モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。 今回も多く寄せられている質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、メルセデス・ベンツGLCの購入を検討しており、実際にいくらで乗り出せるのか、維持費やローンはどの程度になるのかが気になっていると思います。 私自身もGLCを所有し、日々のメンテナンスや車検の重みを実体験として経験しているので、そのリアルな悩みは痛いほどよくわかります。
引用 : メーカーHP
高級SUVを選ぶ際、車両本体価格だけで判断するのは非常に危険です。 オプション費用、税金、そして輸入車特有のメンテナンスコストまでを網羅的に把握しておくことが、後悔しない車選びの第一歩となります。
この記事を読み終える頃には、GLCのグレード別乗り出し価格から、月々の支払額、そして11年目までの維持費の推移に至るまで、すべての疑問が解決しているはずです。
- グレード別乗り出し価格の正確な内訳
- 残クレとローンの月々支払額シミュレーション
- ガソリン代やタイヤ代を含むリアルな年間維持費
- 11年目までを見据えたディーラー車検費用の目安
車買い替えのご検討中の方へ
新しい車に乗り換える際、今乗っている愛車をどれだけ高く売却できるかは、次の車の選択肢にも大きく影響します。
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GLCグレード別乗り出し価格の全貌
メルセデス・ベンツGLCは、現在「X254」と呼ばれる最新世代へと進化を遂げ、その完成度はSUVセグメントでもトップクラスです。 しかし、最新技術が盛り込まれた分、価格帯も一昔前より1段階上がっています。 まずは、各グレードの本体価格と、実際に公道を走るために必要な諸経費を合わせた「乗り出し価格」を見ていきましょう。

引用 : メーカーHP
メルセデス・ベンツGLCの最新ラインナップと基本スペック
現行ラインナップの主軸は、2.0Lディーゼルターボの「GLC 220 d 4MATIC」と、プラグインハイブリッドの「GLC 350 e 4MATIC」です。 さらに、スタイリッシュな「クーペ」モデルも存在します。
| グレード名 | エンジン形式 | 駆動方式 | 最高出力 | 燃費(WLTC) |
|---|---|---|---|---|
| GLC 220 d 4MATIC | 2.0L 直4 ディーゼル + ISG | 4WD | $145\text{kW} (197\text{PS})$ | $18.1\text{km/L}$ |
| GLC 350 e 4MATIC | 2.0L 直4 ガソリン + モーター | 4WD | システム合計 $230\text{kW} (313\text{PS})$ | $12.0\text{km/L}$(HB時) |
| GLC 300 4MATIC Coupe | 2.0L 直4 ガソリン + ISG | 4WD | $190\text{kW} (258\text{PS})$ | $12.7\text{km/L}$ |
ディーゼルモデルには、第2世代のISG(マイルドハイブリッド)が搭載されており、発進時の滑らかさは特筆ものです。
GLC 220 d 4MATICの乗り出し価格内訳
最も売れ筋である「GLC 220 d 4MATIC」の標準的な乗り出し価格をシミュレーションします。 多くの方が選択する「AMGラインパッケージ」を装着した場合を想定します。
- 車両本体価格(税込): 8,850,000円
- AMGラインパッケージ: 約500,000円
- 諸経費(税金・保険・手数料): 約300,000円
- 乗り出し合計額: 約9,650,000円
ディーゼル車は「環境性能割」や「重量税(エコカー減税)」の優遇があるため、ガソリン車よりも諸経費が抑えられる傾向にあります。 しかし、オプションを盛ると大台の1,000万円が見えてくるのが現状です。
GLC 350 e 4MATIC(PHEV)の乗り出し価格と補助金
PHEVモデルの「350 e」は、電気のみでの航続距離が約100kmと非常に長く、日常域ではほぼEVとして使えます。
- 車両本体価格(税込): 10,330,000円
- 乗り出し合計額: 約10,700,000円
価格は高めですが、CEV補助金の対象となります。 年度や地域によって異なりますが、約20万〜40万円程度の補助金が還付されるケースがあり、実質的な価格差は縮まります。
GLC 300 4MATIC クーペの価格シミュレーション
クーペモデルは、SUVモデルに比べてよりスポーティで都会的な印象を与えます。
- 車両本体価格(税込): 9,250,000円
- 乗り出し合計額: 約10,100,000円
クーペの場合、標準でAMGラインに近い装備が含まれていることもありますが、後席の居住性や積載量とトレードオフになるため、ライフスタイルに合わせた選択が必要です。
税金・諸経費の詳細:取得税から自賠責まで
新車購入時にかかる諸経費の主な内訳は以下の通りです。
- 自動車税(種別割): 月割りで納付。2.0Lクラスなら年額36,000円程度。
- 自動車重量税: 新車登録時は3年分。エコカー減税対象なら0円〜50%減。
- 自賠責保険料: 37ヶ月分で約24,000円。
- 環境性能割: 燃費性能に応じて0〜3%。ディーゼルやPHEVは非課税または減税。
- リサイクル料金: 約20,000円。
メルセデスの場合、これらに加えて「納車準備費用」や「登録代行費用」として10万円前後が加算されます。
メーカーオプションが乗り出し価格に与える影響
GLCの価格を大きく左右するのがメーカーオプションです。 リセールバリュー(売却価格)を意識するなら、以下の3点は必須と言えます。
- AMGラインパッケージ: 外観だけでなく足回りやインテリアが豪華になります。
- パノラミックスライディングルーフ: 約20万円。開放感が増し、中古車市場で非常に好まれます。
- レザーエクスクルーシブパッケージ: 本革シートやBurmesterサウンドシステムが含まれます。
これらをすべて選ぶと、オプション代だけで100万円を超えるため、予算配分には注意が必要です。
ディーラーオプションと納車費用
メーカーオプション以外にも、ディーラーで装着するアクセサリーがあります。
- ドライブレコーダー: 前後セットで6〜8万円。
- フロアマット: プレミアムなもので5〜7万円。
- ボディーコーティング: 10〜15万円。
私の経験上、メルセデスの塗装は質が高いですが、長く美しさを保つなら正規ディーラーのコーティングは施工しておく価値があります。
新車購入時に値引きを引き出すための交渉術
最近の輸入車業界は在庫不足の影響もあり、以前のような「100万円引き」といった極端な値引きは難しくなっています。 それでも、有効な手段はあります。
- 下取り車の査定: ディーラー査定だけでなく、買取店数社の見積もりをぶつける。
- 在庫車を狙う: 輸送中の車両や国内在庫車であれば、オプション構成は選べませんが、値引きを引き出しやすいです。
- 決算時期(3月・9月): 登録台数を稼ぎたい時期は、営業担当者の熱量も変わります。
GLC購入時の支払いシミュレーション:残クレとローン
総額が分かったところで、次に気になるのが「毎月の支払い」です。 メルセデス・ベンツでは、多くの方が「ウェルカムプラン(残価設定型ローン)」を利用しています。
引用 : メーカーHP
残価設定型ローン(ウェルカムプラン)の仕組みとメリット
残クレとは、数年後の「想定下取り価格(残価)」をあらかじめ最終回の支払いに据え置き、残りの金額を分割で払う仕組みです。
- メリット: 月々の支払額を劇的に抑えられる。常に最新モデルに乗り換えられる。
- デメリット: 最終回に一括精算、再ローン、または車両返却の選択が必要。走行距離制限がある。
GLC 220 d 4MATIC 残クレ月々支払額シミュレーション
以下の条件でシミュレーションしてみましょう。 車両価格9,650,000円(オプション込)、頭金2,000,000円、ボーナス加算200,000円、5年(60回)払い、金利2.9%。
| 項目 | 金額(目安) |
|---|---|
| 月々支払額 | 約58,000円 |
| ボーナス月加算 | 200,000円 |
| 据置価格(残価) | 約3,800,000円 |
頭金とボーナス払いを組み合わせれば、月々5万円台で現行GLCに乗ることが可能です。
GLC 350 e 4MATIC 残クレ月々支払額シミュレーション
同様にPHEVモデル(総額10,700,000円)で試算します。
| 項目 | 金額(目安) |
|---|---|
| 月々支払額 | 約72,000円 |
| ボーナス月加算 | 200,000円 |
| 据置価格(残価) | 約4,100,000円 |
PHEVは補助金が出るため、その分を頭金に充当すれば、月々の負担をディーゼルモデルに近づけることができます。
通常オートローンの金利と月々の返済プラン
「据置型は金利負担が気になる」という方は、通常のフルローンを選択します。 金利はディーラー系で1.9〜3.5%、銀行系で1.5〜2.5%程度です。
同じ条件で5年フルローンの場合、月々の支払いは13万〜15万円程度まで跳ね上がります。 長期的に乗り続ける(10年以上など)場合は、金利総額の少ないフルローンや銀行ローンが有利です。
頭金の有無で変わる支払総額の比較
頭金なしの場合、審査のハードルも上がりますが、何より支払総額における金利分が大きくなります。 例えば、1,000万円を金利3%で5年借りると、利息だけで約80万円かかります。 余裕があれば車両本体の20〜30%は頭金として入れたいところです。
5年後の残価(下取り価格)を最大化するコツ
残クレ終了時に手元に現金を残す、あるいは次の車への頭金を作るためには、リセールを意識した乗り方が重要です。
- 禁煙車を徹底する: 喫煙車は数十万円の査定減になります。
- 屋内保管: 塗装の劣化や樹脂パーツの白ボケを防げます。
- メンテナンス記録: すべてディーラーで行い、記録簿を完璧に残す。
リース(メルセデス・ベンツ・リース)という選択肢
個人でも「リース」を選ぶ方が増えています。 これには自動車税、重量税、自賠責、さらには期間中のメンテナンス費用もすべて含まれます。 月々の支払いは残クレより高くなりますが、急な出費がなく、家計管理が非常に楽になるのが魅力です。
法人購入と個人購入の節税効果・支払い比較
経営者の方であれば、4年落ち(48ヶ月経過)の中古GLCを狙うのも手です。 定率法を用いれば1年でほぼ経費化できるため、大きな節税メリットがあります。 新車の場合は、オペレーティングリースを検討するのも良いでしょう。
維持費と車検費用の徹底解説
購入後のランニングコストこそ、メルセデス・ライフの質を左右します。
引用 : メーカーHP
年間の燃料代シミュレーション(軽油 vs ハイオク)
GLC 220 d(ディーゼル)と以前のガソリンモデルを比較すると、燃料代の差は歴然です。 年間10,000km走行、軽油140円/L、ハイオク180円/Lで計算します。
- GLC 220 d (18.1km/L): 年間約77,000円
- GLC 300 (10km/L想定): 年間約180,000円
ディーゼルの経済性は、遠出が多い方ほど恩恵が大きいです。
自動車税と重量税の継続的な負担
2年目以降の毎年の税金です。
- 自動車税: 36,000円(2.0L以下)
- 重量税: 車検ごとに納付。ディーゼルモデルは2回目の車検まで免税や減税が続く場合があります。
メルセデス・ベンツ純正タイヤの交換費用と寿命
GLCは車重が2t近くあり、特にAMGラインの20インチタイヤは消耗が早いです。
- 寿命: 20,000〜30,000km程度。
- 交換費用: 4本で20万〜30万円(ミシュランやピレリのMOE=メルセデス承認タイヤ)。
サイドウォールが強化されたランフラット特性を持つタイヤのため、一般的なタイヤより高価です。
AdBlue(アドブルー)補充と消耗品交換サイクル
ディーゼル車特有の維持費がAdBlue(高品位尿素水)です。
- 補充頻度: 約1,000km走行ごとに1L程度消費。
- 費用: 10Lで3,000〜5,000円程度。ディーラー点検時に補充されます。
また、ワイパーゴムやエアコンフィルターも年1回の交換が推奨されており、それぞれ1万円前後の費用がかかります。
自動車保険(任意保険)の相場と特約の選び方
車両価格が高いため、車両保険は必須です。
- 相場: 年間10万〜20万円(等級や年齢条件による)。
- おすすめ特約: 「新価特約(全損時に新車買い替え費用が出る)」と「弁護士特約」。
メルセデス・ケア終了後のメンテナンスプラン
新車購入から3年間は「メルセデス・ケア」により、メンテナンス費用がほぼ無料です。 問題は4年目以降です。 「メンテナンス プラス」という延長プラン(2年間で約15〜20万円)に加入することで、車検時の消耗品交換費用を抑えることができます。
ディーラー車検費用:3年目から11年目までの推移
ディーラーでの車検費用(法定費用を除く点検・整備代)の目安です。
| 車検時期 | 経過年数 | 内容 | 概算費用 |
|---|---|---|---|
| 初回車検 | 3年目 | メルセデス・ケア期間内。基本工賃無料。 | 5〜8万円(諸費用のみ) |
| 2回目 | 5年目 | バッテリー、ブレーキパッド交換等が発生。 | 20〜30万円 |
| 3回目 | 7年目 | 各種ブッシュ、ベルト類の劣化。 | 25〜40万円 |
| 4回目 | 9年目 | 冷却系パーツ、樹脂パーツの交換。 | 35〜50万円 |
| 5回目 | 11年目 | 重整備が必要になる可能性が高い。 | 50万円〜 |
11年目ともなると、48Vバッテリーの交換など高額な修理が重なる可能性があるため、認定中古車への乗り換えを検討する時期でもあります。
ライバル車とのコスト比較:BMW X3 / Audi Q5
GLCを検討する際、必ず候補に上がるのがBMW X3とAudi Q5です。
- BMW X3: ディーゼルモデルの燃費はGLCと同等。メンテナンスパック「BSI」が優秀で、5年目までの維持費はベンツより安く済むケースも。
- Audi Q5: 乗り出し価格はGLCより若干低めに設定されることが多いですが、リセールバリューはメルセデスが一歩リードします。
長期的なトータルコスト(TCO)で見ると、やはりGLCのリセールの強さが際立ちます。
故障リスクと認定中古車保証の有効性
「ベンツは壊れる」というのは昔の話ですが、精密機械である以上、センサー類の不具合はゼロではありません。 保証が切れた後のエアコン故障や電子制御トラブルは、一撃で30万円以上の出費になることもあります。 長く乗るなら、認定中古車保証(サーティファイドカー保証)を延長し続けるのが最も賢い選択です。
まとめ
メルセデス・ベンツGLCは、乗り出しで1,000万円近い投資が必要な車ですが、その分、所有する喜びや安全性能、そして驚くほどの快適さを提供してくれます。
- 乗り出し価格: 220d AMGラインで約965万円から。
- 支払い: 残クレなら頭金次第で月々5〜6万円台も可能。
- 維持費: ディーゼルの燃料代は安いが、タイヤや車検費用は輸入車相応。
- 車検: 5年目以降のメンテナンスプラン加入が鍵。
この記事が、あなたのGLCライフの第1歩を後押しする助けになれば幸いです。
筆者情報
筆者:二階堂 仁 モータージャーナリスト兼コラムニストとして活動。慶應義塾大学卒業後、大手自動車会社に就職。車両開発の最前線でサスペンションやシャシーのセッティングに携わり、その後出版業界へ転身。現場仕込みの鋭い分析と、ユーザー目線に立った親しみやすい解説に定評がある。 現在の愛車はレクサスLFA、日産GTR R34に加え、日常の足としてメルセデス・ベンツGLCを愛用している。

