モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、新型RAV4の燃費が思ったよりも伸びないこと、あるいは購入を検討しているけれど実燃費の低さが気になっているのではないでしょうか。 私も実際に現行のRAV4を所有し、プライベートでも仕事でも日本中を走り回っていますので、カタログスペックだけでは見えてこない「燃費の現実」とその対策については、誰よりもリアルな視点でお伝えできると自負しています。

引用 : メーカーHP
この記事を読み終える頃には、RAV4の燃費を改善するための具体的なテクニックから、メンテナンスの秘訣、さらには「なぜ燃費が悪くなるのか」という根本的なメカニズムまでが明確になり、あなたのカーライフにおける燃費の疑問が解決しているはずです。
- カタログ数値と実燃費の適切な乖離理解
- ハイブリッド車特有の滑空走行マスター
- タイヤ管理と車内整理による物理的負荷軽減
- 季節や走行環境に応じた空調管理の徹底
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新型RAV4の燃費実態と悪化する要因
RAV4カタログ燃費と実燃費の乖離を徹底解説
新型RAV4を検討する際、まず目にするのがWLTCモードによるカタログ燃費です。 ハイブリッド車であれば20km/Lを超え、ガソリン車でも15km/L前後という数値が並びますが、実際に街中を走らせてみると「あれ、こんなものか?」と感じることが少なくありません。
引用 : メーカーHP
実燃費は、カタログ燃費の概ね7割から8割程度に落ち着くのが一般的ですが、RAV4のようなSUVは走行抵抗や車重の影響を受けやすいため、条件が悪いと5割程度まで落ち込むこともあります。 特にストップ&ゴーの多い日本の都市部では、発進時のエネルギー消費が激しく、カタログ値との乖離が顕著に現れます。
WLTCモードの内訳を知る
WLTCモードは「市街地」「郊外」「高速道路」の3つの走行モードで構成されています。 自分の主な走行ルートがどのモードに近いかを確認することで、期待できる実燃費の目安がつきます。 市街地走行がメインの方は、カタログの「市街地モード」数値を参考にし、そこからさらに10%〜20%引いた値がリアルな数字だと考えるのが賢明です。
ガソリンモデルとハイブリッドモデルの燃費特性の違い
RAV4には2.0Lガソリンエンジン車と2.5Lハイブリッド車(およびPHV)が存在します。 両者の燃費特性は根本的に異なります。
ガソリン車は、高速巡航などの一定速度での走行を得意としますが、アイドリングや低速域での加速は苦手です。 一方、ハイブリッド車はモーターによるアシストがあるため、発進時の燃料消費を大幅に抑制でき、減速時のエネルギーを回収(回生)できるため、市街地での燃費効率が非常に高いのが特徴です。
燃費の逆転現象
高速道路を一定の速度で走り続ける場合、ハイブリッド車とガソリン車の燃費差は驚くほど縮まります。 これは、高速域ではハイブリッド車もエンジン主体の走行となり、重いバッテリーを積んでいる分、効率が相殺されるためです。 自分の用途が「高速道路メイン」なのか「街乗りメイン」なのかを見極めることが、燃費に対する不満を解消する第一歩となります。
走行シーン別(市街地・高速・山道)の燃費傾向
走行シーンによって燃費は劇的に変化します。 RAV4を所有している私の経験上、最も燃費が悪化するのは「短い距離の繰り返し走行」です。
| 走行シーン | ハイブリッド車燃費 | ガソリン車燃費 |
|---|---|---|
| 市街地(渋滞あり) | 16〜18 km/L | 8〜10 km/L |
| 郊外(信号少ない) | 20〜24 km/L | 13〜15 km/L |
| 高速道路(100km/h) | 18〜20 km/L | 14〜16 km/L |
| 山道(登坂時) | 10〜12 km/L | 6〜8 km/L |
山道での挙動
RAV4はタフなSUVとして山道を走る機会も多いでしょう。 登坂時はどちらのモデルも燃費が極端に悪化しますが、ハイブリッド車は下り坂でバッテリーを満充電にできるため、往復のトータル燃費ではガソリン車を大きく引き離します。 ガソリン車の場合、下り坂ではエンジンブレーキを活用しつつ、無駄なアクセルを控えるしかありません。
4WD(E-Four / ダイナミックトルクベクタリング)の燃費への影響
RAV4の魅力は強力な4WDシステムですが、これが燃費に与える影響は無視できません。 ハイブリッド車に採用されている「E-Four」は後輪をモーターで駆動するため、プロペラシャフトがなく、従来の4WDよりは燃費ロスが少ない設計です。
一方、ガソリン車の「ダイナミックトルクベクタリングAWD」は、走行状況に応じて後輪の駆動を切り離す「ディスコネクト機構」を備えています。 これにより、4WDでありながら2WDに近い燃費性能を追求していますが、やはり物理的なギアの摩擦や重量増は避けられません。
システムの作動状況を確認する
マルチインフォメーションディスプレイで、現在どの車輪にトルクが配分されているかを確認できます。 不要に4WDが作動し続けるような急加速を避けることで、微々たるものではありますが燃費改善に繋がります。
純正タイヤと大径タイヤ・オールテレーンタイヤの燃費差
RAV4はカスタム人気が高い車種です。 特にオフロード感を出すために「オールテレーンタイヤ(A/Tタイヤ)」や大径ホイールを装着するユーザーが多いですが、これは燃費悪化の大きな要因となります。
引用 : メーカーHP
転がり抵抗と重量
純正のサマータイヤに比べ、A/Tタイヤは路面との摩擦抵抗(転がり抵抗)が大きく、重量も重くなります。 私の知人のRAV4ユーザーは、純正からゴツゴツしたタイヤに変えただけで、燃費が10%〜15%ダウンしたと嘆いていました。 見た目を重視するか、燃費を取るか。 もし燃費が「悪すぎる」と感じるなら、一度足回りを見直す必要があります。
車重および積載重量が燃費に与えるインパクト
RAV4は大きなラゲッジスペースを持っているため、ついつい荷物を載せっぱなしにしがちです。 しかし、車重が重くなればなるほど、発進時に必要なエネルギーは増大します。
10kgの荷物で変わる燃費
一般的に、100kgの荷物を積んで走ると、燃費は約3%悪化すると言われています。 キャンプ道具やゴルフバッグを常に載せている方は、それだけで毎回の給油代を損している可能性があります。 「使う時だけ載せる」という手間が、実は最も確実な燃費改善策の一つです。
エアコン(空調)使用と燃費の相関関係
意外と盲点なのがエアコンの影響です。 特に夏場の冷房よりも、冬場の暖房の方がハイブリッド車にとっては燃費の敵となります。
ハイブリッド車特有の暖房問題
ハイブリッド車はエンジンを止めて走りたいのですが、暖房はエンジンの排熱を利用します。 車内が冷え切っていると、暖房を効かせるためにエンジンが回り続けてしまい、燃費がガタ落ちします。 ガソリン車でもエアコンコンプレッサーを動かす負荷はありますが、ハイブリッド車ほど「エンジンが止まらないストレス」を感じることはないでしょう。
短距離走行と暖機運転が燃費を大きく下げる理由
「近所のスーパーまで5分」といった使い方が、最もRAV4をいじめる燃費の使い方です。 エンジンやハイブリッドシステムが最適な温度(作動温度領域)に達する前に走行が終わってしまうため、常に燃料を濃く噴射する「冷間時補正」がかかった状態で走ることになります。
暖機運転の是非
最近の車は長時間の暖機運転は不要ですが、極寒の地でない限り、走りながら温めるのが効率的です。 アイドリング状態で放置するのは燃料の無駄遣い以外の何物でもありません。 数分間のアイドリングよりも、ゆっくりと走り出し、徐々に各部を馴染ませる方が燃費にも機械にも優しいのです。
新型RAV4の燃費を劇的に改善する具体的な方法
ハイブリッド車で必須の「滑空走行」マスター術
ハイブリッドモデルを所有しているなら、絶対に習得すべきなのが「滑空(グライディング)」です。 これは、加速した後にアクセルを一度完全に抜き、その後わずかにアクセルを踏んで「エネルギーの流れがゼロ(または微弱な放電)」の状態を維持するテクニックです。
引用 : メーカーHP
EV走行を維持するコツ
RAV4ハイブリッドは、時速100km付近までEV走行が可能です。 加速が終わったらサッとアクセルを戻し、ディスプレイ上のインジケーターが「ECO」の範囲内で、かつエンジンが始動しない絶妙な踏み加減を見つけましょう。 この「滑るように走る時間」をどれだけ増やせるかが、燃費20km/L超えの境界線です。
ガソリン車で燃費を稼ぐ「ふんわりアクセル」の極意
2.0Lガソリンエンジンを搭載したRAV4は、Direct Shift-CVTという優れたトランスミッションを備えています。 発進用のギアを持っているため、出だしはスムーズですが、ここでガバッと踏んでしまうと台無しです。
最初の5秒が勝負
発進から最初の5秒で時速20km程度まで加速する「ふんわりアクセル」を意識しましょう。 これだけで市街地燃費は約10%改善します。 ただし、周囲の交通を妨げるほど遅いのはマナー違反ですので、スムーズかつ慎重なペダルワークを心がけるのがジャーナリスト流のスマートな運転です。
ドライブモード(Eco/Normal/Sport)の賢い選択基準
RAV4にはドライブモードセレクトが備わっていますが、常に「Eco」にしていれば良いというわけではありません。
| モード | 特徴 | おすすめシーン |
|---|---|---|
| Eco | アクセルレスポンスが穏やかになり、空調も制御される | 渋滞路・市街地・ゆったり流す時 |
| Normal | 標準的な設定。バランスが良い | 高速道路・郊外の幹線道路 |
| Sport | レスポンス重視。エンジン回転数が高めに維持される | 追い越し時・山道の登り |
Ecoモードの罠
Ecoモードは加速が鈍くなるため、思い通りの速度に乗せるために逆にアクセルを深く踏み込んでしまう人がいます。 これでは本末転倒です。 「必要な速度までNormalで加速し、巡航に入ったらEcoにする(あるいはアクセルを抜く)」といった使い分けができるようになると、上級者の仲間入りです。
回生ブレーキを効率よく使うための先読み運転
ブレーキを踏むことは、せっかく燃料を使って作った運動エネルギーを熱として捨てる行為です。 ハイブリッド車の場合、ブレーキ操作で電気を回収できますが、急ブレーキでは回収しきれず、結局摩擦ブレーキで熱として逃げてしまいます。
信号停止の「早めの予察」
前方の信号が赤なら、早い段階でアクセルから足を離しましょう。 RAV4の回生ブレーキは非常に優秀で、緩やかに長くブレーキを踏むことで、より多くの電力をバッテリーに戻すことができます。 これが次の発進時のEV走行を支えるエネルギーになるのです。
車内の不要な荷物による燃費ロスを削減する整理術
前述の通り、重量は燃費の敵です。 一度、自分のRAV4のラゲッジルームの下(アンダートレイ)やシート下を確認してみてください。 「いつか使うかも」と思って載せているレジャー用品や、重い工具箱、洗車道具が山積みになっていませんか?
積載の断捨離
私は定期的に車内をリセットします。 特に冬場にスノーブラシやチェーンを載せっぱなしにするのは、夏場にはただの「お荷物」でしかありません。 車内を軽くすることは、燃費向上だけでなく、ブレーキの効きやコーナリングの軽快さにも直結します。
タイヤ空気圧の適正管理と燃費向上のための設定値
タイヤの空気圧が低いと、ゴムがたわんで回転抵抗が増え、燃費が悪化します。 自転車のタイヤがパンパンだと漕ぎ出しが軽いのと同じ理屈です。
指定空気圧のプラス10%
RAV4のドア付近に貼ってある指定空気圧を確認しましょう。 これを基準に、10%〜20%ほど高めに設定するのが燃費マニアの間では常識です(例:230kPaなら250kPa程度)。 ただし、高くしすぎると乗り心地が硬くなり、タイヤの真ん中だけが摩耗する原因になるので注意が必要です。 月に一度はガソリンスタンドでチェックする習慣をつけましょう。
アイドリング時間の短縮とスマートなエンジン停止
待ち合わせやスマホ操作で、エンジンをかけっぱなしにしていませんか? RAV4の2.0Lエンジンであれば、10分間のアイドリングで約130cc前後の燃料を消費します。 「ちりも積もれば」で、これが月に数回重なれば、ペットボトル一本分以上のガソリンを捨てていることになります。
停車時はシステムOFF
ハイブリッド車であれば停車中にエンジンが止まりますが、バッテリー残量が減ると強制的に始動します。 長時間停車する場合は、システム自体をOFFにするのが鉄則です。 また、アイドリングストップ機能があるガソリン車でも、作動条件(バッテリー状態や気温)を整えておくことが重要です。
オイル交換と低粘度オイルの選択によるフリクション低減
エンジン内部の摩擦(フリクション)を減らすことも、燃費改善には不可欠です。 RAV4の最新エンジン(M20A-FKS / A25A-FXS)は、非常にサラサラした低粘度オイル(0W-8や0W-16など)の使用を前提に設計されています。
粘度の高いオイルを選ばない
「エンジンを守るために硬いオイル(10W-30など)を入れよう」というのは、一昔前の考え方です。 現代の高効率エンジンに硬いオイルを入れると、それが抵抗となって燃費が目に見えて悪化します。 メーカー指定の粘度を守り、5,000km〜10,000kmごとの定期的な交換を怠らないようにしましょう。 古いオイルは粘度が上がり、燃費悪化を招きます。
まとめ
新型RAV4は、そのタフな外見とは裏腹に、非常に繊細な制御によって高い燃費性能を実現している「知的なSUV」です。 燃費が悪いと感じる原因の多くは、車両の不具合ではなく、走行環境やちょっとした運転習慣、メンテナンスの不足にあります。
今回ご紹介した「滑空走行」や「積載の整理」、「空気圧の管理」は、どれも今日から、あるいは次の給油からすぐに実践できるものばかりです。 これらを一つずつ意識するだけで、リッターあたり2km〜3kmの改善は決して夢ではありません。 燃費が良くなれば、浮いたガソリン代でより遠くへドライブに行けますし、何より「自分の愛車を使いこなしている」という満足感が得られます。
あなたのRAV4が、さらに頼もしく、経済的な相棒になることを願っています。
筆者情報
二階堂 仁(にかいどう じん) モータージャーナリスト兼コラムニストとして活動。慶應義塾大学卒業後、大手自動車メーカーに就職。車両開発の最前線でサスペンションや動力性能のチューニングに携わり、車の「本質」を叩き込まれる。その後、自動車の魅力をより広く伝えるべく出版業界へ転身。 現在は独立し、専門誌やWEBメディアで鋭い試乗レビューを執筆中。技術者視点のロジカルな解説と、ユーザーに寄り添った実用的なアドバイスに定評がある。 自らも車好きを拗らせ、レクサスLFAや日産スカイラインGT-R(R34)など、伝説的な名車から最新の電動化車両まで多数を所有。もちろん、現行RAV4も日常の足として、また雪道走行のテスト機として愛用している。

