モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、ベントレーは一体どんな人が乗るのだろうか、年収はどれくらい必要なのか、といった点が気になっていると思います。 私自身もベントレーのオーナーとして、周囲から同様の質問を本当によく受けますので、その気になる気持ちはよくわかります。
運転手付きの超高級車というイメージが先行しがちですが、実は現代のベントレーオーナーの実像はもっと多様で、奥深いものなのです。

引用 : ベントレーHP
この記事を読み終える頃には、ベントレーオーナーの実像についてのあなたの疑問が、きっと解決しているはずです。
記事のポイント
- ベントレーオーナーの代表的な職業と共通点
- 成功者が数ある高級車からベントレーを選ぶ本当の理由
- ベントレーの所有に必要とされる具体的な年収ゾーン
- ショーファーカーからオーナードリブンへの華麗なる変化

ベントレーに乗っている人の特徴【職業・年dumbbells・内面】
「ベントレー」と聞くと、多くの人が「富裕層」や「成功者」といった漠然としたイメージを抱くでしょう。 しかし、その具体的な人物像について深く知る機会は少ないかもしれません。 ここでは、私の取材経験やオーナー仲間との交流で見てきた、ベントレーオーナーのリアルな特徴を、職業や年収、さらには内面的な部分まで踏み込んで解説します。

引用 : ベントレーHP
ベントレーオーナーの代表的な職業5選
ベントレーオーナーの職業は多岐にわたりますが、特に多いと感じるのが以下の5つの職業です。 彼らがなぜベントレーを選ぶのか、その背景とともに見ていきましょう。
1. 会社経営者・起業家
最も代表的なのが、会社経営者や起業家です。 特に、自ら会社を興し、厳しいビジネスの世界で成功を収めた方に多く見られます。 彼らにとってベントレーは、単なる移動手段ではありません。 会社の「顔」としての役割や、取引先に対する信頼性の証、そして何より、自らの努力と成功を形にしたシンボルなのです。 また、後述しますが、法人名義での購入による節税効果も、経営者にとって大きなメリットとなっています。 多忙な日々の中で、静粛で快適なベントレーの車内は、唯一無二のプライベート空間となり、次のビジネスへの英気を養う場所にもなっています。
2. 医師・弁護士などの専門職
社会的地位が高く、高収入である医師や弁護士、会計士といった専門職の方々もベントレーの主要な顧客層です。 彼らは、その職業柄、高い信頼性と品格を求められます。 ベントレーの持つクラシカルで威厳のある佇まいは、彼らの社会的イメージと見事に合致するのです。 特に、都心で開業しているクリニックの院長や、大手法律事務所のパートナー弁護士などが、コンチネンタルGTやフライングスパーをスマートに乗りこなしている姿をよく見かけます。 彼らは品質に対して非常に厳しい目を持っており、ベントレーの圧倒的なクラフトマンシップと走行性能を高く評価しています。
3. 投資家・資産家
株式投資や不動産投資などで大きな成功を収めた投資家や、代々資産を受け継いできた資産家も、ベントレーを好む傾向にあります。 彼らは、流行り廃りに流されず、永続的な価値を持つ「本物」を求める方が多いのが特徴です。 ベントレーの100年以上にわたる歴史と、その中で培われた揺るぎないブランド価値は、彼らの価値観と共鳴します。 流行のスーパーカーのように派手さを前面に出すのではなく、内に秘めた圧倒的なパワーと品格を重視する。 そんなベントレーの哲学が、彼らの心を掴んで離さないのでしょう。
4. 芸能人・スポーツ選手
華やかな世界で活躍する芸能人やトップアスリートも、ベントレーを愛車に選ぶことで知られています。 彼らにとって車は、自身のステータスや個性を表現するための重要なアイテムです。 テレビや雑誌で活躍する有名タレント、球団を代表するプロ野球選手、世界で戦うサッカー選手などが、その成功の証としてベンテイガやコンチネンタルGTを所有しています。 プライベートな移動空間の快適性は彼らにとっても重要であり、ベントレーの静粛性や乗り心地の良さは、多忙なスケジュールをこなす上での大きな支えとなっています。
5. 不労所得者・若き成功者
近年増えているのが、IT関連ビジネスやインフルエンサーとして若くして成功を収めた方々です。 彼らは旧来の価値観にとらわれず、自分たちが本当に良いと感じるものを選びます。 ベントレーの伝統を重んじつつも、最新のテクノロジーを積極的に取り入れる姿勢が、新しい世代の成功者にも響いているのです。 特に、SUVであるベンテイガは、ラグジュアリーでありながらアクティブなライフスタイルにも対応できるため、彼らから絶大な支持を得ています。
ベントレーオーナーに共通する内面的な特徴
職業は様々ですが、ベントレーオーナーには内面的な共通点も見られます。

引用 : ベントレーHP
- 本物志向で、審美眼に優れている: 彼らは価格の高さだけで物を選びません。その背景にある歴史や哲学、作り手のこだわりといった「物語」を重視します。ベントレーのウッドパネル一枚、レザーシートのステッチ一つに込められた職人の魂を感じ取れる審美眼を持っています。
- 見えない部分へのこだわり: 目に見える豪華さだけでなく、乗り心地や静粛性、エンジンのフィーリングといった、五感で感じる部分を大切にします。ドアを閉めた時の重厚な音や、滑るように加速する感覚にこそ、真の価値を見出すのです。
- 努力を厭わない情熱家: ベントレーを所有できるほどの成功は、決して偶然手に入るものではありません。彼らは自らの目標に向かって、人並み外れた努力と情熱を注いできた経験を持っています。ベントレーは、その長く険しい道のりを乗り越えた者だけが手にできる、栄光のトロフィーのような存在なのかもしれません。
- 単なる移動手段以上の価値を車に求める: 彼らにとって車は、A地点からB地点へ移動するための道具ではありません。自己表現の手段であり、人生を豊かにするパートナーであり、時にはビジネスを成功に導くツールにもなり得ます。
ベントレーの購入に必要とされる年収ゾーン
さて、最も気になるであろう年収についてです。 「ベントレーを買うには、一体いくら必要なのか?」という質問は、私も数え切れないほど受けてきました。 結論から言うと、安定して所有・維持するためには、年収3,000万円が一つの大きな目安となります。
もちろん、これはあくまで目安であり、ライフスタイルや購入方法によって大きく変動します。 新車か中古車か、現金かローンか、といった条件で詳しく見ていきましょう。
購入パターン | 車両価格帯(目安) | 推奨年収(目安) | 備考 |
---|---|---|---|
新車(現金一括) | 2,500万円~ | 5,000万円以上 | 諸費用やオプションを含めると3,000万円を超えることも。購入後も余裕のある資産背景が必要。 |
新車(ローン) | 2,500万円~ | 3,000万円~4,000万円 | 一般的なローンの目安「年収の半分まで」を考慮。ただし、維持費が別途重くのしかかる。 |
認定中古車(現金) | 1,500万円~2,500万円 | 3,000万円以上 | 高年式の認定中古車は価格も高いが安心感がある。維持費を考慮し、余裕を持った資金計画が望ましい。 |
一般中古車(ローン) | 800万円~1,500万円 | 1,500万円~2,000万円 | 車両価格は抑えられるが、故障リスクや高額な修理費が懸念。購入には相当な覚悟と知識が必要。 |
なぜ年収3,000万円が目安なのか?
この金額の根拠は、車両価格だけでなく、その後の高額な維持費にあります。 ベントレーを所有するということは、継続的に大きなコストが発生することを意味します。
- 自動車税: 排気量に応じて年間87,000円~110,000円。
- 任意保険: 等級や条件にもよりますが、車両保険を含めると年間30万円~80万円以上になることも珍しくありません。
- 車検費用: 正規ディーラーでの基本的な点検・整備で30万円~。交換部品があれば50万円~100万円を超えるケースもあります。
- メンテナンス費用: オイル交換だけでも数万円。タイヤは特殊なサイズのため、4本交換で40万円~60万円以上かかることも。
- 燃料費: 燃費はリッターあたり4~7km程度。ハイオクガソリンの価格を考えると、走行距離によっては大きな負担となります。
これらの費用を合算すると、年間維持費は最低でも100万円~200万円以上は見込んでおく必要があります。 年収3,000万円(手取り約2,000万円)の方であれば、年間維持費が収入に占める割合を10%以下に抑えることができ、他の生活レベルを維持しながら、突発的な修理(数十万円~数百万円かかることも)にも対応できる余裕が生まれます。
年収1,000万円台で所有するのは無謀か?
では、年収1,000万円台では絶対に無理なのか?というと、一概にそうとは言えません。 例えば、初期型のコンチネンタルGTであれば、中古車市場で500万円前後から見つけることも可能です。 しかし、これは非常にリスクの高い選択です。 「安く買って、壊れたら直せばいい」という考えは通用しません。 一つの部品が数十万円、センサー系のトラブルでも百万円単位の修理費がかかるのがこの世界です。 「購入はできても、維持ができない」という最悪の事態に陥る可能性が極めて高いと言わざるを得ません。 もしこの年収ゾーンで挑戦するのであれば、独身で、住居費などの固定費が極端に低く、車以外の趣味にお金を使わず、さらに万が一の修理費として常に数百万円の現金を確保しておく、といった相当な覚悟が必要になるでしょう。
法人名義での所有が多い背景
街で見かけるベントレーの多くが法人名義であることには、明確な理由があります。 それは「節税」という経営者ならではの視点です。 高額な車両であっても、事業で使用することが証明できれば、その購入費用を減価償却費として経費計上できます。 特に、中古車の場合は耐用年数が短くなるため、より短期間で大きな金額を経費にすることが可能です(4年落ちの車両であれば、約2年で償却可能)。 会社の利益を圧縮し、法人税の支払いを抑える効果があるため、多くの経営者がこの方法を活用しています。 もちろん、これは適切な会計処理と税務知識に基づいて行われるべきですが、ベントレーオーナーに経営者が多い理由の一つであることは間違いありません。
【車種別】ベントレーを所有する有名人と成功者が選ぶ理由
ベントレーの魅力は、そのステータス性や豪華さだけでなく、モデルごとに異なる個性にもあります。 ここでは、代表的なモデルと、それを愛車として選んだ有名人、そして彼らがなぜそのモデルを選んだのかを、私のジャーナリストとしての視点から分析していきます。

引用 : ベントレーHP
モダンラグジュアリーSUV「ベンテイガ」を所有する有名人
ベンテイガは、ベントレーの伝統的なラグジュアリーと、SUVの実用性・走行性能を融合させた、ブランドの新しい時代を象徴するモデルです。 この革新的なSUVは、新しい層のオーナーを惹きつけています。
- 朝倉未来さん(格闘家・YouTuber): 現代の成功者の象徴ともいえる彼は、「人生初の新車」としてベンテイガを選びました。格闘家としてのアグレッシブなイメージと、経営者としての知的な側面を併せ持つ彼にとって、力強さと洗練さを両立したベンテイガは最適な選択だったのでしょう。
- 市川海老蔵さん(歌舞伎役者): 伝統と革新の世界に生きる彼がベンテイガを選ぶのは、非常に興味深い点です。歌舞伎という伝統文化を背負いながらも、常に新しい挑戦を続ける彼の姿勢が、ベントレーの歴史を受け継ぎつつSUVという新境地を切り開いたベンテイガと重なります。
- 小森純さん(タレント・実業家): 「夢だった」と語るベンテイガを中古で購入したことを公表しています。タレントとして、そして実業家として成功を収めた彼女が、自身の努力の結晶としてこの車を選んだことは、多くの人に夢と希望を与えました。
なぜベンテイガが選ばれるのか?
ベンテイガの最大の魅力は、その多様性にあります。 都心のホテルに乗り付けても様になるエレガンス、高速道路を矢のように突き進む圧倒的なパフォーマンス、そして時には悪路さえもこなす走破性。 これ一台で、ビジネスシーンから家族とのレジャーまで、あらゆる場面を最高水準でこなすことができます。 ライフスタイルが多様化する現代の成功者にとって、このオールマイティな性能が強く響くのです。
究極のグランドツアラー「コンチネンタルGT」を所有する有名人
コンチネンタルGTは、「究極のグランドツアラー」として、ベントレーのスポーティーな側面を最も色濃く反映したモデルです。 自らハンドルを握り、長距離を快適かつ速く移動することに喜びを見出す人々に愛されています。
- 加藤あいさん(女優): ファッション誌の企画で、コンチネンタルGTとの美しいツーショットを披露しました。彼女の持つ知的で洗練されたイメージと、コンチネンタルGTの流麗なフォルムは完璧にマッチしています。エレガントでありながら、どこかミステリアスな雰囲気が、この車の魅力を一層引き立てます。
- 河村隆一さん(ミュージシャン): 車好きとして知られる彼は、過去に様々なベントレーを所有してきたと言われています。彼の生み出すドラマティックで美しい音楽の世界観は、コンチネンタルGTが持つ非日常的なドライビング体験と通じるものがあるのかもしれません。
- デビッド・ベッカムさん(元サッカー選手): 世界的なスターである彼も、コンチネンタルGTを愛車にしていたことで有名です。彼のファッションセンスとライフスタイルは常に注目の的ですが、その彼の隣にコンチネンタルGTがあることで、車は単なる乗り物を超え、ライフスタイルを彩る重要な要素であることがわかります。
なぜコンチネンタルGTが選ばれるのか?
コンチネンタルGTを選ぶ人々は、運転そのものを楽しみたいという強い欲求を持っています。 彼らは後部座席で寛ぐことよりも、自らステアリングを握り、W12エンジン(またはV8エンジン)の咆哮と、意のままに車を操る喜びに価値を見出します。 その流麗なクーペスタイルは、見る者を魅了し、所有する喜びを最大限に満たしてくれる、まさに「走る芸術品」なのです。 私も所有するコンチネンタルGTで早朝の箱根ターンパイクを駆け抜けることがありますが、あの圧倒的なパワーと安定感が両立した感覚は、他のどの車でも味わうことのできない、至福の時間です。
威厳と快適性のセダン「フライングスパー」を所有する有名人
フライングスパーは、コンチネンタルGTの卓越した走行性能と、リムジンのような後席の快適性を両立させた4ドアセダンです。 オーナードライバーとしても、ショーファードリブン(運転手付き)としても、最高レベルの満足感を提供します。
- 田村正和さん(俳優・故人): 生前、彼の愛車としてベントレーが挙げられていました。彼の持つダンディで気品あふれる雰囲気は、フライングスパーの持つ威厳とエレガンスに見事に調和します。彼が後席から降り立つ姿は、多くの人が思い描くベントレーのイメージそのものだったのではないでしょうか。
- 北島三郎さん(歌手): 日本歌謡界の重鎮である彼も、ベントレーオーナーとして知られています。長年にわたりトップに君臨し続ける彼の存在感は、ベントレーの持つ揺るぎないブランドイメージと重なります。
なぜフライングスパーが選ばれるのか?
フライングスパーは、究極の二面性が魅力です。 ある日は自分でハンドルを握り、グランドツアラーとしてスポーティーな走りを満喫する。 またある日は後部座席に身を委ね、移動中の時間を最高に贅沢なプライベートタイムとして活用する。 このように、TPOに合わせて車の役割を使い分けたいと考える、非常に賢明で合理的な成功者に選ばれる傾向があります。 特に、ビジネスでの送迎と、休日の家族でのドライブを一台でこなしたい経営者などから高い支持を得ています。
時代と共に変化するオーナー像:ショーファーからオーナードリブンへ
かつてベントレー、特にミュルザンヌのような大型セダンは、「ショーファードリブンカー(運転手付きの車)」のイメージが強くありました。 後部座席に座るVIPのための車であり、オーナーが自らハンドルを握ることは稀でした。

引用 : ベントレーHP
しかし、2003年に登場したコンチネンタルGTがそのイメージを劇的に変えました。 スポーティーで美しいクーペスタイルのコンチネンタルGTは、オーナー自らが運転する「オーナードリブンカー」としてのベントレーの魅力を世界に知らしめたのです。 この成功を受け、SUVのベンテイガ、セダンのフライングスパーも、運転する楽しさを強く意識したモデルとして開発されています。
現代のベントレーオーナーは、もはや後部座席に座っているだけではありません。 彼らは自らステアリングを握り、ベントレーの圧倒的なパフォーマンスを積極的に楽しむ、アクティブな人々へと変化しているのです。 この変化こそが、ベントレーが単なる古い高級車ブランドではなく、今もなお多くの成功者を魅了し続ける理由なのです。
まとめ
今回は、「ベントレーはどんな人が乗っているのか?」というテーマについて、私の知見と経験を基に深く掘り下げてきました。
改めてポイントを整理しましょう。
- オーナーの職業: 会社経営者、医師、投資家、芸能人など、各界で大きな成功を収めた人々が中心。
- 内面的な特徴: 本物志向で審美眼に優れ、見えない部分へのこだわりを持つ情熱家。
- 必要な年収: 維持費を考慮すると、年収3,000万円が一つの目安。ただし、購入方法やライフスタイルによって変動。
- 現代のオーナー像: かつてのショーファー(運転手付き)のイメージから、自ら運転を楽しむオーナードライバーへと大きく変化。
ベントレーは、単に高価なだけの車ではありません。 それは、100年以上の歴史の中で培われたクラフトマンシップの結晶であり、所有者の成功と努力、そして美学を映し出す鏡のような存在です。
この記事を読んで、ベントレーに対するイメージがより具体的で、リアルなものに変わったのではないでしょうか。 それはもはや、雲の上の存在ではなく、明確な目標と努力によって、いつかは手が届くかもしれない「夢」として、あなたの心に刻まれたかもしれません。
私自身、ステアリングを握るたびに、この車が与えてくれる高揚感と安心感、そして自らの人生を肯定してくれるような感覚を覚えます。 ベントレーとは、そういう特別な力を持った車なのです。 もしあなたがいつかベントレーのオーナーになる日を夢見るなら、その夢はきっと、あなたの人生をより豊かに、そして力強く前進させる原動力となるでしょう。