モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、フルモデルチェンジ級のビッグマイナーチェンジを遂げた新型アクアの「リセールバリュー」がどうなるのか、非常に気になっていることでしょう。 私も実際にこの新型アクアを所有し、その進化に驚いている一人なので、皆さんが気になる気持ちはよくわかります。

引用 : トヨタHP (https://toyota.jp/aqua/grade/)
「最近のトヨタ車はリセールが良いって聞くけど、新型アクアも本当にそうなの?」 「購入するなら、どのグレードやカラーが一番損しないんだろう?」
そんな疑問が頭をよぎりますよね。
ご安心ください。 この記事を読み終える頃には、新型アクアのリセールバリューに関するあなたの疑問がすべて解決しているはずです。
記事のポイント
- フルモデルチェンジ級の変更点と商品価値
- 新型アクアのリセールバリュー徹底予測
- 売却時に損しないグレードとオプション選び
- ヤリスやフィットなどライバル車との比較

新しい車に乗り換える際、今乗っている愛車をどれだけ高く売却できるかは、次の車の選択肢にも大きく影響します。
私自身、一括見積もりサイトを活用したことで、ホンダヴェゼルからレクサスRXに乗り換えることができました。
新型アクアの進化点|フルモデルチェンジ級の改良内容
まず結論から言うと、2025年9月に行われた今回の一部改良は、もはや「ビッグマイナーチェンジ」あるいは「フルモデルチェンジ」と呼ぶにふさわしい、劇的な進化を遂げています。 この商品価値の向上が、リセールバリューを語る上で最も重要な土台となります。

引用 : トヨタHP (https://toyota.jp/aqua/grade/)
エクステリアデザイン|ミニプリウスとも呼べる先進的な「ハンマーヘッド」採用
最大の変更点は、何と言ってもフロントフェイスです。 最新のプリウスやクラウンにも採用されているトヨタのデザイン言語「ハンマーヘッド」が導入され、従来のアクアが持っていた丸みを帯びた親しみやすいイメージから、シャープで先進的な印象へと一変しました。
これは、まるで夏休み明けに会った友人が別人のように大人びていた、というレベルの変化ではありません。 もはや別人です。 「ミニプリウス」と呼んでも過言ではないほどの変貌ぶりで、旧型オーナーが嫉妬してしまうほどのカッコよさを手に入れました。
グレードによるフロントデザインの違い
- Zグレード: 左右のヘッドライトを繋ぐように「センターライト」が点灯。一文字に光るシームレスなデザインが非常に未来的です。ラジエーターグリルなどもピアノブラック塗装となり、高級感が際立ちます。
- X, Gグレード: センター部分はシルバーガーニッシュとなり、グリルも樹脂製ですが、ヘッドライト自体は全グレードでフルLEDが標準装備されており、機能面での見劣りはありません。
リアデザインも、テールライト間を繋ぐブラックのガーニッシュが追加され、ワイド&ローな印象が強まりました。 ドアミラーやシャークフィンアンテナがブラックで統一されるなど、細部にわたってスポーティな演出が施されています。
インテリアと装備|質感と利便性が大幅向上
エクステリアほどの劇的な変化はないものの、インテリアの質感と装備内容は大幅にアップグレードされています。 特に、ユーザーからの要望が多かったであろう点が的確に改善されているのがポイントです。
全グレード共通の大きな改良点
- 電動パーキングブレーキ&ブレーキホールドの採用: 従来モデルの足踏み式パーキングブレーキは、正直なところ古臭さを感じる部分でした。 これが全グレードで電動化され、信号待ちなどで便利なブレーキホールド機能(メモリー機能付き)も搭載されたのは、今回の改良における最大のトピックの一つです。 日常の運転が格段に快適になります。
- 7インチ液晶ディスプレイメーター: こちらも全グレードで標準装備。 旧型の4インチから大幅に大型化し、視認性と先進性が大きく向上しました。 シエンタなどにも採用されている最新のメーターです。
- ディスプレイオーディオ標準装備: X、Gグレードには8インチ、Zグレードには10.5インチのディスプレイオーディオが標準で搭載されます。 Apple CarPlayやAndroid Autoにも対応しており、ナビ機能で困ることはないでしょう。
- 安全装備の大幅アップデート: 予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」が最新世代に進化。 交差点での右左折時や出会い頭の衝突回避支援、ドライバーの異常を検知して停車するシステムなど、機能が大幅に拡充されました。 さらに、前後方のドライブレコーダーやETC2.0も全グレードで標準装備という大盤振る舞いです。 「安全をお金で買った」と思えば、車両価格の上昇も納得できる内容です。
パワートレインと走行性能|熟成のハイブリッドシステム
パワートレインは1.5Lのハイブリッドシステムを継続して搭載しています。 しかし、世界初の「バイポーラ型ニッケル水素電池」の採用により、アクセル操作に対するレスポンスが向上し、EV走行できる領域も拡大しています。
実際に運転してみると、モーターによるアシストが非常にスムーズかつ力強く、街乗りではまるでEVのように静かに走ることができます。 「快感ペダル」を選択すれば、アクセルペダルの操作だけで速度調整がしやすくなり、ワンペダル感覚での運転も可能です。 燃費性能は言わずもがなトップクラスで、カタログ値ではリッター30kmを超えてきます。 この経済性の高さは、アクアの根強い人気を支える大きな要因です。
新型アクアのリセールバリューを徹底予測
さて、ここからが本題です。 これほどまでに魅力的に進化した新型アクアですが、そのリセールバリューは本当に期待できるのでしょうか。 様々な角度から徹底的に分析・予測していきます。

引用 : トヨタHP (https://toyota.jp/aqua/grade/)
そもそもリセールバリューとは?
リセールバリューとは、新車で購入した車を数年後に中古車として売却する際の「再販価値」のことを指します。 この価値が高い車ほど、購入時の価格と売却時の価格の差が小さくなるため、実質的な負担額を抑えることができます。
計算式: リセールバリュー(残価率) = 買取価格 ÷ 新車価格 × 100
例えば、300万円で購入した車の3年後の買取価格が210万円だった場合、リセールバリューは70%となります。 車を資産として考え、賢く乗り換えていきたい方にとって、このリセールバリューは車両選びの非常に重要な指標となるのです。
トヨタ車全体のリセールバリューが高い理由
まず大前提として、「最近のトヨタ車はリセールが良い」という世間の認識は間違いではありません。 その理由はいくつかあります。
- 圧倒的なブランド信頼性: 「壊れにくい」「安心」というイメージが国内外で確立されています。中古車を購入するユーザーにとっても、この安心感は大きな魅力です。
- 海外での絶大な人気: 特に東南アジアや中東、アフリカなどでは「TOYOTA」ブランドは絶大な信頼を得ています。国内で役目を終えた車両が海外へ輸出される際の需要が非常に高く、中古車相場全体を押し上げています。
- 部品供給の安定性: 世界中にネットワークがあるため、修理やメンテナンスに必要な部品が手に入りやすい点も、中古車市場での価値を安定させています。
- 普遍的なデザイン: 奇抜すぎず、多くの人に受け入れられるデザインを採用する傾向があり、年数が経っても古臭く感じにくいモデルが多いのも特徴です。
これらの要因が複雑に絡み合い、トヨタ車は他メーカーに比べて高いリセールバリューを維持する傾向にあるのです。
新型アクアのリセールが高くなるポジティブ要因
上記のトヨタ車全体の強みに加え、今回の新型アクアにはリセールバリューを押し上げるであろう多くのポジティブな要因が存在します。
1. フルモデルチェンジ級のデザイン変更
ハンマーヘッドデザインの採用により、見た目の鮮度が非常に高くなりました。 これは数年後に売却する際、「型落ち感」が出にくいことを意味します。 中古車市場ではデザインの古さが価格に直結するため、これは非常に大きなアドバンテージです。
2. 全グレードで充実した標準装備
電動パーキングブレーキ、大型メーター、ディスプレイオーディオ、前後ドラレコ、ETC2.0といった人気装備が全グレードで標準化されました。 これにより、最も安価なXグレードでも「全部付き」の状態であり、中古車としての魅力が底上げされています。
3. クラスを超えた質感
Gグレード以上ではインパネやドアトリムにステッチ付きの合成皮革が採用されるなど、内装の質感が大幅に向上しました。 旧型で指摘されがちだった「チープさ」を払拭し、ヤリスとの明確な差別化に成功しています。 この「プレミアムコンパクト」という立ち位置は、中古車市場でも高く評価されるでしょう。
4. 圧倒的な燃費性能
ガソリン価格が高騰する中で、リッター30kmを超える圧倒的な低燃費は、新車・中古車を問わず強力なセールスポイントです。 維持費を抑えたいと考える中古車ユーザーからの需要は、今後も安定して高いレベルで推移することが確実です。
新型アクアのリセールに影響するかもしれないネガティブ要因
もちろん、懸念点が全くないわけではありません。 客観的な視点から、リセールに影響を与える可能性のある要因も見ておきましょう。
1. 大幅な車両価格の上昇
装備が充実した分、車両価格も旧型に比べて30万円以上上昇しました。 最も安いXグレードでも約249万円からと、コンパクトカーとしては高価な部類に入ります。 新車価格が高いと、数年後の下落額も大きくなる可能性がある点は考慮が必要です。
2. ヤリスハイブリッドという強力なライバル
同じトヨタ内に、アクアと人気を二分するヤリスハイブリッドが存在します。 ヤリスも非常にリセールバリューが高いモデルであり、購入層が一部競合します。 ただし、前述の通り、アクアは今回の改良で「質感」や「後席の広さ」といった点でヤリスとの差別化を図っており、独自のポジションを築いています。
結論:新型アクアのリセールバリューは「非常に期待できる」
上記のポジティブ要因とネガティブ要因を総合的に判断すると、新型アクアのリセールバリューは**「歴代モデル以上に高くなる可能性が極めて高い」**と予測できます。
大幅な価格上昇という懸念点はありますが、それを補って余りあるほどのデザインの刷新と装備の充実が実現されています。 これは、数年後の中古車市場において、旧型や他社のライバル車に対して圧倒的な競争力を持つことを意味します。 特に3年後、5年後の残価率は、コンパクトカークラスでトップレベルになることは間違いないでしょう。
リセールバリューを最大化する!新型アクア購入ガイド
では、実際に新型アクアを購入するにあたり、どうすればリセールバリューを最大化できるのでしょうか。 私がオーナーとして、そしてジャーナリストとして分析した「損しない選び方」を具体的にお教えします。

引用 : トヨタHP (https://toyota.jp/aqua/grade/)
グレード選びのポイント|狙い目は「Z」一択
リセールバリューを最優先するなら、結論から言って最上級グレードの「Z」を選ぶのが最も賢明です。
グレード | 新車価格(2WD) | 主な特徴 | リセール期待度 |
---|---|---|---|
Z | 2,824,800円 | 10.5インチナビ、アルミホイール、センターライト等、豪華装備が標準 | ★★★★★ |
G | 2,654,300円 | 分離型ヘッドレスト、内装の質感向上、コスパのバランスが良い | ★★★★☆ |
X | 2,486,000円 | ヘッドレスト一体型シート、基本装備は充実 | ★★★☆☆ |
なぜ「Z」が有利なのか?
中古車市場では、その車種の最上級グレードが最も人気を集める傾向にあります。 「Z」は、見た目の差別化(センターライト、ピアノブラック加飾、アルミホイール)が明確で、10.5インチの大型ディスプレイオーディオも標準装備。 「どうせ買うなら一番良いものを」という中古車ユーザーの心理に最もマッチします。
Gグレードも内装の質感が向上しバランスは良いのですが、Zグレードとの価格差(約17万円)以上に、売却時の査定額の差が大きくなる可能性があります。 Xグレードはヘッドレスト一体型のシート(通称:シャモジシート)である点が、個人ユーザーからは敬遠されがちで、主に法人需要やレンタカー向けという側面が強いため、リセール面では不利になりやすいでしょう。
ボディカラー選びのポイント|王道の2色が無難
ボディカラーは査定額に大きく影響します。 リセールを考えるなら、以下の2色から選ぶのが鉄則です。
- プラチナホワイトパールマイカ (有料色: 33,000円)
- ブラックマイカ
この2色は、性別や年齢を問わず誰もが好む定番カラーであり、中古車市場で最も需要が高い色です。 有料色であっても、プラチナホワイトパールマイカは売却時にその費用を回収できる可能性が非常に高いです。
今回、新色の「マットアース」や「グレイッシュブルー」といった魅力的なカラーも追加されましたが、これらは好みが分かれるため、リセールでは不利に働く可能性があります。 車は個性の表現でもありますが、「損しない」という観点を最優先するならば、白か黒を選ぶのがセオリーです。
オプション選びのポイント|価値が落ちないメーカーオプションを厳選
後付けできないメーカーオプションは、中古車としての価値を高める重要な要素です。 以下のオプションは、リセールを考えても付けておく価値が高いでしょう。
1. 合成皮革+コンフォートパッケージ (Zグレード用: 62,700円)
これは非常におすすめのオプションです。 シートが上質な合成皮革+ファブリックのコンビシートになるだけでなく、以下の快適装備がセットになります。
- ステアリングヒーター
- シートヒーター(運転席・助手席)
- 運転席6ウェイパワーシート
- 助手席シートバックポケット
- 助手席シートアンダートレイ
6万円強の投資で、見た目の高級感と冬場の快適性が格段に向上します。 特にパワーシートやシートヒーターは中古車市場での人気が高く、査定額アップに直結しやすい装備です。
2. 16インチアルミホイール (Zグレード 2WD用: 39,600円)
標準の15インチでもアルミホイールですが、このオプションを選ぶとダーククリア切削光輝+ブラック塗装のスポーティなデザインに変わります。 車の印象が大きく変わり、足元が引き締まるため、見た目を重視するユーザーからの評価が高くなります。 費用対効果の高いオプションと言えるでしょう。
3. パノラミックビューモニター(床下透過表示機能付)
Gグレードまではオプションですが、駐車が苦手な方には必須の装備です。 安全装備は中古車でも重視されるため、プラス査定が期待できます。 Zグレードには標準装備されている点も、「Z」が有利な理由の一つです。
駆動方式(2WD vs 4WD)|ほとんどの地域では2WDが有利
新型アクアには2WDと4WD(E-Four)が設定されており、価格差は約20万円です。 リセールバリューの「率」で考えると、降雪地帯にお住まいでない限りは2WDの方が有利です。
4WDは確かに雪道での安定性が増しますが、その需要は地域が限定されます。 一方で、2WDは燃費性能で勝り、車両価格も安いため、全国的に見れば需要が高いです。 20万円の価格差を売却時に回収するのは難しいため、必要性がなければ2WDを選ぶのが経済的です。
ライバル車とのリセールバリュー比較
最後に、新型アクアを検討する上で気になるライバル車とリセールバリューを比較してみましょう。
車種 | 特徴 | リセール期待度 |
---|---|---|
トヨタ 新型アクア | プレミアムコンパクト。質感、静粛性、先進装備でリード。 | ★★★★★ |
トヨタ ヤリスHV | 軽快な走りと低燃費。パーソナルユースに強い。 | ★★★★★ |
ホンダ フィットe:HEV | 広い室内空間と独自の2モーターHV。使い勝手が良い。 | ★★★☆☆ |
日産 ノートe-POWER | モーター駆動による独特の走行フィールと静粛性。 | ★★★☆☆ |
トヨタ ヤリスハイブリッド
最も直接的なライバルであり、リセールバリューもアクアと同等に非常に高いレベルです。 キャラクターとしては、ヤリスが「走りの楽しさ」や「パーソナル感」を重視しているのに対し、アクアは今回の改良で「上質さ」「後席を含めた快適性」に舵を切りました。 どちらも高いリセールが期待できますが、よりプレミアムな内外装を持つ新型アクアは、今後ヤリスを上回る評価を得る可能性も十分にあります。
ホンダ フィットe:HEV / 日産 ノートe-POWER
フィットの圧倒的な室内空間の広さや、ノートのe-POWERがもたらす唯一無二の走行体験は、それぞれに大きな魅力があります。 しかし、ことリセールバリューに関しては、残念ながらトヨタの2台には及ばないのが現状です。 これは、前述したトヨタのブランド力や海外需要の差が大きく影響しています。 数年後の売却額まで含めたトータルコストで考えると、アクアやヤリスに軍配が上がります。
まとめ
今回のレビューをまとめます。
2025年9月にビッグマイナーチェンジを受けた新型アクアは、フルモデルチェンジと呼べるほどの劇的な進化を遂げました。 先進的なデザイン、クラスを超えた内外装の質感、そして大幅に充実した安全・快適装備により、その商品価値は飛躍的に向上しています。
これらの点から、新型アクアのリセールバリューは、歴代モデルや現行のライバル車と比較しても、トップクラスになることが確実視されます。 売却時に損をしたくない、賢く車を乗り換えたいという方にとって、これ以上ないほど魅力的な選択肢と言えるでしょう。
そして、その価値を最大化するためには、
- グレード:Z
- カラー:プラチナホワイトパールマイカ or ブラックマイカ
- オプション:合成皮革+コンフォートパッケージ、16インチアルミホイール
この組み合わせが、現時点での「最適解」だと私は考えます。
私もオーナーの一人として、この新型アクアの完成度の高さには日々感心させられています。 単に経済的なだけでなく、所有する喜びも満たしてくれる一台です。 このレビューが、あなたの後悔しない車選びの一助となれば幸いです。