モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、先日発表された新型アクアの、特に旧型からの変更点が気になっていることでしょう。 私も実際に新旧両方のアクアを所有し、その進化を肌で感じてきたので、気になる気持ちはよくわかります。

引用 : トヨタHP (https://toyota.jp/aqua/grade/)
今回の変更は、もはやマイナーチェンジの域を超えた「フルモデルチェンジ級」と言っても過言ではありません。
この記事を読み終える頃には、新型アクアが旧型からどのように進化したのか、そしてあなたが買うべき一台なのか、その疑問が解決しているはずです。
記事のポイント
- ハンマーヘッドデザインへの劇的な外観変更
- 走りの質感を向上させた新パワートレインと世界初搭載バッテリー
- クラスを超えた先進安全装備と快適装備の標準化
- 大幅な価格改定とその納得の理由

新しい車に乗り換える際、今乗っている愛車をどれだけ高く売却できるかは、次の車の選択肢にも大きく影響します。
私自身、一括見積もりサイトを活用したことで、ホンダヴェゼルからレクサスRXに乗り換えることができました。
新型アクアの進化点!フルモデルチェンジ級の変更を徹底解説
2021年に登場した2代目アクアが、今回フルモデルチェンジ級とも言えるビッグマイナーチェンジを実施しました。 「コンパクトカーの常識を変える」という意気込みが伝わってくるほどの、まさに驚きの進化です。 旧型オーナーである私も、その変貌ぶりには正直、嫉妬すら覚えるほどです。

引用 : トヨタHP (https://toyota.jp/aqua/grade/)
ここでは、エクステリアからインテリア、走行性能、安全装備に至るまで、その驚くべき進化の全貌を、ジャーナリスト目線で詳しく解説していきます。
外観の劇的変化:ハンマーヘッドデザイン、通称「サメ顔」へ
今回の改良で最も衝撃的なのが、フロントフェイスの刷新です。 近年のトヨタ車に共通するデザイン言語「ハンマーヘッド」が採用され、そのシャープでアグレッシブな表情は、旧型の丸みを帯びた親しみやすいデザインから一変しました。 インターネット上では「サメ顔」「ミニプリウス」などと呼ばれ、大きな話題となっています。
プリウスやクラウンシリーズにも通じるこのデザインは、左右のヘッドライトを繋ぐように配置されたラインが特徴です。 特に最上級グレードの「Z」では、このラインが実際に点灯するセンターライトとなっており、夜間には横一文字に光る先進的なシグネチャーを放ちます。 「X」や「G」グレードではシルバーのガーニッシュとなりますが、それでも十分に新しさを感じさせます。
ラジエーターグリルもグレードによって差別化が図られており、「X」「G」が樹脂製であるのに対し、「Z」ではピアノブラック塗装が施され、より一層引き締まった高級感を演出しています。
旧型オーナーから見ると、もはや同じ車種とは思えないほどの変貌ぶりです。 夏休み明けに会った友人が、別人のように大人びていた…そんなレベルの話ではありません。 これは、アクアがこれまでの「燃費の良い大衆車」というイメージから、「スタイリッシュで先進的なプレミアムコンパクトカー」へと生まれ変わるという、トヨタの強い意志表示と言えるでしょう。
リアデザインもよりスポーティで洗練された印象に
変更はフロントだけではありません。 リアデザインも、よりスポーティで洗練されたものへと進化しています。 最も大きな特徴は、左右のテールライトを繋ぐように配置されたブラックの大型ガーニッシュです。 これにより、リアビューがワイドに見え、どっしりとした安定感が生まれました。
さらに、ガーニッシュからバンパー下部へと流れる力強いボディラインは、まるでアスリートの上腕二頭筋のように鍛え上げられた印象を与えます。 旧型のどちらかというとのっぺりとしたリアビューと比較すると、その差は一目瞭然。 エッジの効いたシャープなラインが、クルマ全体の躍動感を高めています。
テールランプのデザイン自体は、グレードによって若干異なります。 「X」と「G」は共通のデザインですが、「Z」のみ専用のデザインが与えられ、所有満足度を高める差別化が図られています。 細かな部分ですが、こうしたこだわりがクルマ全体の質感を向上させているのです。
ボディサイズとカラーバリエーションの刷新
今回のフェイスリフトに伴い、ボディサイズもわずかに変更されました。
スペック | 新型アクア | 旧型アクア | 差分 |
---|---|---|---|
全長 | 4,080mm | 4,050mm | +30mm |
全幅 | 1,695mm | 1,695mm | ±0mm |
全高(2WD) | 1,485mm | 1,485mm | ±0mm |
全高(4WD) | 1,505mm | 1,505mm | ±0mm |
ホイールベース | 2,600mm | 2,600mm | ±0mm |
全長が30mm延長され、マツダの「MAZDA2」と並び、国産ベーシックコンパクトカーの中では最大クラスのサイズとなりました。 この延長分は主にフロントデザインの変更によるものですが、存在感を増し、より伸びやかなスタイリングに貢献しています。 全幅は1,695mmと5ナンバーサイズを維持しており、日本の狭い道路事情でも扱いやすいというアクアの美点はしっかりと受け継がれています。
ボディカラーのラインナップも見直され、さらに魅力的な選択肢が増えました。 カローラクロスで国内初採用された新色「マットアッシュ」や、トレンドのくすみカラー「グレイッシュブルー」などが追加されています。
- Xグレード: 全9色(スーパーホワイトⅡを含む)
- Gグレード: 全8色
- Zグレード: 全12色(専用のツートーン3色を含む)
特に注目は「Z」グレード専用で選択可能なツートーンカラーです。 ルーフがブラックマイカで引き締められ、スタイリッシュなハンマーヘッドデザインを一層際立たせます。 愛車の個性を重視する方には、ぜひ検討していただきたいオプションです。
インテリアの進化点:質感向上と装備の充実

引用 : トヨタHP (https://toyota.jp/aqua/grade/)
エクステリアほど劇的な変化ではないものの、インテリアも着実に進化を遂げ、質感と使い勝手が大幅に向上しています。 ブラックを基調としたデザインは共通ですが、細部の素材や加飾が見直され、クラスを超えた上質感を漂わせています。
グレードごとに異なるマテリアルと加飾
インテリアの満足度を大きく左右するのが、素材の質感です。 新型アクアでは、グレードごとに巧みにマテリアルを使い分け、価格と質感のバランスを最適化しています。
- インパネ中央パネル:
- Xグレード: 樹脂製
- G/Zグレード: ステッチ入りの合成皮革巻き
- インナードアハンドル:
- Xグレード: 樹脂製
- G/Zグレード: サテン調塗装
- ドアトリム:
- Xグレード: 全面樹脂製
- G/Zグレード: ピアノブラック加飾+ステッチ入り合成皮革巻きアームレスト
このように、「G」グレード以上では、人の手が触れやすい部分にソフトな素材や上質な加飾が施されており、視覚的にも触覚的にも満足度が格段に高まります。
シート形状と素材の進化
シートは、長距離ドライブの快適性を左右する重要なパーツです。 新型では、ここにも明確なグレード間の差が設けられました。
- Xグレード: ヘッドレスト一体型の通称「シャモジシート」。デザイン性は高いものの、体格によってはフィットしにくい場合もあります。
- G/Zグレード: ヘッドレストが分離した一般的な形状の上級ファブリックシート。より多くの人にフィットしやすく、見た目の上級感も増しています。
さらに「Z」グレードでは、オプションで「合成皮革+コンフォートパッケージ」を選択可能です。 これを選ぶと、シートが合成皮革とファブリックのコンビシートになるだけでなく、インテリアカラーをシックなブラックと明るいライトグレーから選べるようになります。
パワートレインと走行性能の進化
新型アクアの真価は、見た目だけではありません。 走りの心臓部であるパワートレインにも、トヨタの最新技術が惜しみなく投入されています。
世界初採用「バイポーラ型ニッケル水素電池」
最大のトピックは、駆動用バッテリーに世界で初めて「バイポーラ型ニッケル水素電池」を採用したことです。 …と専門用語を並べても分かりにくいですよね。
簡単に言うと、これは**「従来の約2倍のパワーを発揮できる、新世代のバッテリー」**です。 電気の流れをスムーズにし、内部抵抗を低減することで、アクセル操作に対するレスポンスが格段に向上しました。
これにより、モーターだけで走行できるEV走行の領域が大幅に拡大。 市街地ではエンジンをほとんど始動させることなく、EVのように静かで滑らかに走ることができます。 また、力強い加速が必要な場面でも、バッテリーからの強力なアシストによって、胸のすくような加速感を味わえます。 1.5Lのコンパクトカーとは思えないほどの力強さは、旧型オーナーなら誰もが驚くはずです。
新機能「快感ペダル」とスムーズストップ機能
この新しいバッテリーの恩恵は、新しい運転感覚にも繋がっています。 それが「快感ペダル」です。 ドライブモードで「POWER+」モードを選択すると、アクセルペダルを緩めた際の減速感が強くなり、ペダルの踏み替え頻度を減らして運転できるようになります。 これは日産のe-POWERが採用する「ワンペダルドライブ」に近い感覚で、加減速をアクセル操作だけでコントロールしやすくなるため、ストップ&ゴーの多い市街地での運転疲労を大幅に軽減してくれます。
さらに、今回から全グレードに「スムーズストップ機能」が標準装備されました。 これは、ブレーキ操作時や停止直後の車両の揺れを抑制する機能です。 同乗者が車酔いしにくくなるなど、上質な乗り心地に貢献する、地味ながら非常に効果的な機能です。
安全装備の大幅アップデート(Toyota Safety Sense)
安全性能は、もはやクルマ選びの絶対条件です。 新型アクアは、最新の予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense(TSS)」を全グレードに標準装備し、その内容も大幅にアップデートされました。
検知範囲の拡大と新機能の追加
旧型でもTSSは搭載されていましたが、新型ではミリ波レーダーと単眼カメラの性能向上により、検知できる対象が大幅に増えました。
- プリクラッシュセーフティの検知対象:
- 車両、歩行者(昼夜)、自転車運転者(昼夜)
- 自動二輪車(昼間)
- 交差点での右左折時の対向直進車・横断歩行者/自転車
- 出会い頭の車両・自動二輪車
まさに「ぶつからないクルマ」を目指すトヨタの思想が凝縮されています。
さらに、新機能として「プロアクティブドライビングアシスト(PDA)」が追加されました。 これは、「かもしれない運転」をクルマが実践してくれる機能です。 例えば、「歩行者が飛び出してくるかもしれない」「駐車車両の陰から自転車が出てくるかもしれない」といったリスクを先読みし、危険に近づきすぎないように、ドライバーの操作をさりげなくサポート(緩やかな減速や操舵支援)してくれます。 これにより、ドライバーは常に安心して運転に集中することができます。
ドライバー異常時対応システム
万が一の事態に備える機能も追加されました。 「ドライバー異常時対応システム」は、レーントレーシングアシスト(車線維持支援機能)の作動中に、ドライバーの無操作状態が続いた場合に作動します。 音と表示で警告し、それでも操作がない場合は、ハザードとホーンで周囲に異常を知らせながら車両を緩やかに減速・停止。 さらにヘルプネットへ自動接続し、救命要請まで行ってくれるのです。 これは、ドライバーの急な体調不良など、不測の事態に対する究極のセーフティネットと言えるでしょう。
快適装備の充実:もはやコンパクトカーの域を超えた
新型アクアは、安全装備だけでなく、日々の運転を快適にする装備も飛躍的に進化しました。 特に、これまで上級車種にしか採用されてこなかったような装備が標準化された点は、大きな注目ポイントです。
電動パーキングブレーキとオートブレーキホールド
ユーザーからの要望が非常に高かった「電動パーキングブレーキ(EPB)」と「オートブレーキホールド」が、ついに全グレード標準装備となりました。 旧型は昔ながらの足踏み式パーキングブレーキだったため、これは革命的な進化です。
信号待ちなどでブレーキペダルから足を離しても車両が停止し続けるブレーキホールド機能は、一度使うと手放せなくなるほど便利な機能。 渋滞時の疲労を劇的に軽減してくれます。 しかも、エンジンをオフにすると自動でパーキングブレーキがかかり、発進時はアクセルを踏むだけで解除されるため、操作も非常にスムーズです。
大型ディスプレイと充実のコネクティビティ
インフォテインメントシステムも現代的にアップデートされました。
- X/Gグレード: 8インチのディスプレイオーディオを標準装備
- Zグレード: 10.5インチのディスプレイオーディオプラス(ナビ機能搭載)を標準装備
いずれもApple CarPlayおよびAndroid Autoに対応しているため、スマートフォンのナビアプリや音楽アプリを車載ディスプレイで直感的に操作できます。 さらに、前後方向のドライブレコーダーやETC2.0ユニットも全グレードで標準装備という大盤振る舞い。 もはや、購入後にカー用品店で追加するものはほとんどないと言っても過言ではありません。
グレード構成の変更点
今回の改良に伴い、グレード構成にも変更がありました。 スポーティな走りで人気を博した「GR SPORT」や、特別仕様車「Raffine(ラフィネ)」が一旦廃止となりました。 GR SPORTのファンにとっては残念なニュースですが、今後の復活に期待したいところです。
その代わりに、新たに「U」グレードが設定されました。 これはトヨタのサブスクリプションサービス「KINTO」専用グレードで、先進安全装備などをパッケージ化しながら、月々定額で気軽に新車に乗れるプランです。 特に若い世代や、数年おきに新しいクルマに乗り換えたい方にとっては、非常に魅力的な選択肢となるでしょう。
新旧アクアの徹底比較と購入ガイド
さて、新型アクアが劇的に進化したことはお分かりいただけたかと思います。 では、具体的に旧型と比べてどうなのか、そしてどのグレードを選び、どんなオプションをつけるべきなのか。

引用 : トヨタHP (https://toyota.jp/aqua/grade/)
ここからは、購入を検討している方が最も気になるであろうポイントを、比較表や見積もり例を交えながら、より具体的に掘り下げていきます。
【スペック比較表】新型アクア vs 旧型アクア
まずは、主要なスペックを一覧で比較してみましょう。 数字で見ると、その進化がより明確になります。
項目 | 新型アクア (Gグレード/2WD) | 旧型アクア (Gグレード/2WD) | 備考 |
---|---|---|---|
価格(税込) | 2,654,300円 | 2,230,800円 | +423,500円 |
全長×全幅×全高 | 4080×1695×1485mm | 4050×1695×1485mm | 全長+30mm |
ホイールベース | 2,600mm | 2,600mm | 変更なし |
エンジン | 1.5L 直列3気筒 | 1.5L 直列4気筒 | 3気筒化 |
最高出力(エンジン) | 91PS / 120N・m | 74PS / 111N・m | パワーアップ |
最高出力(モーター) | 80PS / 141N・m | 61PS / 169N・m | パワーアップ |
WLTCモード燃費 | 33.6km/L | 29.8km/L | 燃費向上 |
駆動用バッテリー | バイポーラ型ニッケル水素 | リチウムイオン | 世界初採用 |
プラットフォーム | TNGA (GA-B) | Bプラットフォーム | 刷新 |
パーキングブレーキ | 電動式 | 足踏み式 | 利便性向上 |
安全装備 (TSS) | 第3世代 (機能向上) | 第2世代 | 大幅進化 |
ディスプレイ | 8インチ標準 | 7インチ (オプション) | 大型化・標準化 |
この表から読み取れるのは、「価格以外は全ての面で進化している」という事実です。 特に燃費、パワー、安全装備、快適装備の進化は目覚ましく、もはや別のクルマと言っていいほどの差があります。
グレード別比較:あなたに最適なのはX, G, Z?
新型アクアは、装備の違いによって「X」「G」「Z」の3つの主要グレードが設定されています。 それぞれの特徴を理解し、ご自身の使い方や予算に合ったグレードを選びましょう。
Xグレード – コストパフォーマンス重視のベーシックモデル
- 車両本体価格(2WD): 2,486,000円
- 特徴: 最も安価なエントリーグレード。とはいえ、最新のToyota Safety Senseや電動パーキングブレーキ、8インチディスプレイオーディオ、前後ドラレコ、ETC2.0は標準装備。
- 注意点: インテリアは樹脂パーツが多く、シートはヘッドレスト一体型。快適装備も最小限。
- こんな人におすすめ:
- とにかく初期費用を抑えたい方
- 法人での利用やレンタカー、カーシェアなど
- 装備にはこだわらず、アクアの基本性能(燃費、安全性)を享受したい方
Gグレード – 装備と価格のバランスが取れた中間モデル
- 車両本体価格(2WD): 2,654,300円
- 特徴: Xグレードに対し、内外装の質感が大幅に向上。インパネやアームレストが合成皮革巻きになり、シートも上級な分離型ヘッドレストに。センターアームレストやナノイーX付きオートエアコンも標準装備。
- こんな人におすすめ:
- 日常的に使うメインカーとして、質感や快適性にもこだわりたい方
- コストパフォーマンスを重視しつつ、安っぽさは感じたくない方
- ほとんどの方にとって、最も満足度の高い「鉄板」グレードと言えるでしょう。
Zグレード – 充実装備を誇る最上級モデル
- 車両本体価格(2WD): 2,824,800円
- 特徴: アクアの魅力をすべて詰め込んだ最上級グレード。10.5インチの大型ディスプレイオーディオや15インチアルミホイール、ピアノブラック加飾、一文字に光るセンターライトなど、見た目の豪華さと先進性が際立つ。床下透過表示機能付きのパノミックビューモニターも標準装備。
- こんな人におすすめ:
- 最高の装備と先進性を求める方
- コンパクトカーでも妥協したくない方
- Gグレードにオプションを追加していくと価格差が縮まるため、最初からZを選ぶ方が結果的にお得になる場合も多い。
ヤリスとの違いは?どちらを選ぶべきか
同じプラットフォーム(GA-B)を共有し、同じ1.5Lハイブリッドシステムを搭載する兄弟車「ヤリス」との比較も気になるところでしょう。
項目 | 新型アクア | ヤリス ハイブリッド |
---|---|---|
価格帯 | 248.6万円〜 | 204.4万円〜 |
全長 | 4,080mm | 3,940mm |
ホイールベース | 2,600mm | 2,550mm |
後席空間 | 広い | 狭い |
荷室容量 | 広い | 狭い |
乗り心地 | しなやか・上質 | キビキビ・スポーティ |
バッテリー | バイポーラ型ニッケル水素 | リチウムイオン |
結論から言うと、**「走りの軽快さや価格の安さを重視するならヤリス、後席の快適性や荷室の実用性、内外装の質感を重視するならアクア」**という棲み分けになります。
アクアはヤリスよりもホイールベースが50mm長く、その分が後席の足元スペース拡大に充てられています。 実際に乗り比べると、その差は歴然。 ヤリスの後席は大人が長時間座るには正直厳しいですが、アクアは大人4人でも快適に移動できる空間が確保されています。 ファミリーユースや友人を乗せる機会が多い方には、間違いなくアクアがおすすめです。
新型アクアの価格は高い?値上げの理由を徹底解説
比較表を見て「新型は高くなったな」と感じた方も多いでしょう。 確かに、旧型と比較するとGグレードで約42万円もの価格アップとなっています。 しかし、これは単なる便乗値上げではありません。 その価格差には、明確で納得のいく理由があります。
- プラットフォームの刷新: 走りの基本性能を飛躍的に向上させたTNGAプラットフォームの採用。
- 新パワートレイン: 世界初採用のバイポーラ型電池を含む、全面的に新開発されたハイブリッドシステム。
- 安全装備の大幅進化: 最新世代のToyota Safety Senseを標準装備。
- 快適装備の標準化:
- 電動パーキングブレーキ&ブレーキホールド
- 大型ディスプレイオーディオ
- 前後ドライブレコーダー
- ETC2.0
これらの装備を、もし旧型に後付けで装着しようとすれば、42万円では到底収まりません。 特に安全装備や電動パーキングブレーキは後付け不可能です。 そう考えると、新型アクアの価格設定は、その劇的な進化に見合った、むしろ「戦略的」で「お買い得」なものだと、私は評価しています。
おすすめのオプション装備とモデリスタカスタム
新型アクアをさらに魅力的に仕上げる、おすすめのメーカーオプションをご紹介します。
Zグレードなら絶対つけたい!「16インチアルミホイール」
- 価格: 39,600円(2WD車のみ)
- 内容: 標準の15インチから1インチアップした、ダークグレーメタリック塗装+切削光輝の専用デザインホイール。
- おすすめ理由: ハンマーヘッドデザインのシャープなエクステリアには、引き締まった足元がよく似合います。デザイン性が格段に向上し、所有満足度を大きく高めてくれます。39,600円という価格は、後から社外品を買うことを考えれば破格と言えるでしょう。
快適性と質感を両立「合成皮革+コンフォートパッケージ」
- 価格: 62,700円(Zグレードのみ)
- 内容:
- 合成皮革+ファブリックのコンビシート
- 運転席6ウェイパワーシート
- ステアリングヒーター
- 運転席・助手席シートヒーター
- 助手席シートバックポケット、シートアンダートレイ
- おすすめ理由: これだけの快適装備と質感向上がセットになって約6万円は非常にお買い得。特に冬場に重宝するステアリングヒーターとシートヒーターは、一度体験すると手放せません。パワーシートも、細かなポジション調整ができて便利です。
個性を際立たせる「モデリスタ エアロパーツ」
より個性的でスポーティなスタイルを求めるなら、トヨタのカスタマイズブランド「モデリスタ」のエアロパーツがおすすめです。 ハンマーヘッドデザインとの相性は抜群で、まるで欧州のホットハッチのような、低く構えた迫力のあるスタイリングを手に入れることができます。 フロントスポイラーやサイドスカート、リアスパッツなどを組み合わせることで、ノーマルとは一線を画す存在感を放ちます。
実際の見積もり例を公開(Gグレード vs Zグレード)
では、実際に購入すると総額はいくらくらいになるのでしょうか。 人気のGグレードとZグレードで、現実的なオプションを選択した際の見積もりシミュレーションをしてみました。
項目 | Gグレード | Zグレード |
---|---|---|
グレード | G (2WD) | Z (2WD) |
車両本体価格 | 2,654,300円 | 2,824,800円 |
メーカーオプション | ・プラチナホワイトパールマイカ (33,000円) | ・プラチナホワイトパールマイカ (33,000円)<br>・16インチアルミホイール (39,600円)<br>・合成皮革+コンフォートパッケージ (62,700円) |
ディーラーオプション | ・フロアマット (ベーシック) (19,800円)<br>・サイドバイザー (RVワイド) (17,600円) | ・フロアマット (ベーシック) (19,800円)<br>・サイドバイザー (RVワイド) (17,600円) |
諸費用 (概算) | 約120,000円 | 約130,000円 |
乗り出し総額 (目安) | 約2,864,700円 | 約3,127,500円 |
※諸費用は登録時期や販売店によって変動します。
このように、Gグレードは約286万円、Zグレードに人気オプションを装着すると約312万円が乗り出し価格の一つの目安となります。 その差は約26万円。 この価格差で、10.5インチナビ、アルミホイール、先進的なライト、内外装の質感向上、そして多数の快適装備が手に入ると考えれば、Zグレードのコストパフォーマンスの高さが際立ちます。 迷ったらZグレードを選んでおくのが、結果的に満足度は高いかもしれません。
結論:新型アクアは「買い」なのか?
自動車ジャーナリストとして、そして一人のクルマ好きとして、私の結論は明確です。 新型アクアは、間違いなく「買い」です。
特に、以下のような方には強くおすすめします。
- 旧型アクアや同クラスの旧世代コンパクトカーに乗っている方: 乗り換えれば、全ての面で異次元の進化を体感できます。燃費はもちろん、走りの質感、静粛性、安全性、快適性、どれをとっても感動するレベルです。
- 初めてクルマを購入する方、運転に自信がない方: 最新の安全装備が、運転中の不安を限りなくゼロに近づけてくれます。コンパクトなボディと良好な視界、そして運転支援機能が、あなたのカーライフを力強くサポートしてくれるでしょう。
- 上級車種からのダウンサイジングを検討している方: 内外装の質感、乗り心地、静粛性は、もはやコンパクトカーのレベルを超えています。装備も充実しているため、大きなクルマから乗り換えても不満を感じることは少ないはずです。
今回のビッグマイナーチェンジによって、アクアは単なる「燃費の良いコンパクトカー」から、「走りも質感も安全性も妥協しない、新時代のプレミアムコンパクト」へと見事に脱皮しました。 この進化を考えれば、価格上昇も十分に納得できるものです。 新しい時代のスタンダードとなる一台、ぜひ一度、ご自身の目で見て、試乗して、その進化を体感してみてください。
まとめ
今回のレビューでは、フルモデルチェンジ級の進化を遂げた新型トヨタ・アクアについて、旧型との比較を交えながら徹底的に解説してきました。
- エクステリア: プリウスにも通じる先進的な「ハンマーヘッド」デザインへ一新。
- インテリア: 質感と快適性が大幅に向上し、特に電動パーキングブレーキの採用は大きな魅力。
- パワートレイン: 世界初採用のバイポーラ型電池により、EVのような滑らかな走りと力強い加速を実現。
- 安全性能: 最新のToyota Safety Senseを標準装備し、クラス最高水準の安全性を確保。
- 価格: 大幅にアップしたが、それに見合うだけの、あるいはそれ以上の価値と進化が詰め込まれている。
アクアは、その名の通り、日本の自動車市場に再び新鮮な「水」を注ぎ、コンパクトカーの新たな流れを生み出す存在となるでしょう。 このレビューが、あなたのクルマ選びの一助となれば幸いです。