モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、愛車であるレクサスRCFのディーラー車検にかかる具体的な費用や日数、そして少しでも費用を抑える方法について気になっているのではないでしょうか。私も実際にRCFを所有し、ディーラーで車検を何度も経験しているので、その気になる気持ちはよくわかります。
高額なイメージがあるディーラー車検ですが、その内訳やメリットを正しく理解し、ちょっとしたコツを知るだけで、納得感が大きく変わってきます。

引用 : レクサスHP
この記事を読み終える頃には、あなたのレクサスRCFの車検に関するあらゆる疑問が解決しているはずです。
記事のポイント
- ディーラー車検費用の具体的な内訳と実例
- 車検にかかる日数と「3時間で終わる」の真相
- ディーラー車検のメリット・デメリットと費用を抑える交渉術
- ディーラー以外の車検業者との徹底比較

レクサスRCFのディーラー車検にかかる費用
まず、皆さんが最も気になるであろう費用について、徹底的に掘り下げていきましょう。ディーラー車検の費用は、大きく分けて「法定費用」「車検基本料」「追加整備費用」の3つで構成されています。それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

引用 : レクサスHP
車検費用の内訳を徹底解説
法定費用
法定費用は、国や保険会社に支払う法律で定められた費用のことです。これはディーラーで受けても、他のどこで受けても金額は一律で、値引きはできません。
項目 | 金額(2年分) | 備考 |
---|---|---|
自動車重量税 | ¥32,800 | 車両重量1,770kgのため1.5t超~2.0t以下の区分。13年経過までは同額。 |
自賠責保険料 | ¥17,650 | 24ヶ月契約の場合(2023年4月1日以降の保険料)。離島などを除く。 |
印紙代(検査手数料) | ¥1,800 | ディーラー(指定整備工場)で受ける場合の金額。 |
合計 | ¥52,250 | – |
レクサスRCFの車両重量は1,770kgなので、自動車重量税は「1.5t超~2.0t以下」の区分に該当します。エコカー減税の対象ではないため、新車登録から12年目までは上記の金額です。13年を超えると重課され、¥45,600となります。
車検基本料
車検基本料は、車検を依頼するディーラーに支払う費用です。ここには、24ヶ月定期点検の技術料や、車検の検査ラインを通すための代行手数料などが含まれます。この金額はディーラーや店舗によって異なり、一般的に50,000円~100,000円程度が相場となります。
<車検基本料に含まれる主な項目>
- 24ヶ月定期点検料: 法令で定められた56項目を点検するための技術料。
- 継続検査料: 車両が保安基準に適合しているかを確認する検査の費用。
- 検査代行手数料: 車検場へ車両を持ち込み、手続きを代行してもらうための手数料。
- その他諸費用: 書類作成費用などが含まれる場合がある。
レクサスのディーラーでは、これらの基本点検に加え、メーカー独自の診断機(GTS:Global TechStream)を用いた詳細な電子制御システムのチェックや、専門のメカニックによる高品質な整備が提供されるため、一般的な整備工場よりも高めの設定になっています。しかし、それは安心料と考えることもできます。
追加整備費用
追加整備費用は、車検の点検過程で見つかった消耗品の交換や、予防整備にかかる部品代と工賃です。走行距離や乗り方によって大きく変動する部分であり、車検費用が高額になる主な要因はここにあります。
<RCFで交換頻度の高い主な追加整備項目と費用目安>
項目 | 部品代・工賃の目安 | 交換推奨時期の目安 |
---|---|---|
エンジンオイル&オイルフィルター交換 | ¥15,000~¥30,000 | 5,000km~10,000kmまたは半年~1年 |
ブレーキフルード交換 | ¥10,000~¥20,000 | 2年ごと(車検ごと) |
ブレーキパッド交換(前後) | ¥80,000~¥150,000 | 30,000km~50,000km(乗り方による) |
タイヤ交換(4本) | ¥200,000~¥400,000 | 30,000km~40,000km(ハイパフォーマンスタイヤのため高額) |
バッテリー交換 | ¥40,000~¥70,000 | 3年~5年 |
エアクリーナーエレメント交換 | ¥8,000~¥15,000 | 40,000km~50,000km |
ワイパーブレードゴム交換 | ¥5,000~¥8,000 | 1年ごと |
RCFはV8・5.0Lという大排気量エンジンを搭載し、高い制動性能を持つブレンボ製ブレーキを採用しているため、オイルやブレーキ関連の消耗品は他の車種に比べて高価になる傾向があります。特にタイヤは、その性能を最大限に引き出すためにハイグリップな製品が標準装着されており、交換費用は大きな出費となります。
【実例】私のRCF車検費用(5年目)
参考までに、私が以前所有していたRCF(前期型)の2回目(5年目)の車検見積もりの一例を公開します。走行距離は約40,000kmでした。
項目 | 金額 | 内容 |
---|---|---|
法定費用 | ¥52,250 | (重量税、自賠責、印紙代) |
車検基本料 | ¥75,000 | (24ヶ月点検、継続検査、代行手数料など) |
追加整備費用 | ||
エンジンオイル&フィルター交換 | ¥22,000 | メーカー推奨オイル使用 |
ブレーキフルード交換 | ¥15,000 | 定期交換 |
前後ブレーキパッド交換 | ¥120,000 | 残量少のため推奨 |
ワイパーブレードゴム交換 | ¥6,000 | 劣化のため推奨 |
バッテリー交換 | ¥65,000 | 電圧低下のため推奨 |
G-Link更新料 | ¥35,200 | 2年分 |
追加整備費用合計 | ¥263,200 | |
総合計 | ¥390,450 |
この見積もりでは、総額で約40万円となりました。ブレーキパッドやバッテリーなど、高額な交換部品が重なったためです。ここから、後述する交渉術を使って不要な項目を削ることで、費用を抑えることが可能です。
レクサス独自の費用「G-Link」とは?
見積もり例にも記載しましたが、レクサス車検では「G-Link」の更新を勧められることがあります。G-Linkは、緊急時のヘルプネットやナビの目的地設定などをオペレーターが代行してくれるテレマティクスサービスです。新車購入から3年間は無料で利用できますが、それ以降は2年ごとに更新料(¥35,200)が必要となります。
これは車検の必須項目ではありませんが、レクサスならではの上質なカーライフを支える便利なサービスですので、必要性を感じている方は車検のタイミングで更新するのがスムーズです。
レクサスRCFのディーラー車検|日数・代車・メリット・デメリット
費用と並んで気になるのが、車検にかかる時間やディーラーならではのサービス、そしてメリットとデメリットです。特に「友人のレクサスは3時間で車検が終わった」という話、気になりますよね。その真相に迫ります。

引用 : レクサスHP
車検にかかる日数は?3時間で終わるって本当?
結論から言うと、レクサスディーラーの車検が3時間で終わることはあります。
これは「ワンデークイック車検」や「スピード車検」といった名称で提供されているサービスで、以下の条件を満たす場合に利用できることが多いです。
- 完全予約制であること
- 車両に大きな問題がなく、追加の重整備が必要ないこと
- 交換部品が店舗に在庫としてあること
事前に車両の状態をディーラーが把握しており、交換部品も準備された状態で、専任のメカニックが効率的に作業を進めることで、午前10時に預けて午後1時には完了する、というスケジュールが実現可能です。
ただし、これはあくまでスムーズに進んだ場合の最短時間です。一般的には、車両をじっくりと点検し、必要に応じて部品を取り寄せたり、オーナーと相談しながら整備内容を決めたりするため、2~3日預けるのが標準的です。特にRCFのような特殊な車両は、細部までしっかりチェックするために時間をかける傾向があります。
車検を早く終わらせたい場合は、予約時に「短時間での完了を希望する」と明確に伝え、事前に見積もり訪問をして、交換が必要になりそうな部品を把握しておくことが重要です。
ディーラーで車検を受ける5つのメリット
費用が高いと言われがちなディーラー車検ですが、それに見合うだけの大きなメリットがあります。特にRCFのようなハイパフォーマンスカーのオーナーにとっては、その価値は計り知れません。
- 圧倒的な専門知識と技術力 レクサスのメカニックは、メーカーの専門トレーニングを受けたプロフェッショナルです。RCFに搭載されている「TVD(トルクベクタリングディファレンシャル)」やアクティブリアウィングといった特殊な機構についても熟知しており、最適なメンテナンスを実施してくれます。これは他の整備工場では真似できない最大の強みです。
- 純正部品の使用による絶対的な安心感 ディーラーでは、交換部品に必ずメーカーが品質を保証する純正部品を使用します。車両とのマッチングや耐久性は完璧で、性能を100%引き出すことができます。
- 質の高い整備記録による資産価値の維持 ディーラーで定期的にメンテナンスを受けている車両は、その整備記録が信頼性の証となります。将来、愛車を売却する際に、この「ディーラー整備記録簿」があることは非常に有利に働き、査定額アップに繋がります。
- G-Link更新やプログラム更新などの独自サービス 前述のG-Linkの更新手続きや、ナビゲーションシステム、車両制御プログラムの最新版へのアップデートなど、メーカー直系でなければ受けられないサービスが多数あります。
- 最高品質の顧客対応と快適な環境 レクサスならではの「おもてなし」は、車検の際も同様です。オーナー専用ラウンジで待つ時間は快適そのもので、サービスアドバイザーによる丁寧で分かりやすい説明は、安心感を与えてくれます。
ディーラーで車検を受ける3つのデメリット
一方で、デメリットも存在します。これらを理解した上で、自分にとって最適な選択をすることが大切です。
- 費用の総額が高くなる傾向 最大のデメリットはやはり費用です。車検基本料が高めに設定されていることに加え、予防的な観点から早めの部品交換を推奨されることが多く、結果的に総額が高くなりがちです。
- 整備内容の自由度が低い ディーラーでは安全性を最優先するため、まだ使える部品でも「推奨交換」として見積もりに含まれることが多いです。また、社外品の持ち込み取り付けなどは原則として断られるため、カスタマイズを楽しんでいる方にとっては不便に感じるかもしれません。
- 予約が取りにくい場合がある 人気のディーラーや繁忙期(2~3月)は、希望の日時で車検の予約を取るのが難しい場合があります。車検満了日の1~2ヶ月前には連絡し、早めにスケジュールを確保することをお勧めします。
代車は無料で借りられる?最新車種に乗れるって本当?
ディーラー車検の場合、代車は基本的に無料で借りることができます。 これは車検基本料に含まれるサービスの一部と考えてよいでしょう。
そして、気になるのが「どんな車種を借りられるか」という点。友人の話にあったように、店舗の代車の空き状況次第では、現行の最新モデルを選ぶことも可能です。
私も車検の際に「もし空いていたら新型NXに乗ってみたいのですが」と相談したところ、希望通りに手配してもらえた経験があります。ディーラー側としても、顧客に最新モデルの魅力を体験してもらう良い機会と捉えているため、積極的に貸し出してくれることが多いのです。
ただし、必ずしも希望の車種に乗れるわけではありません。特にRCFのようなハイパフォーマンスカーの代車として、同クラスのLCなどが用意されるケースは稀です。一般的にはIS、ES、NX、RXといったセダンやSUVが多くなります。車検は、普段乗らないレクサス車を試す絶好のチャンスと捉え、予約時に希望を伝えてみるのがおすすめです。
ディーラー車検の費用を賢く抑える交渉テクニック
ディーラー車検のメリットは理解しつつも、やはり費用は少しでも抑えたいのが本音ですよね。実は、ただ言われるがままに支払うのではなく、いくつかのポイントを押さえることで、数万円単位で費用を節約することが可能です。

Lexury Motors Journal イメージ
事前見積もりで「必要整備」と「推奨整備」を分ける
最も重要なのが、車検を予約する前に「事前見積もり」を取得することです。その際、サービスアドバイザーに以下のようにお願いしましょう。
「今回は、車検を通すために法律上必須な整備と、現時点では緊急ではないけれど推奨される整備を、明確に分けて見積もりを出してください」
こう伝えることで、見積書が「必須項目」と「推奨項目」に整理されます。ここからが交渉のスタートです。
不要な「推奨整備」は断る勇気を持つ
提示された「推奨項目」について、一つひとつ内容と理由を確認します。
- バッテリー交換: 「なぜ交換が必要なのですか?バッテリーテスターの診断結果を見せてください」と依頼し、電圧やCCA(コールドクランキングアンペア)の値が本当に交換基準を下回っているかを確認します。
- エアコンフィルター交換: 「自分で交換するので今回は不要です」と伝える。エアコンフィルターはグローブボックスの奥にあることが多く、比較的簡単にDIYで交換可能です。部品代もネットで購入すればディーラー価格の半額以下で済みます。
- 各種添加剤(エンジン内部洗浄剤など): これらは車のコンディションを良くするためのもので、車検の合否には全く関係ありません。不要であれば、はっきりと断りましょう。
- 下回りスチーム洗浄・塗装: よほど降雪地域を走行しない限り、必須ではありません。
もちろん、安全性に関わる重要な部品(ブレーキパッドの残量不足など)については、プロの判断に従うべきです。しかし、全ての推奨項目を鵜呑みにせず、本当に今必要なのかを見極めることが、費用を抑える最大のコツです。
消耗品は外部で購入することも検討する(要相談)
例えばタイヤ交換が必要になった場合、ディーラーで純正採用されているタイヤに交換すると非常に高額になります。同じ銘柄のタイヤでも、カー用品店やタイヤ専門店の方が安く購入できることがほとんどです。
ディーラーによっては、外部で購入した部品の持ち込みを認めてくれる場合があります(ただし工賃は割増になることも)。事前に「タイヤはこちらで用意した場合、交換作業だけお願いすることは可能ですか?」と相談してみる価値はあります。
ディーラー以外での車検という選択肢|メリット・デメリット比較
安心を最優先するならディーラーが一番ですが、費用を重視する場合、他の選択肢も存在します。それぞれのメリット・デメリットを比較し、RCFにとって最適な場所はどこなのかを考えてみましょう。
依頼先 | メリット | デメリット | 費用相場(法定費用除く) |
---|---|---|---|
レクサスディーラー | ◎ 専門性、安心感、資産価値維持 | △ 費用が高い、時間がかかる | ¥70,000~ |
車検専門店 | ◎ 安い、早い | × 専門性に不安、整備は最低限 | ¥20,000~ |
カー用品店 | 〇 安い、部品の種類が豊富 | △ 専門性に不安、整備士の技術差 | ¥30,000~ |
民間整備工場 | 〇 費用と整備内容のバランスが良い | △ 工場による技術差が大きい | ¥40,000~ |
車検専門店(コバック、ホリデー車検など)
「安さ」と「速さ」を最大の売りにしています。整備は車検をクリアするための最低限の内容に絞られることが多く、RCFのような高性能車のポテンシャルを維持するための予防整備は期待できません。とにかく安く、早く済ませたい方向けですが、個人的にはRCFにはあまりお勧めできません。
カー用品店(オートバックス、イエローハットなど)
ディーラーよりも安価で、タイヤやオイルなどの選択肢が豊富なのが魅力です。ただし、整備士の技術力や知識は店舗によって差が大きく、RCFのような特殊な車両の整備経験が少ない可能性もあります。
民間整備工場(街の自動車屋さん)
ディーラー出身の整備士が独立して経営している工場など、高い技術力を持つ場合があります。融通が利きやすく、リビルト品(再生部品)などを使って修理費用を抑える相談にも乗ってくれることがあります。「レクサスや輸入スポーツカーに強い」といった得意分野を持つ工場を見つけることができれば、ディーラーに近い品質の整備を、より安価に受けられる可能性があります。
結論:RCFの車検はどこで受けるのがベストか?
ここまで様々な選択肢を見てきましたが、私個人の意見としては、レクサスRCFの車検はディーラーで受けるのが最も賢明な選択だと考えています。
理由は、RCFが単なる移動手段ではなく、高い性能と希少性を持つ「資産」だからです。ディーラーでの確実なメンテナンスは、その性能を長く維持し、将来の資産価値を守るための最も有効な投資と言えます。
費用を抑えるテクニックを駆使しつつ、専門家であるディーラーに任せる安心感を手に入れる。これが、RCFと長く付き合っていくためのベストな方法ではないでしょうか。
まとめ
今回は、レクサスRCFのディーラー車検について、費用から日数、メリット・デメリット、そして費用を抑えるコツまで、包括的に解説してきました。
ディーラー車検は決して安くはありませんが、その価格にはRCFを知り尽くしたプロによる最高品質のメンテナンスと、絶対的な安心感が含まれています。法定費用以外の部分は、オーナーであるあなた自身が内容を理解し、取捨選択することで、費用を適正化することが可能です。
事前見積もりを有効に活用し、サービスアドバイザーとしっかりとコミュニケーションを取ることで、高額なイメージのあるディーラー車検も、きっと納得のいくものになるはずです。
この記事が、あなたのRCFの車検に対する不安を解消し、より良いカーライフを送るための一助となれば幸いです。