モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、「小さな子供がいる4人家族のメインカーとして本当に使えるのか?」という点が気になっているのではないでしょうか。私も実際にLBXを所有し、様々なシーンで使い倒しているので、その疑問や不安な気持ちはよくわかります。
引用 : TOYOTA HP (https://lexus.jp/models/lbx/)
コンパクトなボディは魅力ですが、後部座席や荷室の広さがファミリーユースに耐えうるのか、シビアな目で判断したいですよね。
この記事を読み終える頃には、あなたの家族にとってレクサスLBXが最適な一台なのか、それともセカンドカーとして考えるべきなのか、その疑問が明確に解決しているはずです。
記事のポイント
- レクサスLBXのサイズと室内空間の現実
- チャイルドシート2台設置のリアルな使用感
- ベビーカー積載とラゲッジスペースの実力
- 4人家族のメインカーとしての最終結論

新しい車に乗り換える際、今乗っている愛車をどれだけ高く売却できるかは、次の車の選択肢にも大きく影響します。
私自身、一括見積もりサイトを活用したことで、ホンダヴェゼルからレクサスRXに乗り換えることができました。
レクサスLBXの基本スペックとコンパクトSUVとしての立ち位置
まずはレクサスLBXがどのような車なのか、基本的なスペックや特徴から客観的に見ていきましょう。このクルマの本質を理解することが、ファミリーカーとしての適性を判断する上で最初の重要なステップとなります。

引用 : TOYOTA HP (https://lexus.jp/models/lbx/)
レクサス史上最もコンパクトなボディサイズとその恩恵
レクサスLBXの最大の特徴は、そのコンパクトなボディサイズにあります。レクサスのラインナップの中ではもちろん最小で、プラットフォームを共有するトヨタ・ヤリスクロスと近い寸法です。
車種 | 全長 | 全幅 | 全高 | ホイールベース |
---|---|---|---|---|
レクサス LBX | 4,190mm | 1,825mm | 1,545mm | 2,580mm |
レクサス UX | 4,495mm | 1,840mm | 1,540mm | 2,640mm |
トヨタ ヤリスクロス | 4,180mm | 1,765mm | 1,590mm | 2,560mm |
トヨタ カローラクロス | 4,490mm | 1,825mm | 1,620mm | 2,640mm |
このサイズがもたらす最大のメリットは、何と言っても圧倒的な取り回しの良さです。特に都市部での運転ではその恩恵を最大限に感じられます。狭い路地でのすれ違い、コインパーキングでの駐車、スーパーの駐車場での切り返しなど、日常のあらゆるシーンでストレスを感じることがありません。
私も都内在住ですが、ミニバンや大型SUVでは躊躇してしまうような道でも、LBXならスイスイと入っていけます。この軽快さは、運転が苦手な方や、主に奥様が運転する機会が多いご家庭にとっては、非常に大きなアドバンテージとなるでしょう。
クラスを超えた上質な内外装のデザイン
LBXはレクサスラインナップのエントリーモデルでありながら、内外装の質感に一切の妥協がありません。エクステリアは最新のレクサスを象徴する「ユニファイドスピンドル」を採用し、コンパクトながらも存在感のあるデザインを実現しています。
インテリアの質感は、まさに「クラスを超えている」という言葉がぴったりです。手触りの良いソフトパッド、上質なセミアニリン本革やウルトラスエードのシート、精緻なステッチなど、細部に至るまで高級車としてのこだわりが貫かれています。
この「小さな高級車」というコンセプトは、他の国産コンパクトSUVにはないLBXならではの魅力です。子供が小さいうちは車内が汚れるからと高級車を諦めていた方でも、LBXなら「これなら欲しい」と思わせるだけの説得力があります。
静粛性と乗り心地はまさにレクサス品質
走り出してすぐに気づくのが、その静粛性の高さです。プラットフォームはヤリスクロスと同じGA-Bですが、遮音材や吸音材がふんだんに使われており、ロードノイズやエンジン音の侵入が巧みに抑えられています。
乗り心地も非常にしなやか。路面の凹凸をスムーズにいなし、乗員に不快な振動を伝えません。このあたりはまさにレクサス。小さな子供を乗せていても、安心して快適なドライブが楽しめます。特に後席の乗り心地は、このクラスのSUVとしてはトップレベルと言っていいでしょう。長距離移動でも疲れにくいのは、ファミリーカーとして重要なポイントです。
最新の1.5Lハイブリッドシステムによる優れた燃費性能
LBXに搭載されるのは、新開発の1.5L 3気筒エンジンを組み合わせたハイブリッドシステムです。モーターの性能向上やバッテリーの高出力化により、非常にダイレクトで気持ちの良い加速フィールを実現しています。
そして特筆すべきはその燃費性能。WLTCモードで**27.7km/L(FFモデル)**という、非常に優れた数値を達成しています。
項目 | スペック |
---|---|
エンジン | 1.5L 直列3気筒 |
システム最高出力 | 100kW (136PS) |
WLTCモード燃費 | 27.7km/L (FF) / 26.2km/L (AWD) |
昨今のガソリン価格高騰を考えると、この燃費の良さは家計にとって大きな助けとなります。週末のレジャーから毎日の送迎まで、燃料費を気にすることなく使えるのは嬉しいポイントです。
先進の安全装備「Lexus Safety System +」を標準装備
安全性能に関しても抜かりはありません。最新の予防安全パッケージ「Lexus Safety System +」が全グレードに標準装備されています。
主な機能は以下の通りです。
- プリクラッシュセーフティ: 歩行者、自転車、自動二輪車を検知し、衝突回避を支援。
- レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付): 高速道路での渋滞時など、運転負荷を大幅に軽減。
- レーントレーシングアシスト(LTA): 車線の中央を走行するようにステアリング操作を支援。
- プロアクティブドライビングアシスト(PDA): 「歩行者の飛び出し」など、運転状況に応じたリスクを先読みし、危険に近づきすぎないよう運転操作をサポート。
特にPDAは非常に優秀で、街中での運転に絶大な安心感をもたらしてくれます。大切な家族を乗せるクルマだからこそ、世界トップレベルの安全性能は譲れない条件でしょう。
5つの世界観から選ぶグレード構成と価格
LBXは従来のグレード構成とは異なり、ユーザーのライフスタイルや感性に寄り添う5つの「世界観」から選ぶというユニークなアプローチを採用しています。
- Cool: スタイリッシュで都会的な仕様。専用の18インチアルミホイールやウルトラスエードと本革のコンビシートが特徴。
- Relax: 上質さと落ち着きを重視した仕様。セミアニリン本革シートや運転席パワーシートを装備。
- Elegant: (今後追加予定)
- Active: (今後追加予定)
- Urban: (今後追加予定)
これらに加えて、約33万通りの組み合わせから自分だけの一台を作り上げられるオーダーメイドシステム「Bespoke Build」が用意されているのも大きな特徴です。
価格帯は**460万円(Cool/Relax FF)〜576万円(Bespoke Build AWD)**となっており、レクサスブランドとしては比較的手の届きやすい設定です。
レクサスLBXは4人家族のメインカーとして十分なのか?
さて、ここからが本題です。コンパクトで上質なLBXが、1歳と3歳のお子さんがいる4人家族のメインカーとして機能するのか、私の実体験も交えながら徹底的に検証していきます。

引用 : TOYOTA HP (https://lexus.jp/models/lbx/)
【最重要】後部座席の広さとチャイルドシート2台設置の現実
ファミリーカーとして最も重要なのが後部座席のスペースです。結論から言うと、LBXの後部座席は**「大人が長時間快適に過ごすには狭いが、子供が座る分には十分」**という評価になります。
チャイルドシート2台設置は可能か?
はい、左右のISOFIXアンカーを使ってチャイルドシートを2台設置することは物理的に可能です。私も実際に1歳児用の後ろ向きチャイルドシートと、3歳児用の前向きチャイルドシートを取り付けてみました。
しかし、ここで注意点がいくつかあります。
- 助手席側(後ろ向きチャイルドシート)のスペース: 後ろ向きのチャイルドシートは前後にスペースを要するため、助手席のシートポジションはかなり前に出す必要があります。身長170cm程度の小柄な方なら座れますが、大柄な男性がゆったりと座るのは難しいでしょう。
- 運転席側(前向きチャイルドシート)のスペース: 前向きであれば比較的スペースに余裕はありますが、それでも運転席のシートポジションはある程度制限されます。身長180cmの私が最適なドライビングポジションを取ると、後ろのチャイルドシートの足元スペースはギリギリでした。
- 中央席は使用不可: チャイルドシートを2台設置すると、中央の席は完全に埋まってしまい、大人が座ることはおろか、荷物を置くスペースもほとんど残りません。
結論として、チャイルドシート2台設置は可能ですが、前席に座る大人の体格によっては窮屈さを感じる場面がある、と認識しておく必要があります。
子供の乗せ降ろしはしやすいか?
LBXの後席ドアの開口角度は、このクラスとしては標準的です。しかし、ボディサイズが小さいため、ドア自体の大きさも限られます。
チャイルドシートに子供を乗せたり降ろしたりする際、特に駐車場で隣に車がいるような状況では、少し窮屈に感じるかもしれません。スライドドアを持つミニバンのような利便性はありませんので、ここは割り切りが必要です。
ラゲッジスペースの容量と使い勝手|ベビーカーは積める?
次に重要なのがラゲッジスペースです。カタログ上の容量はFFモデルで332L。これはヤリスクロス(390L)よりも小さい数値です。
車種 | ラゲッジ容量(通常時) |
---|---|
レクサス LBX (FF) | 332L |
レクサス LBX (AWD) | 255L |
レクサス UX250h (FF) | 310L |
トヨタ ヤリスクロス (FF) | 390L |
トヨタ カローラクロス (FF) | 487L |
ベビーカーの積載性を検証
1歳と3歳のお子さんがいるご家庭では、ベビーカーが積めるかどうかは死活問題ですよね。これも実際に試してみました。
- A型ベビーカー(大型・両対面式): これはかなり厳しいです。私が所有している一般的なサイズのA型ベビーカーを積んでみましたが、横向きでは入らず、斜めにしてもギリギリ。他の荷物を積むスペースはほとんど残りませんでした。大型のA型ベビーカーを日常的に使うのであれば、LBX一台で全てをこなすのは難しいかもしれません。
- B型ベビーカー(小型・軽量タイプ): こちらは問題なく積載可能です。コンパクトに折りたためるB型ベビーカーであれば、横向きにすっきりと収まり、空いたスペースにスーパーの買い物かご2つ分くらいの荷物は積むことができます。
3歳のお子さんはもうベビーカーを卒業しているか、使ってもB型というケースが多いと思います。問題は1歳のお子さん用のベビーカーです。もし現在大型のA型をお使いなら、車載用にコンパクトなB型を買い足す、といった工夫が必要になるかもしれません。
日常の買い物や小旅行での使い勝手
ベビーカーを積まない状況であれば、日常の買い物レベルでは全く問題ありません。後席を倒せば(6:4分割可倒式)、ゴルフバッグなども積載可能です。
しかし、4人家族での1泊2日の旅行となると、全員分の荷物とベビーカーを同時に積むのは至難の業です。この場合は、ルーフボックスなどを活用する必要が出てくるでしょう。
街乗りと高速道路での走行性能
街乗りでのメリット・デメリット
前述の通り、街中での取り回しの良さはLBXの最大の武器です。最小回転半径も5.2mと優秀で、Uターンも楽々こなせます。ハイブリッドシステムによる静かでスムーズな発進・加速は、ストップ&ゴーの多い市街地でのストレスを軽減してくれます。
デメリットを挙げるとすれば、後方視界がやや狭い点でしょうか。デザインを優先しているためリアウィンドウが小さめですが、デジタルインナーミラーやパーキングサポートブレーキなどの運転支援機能が充実しているので、慣れれば問題ないレベルです。
長距離・高速道路での快適性
高速道路での安定性や静粛性は、コンパクトカーのレベルを遥かに超えています。ボディ剛性の高さと、しっかりとした足回りのおかげで、速度を上げてもフラつくことなく、非常に安心して運転できます。
全車速追従機能付きのレーダークルーズコントロールとレーントレーシングアシストを使えば、長距離移動の疲労は劇的に軽減されます。この運転支援システムの性能の高さと信頼感は、さすがレクサスです。後席の子供たちも、静かで快適な空間のおかげで、ぐっすりと眠ってくれることが多いです。
【結論】LBXはメインカーになれる?それともセカンドカー向き?
ここまでの検証を踏まえ、最終的な結論をライフスタイル別にご提案します。
ケース1:LBXが「メインカーとして十分機能する」家族
- 主な用途が、日常の買い物や子供の送迎である。
- 長距離の帰省や旅行は年に数回程度。
- 現在使っているベビーカーがB型、もしくはコンパクトタイプである。
- アウトドアレジャーなど、大量の荷物を積む趣味はない。
- 夫婦ともに運転のしやすさや、車の質感を重視する。
上記に当てはまるご家庭であれば、LBXはメインカーとして十分満足できる一台になるでしょう。限られたスペースも、工夫次第で乗り切れます。何より、毎日の運転が楽しくなる上質さと快適さは、何物にも代えがたい価値があります。
ケース2:LBXは「セカンドカーとして最適」な家族
- メインカーとしてミニバン(VOXYなど)や大型SUVを所有している(または購入予定)。
- 週末はキャンプやスキーなど、荷物の多いレジャーに出かけることが多い。
- 祖父母を乗せる機会が頻繁にある(5人以上乗車)。
- 主に奥様が、平日の買い物や送迎で使うことを想定している。
このようなご家庭にとって、LBXは最高のセカンドカーになります。ミニバンが担う「実用性」とは別に、LBXは「上質さ」「運転の楽しさ」「経済性」を提供してくれます。メインカーとのキャラクターの違いが明確なため、カーライフ全体の満足度は非常に高くなるはずです。
ケース3:「工夫次第でメインカーにできる」家族
- 長距離移動や旅行の機会は多いが、LBXのデザインが気に入っている。
- 大型のA型ベビーカーをどうしても積みたい。
この場合は、ルーフキャリアやルーフボックスの活用を強くお勧めします。LBXのデザインに合うスタイリッシュなルーフボックスを選べば、積載性の問題は劇的に改善されます。旅行の荷物やベビーカーはルーフボックスに積み、車内は快適な空間を保つ、という使い方が可能です。
まとめ
今回は、レクサスLBXが4人家族のメインカーとして十分なのか、というテーマで徹底的にレビューしてきました。
結論として、レクサスLBXは**「万人向けのファミリーカーではないが、ライフスタイルが合致すれば、最高のメインカーになり得るポテンシャルを秘めたクルマ」**と言えます。
そのコンパクトなボディがもたらす運転のしやすさ、クラスを超えた内外装の質感、そして優れた燃費性能と安全性能は、日々のカーライフを豊かで上質なものにしてくれることは間違いありません。
一方で、後部座席やラゲッジスペースには物理的な制約があります。特に、チャイルドシートを2台設置した際の居住性や、大型ベビーカーの積載性については、購入前に必ずご自身の目で確認し、納得しておく必要があります。
この記事でLBXのメリット・デメリットを十分にご理解いただけたかと思います。最終的な判断を下す前に、ぜひ一度、ご家族全員でレクサスのディーラーに足を運び、チャイルドシートやベビーカーの積載を実際に試させてもらうことをお勧めします。
あなたのカーライフにとって、最良の選択ができることを願っています。