モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。今回も多く寄せられている質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、レクサスNXの購入を検討しつつも、2026年に噂されている大規模改良が気になっているのではないでしょうか。私も実際に数多くのレクサス車を所有し、現行のNX20系もガレージに収めていますが、新型の情報が出るたびに「今買うべきか、待つべきか」と悩むオーナーの気持ちは本当によくわかります。
引用 : レクサス NX 予想CG「画像:APOLLO NEWS SERVICE」
自動車業界の最前線にいる私から見ても、今回の改良は単なる「お化粧直し」の域を超えた、ブランドの命運を分けるほどのパラダイムシフトです。
この記事を読み終える頃には、現行NX20系を今この瞬間に購入することが、将来的にどのような後悔に繋がる可能性があるのか、その疑問が完全に解決しているはずです。
- ユニファイドスピンドル採用による外観デザインの劇的刷新
- 次世代ソフトウェアプラットフォームArene OS搭載による機能拡張
- 最新の安全運転支援システムLexus Safety System+ 4.0への進化
- モデルライフ後半に向けたリセールバリューの大きな変動リスク
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エクステリアの劇的変化:スピンドルボディの衝撃と後悔の火種
レクサスNXは、ブランドの中でも特に「デザイン」が購入の決定打となるモデルです。しかし、2026年に予定されている大規模改良では、このデザインの根幹が揺らぐほどの変更が加えられる可能性が極めて高まっています。
引用 : レクサス NX 予想CG「画像:APOLLO NEWS SERVICE」
スピンドルグリルからスピンドルボディへ:RXに続く革新
現行のNX20系が登場した際、多くのユーザーが「10系(初代)とあまり変わっていないのではないか?」と感じたことは否定できません。確かに、プレスラインの緻密さや灯火類のデザインは洗練されましたが、フロントマスクの象徴である「スピンドルグリル」の枠組みは、従来のデザイン言語の延長線上にありました。
しかし、2026年の大幅改良で採用が有力視されているのは、新型RXやRZで確立された「スピンドルボディ」です。これは、ボディカラーと同色のパーツがグリル上部からシームレスに溶け込む「ユニファイドスピンドル」を指します。
このデザイン変更がもたらす影響は、単なる「新しさ」だけではありません。 現行NX20系が持つ「枠のあるグリル」が一気に「一世代前の古い顔」に見えてしまうリスクを孕んでいます。
デザインの系譜:なぜ2026年が「断絶」の年になるのか
レクサスの象徴であるスピンドルグリルは、これまで「枠」によってその存在を誇示してきました。しかし、最新のデザイン言語では「機能と形の融合」をテーマに、グリルそのものがボディの一部として溶け込む表現に移行しています。 この変更は、単なるパーツの交換では対応できない「骨格レベルの印象差」を生み出します。
旧型10系と現行20系の類似性が招く「旧型感」の加速
ここで、なぜ現行20系を購入すると後悔する可能性が高いのか、その心理的・視覚的な理由を深掘りしましょう。 現行20系は、パッケージングこそ刷新されましたが、シルエットやサイドビューは先代10系を色濃く踏襲しています。
一方で、2026年改良版では以下の変更が予想されています。
- 4連プロジェクター内蔵の極薄ヘッドライト
- スピンドル形状をボディ全体で表現するフロントマスク
- リアビューの躍動感を高める羽状のデザイン
これらの変更により、2026年モデルは「20系の皮を被った別物」へと進化します。すると、現行20系を今買ったユーザーは、わずか1〜2年後に「自分の車が10系の延長線上にある旧世代のデザイン」であることを突きつけられることになるのです。
外観デザインの比較予想表
| 項目 | 現行NX20系(2021-2025) | 改良新型NX(2026予想) |
|---|---|---|
| フロントグリル | メッキ枠のあるスピンドルグリル | シームレスなスピンドルボディ |
| ヘッドライト | 3眼または単眼LED | スリムな4連プロジェクターLED |
| キャラクターライン | 直線的かつ鋭いエッジ | より立体的でリアへ繋がる流麗なライン |
| 全体的な印象 | 洗練された正常進化 | RX譲りの先進的SUVスタイル |
このように比較すると、デザインのコンセプトそのものが変容することが分かります。レクサスオーナーにとって「最新のレクサス顔」であることは、所有満足度に直結する非常に重要な要素なのです。
テクノロジーの進化:アリーンOSが変える「愛車の価値」
車が「移動するスマートフォン」化している現代において、ハードウェアの変更以上に重要なのがソフトウェアの進化です。今回のNX大規模改良における最大のトピックは、次世代ソフトウェアプラットフォーム「Arene OS(アリーンOS)」の採用にあります。
ソフトウェア・ディファインド・ビークル(SDV)への転換点
現行のNX20系は、大型の14インチディスプレイを採用し、OTA(Over The Air)による地図更新などには対応していますが、車両の根本的な制御プログラムを大幅に書き換えるような能力は限定的です。
しかし、アリーンOSを搭載した改良型NXは、真の意味での「SDV(ソフトウェア・ディファインド・ビークル)」へと進化します。 これは、スマートフォンのように購入後も車両の挙動、燃費効率、安全性能、エンターテインメント機能がソフトウェアアップデートによって劇的に向上し続けることを意味します。
アリーンOS非搭載の現行モデルを購入するということは、今後10年続くソフトウェア主導の車社会において、アップデートの恩恵を受けられない「レガシーデバイス」を所有することと同義なのです。
ユーザー体験の劇的な違い
- 現行モデル:新機能の追加は少なく、数年後にはナビの動作が重くなる。
- 改良型モデル:常に最新のUIが提供され、自動運転支援のロジックも最新化される。
安全支援システムの格差:LSS+ 4.0の衝撃
現行モデルには「Lexus Safety System+ 3.0」が搭載されていますが、2026年モデルではさらなる進化版「4.0」の搭載が確実視されています。
LSS+ 4.0で期待される主な機能
- ハイビーム制御の超高精細化:照射エリアをミリ単位で制御し、対向車を眩惑させずに視認性を極限まで向上。
- 交差点衝突回避支援の精度向上:より複雑な交差点環境、自転車や歩行者の急な飛び出しに対する検知能力の強化。
- プロアクティブ・ドライビング・アシスト(PDA)の深化:より自然な減速感と、先行車やカーブに対する予測制御の高度化。
安全性能における「1世代の差」は、万が一の際の事故回避能力に直結します。家族を乗せるファミリーカーとしてNXを選ぼうとしている方にとって、この差は金額換算できない「後悔」に繋がるポイントです。
インテリアの「深化」とアンビエントライトの刷新
コックピット周りについても、14インチというサイズこそ変わらないものの、アリーンOSのUI(ユーザーインターフェース)は現行のものより圧倒的に滑らかで直感的になります。 また、現行NXで好評のアンビエントライト(64色)も、光源の配置見直しや光量アップが図られ、夜間の車内空間の質感がRX並みに引き上げられる予定です。
車内に乗り込むたびに目にするインターフェースが「一昔前」のデザインであるストレスは、長く乗り続けるほど蓄積されていきます。
購入タイミングの罠:納期・価格・リセールバリューの三すくみ
「今、在庫があるから」「納車が早いから」という理由で現行20系に飛びつくのは、経済的な観点からも危険を伴います。
リセールバリューの「崖」を予測する
レクサス車、特にNXのような人気SUVはリセールバリュー(再販価値)の高さが魅力です。しかし、その高リセールを支えているのは「現行モデルであること」という看板です。
2026年に大規模改良が行われ、エクステリア(スピンドルボディ採用)と中身(アリーンOS採用)が劇的に変わった瞬間、中古車市場における「現行モデル」の定義は2026年以降の車両に上書きされます。 すると、現行の20系前期・中期モデルは、一気に「旧型扱い」となり、買取価格に大きな下落圧力がかかります。
特に「見た目があまり変わっていない」と言われてきた10系から20系の推移を考えると、2026年の劇的変化後の「旧型」となった20系の市場評価は、想像以上に厳しくなる可能性があります。
納期のジレンマ:今買うか、1年待つか
現在、NXの納期は約4〜4.5ヶ月と非常に安定しています。一方で、2026年の大規模改良モデルが発表・発売されれば、再び注文が殺到し、納期が「1年以上」に伸びることは火を見るより明らかです。
ここで後悔のパターンが2つ生まれます。
- 現行を買って後悔:今すぐ手に入れたが、1年後に街中で走る新型のスピンドルボディを見て「あっちにすればよかった」と毎日思う。
- 新型を待って後悔:改良型を待った結果、納期が2年先になり、その間の車検代や現愛車の下取り価格低下で、トータルの出費が激増する。
筆者の見解としては、もし現在乗っている車に大きな不満がなく、車検も余裕があるならば、間違いなく「2026年モデルの予約開始を最前列で待つ」のが正解です。なぜなら、今回の改良はNXという車の「賞味期限」を圧倒的に延ばす内容だからです。
価格上昇と価値の天秤
改良新型では、約5万円から、装備内容によっては10万円以上の値上げが予想されます。 しかし、考えてみてください。たった5〜10万円の差で、「最新のOS」「最新の安全装備」「最新のブランドデザイン」が手に入るのです。この程度の差額であれば、将来のリセールバリューの差で十分に元が取れる計算になります。
各パワートレイン別の期待値と現状の課題
NXには2.4LターボからPHEVまで多様なラインナップがありますが、改良型でどのように変化するのかを整理しましょう。
NX450h+ (PHEV) の進化期待
レクサスの電動化戦略の要であるPHEVは、アリーンOSとの親和性が最も高いモデルです。エネルギーマネジメントの最適化がソフトウェアアップデートで提供されれば、EV走行距離の実行値の向上や、ハイブリッド走行時の静粛性がさらに磨かれるでしょう。
NX350h (HEV) の熟成
最も売れ筋の350hについても、2.5Lハイブリッドシステムの制御が見直され、よりアクセル操作にリニアな加速感が実現されるはずです。現行モデルの「ラバーバンドフィール」が気になる方こそ、改良型を待つ価値があります。
ターボ車と自然吸気モデルの行方
2.4Lターボ(NX350)や2.5L自然吸気(NX250)については、ラインナップの継続はされるものの、改良型が「ガソリン純粋種」を手に入れる最後のチャンスになるかもしれません。
ユーザーが意外と気づかない「足回りの進化」
大幅改良では、目に見えない部分のブラッシュアップも行われます。 新型RXの開発で培われた、リアの接地性を高めるマルチリンクサスペンションのセッティング変更や、ハブボルト締結構造のさらなる剛性最適化など、乗り心地とハンドリングの両立が図られるでしょう。
現行20系も十分にレベルが高いですが、初期モデルに見られた「路面からの微振動」や「ステアリングの遊び」が、改良型では完全に解消されていることが期待されます。これは、10系を所有していた私のようなマニアックな視点から見ても、非常に大きなポイントです。
まとめ
レクサスNX20系の大幅改良は、2026年秋が有力です。 今、このタイミングで現行モデルを購入することは、「安定した納期」と「こなれた価格」を手に入れるメリットはありますが、それ以上に以下のリスクを背負うことになります。
- デザインの陳腐化:スピンドルボディの採用により、現行顔が一気に古臭くなる。
- 技術的孤立:アリーンOS非搭載により、将来のソフトウェアアップデートから取り残される。
- リセール損失:大規模改良直後の「旧型化」による、査定額の急落。
自動車ジャーナリストとして、そして一人のレクサスファンとして断言します。 「今すぐ車が必要」という切実な理由がない限り、2026年モデルまで待つのが賢明な選択です。 NXはレクサスの最重要車種の一つであり、その大規模改良に妥協はありません。後悔のない車選びのために、今は「待ち」の姿勢を貫き、来るべき予約開始の瞬間に備えることをお勧めします。
筆者情報
二階堂 仁(にかいどう じん) モータージャーナリスト兼コラムニスト。慶應義塾大学卒業後、国内大手自動車メーカーに入社し、車両開発の現場を経験。そこで培った技術的視点を武器に、出版業界へ転身。自動車の官能性能だけでなく、製造コストやリセールバリューまで含めた「ライフサイクル全般」の評価に定評がある。現在、レクサスLFAや日産GT-R R34など、数々の名車を所有する一方で、最新のBEVやSUVも積極的にガレージに収める。ユーザーに寄り添った「失敗しない車選び」をモットーに、多方面で活動中。

