モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。今回も多く寄せられている質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、「憧れのBMW、せっかくなら本国仕様の左ハンドルに乗りたいけど、一体どこで探せばいいんだろう?」という疑問をお持ちではないでしょうか。私も長年、様々なBMWの左ハンドル車を所有してきましたが、最初の1台を探す際には同じように悩んだ経験があるので、その気持ちはよくわかります。

引用 : BMW HP (https://motoren-glanz.bmw.jp/ja)
右ハンドルが主流の日本において、左ハンドル車を探すのは少しコツが必要です。しかし、ポイントさえ押さえれば、あなたにぴったりの一台を見つけることは決して難しくありません。
この記事を読み終える頃には、BMWの左ハンドル車をどこで、どのように探せば良いのか、そして後悔しないための選び方まで、全ての疑問が解決しているはずです。
記事のポイント
- 現在新車で左ハンドルは原則購入不可
- 購入の主な選択肢は認定中古車か中古車販売店
- 販売店の種類ごとにメリットとデメリットが存在
- 購入後の維持まで見据えた店選びが重要

新しい車に乗り換える際、今乗っている愛車をどれだけ高く売却できるかは、次の車の選択肢にも大きく影響します。
私自身、一括見積もりサイトを活用したことで、ホンダヴェゼルからレクサスRXに乗り換えることができました。
BMWの左ハンドル車の現状|今でも買えるのか
「BMWの左ハンドルに乗りたい!」と考えたとき、多くの方がまず疑問に思うのが「今でも新車で買えるのか?」という点でしょう。結論から言うと、現在、日本のBMW正規ディーラーで新車の左ハンドル車を通常の方法で購入することは、原則としてできません。

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なぜなのでしょうか。そして、どうしても新車の左ハンドルが欲しい場合、何か方法はあるのでしょうか。ここでは、BMWの左ハンドル車の現状について、その背景から詳しく解説していきます。
なぜBMWは日本で右ハンドルが基本になったのか
かつて、輸入車といえば左ハンドルが当たり前の時代がありました。しかし、1990年代後半から、日本の交通事情やユーザーの要望に応える形で、各メーカーが右ハンドル仕様の導入を本格化させました。BMWもその流れをいち早く汲み取り、積極的に右ハンドルモデルを拡充してきたメーカーの一つです。
主な理由としては、以下のような点が挙げられます。
- 安全性と運転のしやすさ: 日本は左側通行のため、右ハンドルの方が対向車の確認や右折時の視界確保が容易です。特に、追い越しやすれ違いの多い日本の道路環境では、右ハンドルの方が安全かつストレスなく運転できると考えるユーザーが大多数です。
- 市場のニーズ: 右ハンドル化が進むにつれて、「輸入車=左ハンドル」というイメージは薄れ、多くのユーザーが国産車と同じ感覚で運転できる右ハンドルを求めるようになりました。メーカーとして、市場の最大多数のニーズに応えるのは当然の戦略と言えます。
- 操作系の最適化: 当初は左ハンドル仕様の部品をそのまま流用したことで、ウインカーレバーやペダル配置に違和感を覚える右ハンドル車も散見されました。しかし、現在のBMW車は開発段階から右ハンドル仕様を想定しており、各種操作系が自然なレイアウトになるよう最適化されています。
こうした背景から、BMWジャパンが日本市場向けに導入するモデルは、そのほとんどが右ハンドル仕様となっています。一部のMモデルなど、ごく限られた車種で過去に左ハンドルの設定がありましたが、それらも現行モデルでは右ハンドルのみとなっています。
新車で左ハンドルを手に入れる唯一の方法「並行輸入」
正規ディーラーで新車の左ハンドルが手に入らないとなると、諦めるしかないのでしょうか。実は、一つだけ方法が残されています。それが**「並行輸入」**です。
並行輸入とは、正規代理店(この場合はBMWジャパン)を通さずに、海外で販売されている車両を日本の業者が独自に輸入して販売する形態を指します。
この方法であれば、欧州や北米など、左ハンドルが主流の国で販売されている最新のBMWを新車で手に入れることが可能です。日本では導入されていないグレードやオプション仕様を選べる可能性もあり、こだわりを持つユーザーにとっては魅力的な選択肢となり得ます。
並行輸入のメリット
- 最新モデルの左ハンドル仕様が手に入る: 日本未導入のモデルも含め、世界で販売されている最新のBMWに乗れる可能性があります。
- 選択肢の広さ: ボディカラーや内装、オプションなどを本国仕様で自由に組み合わせられる場合があります。
- 希少性: 日本ではほとんど見かけない仕様の車に乗れるため、高い満足感と優越感を得られます。
並行輸入のデメリット
- 保証の問題: 正規ディーラーの保証は適用されません。車両にトラブルが発生した場合、修理は全て自己負担となるか、輸入業者が独自に設定する保証に頼ることになります。
- メンテナンスと修理: 正規ディーラーでは整備を断られるケースがあります。並行輸入車の整備経験が豊富な専門工場を探す必要があります。また、部品の取り寄せに時間がかかることも覚悟しなければなりません。
- 割高な価格設定: 車両本体価格に加え、輸送費、関税、各種手続きの代行費用などが上乗せされるため、正規輸入車よりもかなり高額になるのが一般的です。
- 日本の保安基準への適合: 日本の法律に合わせて、灯火類の改善や排ガス検査などを行う必要があります。このプロセスに時間と費用がかかります。
- ナビやラジオの周波数: 現地の仕様のままだと、日本のナビが使えなかったり、ラジオの周波数が合わなかったりすることがあります。これらを日本仕様に対応させるには、別途費用と専門知識が必要です。
このように、新車の左ハンドルを手に入れる並行輸入という道は、相応の覚悟と知識、そして資金が必要となる、かなりハードルの高い選択肢と言えるでしょう。そのため、多くの方にとっては、状態の良い中古車を探すことが、BMWの左ハンドル車を手に入れる最も現実的な方法となります。
BMWの左ハンドル車を購入できる販売店の種類と特徴
新車での購入が難しいとなると、BMWの左ハンドル車を探す主戦場は中古車市場となります。しかし、一口に中古車販売店といっても、その形態は様々です。

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どこで買うかによって、車の品質、価格、購入後の安心感が大きく変わってきます。ここでは、主な購入先の選択肢を4つ挙げ、それぞれのメリット・デメリットを、私のジャーナリストとしての視点から詳しく解説していきます。
選択肢1:BMW正規ディーラー(認定中古車)
最も安心感が高い選択肢が、BMW正規ディーラーが運営する認定中古車「BMW Premium Selection」です。
正規ディーラーが下取りや買い取りで入手した車両の中から、厳しい基準をクリアした高品質な車だけが認定中古車として販売されます。
メリット
- 圧倒的な品質と信頼性: 納車前に100項目以上の点検整備が実施され、消耗部品も基準に満たないものは交換されます。内外装も専門のスタッフによってクリーニングされ、新車に近いコンディションで納車されるのが魅力です。
- 充実した保証: 年式や走行距離に応じて、1年間または2年間の走行距離無制限保証が付帯します。万が一のトラブルでも、全国の正規ディーラーで無償修理が受けられるため、購入後の安心感は絶大です。
- 車両履歴の明確さ: 新車時からの整備記録がしっかりと残っている車両が多く、過去にどのようなメンテナンスを受けてきたかを正確に把握できます。修復歴のある車は販売されないため、その点でも安心です。
- ファイナンスプログラム: ローンやリースなど、BMW独自のファイナンスプログラムを利用できるため、資金計画が立てやすいのも利点です。
デメリット
- 価格が割高: 徹底した整備と手厚い保証が付く分、一般的な中古車販売店に比べて車両価格は高めに設定されています。
- 左ハンドルの在庫が少ない: 日本で正規販売された車両が中心となるため、左ハンドルの在庫は非常に少ないのが現状です。希望のモデルやグレード、ボディカラーの左ハンドル車が見つかる可能性は低いと言わざるを得ません。見つかったとしても、すぐに売れてしまうことが多いため、こまめな情報収集と迅速な判断が求められます。
認定中古車で左ハンドルを探すコツ
公式サイトの認定中古車検索システムを毎日チェックするのが基本です。希望条件を登録しておき、新着車両のアラートを受け取る設定にしておくと良いでしょう。また、懇意にしているディーラーがあれば、営業担当者に「左ハンドルが入ったら教えてほしい」と伝えておくのも有効な手段です。
選択肢2:大手中古車販売店
全国にチェーン展開しているような、大規模な中古車販売店です。様々なメーカーの車を大量に展示・販売しており、その中にはBMWの左ハンドル車も含まれていることがあります。
メリット
- 在庫の豊富さ: 全国規模のネットワークを持っているため、多様な車種や年式のBMWが見つかる可能性があります。ウェブサイトで全国の在庫を検索できるので、効率的に車探しができます。
- 価格の比較検討がしやすい: 在庫が多いため、似たような条件の車両を複数比較して、価格の妥当性を判断しやすいというメリットがあります。
- アクセスのしやすさ: 主要な幹線道路沿いなどに店舗を構えていることが多く、気軽に立ち寄って実車を確認できます。
デメリット
- 品質のばらつき: 取り扱う車両の数が多いため、一台一台の品質には差があります。中には状態の良くない車が紛れている可能性も否定できません。認定中古車のような厳格な基準がないため、購入者自身が車の状態を見極める目を持つ必要があります。
- 専門知識の不足: BMWや輸入車に関する深い知識を持ったスタッフが少ない場合があります。左ハンドル特有の注意点や、モデルごとの弱点など、専門的な質問に的確な答えが返ってこない可能性も考えられます。
- 保証内容の確認が必須: 独自の保証制度を用意している店舗がほとんどですが、その内容は様々です。「保証付き」という言葉だけで安心せず、保証の範囲、期間、修理時の自己負担額などを契約前に細かく確認することが非常に重要です。
選択肢3:輸入車・BMW専門店
特定の車種やメーカーに特化して、販売からメンテナンスまでを手掛ける専門店です。BMW専門店や、ドイツ車・欧州車を専門に扱うお店などがこれにあたります。左ハンドルを探す上では、非常に頼りになる存在です。
メリット
- 豊富な専門知識と経験: スタッフはBMWに関する深い知識を持っており、各モデルの長所・短所、ウィークポイントなどを熟知しています。左ハンドル車に関するノウハウも豊富で、購入前の相談から購入後のメンテナンスまで、的確なアドバイスが期待できます。
- 希少車との出会い: 店主のこだわりや独自のネットワークによって、市場にはなかなか出回らないような希少な左ハンドルモデルや、コンディションの良い個体が見つかることがあります。
- 購入後の手厚いサポート: 販売だけでなく、自社で整備工場を持っている場合が多く、購入後の車検や修理、カスタマイズの相談にも乗ってもらえます。正規ディーラーでは対応が難しいような、専門的な整備にも対応してくれることがあります。
- 品質へのこだわり: 専門店は「店の看板」として信頼を重視するため、粗悪な車両を仕入れることは少ない傾向にあります。店主自らが厳選した、コンディションの良い車両を中心に扱っている場合が多いです。
デメリット
- 店舗数が少ない: 大手販売店のように全国どこにでもあるわけではなく、店舗の数は限られています。お住まいの地域によっては、アクセスしにくい場合があります。
- 価格帯が高めになることも: 品質にこだわっている分、価格は相場よりもやや高めに設定されていることがあります。しかし、その価格には専門的な知識や購入後の安心感といった付加価値が含まれていると考えるべきでしょう。
選択肢4:個人売買・オークション
インターネットの個人売買サイトやオークションを通じて、オーナーから直接車を購入する方法です。
メリット
- 中間マージンがなく安価: 販売店を介さないため、消費税や業者の利益がかからず、市場価格よりも安く購入できる可能性があります。
- 思わぬ掘り出し物: マニアックなモデルや、大切に乗られてきた極上コンディションの車が、思いがけない価格で出品されていることがあります。
- 直接のコミュニケーション: 前のオーナーと直接話ができるため、その車がどのように扱われてきたか、整備の履歴などを詳しく聞くことができます。
デメリット
- 最大のリスクと完全自己責任: 最大のデメリットは、全ての取引が自己責任となることです。購入後に重大な欠陥が見つかっても、保証は一切ありません。車の状態を正確に見極める高度な知識と経験が不可欠です。
- 手続きの煩雑さ: 名義変更や車庫証明などの手続きを全て自分で行う必要があります。
- 現車確認の難しさ: 遠方の相手との取引の場合、事前に実車を確認するのが難しいという問題があります。写真や説明文だけで高額な商品の購入を決断するのは、非常にリスクが高い行為です。
販売店選びの比較表
購入先 | 品質・信頼性 | 価格 | 在庫の豊富さ | 専門知識 | 購入後の安心感 | おすすめな人 |
---|---|---|---|---|---|---|
正規ディーラー | ◎ | △ | × | ◎ | ◎ | 初めて輸入車を買う人、安心感を最優先したい人 |
大手中古車販売店 | ○ | ○ | ◎ | △ | ○ | 多くの車を比較検討したい人、車の状態を自分で判断できる人 |
BMW専門店 | ◎ | △ | ○ | ◎ | ◎ | こだわりの一台を探したい人、購入後も長く乗り続けたい人 |
個人売買 | × | ◎ | △ | × | × | 車の知識が豊富で、全て自己責任で対応できる上級者 |
私の経験からアドバイス
私自身、これまで正規ディーラーの認定中古車から、信頼できる専門店、そして個人売買まで、様々な方法で車を購入してきました。その経験から言えるのは、「BMWの左ハンドル」という少し特殊な車を探すのであれば、最もおすすめなのは信頼できる「専門店」を見つけることです。
専門店は、その車が持つ本来の価値や魅力を深く理解しています。なぜその年式のそのモデルが良いのか、左ハンドルであることの意義は何か、そしてそれを維持していくためのノウハウを持っています。良い専門店との出会いは、単に車を買うだけでなく、その後のカーライフ全体を豊かにしてくれるパートナーを見つけることと同義です。
もちろん、お住まいの地域に良い専門店がない場合や、まずは気軽に色々な車を見てみたいという方は、大手中古車販売店から探し始めるのも良いでしょう。その際は、必ずBMWに詳しそうなスタッフを見つけて、納得がいくまで質問を重ねることが重要です。
【ジャーナリスト視点】後悔しない!左ハンドルBMWの選び方
購入先の目星がついたら、次はいよいよ具体的な車両選びです。右ハンドルが当たり前の日本で、あえて左ハンドルを選ぶからには、その魅力を最大限に享受し、デメリットを最小限に抑えるための「選び方のコツ」があります。

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ここでは、私が常に意識している、後悔しないためのチェックポイントをいくつかご紹介します。
なぜ今あえて左ハンドルを選ぶのか?その魅力と価値
まず、左ハンドルを選ぶことのメリットを再確認しておきましょう。これは、あなたの車選びの「軸」となり、満足度を大きく左右する重要な要素です。
ドライビングポジションの優位性
BMWは「駆けぬける歓び」をスローガンに掲げる、走りにこだわるメーカーです。その設計は、当然ながらドライバーが最も自然で快適な操作を行えることを前提としています。
右ハンドル仕様も非常によくできていますが、一部のモデル、特に古い世代のモデルでは、エンジンや補機類のレイアウトの都合上、ペダル配置が左側にオフセットしていることがあります。左ハンドルであれば、ペダル類がタイヤハウスの影響を受けず、理想的な位置に配置されるため、より自然なドライビングポジションを取りやすいというメリットがあります。これは、長距離運転での疲労軽減や、繊細なペダル操作が求められるスポーツ走行において、大きなアドバンテージとなります。
本国仕様というステータス
左ハンドルは、BMWが生まれたドイツ本国と同じ仕様であるという、ある種の「オリジナル」へのこだわりを満たしてくれます。ウインカーレバーがハンドルの左側にあること、ワイパーが右側にあること。そうした細かな点も含めて、設計者が意図した本来の姿に触れることができるのは、車好きにとって何物にも代えがたい喜びです。
希少性によるリセールバリュー
日本市場における左ハンドル車は絶対数が少ないため、希少価値があります。特に、人気のスポーツモデルや限定車などでは、右ハンドル仕様よりも高いリセールバリュー(再販価値)を維持する傾向にあります。もちろん、モデルや車両の状態によって一概には言えませんが、将来的な資産価値を考慮する上でも、左ハンドルは魅力的な選択肢となり得ます。
左ハンドルを選ぶ際の注意点(デメリットと対策)
魅力的な点が多い一方で、日本の交通環境におけるデメリットも無視できません。しかし、これらは事前に対策を知っておけば、十分に克服できるものばかりです。
駐車券・料金所問題のスマートな解決法
最も有名なデメリットが、駐車場の発券機や料金所の精算機に手が届きにくいという問題です。
- 定番アイテム「マジックハンド」: 100円ショップなどで手に入る、いわゆる「マジックハンド」を車内に常備しておくのが最も手軽で確実な解決策です。
- ETCの積極活用: 高速道路の料金所は、ETCを利用すれば全く問題ありません。ETC専用のスマートICも増えているため、活用の幅は広いです。
- クレジットカード対応の駐車場: 最近は、駐車券がなく、ナンバープレートを読み取ってクレジットカードで精算できる駐車場が増えています。そうした駐車場を積極的に利用するのも一つの手です。
- 助手席の同乗者にお願いする: 誰かが隣に乗っている場合は、協力をお願いするのが一番スムーズです。
右折時の視界と追い越し
左側通行の日本では、右折待ちの際に対向車線の直進車が見えにくいという状況が生まれます。
- 車間距離を多めにとる: 前の車に近づきすぎず、十分な車間距離を保つことで、対向車線を確認するための視野を確保します。
- 無理な右折はしない: 対向車が完全に途切れるのを待つ、あるいは矢印信号が出てから曲がるなど、常に「かもしれない運転」を心がけ、決して無理をしないことが最も重要です。
- 追い越しは慎重に: 片側一車線の道路で前の車を追い越す際も、対向車の確認が難しくなります。基本的には、追い越しはしないくらいの心構えでいる方が安全です。
同乗者への配慮
左側の助手席に乗る同乗者は、歩道から離れた車線側で乗り降りすることになります。特に交通量の多い道路では、後方からの自転車やバイクに注意が必要です。乗り降りの際は、ドライバーが安全を確認して声をかけるなどの配見が大切になります。
左ハンドルが狙い目のおすすめモデル5選
ここでは、私自身の所有経験や取材経験から、今、中古車で狙うべき魅力的な左ハンドルBMWを5車種、独断と偏見で選んでみました。
- BMW 3シリーズ (E46) M3: 3.2リッター直列6気筒自然吸気エンジンが奏でる官能的なサウンドと、シャープなハンドリングは、今なお多くのファンを魅了します。特に6速MTの左ハンドル仕様は、まさに「人馬一体」を体現できる一台。中古車価格もこなれてきましたが、程度の良い個体は減ってきているので、見つけたら早めの決断が必要です。
- BMW 3シリーズ (E92) M3: 4リッターV型8気筒自然吸気エンジンを搭載した、唯一無二のM3です。高回転まで一気に吹け上がるエンジンは、現代のターボエンジンでは味わえない刺激に満ちています。この世代まで左ハンドルの設定があり、特にクーペ(E92)の流麗なスタイリングと左ハンドルの組み合わせは、非常に絵になります。
- BMW Z4 (E85/E86): ロングノーズ・ショートデッキの古典的なFRスポーツカースタイルを持つZ4。特に初代(E85/E86)は、比較的コンパクトなボディサイズと自然吸気エンジンの組み合わせで、軽快な走りを楽しめます。オープンエアモータリングを左ハンドルで楽しむ贅沢は、一度味わうと病みつきになります。
- BMW 6シリーズ (E63/E64): クリス・バングルによる独創的でエレガントなデザインが特徴のラグジュアリークーペ/カブリオレ。特にV8エンジンを搭載した645Ciや650iは、余裕のあるパワーと快適な乗り心地を両立しており、優雅な長距離クルージングに最適です。左ハンドルを選ぶことで、そのグラマラスな雰囲気が一層引き立ちます。
- BMW M5 (E39): 歴代M5の中でも特に名車として名高いのが、このE39型です。4.9リッターV8エンジンと6速MTの組み合わせは、まさに「羊の皮を被った狼」。セダンでありながら、一級のスポーツカーに匹敵するパフォーマンスを秘めています。このモデルの真髄を味わうなら、左ハンドルのMT仕様以外に選択肢はない、と断言するファンも少なくありません。
購入前に必ずチェックすべきポイント
最後に、実際に中古車を購入する際に、必ず確認してほしい具体的なポイントを挙げます。
- 車両の状態確認:
- 整備記録簿(メンテナンスノート): これまでの整備履歴がわかる最も重要な書類です。定期的に正規ディーラーや専門工場で点検整備が行われていたかを確認しましょう。
- 修復歴の有無: 販売店に必ず確認し、契約書にもその旨を記載してもらいましょう。
- エンジンルーム: オイル漏れや滲みがないか、異音はしないか。
- 下回り: サビやオイル漏れ、マフラーの状態などを確認します。
- 内外装の傷やヤレ: 年式相応の小傷は仕方ないですが、大きな凹みや内装の著しい劣化は、その車がどのように扱われてきたかを示すバロメーターになります。
- 日本仕様との違い:
- ナビゲーションシステム: 並行輸入車の場合、ナビが日本の地図に対応していないことがあります。交換や後付けが可能か、費用はどれくらいかかるかを確認しておきましょう。
- 灯火類: ヘッドライトのカットラインやウインカーの色などが、日本の保安基準に適合しているかを確認します。
- 試乗の重要性:
- 必ず試乗して、エンジンの吹け上がり、トランスミッションの変速ショック、ブレーキの効き、足回りからの異音など、五感をフルに使って車のコンディションを確かめてください。
- この時、左ハンドル特有の車両感覚や視界にも慣れることができるか、自分自身で判断することが大切です。
まとめ
今回は、BMWの左ハンドル車をどこで買い、どう選ぶかというテーマについて、私の経験を交えながら詳しく解説してきました。
現在の日本では、新車でBMWの左ハンドルを手に入れるのは非常に難しく、主な選択肢は中古車となります。購入先には正規ディーラーの認定中古車から大手販売店、専門店、個人売買まで様々な選択肢がありますが、それぞれにメリット・デメリットが存在します。
特に、BMWという車の特性や左ハンドルの特殊性を考えると、深い専門知識と購入後の手厚いサポートが期待できる**「信頼できる専門店」**を見つけることが、満足のいくカーライフを送るための最も重要な鍵となります。
左ハンドルの運転には、駐車券の問題や右折時の視界など、慣れが必要な部分もあります。しかし、それらを補って余りある、ドライビングポジションの自然さや、本国仕様を所有する満足感といった、唯一無二の魅力があるのもまた事実です。
この記事で紹介した販売店の特徴や、後悔しないための選び方のポイントを参考に、ぜひあなたにとって最高のパートナーとなる一台を見つけてください。BMWの左ハンドル車と共に過ごす「駆けぬける歓び」に満ちた日々が、あなたを待っています。