※本ページにはプロモーションが含まれる場合があります

HONDA

新型プレリュードの試乗レビュー|シビックタイプRとの違いを解説

モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。

この記事を読んでいる方は、ホンダから待望の復活を遂げた新型プレリュードの実際の走りがどうなのか、そしてベースを共有すると言われるシビックタイプRと何が違うのか、非常に気になっていることと思います。

引用 : HONDA HP (https://global.honda/jp/news/2025/4250731.html)

何を隠そう、私も往年のプレリュードファンであり、今回の新型も幸運にも手に入れることができました。 その経験から、皆さんが抱くであろう疑問や期待について、深く掘り下げていきたいと思います。

この記事を読み終える頃には、新型プレリュードがあなたにとって最適な一台なのか、その答えが明確になっているはずです。

記事のポイント

  • シビックタイプRとは全く異なる上品でしなやかな乗り味
  • e:HEVがもたらす新時代のスポーツフィールと圧倒的な静粛性
  • ホイールベース短縮による軽快で一体感のあるハンドリング
  • タイプRと全く同じ価格設定に込められたホンダの意図
【一括査定サイト必勝法】ヴェゼルを驚愕の高額査定で売却した方法を徹底解説新しい車に乗り換える際、今乗っている愛車をどれだけ高く売却できるかは、次の車の選択肢にも大きく影響します。 私自身、2021年式のホンダ ヴェゼル PLAYを驚愕の高価査定で売却できました。 今回の投稿では、一括査定サイトを利用して高額査定で売却するための必勝法を徹底的に解説しています。...

新しい車に乗り換える際、今乗っている愛車をどれだけ高く売却できるかは、次の車の選択肢にも大きく影響します。
私自身、一括見積もりサイトを活用したことで、ホンダヴェゼルからレクサスRXに乗り換えることができました。

\筆者おすすめ!一括見積もりサイトはこちら/
CTN

新型プレリュードの全貌|伝説のクーペ、現代に復活

多くのファンが待ち望んだ「プレリュード」の名が、ついに現代に帰ってきました。 かつて「デートカー」として一世を風靡したスペシャリティクーペは、時代を経てどのような進化を遂げたのでしょうか。 まずは、この新型プレリュードがどのような車なのか、そのコンセプトと基本性能から詳しく見ていきましょう。

引用 : HONDA HP (https://global.honda/jp/news/2025/4250731.html)

プレリュードの歴史と新型の立ち位置

初代プレリュードがデビューしたのは1978年。 低いボンネットと先進的な装備で、スペシャルティカー市場に新たな風を吹き込みました。 特に、1982年に登場した2代目、そして1987年の3代目は、リトラクタブルヘッドライトを持つ流麗なスタイリングで絶大な人気を博し、「デートカー」の代名詞的存在となりました。 先進技術も積極的に採用し、3代目には世界初の実用型4輪操舵システム「4WS」が搭載され、その革新性は世界中から高く評価されたのです。

しかし、時代は流れ、クーペ市場の縮小とともにプレリュードは5代目を最後に2001年にその歴史に一度幕を下ろしました。 それから20年以上の時を経て、ジャパンモビリティショー2023で突如として姿を現したのが、この新型プレリュードです。 ハイブリッド専用車として生まれ変わった新型は、かつてのコンセプトであった「操る喜び」を継承しつつ、電動化時代における新たなスポーツクーペの在り方を提案する、ホンダの意欲作と言えるでしょう。

流麗さを極めたエクステリアデザイン

新型プレリュードのデザインは、まさに正統派クーペそのものです。 長く低いボンネットから、滑らかに後方へ流れるルーフライン、そして短く切り詰められたリアデッキへと続くフォルムは、誰が見ても美しいと感じる普遍的なプロポーションを持っています。

フロントマスクは、近年のホンダ車に共通する薄くシャープなヘッドライトが特徴的で、ワイド&ローなスタンスを強調しています。 サイドビューは、無駄なキャラクターラインを極力排したクリーンな面構成で、光の当たり方によって表情を変える繊細な美しさを表現。 リアは、横一文字に伸びるテールランプが先進性とワイド感を演出し、トランクエンドが跳ね上がったダックテール形状がスポーティな印象を与えます。

私が所有するフレームレッドのボディカラーは、かつてのプレリュードを彷彿とさせ、この流麗なデザインを一層引き立ててくれます。 まさに大人のためのスペシャリティクーペと呼ぶにふさわしい、品格と色気を兼ね備えたデザインと言えるでしょう。

パワートレインは進化した2.0L e:HEV

新型プレリュードの心臓部に搭載されるのは、2.0L直噴エンジンと2モーターを組み合わせたホンダ独自のハイブリッドシステム「e:HEV」です。 これはシビックやZR-Vに搭載されているものと基本を同じくしますが、プレリュード専用のチューニングが施されています。

e:HEVの最大の特徴は、走行シーンのほとんどをモーターで駆動することです。 エンジンは主に発電に徹し、そこで生み出された電力で走行用モーターを駆動します。 エンジンが直接タイヤを駆動するのは、高速巡航時など、エンジンが得意とする高効率な領域に限られます。 これにより、発進時からリニアで力強い加速と、圧倒的な静粛性を両立しているのです。

スペック詳細

項目 数値
エンジン 2.0L 直列4気筒 直噴
エンジン最高出力 141ps
エンジン最大トルク 182Nm
モーター最高出力 184ps
モーター最大トルク 315Nm
システム最高出力 約200ps (推定)
WLTCモード燃費 23.6km/L

システムトータルでの最高出力は公表されていませんが、おおよそ200馬力程度と推定されます。 315Nmというモーターの最大トルクは、3.0Lクラスの自然吸気エンジンに匹敵するもので、これが発進と同時に得られるのですから、その力強さは想像に難くないでしょう。 それでいて、燃費は23.6km/Lと、スポーツクーペとしては驚異的な数値を実現している点も、現代の車ならではの魅力です。

新型プレリュード試乗レビュー|五感を満たす上質な走り

さて、いよいよ本題の試乗レビューです。 伊豆のサイクルスポーツセンターというクローズドコースで、思う存分その実力を試すことができました。 シビックタイプRとシャシーを共有するこのクーペが、一体どのような走りを見せてくれるのか。 各走行モードごとの印象を、詳細にお伝えします。

引用 : HONDA HP (https://global.honda/jp/news/2025/4250731.html)

GTモード|しなやかで軽快な第一印象

最初に試したのは、いわゆるノーマルモードに相当する「GTモード」です。 走り出してすぐに感じたのは、驚くほどスムーズで上品な乗り味でした。 路面の凹凸を軽やかにいなし、車体は常にフラットな姿勢を保ちます。

これは、シビックタイプRと同じくフロントにデュアルアクシスストラットサスペンションを採用しながらも、味付けを全く異なる方向に振っている証拠です。 タイプRが路面に張り付くような剛性感を感じさせるのに対し、プレリュードはあくまでもしなやか。 それでいて、コーナーではしっかりと踏ん張り、不安な挙動は一切見せません。

アクティブサウンドコントロールの演出

GTモードでは、室内に心地よいエンジンサウンドが聞こえてきます。 これは「アクティブサウンドコントロール」による演出で、実際のエンジン回転数に同調したサウンドをスピーカーから流すことで、走りの高揚感を高める仕組みです。 人によっては「作られた音」と感じるかもしれませんが、アクセル操作との一体感は非常に巧みで、私には心地よく感じられました。 このサウンドが不要な場合は、後述するコンフォートモードや、設定を個別に変更できるインディビジュアルモードでOFFにすることも可能です。

コンフォートモード|静粛性が際立つ快適なクルージング

次に、走行モードを「コンフォート」に切り替えてみます。 すると、先ほどまで聞こえていたサウンドが嘘のように静かになり、室内は圧倒的な静寂に包まれました。 アクティブサウンドコントロールがOFFになり、エンジンも発電に徹するため、ロードノイズや風切り音がわずかに聞こえるだけです。

乗り心地もさらにマイルドになり、まるで高級セダンのような快適性を手に入れます。 ステアリングの手応えは軽やかになり、トルクの出方も穏やかになるため、リラックスして運転に集中できます。 ワインディングを走っても足腰が砕けるようなことはなく、むしろ車の動きがより滑らかになり、気持ちよくコーナーをクリアしていけるのには感心しました。 おそらく、日常的な走行シーンでは、このコンフォートモードが最もプレリュードらしい世界観を味わえるのではないでしょうか。 私個人としては、このモードが最も気に入っています。

スポーツモード|昂揚感を高めるサウンドとレスポンス

続いては「スポーツモード」のインプレッションです。 モードを切り替えた瞬間、メーターパネルが赤く染まり、GTモードよりもさらに力強く、輪郭のはっきりしたエンジンサウンドが室内に響き渡ります。 アクセルレスポンスは鋭さを増し、少し踏み込むだけでモーターの強大なトルクが車体を前へ前へと押し出します。

サスペンションも引き締まりますが、それでもガチガチになることはありません。 あくまでもしなやかさを保ったまま、ロールを抑え、より一体感のある走りを提供してくれます。 ステアリングの手応えも増し、路面からのインフォメーションがよりダイレクトに伝わってくるようになります。 まさに「スポーツ」の名にふさわしい、ダイレクトで爽快な走りを楽しめるモードです。

S+ボタン|疑似シフトダウンとブリッピングの快感

各走行モードには、さらに走りを過激にする「S+」ボタンが用意されています。 これを押すと、メーターがタコメーター表示に切り替わり、e:HEVでありながら擬似的な変速ショックとシフトダウン時のブリッピング(空ぶかし)を演出してくれるのです。

Dレンジのままでもコーナー手前で減速すると、システムが自動で「ブォン!」とブリッピングを行い、あたかもシフトダウンしたかのような感覚を味わえます。 パドルシフトを使えば、任意でこの操作が可能になり、その際のショックも絶妙に再現されています。 駆動はモーターによって途切れることなく続いているため、実際の有段ギア付きの車よりもスムーズでありながら、操作する楽しみを味わえるという、非常にユニークな体験でした。 これは、ハイブリッドカーの新しい楽しみ方を提案する、ホンダらしい面白い試みだと感じました。

ホイールベース短縮がもたらす軽快なハンドリング

新型プレリュードの走りを語る上で欠かせないのが、その卓越したハンドリング性能です。 シャシーの基本骨格はシビックタイプRと共有していますが、ホイールベースはタイプRの2735mmに対し、プレリュードは2605mmと、実に130mmも短縮されています。

このショートホイールベース化が、プレリュードの走りに軽快さをもたらす最大の要因です。 ステアリングを切った瞬間、ノーズがスッとインを向き、リアがそれに遅れることなく綺麗についてきます。 車の向きが変わりやすく、まるで一回り小さな車を運転しているかのような一体感が得られます。 ここに、ブレーキを制御して旋回性能を高める「アジャイルハンドリングアシスト」の作動領域を拡大したチューニングも加わり、ワインディングでは水を得た魚のようにヒラヒラと駆け抜けていくことが可能です。 その動きはどこまでもクリアで濁りがなく、ドライバーの意図に忠実に反応してくれます。

新型プレリュード vs シビックタイプR|似て非なる2台を徹底比較

「プレリュードとタイプR、結局どっちがいいの?」 これは、多くの車好きが抱く最大の疑問でしょう。 同じ価格、同じプラットフォームを持つ2台ですが、そのキャラクターは全く異なります。 ここでは、スペック、走り、デザインなど、様々な角度から両者を比較し、その違いを明らかにしていきます。

引用 : HONDA HP (https://global.honda/jp/news/2025/4250731.html)

スペック比較表

まずは、両車の主要スペックを比較してみましょう。

項目 新型プレリュード シビックタイプR (FL5) 違い
全長 4,595mm (推定) 4,595mm ほぼ同じ
全幅 1,895mm (推定) 1,890mm ほぼ同じ
全高 1,300mm (推定) 1,405mm プレリュードが105mm低い
ホイールベース 2,605mm 2,735mm プレリュードが130mm短い
パワートレイン 2.0L e:HEV 2.0L VTEC TURBO ハイブリッド vs 純エンジン
最高出力 約200ps (システム) 330ps タイプRが圧倒
最大トルク 315Nm (モーター) 420Nm (エンジン) タイプRが上回る
トランスミッション 電気式無段変速機 6速MT AT vs MT
車両重量 1,500kg台 (推定) 1,430kg プレリュードがやや重い
駆動方式 FF FF 同じ
タイヤサイズ 235/40R19 265/30R19 タイプRが太い
価格 617万円 548万9000円 (標準車) ※ 同価格帯 (限定車比較)

※シビックタイプRの限定車「レーシングブラックパッケージ」は617万8000円であり、プレリュードとほぼ同額。

走りのキャラクター|「上品なGT」と「純粋なレーサー」

両者の走りの違いは、一言で言えば「GT(グランツーリスモ)」と「レーシングスポーツ」の違いです。

新型プレリュードの走り

プレリュードは、あくまでも公道での快適性と気持ちよさを最優先しています。 しなやかなサスペンションは路面からの入力を巧みにいなし、静粛性の高い室内空間と相まって、長距離移動でも疲れを感じさせません。 それでいて、ひとたび鞭を入れれば、モーターの力強い加速と軽快なハンドリングで、ワインディングを爽快に駆け抜けることができます。 目を三角にして走るのではなく、涼しい顔で、スマートに速く走る。 それがプレリュードの目指した世界です。 まさに大人のための上質なスポーツクーペと言えるでしょう。

シビックタイプRの走り

一方のシビックタイプRは、サーキットを最速で走るために生まれた車です。 その乗り味は硬質で、路面の情報をダイレクトにドライバーに伝えます。 330馬力を誇るVTECターボエンジンは、回せば回すほど官能的なサウンドを奏で、6速MTを介して操る感覚は、何物にも代えがたい喜びを与えてくれます。 圧倒的なコーナリング性能と安定感は、プレリュードの比ではありません。 日常使いでの快適性も先代よりは向上していますが、その本質はあくまでもピュアスポーツです。

パワートレインがもたらすフィーリングの差

プレリュードのe:HEVは、モーター駆動ならではのシームレスでリニアな加速が魅力です。 アクセルを踏んだ瞬間から最大トルクが発生するため、どの速度域からでも力強い加速が得られます。 エンジン音や変速ショックはあくまでも「演出」であり、本質的には極めてスムーズで静か。 これが上質な乗り味に大きく貢献しています。

対するタイプRのVTECターボエンジンは、メカニカルな鼓動と高回転域での伸びが魅力です。 ターボラグをほとんど感じさせないシャープな吹け上がりと、自分の手でシフトを操り、エンジンを使い切る感覚は、内燃機関ならではの官能的なフィーリングです。 このダイレクトな人馬一体感は、e:HEVでは決して味わうことのできない領域でしょう。

デザインとパッケージングの違い

デザインの方向性も対照的です。 プレリュードが流麗でエレガントなクーペスタイルを追求しているのに対し、タイプRはハッチバックをベースに、空力性能を突き詰めた機能的なデザインが与えられています。 大型のリアウイングや各部のエアロパーツは、その戦闘力の高さを物語っています。

室内空間も、プレリュードが2+2のパーソナルな空間であるのに対し、タイプRは5ドアハッチバックとしての実用性を備えており、後席の居住性や荷室の広さではタイプRに軍配が上がります。 プレリュードは美しさとパーソナル感を、タイプRは速さと実用性を、それぞれ優先していると言えます。

結論|あなたはどちらを選ぶべきか?

結論として、この2台は全く異なる価値観を持つ車です。

  • 新型プレリュードがおすすめな人
    • 美しく上品なクーペデザインに惹かれる人
    • 日常の快適性と、ワインディングでの気持ちよさを両立したい人
    • 最新のハイブリッド技術によるスムーズで力強い走りを体験したい人
    • MTの運転にこだわりがなく、上質な走りを楽に楽しみたい人
  • シビックタイプRがおすすめな人
    • サーキット走行も視野に入れた、究極の走行性能を求める人
    • 内燃機関の官能的なフィーリングとMTの操作を楽しみたい人
    • ハッチバックとしての実用性も重視する人
    • 「タイプR」というブランドに特別な価値を感じる人

ホンダがこの2台に敢えて同じ価格を設定してきたのは、「ピュアスポーツ」と「ハイブリッドスポーツ」、どちらもホンダが誇る最高峰のFFスポーツであり、その価値は同等であるという強いメッセージなのかもしれません。

まとめ

今回、新型プレリュードにじっくりと試乗し、その魅力を余すところなく体験することができました。 往年のファンが抱く「プレリュードらしさ」への期待に見事に応えつつ、e:HEVという現代の技術で見事に「操る喜び」を再定義した、素晴らしい一台に仕上がっています。

その走りは、シビックタイプRのような絶対的な速さや刺激を求めるものではありません。 しかし、しなやかで上質な乗り心地、どこまでもついてくる軽快なハンドリング、そしてモーター駆動ならではの力強くスムーズな加速が一体となった走りは、日常のあらゆるシーンを特別な時間に変えてくれる魅力に溢れています。

まさに、酸いも甘いも噛み分けた大人が、心から走りを楽しめる新時代のスペシャリティクーペ。 それが、私の抱いた新型プレリュードの偽らざる印象です。 このレビューが、あなたの車選びの一助となれば幸いです。