モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、2025年9月にビッグマイナーチェンジを遂げた新型アクアの、リアルな年間維持費が気になっているのではないでしょうか。 私も実際にこの新型アクアを所有しており、その優れた燃費性能や進化したデザイン、装備には日々満足しています。

引用 : トヨタHP (https://toyota.jp/aqua/grade/)
しかし、車を所有する上で避けては通れないのが維持費の問題です。 「実際のところ、年間でどれくらいかかるの?」という疑問を持つのは当然のこと。 私も購入前には入念にシミュレーションしましたので、その気になる気持ちはよくわかります。
この記事を読み終える頃には、新型アクアの維持費に関するあらゆる疑問が解決し、具体的なカーライフのイメージが湧いているはずです。
記事のポイント
- 新型アクアにかかる年間維持費の具体的な内訳
- 走行距離や使い方に応じた詳細な費用シミュレーション
- オーナーだからこそ伝えられる維持費を賢く抑える節約術
- ライバル車との維持費比較でわかるアクアの経済性

新しい車に乗り換える際、今乗っている愛車をどれだけ高く売却できるかは、次の車の選択肢にも大きく影響します。
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新型アクアの年間維持費はいくら?内訳を徹底解説
早速ですが、新型アクアを維持するために必要な費用の内訳を見ていきましょう。 車にかかる費用は、大きく分けて「税金」「保険料」「メンテナンス費用」「燃料代」「その他」に分類できます。 ここでは、それぞれの項目について、具体的な金額を挙げながら詳しく解説していきます。 なお、シミュレーションのベース車両は、最も人気の高い「Z」グレード(2WD)とします。

引用 : トヨタHP (https://toyota.jp/aqua/grade/)
自動車税(種別割):年間30,500円
自動車税は、毎年4月1日時点の車の所有者に課せられる税金です。 税額はエンジンの排気量によって決まります。 新型アクアは全グレードで1,490cc(1.5L)のエンジンを搭載しているため、「1L超~1.5L以下」の区分に該当します。 したがって、年間の自動車税額は30,500円となります。
エコカー減税の恩恵は?
新型アクアは優れた環境性能を誇るため、エコカー減税の対象となります。 これにより、新車購入翌年度の自動車税が75%減税され、約7,700円まで軽減されます。 2年目以降は通常の30,500円に戻りますが、初年度の負担が軽くなるのは嬉しいポイントです。
自動車重量税:車検時に支払い(エコカー減税で免税も)
自動車重量税は、その名の通り車両の重さに応じて課される税金で、新車購入時と車検時に支払います。 アクアの車両重量はグレードによって多少異なりますが、おおむね1,130kg~1,180kgの範囲に収まるため、「1t超~1.5t以下」の区分に該当します。 本来であれば、このクラスの自家用車(2年)の重量税は24,600円です。
しかし、ここでもエコカー減税が大きく貢献します。 新型アクアは「2030年度燃費基準125%達成車」という非常に高い環境性能をクリアしているため、**新車登録時および初回車検時の重量税が100%免税(0円)**となります。 つまり、購入から5年間は重量税の負担が一切ありません。 これは維持費を考える上で非常に大きなメリットと言えるでしょう。
2回目以降の車検時(購入から7年目以降)は、減税措置が適用されない場合、24,600円が必要となります。
自賠責保険料:車検時に2年間分を支払い
自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)は、法律で加入が義務付けられている強制保険です。 交通事故の被害者救済を目的としており、対人賠償のみが補償対象です。 保険料は車種による違いはなく、期間によって定められています。 通常、車検時に次の車検までの24ヶ月分をまとめて支払います。 2025年現在の保険料は、**17,540円(24ヶ月)**です。
任意保険料:年齢や等級で大きく変動
自賠責保険だけではカバーできない対物事故や自身のケガ、車両の損害などに備えるのが任意保険です。 保険料は、年齢、運転免許証の色、ノンフリート等級、車両保険の有無、補償内容などによって大きく変動するため、一概に「いくら」とは言えません。 しかし、おおよその目安がないと計画が立てづらいと思いますので、いくつかのパターンでシミュレーションしてみましょう。
年齢条件 | 免許の色 | ノンフリート等級 | 車両保険 | 年間保険料(目安) |
---|---|---|---|---|
20代 | ブルー | 6等級(新規) | あり(一般) | 約150,000円 |
30代 | ゴールド | 15等級 | あり(一般) | 約65,000円 |
40代 | ゴールド | 20等級 | あり(一般) | 約45,000円 |
50代 | ゴールド | 20等級 | なし | 約25,000円 |
このように、条件によって10万円以上の差が出ることがわかります。 特に初めて車を所有する若い世代は保険料が高くなる傾向にありますが、安全運転を続けて等級が上がれば、年々負担は軽くなっていきます。 新型アクアは最新の安全装備「トヨタセーフティセンス」が全車標準装備されているため、一部の保険会社では「ASV割引(先進安全自動車割引)」が適用され、保険料が数%割引になるケースもあります。
ガソリン代:驚異の燃費で家計に優しい
ハイブリッドカーであるアクアの最大の魅力は、なんといってもその燃費性能です。 今回のマイナーチェンジで搭載された「バイポーラ型ニッケル水素電池」は、エネルギーの出し入れが非常にスムーズで、EV走行領域が拡大しました。 これにより、カタログ燃費(WLTCモード)はグレードによりますが33.6km/L~34.3km/Lと、クラストップレベルの数値を実現しています。

引用 : トヨタHP (https://toyota.jp/aqua/grade/)
では、年間の走行距離に応じてガソリン代がどれくらいになるか計算してみましょう。 ここでは実燃費をカタログ燃費の80%(約27km/L)、レギュラーガソリンの価格を170円/Lと仮定します。
年間走行距離 | 年間消費ガソリン量 | 年間ガソリン代 | 月々のガソリン代 |
---|---|---|---|
5,000km | 約185L | 約31,450円 | 約2,620円 |
10,000km | 約370L | 約62,900円 | 約5,240円 |
15,000km | 約556L | 約94,520円 | 約7,870円 |
年間10,000km走行しても、月々のガソリン代が5,000円台に収まるというのは、驚異的な経済性です。 私の乗り方(市街地走行がメイン)でも、メーターの平均燃費は常に25km/L以上をキープしており、給油の回数が本当に少なくて済むので、維持費の安さを最も実感できるポイントです。
車検費用:初回は5年後、法定費用が安価
新車で購入した場合、最初の車検は3年後、以降は2年ごとに受ける必要があります。 しかし、前述の通り、新型アクアは初回車検時の重量税が免税となるため、法定費用をかなり抑えることができます。
初回車検(新車購入から3年後)の費用目安
- 自賠責保険料(24ヶ月):17,540円
- 自動車重量税:0円(免税)
- 印紙代:約1,800円
- 車検基本料・整備費用:約30,000円~60,000円
- 合計:約49,340円~79,340円
2回目以降の車検(5年後、7年後…)の費用目安
- 自賠責保険料(24ヶ月):17,540円
- 自動車重量税(2年):24,600円 ※
- 印紙代:約1,800円
- 車検基本料・整備費用:約40,000円~80,000円(交換部品により変動)
- 合計:約83,940円~123,940円
※7年目以降、エコカー減税の対象外となった場合の金額です。
車検基本料や整備費用は、依頼する業者(ディーラー、車検専門店、ガソリンスタンドなど)によって大きく異なります。 ディーラーは純正部品を使用し、専門的な診断機でチェックするため安心感が高いですが、費用は高めになる傾向があります。 費用を抑えたい場合は、複数の業者から見積もりを取ることをお勧めします。
メンテナンス費用:定期的な交換で快調を維持
車を長く安全に乗り続けるためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。 主な消耗品とその交換時期、費用の目安は以下の通りです。
エンジンオイル・オイルフィルター
エンジンを保護し、性能を維持するために最も重要なメンテナンスです。
- 交換時期:5,000km~10,000km走行ごと、または半年に1回
- 費用(オイル交換):約4,000円~8,000円
- 費用(オイルフィルター交換):約1,500円~3,000円(オイル交換2回に1回が目安) 年間にすると、約8,000円~16,000円程度を見ておくと良いでしょう。
タイヤ
アクアの純正タイヤサイズはグレードにより15インチまたは16インチです。
- 交換時期:3年~5年、または走行距離30,000km~40,000kmが目安
- 費用(4本交換):
- 15インチ(185/65R15):約40,000円~70,000円
- 16インチ(195/60R16):約50,000円~90,000円 4年に1回交換すると仮定すると、年間の費用は約10,000円~22,500円となります。 燃費性能に優れたエコタイヤを選ぶと、交換費用は少し高くなりますが、日々のガソリン代で元が取れる場合もあります。
バッテリー
アクアには、ハイブリッドシステムを動かす「駆動用バッテリー」と、電装品に電力を供給する「補機バッテリー」の2種類が搭載されています。
- 補機バッテリー
- 交換時期:3年~5年
- 費用:約20,000円~40,000円
- 駆動用バッテリー
- 寿命:非常に長く、基本的には交換の心配は不要です。
- 保証:新車から5年間、または走行距離10万kmまでの特別保証が付いています。
- 交換費用(万が一の場合):約15万円~20万円 通常、メンテナンス費用として考慮するのは「補機バッテリー」の方です。 4年に1回交換すると仮定した場合、年間の負担額は約5,000円~10,000円です。
その他消耗品
- ワイパーゴム:年に1回交換(約2,000円~4,000円)
- エアコンフィルター:年に1回交換(約3,000円~6,000円)
- ブレーキフルード:2年に1回(車検時)交換(約5,000円~10,000円)
- ウォッシャー液:都度補充(年間 約1,000円)
これらを合計すると、年間のメンテナンス費用は約30,000円~50,000円程度が目安となります。
【年間総額】新型アクアの維持費シミュレーションまとめ

引用 : トヨタHP (https://toyota.jp/aqua/grade/)
それでは、これまで解説してきた項目を合計して、年間の総維持費がいくらになるのかをシミュレーションしてみましょう。 ここでは、30代ゴールド免許の方が、任意保険(車両保険あり)に加入し、新車購入後2年目以降(自動車税が通常額に戻った後)の費用を想定します。 駐車場代は含まれていませんので、必要な方は別途加算してください。
費用項目 | 年間走行距離 5,000km | 年間走行距離 10,000km | 年間走行距離 15,000km |
---|---|---|---|
自動車税 | 30,500円 | 30,500円 | 30,500円 |
任意保険料 | 65,000円 | 65,000円 | 65,000円 |
ガソリン代 | 31,450円 | 62,900円 | 94,520円 |
メンテナンス費用 ※1 | 40,000円 | 40,000円 | 40,000円 |
車検費用積立 ※2 | 42,000円 | 42,000円 | 42,000円 |
年間維持費 合計 | 208,950円 | 240,400円 | 272,020円 |
月々の維持費 | 約17,413円 | 約20,033円 | 約22,668円 |
※1 オイル、タイヤ、バッテリー、その他消耗品を平均した概算費用です。 ※2 2回目以降の車検費用(約84,000円と仮定)を2年で割った積立額です。
シミュレーションの結果、新型アクアの年間維持費は年間走行距離10,000kmの場合で約24万円、月々に換算すると約2万円ということがわかりました。 これには車両本体のローンなどは含まれていませんが、最新の安全性能を備えた新車をこのコストで維持できるのは、非常に経済的だと言えるでしょう。
オーナーが実践!新型アクアの維持費を賢く抑える節約術

引用 : トヨタHP (https://toyota.jp/aqua/grade/)
シミュレーションで示した金額はあくまで目安です。 工夫次第で、これらの費用はさらに抑えることが可能です。 ここでは、私が実際に実践している、またはお勧めする節約術をいくつかご紹介します。
任意保険は毎年見直すのが鉄則
任意保険は、同じ補償内容でも保険会社によって保険料が大きく異なります。 いわゆる「代理店型」は手厚いサポートが魅力ですが、「ダイレクト型(ネット保険)」は中間コストを削減している分、保険料が安い傾向にあります。 毎年、契約更新のタイミングで複数の会社から見積もりを取る「相見積もり」を行うだけで、年間数万円の節約につながることも珍しくありません。
燃費を意識したエコドライブを徹底する
アクアの優れた燃費性能を最大限に引き出すには、ドライバーの運転の仕方も重要です。
- ふんわりアクセル:急発進を避け、モーターの力を活かして滑らかに加速する。
- 早めのアクセルオフ:先の信号が赤なら早めにアクセルを離し、回生ブレーキで効率よく充電する。
- 一定速度での走行:不要な加減速を減らす。
- タイヤの空気圧を適正に保つ:空気圧が低いと燃費が悪化します。月に一度はチェックしましょう。
これらの小さな積み重ねが、年間のガソリン代に大きな差を生み出します。 アクアにはエコドライブをサポートする機能も搭載されているので、ゲーム感覚で楽しむのも良いでしょう。
メンテナンスは信頼できる専門家を見つける
車検や定期メンテナンスは、ディーラーに任せれば安心ですが、費用は高くなりがちです。 費用を抑えたい場合は、カー用品店や、知人から紹介してもらった信頼できる民間の整備工場などを活用するのも一つの手です。 ただし、ハイブリッドシステムの点検など、専門的な知識が必要な作業もあるため、ハイブリッド車に詳しい整備工場を選ぶことが重要です。
タイヤは専門通販サイトで購入する
タイヤ交換はメンテナンス費用の中でも大きな割合を占めます。 店舗で購入・交換するよりも、インターネットのタイヤ専門通販サイトで購入し、提携している取り付け店に直送して交換してもらう「持ち込み交換」を利用すると、費用を大幅に節約できる場合があります。 様々なメーカーのタイヤを比較検討できるのもメリットです。
まとめ
今回は、ビッグマイナーチェンジを果たした新型アクアの年間維持費について、ジャーナリスト兼オーナーという視点から徹底的に解説しました。
シミュレーションの結果、月々の維持費は約1.7万円~2.3万円という、非常に経済的な水準であることがお分かりいただけたかと思います。 これは、クラストップレベルの燃費性能と、エコカー減税による税金の優遇措置が大きく貢献しています。
もちろん、これはあくまで一つの目安であり、駐車場代や高速道路料金、そして何より車両本体の購入費用が別途必要になります。 しかし、日々のランニングコストをこれだけ低く抑えられるアクアは、初めて車を持つ方から、燃費の悪い車からの乗り換えを検討している方まで、幅広い層にお勧めできる一台です。
今回のマイナーチェンジで、アクアは単なる「燃費の良いコンパクトカー」から、先進的なデザインと上質な内外装、そして最新の安全装備を備えた「小さな高級車」へと進化を遂げました。 その魅力を、この優れた経済性が力強く後押ししています。 この記事が、あなたのカーライフの素晴らしい第一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。