかかわらず、15日以内に変更届出をしなかった、または虚偽の届出をした場合に適用されます。 |
電磁的公正証書原本不実記録・同供用罪(刑法第157条) | 不実の記録・供用 | 5年以下の懲役または50万円以下の罰金 | 車庫飛ばしによって得た虚偽の車庫証明を使い、運輸支局のコンピュータシステムに事実と異なる情報(虚偽の住所)を登録・記録させる行為です。車庫法違反よりもはるかに重い罪に問われる可能性があります。 |
道路運送車両法 | 変更登録義務違反 | 50万円以下の罰金 | 住所など、自動車検査証(車検証)の記載事項に変更があった場合、15日以内に変更登録を行う義務があります。これを怠った場合に適用されます。 |
見ての通り、単なる交通違反の反則金とは比較にならない、重い刑事罰が科せられることがわかります。 特に、刑法の**「電磁的公正証書原本不実記録・同供用罪」**が適用された場合、懲役刑の可能性もあり、前科が付くことになります。 これは、公的な記録を偽るという行為が、社会の信頼を著しく損なう重大な犯罪であると見なされているからです。 憧れのナンバープレートを手に入れる代償が「前科」では、全く割に合わないことは明白でしょう。
なぜバレる?車庫飛ばしが発覚する主なケース
「うまくやればバレないだろう」と考える人もいるかもしれませんが、車庫飛ばしは、日常生活のふとしたきっかけから発覚するケースが非常に多いのが実情です。
警察による現地調査・内偵捜査
車庫証明を申請すると、警察署の担当者が実際にその場所に赴き、申請内容と現況に相違がないかを確認します。 特に、過去に不正が疑われた住所や、レンタルオフィスなど不審な点がある申請については、重点的に調査が行われます。 「申請された駐車場に契約の実態がない」「申請車両が全く駐車されていない」「表札と申請者の名前が違う」といった点から嘘は簡単に見抜かれます。 また、登録後も、管轄の警察が定期的に巡回し、登録車両が適切に保管されているかを確認することがあります。
第三者からの通報
最も多い発覚ケースの一つが、近隣住民などからの通報です。 「契約していないはずの駐車場に、見慣れない車がいつも停まっている」 「〇〇ナンバーの車が、いつもこのアパートの前に路駐している。ここの住人ではないはずなのに」 「深夜に帰ってきて、朝早くに出ていく怪しい車がいる」 こうした地域住民の些細な疑問や迷惑行為への不満が、警察への通報に繋がり、そこから車庫飛ばしが発覚することは少なくありません。 特に、月極駐車場などでは、他の正規契約者からのクレームが発覚の引き金になることもあります。
ディーラーや整備工場からの指摘
車検や点検、修理などでディーラーや整備工場に車を預けた際に、車検証の住所と実際の居住地が違うことから発覚するケースです。 多くの優良なディーラーや整備工場は、コンプライアンス(法令遵守)を重視しており、違法行為に加担することを固く禁じています。 車庫飛ばしの事実が判明した場合、整備や車検の受け入れを拒否されたり、今後の出入りを禁止されたりする可能性があります。 また、不正を見過ごすことはできないとして、警察に通報する義務感を持つ担当者もいるでしょう。
交通事故の発生
万が一、交通事故を起こしてしまった場合、警察による実況見分や保険会社による調査が行われます。 その過程で、運転者の免許証の住所と、車検証に記載されている使用の本拠の位置が全く異なることが判明すれば、車庫飛ばしが発覚する決定的なきっかけとなります。 事故というただでさえ大変な状況の中で、さらに犯罪行為まで明るみに出てしまうのです。
あおり運転などのトラブル
近年問題になっているあおり運転などのトラブルも、発覚のきっかけになり得ます。 被害者がドライブレコーダーの映像を警察に提出し、ナンバーから所有者を割り出した結果、登録されている住所に本人が住んでいないことが判明する、といったケースです。
このように、車庫飛ばしという嘘は、いつ、どこで、誰によって暴かれるかわからない、常に発覚のリスクと隣り合わせの状態にあるのです。
罰金だけでは済まない!失うものの大きさ
もし車庫飛ばしが発覚した場合、その影響は刑事罰や罰金だけに留まりません。 あなたの社会生活そのものに、深刻なダメージを与える可能性があります。
社会的信用の失墜と前科
前述の通り、悪質なケースでは懲役刑もあり得ますし、罰金刑であっても「前科」が付きます。 前科が付くということは、あなたの経歴に法を犯したという事実が記録として残ることを意味します。 これは、今後の人生において様々な場面で大きな足かせとなり得ます。
会社からの懲戒処分
勤務先の就業規則にもよりますが、犯罪行為によって有罪判決を受けた場合、懲戒解雇や諭旨解雇、降格、減給といった重い処分が下される可能性があります。 特に、公務員や金融機関、企業の役員など、高い倫理観や信用が求められる職業の場合、その影響は計り知れません。 たった一台の車のナンバーのために、これまで築き上げてきたキャリアや安定した生活を全て失うリスクがあるのです。
各種ローン審査への影響
住宅ローンや自動車ローン、教育ローンなど、将来的に各種ローンを組む際に、前科の事実が信用情報に影響を与え、審査が通らなくなる可能性があります。 人生設計そのものが、大きく狂ってしまうことになりかねません。
人間関係の破綻
もし、友人や親族に名義貸しを依頼していた場合、その協力者も罪に問われることになります。 あなた自身の問題に、大切な人を巻き込んでしまうのです。 信頼関係は崩壊し、取り返しのつかない事態になるでしょう。
車庫飛ばしは、単なる「ルール違反」ではなく、あなたの社会的信用、キャリア、財産、そして大切な人との関係性まで、あらゆるものを危険に晒す行為なのです。
任意保険が使えない!?事故発生時の最悪のシナリオ
車庫飛ばしがもたらすリスクの中で、特に見過ごされがちで、しかし最も致命的となり得るのが「任意保険」の問題です。
自動車保険の契約時には、契約車両の「登録番号」「主たる使用地(住所)」「記名被保険者」などを正確に告知する義務(告知義務)があります。 保険料は、これらの情報をもとに、事故のリスクを算出して決められています。 例えば、交通量が多い都市部と、比較的交通量が少ない地方では、事故のリスクが異なるため保険料も変わってきます。
車庫飛ばしを行っている場合、保険会社に届け出ている「主たる使用地」が虚偽であるため、これは**「告知義務違反」**に該当します。
もし、告知義務違反の状態で事故を起こしてしまった場合、保険会社はそれを理由に保険契約を解除することができます。 そうなると、一体どうなるのでしょうか。
- 対人賠償・対物賠償が支払われない:事故相手の治療費や、壊してしまった車・物への賠償金が、保険から一切支払われません。もし相手を死亡させてしまったり、重い後遺障害を負わせてしまったりした場合、その賠償額は数千万円から数億円にものぼることがあります。これを全額、自己負担で支払わなければなりません。
- 自分の車の修理代も支払われない:車両保険に加入していても、保険金は支払われません。
- 自分や同乗者の治療費も支払われない:人身傷害保険や搭乗者傷害保険も使えません。
つまり、事故の金銭的負担をすべて自分一人で背負うことになるのです。 これは、自己破産をしても支払い義務が免除されないケースもあり、文字通り「人生が終わる」レベルの事態に発展しかねません。
「バレなければ大丈夫」ではありません。 事故はいつ起こるか予測できません。 その「万が一」の時に、あなたとあなたの家族を守るはずの保険が全く機能しないという事実は、車庫飛ばしが持つ最大級のリスクと言えるでしょう。
ディーラーや販売店も共犯?発覚した場合の店の責任
車を購入する際、車庫証明の取得手続きはディーラーや販売店が代行してくれるのが一般的です。 では、もし購入者が車庫飛ばしをしようとしていることを知りながら、ディーラーが手続きを手伝った場合はどうなるのでしょうか。
この場合、ディーラーや販売店も虚偽申請の幇助(ほうじょ)犯として罪に問われる可能性があります。 つまり、犯罪の「共犯者」となるわけです。 発覚すれば、当然ながら行政処分や営業停止命令など、厳しいペナルティが科せられます。 企業の信頼は地に落ち、最悪の場合、倒産に追い込まれる可能性すらあります。
そのため、現在のコンプライアンス意識が高いディーラーや販売店は、車庫飛ばしに対して非常に厳しい姿勢で臨んでいます。 車庫証明を申請する際には、本当にその住所に住んでいるのかを確認するために、公共料金の領収書や住民票の提出を求めたり、念入りなヒアリングを行ったりします。 少しでも不審な点があれば、契約そのものを断るのが一般的です。
「うまくディーラーを騙して…」と考えるのは無駄なことです。 彼らは、自社を守るためにも、不正の芽を徹底的に摘み取ろうとします。 もし、車庫飛ばしに協力的な業者があったとすれば、それはコンプライアンス意識の低い、非常に危険な業者であると言わざるを得ません。
過去の摘発事例から学ぶ現実
車庫飛ばしは、決して見過ごされる行為ではありません。 実際に、全国で数多くの摘発事例が報道されています。
- 高級外車ディーラーと顧客の摘発:都内の高級外車ディーラーが、顧客の依頼に応じて、従業員の親族の住所を使うなどして車庫飛ばしを繰り返し行っていたとして、社長や従業員、そして顧客たちがまとめて摘発された事例。
- レンタルオフィスを利用した組織的な犯行:複数の法人がレンタルオフィスを事務所として偽り、多数の車両を不正に登録していたとして、関係者が逮捕された事例。
- 暴力団関係者の摘発:暴力団員が、身元を隠すためや犯罪に利用する目的で、他人名義で車庫飛ばしを行い逮捕された事例。
これらの事例からもわかるように、警察は車庫飛ばしを悪質な犯罪行為として認識し、厳しい捜査を行っています。 個人の見栄や憧れから始まった安易な行動が、大がかりな犯罪捜査に発展し、実名で報道されてしまう。 これが、車庫飛ばしの決して遠くない現実なのです。
まとめ
今回は、特定のナンバープレートを取得したいという思いから行われる違法行為「車庫飛ばし」について、その仕組みから罰則、そして人生を揺るがすほど甚大なリスクまで、詳しくレビューしてきました。
- 車庫飛ばしは、車庫法違反や刑法に抵触する紛れもない犯罪行為である。
- 発覚すれば、重い罰金や懲役刑が科され、前科が付くことになる。
- 警察の捜査や第三者の通報など、発覚するきっかけは日常に溢れている。
- 社会的信用やキャリア、人間関係など、失うものは計り知れない。
- 何よりも、事故の際に任意保険が使えず、一生を棒に振る可能性がある。
八王子ナンバーを避けたい、品川ナンバーや横浜ナンバーに乗りたい、という気持ちは、車好きとして理解できなくはありません。 しかし、そのために犯罪に手を染め、これほど多くのものを失うリスクを背負うことが、本当にあなたの望むカーライフでしょうか。
ナンバープレートは、単なる飾りやステータスシンボルではありません。 その車が正規の手続きを経て登録され、社会的な責任を負っていることの証です。 愛車と正々堂々と向き合い、法律を守ってカーライフを楽しむことこそが、真の豊かさではないでしょうか。
車庫飛ばしは、絶対に割に合わない「ハイリスク・ノーリターン」な行為です。 今回のレビューが、あなたの賢明な判断の一助となることを願っています。