モータージャーナリスト兼コンサルタントの二階堂仁です。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、レクサスの購入を検討していて、近所に複数の正規ディーラーがある場合にどの店舗を選べば良いのか、その基準が気になっていると思います。私も実際に複数のレクサスディーラーとお付き合いがあり、店舗によって特徴が異なることを経験しているので、その気になる気持ちはよくわかります。
レクサスというブランドは、車両の品質だけでなく、購入後のカーライフ全体をサポートする「おもてなし」も大きな魅力の一つです。だからこそ、ディーラー選びは今後の満足度を大きく左右する重要なステップと言えるでしょう。
この記事を読み終える頃には、あなたに最適なレクサス正規ディーラーを見つけるための具体的な判断基準やチェックポイントについての疑問が解決しているはずです。
記事のポイント
- ディーラーの「経営母体」の違いを理解
- 担当セールスコンサルタントとの相性の重要性
- 試乗車や店舗設備の充実度を比較
- アフターサービスが長期的な満足度を左右

新しい車に乗り換える際、今乗っている愛車をどれだけ高く売却できるかは、次の車の選択肢にも大きく影響します。
私自身、一括見積もりサイトを活用したことで、ホンダヴェゼルからレクサスRXに乗り換えることができました。
レクサス正規ディーラー選びで失敗しないための基本知識
レクサス車を購入する際、多くの方が正規ディーラーに足を運ぶことでしょう。しかし、一言で「正規ディーラー」と言っても、実は店舗ごとに特徴やサービス内容が異なることをご存知でしょうか。まずは、ディーラー選びで後悔しないために知っておくべき基本的な知識から解説していきます。

引用 : レクサス HP (https://lexus.jp/lexus-dealer/dc/info/24756.html)
そもそもレクサス正規ディーラーとは?
レクサス正規ディーラーは、レクサスブランドの価値を顧客に提供するための拠点です。単に車を販売する場所ではなく、購入相談から納車、そしてアフターサービスに至るまで、最高品質のおもてなしとサービスを提供することが求められています。
全国に約190店舗(2025年時点)展開されており、どの店舗も高級感あふれる洗練された空間が特徴です。オーナー専用のラウンジが設けられている点も、他の自動車ディーラーとは一線を画すポイントでしょう。
トヨタのディーラー(トヨタ店、トヨペット店など)とは明確に区別されており、レクサス車は原則としてレクサス正規ディーラーでしか新車購入・メンテナンスができません。これは、ブランドイメージを維持し、質の高いサービスを均一に提供するための戦略です。
見落としがち!ディーラーの「経営母体」の違いがサービスに影響する
これが最も重要なポイントの一つです。実は、「レクサス〇〇店」という看板を掲げていても、その運営会社(経営母体)は店舗によって異なります。多くは地元の有力なトヨタ系ディーラーが運営していますが、中には独立資本の会社も存在します。
この経営母体の違いが、実はサービス内容や店舗の雰囲気に微妙な差を生み出す要因となっています。例えば、経営母体が大きい会社であれば、試乗車のラインナップが豊富であったり、大規模なイベントを企画したりする体力があります。一方で、地域密着型の経営母体であれば、より柔軟でアットホームな対応が期待できるかもしれません。
自宅から通える範囲に複数のディーラーがある場合、それらが同じ経営母体なのか、それとも異なる経営母体なのかを事前に調べておくことを強くお勧めします。会社のウェブサイトなどで簡単に確認できます。
経営母体が違うと何が変わる?具体的な比較ポイント
では、経営母体が違うと具体的にどのような点が変わってくるのでしょうか。私が実際に経験した中で感じた、比較すべきポイントをいくつかご紹介します。
比較項目 | 経営母体A(大手資本)の傾向 | 経営母体B(地域密着型)の傾向 |
---|---|---|
試乗車・展示車 | 最新モデルや多様なグレードを豊富に揃えている | 人気車種・グレードに絞られていることがある |
店舗イベント | 大規模な試乗会や著名人を招いたイベントなどを開催 | オーナー同士の交流を目的とした小規模なイベントが多い |
値引き・条件 | 大量仕入れによるスケールメリットを活かした条件提示 | 柔軟な対応やオプションサービスでの還元が期待できる |
人事異動 | 担当者の異動が比較的多い可能性がある | 同じ担当者に長く見てもらえる可能性が高い |
店舗間の連携 | 同一経営母体内での在庫共有や情報連携がスムーズ | 他の経営母体の店舗との連携は限定的 |
もちろん、これはあくまで一般的な傾向であり、全ての店舗に当てはまるわけではありません。しかし、こうした背景を知っておくことで、ディーラーを比較検討する際の解像度が格段に上がるはずです。
Googleマップの口コミや評価はどこまで信用できる?
ディーラー選びの際に、Googleマップなどの口コミを参考にする方は多いでしょう。実際に利用したユーザーの生の声は非常に参考になりますが、鵜呑みにするのは危険です。
口コミを見るときの注意点
- 情報の鮮度: 数年前の口コミは、現在の店舗状況と異なる可能性があります。特に担当者に関する評価は、その方が既に異動しているケースも少なくありません。
- 投稿者の主観: 車の購入やメンテナンスは、担当者との相性や個人の価値観に大きく左右されます。ある人にとっては最高のサービスが、別の人にとっては不満に感じることもあります。
- 極端な評価: 非常に高い評価や低い評価は、何か特別な事情があった可能性があります。多くの人が付けている平均的な評価帯のコメントの方が、店舗の全体像を把握しやすいでしょう。
口コミはあくまで参考程度に留め、最終的には自分自身の目で見て、耳で聞いて判断することが重要です。特に気になるネガティブな口コミがあった場合は、訪問時にその点についてさりげなく確認してみるのも一つの手です。
自宅からの距離だけで選ぶと思わぬ落とし穴が
「一番近いから」という理由だけでディーラーを決めてしまうのは、あまりお勧めできません。レクサスとのカーライフは、購入後からが本番です。定期点検や車検、万が一のトラブル対応など、ディーラーとは長い付き合いになります。
もし、自宅から一番近い店舗のサービスや担当者との相性に不満があった場合、その後のカーライフはずっとストレスを抱えることになりかねません。多少距離が遠くても、心から信頼できるディーラーを見つける方が、結果的に満足度は高くなります。
特に、点検時には車両の引き取り・納車サービス(セーフティ・カー・チェック)を提供しているディーラーも多いので、距離のデメリットはカバーできる場合もあります。サービスの有無や条件は店舗によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
レクサスCPO(認定中古車)もディーラー選びが重要
新車だけでなく、レクサスの認定中古車「CPO(Certified Pre-Owned)」の購入を検討している方もいるでしょう。CPOは全国のレクサス正規ディーラーで取り扱っており、どの店舗でも高品質な車両と手厚い保証が受けられます。

引用 : レクサスCPO (https://cpo.lexus.jp)
しかし、CPO選びにおいても、どのディーラーで購入するかは重要です。なぜなら、購入後のメンテナンスや保証対応は、原則として購入した店舗(またはその経営母体の店舗)で行うことになるからです。
CPOの在庫は店舗ごとに異なります。希望の車種が特定の店舗にしかない場合でも、購入後の付き合いを考え、その店舗の評判やサービス内容をしっかりと確認してから契約するようにしましょう。
ディーラー訪問前に準備しておくべきことリスト
いきなりディーラーに飛び込むのも悪くありませんが、より有意義な時間にするために、事前の準備をお勧めします。
- 興味のある車種・グレードの絞り込み: ある程度ターゲットを定めておくことで、話がスムーズに進みます。
- 予算の上限設定: 現金一括なのか、ローンを利用するのか、月々の支払額はいくらまで許容できるのか、などを考えておきましょう。
- 現在の愛車の情報: 下取りを希望する場合は、車検証を手元に用意し、走行距離を把握しておくと査定がスムーズです。
- 質問リストの作成: 聞きたいことをメモしておけば、舞い上がってしまっても聞き漏らしを防げます。
- 訪問予約: 特に週末は混雑するため、事前に電話やウェブサイトから予約を入れておくと、待たされることなくじっくりと話を聞くことができます。
複数のディーラーを効率的に回るためのコツ
近隣に複数のディーラーがある場合は、ぜひ実際に足を運んで比較検討してみてください。その際、以下の点を意識すると効率的です。
- 同じ日に訪問する: 記憶が新しいうちに比較できるため、各店舗の印象の違いが分かりやすくなります。
- 同じ車種・グレードで見積もりを取る: 条件を揃えることで、価格や提案内容を公平に比較できます。
- 対応してくれた担当者の名前を控える: 後日連絡を取る際にスムーズです。名刺は必ずもらっておきましょう。
- 店舗の雰囲気を五感で感じる: 清潔感、スタッフの立ち居振る舞い、ラウンジの居心地など、ウェブサイトだけでは分からない部分を体感することが重要です。
【実践編】理想のレクサス正規ディーラーを見極める7つのチェックポイント
基本的な知識を押さえたところで、次はいよいよ実践編です。実際にディーラーを訪問した際に、どこを重点的にチェックすれば良いのか、具体的な7つのポイントに絞って解説します。

Lexury Motors Journal イメージ
ポイント①:セールスコンサルタント(担当者)との相性を見極める
ディーラー選びは、担当者選びと言っても過言ではありません。高価な買い物であると同時に、購入後も長い付き合いになるため、信頼できるパートナーを見つけることが何よりも重要です。
チェックすべき担当者の資質
- 商品知識の豊富さ: 車両に関する質問に的確かつ分かりやすく答えられるか。メリットだけでなく、デメリットや注意点も正直に伝えてくれるか。
- ヒアリング能力: こちらの要望やライフスタイルを丁寧に聞き出し、最適な提案をしてくれるか。一方的に商品を押し付けてこないか。
- コミュニケーションの心地よさ: 話し方や態度に好感が持てるか。連絡の頻度やタイミングは適切か。約束を守るか。
- 熱意と誠実さ: レクサスというブランドや、自分が販売する車に誇りと愛情を持っているか。顧客のカーライフを本気で豊かにしたいという姿勢が感じられるか。
初回の訪問だけで全てを判断するのは難しいかもしれませんが、「この人から買いたい」「この人になら任せられる」と直感的に思えるかどうかを大切にしてください。
ポイント②:試乗車・展示車のラインナップと管理状態
興味のある車に実際に触れ、運転できる機会は非常に重要です。試乗車や展示車のラインナップと、その管理状態から、ディーラーの姿勢を垣間見ることができます。
- ラインナップの豊富さ: 検討している車種の異なるグレードや、比較したい他の車種が用意されているか。
- 試乗コース: ディーラーが設定した短いコースだけでなく、可能であれば普段自分が運転するような道(高速道路、山道など)を試せるか相談してみましょう。柔軟に対応してくれるディーラーは信頼できます。
- 車両の管理状態: 展示車や試乗車が常にきれいに保たれているか。内外装の清掃はもちろん、タイヤの空気圧や基本的なメンテナンスがしっかり行われているかは、その店舗の品質管理意識の高さを表します。
ポイント③:見積もりの内容と交渉のしやすさ
購入を決める上で、価格は避けて通れない要素です。見積もりの提示の仕方や、その後の交渉プロセスにもディーラーの個性が出ます。
- 見積もりの明瞭さ: 車両本体価格、オプション、税金、諸費用などが分かりやすく記載されているか。不明瞭な項目がないかを確認しましょう。
- 提案内容: 不要なオプションやメンテナンスパックが無理やり含まれていないか。こちらの予算や要望に沿った提案になっているか。
- 交渉への姿勢: レクサスは基本的に大幅な値引きは期待できませんが、ディーラーオプションのサービスや下取り価格の上乗せなど、何らかの形で誠意を見せてくれるかどうかがポイントです。高圧的な態度を取ったり、契約を急かしたりするようなディーラーは避けるべきでしょう。
ポイント④:店舗の雰囲気とオーナーズラウンジの快適性
レクサスディーラーの象徴とも言えるのが、豪華なショールームとオーナーズラウンジです。購入後、点検などで何度も利用することになる場所なので、自分にとって居心地の良い空間かどうかも重要な判断基準になります。
- 清掃と整理整頓: ショールーム全体が清潔に保たれ、高級感のある雰囲気が維持されているか。
- スタッフの対応: セールス担当者だけでなく、受付スタッフやサービススタッフの挨拶や対応は気持ちが良いか。店舗全体の教育レベルが伺えます。
- オーナーズラウンジの設備: ドリンクサービスの内容、席の配置、Wi-Fi環境、雑誌のラインナップなどは充実しているか。マッサージチェアなど、店舗独自の設備がある場合もあります。
- プライバシーへの配慮: 商談スペースは、周りを気にせず落ち着いて話せる環境か。
ポイント⑤:サービス工場(整備)の設備と技術力
車の心臓部であるメンテナンスを担うのがサービス工場です。最新の設備が整っているか、そして何より、経験豊富なメカニックが在籍しているかは、愛車を長く安心して乗り続けるために不可欠な要素です。
- 工場の見学: 可能であれば、サービス工場の様子を見せてもらいましょう。整理整頓されているか、最新の診断機などが導入されているかを確認できます。
- メカニックの資格: レクサスには独自の技術資格制度があります。資格を持ったメカニックが何名在籍しているかなどを聞いてみるのも良いでしょう。
- サービスアドバイザーの対応: 整備内容について、専門用語を使わずに分かりやすく説明してくれるか。こちらの質問に丁寧に答えてくれるか。
ポイント⑥:点検・車検時の代車サービスの内容
定期点検や車検で車を預ける際、代車が用意されることがほとんどですが、その内容はディーラーによって異なります。
- 代車の車種: 代車としてレクサス車が用意されるのか、それとも他のトヨタ車になるのか。レクサス車を希望する場合、どのモデルが利用可能かを確認しておきましょう。
- 費用: 代車の利用は無料の場合が多いですが、ガソリン代の扱いや保険の適用範囲など、細かいルールは事前に確認しておくと安心です。
- 予約の取りやすさ: 人気の代車は予約が埋まりやすいこともあります。点検の予約と同時に、スムーズに代車の手配ができるかも確認しておきましょう。
ポイント⑦:イベントやオーナー向けサービスの充実度
レクサスディーラーは、単に車を売るだけでなく、オーナー同士の交流や豊かなカーライフの提案にも力を入れています。店舗独自のイベントやサービスも、ディーラー選びの楽しみの一つです。
- 開催されるイベント: 新型車の試乗会、ゴルフコンペ、音楽コンサート、ドライビングレッスンなど、ディーラーによって様々なイベントが企画されています。自分の趣味に合うイベントがあるかチェックしてみましょう。
- オーナー特典: 提携しているホテルやレストランでの優待など、そのディーラーのオーナーならではの特典が用意されている場合があります。
- 情報発信: 店舗のウェブサイトやSNS、ニュースレターなどで、積極的に情報発信を行っているかも、顧客満足度を重視する姿勢の表れと言えるでしょう。
まとめ
今回は、近所に複数のレクサス正規ディーラーがある場合の決め方のポイントについて、私の経験を交えながら詳しく解説しました。
重要なのは、ディーラーの「経営母体の違い」を理解した上で、実際に複数の店舗に足を運び、自分自身の目で比較検討することです。そして何より、長期的に信頼関係を築けるセールスコンサルタントに出会えるかどうかが、あなたのレクサスライフの満足度を大きく左右します。
Googleマップの評価や自宅からの距離といった情報だけで判断するのではなく、今回ご紹介した7つのチェックポイントを参考に、ぜひあなたにとって最高のパートナーとなるディーラーを見つけてください。
素晴らしいレクサスとの出会いは、素晴らしいディーラーとの出会いから始まります。このレビューが、あなたの後悔のないディーラー選びの一助となれば幸いです。