モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、憧れの「横浜ナンバー」や「品川ナンバー」をどうにかして取得できないか、その具体的な方法が気になっているのではないでしょうか。 私も仕事柄、複数の車を所有しており、その中にはもちろん人気の品川ナンバーの車もあります。

一方で、郊外にガレージを借りているため、いわゆる「残念なナンバー」と揶揄される地域のナンバープレートが付いた車も所有しています。 だからこそ、ナンバープレート一つで車の印象が大きく変わってしまうこと、そして「できればカッコいいナンバーを付けたい」というお気持ちは痛いほどよくわかります。
この記事を読み終える頃には、横浜ナンバーや品川ナンバーといった人気地域のナンバーを取得するための具体的な方法と、それに伴う注意点についての疑問が解決しているはずです。
記事のポイント
- 自動車ナンバーの地域名が決定する基本原則
- 人気ナンバーを取得するための現実的な3つの方法
- 各方法の実現難易度とメリット・デメリット
- ナンバー取得時に絶対にしてはいけない違法行為

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自動車ナンバーの基本と人気ナンバーが存在する理由

憧れのナンバーを取得する方法を解説する前に、まずは自動車のナンバープレートがどのようなルールで交付されるのか、そしてなぜ「品川」や「横浜」といった特定の地域名が人気を集めるのか、その背景にある基本からおさらいしていきましょう。 この仕組みを理解することが、後ほど解説する方法の根幹に関わってきます。
そもそも自動車ナンバー(ナンバープレート)とは?役割を解説
私たちが普段何気なく目にしている自動車のナンバープレートは、正式名称を「自動車登録番号標」および「車両番号標」といいます。 これは道路運送車両法に基づき、自動車が保安基準に適合していることを証明する「自動車検査証(車検証)」の交付を受けた証として、公道を走行するすべての自動車(※一部例外を除く)に取り付けが義務付けられているものです。
ナンバープレートには、その車両を識別するための重要な情報が記載されており、大きく分けて以下の4つの役割を担っています。
- 車両の識別と所有者の特定 ナンバープレートは「車の身分証明書」とも言えます。 一台一台に固有の番号が割り当てられており、国(運輸支局)に登録された車両情報と紐づいています。 これにより、交通事故や犯罪が発生した際に、車両の所有者や使用者を迅速に特定することが可能です。
- 自動車税の納付管理 自動車の所有者は、毎年「自動車税(種別割)」または「軽自動車税(種別割)」を納める義務があります。 ナンバープレートの情報は、各地方自治体が納税義務者を把握し、適切に課税するための基礎データとして活用されています。
- 交通違反の取り締まり スピード違反の自動取り締まり装置(オービス)や、駐車違反の取り締まりなど、様々な交通違反の捜査において、ナンバープレートの情報は決定的な証拠となります。
- 自動車保険(自賠責保険・任意保険)の管理 自動車保険の加入手続きや、保険金の請求時にも、車両を正確に特定するためにナンバープレートの情報が使用されます。
このように、ナンバープレートは単なる飾りではなく、日本の自動車社会の秩序を維持するために不可欠な、極めて重要な役割を果たしているのです。
ナンバーが決まる仕組み|「使用の本拠の位置」がすべて
では、ナンバープレートに表示される地域名、いわゆる「ご当地ナンバー」は、一体どのようにして決まるのでしょうか。 好きな地名を選べると思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、答えは明確に「NO」です。
ナンバープレートの地名は、**「使用の本拠の位置」**によって機械的に決まります。 これは、自動車を保管する場所(車庫)を管轄する運輸支局または自動車検査登録事務所の所在地名が適用されるというルールです。
「使用の本拠の位置」とは?
- 個人の場合: 実際に居住している場所(住民票の住所)
- 法人の場合: 事業所の所在地
つまり、東京都八王子市にお住まいの方が車を購入した場合、八王子市を管轄する「多摩自動車検査登録事務所」が交付する**「八王子ナンバー」**(※2020年5月以降)が付与される、という仕組みです。 どんなに「品川ナンバーが良い」と願っても、八王子市に住んでいる限り、原則として品川ナンバーを取得することはできません。
この「使用の本拠の位置」という原則が、人気ナンバー取得の最大の障壁であり、同時に、これから解説する方法を考える上での最も重要なキーワードとなります。
なぜ地域によってナンバーのイメージが違うのか?
ナンバープレートの地名は、単に行政上の管轄区域を示しているに過ぎません。 それにもかかわらず、私たちは特定の地名に対して「カッコいい」「おしゃれ」「お金持ちそう」あるいは「ダサい」「田舎っぽい」といった、様々なイメージを抱いてしまいます。 これは一体なぜなのでしょうか。
理由は大きく分けて2つ考えられます。
- 地名そのものが持つブランドイメージ 「品川ナンバー」の管轄区域には、港区や千代田区、中央区、渋谷区といった、日本を代表する都心部や高級住宅街が多く含まれています。 同様に、「横浜ナンバー」にはみなとみらいや山手といった洗練されたエリアが、「神戸ナンバー」には芦屋や西宮といった高級住宅街が含まれます。 これらの地域が持つ「富裕層が多い」「地価が高い」「おしゃれな街」といったブランドイメージが、そのままナンバープレートのイメージに投影されているのです。 高級車に品川ナンバーが付いているのを見かける機会が多ければ、自然と「品川ナンバー=高級」というイメージが刷り込まれていくわけです。
- メディアやSNSによるイメージの増幅 テレビドラマや映画、雑誌などで、富裕層の登場人物が乗る車には決まって品川ナンバーが付いている、といった演出を見たことはないでしょうか。 また、SNS上では「ナンバープレート格付け」「ダサいナンバーランキング」といったコンテンツが頻繁に話題になります。 こうしたメディアやコミュニティを通じて、特定のナンバープレートに対するステレオタイプなイメージが増幅・再生産され、人々の共通認識として定着していくのです。
もちろん、これらのイメージはあくまで主観的なものであり、ナンバープレートの地名でその人の人格や運転マナーが決まるわけでは決してありません。 しかし、愛車に対するこだわりが強い方ほど、こうしたイメージを気にしてしまうのも、また事実なのでしょう。
人気ナンバーランキング|やはり品川、横浜、神戸がトップクラス
では、実際にどの地域のナンバーが「人気」とされているのでしょうか。 様々なメディアで調査が行われていますが、おおむね以下のようなナンバーが上位の常連となっています。
順位 | ナンバー | 主な管轄区域(例) | 人気の理由(イメージ) |
---|---|---|---|
1位 | 品川 | 千代田区、中央区、港区、品川区、渋谷区など | 高級、都会的、ステータス |
2位 | 横浜 | 横浜市、横須賀市、鎌倉市など | おしゃれ、洗練、港町 |
3位 | 神戸 | 神戸市、芦屋市、西宮市、尼崎市など | 上品、富裕層、ハイセンス |
4位 | 湘南 | 平塚市、藤沢市、茅ヶ崎市、小田原市など | 海、サーフィン、リラックス |
5位 | 富士山 | 富士吉田市、御殿場市、裾野市など | 絶景、日本一、縁起が良い |
6位 | 世田谷 | 世田谷区 | 高級住宅街、落ち着き、洗練 |
7位 | 札幌 | 札幌市、小樽市、千歳市など | 都会的、北海道の中心 |
8位 | 名古屋 | 名古屋市、半田市、津島市など | 経済力、トヨタのお膝元 |
ご覧の通り、やはり「品川」「横浜」「神戸」の三大都市圏ナンバーが不動の人気を誇っています。 また、「湘南」や「富士山」のように、その土地の持つライフスタイルや景観のイメージが人気の源泉となっているケースや、「世田谷」のように比較的新しいご当地ナンバーでありながら、高いブランドイメージで人気となっているケースも見られます。
八王子ナンバーは本当に「ダサい」のか?イメージを考察
今回の相談者様が気にされている「八王子ナンバー」。 残念ながら、SNSなどで「ダサいナンバー」として名前が挙がってしまうことがあるのは事実です。 では、なぜ八王子ナンバーはそのようなイメージを持たれてしまうのでしょうか。
考えられる要因としては、
- 都心からの距離感: 「品川」や「世田谷」といった都心部のナンバーと比較して、「都下」「郊外」というイメージが先行してしまう。
- 他の多摩地域ナンバーとの混同: 八王子ナンバーが導入される以前は、広域の「多摩」ナンバーでした。この「多摩」ナンバー自体が、やや漠然とした郊外のイメージを持たれていた影響も考えられます。
- 一部ドライバーのマナー: これはどの地域にも言えることですが、残念ながら一部のドライバーの運転マナーが、地域全体のイメージとして語られてしまうことがあります。
しかし、これはあくまで相対的なイメージの問題です。 八王子市は高尾山をはじめとする豊かな自然に恵まれ、大学も多く活気のある素晴らしい街です。 ナンバープレートのイメージだけでその価値が損なわれることは決してありません。
とはいえ、毎日乗る愛車だからこそ、細部にまでこだわりたいという気持ちは、車好きとして非常によく理解できます。 前置きが長くなりましたが、ここからはいよいよ、八王子市にお住まいの方が、どうすれば「横浜ナンバー」や「品川ナンバー」を取得できるのか、その具体的な方法を徹底的にレビューしていきます。
人気ナンバーを取得する3つの具体的な方法と詳細レビュー

八王子市にお住まいの方が、横浜ナンバーや品川ナンバーを取得するためには、先ほど説明した**「使用の本拠の位置」**を、希望するナンバーの管轄区域内に設定する必要があります。 そのための方法は、大きく分けて3つ考えられます。 それぞれの方法について、手順、メリット・デメリット、そして実現の難易度と私からのおすすめ度を詳しく見ていきましょう。
【方法1】人気ナンバーエリアに引っ越す(住民票を移す)
最も正攻法かつ確実な方法が、希望するナンバーの管轄区域内に実際に引っ越すことです。 例えば、横浜ナンバーが欲しいのであれば横浜市内に、品川ナンバーが欲しいのであれば港区や渋谷区などに住民票を移し、生活の拠点そのものを移すという方法です。
手順と流れ
- 物件探しと賃貸契約: 希望ナンバーの管轄区域内で、駐車場付きの物件を探し、賃貸契約を結びます。
- 転出・転入届の提出: 現住所(八王子市)の役所で「転出届」を提出し、「転出証明書」を受け取ります。その後、引越し先の市区町村役場で「転入届」を提出し、住民票を移します。
- 運転免許証の住所変更: 新住所を管轄する警察署や運転免許センターで、運転免許証の住所変更手続きを行います。
- 車庫証明の取得: 新住所の駐車場を管轄する警察署で、「自動車保管場所証明書(車庫証明)」を申請し、取得します。
- ナンバープレートの変更手続き: 新住所を管轄する運輸支局に車を持ち込み、車検証の住所変更手続きと、ナンバープレートの変更・交付手続きを行います。
メリットとデメリット
- メリット
- 完全に合法的で最も確実: 法律的に何の問題もなく、堂々と憧れのナンバーを付けることができます。
- 後ろめたさがない: 友人や知人に聞かれても、引越し先を正直に答えることができます。
- デメリット
- 費用と手間が膨大: 引越し費用、新しい住居の契約金、家賃など、数百万円単位の費用がかかる可能性があります。
- ライフスタイルの大幅な変更: 勤務先への通勤や、家族がいる場合は子どもの転校など、生活全体に大きな影響が及びます。
- ナンバーのためだけに実行するのは非現実的: ナンバープレートの取得だけを目的として実行するには、あまりにも代償が大きすぎます。
実現難易度とおすすめ度
- 実現難易度: ★★★★★(極めて高い)
- おすすめ度: ★☆☆☆☆(全くおすすめできない)
この方法が向いている人
- もともと、希望ナンバーの管轄区域への引越しを具体的に検討していた人
- 転勤や進学など、ナンバー以外の明確な理由で引越しが必要な人
言うまでもありませんが、ナンバープレートのためだけに生活のすべてを変えるのは本末転倒です。 あくまで、他の目的で引越しをする際の「副産物」として、憧れのナンバーが手に入ると考えるのが現実的でしょう。
【方法2】セカンドハウスや事務所を借りる
2つ目の方法は、現在の住居(八王子市)はそのままに、希望ナンバーの管轄区域内にセカンドハウスや賃貸事務所を借りるという方法です。 この場合、住民票は移さずに、借りた物件を「使用の本拠の位置」として申請することになります。
個人が住民票の住所以外を「使用の本拠の位置」として申請する場合、その場所が実際に生活の拠点として機能している実態を証明する必要があります。
手順と流れ
- 物件探しと賃貸契約: 希望ナンバーの管轄区域内で、駐車場付きの安価なアパートやマンション、あるいは小規模な賃貸事務所を探し、契約します。
- 拠点としての実態を作る: 定期的にその物件を訪れ、寝泊まりしたり、事業活動を行ったりする実態を作ります。公共料金(電気・ガス・水道)の契約をし、その領収書などを保管しておくことが重要です。
- 車庫証明の取得: 借りた物件の駐車場を管轄する警察署で、車庫証明を申請します。この際、住民票の住所と申請する「使用の本拠の位置」が異なるため、その理由を説明し、拠点としての実態を証明する書類(公共料金の領収書、消印付きの郵便物など)の提示を求められる場合があります。
- ナンバープレートの変更手続き: 管轄の運輸支局で、車検証の「使用の本拠の位置」の変更手続きと、ナンバープレートの変更手続きを行います。
メリットとデメリット
- メリット
- 現在の生活を変えずに済む: 引越しに比べ、ライフスタイルへの影響を最小限に抑えられます。
- 比較的、現実的な選択肢: 費用はかかりますが、引越しよりはハードルが低いと言えます。
- デメリット
- 継続的な費用が発生: 家賃や共益費、光熱費など、毎月数万円以上の固定費がかかり続けます。
- 「使用の本拠」として認められないリスク: 定期的な利用実態がないと判断された場合、車庫証明が発行されない、あるいは虚偽申請とみなされる可能性があります。
- 手間がかかる: 定期的に物件を訪れたり、郵便物を管理したりといった手間が発生します。
実現難易度とおすすめ度
- 実現難易度: ★★★☆☆(やや高い)
- おすすめ度: ★★☆☆☆(慎重な検討が必要)
この方法が向いている人
- 仕事の都合などで、実際にセカンドハウスや事務所が必要な人
- ナンバー取得のために、月々の固定費を支払い続ける経済的余裕がある人
- 拠点としての利用実態を継続的に維持できる、マメな性格の人
注意点:バーチャルオフィスは使えるのか?
コストを抑える方法として「バーチャルオフィス」を検討する方がいるかもしれませんが、これは明確にNGです。 バーチャルオフィスは、あくまで住所と電話番号をレンタルするサービスであり、車両を保管する物理的なスペース(車庫)が存在しません。 また、生活や事業の拠点としての実態もないため、「使用の本拠の位置」として認められることは絶対にありません。 安易な考えで利用するのは絶対にやめましょう。
【方法3】法人を設立して社用車として登録する
3つ目は、少しトリッキーですが、希望ナンバーの管轄区域内に法人(株式会社など)を設立し、その法人の社用車として車を登録する方法です。 法人の場合、「使用の本拠の位置」は事業所の所在地となります。
手順と流れ
- 本店所在地の確保: 希望ナンバーの管轄区域内で、本店所在地として登記できる賃貸オフィスやレンタルオフィスを契約します。このオフィスが「使用の本拠の位置」となります。
- 法人設立手続き: 司法書士などに依頼し、株式会社や合同会社の設立登記を行います。
- 駐車場(車庫)の確保: 本店所在地から直線距離で2km圏内に、月極駐車場などを契約します。
- 車庫証明の取得: 駐車場を管轄する警察署で、法人名義で車庫証明を申請・取得します。
- 車両の登録: 車を法人名義で購入するか、個人所有の車を法人に売却する(名義変更する)形で、法人車両として運輸支局に登録し、ナンバープレートの交付を受けます。
メリットとデメリット
- メリット
- 「使用の本拠」の証明が比較的容易: 法人の場合、本店所在地が明確なため、個人のセカンドハウスよりも「使用の本拠」としての実態を証明しやすい場合があります。
- 税務上のメリットを受けられる可能性: 車両の購入費用や維持費(ガソリン代、保険料など)を経費として計上できるため、節税に繋がる可能性があります。(※事業実態がある場合に限ります)
- デメリット
- 設立・維持コストが高い: 法人設立には登記費用などで数十万円、さらに法人住民税の均等割など、事業が赤字でも毎年最低7万円程度の維持費がかかります。
- 手続きが非常に煩雑: 法人設立から車両登録、そして毎年の税務申告など、専門的な知識と多くの手間が必要です。
- 事業実態がないと脱法行為とみなされるリスク: ナンバー取得だけが目的で事業実態が全くないと、税務署から指摘を受けたり、最悪の場合、後述する「車庫飛ばし」を疑われたりする可能性があります。
実現難易度とおすすめ度
- 実現難易度: ★★★★☆(高い)
- おすすめ度: ★☆☆☆☆(基本的にはおすすめできない)
この方法が向いている人
- もともと法人設立を検討しており、事業で実際に車を使用する予定がある人
- 税理士や司法書士といった専門家のサポートを受けられる人
- ナンバー取得のためだけに、高いコストとリスクを許容できる人
この方法は、あくまで「法人として事業を営む」という大前提があって初めて成り立つ選択肢です。 ナンバーのためだけにペーパーカンパニーを作るのは、リスクが大きすぎるため絶対に推奨できません。
3つの方法の比較表(難易度・費用・おすすめ度)
ここまで紹介した3つの方法を、一覧表にまとめて比較してみましょう。
項目 | 【方法1】引越し | 【方法2】セカンドハウス | 【方法3】法人設立 |
---|---|---|---|
実現難易度 | ★★★★★ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ |
初期費用 | 200万円~ | 30万円~ | 50万円~ |
維持費用(月額) | 家賃による | 5万円~ | 1万円~ + 税務費用 |
合法性 | ◎(全く問題なし) | 〇(実態次第) | △(実態次第) |
手間 | 非常に多い | 多い | 非常に多い |
おすすめ度 | ★☆☆☆☆ | ★★☆☆☆ | ★☆☆☆☆ |
こうして比較してみると、どの方法も一長一短であり、憧れのナンバーを取得するためには、相応のコストと手間、そしてリスクを覚悟しなければならないことがお分かりいただけるかと思います。
人気ナンバー取得の際の注意点とよくある質問
人気ナンバーの取得を検討する上で、絶対に知っておかなければならない注意点や、多くの方が疑問に思う点について解説します。 軽い気持ちでルールを破ると、厳しい罰則を受ける可能性もあるため、必ず目を通してください。

Lexury Motors Journal イメージ
注意点1:車庫飛ばしは違法!絶対にやってはいけない
ここまで紹介した方法は、あくまで正規の手続きを踏むことを前提としています。 しかし、中には「書類上だけ住所を偽って申請すればバレないだろう」と考える人がいるかもしれません。 このように、実際に車を保管する場所と、書類上の保管場所を偽って申請する行為を**「車庫飛ばし」**と呼びます。
これは、**「自動車の保管場所の確保等に関する法律(車庫法)」**に違反する、明確な犯罪行為です。 発覚した場合、以下のような厳しい罰則が科せられます。
- 虚偽の保管場所証明申請: 20万円以下の罰金
- 保管場所の不届け・虚偽届け: 10万円以下の罰金
さらに、悪質なケースでは、刑法の**「公正証書原本不実記載等罪」に問われる可能性もあり、この場合は5年以下の懲役または50万円以下の罰金**という、さらに重い罪になります。
「バレなければ大丈夫」という安易な考えは絶対に通用しません。 警察は、不審な車両の通報や、駐車違反の取り締まり、交通事故の捜査などを通じて、車庫飛ばしを発見するきっかけを常に持っています。 憧れのナンバーを手に入れるためだけに、犯罪者になるリスクを冒すのは、あまりにも愚かな行為です。 絶対にやめましょう。
注意点2:ナンバー変更に伴う手続きと費用を忘れずに
無事に「使用の本拠の位置」を確保し、ナンバープレートを変更できたとしても、手続きはそれで終わりではありません。 以下の手続きも忘れずに行う必要があります。
- ETCの再セットアップ: ナンバープレートの情報はETCの車載器にも登録されています。ナンバー変更後は、カー用品店などのETCセットアップ登録店で、新しい車両情報を再セットアップしてもらう必要があります。これを怠ると、ETCゲートでバーが開かず、事故につながる危険性があります。
- 自動車保険(任意保険)の変更手続き: 契約している損害保険会社に連絡し、車両の登録番号(ナンバー)が変更になったことを届け出る必要があります。これを怠ると、万が一の事故の際に保険金が支払われない可能性があります。
また、ナンバー変更には以下のような費用がかかります。
- ナンバープレート代: 約1,500円~2,000円(地域によって異なる)
- 希望ナンバー・図柄ナンバーにする場合: 約4,000円~10,000円
- 車庫証明取得費用: 約2,500円~3,000円
- 登録手数料: 数百円
- 行政書士への代行依頼費用: 1万円~3万円(手続きを専門家に依頼する場合)
これらの付随的な手続きと費用についても、あらかじめ念頭に置いておくことが大切です。
注意点3:賃貸物件の場合の制約事項
セカンドハウスや事務所を借りる場合、賃貸借契約の内容によっては、法人登記ができなかったり、住居以外の目的での利用が禁止されていたりする場合があります。 また、駐車場についても、契約車両以外の駐車を禁止しているケースがほとんどです。 契約を結ぶ前に、不動産会社や大家さんに、使用目的を正直に伝え、問題がないかを確認することが不可欠です。 後々のトラブルを避けるためにも、契約内容は細部までしっかりと確認しましょう。
注意点4:希望ナンバー制度やご当地ナンバーとの違い
ここで解説している「地名」の変更と、「希望ナンバー制度」や「ご当地ナンバー(図柄入りナンバー)」は、全く別の制度です。
- 希望ナンバー制度: ナンバープレートの4桁の数字(一連指定番号)を、自分の好きな番号にできる制度です。別途手数料がかかります。
- ご当地ナンバー: 正式名称は「新たな地域名表示ナンバープレート」。地域の活性化や観光振興を目的として導入されており、「世田谷」「伊勢志摩」「奄美」などがあります。また、地域の風景や特産品がデザインされた「地方版図柄入りナンバープレート」も選択できます。
これらの制度を利用しても、ナンバープレートの**「地名」**そのものを、管轄区域外のものに変更することはできません。 地名の変更は、あくまで「使用の本拠の位置」を変更することによってのみ可能となります。
Q&A:友人宅に住所を借りてナンバー取得はできる?
「品川区に住んでいる友人の家に、住民票を置かせてもらえないか?」と考える方もいるかもしれません。 しかし、これも非常にリスクの高い行為です。
実際に住んでいない場所に住民票を移すことは、「住民基本台帳法」違反となり、5万円以下の過料が科せられる可能性があります。 また、その住所で車庫証明を取得すれば、前述の**「車庫飛ばし」**に該当します。 さらに、選挙の投票や行政サービスなど、様々な面で不都合が生じます。 親しい友人との信頼関係を損なう原因にもなりかねません。 絶対にやめるべきです。
Q&A:カーシェアリングやレンタカーで人気ナンバーの車に乗れる?
「所有するのは難しいけど、一時的にでも人気ナンバーの車に乗りたい」という場合は、カーシェアリングやレンタカーを利用するのが最も手軽で現実的な方法です。 特に都心部のステーションには、品川ナンバーや横浜ナンバーの車両が多数配備されています。 サービスによっては、車種だけでなく、ナンバープレートの地域を指定して予約できる場合もあります。 所有することにはなりませんが、「憧れのナンバーが付いた車を運転する」という体験を手軽に味わうことができます。
まとめ
今回は、八王子市にお住まいの方が、横浜ナンバーや品川ナンバーといった人気地域のナンバーを取得するための具体的な方法と、その注意点について詳しくレビューしてきました。
結論として、合法的に人気ナンバーを取得するためには、
- 希望ナンバーの管轄区域に引っ越す
- 希望ナンバーの管轄区域に、実態のあるセカンドハウスや事務所を借りる
- 希望ナンバーの管轄区域に、事業実態のある法人を設立する という、いずれかの方法を取る必要があり、そのどれもが相応の費用、手間、そしてリスクを伴うということがお分かりいただけたかと思います。
特に、「車庫飛ばし」のような違法行為には、絶対に手を出してはいけません。 軽い気持ちで行った不正が、あなたの社会的な信用を失墜させ、重い罰則を科せられる結果につながる可能性があります。
ナンバープレートは、確かに愛車の印象を左右する要素の一つです。 しかし、それ以上に大切なのは、その車とどう向き合い、どのようなカーライフを送るかということです。 ご自身のナンバーに誇りを持ち、安全運転を心がけることこそが、真に「カッコいい」ドライバーの姿だと、私は信じています。
今回のレビューが、あなたのカーライフをより豊かにするための一助となれば幸いです。