モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、三菱が誇るフラッグシップSUV「アウトランダーPHEV」の購入を検討されており、特に「実際にいくら用意すればいいのか」「月々の支払いは現実的か」というリアルな数字が気になっていることでしょう。私も実際にアウトランダーを所有し、その圧倒的な走行性能と経済性のバランスを日々体感していますが、高額な買い物だけに、将来的な維持費まで含めたシミュレーションは不可欠です。
引用 : メーカーHP
この記事を読み終える頃には、グレードごとの乗り出し価格からローンの月額、11年目までの車検費用に至るまで、アウトランダー購入に関する金銭的な疑問がすべて解決しているはずです。
- グレード別乗り出し価格の明確化
- 残クレとローンの月々支払額比較
- 年間維持費とタイヤ代のリアルな算出
- 11年目までのディーラー車検費用予測
車買い替えのご検討中の方へ
新しい車に乗り換える際、今乗っている愛車をどれだけ高く売却できるかは、次の車の選択肢にも大きく影響します。
私自身、一括見積もりサイトを活用したことで、ホンダヴェゼルからレクサスRXに乗り換えることができました。
CTN一括査定は自動車業界紙にも多数掲載されているので、安心してご利用できます。
新型アウトランダーのグレード構成と乗り出し価格シミュレーション
新型アウトランダー(GN0W型)は、全車が2.4LエンジンをベースとしたPHEV(プラグインハイブリッド)モデルです。 グレード構成はシンプルですが、それぞれの装備内容と乗車定員(5人乗り・7人乗り)によって価格が大きく異なります。 まずは、各グレードの車両本体価格と、諸費用を含めた「乗り出し価格」の目安を整理しましょう。
引用 : メーカーHP
アウトランダーの各グレード別車両価格(2025年最新モデル想定)
2024年末の大幅改良を経て、アウトランダーの価格帯は以前よりも一段階上昇しました。しかし、その分バッテリー容量の拡大やインテリアの質感向上が図られており、プレミアムSUVとしての地位を揺るぎないものにしています。
| グレード | 乗車定員 | 車両本体価格(税込) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| M | 5人乗り | 約5,261,300円 | 基本性能を網羅したエントリーモデル |
| G | 5人乗り | 約5,705,700円 | 20インチタイヤや運転支援が充実 |
| G | 7人乗り | 約5,797,000円 | ファミリー層に一番人気の標準グレード |
| P | 7人乗り | 約6,303,000円 | セミアニリンレザー等を採用した最上級 |
| BLACK Edition | 5人乗り | 約6,347,000円 | 黒を基調としたスタイリッシュな特別仕様 |
| BLACK Edition | 7人乗り | 約6,438,300円 | 7人乗り仕様のブラックエディション |
※価格は改良等により変動するため、最新のカタログ値を参照してください。
税金・諸費用と「乗り出し価格」の計算方法
アウトランダーPHEVは「環境対応車」として、税制面で非常に大きな優遇を受けています。 新車購入時、本来かかるはずの「自動車重量税」や「環境性能割」が免税または非課税となるため、一般的なガソリン車よりも諸費用が安く抑えられます。
諸費用の具体的内訳(目安)
- 自動車税(種別割): 月割り分。2.4Lエンジンのため、登録月によって変わりますが、年度初めなら約43,500円です。
- 自動車重量税: 0円(免税)。通常なら3年分で数万円かかりますが、PHEVの恩恵で全額免除されます。
- 環境性能割: 0円(非課税)。車両価格の数%(約15万〜20万円相当)が完全に浮くのは非常に大きなメリットです。
- 自賠責保険料: 約24,190円(37ヶ月分)。
- 登録諸費用・代行手数料: ディラーによって異なりますが、印紙代や検査登録費用、車庫証明代行などで約50,000円〜70,000円です。
- リサイクル料金: 約11,000円前後。
これらを合計すると、諸費用としての現金手出し分は約13万円〜16万円程度で済みます。 ガソリン車の場合、ここに重量税や環境性能割が乗ってくるため、乗り出し価格の差はさらに縮まります。
ディーラーオプションの落とし穴
多くの方が追加するオプションについても考慮が必要です。
- フロアマット(高機能タイプ):約55,000円
- サイドバイザー:約30,000円
- ボディコーティング(5年保証):約80,000円〜120,000円
- 前後ドライブレコーダー:約60,000円
- ETC2.0セットアップ:約5,000円
これらを合わせると、オプションだけで約25万〜30万円ほど加算されます。
グレード別:現実的な乗り出し総額の目安(オプション込み)
一般的に、多くのユーザーが選択するオプション(約30万円分)を含めた場合の「総支払額」をシミュレーションします。
| グレード | 車両本体価格 | オプション・諸費用目安 | 乗り出し総額(目安) |
|---|---|---|---|
| M (5人) | 526万円 | +45万円 | 約571万円 |
| G (7人) | 580万円 | +45万円 | 約625万円 |
| P (7人) | 630万円 | +50万円 | 約680万円 |
| Black Edition | 644万円 | +50万円 | 約694万円 |
重要:CEV補助金による実質価格の低下
アウトランダーPHEVの最大の強みは、国や自治体からの補助金です。これを含めないと、本当の乗り出し価格は見えてきません。
- CEV補助金(国): 最大550,000円(※令和5年度・6年度実績ベース)
- 地方自治体補助金(例:東京都): 最大450,000円〜(再生可能エネルギー導入等の条件による)
仮に東京都にお住まいで、国の補助金と都の補助金をフルに活用できた場合、合計100万円近い還付が受けられる可能性があります。 この場合、最上級グレードの「P」であっても、実質的な負担額は580万円前後となり、ライバルとなるトヨタ・ハリアーPHEVや、マツダ・CX-60の上位モデル、さらには輸入SUVのエントリーモデルとも十分戦える価格設定になります。
アウトランダーの支払シミュレーション:残クレとローンの徹底比較
次に、多くの方が悩まれる「月々の支払額」についてです。三菱自動車が提供する「スーパーマイカープラン(残価設定型クレジット)」と、一般的な銀行ローンを比較します。
引用 : メーカーHP
残価設定型クレジット(残クレ)での支払額
アウトランダーは中古車市場での人気も高く、数年後の価値が安定しているため、残価率が比較的高めに設定されています。
- 頭金: 100万円(補助金を頭金に充てる想定も多いです)
- 支払回数: 60回(5年)
- 金利: 実質年率 3.9%
- ボーナス加算: 年2回(10万円ずつ)
グレード別:月々の支払額目安(残クレ5年)
| グレード | 乗り出し総額 | 据置額(残価) | 月々の支払額(目安) |
|---|---|---|---|
| M | 571万円 | 約185万円 | 約39,000円 |
| G | 625万円 | 約210万円 | 約47,000円 |
| P | 680万円 | 約235万円 | 約56,000円 |
※残価は車両価格の約35〜38%で算出。ディーラーのキャンペーン時期により金利が1.9%などに下がる場合もあり、その際は月々5,000円〜8,000円ほど安くなります。
通常ローン(均等払い・ボーナス併用)での支払額
据置額を作らず、5年後に自分の所有物にしたい場合のシミュレーションです。 条件:頭金100万、金利3.9%(ディーラーローン想定)、ボーナス10万。
グレード別:月々の支払額目安(通常ローン5年)
| グレード | 乗り出し総額 | 月々の支払額(目安) |
|---|---|---|
| M | 571万円 | 約63,000円 |
| G | 625万円 | 約73,000円 |
| P | 680万円 | 約84,000円 |
銀行のオートローン(金利2.0%前後)を利用できる場合は、ここから月々3,000円〜5,000円ほど抑えることが可能です。
アウトランダーの年間維持費:ガソリン代・電気代・タイヤ代のリアル
購入後のランニングコストは、アウトランダーのオーナー満足度を大きく左右するポイントです。特にPHEVは「走り方」で維持費が化けます。
引用 : メーカーHP
ガソリン代と電気代のハイブリッド計算
アウトランダーは「電気だけで走る距離」をどれだけ伸ばせるかが鍵です。
- EV走行距離(カタログ値): 83km〜103km
- 実用EV距離: 約65km〜75km(エアコン使用時などは50km前後まで落ちることも)
- ハイブリッド燃費: 16.2km/L前後
年間10,000km走行の場合のコスト比較
- 自宅充電をメインにする場合(EV走行率80%):
- ガソリン消費:2,000km分(約123L)→ 約21,000円
- 電気代(深夜電力等):約1,800kWh分 → 約54,000円
- 合計:年間約75,000円(月額 6,250円)
- 全く充電しない場合(HV走行のみ):
- ガソリン消費:10,000km分(約617L)
- ガソリン代(レギュラー170円/L計算):約105,000円
- 合計:年間約105,000円(月額 8,750円)
驚くべきは、全く充電しなくても2トンの巨体でリッター16km以上走る効率の良さですが、自宅充電環境があればガソリンスタンドへ行く回数が激減し、精神的な満足度も高まります。
タイヤ代:20インチ装着車は要注意
上位グレード(P、G、Black Edition)には20インチの大径タイヤが標準装備されています。これが維持費において最大のネックとなります。
- 20インチ(255/45R20):
- 純正採用されているエコタイヤやプレミアムコンフォートタイヤは高価です。
- 国産トップブランド(ブリヂストン アレンザ等):1本 約4.5万〜5.5万円
- 4本交換工賃込み:約20万〜24万円
- 18インチ(Mグレード):
- 1本 約2.5万〜3.5万円
- 4本交換工賃込み:約12万〜15万円
タイヤの寿命は約3万km〜4万km。年間1万km走行なら4年に一度、この出費がやってきます。私は乗り心地とコストのバランス、さらに冬場のスタッドレス代を抑えるため、**「夏タイヤは20インチ、冬タイヤは18インチにインチダウン」**という構成を強く推奨しています。
アウトランダーのディーラー車検費用:11年目までのスケジュール
三菱ディーラーで継続検査(車検)を受ける場合の費用予測です。 PHEVは複雑なシステムを積んでいるため、バッテリー診断やS-AWC(車両運動統合制御システム)の点検が可能なディーラーでの受検が基本となります。
車検費用の年度別予測(諸費用+整備費用)
アウトランダーは「エコカー減税」により、初回車検時の重量税が免税(0円)になる恩恵があります。
| 車検時期 | 想定される主な整備内容 | 費用目安(税込) |
|---|---|---|
| 初回(3年目) | 基本点検、オイル、冷却水、ブレーキ液。重量税0円。 | 約100,000円 |
| 2回目(5年目) | 重量税(3.2万円)、エアコンフィルター、消耗品。 | 約165,000円 |
| 3回目(7年目) | 補機バッテリー交換、各種ゴム類点検。 | 約195,000円 |
| 4回目(9年目) | プラグ交換(走行距離による)、冷却系リフレッシュ。 | 約230,000円 |
| 5回目(11年目) | 足回りブッシュ、重要保安部品、センサー類。 | 約260,000円〜 |
長く乗るなら「メンテナンスパック」が必須
三菱の「ハーティプラスメンテナンス」などのパックに加入しておくと、車検ごとの基本工賃が割引されたり、半年ごとの点検がセットになったりします。これを新車購入時の値引き交渉の材料にするのも一つの手です。
オーナー目線で選ぶ:失敗しないためのオプションと工夫
私も所有して感じることですが、アウトランダーは「素」の状態でも完成度が高いものの、後悔しないために必要な投資があります。
1. 自宅充電工事の重要性(約10万〜15万円)
これをケチるとアウトランダーの魅力は半減します。外での急速充電は、時間効率もコストパフォーマンスも決して良くありません。200Vの普通充電があれば、寝ている間に満タンになり、翌朝には無音の高級車として機能します。
2. 電動パノラマサンルーフの経済的側面
装着費用は約14万円ですが、売却時(5年後等)にはその金額に近いプラス査定、あるいはそれ以上の価値が付くことが多いです。「迷うなら付ける」が、このクラスのSUVの鉄則です。
3. Boseプレミアムサウンドシステムの有無
Pグレードには標準、Gグレードではメーカーオプション(他のセットと抱き合わせ)になります。アウトランダーは走行中が非常に静かなため、オーディオの音質の差が顕著に出ます。音楽好きならずとも、ドライブの疲労軽減に繋がるため推奨します。
4. V2H(Vehicle to Home)の検討
災害時の非常用電源としてだけでなく、日常の電気代節約にも寄与します。導入には50万〜100万円単位の費用がかかりますが、これも自治体の補助金が手厚い分野です。
まとめ
新型アウトランダーPHEVは、車両価格こそ500万円〜600万円台と高額に見えますが、税制優遇、補助金、そしてレギュラーガソリン仕様による低ランニングコストを考慮すると、実は非常にコストパフォーマンスに優れた一台です。
- 乗り出し価格: 補助金込みで実質400万円台後半から狙える戦略的モデル。
- 月々の支払い: 残クレ活用で頭金100万あれば、最上級グレードでも5万円台。
- 維持費: 電気走行を主軸にすれば月々の燃料代は数千円レベルまで圧縮可能。
- 注意点: 20インチタイヤの交換費用(20万円超)の積み立ては必須。
このレビューが、あなたの賢いカーライフの一助となれば幸いです。
筆者情報
二階堂 仁(にかいどう ひとし) モータージャーナリスト兼コラムニストとして活動。慶應義塾大学卒業後、大手自動車会社に就職。車両開発の最前線でサスペンションや駆動系のセッティングに携わり、その後出版業界へ転身。現場主義の鋭い分析と、ユーザーに寄り添ったコスト意識の高いレビューが支持されている。現在の愛車はレクサスLFA、日産スカイラインGT-R(R34)、そして日常の足兼研究対象として三菱アウトランダーPHEVを複数台所有した経験を持つ。

