モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、新しいミニバンの購入を検討されていて、国産の雄「トヨタ アルファード」と、メルセデス・ベンツの「Vクラス」を比較し、その立ち位置や評価について気になっていることでしょう。

引用 : メルセデス HP (https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/models/van/v-class/overview.html)
私も実際に両方の車種を長期間所有し、様々なシーンで使い倒してきましたので、その気になる気持ちは痛いほどよくわかります。「ベンツなのに意外と高くない?」「見た目が商用車みたい…」「お金持ちは見栄で乗らないクルマなの?」といった疑問は、Vクラスを検討する上で誰もが通る道です。
ご安心ください。この記事を読み終える頃には、Vクラスというクルマの本質が理解でき、巷の評価に惑わされることなく、ご自身の価値観に本当に合うミニバンはどちらなのか、明確な答えが出ているはずです。
記事のポイント
- Vクラスが一部の富裕層に敬遠される本当の理由
- 商用車と揶揄される外観デザインがもたらす功罪
- 国産高級ミニバンとの間にある決定的な価値観の違い
- Vクラスを積極的に選ぶ人たちの賢いクルマ選び哲学

新しい車に乗り換える際、今乗っている愛車をどれだけ高く売却できるかは、次の車の選択肢にも大きく影響します。
私自身、一括見積もりサイトを活用したことで、ホンダヴェゼルからレクサスRXに乗り換えることができました。
ベンツ Vクラスの人気がないと言われる理由の徹底解説
Vクラスがミニバン市場の絶対王者アルファードと比較された際に、「人気がない」と評されることがあります。しかし、それは単純な人気不人気という言葉では片付けられない、明確な理由に基づいています。ここでは、多くの人が疑問に思うであろうポイントを、ジャーナリスト兼オーナーの視点から一つひとつ、深く掘り下げていきましょう。

引用 : メルセデス HP (https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/models/van/v-class/overview.html)
見た目が商用車? デザインのルーツと評価
Vクラスのデザインについて「商用車っぽい」という意見があるのは事実です。これは決して的外れな指摘ではありません。Vクラスのルーツを辿ると、欧州で広く使われている商用バン「Vito(ヴィトー)」に行き着きます。つまり、Vクラスは乗用車としてゼロから設計されたのではなく、人を快適に、そして安全に運ぶという目的のために、非常に優れた商用車のプラットフォームをベースに開発されているのです。
質実剛健なデザインがもたらすメリット
この「商用車ベース」という事実は、一見ネガティブに聞こえるかもしれません。しかし、クルマの本質を考えると、計り知れないメリットをもたらします。
- 圧倒的な空間効率: 商用車は荷物を効率よく積むために、ボディ形状を限りなく「箱」に近づける必要があります。この四角いボディのおかげで、Vクラスは同クラスのミニバンと比較しても、室内のヘッドクリアランスや隅々の空間に無駄がありません。特に3列目に大人が座った際の快適性は、流麗なデザインのためにルーフ後端が絞られているミニバンとは一線を画します。
- 堅牢なボディ構造: 多くの人や重い荷物を載せて長距離を走り続けることを想定しているため、ボディの作りは非常に堅牢です。この剛性の高さが、後述する高速走行時の圧倒的な安定感や、万が一の際の乗員保護性能に直結しています。
もちろん、アルファードのような威圧感のあるフロントグリルや、煌びやかなメッキパーツは控えめです。しかし、そのシンプルで実用性に徹したデザインは、長く付き合っても飽きがこない、本質的な魅力を秘めていると言えるでしょう。
AMGラインで印象は一変する
「それでも、もう少し華やかさが欲しい」と感じる方もいるでしょう。その場合は、「AMGライン」という選択肢が用意されています。AMGデザインのフロントバンパーやアルミホイールが装着されることで、Vクラスの印象は劇的にスポーティーかつスタイリッシュに変わります。ノーマルモデルの質実剛健さとはまた違った、精悍な魅力を手に入れることができるのです。私の所有するVクラスもAMGラインですが、街中で「これは何のクルマですか?」と尋ねられることも少なくありません。
ベンツなのに安い?絶妙な価格設定の謎
「Vクラスはベンツなのに、SクラスやGクラスほど高くない」というのも、よく聞かれる声です。この価格設定こそ、メルセデス・ベンツの巧みな戦略を物語っています。
車種 | 新車価格帯(目安) |
---|---|
メルセデス・ベンツ Vクラス | 約950万円~1,300万円 |
トヨタ アルファード/ヴェルファイア | 約540万円~890万円 |
メルセデス・ベンツ Sクラス | 約1,600万円~ |
メルセデス・ベンツ Gクラス | 約1,800万円~ |
※2025年時点の一般的な価格帯です。
表を見ると、確かにSクラスなどと比較すれば価格は抑えられていますが、アルファードの最上級グレードと比べると、むしろVクラスの方が高価であることがわかります。
この価格設定の意味するところは、Vクラスが「ステータスの象徴」として存在するのではなく、あくまで「実用性を追求したメルセデスのミニバン」という立ち位置にあるということです。メルセデスは、Vクラスを購入する層が、見栄やブランドの威光ではなく、走行性能、安全性、そして広大なユーティリティといった「実利」を求めていることを理解しているのです。無駄な装飾を排し、走りの本質に関わる部分にコストをかける。これこそが、Vクラスの絶妙な価格設定の答えと言えるでしょう。
内装が質素? アルファードの豪華絢爛さとの比較
内装に関しても、Vクラスとアルファードでは思想が全く異なります。アルファードの内装を「豪華絢爛なおもてなしの空間」と表現するなら、Vクラスの内装は「機能美を追求した上質な移動空間」と表現するのが最も的確でしょう。
思想の違いが内装に表れる
アルファードの2列目シートに座れば、まるで旅客機のビジネスクラスのような手厚いもてなしに感動するはずです。大型のオットマン、読書灯、格納式テーブル、そして随所に使われた木目調パネルや間接照明。これは「同乗者をもてなす」という思想が徹底されている証拠です。
一方、Vクラスのシートは、一見するとシンプルです。しかし、長時間座ってみるとその真価がわかります。硬めのクッションは身体をしっかりと支え、長距離を移動しても全く疲れません。これは「人間工学に基づき、安全で快適な移動を実現する」というメルセデスの思想の表れです。インパネ周りも同様で、華美な装飾はありませんが、スイッチ類の配置は直感的で操作しやすく、質感の高い素材が的確に使われています。触れてみれば、その作りの良さ、堅牢さがすぐに理解できるはずです。
これは優劣の問題ではなく、クルマ作りの哲学の違いなのです。
ブランドイメージのギャップ|「ベンツ」に何を求めるか
多くの人々が「スリーポインテッドスター」のエンブレムに期待するのは、圧倒的な高級感や、周囲を圧倒するようなステータス性かもしれません。しかし、Vクラスが提供する価値は、そうしたイメージとは少し異なります。
Vクラスは、メルセデス・ベンツが100年以上にわたって培ってきた「安全」と「走行性能」という哲学を、ミニバンという形で具現化したモデルです。つまり、Vクラスのオーナーが得られる最大の価値は、「メルセデス基準の安全性と走行性能で、大切な家族や仲間と快適に移動できる」という安心感と信頼感にあります。
この、世間一般の「ベンツ」に対するイメージと、Vクラスが提供する本質的な価値との間に存在するギャップが、「Vクラスはベンツらしくない」「人気がない」という評価を生む一因となっているのです。
燃費は期待できる? クリーンディーゼルの実力
Vクラスの現行モデル(W447)は、「V220d」という2.0リッターのクリーンディーゼルターボエンジンを搭載しています。このディーゼルエンジンこそ、Vクラスの大きな魅力の一つです。
項目 | V220d (ディーゼル) | アルファード (ハイブリッド) |
---|---|---|
燃費 (WLTCモード) | 約13.0 km/L | 約16.5 km/L |
**燃料 | 軽油 | レギュラーガソリン |
1Lあたりの燃料価格(目安) | 150円 | 170円 |
100km走行時の燃料代 | 約1,154円 | 約1,030円 |
カタログ燃費ではハイブリッドのアルファードに軍配が上がります。しかし、Vクラスの真価は高速道路での巡航時に発揮されます。ディーゼルエンジンは低回転から力強いトルクを発生させるため、高速巡航時のエンジン回転数を低く抑えることができます。私の経験では、高速道路を淡々と走れば15km/Lを超えることも珍しくありません。
さらに、燃料が比較的安価な軽油である点も経済的なメリットです。特に長距離移動が多いファミリーにとっては、このディーゼルエンジンは非常に頼もしいパートナーとなるでしょう。
維持費はやっぱり高い? 輸入車ならではの注意点
輸入車である以上、維持費が国産車と同等とはいかないのが現実です。特に以下の点は念頭に置く必要があります。
- 正規ディーラーでの車検・点検費用: 国産車に比べると高額になる傾向があります。ただし、メルセデスケアなどの保証プログラムが充実しているため、新車購入後の数年間は大きな出費を抑えられます。
- 故障時の部品代と工賃: 部品によっては本国からの取り寄せとなり、時間と費用がかかる場合があります。
- AdBlue®(アドブルー)の補充: クリーンディーゼル車特有のメンテナンスで、尿素水を定期的に補充する必要があります。
しかし、「輸入車はすぐに壊れる」というのは一昔前の話です。現代のメルセデス・ベンツは非常に高い品質を誇っており、日常的なメンテナンスを怠らなければ、大きなトラブルに見舞われることは稀です。また、信頼できる専門工場を見つけておけば、ディーラーよりもリーズナブルにメンテナンスを行うことも可能です。
リセールバリューは期待薄? 中古車市場での立ち位置
リセールバリュー(再販価値)に関しては、正直に言ってアルファードに敵うミニバンは存在しないでしょう。アルファードの異常とも言えるリセールバリューは、国内での絶大な人気と、海外への輸出需要に支えられています。
Vクラスのリセールは、アルファードほど高くはありません。これは、輸入車全般に言える傾向であり、Vクラスに限った話ではありません。しかし、これは見方を変えればメリットにもなります。つまり、中古車市場においては、新車価格からの値下がり率が大きいため、質の良いVクラスを比較的手頃な価格で手に入れることができるのです。
Vクラスは、頻繁に乗り換えるのではなく、一台のクルマと長くじっくり付き合いたい、という価値観を持つ方にこそ相応しい選択と言えるかもしれません。
それでもベンツ Vクラスが選ばれる理由|購入者層と真の魅力
ここまでVクラスが「人気がない」と言われる理由を解説してきましたが、それはあくまで一面的な見方に過ぎません。Vクラスは、特定の価値観を持つ人々から絶大な支持を得ているクルマです。では、一体どのような人々が、なぜVクラスを選ぶのでしょうか。その本質的な魅力に迫ります。

引用 : メルセデス HP (https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/models/van/v-class/overview.html)
Vクラスを買うのはどんな人? オーナー像をプロファイリング
「Vクラスは平均収入のファミリーが買うクルマ?」という見方もあるようですが、私の知る限り、オーナー層は非常に多様です。
- 本質を求める富裕層: 派手さや見栄を嫌い、クルマの本質的な性能や安全性を重視する経営者、医師、弁護士など。彼らにとって、Vクラスは家族を守るための「最良の道具」であり、ステータスシンボルではありません。
- 多趣味なアクティブファミリー: アウトドアスポーツ(キャンプ、サーフィン、スキーなど)を本格的に楽しむファミリー。シートアレンジの自由度と広大な積載性、そして悪路や雪道でも安心して走れる走行性能が評価されています。
- 法人・ハイヤー需要: 企業の役員送迎や、空港へのVIP送迎など。後席の広さと快適性はもちろん、メルセデス・ベンツというブランドが持つ「信頼性」と「安全性」がビジネスシーンで求められるためです。
- クリエイティブ系の職業: カメラマンやスタイリストなど、多くの機材を積んで移動する人々。商用車ベースならではの積載能力と、長距離移動でも疲れない快適性が重宝されています。
このように、Vクラスのオーナーは、世間的な評価やリセールバリューといった外的要因よりも、自身のライフスタイルや価値観に合うかどうかという「内的要因」を重視してクルマを選んでいる人々だと言えます。
見栄っぱりは選ばない? 本質を求めるユーザー層

引用 : メルセデス HP (https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/models/van/v-class/overview.html)
まさにその通りです。もし「ベンツに乗っている」ことを見せびらかしたいのであれば、同じ価格帯で中古のSクラスや、より派手なSUVを選ぶでしょう。あえてVクラスを選ぶ人々は、スリーポインテッドスターのエンブレムに「見栄」ではなく「実」を求めています。
彼らは、メルセデスが長年かけて築き上げてきた安全技術や、アウトバーンで鍛えられた走行性能にこそ価値を見出しているのです。「このクルマなら、どんな天候でも、どんなに長距離でも、安心して家族を乗せて走れる」という絶対的な信頼感。これこそが、Vクラスオーナーが最も満足している点であり、「わかる人にはわかる」という深い所有満足感の源泉なのです。
走行性能は別格|高速道路の安定性はピカイチ
これこそ、私がVクラスを所有し続ける最大の理由です。Vクラスの走行性能、特に高速道路での安定性は、他のミニバンとは全く次元が異なります。
FR(後輪駆動)レイアウトの恩恵
多くの国産ミニバンがFF(前輪駆動)を採用しているのに対し、VクラスはFR(後輪駆動)を基本としています(4WDモデルもあり)。FRは、操舵(ハンドル操作)を前輪が、駆動(クルマを前に進める力)を後輪が分担するため、非常に素直で自然なハンドリングを実現します。これにより、車体の大きなミニバンとは思えないほど、ドライバーの意のままに操ることができます。
アウトバーン育ちの足回りとボディ剛性
そして特筆すべきは、その圧倒的な直進安定性です。速度無制限区間のあるアウトバーンで鍛えられた足回りと、前述した堅牢なボディ構造のおかげで、日本の高速道路の制限速度域では、まるで路面に張り付いているかのように安定して走ります。横風に煽られることも少なく、長距離を移動した際のドライバーの疲労度は、アルファードなどの国産ミニバンとは比べ物になりません。家族を乗せて片道数百キロの旅行に出かけるようなシーンで、その真価は最大限に発揮されます。
安全思想が違う|乗員全てを守るための設計
メルセデス・ベンツは「セーフティ・ファースト」という哲学を掲げています。これは、単に最新の運転支援システムを搭載している、というだけではありません。
- アクティブセーフティ(予防安全): 衝突被害軽減ブレーキや車線維持アシストなど、事故を未然に防ぐための先進技術。
- パッシブセーフティ(衝突安全): 事故が避けられない場合に、乗員へのダメージを最小限に抑えるための堅牢なボディ構造や、多数のエアバッグ。
これらの技術が、Vクラスには惜しみなく投入されています。特に、目に見えないボディ骨格の設計思想は、長年にわたる衝突実験のデータに裏打ちされたものであり、一朝一夕で真似できるものではありません。「家族の命を預ける最後の砦」として、これほど信頼できるミニバンは他にないと私は断言します。
圧倒的な室内空間と多彩なシートアレンジ
Vクラスの室内は、まさに広大なリビングスペースです。特にシートアレンジの自由度は、他のミニバンの追随を許しません。
- 2列目シートの対座: 2列目シートを後ろ向きに設置すれば、3列目シートと向かい合わせの対面レイアウトが可能です。移動中に家族でテーブルを囲む、といった使い方ができます。
- シートの取り外し: 各シートは(非常に重いですが)取り外すことが可能です。全てのリアシートを取り外せば、広大なフルフラット空間が出現し、自転車やサーフボードといった長尺物も余裕で積載できます。車中泊のベースとしても最適です。
アルファードの豪華なエグゼクティブラウンジシートも魅力的ですが、Vクラスは乗員の快適性とユーティリティを高い次元で両立させているのです。
Vクラスとアルファード/ヴェルファイア徹底比較|あなたに合うのはどっち?
ここまで解説してきた内容を基に、両者を比較し、それぞれどのような方におすすめできるかをまとめます。
項目 | メルセデス・ベンツ Vクラス | トヨタ アルファード/ヴェルファイア |
---|---|---|
コンセプト | ドライバーズミニバン / 実用性と安全性の追求 | ショーファーミニバン / おもてなしと豪華さの追求 |
走行性能 | ◎(高速安定性、ハンドリングに優れる) | 〇(乗り心地は良いが、操縦安定性は一歩譲る) |
乗り心地 | 〇(硬めでしっかり。長距離で疲れにくい) | ◎(ソフトで快適。後席の評価が高い) |
内装の質感 | 〇(機能美と上質さ。華やかさはない) | ◎(豪華絢爛。メッキや木目調パネルを多用) |
シートアレンジ | ◎(対座、取り外し可能で自由度が高い) | 〇(エグゼクティブラウンジシートが魅力) |
安全性 | ◎(世界最高水準の安全思想) | ◎(国産車トップクラスの性能) |
リセールバリュー | △(輸入車の標準レベル) | ◎(非常に高い) |
ステータス性 | 〇(本質を知る人からの評価) | ◎(わかりやすい高級感と威厳) |
Vクラスがおすすめな人
- クルマの運転が好きで、ミニバンでも走りを楽しみたい方
- 長距離・高速道路での移動が多い方
- 華美な装飾よりも、質実剛健な作りや本質的な性能を重視する方
- アウトドアなど、趣味の道具としてクルマをアクティブに使いたい方
- 他の人とは違う、個性的なミニバンに乗りたい方
アルファードがおすすめな人
- 後席に乗る家族やゲストに最高のおもてなしをしたい方
- クルマにわかりやすい豪華さやステータス性を求める方
- 数年後の乗り換えを前提とし、リセールバリューを重視する方
- 運転は安楽で快適なのが一番だと考える方
- 全国どこでも安心してメンテナンスを受けられるサポート体制を求める方
私がVクラスを所有して感じたこと|ジャーナリストの本音レビュー
最後に、私がオーナーとして日々感じていることをお伝えします。正直に言って、Vクラスにも不満点はあります。2列目以降の窓が一部しか開かない(または全く開かない)ことや、シートアレンジ時のシートの重さは、国産ミニバンのきめ細やかな配慮に慣れていると、最初は戸惑うかもしれません。
しかし、そうした小さな不満を補って余りあるほどの大きな魅力が、このクルマにはあります。それは、高速道路をクルージングしている時の、圧倒的な安心感と気持ちよさです。2トンを超える重いボディが、力強いディーゼルエンジンによって矢のように突き進んでいく感覚は、他では味わえません。このクルマがあれば、どこまででも走っていける。そう思わせてくれる懐の深さがあります。
「人気がない」のではなく、「その良さがまだ広く知られていない」だけ。私はVクラスをそう評価しています。
まとめ
ベンツ Vクラスは、「人気がない」あるいは「お金持ちから敬遠される」といった単純な言葉で評価できるクルマではありません。それは、多くの人がミニバンに求める価値(わかりやすい豪華さ、高いリセールバリュー)とは少し違う場所に、その存在価値を置いているからです。
Vクラスが提供するのは、メルセデス・ベンツというブランドが100年以上にわたり追求し続けてきた、**「安全に、快適に、そして心地よく移動するための最高の道具」**としての価値です。
見た目の派手さや内装の豪華さだけでクルマを判断せず、その背景にある哲学や、実際に運転した時のフィーリングを大切にしたいと考える方にとって、Vクラスはアルファード以上に満足度の高い、唯一無二のパートナーとなる可能性を秘めています。
もしあなたが今、両車で迷っているのなら、ぜひ一度、高速道路でVクラスを試乗してみてください。きっと、これまで抱いていたイメージが覆され、その本質的な魅力の虜になるはずです。