モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。今回も多く寄せられている質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、最高級SUVの購入を検討する中で、「レンジローバーとベンツGLS、一体どちらが格上なのだろうか?」という疑問をお持ちだと思います。
引用 : ランドローバー公式HP (https://www.rangerover.com/ja-jp/range-rover-sport/index.html)
私のガレージにも並んでいるこの2台、どちらも素晴らしい車であることは間違いありませんが、そのキャラクターは大きく異なります。私も購入時には同じように悩みましたので、その気になる気持ちはよくわかります。
この記事を読み終える頃には、両車の違いが明確になり、あなたにとって最適な一台を選ぶための疑問が解決しているはずです。
記事のポイント
- 英国王室御用達とドイツの威厳 ブランドイメージの頂上決戦
- モダンラグジュアリーと質実剛健 内外装のデザイン思想を比較
- 悪路走破性とオンロードの快適性 走行性能における明確な違い
- 見栄を張るならどちらを選ぶべきか シーン別に見るステータス性

新しい車に乗り換える際、今乗っている愛車をどれだけ高く売却できるかは、次の車の選択肢にも大きく影響します。
私自身、一括見積もりサイトを活用したことで、ホンダヴェゼルからレクサスRXに乗り換えることができました。
レンジローバーとベンツGLS ブランド価値と歴史が示す「格」
高級車を選ぶ上で、その車が持つブランド価値や歴史は非常に重要な要素です。特にレンジローバーとメルセデス・ベンツGLSは、それぞれがSUVというカテゴリーの頂点に君臨するモデルであり、その背景にあるストーリーはオーナーの満足度を大きく左右します。ここでは、両車のブランドが持つ「格」について、様々な角度から深く掘り下げていきましょう。
レンジローバーのブランド価値 英国王室が認めた唯一無二の存在
レンジローバーを語る上で欠かせないのが、英国王室御用達(ロイヤルワラント)の称号です。エリザベス女王陛下をはじめ、多くのロイヤルファミリーに愛されてきたという事実は、他のどのブランドも持ち得ない圧倒的な権威性と格式をレンジローバーに与えています。
引用 : ランドローバー公式HP (https://www.rangerover.com/ja-jp/range-rover-sport/index.html)
もともとランドローバー社は、実用的なオフロード車を製造するメーカーでしたが、1970年に初代レンジローバーを発表。「砂漠のロールスロイス」と称されたその車は、高級セダンの快適性と本格的な悪路走破性を見事に両立させ、「ラグジュアリーSUV」という新たなジャンルを創造しました。
この「元祖」であるという歴史的背景と、英国の伝統文化に深く根差したブランドイメージは、流行に左右されない普遍的な価値を持っています。ただ高価なだけでなく、気品や由緒正しさを重んじる層から絶大な支持を集めているのです。
ベンツGLSのブランド価値 高級車の代名詞メルセデスが放つ威厳
一方のメルセデス・ベンツGLSは、「SUVのSクラス」というコンセプトがすべてを物語っています。メルセデス・ベンツは、世界で初めて自動車を発明したメーカーとして130年以上の歴史を持ち、「高級車」という言葉の代名詞ともいえる存在です。その中でもSクラスは、常に時代の最先端技術と最高の快適性、安全性を追求してきたフラッグシップセダンです。

引用 : メルセデスベンツHP (https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/models/suv/gls/overview.html)
GLSは、そのSクラスが持つ価値観をそのままSUVのボディに注ぎ込んだモデルです。つまり、メルセデス・ベンツというブランドが持つ威厳や信頼性、そして最高級モデルであるSクラスのステータス性を、7人乗りという実用性を備えたSUVで享受できるのです。
ビジネスシーンでの信頼性や、誰が見ても高級車とわかる普遍的なステータスを求めるのであれば、メルセデス・ベンツの「スリーポインテッドスター」が持つ力は絶大です。レンジローバーが持つ「伝統」や「気品」とは少し違う、より現代的で実利的な「威厳」がGLSのブランド価値の核となっています。
歴史と伝統の比較 砂漠のロールスロイス vs SクラスのSUV
両車の歴史を振り返ると、その成り立ちの違いがキャラクターの違いに直結していることがわかります。
- レンジローバー: 1970年、高級車とオフローダーの融合を目指して誕生。あくまでもオフロード性能を根幹に持ちながら、快適性とラグジュアリー性を追求してきた歴史。
- ベンツGLS: 前身であるGLクラスが2006年に登場。もともとは北米市場をメインターゲットとしたフルサイズSUVであり、2015年のモデルチェンジで「GLS」と改名し、「SUVのSクラス」としての立ち位置を明確にしました。
つまり、レンジローバーは「オフローダーが豪華になった」成り立ちであり、GLSは「高級セダンがSUVになった」成り立ちと言えます。この出自の違いが、デザインや走行性能、そしてオーナーが車に求める価値観にも影響を与えています。
オーナー層のイメージ比較 どのような人物像を想起させるか
これも興味深い比較ポイントです。もちろん一概には言えませんが、一般的に持たれるイメージには次のような傾向があります。
レンジローバーのオーナー像
伝統や本質的な価値を重んじ、ファッションやライフスタイルにも独自のこだわりを持つ人物像が浮かびます。例えば、クリエイティブ系の経営者、医師、弁護士といった専門職の方々。都会的なセンスと、週末には自然の中でアクティブに過ごすような二面性を持ち合わせているイメージです。見栄の張り方も、分かりやすい豪華さよりは「分かる人には分かる」という、より洗練されたスタイルを好む傾向があるかもしれません。
ベンツGLSのオーナー像
社会的地位が確立されており、ビジネスの成功者というイメージが強いです。ファミリーを大切にし、安全性や信頼性を重視する実直な人柄。大企業の役員や、安定した事業を経営する実業家などが当てはまるでしょうか。ステータスを表現する際にも、奇をてらうことなく、王道で普遍的な価値を選ぶ傾向があります。その威風堂々とした佇まいは、周囲に安心感と信頼感を与えます。
リセールバリューの比較 将来的な資産価値はどちらに軍配が上がるか
将来的な資産価値、つまりリセールバリューも車選びの重要な要素です。結論から言うと、近年では両車の差は縮まってきていますが、一般的にはメルセデス・ベンツGLSの方がやや有利な傾向にあります。
- メルセデス・ベンツGLS: メルセデスブランドへの絶大な信頼感と、Sクラスに準ずるモデルであることから、中古車市場でも高い人気を維持します。特に故障が少ないというイメージもプラスに働いています。
- レンジローバー: 以前は「故障が多い」というイメージからリセールバリューが伸び悩む傾向がありましたが、近年は品質が大幅に向上し、その唯一無二のデザインとブランド力から人気が高騰しています。特に人気のボディカラーやオプションを備えた車両は、GLSに匹敵する、あるいはそれ以上の価格で取引されるケースも少なくありません。
ただし、これはあくまで一般的な傾向です。車両の状態や走行距離、グレード、そしてその時々の中古車市場のトレンドによって大きく変動することは覚えておくべきでしょう。
新車価格帯の比較 エントリーモデルからトップグレードまで
両車の新車価格を比較してみましょう。どちらも非常に高価なモデルですが、その価格構成には特徴があります。
車種 | グレード例 | パワートレイン | 価格(税込) |
---|---|---|---|
レンジローバー | SE (SWB) | 3.0L 直6ディーゼルターボ(MHEV) | ¥17,390,000~ |
Autobiography (LWB) | 3.0L 直6ガソリンターボ(PHEV) | ¥24,190,000~ | |
SV (SWB) | 4.4L V8ツインターボ | ¥28,490,000~ | |
ベンツGLS | GLS 450 d 4MATIC | 3.0L 直6ディーゼルターボ(MHEV) | ¥15,300,000~ |
GLS 580 Sports 4MATIC | 4.0L V8ツインターボ(MHEV) | ¥20,300,000~ | |
Mercedes-AMG GLS 63 4MATIC+ | 4.0L V8ツインターボ(MHEV) | ¥27,800,000~ |
※2025年8月時点の参考価格です。
価格帯を見ると、エントリーモデルはGLSの方がやや戦略的な価格設定となっています。一方で、レンジローバーはより上級のグレードや「SV」のようなビスポーク(オーダーメイド)部門が手掛ける超高級モデルまで、幅広い選択肢を用意しているのが特徴です。特にレンジローバーはオプションが非常に豊富で、自分だけの一台を仕立て上げる楽しみがある反面、最終的な価格は青天井になりがちです。
「格上」に見えるのはどちらか シーン別の考察
さて、本題である「どちらが格上に見えるか」について、私なりの見解をシーン別に考察してみます。
- 高級ホテルのエントランス: 甲乙つけがたいですが、メルセデスのスリーポインテッドスターが持つ普遍的な高級感は、どんな場面でも間違いのない選択です。一方で、新型レンジローバーのミニマルで洗練されたデザインは、よりモダンでセンスの良さを感じさせ、違いの分かるゲストとして扱われるかもしれません。
- ビジネスシーン(ゴルフ場の送迎など): ここではGLSに軍配が上がるでしょう。メルセデス・ベンツというブランドが持つ信頼性や「Sクラス」のイメージは、大切な取引先をもてなす場面で絶大な安心感を与えます。
- 格式高いパーティーや社交の場: レンジローバーが持つ英国王室御用達という背景は、このような場面で非常に強く作用します。単なる「高級車」ではなく、「由緒正しい車」として、オーナーの品格をも高めてくれるでしょう。
- リゾート地や自然の中: これは言うまでもなくレンジローバーの独壇場です。その圧倒的な悪路走破性と、自然の風景に溶け込む美しいデザインは、他のどの車にも真似のできない世界観を持っています。
見栄を張るならどちらを選ぶべきか ジャーナリストとしての結論
「見栄を張る」という観点で選ぶなら、どのような自分に見せたいかによって答えは変わります。
- 普遍的で分かりやすい成功者のイメージを求めるなら、メルセデス・ベンツGLSです。「SUVのSクラスに乗っている」という事実は、誰に対してもあなたの社会的地位を雄弁に物語ってくれるでしょう。
- より洗練され、センスが良く、本質を知る人物というイメージを演出したいなら、レンジローバーです。その選択は、あなたが単にお金を持っているだけでなく、独自の価値観と美意識を持っていることの証明になります。
どちらも頂点に立つ車ですが、その「格」の種類が違うのです。あなたのライフスタイルや価値観に合うのはどちらか、じっくり考えてみてください。
レンジローバーとベンツGLS 車両性能と装備の徹底比較
ブランドイメージだけでなく、車そのものの性能や装備も重要な比較ポイントです。ここでは、ジャーナリストとして両車の具体的な中身を徹底的に比較していきます。
エクステリアデザインの比較 伝統と革新 vs 質実剛健
両車のデザインは、それぞれのブランド哲学を色濃く反映しています。
レンジローバー:ミニマリズムの極致
現行の5代目レンジローバーのデザインは、「モダンラグジュアリー」をテーマに、これまでの伝統を受け継ぎながらも、徹底的に無駄を削ぎ落としたミニマルな造形が特徴です。ボディパネルの継ぎ目や凹凸を極限まで減らし、まるで一つの塊から削り出したかのような滑らかなシルエットは、巨大なボディサイズにもかかわらず、見る者に威圧感よりも気品と知性を感じさせます。特に、縦型のテールランプは消灯時には黒いパネルにしか見えず、点灯して初めてその存在が分かるという斬新なデザインで、革新性を強く印象付けます。
引用 : ランドローバー公式HP (https://www.rangerover.com/ja-jp/range-rover-sport/index.html)
ベンツGLS:威風堂々たる存在感
対するGLSは、メルセデス・ベンツのデザイン言語に則った、威風堂々としたデザインです。大きなスリーポインテッドスターを配したフロントグリルや、力強いショルダーラインなど、誰が見てもメルセデスの上級SUVと分かる安心感と存在感を放ちます。奇をてらうことなく、質実剛健なドイツ車らしい力強さと機能美を追求したデザインは、流行に左右されない普遍的な魅力を持ち、ビジネスシーンからフォーマルな場まで、どんな場面にもマッチする懐の深さがあります。
インテリアデザインと質感の比較 豪華さと機能性の違い
インテリアもまた、両車のキャラクターの違いが明確に表れる部分です。
レンジローバー:上質なラウンジ空間
レンジローバーのインテリアは、まるで高級ホテルのラウンジやモダンな家具で統一された邸宅のようです。上質なレザーやウッドパネル、金属の質感を巧みに組み合わせ、触れる部分すべてが心地よい空間を演出しています。物理スイッチを極力減らし、大型のタッチスクリーンに機能を統合したクリーンなデザインも特徴です。後席の快適性も特筆もので、特にロングホイールベースモデルの「エグゼクティブクラスコンフォートプラスシート」は、飛行機のファーストクラスのような空間を提供します。
ベンツGLS:Sクラス譲りの機能美と先進性
GLSのインテリアは、まさに「Sクラス」の世界観です。2枚の大型液晶パネルが一体となったダッシュボードは先進的でありながら、直感的な操作性を実現しています。質感の高さはもちろんのこと、スイッチ類の配置や操作感に至るまで、人間工学に基づいて徹底的に作り込まれており、ドライバーが運転に集中できる環境を提供します。7人乗りが基本となるGLSは、3列目シートの居住性や乗降性にも配慮されており、ファミリーユースでの実用性の高さも魅力です。
ボディサイズと室内空間の比較 居住性と積載能力
どちらもフルサイズのSUVですが、そのサイズ感とパッケージングには違いがあります。
レンジローバー (SWB) | レンジローバー (LWB) | ベンツGLS | |
---|---|---|---|
全長 | 5,065 mm | 5,265 mm | 5,210 mm |
全幅 | 2,005 mm | 2,005 mm | 2,030 mm |
全高 | 1,870 mm | 1,870 mm | 1,825 mm |
ホイールベース | 3,000 mm | 3,200 mm | 3,135 mm |
乗車定員 | 5名 (4名仕様あり) | 5名/7名 | 7名 |
サイズ感と取り回し
全幅はGLSの方がわずかに大きいですが、ほぼ同等と考えてよいでしょう。どちらも日本の道路環境ではかなり大きく、駐車場や狭い道では気を使います。ただし、レンジローバーには後輪操舵(オールホイールステアリング)が標準装備されており、最小回転半径は5.9m(LWBは6.1m)と、この巨体からは信じられないほどの小回り性能を発揮します。これはGLS(最小回転半径6.1m)に対する大きなアドバンテージと言えるでしょう。
居住性とシートアレンジ
GLSは3列シート7人乗りが基本となり、多人数での移動やファミリーユースを強く意識しています。3列目も大人が短時間なら問題なく座れるスペースが確保されています。 一方、レンジローバーは標準ボディ(SWB)が5人乗り、ロングホイールベース(LWB)で初めて7人乗りが選択可能になります。レンジローバーの本質は、あくまで後席の乗員をもてなすショーファードリブン的な使い方や、4~5人でゆったりと移動するパーソナルな空間にあると言えます。
パワートレインの比較 走行性能と燃費性能
両車とも、マイルドハイブリッド(MHEV)やプラグインハイブリッド(PHEV)など、電動化技術を積極的に取り入れた多彩なパワートレインを用意しています。
- レンジローバー: 3.0L直列6気筒のガソリンとディーゼル(共にMHEV)、そして3.0L直6ガソリンエンジンに大容量バッテリーを組み合わせたPHEV、さらにトップグレードにはBMW製の4.4L V8ツインターボエンジンをラインナップ。特にPHEVは、モーターだけで100km以上の走行が可能で、日常の多くのシーンをEVとしてこなせる実力を持っています。
- ベンツGLS: 3.0L直列6気筒ディーゼル(MHEV)と、4.0L V8ツインターボ(MHEV)が中心。特にディーゼルモデルは、大柄なボディを軽々と加速させる力強さと、優れた燃費性能を両立しており、長距離移動が多いユーザーには非常に魅力的です。ハイパフォーマンスモデルのAMG GLS 63は、0-100km/h加速4.2秒という、スーパーカー並みの動力性能を誇ります。
走りのキャラクターとしては、レンジローバーが全体的にジェントルで滑らかな加速フィールを重視しているのに対し、GLSはよりダイレクトで力強い加速感を味わえるセッティングとなっています。
乗り心地と静粛性の比較 エアサスペンションの実力
どちらも電子制御エアサスペンションを標準装備しており、乗り心地は極上です。しかし、その目指す方向性には違いがあります。
レンジローバー:「魔法の絨毯」のような乗り心地
レンジローバーの乗り心地は、まさに「魔法の絨毯」という言葉がぴったりです。路面の凹凸を巧みにいなし、常にフラットで穏やかな姿勢を保ちます。ロードノイズや風切り音も徹底的に遮断されており、その静粛性は高級セダンをも凌ぐレベルです。この圧倒的な快適性は、ドライバーだけでなく、すべての乗員に安らぎとくつろぎの時間を提供してくれます。
ベンツGLS:安定感と重厚感を両立
GLSの乗り心地も非常に快適ですが、レンジローバーに比べると、より路面のインフォメーションを伝え、しっかりとした安定感を感じさせるセッティングです。高速道路での直進安定性は特筆もので、どこまでも安心して走り続けられる重厚感があります。これはメルセデス・ベンツが長年培ってきた「安全思想」の表れとも言えるでしょう。

引用 : メルセデスベンツHP (https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/models/suv/gls/overview.html)
オフロード性能の比較 本格クロカンか、オールラウンダーか
この項目では、両車の出自の違いが最も顕著に表れます。
レンジローバー:DNAに刻まれた悪路走破性
ランドローバー社の血を受け継ぐレンジローバーにとって、オフロード性能はブランドの根幹をなすものです。電子制御の4WDシステム「テレイン・レスポンス2」は、路面状況を自動で判断し、最適な車両設定を選択してくれます。渡河水深限界は900mmと、もはや本格的なクロスカントリーカーの領域です。実際にこの車の性能を限界まで使う機会はほとんどないかもしれませんが、「いかなる道でも走破できる」という絶対的な安心感は、オーナーにとって大きな魅力となります。
ベンツGLS:全天候型の高い走破性
GLSももちろん、メルセデスの4WDシステム「4MATIC」を搭載しており、雪道や悪路での高い走破性を備えています。日常的な使い方で困ることはまずないでしょう。しかし、その設計思想はあくまでオンロードでの走行安定性を主眼に置いたものであり、レンジローバーのような極限の悪路走破性を追求したものではありません。GLSは「オールラウンダー」、レンジローバーは「スペシャリスト」と表現するのが的確かもしれません。
先進安全装備・運転支援システムの比較
先進安全装備や運転支援システムに関しては、両車ともに世界最高水準のものを搭載しており、甲乙つけがたいです。
- メルセデス・ベンツGLS: 「インテリジェントドライブ」と呼ばれる一連のシステムは、Sクラス譲りの非常に高度なものです。特に、車線変更をアシストする機能や、渋滞時の再発進機能などは非常にスムーズで、ドライバーの疲労を大幅に軽減してくれます。
- レンジローバー: こちらもアダプティブクルーズコントロールやレーンキープアシストなど、最新のシステムを網羅しています。前述の小回り性能の高さと合わせて、大柄なボディながら運転のしやすさに貢献しています。
どちらを選んでも、安全性や運転の快適性において不満を感じることはないでしょう。
まとめ
レンジローバーとベンツGLS、どちらが格上か。このレビューを通して、その答えは単純な優劣ではなく、オーナーが車に何を求めるかという価値観の違いにある、ということがお分かりいただけたかと思います。
メルセデス・ベンツGLSをおすすめする方
- 普遍的で分かりやすいステータス性を求める方
- ビジネスシーンでの利用や、社会的信頼性を重視する方
- 7人乗りの実用性や、ファミリーでの利用を考えている方
- Sクラス譲りの先進性と、質実剛健な走りを好む方
レンジローバーをおすすめする方
- 伝統やストーリー性を重んじ、唯一無二の存在感を求める方
- ライフスタイルやファッションとの調和を大切にする方
- 洗練されたモダンなデザインや、上質なインテリア空間を好む方
- オフロード性能がもたらす絶対的な安心感と、万能性を求める方
私の個人的な意見を述べさせていただくと、この2台は優劣をつけるものではなく、それぞれの哲学と美学を極めた「頂点」です。どちらを選ぶかは、あなたがどのようなカーライフを送り、車を通じてどのように自分を表現したいかという、極めてパーソナルな問いへの答えとなるでしょう。
最終的な判断を下す前に、ぜひ両方の車を実際に見て、触れて、そして試乗してみてください。ステアリングを握り、走り出した瞬間に、あなたの心に響く一台がどちらなのか、きっと分かるはずです。このレビューが、あなたの最高の選択の一助となれば幸いです。