モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、レクサス初のBEV専用モデル「RZ」に興味を持ちつつも、「電費が悪い」という噂を耳にして、実際のところどうなのかが気になっていると思います。私も実際にRZ450e “version L”を所有しており、日々そのパフォーマンスを肌で感じているので、購入を検討されている方が維持費の面で不安に思う気持ちはよくわかります。

引用 : レクサスHP
電気自動車(BEV)の維持費を左右する電費は、ガソリン車の燃費と同じく、非常に重要な選択基準の一つです。カタログスペックだけでは見えてこない、リアルな数値を知りたいですよね。
この記事を読み終える頃には、レクサスRZの電費に関するあらゆる疑問が解決し、あなたがRZを選ぶべきかどうかの明確な判断材料が手に入っているはずです。
記事のポイント
- レクサスRZのカタログ電費と実電費のギャップ
- 街乗りと高速道路におけるリアルな電費数値
- 明日から実践できる電費改善テクニック
- ライバル車との徹底比較でわかるRZの立ち位置

レクサスRZの電費、その実力は?【カタログ値と実測値のギャップに迫る】
まず結論からお伝えすると、レクサスRZの電費は、最新のBEVとして最高水準というわけではありません。しかし、巷で言われるほど「極端に悪い」わけでもなく、その背景にはレクサスならではの明確な思想が存在します。ここでは、カタログスペックから実際のオーナーである私が計測したリアルな数値まで、深く掘り下げていきましょう。

引用 : レクサスHP
まずは基本から レクサスRZのカタログスペックと航続距離
レクサスRZには、AWDモデルの「RZ450e」と、後から追加されたFWDモデルの「RZ300e」の2種類が存在します。それぞれの基本スペックは以下の通りです。
モデル名 | 駆動方式 | バッテリー総電力量 | WLTCモード航続距離 | WLTCモード交流電力量消費率(電費) |
---|---|---|---|---|
RZ450e | AWD | 71.4kWh | 494km (20インチ) / 534km (18インチ) | 147Wh/km (6.80km/kWh) / 135Wh/km (7.41km/kWh) |
RZ300e | FWD | 71.4kWh | 599km (18インチ) | 120Wh/km (8.33km/kWh) |
※電費のkm/kWhは、1kWhの電力で何km走行できるかを示します。数値が大きいほど効率が良いことを意味します。
カタログ値を見ると、特に後発のRZ300eはなかなかのスペックです。しかし、ご存知の通り、WLTCモードはあくまで一定の条件下での測定値。実際の道路状況では、この数値を下回ることがほとんどです。
なぜ?「レクサスRZは電費が悪い」と言われる3つの理由
では、なぜRZの電費が特に厳しい評価を受けがちなのでしょうか。ジャーナリストとして、そしてオーナーとして分析すると、主に3つの理由が考えられます。

引用 : レクサスHP
理由1:レクサスらしい走りの質感を優先したハイパワーAWDシステム
RZ450eに搭載されているAWDシステム「DIRECT4」は、前後輪の駆動力を100:0から0:100まで緻密に制御する優れものです。これにより、BEVとは思えないほど自然でリニアな加速感、そしてどんな路面でも安定した走りを提供してくれます。しかし、この高度な制御とフロントにも強力なモーターを搭載するシステムは、効率最優先のBEVに比べると電力消費が大きくなる傾向にあります。レクサスは、単なる移動手段としての効率よりも、「走りの楽しさ」や「意のままに操れる感覚」を優先した結果と言えるでしょう。
理由2:デザインと乗り心地を両立させるための大径タイヤ
RZは標準で18インチ、上位グレードでは20インチのタイヤを装着しています。大径タイヤは見た目の迫力や走行安定性に寄与しますが、転がり抵抗が増えるため、電費には不利に働きます。特に20インチ仕様のRZ450eでは、カタログ値でも18インチ仕様より航続距離が約40kmも短くなっています。これもまた、デザイン性や乗り味を優先したレクサスらしい選択です。
理由3:兄弟車と共有するプラットフォームの特性
RZは、トヨタのbZ4Xやスバルのソルテラと共通の「e-TNGA」プラットフォームを採用しています。このプラットフォームは、バッテリー保護の観点から、実際に使用できるバッテリー容量(実効容量)を総電力量に対してやや控えめに設定していると言われています。また、他社の最新BEV専用プラットフォームと比較すると、エネルギー効率の面でまだ発展途上な部分があるのかもしれません。
これらの理由から、RZは電費性能だけを切り取ると、ライバルに見劣りする部分があるのは事実です。しかし、それは走りの質感や安全性、デザインといった他の要素とのトレードオフなのです。
【実測データ】春・秋の街乗りにおけるレクサスRZの電費
ここからは、私のRZ450e(20インチ仕様)で実際に計測したデータをご紹介します。気候が穏やかな春と秋は、BEVにとって最も電費が伸びる季節です。
東京都内(一般道、渋滞あり)での走行では、平均して「5.8〜6.5km/kWh」 を記録します。
これは、カタログ値(6.80km/kWh)の85%〜95%程度に相当し、個人的にはかなり健闘しているという印象です。ストップ&ゴーが多い市街地では、回生ブレーキが効果的に働き、減速時のエネルギーを回収してくれるため、想像以上に電費が悪化しません。むしろ、一定速度で走り続ける高速道路よりも良い数値を記録することも珍しくありません。
【実測データ】春・秋の高速道路におけるレクサスRZの電費
次に、高速道路でのデータです。BEVは空気抵抗が大きくなる高速巡航が苦手とされています。
- 80km/h巡航時:約5.5km/kWh
- 100km/h巡航時:約4.8〜5.2km/kWh
- 120km/h巡航時:約4.0〜4.5km/kWh
やはり速度が上がるにつれて電費は悪化します。特に新東名高速道路など、制限速度120km/hの区間を流れに乗って走ると、電費の低下は顕著です。とはいえ、100km/h巡航で5.0km/kWh前後を維持できれば、満充電からの航続距離は単純計算で300km以上(※)となり、途中で1回の急速充電を挟めば東京から大阪までの移動も十分に可能です。
※バッテリーの実効容量を65kWhとして計算した場合。
【要注意】冬場の電費はどれくらい落ちるのか?
BEVオーナーにとって最も気になるのが冬場の電費です。RZも例外ではなく、外気温が下がると電費は明確に悪化します。
外気温5℃前後の環境下では、春秋のシーズンに比べておよそ20〜30%悪化 すると考えておくと良いでしょう。
- 街乗り:約4.2〜4.8km/kWh
- 高速道路(100km/h巡航):約3.5〜4.0km/kWh
この最大の要因は「暖房」です。特にRZ450eには、省エネ性能が高いヒートポンプ式エアコンに加え、フロントシート足元に輻射熱ヒーターが備わっており、効率的に乗員を温めてくれます。これにより、車内全体を温めるエアコンの設定温度を下げることができ、電力消費を抑える工夫がされています。それでも、バッテリー自体の温度低下による性能ダウンも相まって、冬場の電費低下は避けられません。
夏場のエアコン使用による電費への影響
意外に思われるかもしれませんが、夏場の冷房使用による電費悪化は、冬場の暖房ほどではありません。
真夏の炎天下でエアコンを最大限に稼働させても、電費の悪化は10〜15%程度 に留まる印象です。
もちろん、駐車中に車内が灼熱になっている状態から一気に冷やす際は多くの電力を消費しますが、一度冷えてしまえば、比較的少ないエネルギーで快適な温度を維持できます。
レクサスRZの電費を改善させるための具体的なテクニック
レクサスRZの電費は、乗り方次第で大きく向上させることができます。ここでは、私が普段から実践している、明日からすぐに使えるテクニックを具体的にご紹介します。
テクニック①:アクセルワークを極める「エコドライブ」の基本
これはBEVだけでなく、すべての車に共通する基本中の基本です。
- 「急」のつく操作を避ける: 急加速は最も電力を消費します。RZのモーターは非常にパワフルですが、その誘惑に打ち勝ち、じわりと踏み込むことを意識しましょう。
- 先の交通状況を読む: 前方の信号が赤なら早めにアクセルを離す、車間距離を十分に取るなど、無駄な加減速を減らすことが電費向上に直結します。
- 一定速度を保つ: 高速道路では、アダプティブクルーズコントロール(ACC)を積極的に活用し、無駄な速度変化をなくすのが有効です。
テクニック②:回生ブレーキを最大限に活用するコツ
RZには、ステアリングに備えられたパドルで回生ブレーキの強さを4段階に調整できる機能があります。これを使いこなすことが、電費改善の鍵です。
- 街中や下り坂では回生レベルを強める: 減速する機会が多い市街地や、長い下り坂では回生レベルを最大(D–)に設定します。これにより、アクセルオフだけで効率的にエネルギーを回収できます。
- 高速道路では回生レベルを弱める: 一定速度で巡航する高速道路では、回生レベルを弱め(DやD-)にして、アクセルオフで空走する距離を伸ばした方が効率的な場合があります。エネルギーロスを最小限に抑え、「惰性で走る」ことを意識しましょう。
テクニック③:ドライブモードの賢い使い分け
RZには、走行シーンに合わせて選択できるドライブモードが搭載されています。
- NORMALモード: 日常使いではこのモードが最もバランスが取れています。アクセル操作に対して自然な応答で、快適性と効率を両立しています。
- ECOモード: 電費を最優先したい場合はこのモードを選択します。アクセル操作に対する出力が穏やかになり、エアコンの効きも省エネ設定になります。強制的にエコな運転になるため、効果は絶大です。
- SPORTモード: 最もダイレクトで力強い加速が楽しめますが、電費は悪化します。ワインディングロードなどで走りを満喫したい時に限定して使うのが良いでしょう。
- RANGEモード: これは航続距離を最大化するための「最終手段」です。最高速度が制限され、エアコンも停止するなど、快適性が大幅に犠牲になりますが、どうしても次の充電器までたどり着きたいという非常時に役立ちます。
テクニック④:空調(エアコン)設定の最適化
特に冬場において、空調の使い方は電費に大きく影響します。

引用 : レクサスHP
- シートヒーター&ステアリングヒーターを 적극的に活用: 車内全体の空気を温めるよりも、体が直接触れる部分を温める方が圧倒的に効率的です。これらをONにして、エアコンの設定温度を1〜2℃下げるだけで、大きな節電効果があります。
- 輻射熱ヒーターの活用(RZ450e): 前席乗員の膝元を直接温める輻射熱ヒーターは、消費電力が少なく、満足感が高い優れた装備です。
- AUTOモードを基本に: エアコンは基本的にAUTOモードに設定し、車に効率的な制御を任せるのがおすすめです。内外気の切り替えなども自動で最適化してくれます。
テクニック⑤:タイヤの空気圧を制する者は電費を制す
見落としがちですが、タイヤの空気圧は電費に直接影響します。空気圧が指定値よりも低いと、タイヤの転がり抵抗が増大し、電費が悪化します。月に一度はエアゲージでチェックする習慣をつけましょう。指定空気圧は運転席のドアを開けたところに貼られているシールで確認できます。
【上級編】充電計画で電費はさらに向上する
少し上級者向けのテクニックですが、充電の仕方一つでも航続距離は変わってきます。
- 急速充電前のプレコンディショニング: RZには、ナビで急速充電スポットを目的地に設定すると、到着時間に合わせてバッテリーを最適な温度に温める「プレコンディショニング機能」が備わっています。これにより、特に冬場の充電スピード低下を防ぎ、充電時間を短縮できます。
- 自宅での普通充電を基本とする: BEVの運用は、自宅で夜間に満充電にし、日中の走行で減った分を継ぎ足すのが基本です。急速充電はあくまで遠出の際に利用するものと割り切りましょう。普通充電はバッテリーへの負荷が少なく、バッテリーの長寿命化にも繋がります。
【ライバル車比較】レクサスRZの電費は本当に悪いのか?
では、レクサスRZの電費は、競合する他のBEVと比較してどの程度のレベルなのでしょうか。国内外の主要なライバルとデータを比較し、RZの立ち位置を客観的に評価してみましょう。

引用 : レクサスHP
比較対象となる主要なライバル車種
今回は、日本市場でRZの直接的なライバルとなる以下の車種をピックアップしました。
- 日産 アリア (B6 / B9)
- テスラ モデルY (RWD / ロングレンジAWD)
- スバル ソルテラ / トヨタ bZ4X (FWD / AWD)
- ヒョンデ IONIQ 5
- メルセデス・ベンツ EQC
主要スペックと価格を徹底比較
まずは、各車両の基本的なスペックと価格帯を見てみましょう。
車種名 | グレード例 | 駆動方式 | バッテリー容量 | 価格帯(税込) |
---|---|---|---|---|
レクサス RZ | RZ450e | AWD | 71.4kWh | 880万円〜 |
レクサス RZ | RZ300e | FWD | 71.4kWh | 820万円〜 |
日産 アリア | B6 | FWD | 66kWh | 539万円〜 |
日産 アリア | B9 e-4ORCE | AWD | 91kWh | 720万円〜 |
テスラ モデルY | RWD | RWD | 約60kWh (推定) | 563万円〜 |
テスラ モデルY | ロングレンジ | AWD | 約75kWh (推定) | 652万円〜 |
スバル ソルテラ | ET-SS | AWD | 71.4kWh | 638万円〜 |
ヒョンデ IONIQ 5 | Voyage | RWD | 72.6kWh | 550万円〜 |
メルセデス・ベンツ EQC | EQC 400 4MATIC | AWD | 80kWh | 931万円〜 |
※価格は2024年時点の代表的なグレードのものです。
価格帯を見ると、RZはプレミアムブランドとして、日産やテスラ、ヒョンデよりも高価格帯に位置していることがわかります。
電費性能(WLTCモード)を比較
次に、カタログ上の電費性能(交流電力量消費率)を比較します。数値が小さいほど効率が良いことを示します。
車種名 | グレード例 | WLTCモード電費 (Wh/km) | 参考値 (km/kWh) |
---|---|---|---|
レクサス RZ | RZ450e (18インチ) | 135 Wh/km | 7.41 km/kWh |
レクサス RZ | RZ300e | 120 Wh/km | 8.33 km/kWh |
日産 アリア | B6 | 133 Wh/km | 7.52 km/kWh |
日産 アリア | B9 e-4ORCE | 153 Wh/km | 6.54 km/kWh |
テスラ モデルY | RWD | 127 Wh/km | 7.87 km/kWh |
テスラ モデルY | ロングレンジ | 130 Wh/km | 7.69 km/kWh |
スバル ソルテラ | ET-SS (AWD) | 142 Wh/km | 7.04 km/kWh |
ヒョンデ IONIQ 5 | Voyage (RWD) | 133 Wh/km | 7.52 km/kWh |
メルセデス・ベンツ EQC | EQC 400 4MATIC | 185 Wh/km | 5.41 km/kWh |
この比較表から、RZ450eの電費はライバルと同等か、やや劣るポジションにあることがわかります。一方で、後発のRZ300eはテスラ モデルY RWDに匹敵する、クラストップレベルの非常に優秀な数値を記録しています。FWD化と効率化の改良が功を奏していると言えるでしょう。
電費以外の魅力は?レクサスRZが選ばれる理由
では、電費だけで見ると必ずしも優位とは言えないRZが、なぜ選ばれるのでしょうか。オーナーの私から言わせれば、その答えは「電費計には表示されない価値」にあります。
圧倒的な静粛性と乗り心地
RZのドアを閉めた瞬間に訪れる静寂は、まさにレクサスそのものです。ロードノイズや風切り音は徹底的に抑え込まれ、走行中はまるで滑るように路面を進んでいきます。周波数感応バルブ付きのショックアブソーバーは、路面の凹凸をしなやかにいなし、同乗者も快適そのものです。この体験は、効率を追求した結果、乗り心地が硬めになりがちな一部のBEVとは一線を画します。
内外装の圧倒的な質感と設え
ステアリングを握った時の革の感触、インパネ周りの緻密な作り込み、アンビエントライトの美しい光。五感に訴えかける「質感」は、RZの大きな魅力です。シートの座り心地一つとっても、長時間運転しても疲れにくいよう、徹底的に作り込まれています。これはスペックシートには現れない、しかし毎日使う上で満足度を大きく左右する部分です。
DIRECT4が生み出す唯一無二の走り
先述の通り、RZ450eのDIRECT4は、単なるAWDシステムではありません。カーブを曲がる際には、ステアリングを切った瞬間にスッとノーズが入り、出口ではアクセルを踏み込むと後輪が力強く押し出してくれるような、まるでFRのスポーツカーのような感覚を味わえます。この「意のままに操れる」感覚は、他のAWDのBEVではなかなか得られない、RZならではの美点です。
レクサスならではの「おもてなし」
レクサスディーラーの質の高いサービスや、オーナーズデスクによる24時間365日のサポート体制も、所有する満足感を高めてくれる重要な要素です。車両の購入からメンテナンス、万が一のトラブルまで、安心してカーライフを送れるという信頼感は、価格には代えがたい価値があると言えるでしょう。
レクサスRZ購入前に知っておきたい電費以外のポイント
最後に、RZの購入を検討する上で、電費以外にも知っておくべき重要なポイントをいくつかご紹介します。
充電インフラの現状と上手な付き合い方
日本の急速充電インフラは、特に高速道路のSA/PAを中心に整備が進んでいますが、週末などは充電待ちが発生することもあります。また、充電器の出力も様々で、期待したほどのスピードで充電できないケースも少なくありません。RZでの遠出を計画する際は、複数の充電スポットを候補に入れておく、充電アプリで事前に空き状況を確認するなど、計画的な運用が求められます。レクサスディーラーに設置されている急速充電器を利用できるのも、オーナーの特権の一つです。
年間の維持費はガソリン車と比べてどう?
BEVは、ガソリン車と比較して年間の維持費を大幅に抑えられる可能性があります。
- 自動車税: 年額25,000円(新車登録翌年度は減税措置あり)
- 重量税: エコカー減税により、新車購入時と初回車検時は免税
- 燃料代(電気代): 自宅充電の場合、1km走行あたりのコストはガソリン車の1/3〜1/2程度に抑えられます。
- メンテナンス費用: エンジンオイルやフィルター類の交換が不要なため、定期的なメンテナンス費用はガソリン車より安価です。
初期費用は高額ですが、ランニングコストまで含めたトータルコストで考えると、十分に競争力があると言えます。
RZ450eとRZ300e、どちらを選ぶべきか?
これは非常に悩ましい問題です。
- RZ450eがおすすめな人:
- 降雪地域にお住まいの方、またはウインタースポーツなどを楽しむ方
- DIRECT4による卓越した走行性能を重視する方
- BEVならではの力強い加速フィールを求める方
- RZ300eがおすすめな人:
- 少しでも航続距離が長く、電費が良いモデルを求める方
- AWDが不要な温暖な地域にお住まいの方
- 乗り心地がよりしなやかなモデルを好む方(後輪駆動ならではの軽快感もあります)
ご自身のライフスタイルや、車に何を最も求めるかを基準に選ぶのが良いでしょう。
リセールバリューについての考察
一般的にレクサス車は高いリセールバリューを誇ります。しかし、BEV市場はまだ発展途上であり、数年後にバッテリー技術が飛躍的に進化する可能性も否定できません。そのため、現時点でのRZのリセールバリューを正確に予測するのは困難です。ただし、レクサスブランドに対する信頼感や、中古車市場での人気の高さを考えると、他のBEVと比較して極端に値崩れするリスクは低いのではないかと、私は分析しています。
まとめ
今回のレビューでは、レクサスRZの電費について、オーナーとしての実測値やライバルとの比較を交えながら徹底的に解説しました。
結論として、レクサスRZは、電費性能だけを突き詰めた「エコカー」ではありません。あくまでレクサスらしい「上質な乗り味」や「操る楽しさ」をBEVという形で実現した結果、現在の電費性能に落ち着いている、と理解するのが正しいでしょう。
特にAWDモデルのRZ450eは、その走行性能と引き換えに、電費の面ではライバルに一歩譲る場面もあります。しかし、後から追加されたFWDモデルのRZ300eは、クラストップレベルの電費効率とレクサスらしい乗り味を両立しており、非常に魅力的な選択肢です。
もしあなたが、単なる航続距離や効率の良さだけでなく、車としての本質的な気持ちよさ、内外装の質感、そして所有する満足感をBEVに求めるのであれば、レクサスRZは間違いなく最高の候補の一つになります。
電費という一つの側面だけで判断するのではなく、ぜひ一度ディーラーで試乗し、その静かで滑らかな、そして心昂る走りを体験してみてください。きっと、スペックシートだけではわからない、RZならではの価値を感じ取れるはずです。