モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、トヨタディーラーでハリアーなどの新車を検討した際に、営業担当者から「残価設定クレジット(残クレ)」を強く勧められ、その理由が気になっているのではないでしょうか。

引用 : トヨタHP (https://www.corolla-saitama.jp/c/shop/misatokamihikona)
私も実際に所有しているハリアーの購入時や、他の多くの車種を検討する中で同じような経験をしたので、その気になる気持ちはよくわかります。
「なぜこんなに勧めてくるのだろう?」「何か裏があるのでは?」と疑問に思うのは当然のことです。この記事を読み終える頃には、ディーラーが残クレを勧める本当の理由とその裏側にある仕組みについての疑問が解決しているはずです。
記事のポイント
- ディーラーが残クレを推す本当の理由
- 残クレと営業ノルマ・インセンティブの関係
- 「残クレだと納期が早い」噂の真相
- ユーザーが損しないための残クレ活用術

新しい車に乗り換える際、今乗っている愛車をどれだけ高く売却できるかは、次の車の選択肢にも大きく影響します。
私自身、一括見積もりサイトを活用したことで、ホンダヴェゼルからレクサスRXに乗り換えることができました。
トヨタディーラーが残クレを強く勧める8つの理由
先日、知人から「ハリアーを買いにディーラーへ行ったら、とにかく残クレを勧められた。月々の支払いが安くなるから、その分を投資に回せばプラスになる、なんて言われたんだけど本当かな?」という相談を受けました。結論から言うと、ディーラーが残クレを勧めるのには、顧客のためだけではない、明確な理由が存在します。

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彼らはボランティアではなく、ビジネスとして車を販売しています。その背景には、ディーラー側の収益構造やメーカーとの関係性、そして営業担当者個人の評価制度まで、複雑な事情が絡み合っているのです。ここでは、私が長年のジャーナリスト活動や自身の購入経験で得た知見を基に、ディーラーが残クレを強く勧める8つの理由を徹底的に解説していきます。
理由1:トヨタファイナンスからのインセンティブ(手数料収入)
ディーラーが残クレを勧める最も直接的で大きな理由は、**信販会社(トヨタの場合はトヨタファイナンス)から支払われるインセンティブ(販売奨励金)**です。
顧客が残クレを利用すると、車両本体価格から残価を差し引いた金額に対して、金利が発生します。この金利手数料の一部が、顧客を紹介したディーラーに対してキックバックされる仕組みになっています。これは、車両本体の値引きで減った利益を補填するための、ディーラーにとって非常に重要な収入源なのです。
インセンティブの具体的な仕組み
インセンティブの具体的な料率は公表されていませんが、一般的にはローン元金に対して数パーセントが支払われると言われています。例えば、400万円のハリアーを残価200万円の残クレで購入した場合、ローン元金は200万円です。仮にインセンティブが3%だとすると、ディーラーには6万円の利益が上乗せされる計算になります。
現金一括払いの顧客と比べると、ディーラーは1台販売するごとに追加で数万円の利益を得られるわけです。営業担当者個人の成績にも反映されるため、熱心に勧めてくるのは当然と言えるでしょう。
理由2:車両販売と金融商品をセットで販売できる
ディーラーにとって、残クレは単なる支払い方法の一つではありません。「車」という商品と「ローン」という金融商品をセットで販売できる、絶好の機会なのです。
現代のディーラーは、単に車を売るだけの「販売店」から、カーライフ全般をサポートする「サービス業」へと変貌を遂げています。その中で、自動車ローンや保険、メンテナンスパックなどをいかに多く契約してもらうかが、店舗全体の収益性を左右する重要な要素となっています。
残クレを契約してもらえれば、自動的に自社系列のファイナンス会社を使ってもらえ、さらに保険の見直しなども提案しやすくなります。これにより、顧客一人当たりの生涯価値(LTV:Life Time Value)を高めることができるのです。
理由3:将来の代替顧客を確保しやすい(囲い込み戦略)
残クレは、**3年後や5年後に顧客を再びディーラーに来店させるための、非常に強力な「囲い込み戦略」**でもあります。
残クレの最終回支払時には、以下の3つの選択肢が用意されています。
- 新しいトヨタ車に乗り換える
- 車を返却する
- 車を買い取る(一括または再ローン)
この仕組みのポイントは、どの選択肢を選んでも、最終的にはディーラーと顧客が再度接点を持つ必要があるという点です。特に「1. 新しいトヨタ車に乗り換える」を選んでもらうことは、ディーラーにとって最も望ましいシナリオです。
5年後にローンの最終回を迎えた顧客が来店すれば、「最終回の支払いは不要で、また新しいハリアーに乗り換えられますよ」と提案できます。顧客はまとまった出費なしで新車に乗り続けられるため、この提案を受け入れやすくなります。結果として、ディーラーは安定的に代替需要を掘り起こし、顧客を他メーカーに流出させることなく自社に留めておくことができるのです。
理由4:高額なオプションや上位グレードを提案しやすくなる
「月々の支払いがこれだけ抑えられますよ」というセールストークは、顧客の金銭感覚を麻痺させ、より高額な買い物へと誘導する効果があります。
例えば、ハリアーのZグレード(約450万円)を現金一括で買うのは躊躇するかもしれません。しかし、「残クレなら月々3万円台で乗れますよ。これなら最上級グレードのZ “Leather Package”(約500万円)にしても、月々の支払いは数千円しか変わりません」と言われたらどうでしょうか。
ナビやサンルーフ、モデリスタのエアロパーツといった高額なオプションも同様です。「このオプションを付けても、月々の支払いはたった1,500円アップです」という風に提案されると、「それくらいなら…」と追加してしまう顧客は少なくありません。
このように、残クレは支払い総額ではなく月々の支払額に焦点を当てることで、顧客の心理的な購入ハードルを下げ、結果的にディーラーの売上単価(と利益)を向上させるための強力なツールとなっているのです。
理由5:中古車として良質な下取り車を確保できる
残クレの契約期間が終了し、顧客が乗り換えや返却を選択した場合、その車両はディーラーに引き取られます。これはディーラーにとって、素性が良く、整備履歴も明確な高品質な中古車を安定的に確保できるという大きなメリットを意味します。
ディーラーは自社系列の中古車販売店(T-Valueなど)でこれらの車両を再販することで、再び利益を得ることができます。オークションなどで仕入れる中古車と違い、自社で新車販売し、定期的にメンテナンスも行ってきた車両ですから、品質には絶対の自信があります。そのため、高い価格で再販することが可能となり、中古車事業の収益安定化に大きく貢献するのです。
特にハリアーのような人気車種は中古車市場でも値崩れしにくいため、ディーラーにとっては非常に「おいしい」ビジネスモデルと言えるでしょう。
理由6:会社の利益目標(KPI)に残クレ契約率が含まれている
多くのディーラーでは、店舗や営業担当者個人の評価指標(KPI: Key Performance Indicator)の中に、残クレの契約率や件数が含まれています。
つまり、単に車を何台売ったかだけでなく、「何台、残クレで販売したか」が評価やインセンティブに直結するのです。会社として残クレの推進を重要戦略と位置付けているため、営業担当者は半ば強制的に残クレを顧客に勧めなければならない、という内部事情があります。
店長から「今月の残クレ目標、あと5件足りないぞ!」といったプレッシャーをかけられている営業担当者も少なくないでしょう。こうした背景が、時に顧客が引いてしまうほどの強いセールスにつながっているのです。
理由7:「納期が早くなる」というセールストークの有効性
「残クレで契約すると、なぜか納期が早まるらしい」という噂は、多くの購入検討者が耳にしたことがあるでしょう。これにはいくつかの側面があり、一概に嘘とは言えませんが、カラクリが存在します。
メーカーからの配車枠との関係
ディーラーへの車両の割り当て(配車枠)は、そのディーラーの販売実績やメーカーへの貢献度によって左右されることがあります。そして、メーカーであるトヨタ自動車と、信販会社であるトヨタファイナンスは同じグループ企業です。
トヨタグループ全体として残クレの利用を推進しているため、残クレの契約実績が多いディーラーが、配車枠で優遇される可能性は否定できません。
ディーラー内部での優先順位
また、ディーラー社内での顧客の優先順位付けに関係している場合もあります。同じハリアーを注文している顧客が複数いた場合、現金客よりも、残クレや保険、メンテナンスパックなど、多くの商品を契約してくれる「利益率の高い顧客」を優先的に納車しようというインセンティブが働く可能性も考えられます。
ただし、これはあくまで可能性の話であり、全てのディーラーで常に行われているわけではありません。しかし、営業担当者が「残クレの方が早く納車できるかもしれません」と仄めかすのは、こうした背景を知っているからこそのセールストークと言えるでしょう。
理由8:顧客の心理的ハードルを下げる効果
最後に、残クレは**「車を所有する」という大きな決断に対する顧客の心理的ハードルを劇的に下げる効果**があります。
数百万円という大金を一度に支払う、あるいは長期のローンを組むとなると、多くの人は慎重になります。しかし、「とりあえず3年(5年)だけ、月々これくらいの支払いで乗ってみませんか?」「気に入らなければ返せばいいんです」と言われれば、まるでサブスクリプションサービスのような気軽さで新車に乗り出すことができます。
この「出口(返却や乗り換え)が用意されている安心感」が、購入を迷っている顧客の背中を押す最後のひと押しになるのです。ディーラーはこの心理効果を巧みに利用し、契約へと結びつけているのです。
トヨタディーラーの残クレの裏側と賢い付き合い方|ノルマ・納期・損得の真実
ディーラーが残クレを勧める理由が、彼ら自身のビジネス上のメリットに基づいていることはご理解いただけたかと思います。しかし、だからといって残クレが全ての顧客にとって「悪」というわけではありません。ライフスタイルや価値観によっては、非常に合理的な選択肢となり得ます。

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大切なのは、ディーラーのセールストークを鵜呑みにせず、その裏側にある仕組みを理解した上で、自分にとって本当にメリットがあるのかを冷静に判断することです。ここでは、営業マンのノルマの仕組みから、納期の噂の真相、そして具体的な損得勘定まで、さらに一歩踏み込んで解説します。
営業マンのノルマとインセンティブの具体的な仕組み
ディーラーの営業担当者には、様々なノルマが課せられています。一般的に、以下のような項目が評価対象となります。
- 新車販売台数
- 中古車販売台数
- 残クレ契約件数・比率
- 自動車保険の新規契約・継続件数
- JAFの加入件数
- 点検・車検の入庫台数
- 携帯電話(auなど)の契約件数
ご覧の通り、単に車を売るだけでは評価されません。いかに多くの関連商品をセットで販売できるかが重要視されます。
インセンティブの体系はディーラーによって異なりますが、例えば「新車1台販売で〇〇円」という基本給に加えて、「残クレ1件獲得でプラス〇〇円」「保険契約でプラス〇〇円」といった形で加算されていくのが一般的です。トップセールスマンになると、こうしたインセンティブだけでかなりの収入を得ています。
彼らが残クレを強く勧めるのは、自身の給与に直結する重要なミッションだからなのです。その熱意に流されることなく、冷静に話を聞く姿勢が求められます。
「残クレだと納期が早くなる」は本当か?そのカラクリを徹底解剖
この噂は、購入検討者の間で常に話題になります。結論から言うと、**「特定の条件下では、早くなる可能性はゼロではないが、基本的には変わらない」**というのが私の見解です。
なぜ「早くなる」と言われるのか?
前述の通り、トヨタグループ全体で残クレを推進しているため、契約実績がディーラーへの配車枠に影響を与える可能性はあります。しかし、これはディーラー単位での話であり、個々の顧客の納期に直接反映されるとは限りません。
より可能性が高いのは、**「キャンセル車両の割り当て」**です。例えば、ある顧客が注文したハリアーが、納車直前にローン審査に落ちるなどの理由でキャンセルになったとします。このキャンセル車両(仕様が完全に一致する必要がある)を、次に待っている顧客に割り当てる際、ディーラーにとって利益率の高い残クレ契約客を優先する、というケースは考えられます。
実態は「セールストーク」の一環
しかし、現実的には、ほとんどのケースで納期に差は出ません。むしろ、「納期を人質にしたセールストーク」として使われている側面が強いと私は考えています。
「現金一括だと納期は1年半ですが、残クレでフルオプションにしていただければ、もしかしたら1年くらいに短縮できるかもしれません…」といった曖昧な表現で、高額な契約を促すための常套句なのです。
この言葉に惑わされ、不要なオプションを付けたり、不本意な支払い方法を選んだりしないよう、強い意志を持つことが重要です。
残クレのメリット・デメリットを再確認|あなたに向いているのは?
ここで一度、残クレという支払い方法のメリットとデメリットを客観的に整理してみましょう。
メリット | デメリット |
---|---|
月々の支払額を抑えられる | 総支払額は現金一括や銀行ローンより高くなる |
短期間で新車に乗り換えやすい | 金利が車両本体価格全体にかかる場合がある |
ライフプランの変化に対応しやすい(返却可能) | 走行距離や車両の状態に制限がある |
乗り換え・返却時に下取り価格が保証される | カスタマイズ(改造)が原則禁止されている |
最新の安全装備や燃費性能の恩恵を受けやすい | 最終回の支払いが大きい(再ローン金利は高い) |
残クレに向いている人
- 3〜5年周期で確実に新車に乗り換えたい人
- ライフスタイルの変化(結婚、転勤など)が予想される人
- 常に最新の車に乗っていたい人
- 月々の支出を平準化したい人
- 車の売却や査定の手間を省きたい人
残クレに向いていない人
- 一台の車に長く乗りたい人(10年以上など)
- 総支払額を少しでも安く抑えたい人
- 年間走行距離が多い人
- 車を自由にカスタマイズしたい人
- 頭金を用意でき、銀行ローンで低金利の審査が通る人
自分のカーライフや価値観がどちらに近いか、冷静に判断することが後悔しないための第一歩です。
シミュレーション比較|現金一括・銀行ローン・残クレの総支払額
セールスマンの「月々安い」という言葉だけでなく、必ず「総支払額」で比較検討しましょう。ここでは、ハリアー Sグレード(車両本体価格 3,128,000円)を5年(60回)払いで購入した場合を例にシミュレーションしてみます。 ※金利や残価率はあくまで一例です。
支払い方法 | 月々の支払額 | 5年後の残価/最終回支払 | 5年間の総支払額(A) | 備考 |
---|---|---|---|---|
現金一括 | – | – | 3,128,000円 | 金利負担なし |
銀行ローン | 約54,500円 | – | 約3,270,000円 | 金利2.5%で計算 |
残クレ | 約31,000円 | 1,251,200円 | 約1,860,000円 | 金利4.5%、残価率40%で計算 |
【5年後に車を買い取った場合の総支払額(B)】
- 現金一括/銀行ローン: (A)と同額
- 残クレ(残価を一括清算): (A) + 1,251,200円 = 3,111,200円
- 残クレ(残価を再ローン): (A) + 約1,370,000円 = 約3,230,000円 ※再ローン金利6.8%で計算
シミュレーションから分かること
- 5年後に乗り換え・返却する場合: 残クレは月々の支払いも5年間の総額も最も安く、合理的です。
- 5年後に買い取る場合: 総支払額は「現金一括 < 残クレ(一括清算) < 残クレ(再ローン)≒ 銀行ローン」の順に高くなる傾向があります。
- 注意点: 残クレの金利は、残価分を含めた車両本体価格全体にかかる場合が多いため、見た目の金利以上に手数料を支払っていることがあります。契約前に必ず確認しましょう。
注意!残クレで損する人の特徴と回避策
残クレの仕組みを正しく理解せずに契約すると、「こんなはずじゃなかった」と後悔することになります。特に以下のようなケースは注意が必要です。
損するケース1:年間走行距離が多い人
残クレには、年間走行距離の上限(例:12,000km/年)が設定されています。これを超過すると、返却時に超過分1kmあたり5円~10円程度の精算金を請求されます。通勤やレジャーで長距離を走る人は、契約満了時に思わぬ出費が発生する可能性があります。
【回避策】 自身の年間走行距離を正確に把握し、契約プランと合っているか確認する。合わない場合は、走行距離の制限がない銀行ローンなどを検討する。
損するケース2:車を雑に扱ってしまう人
返却時の車両状態も厳しくチェックされます。内外装の大きな傷や凹み、ペットの毛やタバコの臭い、社外品への交換などは、原状回復費用を請求される対象となります。査定基準はディーラーによって定められており、一般的な中古車買取店の査定よりも厳しい傾向があります。
【回避策】 「借り物である」という意識を持ち、丁寧に乗ることを心がける。小さな子供やペットがいる家庭は特に注意が必要です。
損するケース3:「とりあえず」で契約し、結局長く乗ることになった人
「5年後はどうするか分からないけど、とりあえず月々が安いから」という理由で残クレを選ぶのは危険です。もし5年後にその車が気に入り、買い取ることを選択した場合、結果的に銀行ローンよりも高い金利を支払うことになりかねません。特に再ローンの金利は高めに設定されていることが多いため、注意が必要です。
【回避策】 購入時点で、その車にどのくらい長く乗りたいかをある程度計画しておく。長く乗る可能性が高いのであれば、低金利の銀行ローンや現金での購入を優先的に検討する。
ディーラーの言いなりにならないための交渉術
ディーラーとの商談では、主導権を握ることが重要です。以下のポイントを意識して、冷静に交渉を進めましょう。
- 支払い方法は最後まで明言しない: 最初から「現金で買います」と言うと、値引きが渋くなる可能性があります。逆に「残クレじゃないと買えません」と言うと、金利などの条件交渉で不利になります。「支払い方法はいくつか検討中です」と伝え、まずは車両本体とオプションの値引き交渉に集中しましょう。
- 複数の支払い方法の見積もりを要求する: 「現金一括」「通常のローン」「残クレ」の3パターンの見積もりを必ずもらいましょう。それぞれの総支払額を比較することで、冷静な判断ができます。
- 銀行ローンの事前審査を通しておく: ディーラーへ行く前に、ネット銀行などで金利の低いマイカーローンの事前審査を通しておくことを強くお勧めします。これにより、「銀行ローンなら金利〇%で借りられるのですが、それより良い条件は出せますか?」という強力な交渉カードを手に入れることができます。
- 「今日決めてくれたら」には乗らない: 「この条件は今日限りです」は営業の常套句です。一度持ち帰り、冷静に検討する時間を取りましょう。本当に良い条件であれば、翌日でも提示してくれるはずです。
ハリアー購入で考えたい残クレ以外の選択肢(KINTOなど)
残クレの「月々定額」というメリットに魅力を感じるのであれば、トヨタが提供するサブスクリプションサービス**「KINTO」**も有力な選択肢となります。
残価設定クレジット | KINTO(サブスクリプション) | |
---|---|---|
契約形態 | 割賦販売(ローン契約) | リース契約 |
料金に含まれるもの | 車両代金 | 車両代金、自動車税、任意保険、メンテナンス費用、車検代 |
所有者 | ディーラーまたは信販会社 | リース会社(KINTO) |
ナンバー | 「わ」ナンバーではない | 「わ」ナンバーではない |
中途解約 | 原則不可(残債一括清算) | 解約金を支払えば可能 |
メリット | 所有できる可能性がある | 全てコミコミで支出が完全に平準化できる |
デメリット | 税金や保険、メンテナンスは別途必要 | 契約満了後、買い取ることができない |
任意保険料が高額になりがちな若い世代や、車の維持に関する手間を一切省きたい人にとっては、KINTOの方が残クレよりもメリットが大きい場合があります。ハリアーもKINTOのラインナップに含まれていますので、ディーラーで残クレと合わせて見積もりを取ってみることをお勧めします。
まとめ
今回は、トヨタディーラーの営業担当者がなぜあれほど残価設定クレジット(残クレ)を勧めてくるのか、その理由と裏側にある仕組みについて、私の知る限りの情報を基に解説しました。
ディーラーが残クレを推すのは、インセンティブによる収益増加、顧客の囲い込み、販売単価の向上など、彼らのビジネスにとって多くのメリットがあるからです。 その背景には、営業担当者個人のノルマや評価制度も深く関わっています。
「納期が早くなる」という噂も、完全に嘘とは言えないものの、基本的には契約を有利に進めるためのセールストークと捉えるべきでしょう。
しかし、ディーラー側にメリットがあるからといって、残クレがユーザーにとって常に損な選択肢というわけではありません。短期乗り換えを前提とする人や、月々の支出を抑えたい人にとっては、非常に合理的な支払い方法です。
最も重要なことは、ディーラーの言葉を鵜呑みにせず、この記事で解説したような残クレのメリット・デメリット、そして他の支払い方法との総支払額の違いを正しく理解することです。そして、ご自身のライフプランや車の使い方に最適な方法を、主体的に選択することです。
ハリアーは素晴らしい車であり、私も所有者としてその完成度の高さに日々満足しています。だからこそ、支払い方法で後悔することなく、最高のカーライフをスタートさせていただきたいと心から願っています。
このレビューが、あなたの賢い車選びの一助となれば幸いです。