モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、デザインも走りも魅力的な新型カローラクロスGRスポーツに惹かれつつも、実際の年間維持費がどれくらいかかるのか、具体的に知りたいと思っているのではないでしょうか。

引用 : トヨタHP
私も実際にこの車を所有し、日々のコストを肌で感じているので、その気になる気持ちはよくわかります。 車両価格だけでなく、購入後の出費までしっかり把握してこそ、真に満足のいくカーライフが送れますからね。
この記事を読み終える頃には、新型カローラクロスGRスポーツの具体的な年間維持費や、通常モデルとの違いについての疑問が解決しているはずです。
記事のポイント
- 新型カローラクロスGRスポーツ年間維持費のリアルな総額
- 税金や保険料など必ずかかる固定費の詳細な内訳
- 走行距離で変わるガソリン代や消耗品費用の具体的な目安
- 通常モデル(Zグレード)との年間維持費の徹底比較

新しい車に乗り換える際、今乗っている愛車をどれだけ高く売却できるかは、次の車の選択肢にも大きく影響します。
私自身、一括見積もりサイトを活用したことで、ホンダヴェゼルからレクサスRXに乗り換えることができました。
新型カローラクロスGRスポーツの年間維持費は総額いくら?
多くの読者が最も知りたいであろう結論から先にお伝えします。 新型カローラクロスGRスポーツの年間維持費は、年間走行距離や駐車場の有無によって変動しますが、おおよそ年間30万円から55万円程度が目安となります。

引用 : トヨタHP
もちろん、これはあくまで一つのシミュレーション結果です。 しかし、この金額がどのような内訳で構成されているのかを理解することで、ご自身の状況に合わせたより正確な維持費を予測できるようになります。 ここでは、年間走行距離を「5,000km」「10,000km」「15,000km」の3つのパターンに分けて、具体的なシミュレーション結果を表にまとめました。
【走行距離別】新型カローラクロスGRスポーツ 年間維持費シミュレーション
項目 | 5,000km/年 | 10,000km/年 | 15,000km/年 | 備考 |
---|---|---|---|---|
自動車税 | 36,000円 | 36,000円 | 36,000円 | 2.0Lエンジン |
自賠責保険料 | 約8,900円 | 約8,900円 | 約8,900円 | 24ヶ月契約を年割 |
任意保険料 | 約80,000円 | 約80,000円 | 約80,000円 | 30代・ゴールド免許・車両保険ありで試算 |
ガソリン代 | 約47,100円 | 約94,200円 | 約141,300円 | 実燃費18.6km/L、ガソリン175円/Lで計算 |
駐車場代 | 180,000円 | 180,000円 | 180,000円 | 月額15,000円で計算(地域により変動) |
メンテナンス費用 | 約85,000円 | 約90,000円 | 約95,000円 | 車検、オイル、タイヤ、その他消耗品 |
合計(駐車場代あり) | 約437,000円 | 約489,100円 | 約541,200円 | – |
合計(駐車場代なし) | 約257,000円 | 約309,100円 | 約361,200円 | – |
※上記はあくまで目安であり、実際の費用は個人の条件や地域によって変動します。
それでは、これらの項目がどのように計算されているのか、一つずつ詳しく見ていきましょう。
維持費の内訳①:税金(自動車税・重量税)
車を所有する上で避けて通れないのが税金です。 主に「自動車税」と「自動車重量税」の2つが関係してきます。
自動車税種別割
毎年4月1日時点の所有者に課せられる税金です。 税額はエンジンの排気量によって決まります。 新型カローラクロスGRスポーツは2.0L(1,986cc)エンジンを搭載しているため、年額36,000円となります。 これは毎年支払う必要がある固定費です。
自動車重量税
車の重量に応じて課せられる税金で、通常は新車購入時と車検時にまとめて支払います。 カローラクロスGRスポーツ(E-Four)の車両重量は1,460kgなので、「1.5t以下」の区分に該当します。 本来であれば年額12,300円ですが、GRスポーツは「エコカー減税」の対象となります。
ただし、ここで一つ注意点があります。 通常モデルのZグレード(FF)が100%免税なのに対し、**GRスポーツ(E-Four)の減税率は50%**です。 そのため、購入時に支払う3年分の重量税は18,450円、その後の車検時に支払う2年分の重量税は12,300円となります。 年間に換算すると約6,150円ですが、実際には車検時にまとめて支払う形になります。
維持費の内訳②:自賠責保険料
自賠責保険は、法律で加入が義務付けられている強制保険です。 交通事故の被害者救済を目的としており、対人賠償のみが補償されます。 保険料はどの保険会社で加入しても一律で、新車購入時や車検時にまとめて支払います。 2025年時点での普通乗用車の保険料は、24ヶ月契約で17,650円です。 これを1年あたりに換算すると約8,825円となります。
維持費の内訳③:任意保険料
自賠責保険だけではカバーできない対物事故や自身のケガ、車両の損害などに備えるのが任意保険です。 保険料は、運転者の年齢、運転歴(免許証の色)、等級、補償内容、そして車種によって大きく変動します。
カローラクロスGRスポーツは、スポーティなモデルであることや、通常モデルより車両価格が高いことから、保険料が若干高くなる可能性があります。 特に、万が一の事故に備えて車両保険を付けると保険料は大きく上がります。
ここでは、以下の条件でシミュレーションした保険料を参考に提示します。
- 年齢:30代
- 等級:20等級
- 免許証の色:ゴールド
- 運転者限定:本人・配偶者
- 年間走行距離:10,000km
- 車両保険:あり(一般条件)
この条件の場合、年間でおおよそ70,000円~100,000円程度が目安となるでしょう。 保険料は保険会社やプランによって大きく異なるため、複数の会社から見積もりを取り、自分に合ったプランを選ぶことが重要です。
維持費の内訳④:ガソリン代
維持費の中でも、乗り方によって大きく変動するのがガソリン代です。 計算方法は以下の通りです。
ガソリン代 = (年間走行距離 ÷ 実燃費) × ガソリン単価
カローラクロスGRスポーツの燃費
GRスポーツ(E-Four)のカタログ燃費(WLTCモード)は23.3km/Lです。 非常に優れた数値ですが、これはあくまで理想的な条件下での値です。 市街地走行や渋滞、エアコンの使用などを考慮すると、実燃費はカタログ燃費の8割程度になることが多いです。 よって、実燃費を約18.6km/Lと仮定します。
ガソリン単価
ガソリン価格は常に変動しますが、ここではレギュラーガソリン1Lあたり175円として計算します。
この条件で、年間走行距離別にガソリン代を計算すると以下のようになります。
年間走行距離 | 年間ガソリン代(目安) |
---|---|
5,000km | 約47,043円 |
10,000km | 約94,086円 |
15,000km | 約141,129円 |
トヨタのハイブリッドシステムは非常に優秀ですが、スポーティな走りを楽しみたいGRスポーツでは、ついついアクセルを踏み込んでしまいがちです。 燃費を意識したエコな運転を心がけることで、この費用はさらに抑えることが可能です。
維持費の内訳⑤:駐車場代
これはお住まいの地域や環境によって必要かどうかが変わる費用です。 ご自宅に駐車スペースがあれば当然かかりませんが、月極駐車場を借りる場合は大きな固定費となります。 全国平均は約8,000円と言われていますが、都市部では20,000円~30,000円以上することも珍しくありません。 ここでは仮に月額15,000円と設定し、年間180,000円として計算に含めました。 ご自身の状況に合わせてこの項目は調整してください。
維持費の内訳⑥:メンテナンス費用(車検・消耗品)
愛車を安全で快適な状態に保つためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。 これには、定期点検である「車検」と、走行に応じて交換が必要になる「消耗品」の費用が含まれます。
車検費用
新車購入後の初回車検は3年後、それ以降は2年ごとに受ける必要があります。 車検費用は、大きく分けて「法定費用」と「車検基本料・整備費用」で構成されます。
- 法定費用:自動車重量税、自賠責保険料、印紙代。金額は法律で定められています。
- 車検基本料・整備費用:点検や整備、部品交換にかかる費用。依頼する業者(ディーラー、整備工場、カー用品店など)によって大きく異なります。
カローラクロスGRスポーツの場合、ディーラーで車検を受けると、交換部品が少なくても10万円~15万円程度が目安となります。 これを2年で割ると、車検のための積立金として年間50,000円~75,000円ほどを見込んでおくと安心です。
消耗品費用
車は多くの消耗部品で構成されており、定期的な交換が必要です。 代表的なものをいくつかご紹介します。
- エンジンオイル:ハイブリッド車でもエンジンは稼働するため、定期的なオイル交換は必須です。走行5,000kmごと、または半年に1回の交換が推奨されます。1回あたり5,000円~10,000円程度で、年間では10,000円~20,000円ほどかかります。
- タイヤ:GRスポーツは専用の19インチタイヤ(225/45R19)を装着しています。これは通常モデルの18インチよりも高価になる傾向があります。タイヤの寿命は乗り方にもよりますが、約4年(40,000km)が交換の目安です。4本セットで交換すると、タイヤの種類にもよりますが100,000円~150,000円ほどかかります。これを年間に換算すると、年間25,000円~37,500円の積立が必要になります。
- その他:上記以外にも、ワイパーブレード(年1回/約3,000円)、エアコンフィルター(年1回/約4,000円)、ブレーキフルード(車検ごと/約5,000円)、12Vバッテリー(3~4年ごと/約20,000円~)など、細かな消耗品があります。これらも考慮し、年間10,000円~20,000円程度を見込んでおくと良いでしょう。
維持費の内訳⑦:その他雑費
上記以外にも、洗車代や高速道路料金、万が一の際の修理費用など、突発的な出費が発生する可能性があります。 これらの雑費として、年間20,000円程度を予算に含めておくと、より現実的な維持費の計算ができます。
カローラクロスGRスポーツと通常モデル(Zグレード)の維持費を徹底比較
「スポーティなGRスポーツは魅力的だけど、通常モデルと比べてどれくらい維持費が高くなるの?」という疑問も多く寄せられます。 ここでは、最上級グレードである「Z(FF)」と「GRスポーツ(E-Four)」の年間維持費を比較してみましょう。

引用 : トヨタHP
比較の前提条件
- 年間走行距離:10,000km
- ガソリン単価:175円/L
- 任意保険料、駐車場代、メンテナンス費用(タイヤ代を除く)は同額と仮定
比較①:税金の違い(エコカー減税)
前述の通り、購入時および初回車検時の税金に差が出ます。
- Zグレード(FF):エコカー減税 100%(免税)
- GRスポーツ(E-Four):エコカー減税 50%
これにより、初回車検時(3年後)に支払う自動車重量税に12,300円の差額が発生します。 年間の維持費という観点では大きな差ではありませんが、購入後の最初の大きな出費で違いが出てくる点は覚えておきましょう。
比較②:燃費とガソリン代の違い
最も差が出るのがこの項目です。 2.0LエンジンとE-Fourを搭載するGRスポーツは、1.8LエンジンとFFのZグレードに比べて燃費が若干劣ります。
- Z(FF):カタログ燃費26.4km/L → 実燃費 約21.1km/L
- GRスポーツ(E-Four):カタログ燃費23.3km/L → 実燃費 約18.6km/L
年間10,000km走行した場合のガソリン代は以下のようになります。
- Z(FF):(10,000km ÷ 21.1km/L) × 175円/L = 約82,938円
- GRスポーツ(E-Four):(10,000km ÷ 18.6km/L) × 175円/L = 約94,086円
年間の差額は約11,148円となり、GRスポーツの方がガソリン代は高くなります。
比較③:タイヤサイズと交換費用の違い
装着されているタイヤのサイズも異なります。
- Zグレード:18インチ(225/50R18)
- GRスポーツ:19インチ(225/45R19)
一般的に、タイヤはインチが大きくなるほど価格も高くなります。 4本セットで交換する場合、GRスポーツの19インチタイヤはZグレードの18インチタイヤに比べて20,000円~40,000円ほど高くなる可能性があります。 これをタイヤの寿命である4年で割ると、年間の差額は約5,000円~10,000円となります。
【比較まとめ】年間維持費の差額はどれくらい?
これまでの比較をまとめると、GRスポーツはZグレードに対して、主に「ガソリン代」と「タイヤ代」でコストが上がることがわかります。
項目 | Zグレード(FF) | GRスポーツ(E-Four) | 差額(年間) |
---|---|---|---|
ガソリン代 | 約82,938円 | 約94,086円 | + 約11,148円 |
タイヤ積立金 | (例)20,000円 | (例)27,500円 | + 約7,500円 |
任意保険料 | – | – | 若干増の可能性 |
合計差額(目安) | – | – | 約18,648円~ |
任意保険料の差額も考慮すると、GRスポーツの年間維持費は、通常モデルのZグレードに比べておおよそ20,000円~30,000円高くなると予測できます。 月々に換算すると約1,700円~2,500円の差です。 この差額を、GRスポーツならではのデザインや走りの性能に対する価値と捉えるかどうか。 それが選択の一つの基準になるでしょう。
まとめ
今回は、新型カローラクロスGRスポーツの年間維持費について、詳細な内訳から通常モデルとの比較まで、詳しくレビューしてきました。
シミュレーションの結果、年間維持費の目安は駐車場代込みで約44万円~54万円、駐車場代なしで約26万円~36万円となりました。 また、通常モデルのZグレードと比較すると、年間で約2万円~3万円ほど高くなる計算です。
GRスポーツは、専用の内外装デザイン、引き締められた足回りによる優れた走行性能など、価格差以上の魅力を備えた一台です。 その魅力のために年間数万円のコストアップを受け入れられるのであれば、所有満足度は非常に高いものになるでしょう。 この記事で算出した具体的な数値を参考に、ご自身のライフスタイルや予算と照らし合わせ、後悔のない車選びをしていただければ幸いです。