モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、2025年9月に改良が発表された新型ノア・ヴォクシーの購入を検討中で、特にリセールバリューを最大化するオプション選びに頭を悩ませているのではないでしょうか。 私も実際にこのモデルを所有し、今回の改良内容を詳細に分析しましたので、その気になる気持ちはよくわかります。

引用 : TOYOTA HP (https://global.toyota/jp/album/images/36614622/)
この記事を読み終える頃には、新型ノア・ヴォクシーで後悔しないための、リセールを意識した最適なオプション構成についての疑問が解決しているはずです。
記事のポイント
- リセール価値を最大化する必須オプションの徹底解説
- 2025年9月一部改良モデルの全ての変更点
- リセールで損をしないための最適なグレード選び
- 最新納期と賢い購入戦略

新しい車に乗り換える際、今乗っている愛車をどれだけ高く売却できるかは、次の車の選択肢にも大きく影響します。
私自身、一括見積もりサイトを活用したことで、ホンダヴェゼルからレクサスRXに乗り換えることができました。
新型ノア・ヴォクシー 25年改良のリセールを最大化するオプション戦略
さて、多くの方が最も気にされているであろう「リセールバリュー」について、早速核心からお話ししていきましょう。 今回の2025年9月の一部改良は、装備の充実化というポジティブな側面がある一方で、車両価格全体が上昇しており、リセール市場にも変化が訪れることは避けられません。 賢くオプションを選び、数年後の売却時に「この選択をしておいて本当に良かった」と思えるような、戦略的な一台を一緒に作り上げていきましょう。

引用 : TOYOTA HP (https://global.toyota/jp/album/images/36614622/)
結論:リセールバリューは低下傾向に
まず大前提としてご理解いただきたいのは、今回の改良によって、ノア・ヴォクシーのリセールバリューは全体的に「低下傾向」に進む可能性が高いという点です。 発売から約3年が経過し、市場に出回る台数も増えてきました。 加えて、今回の改良による価格上昇分が、そのまま数年後の査定額に上乗せされるわけではありません。
つまり、購入時の負担は増えるものの、売却時の価格は従来モデルと大きく変わらない、あるいは若干下がるという状況が予測されます。 だからこそ、無駄な投資を避け、価値が残りやすいオプションを厳選することが、これまで以上に重要になるのです。
それでも価値が残りやすい必須オプションTOP5
リセールバリューが低下傾向にある中でも、装着していることで確実にプラス査定に繋がる、いわば「鉄板」とも言えるオプションが存在します。 ここでは、私が様々な中古車市場の動向を分析し、所有者としての実感も踏まえて選んだTOP5をご紹介します。
1. 快適利便パッケージ(High)
これはもう議論の余地なく、必須中の必須オプションと言えるでしょう。 特に「ハンズフリーデュアルパワースライドドア」は、ファミリー層がメインターゲットであるこの車種において、査定士が真っ先にチェックするポイントです。 子供を抱いていたり、両手が荷物で塞がっていたりする場面を想像すれば、その利便性は明らかです。 この機能がないだけで、査定額が大きく下がる可能性があるため、必ず装着してください。 他にもナノイーXやステアリングヒーターなど、快適性を高める装備がセットになっており、約15万円という価格以上の価値が売却時に返ってくると考えて間違いありません。
2. トヨタ チームメイト(アドバンスト パーク)
ミニバンの運転で最も気を使うのが「駐車」です。 このオプションには、スイッチ一つで駐車操作を支援してくれる「アドバンスト パーク」機能に加えて、「パノラミックビューモニター」が含まれています。 特に重要なのが後者で、車を上から見下ろしたような映像で周囲の状況を確認できるため、駐車時の安心感が格段に向上します。
この機能の有無は、運転に不慣れな方や、奥様が運転する機会が多いファミリーにとって非常に大きな判断材料となります。 また、このオプションを装着することで、助手席側のドアミラー下部にある補助ミラー(通称:耳たぶミラー)が不要になり、エクステリアがスッキリする点も、見た目を重視するユーザーからの評価が高いポイントです。 約12万円の投資価値は十分にあると言えます。
3. プロジェクター式LEDヘッドランプ+LEDデイライトパッケージ
車の「顔」の印象を決定づけるヘッドランプは、リセールバリューに直結する重要な要素です。 このオプションを装着すると、眉毛のように光るLEDクリアランスランプ(デイライト機能付)が備わり、一目で上級グレードであることがわかります。 標準のヘッドランプと比較すると、その差は歴然です。
中古車市場では、この「見た目の良さ」が次の買い手を惹きつける強力な武器になります。 さらに、先行車や対向車を検知して自動でハイビームの照射範囲を調整する「アダプティブハイビームシステム」も含まれており、夜間走行の安全性と快適性が向上する点も魅力です。 新車らしさ、先進性をアピールするためにも、必ず選択すべきオプションです。
4. 寒冷地仕様
「自分の住んでいる地域は雪が降らないから不要」と考えるのは早計です。 このオプションの真価は、特にハイブリッド車において発揮されます。 寒冷地仕様を選択すると、補機バッテリーの容量が標準の51Ahから60Ahへとアップグレードされます。 ハイブリッド車は、何かとバッテリー上がりのリスクがつきまといますが、この容量アップは日々の安心感に大きく貢献します。 中古車として購入するユーザーもその点を理解しており、寒冷地仕様であることはプラス査定の対象となります。 わずか数万円の投資で、将来の安心とリセールアップの両方を手に入れられる、非常にコストパフォーマンスの高いオプションです。
5. プラチナホワイトパールマイカ / グリッターブラックガラスフレーク
ボディカラーはリセールバリューを左右する最大の要因の一つです。 ノア・ヴォクシーにおいて、最も高値で取引されるのは、いつの時代も「白」と「黒」です。 今回の改良で、従来のホワイトパールクリスタルシャインから、40系アルファード・ヴェルファイアと同じ「プラチナホワイトパールマイカ」に変更されました。
より白さが際立ち、高級感が増したこの新色は、間違いなく人気カラーとなるでしょう。 ヴォクシーであれば、煌びやかな「グリッターブラックガラスフレーク」も定番の人気を誇ります。 有料色ではありますが、この33,000円の投資は、数年後の査定額で十分に回収できると考えてください。 奇抜な色は避け、この2色のどちらかを選んでおくのが最も賢明な選択です。
リセールへの影響が限定的なオプション
次に、装着していてもプラス査定に繋がりにくい、つまり「自己満足」の領域に近いオプションについて解説します。 これらの装備は、ご自身のカーライフに必要不可欠だと感じる場合にのみ選択することをお勧めします。
トヨタセーフティセンス(最新版)
標準装備のトヨタセーフティセンスでも、自動ブレーキなどの基本的な安全機能は備わっています。 オプションで追加する最新版は、ドライバーの異常を検知して作動する機能や、高速道路での高度な運転支援などが含まれますが、これらの機能は主に高速道路を頻繁に利用するユーザー向けのものです。 中古車市場において、この最新版の有無が査定額に大きく影響することは稀です。 ご自身の運転スタイルと照らし合わせ、冷静に必要性を判断しましょう。
デジタルインナーミラー
後席に常に人を乗せたり、後席モニターを装着したりする場合には、後方視界が遮られないため非常に便利な装備です。 しかし、普段は一人で運転することが多い方や、通常のミラーで不便を感じない方にとっては、必須の装備とは言えません。 査定時にも、あれば多少のプラスにはなりますが、オプション価格ほどの評価は期待できないのが実情です。
スペアタイヤ
現代の日本では、JAFなどのロードサービスが非常に充実しており、パンク時に自分でタイヤを交換する機会はほとんどありません。 荷室のスペースが犠牲になる点や、重量が増加する点を考慮すると、多くのユーザーにとっては不要な装備と言えるでしょう。 ただし、海外への輸出を考慮すると、インフラが整備されていない地域ではスペアタイヤの需要が高いため、プラスに働く可能性があります。 国内での売却を前提とするならば、優先順位は低いでしょう。
逆効果?リセールを意識するなら不要なオプション
中には、装着することで納期が遅れたり、査定時に全く評価されなかったりするオプションも存在します。 リセールを最優先に考えるのであれば、以下のオプションは避けるのが賢明です。
CD・DVDデッキ
今回の改良で最も驚いた点の一つが、10.5インチのディスプレイオーディオが標準装備(SZグレード)になったにも関わらず、CD・DVDデッキは別売りのオプション(約4万円)になったことです。 今やFire TV Stickなどを接続すれば、車内で様々な映像コンテンツを楽しめる時代です。 あえて物理的なディスクプレイヤーを追加する必要性は低く、査定時にも評価されることはまずありません。 さらに、このオプションを選択すると納期が遅延する原因にもなりかねないため、避けるべきオプションの筆頭です。
デジタルキー
スマートフォンが車の鍵になるという先進的な機能ですが、現状では認証に時間がかかったり、ログイン作業が必要だったりと、まだまだ発展途上の技術と言わざるを得ません。 実際に使ってみると、従来のスマートキーをポケットに入れておく方が遥かに快適でスムーズです。 物珍しさはありますが、リセールには全く影響しません。
ITSコネクト
救急車の接近を知らせてくれたり、信号情報を取得したりする機能ですが、現状ではインフラの整備が追いついておらず、その恩恵を受けられる場面は非常に限定的です。 「おせっかいな装備」と感じるユーザーも少なくなく、査定額への貢献度はゼロに近いでしょう。
【重要】リセール最強の組み合わせは「SZの素の状態」という事実
ここまで様々なオプションを解説してきましたが、ここで一つの重要な事実をお伝えします。 純粋に「リセール率(購入価格に対する売却価格の割合)」だけを追求するのであれば、最も効率が良いのは「最上級グレードSZを、オプションをほとんど付けない、いわゆる“素の状態”で購入する」ことです。
なぜなら、オプションに支払った金額が、売却時に全額返ってくることは絶対にないからです。 オプション価格の半分程度が評価されれば良い方で、多くはそれ以下です。 しかし、それではせっかくの新車購入の楽しみが半減してしまいますし、何より日々のカーライフが不便なものになってしまいます。
ですから、先ほどご紹介した「必須オプションTOP5」を中心に、ご自身の満足度とリセールのバランスが取れる最適な落とし所を見つけることが、最も現実的で後悔のない選択と言えるでしょう。
ボディカラーとリセールの関係性
前述の通り、ボディカラーはリセールを大きく左右します。 以下に、今回の改良で設定されているカラーと、一般的なリセール評価をまとめました。
カラー系統 | 具体的なカラー名 | リセール評価 |
---|---|---|
白系 | プラチナホワイトパールマイカ | ◎ (最強) |
黒系 | アティチュードブラックマイカ、グリッターブラックガラスフレーク | ◎ (最強) |
シルバー系 | メタルストリームメタリック | ◯ (安定) |
その他 | (廃止されたカラー) | △ (需要が低い) |
基本的には「白」「黒」を選んでおけば間違いありません。 シルバー系は、汚れが目立ちにくく手入れが楽なため、一定の需要があり安定しています。 今回の改良で赤やブロンズといった個性的なカラーが廃止されたのは、中古車市場での不人気が背景にあると考えられます。
内装色とリセールへの影響は?
ノアで選択可能だった内装色「フロマージュ」や「ダークブラウン」が廃止され、ブラックに統一されるという情報があります。 これは、標準的なブラック内装が最も幅広い層に受け入れられ、リセールでも有利に働くためです。 奇抜な内装色は好みが分かれるため、中古車市場では敬遠される傾向にあります。 ブラック内装であれば、リセール面でマイナスになることはありませんので、安心してください。
オプション価格は回収できないのが大前提
繰り返しになりますが、高額なオプションを付ければ付けるほど、売却時の「損失額」は大きくなる傾向にあります。 オプションはあくまで「自分が快適に乗るための投資」と割り切り、リセールへの過度な期待は禁物です。 その上で、どうせなら価値が残りやすいものを選んでおこう、というスタンスで臨むのが精神的にも良いでしょう。
新型ノア・ヴォクシー 2025年9月一部改良の変更点を徹底解説
リセールの話が長くなりましたが、ここで今回の「一部改良」で具体的に何が変わったのかを整理しておきましょう。 当初は大規模な「マイナーチェンジ」という噂も飛び交いましたが、蓋を開けてみれば、内外装のデザイン変更はなく、装備の充実と価格・ラインナップの見直しが主な内容となっています。

引用 : TOYOTA HP (https://global.toyota/jp/album/images/36614622/)
マイナーチェンジではなく「一部改良」
まず重要なのは、今回の変更はあくまで「一部改良」の範囲に留まるということです。 フロントマスクの変更や、大幅な機能追加といったサプライズはありませんでした。 2022年1月の発売から約3年半が経過し、モデルライフの後半に向けて商品力を維持・向上させるためのテコ入れと理解するのが正しいでしょう。
価格改定とグレード構成の変更点【比較表】
今回の改良で最も大きな変更点は、価格とグレード構成です。 全体的に15万円〜26万円程度の値上げが実施されました。
ヴォクシー価格改定(2WD)
グレード | パワートレイン | 改良前 価格 | 改良後 価格 | 価格差 |
---|---|---|---|---|
S-G | ガソリン | 3,090,000円 | 3,246,100円 | +156,100円 |
S-G | ハイブリッド | 3,440,000円 | 3,596,100円 | +156,100円 |
S-Z | ガソリン | 3,390,000円 | 3,649,600円 | +259,600円 |
S-Z | ハイブリッド | 3,740,000円 | 3,999,600円 | +259,600円 |
ノア価格改定(2WD)
グレード | パワートレイン | 改良前 価格 | 改良後 価格 | 価格差 |
---|---|---|---|---|
X | ガソリン | 2,670,000円 | 2,830,000円 | +160,000円 |
X | ハイブリッド | 3,050,000円 | 3,180,000円 | +130,000円 |
G | ガソリン/ハイブリッド | – | (廃止) | – |
S-G | ガソリン | 3,040,000円 | 3,190,000円 | +150,000円 |
S-G | ハイブリッド | 3,390,000円 | 3,540,000円 | +150,000円 |
Z | ガソリン/ハイブリッド | – | (廃止) | – |
S-Z | ガソリン | 3,320,000円 | 3,578,000円 | +258,000円 |
S-Z | ハイブリッド | 3,670,000円 | 3,918,000円 | +248,000円 |
※価格は消費税込み
注目すべきは、ノアの標準ボディ(エアロなし)の中間グレード「G」と上級グレード「Z」が廃止された点です。 これにより、ノアのラインナップは非常にシンプルになりました。 一方で、ヴォクシーは従来通りのグレード構成を維持しています。
標準装備化で魅力を増したポイント
今回の値上げは、単なるコストアップだけが理由ではありません。 これまでオプション設定だった装備が標準化され、商品力は確実に向上しています。
10.5インチディスプレイオーディオ(SZグレード)
最大の目玉は、最上級グレード「S-Z」に、これまで約19万円のメーカーオプションだった10.5インチのディスプレイオーディオが標準装備されたことです。 従来の8インチでは画面周りの黒い縁が大きく、やや物足りなさを感じていましたが、大画面になったことでインテリアの質感と利便性が大幅に向上しました。 26万円近い値上げ幅のうち、約19万円はこの装備代と考えると、実質的な値上げは約7万円程度と捉えることもできます。
安全装備の標準化(BSMなど)
これまでグレード別設定やオプションだった安全装備が、全車標準装備となりました。 具体的には、以下の装備が含まれます。
- ブラインドスポットモニター(BSM): 隣の車線を走る車両を検知し、ドアミラーのインジケーターで知らせてくれる機能。 車線変更時のヒヤリハットを減らします。
- 安心降車アシスト: 降車時に後方からの車両を検知し、衝突の危険がある場合に知らせてくれる機能。
- パーキングサポートブレーキ: 駐車時などの低速走行時に、障害物を検知してブレーキを制御する機能。
- バックガイドモニター: バック時に後方の映像とガイド線を表示する機能。
これらの安全装備が標準化されたことで、どのグレードを選んでも高い安全性能が確保されるようになったのは、非常に大きな進歩です。
ETC2.0ユニット
高速道路の料金支払いがスムーズになるだけでなく、渋滞情報や災害情報などをリアルタイムで受信できるETC2.0ユニットも全車標準装備となりました。 これも地味ながら嬉しいポイントです。
選択肢が減少?ボディカラーと内装色の整理
前述の通り、ボディカラーは大幅に整理されました。 ノアは7色から4色へ、ヴォクシーは6色から4色へと削減され、白・黒・シルバーという定番カラーが中心のラインナップとなりました。 これは、販売実績と中古車市場での人気を反映した結果と言えるでしょう。 また、ノアの内装色からフロマージュやダークブラウンといった選択肢が消えたことも、ユーザーによっては残念なポイントかもしれません。
複雑化?オプションパッケージの変更点
今回の改良では、一部のオプションがパッケージから切り離され、単独で選択できるようになるなど、選びやすくなった面もあります。 (例:デジタルインナーミラーなど) しかしその一方で、従来はセットになっていた装備が別々のオプションになったり、新たな抱き合わせが発生したりと、かえって分かりにくくなった部分も見受けられます。
特に、CD・DVDデッキが10.5インチナビのセットから外された点は、多くのユーザーを悩ませるポイントとなりそうです。 ディーラーで詳細な見積もりを取り、オプションの内容を一つ一つ丁寧に確認することが不可欠です。
ノアとヴォクシーの変更点の違い
今回の改良における両車の違いをまとめると、以下のようになります。
- ノア: 標準ボディの中間・上級グレードが廃止され、ラインナップがスリム化。
- ヴォクシー: グレード構成に変更はなし。 従来からのエアロボディ専用車種というキャラクターを維持。
価格帯はヴォクシーの方が若干高めに設定されていますが、基本的な装備内容は共通しています。 最終的には、エクステリアデザインの好みで選ぶことになるでしょう。
まとめ:値上げは妥当か?
結論として、今回の値上げは「装備の充実化を考えれば、ある程度は妥当」と言えるでしょう。 特にS-Zグレードの10.5インチナビ標準化や、安全装備の全車標準化は、金額以上の価値があると感じます。 しかし、オプションの組み合わせによっては以前より割高に感じられるケースがあるのも事実です。 自身の使い方に合わない不要な装備まで含まれたパッケージを選ばないよう、冷静な判断が求められます。
後悔しないためのグレード・パワートレイン選びと購入戦略
最後に、リセールバリューだけでなく、総合的な満足度を高めるためのグレード選びや購入戦略について、ジャーナリストとしての視点からアドバイスを送ります。 特に納期の問題は深刻で、賢く立ち回らないと、いつまでも手に入らないという事態になりかねません。

引用 : TOYOTA HP (https://global.toyota/jp/album/images/36614622/)
なぜ最上級グレード「SZ」一択なのか?
リセールを考えるなら、グレードはノア・ヴォクシー共に最上級の「S-Z」一択です。 その理由は明確で、下位グレードとの装備差が激しすぎるためです。 例えば、エクステリアではアルミホイールのデザインや各種メッキ加飾、インテリアではシート表皮やステアリングの素材など、見た目の質感が全く異なります。
中古車市場では、この「上級グレード感」が非常に重視されます。 購入時の価格差は、数年後の査定額の差で十分に埋まってしまうため、初期投資を惜しまずにS-Zを選んでおくことが、結果的に最も賢い選択となるのです。
ハイブリッド vs ガソリン、リセールで有利なのはどっち?
これは非常に悩ましい問題です。 これまでは、圧倒的な燃費性能と静粛性から「ハイブリッド」の方が高いリセールバリューを維持してきました。 3年後の残価率でも、ハイブリッドがガソリンを上回る傾向が続いています。 しかし、今回の改良を機に、状況が変わる可能性も指摘されています。
その理由は「生産枠」です。 ディーラーに割り当てられる生産台数が、ヴォクシーのハイブリッドに偏っており、相対的にガソリン車の生産台数が絞られているという情報があります。 市場の原理から言えば、供給が少ないものは価値が上がります。
つまり、数年後の中古車市場では、タマ数が少ないガソリン車の希少価値が高まり、ハイブリッド車とのリセール価格差が縮まる、あるいは逆転する可能性もゼロではありません。 どちらが正解とは断言できませんが、購入時の価格差(約35万円)と年間の走行距離、そしてこの市場動向の可能性を天秤にかけ、ご自身のライフスタイルに合った方を選ぶのが良いでしょう。
4WDはリセールに有利に働くか?
4WDの選択は、お住まいの地域によって評価が大きく分かれます。 降雪地域や山間部では、4WDであることは必須条件に近く、リセールでも高く評価されます。
一方で、ほとんど雪が降らない都市部では、燃費の悪化や価格の高さを理由に敬遠されがちで、4WDであることがプラス査定に繋がるとは限りません。 全国的な中古車市場で見れば、需要が高いのは圧倒的に2WDです。 ご自身の生活圏で4WDが本当に必要かどうかを冷静に判断しましょう。
ユニバーサルステップの必要性と注意点
小さなお子さんや高齢のご家族が頻繁に乗り降りする場合、オプションの「ユニバーサルステップ」は非常に便利な装備です。 スライドドアの開閉と連動して、ステップが自動で展開・格納されます。 特に4WD車は2WD車よりも最低地上高が高くなるため、装着を強くお勧めします。
ただし、ここで大きな注意点があります。 このユニバーサルステップは、現状「助手席側(左側スライドドア)にしか装着できない」という致命的な欠点があります。 運転席側(右側)にも欲しいという声は非常に多いのですが、残念ながら現行モデルでは対応していません。 この点を理解した上で、導入を検討してください。
最新の納期情報と受注停止の可能性
現在、ノア・ヴォクシーの納期は非常に不安定な状況です。 改良モデルの発表後、注文が殺到しており、ディーラーによっては既に特定のグレード(特にヴォクシーのハイブリッドS-Z)の受注を停止しているという情報も入ってきています。
今から注文した場合、納期は短くても半年、場合によっては1年近く待つ可能性も覚悟しておく必要があります。 2026年2月〜3月頃までの生産枠は、既に埋まりつつあるようです。 購入を決めているのであれば、一日でも早く行動を起こすことが重要です。
少しでも早く手に入れるためのディーラー回り戦略
この状況で少しでも早く車を手に入れるためには、地道な努力が必要です。 トヨタの販売チャネルは「トヨタ店」「トヨペット店」「カローラ店」「ネッツ店」の4つがありますが、これらはそれぞれ独立した会社であり、割り当てられる生産枠も異なります。
つまり、A店では受注停止でも、B店ではまだ枠が残っているというケースがあり得るのです。 本気で購入を考えているのであれば、手間を惜しまず、地域の異なる販売チャネルのディーラーを複数訪問し、納期情報を比較検討することをお勧めします。 「どこか1店舗でも早く納車できるところがあれば契約する」というスタンスで臨むのが、成功の鍵です。
値引き交渉の現状と目標額
これだけの人気車種ですから、大幅な値引きは期待できません。 車両本体からの値引きは、良くても10万円〜15万円程度が限界でしょう。 交渉のポイントは、ディーラーオプション(フロアマット、ドアバイザー、コーティングなど)を含めた総額での値引きです。
後席モニターなどの高額なディーラーオプションを装着する場合、オプション価格からの値引きと合わせて、総額で25万円〜30万円程度の値引きを引き出せれば、大成功と言えるでしょう。 発売から時間が経っているとはいえ、改良直後で需要が旺盛なため、過度な期待はせず、現実的な目標を設定して交渉に臨みましょう。
まとめ
今回は、2025年9月に一部改良された新型ノア・ヴォクシーについて、自動車ジャーナリストとして、そして一人のオーナーとして、特にリセールバリューという観点から徹底的にレビューしてきました。
今回の改良は、価格上昇という厳しい側面はありますが、安全装備や快適装備の充実により、ファミリーミニバンとしての魅力をさらに高めたことも事実です。 リセールを最大化するためには、「S-Z」グレードを基本に、「快適利便パッケージ」「トヨタチームメイト」「LEDヘッドランプ」「寒冷地仕様」「白か黒のボディカラー」といった鉄板オプションを確実に押さえることが重要です。
一方で、納期の問題は非常に深刻です。 購入を決断したら、迷わず複数のディーラーを回って、少しでも早く生産枠を確保する行動力が求められます。
この記事が、あなたの後悔のない一台選びの助けとなれば幸いです。 ノア・ヴォクシーは、家族との大切な時間を彩ってくれる素晴らしいパートナーになるはずです。 ぜひ、最高の仕様を見つけ出してください。