モータージャーナリスト兼コンサルタントの二階堂仁です。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、街中やマンションの駐車場で独特の存在感を放つ「レンジローバー」を見かけて、一体どんな車なのだろう?どこのメーカーで、高級車の中でもどのくらいのポジションにいるんだろう?と気になっているのではないでしょうか。

私も初めてレンジローバーのハンドルを握り、その世界観に触れた時の衝撃は今でも覚えています。その気になる気持ちはよくわかります。
このレビューを読み終える頃には、レンジローバーという車の格付け、そしてドイツ御三家やレクサスといった他の高級車メーカーとの明確な違いやその魅力についての疑問が解決しているはずです。
記事のポイント
- レンジローバーのメーカーと歴史的背景
- 英国王室も認めるブランドの格
- ドイツ御三家やレクサスとのポジションの違い
- レンジローバーファミリーそれぞれの特徴と選び方

新しい車に乗り換える際、今乗っている愛車をどれだけ高く売却できるかは、次の車の選択肢にも大きく影響します。
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レンジローバーの格付けを理解するための基礎知識
まず、レンジローバーの「格付け」を語る上で欠かせない、基本的な情報を押さえていきましょう。このブランドが持つ独自の立ち位置は、その歴史と背景に深く根ざしています。

レンジローバーはどこの国のメーカー?
結論から言うと、レンジローバーはイギリスの自動車メーカー「ランドローバー」社が製造・販売する、SUVタイプの乗用車です。
時々、「レンジローバーというメーカーの車」と誤解されることがありますが、正しくは「ランドローバー」というメーカーの中の最高級モデル群が「レンジローバー」という名前を冠しています。
例えるなら、トヨタ自動車の中に「クラウン」や「カローラ」という車種があるのと同じ関係性です。ランドローバー社は、一貫してSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)やクロスカントリー車といった、いわゆる四輪駆動車を専門に作り続けてきた稀有なメーカーであり、その歴史はオフロードの歴史そのものと言っても過言ではありません。
ランドローバー社の歴史と専門性
ランドローバー社のルーツは、1948年にまで遡ります。第二次世界大戦後、イギリスのローバー社が軍用車をベースに民生用の多目的四輪駆動車として開発した「ランドローバー・シリーズI」がその始まりです。
質実剛健で高い耐久性と悪路走破性を誇るこの車は、世界中の過酷な環境下で人々の生活を支え、冒険家や探検家たちの信頼できるパートナーとして活躍しました。そのDNAは、現在のラインナップにも脈々と受け継がれています。
メルセデス・ベンツやBMW、トヨタなどがセダンやスポーツカーなど幅広い車種を製造する総合自動車メーカーであるのに対し、ランドローバーは創業以来、ひたすらにオフロード性能を追求し続けてきた「四輪駆動車のスペシャリスト」なのです。この一点集中型の専門性が、他のメーカーにはない独特のブランドイメージと信頼性を築き上げてきました。
「砂漠のロールスロイス」レンジローバー誕生の背景
1960年代、アメリカ市場で高級なレジャー用四輪駆動車の需要が高まり始めました。これを受け、ランドローバー社は自社の強みである圧倒的な悪路走破性に、高級セダンのような快適性と豪華な内装を融合させるという、当時としては画期的なコンセプトの車を開発します。
そして1970年、初代レンジローバーが誕生しました。
コイルリジットという画期的なサスペンションによる快適な乗り心地、フルタイム4WDによる安定した走り、そしてエレガントなスタイリングと豪華な内装。それはまさに、どんな道でも快適に走破できる高級車でした。その卓越した性能とコンセプトから、レンジローバーは**「砂漠のロールスロイス」**と称賛され、高級SUVという新たな市場を切り開いたのです。
この「悪路走破性」と「快適性」という、相反する要素を極めて高い次元で両立させている点こそが、レンジローバーの核となる価値であり、他の追随を許さない孤高の存在たる所以です。
英国王室御用達(ロイヤルワラント)が示す格の高さ
レンジローバーの格を語る上で絶対に外せないのが、**英国王室御用達(ロイヤルワラント)**の称号です。
ロイヤルワラントとは、英国王室に商品やサービスを納入している個人や企業に与えられる栄誉ある称号で、品質の高さと信頼性の証とされています。ランドローバー社は、エリザベス女王2世、エディンバラ公フィリップ王配、そしてチャールズ皇太子(当時)という3名からワラントを授与されていました(現在はチャールズ国王とエリザベス女王からの2つ)。
王室のメンバーが公式行事やプライベートでランドローバー社の車両を使用している姿は、ニュース映像などで目にする機会も多いでしょう。特にエリザベス女王が自らランドローバーのハンドルを握り、領地をドライブする姿は有名でした。
このように、一国の君主が愛用し、その品質を認めているという事実は、単なるマーケティングとは一線を画す、本物の格式と伝統をブランドにもたらしています。これは、他の多くの高級車ブランドが持ち得ない、極めて強力なブランドイメージの源泉となっています。
現在の親会社はインドのタタ・モーターズ
ランドローバーは、その歴史の中でローバー・グループ、BMW、フォードと親会社が変遷し、2008年からは同じくイギリスの名門ブランドであるジャガーと共に、インドのタタ・モーターズ傘下に入りました。
「インドの会社が親会社で大丈夫?」と心配する声を聞くこともありますが、これは全くの杞憂です。タタ・モーターズはジャガー・ランドローバー社の伝統とブランド価値を深く理解しており、経営に過度に干渉することなく、むしろ豊富な資金力を背景に研究開発を後押ししています。
タタ傘下に入ってからのレンジローバーは、デザイン、技術、品質の全ての面で劇的な進化を遂げ、ブランドイメージをさらに向上させています。現在の成功は、タタ・モーターズの賢明な経営判断の賜物と言えるでしょう。
レンジローバーと競合車のポジションを徹底比較
レンジローバーの基本的な立ち位置を理解したところで、次はいよいよ皆さんが最も気になるであろう、ドイツ御三家(メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ)や日本のレクサスといった、他の高級車ブランドと比較した際の具体的なポジションについて解説していきます。

比較の土俵に上がる主要な高級SUV
まず、レンジローバーの直接的なライバルとなる各ブランドのフラッグシップSUVをリストアップしてみましょう。今回は、レンジローバーの中でも最上級モデルである「レンジローバー」と比較します。
- メルセデス・ベンツ: Gクラス / GLS
- BMW: X7
- アウディ: Q8
- レクサス: LX
- ポルシェ: カイエン
- ベントレー: ベンテイガ
- ロールスロイス: カリナン
ベントレーやロールスロイスはさらに上の価格帯になりますが、高級SUVという括りでは比較対象となり得ます。今回は主に、価格帯が近いドイツ御三家とレクサスを中心に比較していきます。
ブランドイメージとステータス性で比較
各ブランドが持つイメージやステータス性は、車選びにおいて非常に重要な要素です。
ブランド | 国 | 主なイメージとステータス性 |
---|---|---|
ランドローバー | イギリス | 英国王室御用達、伝統と格式、冒険心、オフロードの絶対王者、唯一無二 |
メルセデス・ベンツ | ドイツ | 威厳、成功者の証、最善か無か、コンフォート、先進性と伝統の両立 |
BMW | ドイツ | スポーティ、駆けぬける歓び、ドライビング性能、若々しい成功者 |
アウディ | ドイツ | 洗練、先進技術、知的、スタイリッシュ、クワトロ(4WD技術) |
レクサス | 日本 | 信頼性、静粛性、おもてなしの心、品質へのこだわり、落ち着いた上質さ |
レンジローバーの独自性
この中でレンジローバーが持つステータス性は極めてユニークです。ドイツ御三家が持つ「ビジネス的な成功」のイメージとは異なり、レンジローバーには**「ライフスタイルとしての豊かさ」や「高貴さ」**といったイメージが強くあります。
それは、英国貴族が狩猟(ハンティング)などのカントリースポーツを楽しむ際に、悪路をものともせず、かつエレガントに移動するための道具として使われてきた歴史的背景に由来します。ただ豪華なだけでなく、どんな環境にも対応できる本物の性能を内に秘めている、という点が大きな違いです。
レクサスの「おもてなし」や品質への信頼感ともまた違う、伝統と格式に裏打ちされた絶対的な自信と余裕が、レンジローバーのブランドイメージを形成しています。
走行性能で比較(オフロードの王者 vs オンロードの雄)
走行性能は、各ブランドの哲学が最も色濃く反映される部分です。
オフロード性能
まず、悪路走破性(オフロード性能)において、レンジローバーの右に出るものはいません。メルセデス・ベンツのGクラスも軍用車由来の高い走破性を持ちますが、レンジローバーは電子制御エアサスペンションや「テレイン・レスポンス」といった先進技術を駆使し、路面状況に応じて車両設定を自動で最適化します。
これにより、ドライバーは特別な運転技術がなくても、まるで絨毯の上を走るかのような快適さで、岩場や泥道、渡河といった過酷な状況をクリアできてしまいます。この「インテリジェントな走破性」は、他のどのブランドも到達できていない領域です。
オンロード性能
一方、舗装路(オンロード)での走行性能、特に高速走行時の安定性やコーナリング性能においては、BMWやポルシェに軍配が上がります。これらのブランドは「走り」を追求しており、SUVであってもスポーツカーのような俊敏なハンドリングと安定性を実現しています。
しかし、近年のレンジローバーはオンロード性能も劇的に向上しており、その乗り心地は極上の高級セダンに匹敵します。路面の凹凸を滑らかにいなし、静かで快適な移動空間を提供してくれる様は、まさに「走るスイートルーム」です。
結論として、レンジローバーは「あらゆる道を最高に快適に走る」ことを目指しているのに対し、ドイツ勢は「オンロードをより速く、よりスポーティに走る」ことを重視する傾向にあり、思想の根幹が異なると言えます。レクサスLXは、レンジローバーに近い快適性と高い悪路走破性を持ちますが、より信頼性や静粛性に重きを置いています。
内外装のデザイン思想で比較
インテリアやエクステリアのデザインにも、それぞれのブランド哲学が表れています。
- レンジローバー:
- エクステリア: 威風堂々としつつも、華美な装飾を排したクリーンでモダンなデザイン。「これぞレンジローバー」と一目でわかる伝統的なシルエットを継承しつつ、先進性を融合させています。
- インテリア: 「リダクショニズム(削減主義)」に基づき、物理ボタンを極力減らしたシンプルで上質な空間。最高級のレザーやウッドをふんだんに使い、モダンな邸宅のリビングのような心地よさを追求しています。
- ドイツ御三家:
- メルセデス・ベンツ: 豪華絢爛。大型ディスプレイやアンビエントライトを多用し、先進性と華やかさを演出。見るからに「高級車」とわかるデザインです。
- BMW/アウディ: 機能美とスポーティさ。ドライバーオリエンテッドなコクピットデザインや、先進的なインターフェースが特徴。モダンで知的な印象を与えます。
- レクサス:
- インテリア: 日本の「匠の技」を感じさせる、緻密で繊細な作り込みが特徴。ステッチの縫い目一つにもこだわり、触れた時の質感を非常に大切にしています。おもてなしの心を感じさせる、心地よい空間です。
ここでも、レンジローバーは**「モダンラグジュアリー」**という独自の立ち位置を確立しています。ドイツ勢の「先進性アピール」やレクサスの「職人技」とは異なる、シンプルさの中に本物の素材の良さを際立たせる英国流の美学が貫かれています。
価格帯で比較
それでは、具体的な価格を見てみましょう。各ブランドのフラッグシップSUVの最もベーシックなグレード(2025年モデル参考)で比較します。
車種名 | ブランド | 新車価格(約) |
---|---|---|
レンジローバー SV | ランドローバー | 2,946万円~ |
メルセデス・マイバッハ GLS 600 | メルセデス・ベンツ | 3,220万円~ |
BMW X7 M60i xDrive | BMW | 1,837万円~ |
アウディ SQ8 | アウディ | 1,591万円~ |
レクサス LX600 “EXECUTIVE” | レクサス | 1,800万円~ |
ポルシェ カイエン ターボ E-ハイブリッド | ポルシェ | 2,345万円~ |
※上記はあくまで一例であり、エンジンやグレード、オプションによって価格は大きく変動します。
この表からもわかるように、レンジローバーは高級SUVの中でもトップクラスの価格帯に位置しています。特に、内外装をオーダーメイドできる最上級グレード「SV」は、メルセデス・マイバッハやベントレーといったショーファードリブンカー(専属の運転手が運転する車)の領域に匹敵します。
この価格設定自体が、ランドローバー社の「我々の車は、他とは違う特別な存在である」という自信の表れであり、ブランドの格付けを明確に示していると言えるでしょう。
【コラム】レンジローバーは本当に壊れやすいのか?
レンジローバーについて調べると、必ずと言っていいほど「故障が多い」「壊れやすい」という評判を目にします。これは、かつてのモデル、特に親会社が安定しなかった時代のモデルに電気系統のトラブルなどが多かったことが原因です。
しかし、現在のモデルの信頼性は、タタ傘下に入って以降、飛躍的に向上しています。私自身も現行モデルを所有していますが、日常使用で大きなトラブルに見舞われた経験はありません。
もちろん、ドイツ車や日本車と比較すれば、細かな不具合が発生する可能性はゼロではありません。しかし、それは最新の電子デバイスを多数搭載する現代の高級車全般に言えることです。正規ディーラーの保証も手厚くなっていますし、「壊れやすくて維持できない」というのは、もはや過去のイメージとなりつつあります。
むしろ、そうした少し手のかかる部分も含めて愛せるのが、英国車の魅力の一つとも言えるかもしれません。
リセールバリューで見る格付け
車を資産として考えた場合、リセールバリュー(再販価値)は重要な指標です。
一般的に、リセールバリューが高いのは、信頼性が高く中古車市場でも人気の高いレクサスや、絶対的なブランド力を持つメルセデス・ベンツのGクラスなどです。
レンジローバーは、かつては「故障が多い」というイメージからリセールバリューが低い傾向にありましたが、近年はその人気と信頼性の向上から、高年式のモデルを中心に非常に高いリセールバリューを維持しています。特に、ユニークなボディカラーや人気のオプションを装備した車両は、中古車市場でも高値で取引されています。
これは、レンジローバーが単なる移動手段ではなく、「指名買い」される嗜好性の高い車であることを示しています。流行に左右されない普遍的な価値が市場に認められている証拠であり、これもまた格付けの高さを示していると言えるでしょう。
まとめ
今回は、レンジローバーの格付けについて、その歴史的背景からドイツ御三家やレクサスとの比較まで、多角的に解説してきました。
この記事のポイントを改めて整理します。
- レンジローバーは、四輪駆動車のスペシャリストであるイギリスの「ランドローバー」社が作る最高級SUVである。
- 「砂漠のロールスロイス」として誕生し、英国王室御用達の称号を持つなど、他の高級車とは一線を画す伝統と格式を持っている。
- ドイツ御三家がオンロード性能を重視するのに対し、レンジローバーは圧倒的なオフロード性能と、高級セダンのような快適性を高次元で両立させている。
- 内外装のデザインは、華美な装飾を排した「モダンラグジュアリー」という独自の思想が貫かれている。
- 価格帯は高級SUVの中でもトップクラスであり、そのポジションはメルセデス・マイバッハやベントレーといった超高級ブランドに迫る。
結論として、レンジローバーの格付けは、一般的な高級車ピラミッドの頂点に位置し、その中でも「オフロード走破性」と「伝統・格式」という独自の価値軸を持つ、唯一無二の存在と言えます。
それは、単に速い、豪華、といった価値観だけでは測れない、オーナーのライフスタイルそのものを豊かにしてくれる特別な車です。もしあなたが、他人とは違う本物の価値を求め、人生を共に歩むパートナーとして車を選ぶのであれば、レンジローバーは間違いなくその最有力候補となるでしょう。
このレビューが、あなたのレンジローバーに対する理解を深める一助となれば幸いです。