モータージャーナリスト兼コンサルタントの二階堂仁です。今回も多く寄せられている質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、メルセデス・ベンツの購入を検討される中で、「AMG」や「マイバッハ」といった特別なモデルの存在が気になっているのではないでしょうか。

引用 : メルセデスベンツHP (https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/models/saloon/mercedes-maybach-s-class/overview.html)
私も実際にこれら3つのブランドの車両を所有し、その違いと魅力を深く体験してきましたので、皆様が抱く疑問や気になる気持ちはよくわかります。それぞれに全く異なる個性と哲学があり、知れば知るほどその奥深さに魅了されるはずです。
この記事を読み終える頃には、メルセデス・ベンツ、AMG、そしてマイバッハ、それぞれの本質的な違いと、ご自身に最適な一台はどれなのか、その疑問が明確に解決しているはずです。
記事のポイント
- メルセデス、AMG、マイバッハの歴史と関係性
- コンセプト、性能、デザインの徹底的な違い
- 日本国内での購入方法と気になる購入条件
- あなたに最適な一台を見つけるためのタイプ別診断

新しい車に乗り換える際、今乗っている愛車をどれだけ高く売却できるかは、次の車の選択肢にも大きく影響します。
私自身、一括見積もりサイトを活用したことで、ホンダヴェゼルからレクサスRXに乗り換えることができました。
メルセデス・ベンツ、AMG、マイバッハの基本的な関係性
まずはじめに、これら3つのブランドがどのような関係にあるのか、その基本から整理していきましょう。同じメルセデスのエンブレム「スリーポインテッド・スター」を掲げながらも、その成り立ちと目指す方向性は全く異なります。
引用 : メルセデスベンツHP (https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/models/saloon/mercedes-maybach-s-class/overview.html)
そもそもメルセデス・ベンツとは? 100年以上の歴史を持つ自動車のパイオニア
メルセデス・ベンツは、世界で最も長い歴史を持つ自動車メーカーの一つであり、「自動車の発明者」として知られています。1886年にカール・ベンツが世界初のガソリン自動車を発明して以来、常に時代の最先端を走り続けてきました。
その哲学の根底にあるのは**「Das Beste oder nichts.(最善か、無か)」**という確固たる信念です。安全性、快適性、革新性、デザイン、そのすべてにおいて妥協を許さず、常に世界の自動車業界の指標となるモデルを世に送り出してきました。
現在では、コンパクトなAクラスから、セダンのC、E、Sクラス、人気のSUVであるGLCやGLE、そして電気自動車のEQシリーズまで、非常に幅広いラインナップを展開しています。どのモデルにおいても、メルセデス・ベンツならではの高い品質と信頼性、そして時代をリードする先進技術が惜しみなく投入されており、世界中のユーザーから絶大な支持を得ています。AMGやマイバッハを語る上で、この揺るぎない「メルセデス・ベンツ」という土台の存在が不可欠なのです。
AMGとは? レーシング技術から生まれたハイパフォーマンスブランド

AMGは、もともとメルセデス・ベンツの市販車をベースに、レース用エンジンを開発・製造する独立したチューニング会社でした。創設者であるハンス・ヴェルナー・アウフレヒトとエアハルト・メルヒャー、そしてアウフレヒトの故郷であるグロースアスバッハの頭文字を取って「AMG」と名付けられました。
彼らが手掛けたエンジンはレースで輝かしい成績を収め、その名声は瞬く間に世界に轟きます。その高い技術力に注目したメルセデス・ベンツは、1990年代から公式に協力関係を結び、共同で高性能モデルを開発。そして1999年、ついにAMGはメルセデス・ベンツの傘下に入り、現在は**「メルセデスAMG」**として、メルセデスのハイパフォーマンスモデルの開発・製造を担うサブブランドとなっています。
AMGの最大の特徴は、レーシングカー開発で培われた技術を惜しみなく市販車にフィードバックしている点です。特に**「One Man – One Engine(一人の職人が、一つのエンジンを)」**という哲学はAMGの象徴であり、熟練のマイスターが手作業でエンジンを組み上げ、完成したエンジンにはその証として担当者のサインが刻まれたプレートが装着されます。このクラフトマンシップが、AMGの圧倒的なパワーと官能的なフィーリングを生み出しているのです。
マイバッハとは? 究極のラグジュアリーを追求するショーファードリブン

マイバッハの歴史は、AMGよりもさらに古く、20世紀初頭にまで遡ります。ヴィルヘルム・マイバッハは、もともとゴットリープ・ダイムラー(メルセデス・ベンツの源流であるダイムラー社の創業者)の片腕として活躍した天才的なエンジニアでした。
彼は独立後、息子のカール・マイバッハと共に、飛行船ツェッペリン号のエンジンなどを手掛け、その後、最高級自動車の製造を開始します。当時のマイバッハは、その圧倒的な品質と豪華さから、王侯貴族や大富豪に愛用される「幻の名車」として君臨していました。
しかし、第二次世界大戦などの影響で自動車製造から撤退。長い沈黙の時を経て、2002年にダイムラー・クライスラー(当時)によって、超高級車ブランドとして復活を遂げます。一度はブランドを休止したものの、2015年からはメルセデス・ベンツのサブブランド**「メルセデス・マイバッハ」**として再始動しました。
現在のマイバッハは、メルセデス・ベンツのフラッグシップモデルであるSクラスやGLSをベースに、ホイールベースを延長。後席の乗員(ショーファー=お抱え運転手に運転を任せる人)が過ごす空間を最大限に広げ、最高級の素材と職人技を駆使して、まるでプライベートジェットのファーストクラスのような、究極に快適で静かな移動空間を提供することを使命としています。
3つのブランドの関係性を分かりやすく整理
ここまでの話をまとめると、3つのブランドの関係性は以下のようになります。
- メルセデス・ベンツ: すべてのモデルの基礎となる、安全性と快適性を追求する「本家」。
- メルセデスAMG: メルセデス・ベンツをベースに、サーキットで培った技術で究極の走行性能を追求する「スポーツ部門」。
- メルセデス・マイバッハ: メルセデス・ベンツをベースに、伝統的な職人技で究極の豪華さと快適性を追求する「ラグジュアリー部門」。
ピラミッドで例えるなら、頂点に君臨するのがメルセデス・ベンツであり、その最高峰モデルであるSクラスなどをベースに、「走り」の頂点を目指したのがAMG、「快適性」の頂点を目指したのがマイバッハと考えると、非常に分かりやすいでしょう。
AMGとマイバッハ、それぞれの特徴を徹底比較
では、具体的にAMGとマイバッハはどこが違うのでしょうか。コンセプトからデザイン、性能に至るまで、あらゆる角度からその違いを徹底的に比較していきましょう。
私自身、両方のモデルを所有し、日常の足から長距離ドライブ、時にはサーキット走行まで体験してきたからこそ語れる、リアルな違いをお伝えします。

引用 : メルセデスベンツHP (https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/models/saloon/mercedes-maybach-s-class/overview.html)
比較ポイント1:コンセプトの違い「サーキット」か「貴賓室」か
両者の違いを最も端的に表しているのが、その開発コンセプトです。
- AMGのコンセプト:「ドライビングパフォーマンス」 AMGが目指すのは、ドライバーが意のままに車を操る喜びと、圧倒的な動力性能による興奮です。エンジンパワーはもちろん、俊敏なハンドリング、強力なブレーキ性能、そしてドライバーを高揚させるエキゾーストサウンドなど、五感を刺激する「走り」に関わるすべての要素を極限まで磨き上げています。AMGは、ドライバーが主役の**「走るためのマシン」**なのです。
- マイバッハのコンセプト:「アルティメットラグジュアリー」 一方、マイバッハの主役は後部座席の乗員です。目指すのは、移動していることを忘れさせるほどの静粛性と、まるで雲の上にいるかのような快適な乗り心地。最高級のレザーやウッドをふんだんに使用した空間で、リクライニングシートに身を委ね、シャンパンを片手にリラックスする。マイバッハは、オーナーをもてなす**「移動する貴賓室」**なのです。
このコンセプトの違いが、これから解説するエンジンやデザイン、走行性能など、すべての違いの根源となっています。
比較ポイント2:エンジンの違い「One Man – One Engine」の哲学
車の心臓部であるエンジンにも、両者の哲学が色濃く反映されています。
- AMGのエンジン:官能的なV8ビターボ AMGの代名詞といえば、やはりパワフルなV型8気筒ツインターボエンジンです。前述の「One Man – One Engine」の哲学に基づき、一人のマイスターが責任を持って手組みしたエンジンは、アクセルを踏み込んだ瞬間に猛然と加速し、魂を揺さぶるようなサウンドを奏でます。近年では、F1の技術を応用した電動化技術(E PERFORMANCE)も積極的に導入し、さらなる高みを目指しています。パワーとレスポンス、そしてサウンド。すべてがドライバーの感情に訴えかけるようにチューニングされています。
- マイバッハのエンジン:静粛で滑らかなV12 マイバッハのトップモデルには、メルセデスが誇るV型12気筒ツインターボエンジンが搭載されます。このエンジンの真骨頂は、圧倒的なパワーを誇りながらも、その存在を全く感じさせないほどの静粛性と滑らかさです。まるでシルクの上を滑るかのように、どこまでもスムーズに回転し、車内にはほとんど振動や騒音が伝わってきません。後席の乗員に一切のストレスを与えないこと。それがマイバッハのエンジンに課せられた至上命題なのです。
比較ポイント3:エクステリアデザインの違い スポーティネス vs 威厳
外観デザインを見れば、両者のキャラクターの違いは一目瞭然です。
- AMGのデザイン:アグレッシブで機能的 AMGモデルは、ベースとなるメルセデス・ベンツの優雅なフォルムに、レース由来の機能的なパーツを装着することで、アグレッシブな印象を強めています。
- パナメリカーナグリル: 縦のフィンが特徴的なフロントグリルは、1952年の伝説的なレース「カレラ・パナメリカーナ・メヒコ」で優勝したレーシングカーに由来し、現代AMGの象徴となっています。
- 大型エアインテーク: エンジンやブレーキを効率的に冷却するための大型の開口部を持つフロントバンパー。
- 専用ホイール&ブレーキ: 大径で軽量な鍛造ホイールと、強力なストッピングパワーを発揮する大型のブレーキシステム。
- リアディフューザー&4本出しマフラー: 高速走行時の安定性を高めるディフューザーと、迫力あるサウンドを奏でる左右4本出しのエキゾーストエンド。 これらはすべて、見た目のためだけでなく、「速く走る」という目的のために与えられた機能的なデザインなのです。
- マイバッハのデザイン:威厳と格式 マイバッハは、ベースモデルから全長とホイールベースを延長し、伸びやかで威風堂々とした佇まいを特徴とします。
- 専用フロントグリル: 繊細な縦のラインと「MAYBACH」の文字が刻まれた、クローム仕上げの荘厳なフロントグリル。
- 豊富なクローム加飾: フロントバンパーやサイドウィンドウのモール、Bピラーなどにクロームパーツを多用し、煌びやかさを演出。
- 専用デザインのホイール: まるで高級腕時計の文字盤のように、精緻でエレガントなデザインの鍛造ホイール。
- ツートーンカラー: ボディの上部と下部を異なる色で塗り分ける、マイバッハの象徴的なオプション。熟練の職人が手作業で仕上げるコーチライン(境界線)は、まさに工芸品の域です。
- Cピラーのエンブレム: 後席の乗員が座る位置のCピラーには、マイバッハの頭文字「M」を重ねた専用のエンブレムが輝き、特別なモデルであることを静かに主張します。
比較ポイント4:インテリアデザインの違い カーボン vs ウッド&レザー
ドアを開けた瞬間に広がるインテリア空間も、両者の世界観を明確に表現しています。
- AMGのインテリア:ドライバーズオリエンテッド AMGの室内は、ドライバーが運転に集中し、車との一体感を得られるように設計されています。
- AMGパフォーマンスステアリング: 太いグリップとフラットボトム形状が特徴。走行モードの切り替えなどが手元で行えるスイッチも装備。
- スポーツシート: 高速コーナリングでも体をしっかりと支える、ホールド性の高い専用デザインのシート。
- カーボンファイバーパネル: レーシングカーにも使われる軽量で高剛性なカーボンファイバーを、ダッシュボードやセンターコンソールに多用し、スポーティな雰囲気を演出。
- AMG専用メーター表示: エンジン回転数や速度だけでなく、Gフォースやラップタイムなど、サーキット走行を想定した情報を表示できる専用モードを備えています。
- マイバッハのインテリア:後席乗員のための最上級のおもてなし マイバッハの真骨頂は、後部座席の空間にあります。
- エグゼクティブリアシート: ボタン一つで背もたれが深くリクライニングし、レッグレストが伸びる、まるで飛行機のファーストクラスのようなシート。マッサージ機能も内蔵されています。
- 最高級の素材: しっとりと柔らかなナッパレザーや、美しい木目のウッドパネルを惜しみなく使用。天井までレザーで覆われることもあります。
- 冷蔵庫&シャンパングラス: 後席アームレストには、シャンパンボトルを冷やすための冷蔵庫と、専用の格納式シャンパングラスホルダーが用意されています。
- 静粛性への徹底的なこだわり: 通常のSクラスよりもさらに多くの遮音材・吸音材を追加し、タイヤも静粛性の高い専用品を装着。アクティブノイズキャンセレーション機能により、ロードノイズなどを打ち消し、圧倒的な静寂を実現しています。
比較ポイント5:走行性能の違い アドレナリンか、静寂か
実際にステアリングを握ったり、後席に乗ったりした際のフィーリングは、まさに対極にあります。
- AMGの走行性能:ダイレクトで刺激的 AMGの乗り心地は、引き締まった硬質なものです。路面の状況をダイレクトにドライバーに伝え、車との対話を促します。ステアリングを切れば、ノーズが瞬時に向きを変え、アクセルを踏めば、背中をシートに押し付けられるような強烈な加速を味わえます。そして、高回転まで回した時のエキゾーストノートは、ドライバーの心を最高に高揚させてくれるでしょう。それはまさに、アドレナリンが放出されるような刺激的な体験です。
- マイバッハの走行性能:魔法の絨毯のような滑らかさ マイバッハの乗り心地は、一言でいえば「魔法の絨毯」です。路面の凹凸を絶妙にいなし、車内は常にフラットで穏やかな状態に保たれます。ステアリング操作や加減速も、後席の乗員にショックを伝えないよう、どこまでもジェントルに行われます。車内にいると、外の喧騒が嘘のように遠ざかり、静寂と安らぎに満ちたプライベートな時間が流れます。これは、移動の疲れを癒し、ビジネスのインスピレーションを掻き立てるための、究極の快適性能です。
比較ポイント6:価格帯の違い Sクラスを基準に比較
当然ながら、これだけの特別な装備や性能が与えられているため、価格も大きく異なります。ここでは、それぞれのブランドの頂点に立つセダン、Sクラスをベースにしたモデルで比較してみましょう。(※価格は2025年現在の目安です)
- メルセデス・ベンツ Sクラス: 約1,500万円~
- メルセデスAMG S 63 E PERFORMANCE: 約3,000万円~
- メルセデス・マイバッハ Sクラス: 約3,000万円~
AMGとマイバッハは、ベースとなるSクラスのおおよそ2倍の価格からスタートします。ここからさらに、内外装の特別なオプションなどを追加していくと、価格はさらに上がっていきます。まさに、選ばれし者のための特別な一台と言えるでしょう。
【表で比較】メルセデス・ベンツ Sクラス、AMG S 63、マイバッハ Sクラスのスペック比較
項目 | メルセデス・ベンツ S 500 4MATIC | メルセデスAMG S 63 E PERFORMANCE | メルセデス・マイバッハ S 680 4MATIC |
---|---|---|---|
コンセプト | 最善のセダン | ドライビングパフォーマンス | アルティメットラグジュアリー |
エンジン | 3.0L 直列6気筒ターボ+ISG | 4.0L V型8気筒ツインターボ+PHEV | 6.0L V型12気筒ツインターボ |
最高出力 | 435ps | 802ps (システム総合) | 612ps |
最大トルク | 520Nm | 1430Nm (システム総合) | 900Nm |
全長 | 5,180mm | 5,335mm | 5,470mm |
ホイールベース | 3,105mm | 3,215mm | 3,395mm |
エクステリア | エレガントでモダン | アグレッシブでスポーティ | 威厳があり荘厳 |
インテリア | 高品質で先進的 | ドライバー中心のコックピット | 後席中心の豪華な空間 |
主な特徴 | バランスの取れた完成度 | 圧倒的なパワーとハンドリング | 究極の静粛性と快適性 |
新車価格目安 | 約1,500万円~ | 約3,000万円~ | 約3,500万円~ |
※仕様や価格は年式やグレードにより異なります。
日本国内での購入と所有に関するQ&A
さて、これほどまでに特別なAMGやマイバッハですが、「実際に日本で買うことはできるのか?」「何か特別な条件があるのではないか?」といった疑問も多く寄せられます。ここでは、購入と所有に関するリアルな情報をお届けします。
AMGやマイバッハは日本で普通に購入できる?
はい、全く問題なく購入できます。
AMGもマイバッハも、全国のメルセデス・ベンツ正規ディーラーで購入することが可能です。特にAMGは人気が高く、多くのディーラーに「AMGパフォーマンスセンター」という専門コーナーが設けられており、専任のスタッフから詳しい説明を受けたり、試乗車が用意されていたりします。
マイバッハに関しても、取り扱いのある正規ディーラーで購入できます。ただし、非常に高額で特別な車両のため、展示車や試乗車が常時あるわけではありません。購入を検討する際は、事前にディーラーへ問い合わせてみることをお勧めします。
購入に特別な条件(会社経営者など)はある? 審査は厳しい?
職業や社会的地位による購入制限は一切ありません。
「会社経営者でなければ買えない」ということは全くなく、個人で購入されている方もたくさんいらっしゃいます。大切なのは、その車の価値を理解し、購入・維持するための支払い能力があるかどうかです。
ローンを利用する場合は、当然ながら信販会社による審査が行われます。車両価格が高額になるため、審査の基準は一般的な車よりも厳しくなる傾向はありますが、安定した収入があり、過去の信用情報に問題がなければ、過度に心配する必要はありません。私のお客様でも、医師や弁護士といった専門職の方、あるいは事業で成功された若い起業家など、様々な方がオーナーになられています。
代表的な車種と新車価格を紹介
現在、日本で購入可能なAMGとマイバッハの代表的なモデルと、その新車価格の目安をご紹介します。
メルセデスAMGのラインナップ例
- AMG A 45 S 4MATIC+: 約950万円~ (コンパクトハッチバック)
- AMG C 63 S E PERFORMANCE: 約1,700万円~ (セダン/ステーションワゴン)
- AMG G 63: 約2,300万円~ (SUV)
- AMG GT 63 S E PERFORMANCE 4ドアクーペ: 約3,000万円~ (4ドアクーペ)
- AMG SL 63 4MATIC+: 約2,900万円~ (ロードスター)
メルセデス・マイバッハのラインナップ例
- マイバッハ Sクラス (S 580 / S 680): 約3,000万円~ (セダン)
- マイバッハ GLS 600 4MATIC: 約3,200万円~ (SUV)
- マイバッハ EQS SUV (EQS 680 SUV): 約3,000万円~ (電気自動車SUV)
このように、AMGは比較的幅広い価格帯とボディタイプから選べるのに対し、マイバッハはセダンとSUVの最高級モデルに絞られているのが特徴です。
維持費は通常のベンツと比べてどれくらい違う?
購入後の維持費も気になるところでしょう。結論から言うと、通常のメルセデス・ベンツに比べて高額になります。
- 自動車税: 排気量が大きいモデルが多いため、高額になります。例えば、4.0L超のAMG G 63は年間87,000円、6.0Lのマイバッハ S 680は年間110,000円です。
- 任意保険: 車両保険の金額が非常に高くなります。車両価格が高いため、保険料も年間数十万円から、場合によっては100万円を超えることもあります。
- メンテナンス費用: AMGやマイバッハ専用の部品は高価です。特に、AMGのブレーキパッドやローター、マイバッハの特殊なエアサスペンションなどは、交換時に高額な費用がかかります。エンジンオイルも指定の高性能なものが必要で、量も多く入るため、オイル交換だけでも数万円から十数万円かかる場合があります。
- タイヤ代: 高性能な大径タイヤを装着しているため、タイヤ交換費用も高額です。1セットで40万円~80万円程度かかることも珍しくありません。
年間の維持費としては、税金、保険、メンテナンス、消耗品などを合わせると、最低でも100万円以上は見ておく必要があるでしょう。
中古車で狙うのはアリ? 注意点とメリット・デメリット
新車では手が届かないという場合、中古車を選択肢に入れるのも一つの方法です。
- メリット:
- 価格: なんといっても最大のメリットは価格です。特に年式の古いモデルや走行距離の多い個体は、新車価格の半額以下で手に入ることもあります。
- 選択肢: 生産が終了したモデル(例えば自然吸気の大排気量エンジンを積んだAMGなど)に乗れるのは中古車ならではの魅力です。
- デメリット・注意点:
- コンディションの見極め: 最も重要なのが車両の状態です。特にAMGはハードな走行をされている可能性もあり、エンジンやトランスミッション、足回りの状態を慎重に見極める必要があります。
- 高額な修理費: 購入後に故障が発生した場合、修理費用は非常に高額になるリスクがあります。信頼できる販売店で、保証がしっかり付いている車両を選ぶことが絶対条件です。
- 記録簿の確認: これまでのメンテナンス履歴がしっかりと記録されている「記録簿」付きの車両を選ぶようにしましょう。どのような整備が、いつ行われたかを確認することが重要です。
中古車を選ぶ際は、価格の安さだけで飛びつかず、信頼できる専門家のアドバイスを受けながら、慎重に個体を選ぶことを強くお勧めします。
オーナーはどんな人? 年収や職業の傾向は
これはよく聞かれる質問ですが、オーナー像は実に多様です。もちろん、企業の経営者や役員、医師、弁護士、投資家といった高所得者層の方が多いのは事実です。年収で言えば、最低でも2,000万円以上、安定して所有するなら3,000万円以上が一つの目安になるかもしれません。
しかし、私が知るオーナーの方々に共通しているのは、単にお金持ちであるということ以上に、**「本物の価値を知っている」**ということです。AMGの圧倒的なパフォーマンスに純粋な喜びを見出す方、マイバッハの静謐な空間で思索にふける時間を大切にする方。彼らは、これらの車が提供してくれる特別な体験にこそ価値を感じ、対価を支払っているのです。
あなたに合うのはどれ?タイプ別おすすめモデル
最後に、これまでの比較を踏まえて、どのような方にどのブランドがおすすめか、私なりの見解をまとめたいと思います。
自分で運転を楽しみたいアクティブな経営者へのおすすめは「AMG」
もしあなたが、休日に自らステアリングを握り、ワインディングロードや高速道路でのドライビングを楽しみたいタイプなら、迷わずAMGをお勧めします。仕事のストレスを、エンジンの咆哮と共に吹き飛ばすような爽快感は、AMGでしか味わえません。特に、日常の使い勝手と圧倒的なパフォーマンスを両立した**「メルセデスAMG C 63 S E PERFORMANCE」や、オールラウンドに使えるSUVの「メルセデスAMG G 63」**などは、アクティブなライフスタイルに完璧にマッチするでしょう。
後部座席で快適な移動を求めるエグゼクティブへのおすすめは「マイバッハ」
日々の移動は基本的にショーファーに任せ、車内では仕事の準備をしたり、あるいは完全にリラックスして過ごしたいという方には、マイバッハが唯一無二の選択肢となります。取引先へ向かう移動時間も、マイバッハの静かで快適な空間であれば、心身ともに最高のコンディションで臨むことができるはずです。究極のステータスシンボルであり、最高のビジネスツールともなる**「メルセデス・マイバッハ Sクラス」**は、あなたのビジネスを新たなステージへと引き上げてくれるかもしれません。
バランスの取れたラグジュアリーを求めるなら「メルセデス・ベンツ Sクラス」
AMGほどの過激なパフォーマンスは必要ないし、マイバッハのように後席に乗ることがメインでもない。しかし、最高水準の快適性、安全性、そしてステータスは欲しい。そんな最もバランスの取れた選択を求めるのであれば、やはり**「メルセデス・ベンツ Sクラス」**が最適です。Sクラスは、世界の高級車の指標であり、これ一台でどんなシーンでも不足を感じることはありません。AMGやマイバッハを知った上で、あえて標準のSクラスを選ぶというのも、非常に知的で洗練された選択だと思います。
まとめ
今回は、メルセデス・ベンツ、AMG、マイバッハという、同じスリーポインテッド・スターを掲げる3つのブランドの違いについて、詳しく解説してきました。
- メルセデス・ベンツは、すべてにおける「最善」を追求する、揺るぎない基準。
- AMGは、その基準をベースに「走り」の情熱と興奮を極限まで高めたハイパフォーマンスブランド。
- マイバッハは、同じくその基準をベースに「快適性」と「豪華さ」を究極のレベルまで昇華させたラグジュアリーブランド。
それぞれが全く異なる哲学と魅力を持っていることを、ご理解いただけたのではないでしょうか。
これらの車は、単なる移動手段ではありません。オーナーの人生観や価値観を映し出す鏡であり、日々の生活に彩りとインスピレーションを与えてくれる特別なパートナーです。
ぜひ一度、正規ディーラーに足を運び、その圧倒的なオーラと質感を肌で感じてみてください。そして、ご自身のライフスタイルに最もフィットする一台を見つけ出す、そのエキサイティングなプロセスを存分に楽しんでいただければと思います。
このレビューが、あなたの素晴らしいカーライフの第一歩となれば、コンサルタントとしてこれ以上の喜びはありません。