モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、ホンダから突如として復活を遂げた新型プレリュードが、なぜこれほど高額で、しかも限定的な販売方法をとっているのか、その背景にあるホンダの戦略が気になっていることでしょう。
私も往年のプレリュードを所有していた一人として、今回の復活には大きな衝撃と一抹の寂しさ、そして隠しきれない期待感を抱きました。

引用 : HONDA HP (https://global.honda/jp/news/2025/4250731.html)
この記事を読み終える頃には、新型プレリュードの価格設定やターゲット層、そして現代における「スペシャリティクーペ」の存在意義についての疑問が解決しているはずです。
記事のポイント
- 新型プレリュードの驚きの価格と限定的な販売方法
- ターゲットがシニア世代と言われるホンダの明確な戦略
- 若者の車離れと高価格帯スポーツカー市場の現状
- 購入前に知るべき7つの注意点とジャーナリスト視点の評価

新しい車に乗り換える際、今乗っている愛車をどれだけ高く売却できるかは、次の車の選択肢にも大きく影響します。
私自身、一括見積もりサイトを活用したことで、ホンダヴェゼルからレクサスRXに乗り換えることができました。
新型プレリュードの全貌|コンセプトと注目すべき特徴
2023年のジャパンモビリティショーで突如としてその姿を現した「プレリュード コンセプト」。 かつて「デートカー」として一世を風靡したその名を受け継ぐモデルの登場は、多くの自動車ファンの心を鷲掴みにしました。

引用 : HONDA HP (https://global.honda/jp/news/2025/4250731.html)
そして2025年、ついに市販モデルとして正式デビュー。 しかし、その内容は多くの人々の予想を裏切るものでした。 ここでは、まず新型プレリュードがどのような車なのか、その基本的な成り立ちと注目すべき特徴を詳しく見ていきましょう。
コンセプトは「アンリミテッド・グライダー」|電動時代の新たな走り
新型プレリュードが掲げるコンセプトは「アンリミテッド・グライダー」。 これは、意のままに操る感覚と、どこまでも滑空していくかのような静かで滑らかな走りの両立を目指したものです。 ホンダはこのコンセプトを実現するために、従来のスポーツカーとは一線を画すアプローチを取りました。
電動化が進む現代において、単にエンジンを高回転まで回すことだけが「走る喜び」ではない。 モーターによるリニアで力強い加速と、静粛性の中に感じる緻密なコントロール性こそが、新しい時代のスポーツドライビングであると定義したのです。 グライダーのように、不要なノイズや振動から解放され、純粋に路面との対話を楽しむ。 そんな洗練された大人のための走りこそ、新型プレリュードが提供する最大の価値と言えるでしょう。
パワートレインは新時代のハイブリッド|2.0L e:HEVと新技術「S+シフト」
新型プレリュードの心臓部には、シビックやアコードで熟成を重ねてきた2.0L直噴4気筒エンジンをベースとする2モーター内蔵電気式CVT「e:HEV」が搭載されています。 しかし、単なる流用ではありません。 プレリュードのために専用のチューニングが施され、システムトータルでのパフォーマンスは大幅に向上していると予想されます。
そして、最大の注目ポイントが、ホンダの新技術「S+シフト」の初採用です。 これは、モーター駆動を基本としながら、あたかも8速のステップATのような変速フィールを擬似的に作り出す技術です。 アクセル操作や速度に応じてエンジン回転数を緻密にコントロールし、ドライバーの感覚にシンクロするダイレクトな加速感と、シフトチェンジに伴う小気味良いリズムを生み出します。 さらに、スピーカーから迫力あるエンジンサウンドを流す「アクティブサウンドコントロールシステム」も搭載。 静かなだけではない、五感を刺激する演出が盛り込まれている点も、この車がただのエコカーではないことの証明です。
足回りはシビックタイプR譲り|本物の走りを支えるハードウェア
新型プレリュードの価格が高い理由の一つが、そのシャシーと足回りにあります。 なんと、ベースとなっているのは世界最速FFの呼び声も高い「シビックタイプR」なのです。 ピュアスポーツの頂点を目指して開発されたタイプRの屈強なプラットフォームを贅沢に使い、プレリュード専用のセッティングが施されています。
具体的には、路面状況に応じて四輪のダンパー減衰力をリアルタイムで制御する「アダプティブ・ダンパー・システム」や、強力なストッピングパワーを発揮するブレンボ製の大容量フロントブレーキキャリパーを標準装備。 さらに、タイヤは専用開発された19インチのハイパフォーマンスタイヤを装着し、ホイールもノイズリデューシングタイプとすることで、静粛性と運動性能を高次元で両立しています。 まさに、見かけだけのスペシャリティクーペではなく、その気になればサーキット走行もこなせるほどのポテンシャルを秘めているのです。 このハードウェア構成を見るだけでも、600万円を超える価格設定に納得がいく部分があると言えるでしょう。
流麗なエクステリアと上質なインテリア|大人のためのデザイン
新型プレリュードのデザインは、近年のホンダ車に共通する水平基調でノイズレスな造形が特徴です。 しかし、その中にもクーペならではの流麗さと色気が巧みに表現されています。 低く構えたフロントマスクから、滑らかにリアへと続くルーフラインは、まさに「アンリミテッド・グライダー」というコンセプトを体現しているかのようです。
サイドビューは、ロングノーズ・ショートデッキという古典的なクーペの黄金比を踏襲しつつ、キャラクターラインを極力排したクリーンな面構成でモダンさを演出。 リアセクションは、横一文字のテールランプがワイド&ローなスタンスを強調し、安定感のある佇まいを見せています。
一方、インテリアはエクステリア以上に上質さが際立つ空間です。 基本レイアウトはシビック系と共通性を持ちながら、素材や色使いでプレリュード独自の世界観を構築。 特に内装色は、標準の「ブルー&ブラック」と、特定の外装色でのみ選択可能な「ブルー&ホワイト」の2種類が用意され、洗練された雰囲気を醸し出しています。 ただし、後述するように一部の装備が簡素化されている点は、価格を考えると少し物足りなさを感じるかもしれません。
ボディカラーと内装色の組み合わせ|限定的な選択肢に注意
新型プレリュードを選択する上で、一つ注意すべき点があります。 それは、ボディカラーと内装色の組み合わせが限定的であるということです。
ボディカラー | 内装色:ブルー&ブラック | 内装色:ブルー&ホワイト |
---|---|---|
ムーンリットホワイト・パール | ○ | ○ |
メテオロイドグレー・メタリック | × | ○ |
クリスタルブラック・パール | × | ○ |
フレームレッド | × | ○ |
上記の表の通り、シックな印象の「ブルー&ブラック」内装は、外装色に「ムーンリットホワイト・パール」を選択した場合にしか組み合わせることができません。 これは、ホンダが考える最もプレリュードらしい組み合わせを提案したいという意図の表れかもしれませんが、購入者にとっては選択の自由度が低いと感じるポイントでしょう。 特に、黒系の内装を好むユーザーは必然的にボディカラーが白に限定されてしまうため、事前の確認が必須です。
新型プレリュードはなぜシニア世代向けと言われるのか?その真相に迫る

引用 : HONDA HP (https://global.honda/jp/news/2025/4250731.html)
さて、ここからが本題です。 新型プレリュードのスペックや価格が明らかになるにつれて、SNSや自動車メディアでは「これは昔プレリュードに乗っていたシニア世代向けの車だ」という声が多く聞かれるようになりました。 かつて若者たちの憧れであった「デートカー」は、なぜこのような形で復活を遂げたのでしょうか。 その背景にあるホンダの戦略と、現代の自動車市場が抱える問題を多角的に分析していきます。
600万円超え!若者には手が出せない強気な価格設定の理由
新型プレリュードの車両本体価格は617万9,800円。 これは、多くの若者にとって、いや、多くの中堅サラリーマンにとっても легкоとは言えない価格です。 かつてのプレリュード(特に2代目・3代目)は、若者でも少し頑張れば手が届く価格帯で、スタイリッシュなクーペライフを提供してくれる存在でした。
では、なぜこれほど高額になったのでしょうか。 理由は大きく3つ考えられます。
- ベース車両が高価であること 前述の通り、新型プレリュードはシビックタイプRをベースにしています。 シビックタイプR自体の価格が約500万円であることを考えれば、そこに専用開発のハイブリッドシステムや内外装の設えを加えることで、600万円を超える価格になるのはある意味当然と言えます。
- 開発・生産コストの上昇 現代の車は、衝突安全性能や環境性能、先進運転支援システム(ADAS)など、クリアすべき基準が非常に多く、開発コストが高騰しています。 また、少量生産のスペシャリティカーは、大量生産されるモデルに比べて一台あたりのコストが割高になる宿命を背負っています。
- ブランド価値の向上 ホンダはプレリュードを単なるクーペではなく、ブランドのイメージを牽引する「スペシャリティスポーツ」と位置付けています。 安価に提供するのではなく、価値を理解してくれる顧客に、相応の価格で提供するという戦略です。 これは、ブランド全体の高付加価値化を目指す近年のホンダの方向性とも一致します。
これらの理由から、新型プレリュードの価格は必然的に高額となり、結果として主な購買層は経済的に余裕のあるシニア世代とならざるを得ないのです。
限定2,000台という希少性|「特別な一台」を求める心理
新型プレリュードは、初期ロットの生産台数がわずか2,000台とアナウンスされています。 月間販売目標も300台と、非常に絞られています。 この「限定性」もまた、シニア世代をターゲットとした巧みな戦略と言えるでしょう。
希少性がもたらす所有満足度
多くの成功体験を積み、経済的な基盤を築いてきたシニア世代の中には、「他とは違う、特別な一台」を求める層が一定数存在します。 街中で頻繁に見かけるような大衆車ではなく、限られた人しか所有できない希少な車に乗ることは、自己実現の一つであり、高い所有満足度をもたらします。 ホンダは、あえて生産台数を絞ることで、プレリュードに「希少価値」という付加価値を与えているのです。
リセールバリューへの期待
限定生産のスポーツカーやスペシャリティカーは、中古車市場で価格が下がりにくい、あるいはプレミアが付く傾向があります。 シビックタイプRやS2000といった過去のホンダのスポーツモデルが良い例です。 購入する側も、この希少性が将来的な資産価値に繋がる可能性を期待できます。 これは、単なる消費ではなく、ある種の「投資」としての側面も持ち合わせており、高額な買い物に対する心理的なハードルを下げる効果があります。
往年のファンを唸らせる「デートカー」の再来か?
1980年代から90年代にかけて、プレリュードは「デートカー」という言葉を生み出した社会現象的な存在でした。 スタイリッシュな2ドアクーペの助手席に意中の人を乗せてドライブすることは、当時の若者たちのステータスであり、憧れでした。
今回の新型プレリュードは、当時を懐かしむシニア世代にとって、まさに青春時代の思い出を呼び覚ます存在です。 子育ても一段落し、再び夫婦二人の時間を取り戻した世代が、かつてのようにパートナーを助手席に乗せて、少し贅沢なドライブを楽しむ。 新型プレリュードは、そんな「大人のデートカー」としての役割を担うことを期待されています。
ただし、当時のプレリュードと決定的に違うのは、そのコンセプトです。 かつては「リトラクタブルヘッドライト」や「4WS(四輪操舵システム)」といった先進的で分かりやすいギミックが若者の心を掴みました。 対して新型は、「アンリミテッド・グライダー」という、より内面的で成熟した走りの価値を提唱しています。 これは、流行に敏感な若者よりも、車の本質的な価値を理解できる経験豊富な大人にこそ響くコンセプトと言えるでしょう。
若者の車離れと自動車市場の変化|避けられない現実
新型プレリュードのターゲットがシニア世代に絞られている背景には、「若者の車離れ」という、日本の自動車業界が抱える深刻な問題があります。
経済的な要因
バブル期とは異なり、現代の若者たちは経済的な余裕が決して大きいとは言えません。 非正規雇用の増加や賃金の伸び悩みにより、数百万円もする車の購入は非常に高いハードルとなっています。 さらに、駐車場代、保険料、税金、ガソリン代といった維持費も大きな負担となります。 車を持つことよりも、スマートフォンや旅行、ファッションなど、他のことにお金を使いたいと考える若者が増えるのは自然な流れです。
ライフスタイル・価値観の変化
都市部では公共交通機関が発達しており、日常生活で車を必要とする場面が減少しています。 また、カーシェアリングやレンタカーといったサービスが普及したことで、「所有」せずとも必要な時に車を利用できるようになりました。 「車を持つこと=ステータス」という価値観は薄れ、車はあくまで移動手段の一つと捉える合理的な考え方が主流になりつつあります。 このような状況下で、自動車メーカーが趣味性の高い高価なクーペを若者向けに開発・販売することは、ビジネスとして極めて困難なのです。
ホンダが描く「大人のためのスペシャリティクーペ」という戦略
以上の背景を踏まえると、ホンダが新型プレリュードを「シニア世代向けの大人のスペシャリティクーペ」として企画した戦略が見えてきます。
それは、もはやボリュームゾーンではなくなった若者市場を追うのではなく、**「購買力があり、かつてホンダのファンだった層に的を絞り、彼らが満足する高品質・高付加価値な製品を、適正な価格で提供する」**という、極めて現実的かつ合理的な戦略です。
この戦略は、トヨタのGRスープラや日産のフェアレディZなど、他社が近年復活させたスポーツカーとも共通しています。 いずれのモデルも、かつてのファン層を意識しつつ、現代の技術で作り上げた高価格帯のモデルとして市場に投入され、一定の成功を収めています。
ホンダは、プレリュードという伝統的な名前を復活させることで、往年のファンのノスタルジーを刺激しつつ、中身はシビックタイプRベースの本格的な走りを持つハイブリッドスポーツというギャップで、新たな時代の「走る喜び」を提案しているのです。 これは、若者に媚びるのではなく、ブランドと共に年齢を重ねてきたファンへの、ホンダからのアンサーなのかもしれません。
【実録】新型プレリュードの見積もりを公開!乗り出し価格はいくら?

引用 : HONDA HP (https://global.honda/jp/news/2025/4250731.html)
さて、理論的な話はここまでにして、実際に新型プレリュードを購入すると一体いくらになるのか、私がディーラーで取ってきた見積もりを基に、リアルな乗り出し価格を検証していきましょう。 限定生産ということもあり、ディーラーの現場もかなり緊迫した雰囲気でした。
見積もりグレードと選択オプション
新型プレリュードは潔いワングレード構成です。 そのため、迷うのはボディカラーと、いくつかのディーラーオプションだけです。
私が今回選択したのは、前述の通りブラックの内装が唯一選べる「ムーンリットホワイト・パール」のボディカラーです。 やはり限定という言葉には弱いもので、この特別な組み合わせを選んでみました。
そして、ディーラーオプションとして選択したのは以下の通りです。
- フロアカーペットマット(プレミアムタイプ)
- ドライブレコーダー(前後タイプ)
- ETC2.0車載器 セットアップ費用込み
- 点検パック「まかせチャオ」(30ヶ月コース)
- ボディコーティング(グランデ W-Diamond Keeper)
- 撥水ワイパーブレード
これらは一般的な新車購入時に多くの人が選択するであろう、基本的なオプションです。
乗り出し価格と内訳を徹底解説!衝撃の金額は…
そして、出来上がった見積もりがこちらです。
新型プレリュード 乗り出し価格:6,833,000円
項目 | 金額(円) | 備考 |
---|---|---|
車両本体価格 | 6,179,800 | 消費税込 |
メーカーオプション | 82,500 | ムーンリットホワイト・パール |
ディーラーオプション合計 | 428,230 | コーティング、ドラレコ等 |
税金・保険料等 | 60,470 | 自動車税、自賠責保険料等 |
諸費用(非課税) | 82,000 | 登録費用、リサイクル料金等 |
合計 | 6,833,000 |
なんと、乗り出し価格は約683万円。 もはや高級セダンや輸入車が視野に入る価格帯です。 ハイブリッドカーのため、環境性能割と自動車重量税が免税になっているにもかかわらず、この金額に達します。
もちろん、約19万円のボディコーティングや点検パックを外すことで、乗り出し価格を660万円程度に抑えることは可能です。 しかし、いずれにしても高額であることに変わりはありません。 この価格を見て、果たして皆さんはどう感じるでしょうか。
実際の購入は困難?厳しい購入条件とは
価格以上に購入のハードルを上げているのが、その販売方法です。 私が訪れたディーラーでは、割り当てられた台数をはるかに超える購入希望者がすでに殺到しており、抽選になる可能性が高いとのことでした。
さらに、販売会社によっては、以下のような厳しい条件を設けている場合があります。
- 過去にその販売会社での購入実績があること
- ホンダの会員サービス「Honda Total Care」に1年以上加入していること
- 転売目的でないことを誓約すること
- 残価設定クレジットやローンではなく、現金一括払いが条件となる場合も
特に、限定モデルである「Honda ON Limited Edition」は、公式サイトからの申し込みで、上記の会員歴が必須条件となっていました。 このように、新型プレリュードは「お金さえあれば誰でも買える」という車ではないのです。 長年にわたってホンダを愛し続けてきた、いわば「上得意様」が優先される傾向にあることは間違いありません。 一見客がディーラーにふらっと立ち寄って契約できる可能性は、限りなく低いと言わざるを得ないでしょう。
購入前に知っておきたい7つの注意点と懸念事項

引用 : HONDA HP (https://global.honda/jp/news/2025/4250731.html)
最後に、ジャーナリストとしての視点から、新型プレリュードの購入を検討する上で、事前に知っておくべき注意点や、少し気になった点を7つにまとめてお伝えします。 これらを許容できるかどうかが、購入の判断基準になるかもしれません。
注意点1: そもそも一見客は買えない可能性
繰り返しになりますが、これが最大の注意点です。 生産台数が極端に少ないため、多くのディーラーで抽選や厳しい購入条件が課せられています。 まずは最寄りのホンダディーラーに連絡を取り、購入の可能性があるかどうかを確認することから始めましょう。 いきなり店舗に行っても、門前払いされてしまう可能性すらあります。
注意点2: ボディカラーと内装色の組み合わせが限定的
これも前述の通りです。 特に、黒系の内装を希望する場合は、ボディカラーが白に限定されてしまいます。 内外装のコーディネートにこだわりたい方にとっては、大きな制約となるでしょう。
注意点3: パワーシートやシートベンチレーションは非搭載
600万円を超える価格帯の車として、少し物足りなく感じるのが快適装備です。 公式情報を見る限り、運転席・助手席ともにパワーシートの設定はなさそうです。 手動でのシート調整となります。 また、夏場に重宝するシートベンチレーション(シートからの送風機能)も搭載されていません。 「大人のデートカー」を標榜するのであれば、このあたりの快適装備はぜひとも欲しかったところです。
注意点4: サンルーフの設定なしは痛い?
往年のプレリュードの象徴的な装備の一つが、大きなガラスサンルーフでした。 開放感あふれるサンルーフは、デートカーとしての雰囲気を大いに盛り上げてくれました。 しかし、新型プレリュードにはオプションでもサンルーフの設定がありません。 これは、ボディ剛性の確保や軽量化を優先した結果だと思われますが、当時を知るファンにとっては寂しいポイントかもしれません。
注意点5: マルチビューカメラの設定なし
現代の車では軽自動車にも採用が進んでいるマルチビューカメラ(360°カメラ)ですが、新型プレリュードには設定がありません。 これはベースとなったシビックにも設定がないため、仕方ない部分もあります。 バックカメラは標準装備されていますが、全長4.6m、全幅1.8mを超えるクーペボディは、決して見切りが良いとは言えません。 駐車が苦手な方は、少し注意が必要でしょう。
注意点6: 後部座席はあくまで緊急用
2ドアクーペの宿命ですが、後部座席は大人が長時間快適に座れるスペースではありません。 基本的には、手荷物を置くためのスペースと割り切るべきでしょう。 もちろん、短距離であれば人を乗せることも可能ですが、ファミリーカーとしての使用は全く想定されていません。 とはいえ、2シーターの車と比べれば、後席があるだけで利便性は格段に向上します。
注意点7: Googleナビの仕様と高速道路のパネル表示
ナビゲーションシステムは、Googleを搭載した最新の「Honda CONNECTディスプレイ」が標準装備されています。 常に最新の地図データで、渋滞情報も正確なのがメリットです。 一方で、従来の日本のナビゲーションシステムに標準的だった、高速道路走行時の「ジャンクションやサービスエリアのレーン案内パネル表示」が、現状のGoogleナビでは表示されない可能性があります。 普段から高速道路を多用し、この表示に慣れている方にとっては、少し不便に感じるかもしれません。 ただし、これは将来的なソフトウェアアップデートで改善される可能性も残されています。
まとめ
今回は、大きな話題を呼んでいる新型プレリュードについて、なぜシニア世代向けと言われるのか、その背景にあるホンダの戦略や現代の自動車市場の問題を深く掘り下げてきました。
結論として、新型プレリュードは**「かつてプレリュードに憧れた、経済的に余裕のあるシニア世代へ向けた、ホンダからの特別な贈り物」**であると言えるでしょう。
若者には手の届かない価格設定、限定的な生産台数、そして成熟した大人にこそ響くコンセプト。 そのすべてが、明確なターゲット設定に基づいたホンダの緻密な戦略の現れです。
若者の車離れが進み、自動車が単なる移動手段へと変わっていく時代だからこそ、ホンダはあえて「プレリュード」という名の元に、走る喜びや所有する満足感といった、車の持つ根源的な魅力を詰め込んだ一台を世に送り出したのかもしれません。
このレビューが、新型プレリュードに興味を持つあなたの疑問を解決し、今後のカーライフを考える上での一助となれば幸いです。