モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、「購入する気はないけれど、YouTubeの撮影のためにレクサスディーラーで新車に試乗しても良いのだろうか?」という点が気になっていると思います。

私も実際に所有するレクサスのインプレッション動画をYouTubeにアップロードした経験があるので、その気になる気持ちはよくわかります。ディーラーに迷惑をかけたくない、でも良いコンテンツを作りたい、というジレンマですよね。
ご安心ください。この記事を読み終える頃には、レクサスディーラーでの試乗と撮影に関するあなたの疑問や不安が、確信に変わっているはずです。
記事のポイント
- 購入意思なしでの試乗と撮影の可否
- ディーラー側が抱く本音とメリット
- 成功に導くための具体的な交渉術
- 試乗から動画公開までの完全ガイド

新しい車に乗り換える際、今乗っている愛車をどれだけ高く売却できるかは、次の車の選択肢にも大きく影響します。
私自身、一括見積もりサイトを活用したことで、ホンダヴェゼルからレクサスRXに乗り換えることができました。
レクサスディーラーでのYouTube撮影、その是非を徹底解剖
結論から言うと「条件付きで可能」が答え
まず、多くの方が最も知りたいであろう結論からお伝えします。購入意思がない状況で、YouTube撮影のためにレクサスディーラーへ試乗に行くことは「条件付きで可能」です。

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「条件付き」と聞くと、少しハードルが高く感じるかもしれません。しかし、これは決して無謀な挑戦ではありません。重要なのは、ディーラー側の立場を理解し、礼儀とマナーを守り、双方にとって有益な関係を築こうとする姿勢です。
私自身、これまで数多くのディーラーで試乗と撮影を行ってきましたが、その経験から断言できるのは、誠実な対応を心がければ、多くのディーラーは協力的になってくれるということです。彼らもまた、自社の車の魅力が多くの人に伝わることを望んでいます。あなたのYouTubeチャンネルが、そのための新たな架け橋になる可能性を秘めているのです。
大切なのは、一方的に「利用させてもらう」というスタンスではなく、「協力して良いコンテンツを作り、車の魅力を広めたい」というパートナーシップの意識を持つことです。この意識が、成功への扉を開く鍵となります。
ディーラー側の「本音」と「建前」を理解する
ディーラーの対応を理解するためには、彼らの「本音」と「建前」を知っておくことが不可欠です。
建前: 「ぜひお気軽に試乗して、レクサスの素晴らしさをご体感ください。撮影についても、他のお客様のご迷惑にならなければ問題ございません。」
多くのディーラーは、表向きはこのように歓迎の姿勢を見せてくれます。レクサスというブランドイメージを保つためにも、門戸を広く開いていることをアピールしたいと考えているからです。
本音: 「最終的には車を買ってほしい。撮影目的だけだと、正直なところ手間がかかる。でも、チャンネルが育てば大きな宣伝効果も期待できるかもしれない。トラブルなく、上手く付き合えれば…。」
これが、営業担当者の偽らざる本音でしょう。ディーラーの主業務はあくまで車両販売であり、営業担当者には販売ノルマが存在します。そのため、購入に直結しない試乗や撮影は、業務の負担になる可能性があるのです。
しかし、同時に彼らは「インフルエンサーマーケティング」の重要性も理解し始めています。影響力のあるYouTuberによる紹介は、テレビCMや雑誌広告にも匹敵する、あるいはそれ以上の効果を生むことがあります。特に、リアルなユーザー目線のレビューは、購買を検討している層に強く響きます。
あなたのチャンネルが持つ潜在的な宣伝価値をディーラー側が認識すれば、彼らの本音は「手間」から「投資」へと変化します。この「本音」の部分をいかにポジティブな方向へ導けるかが、交渉の鍵となるのです。
なぜ購入意思がなくても試乗できるのか?ディーラーのメリット
「買う気がないのになぜ試乗させてくれるの?」と疑問に思うかもしれません。実は、ディーラー側にも、購入意思のない顧客(特にYouTuber)に試乗を提供するメリットがいくつか存在します。
- 宣伝・広告効果: 最も大きなメリットは、言うまでもなく宣伝効果です。あなたの動画が数十万、数百万回再生されれば、その広告価値は計り知れません。ディーラーが多額の費用をかけて行う広告活動を、あなたは一台の試乗車で代行してくれる可能性があるのです。特に、詳細な内外装のレビューや走行インプレッションは、カタログや公式サイトだけでは伝わらないリアルな魅力を視聴者に届けます。
- 潜在顧客の掘り起こし: あなたの動画を見た視聴者が、「このレクサス、格好いいな」「次の乗り換え候補にしよう」と考え、実際にディーラーへ足を運ぶ可能性があります。たとえあなたが今回購入しなくても、あなたの動画がきっかけで新たな顧客が生まれれば、ディーラーにとっては大きな利益となります。
- 未来の顧客への投資: 今は購入の意思がなくても、数年後には有力な顧客になる可能性は十分にあります。今回、丁寧で気持ちの良い対応をしておくことで、「次買うときは、あのディーラーの〇〇さんから買おう」と思ってもらえるかもしれません。これは、長期的な顧客関係を重視するレクサスブランドならではの戦略とも言えます。
- ブランドイメージの向上: YouTuberに対して協力的であるという姿勢は、「開かれたディーラー」「新しい時代の流れを理解しているディーラー」というポジティブな印象を与え、ブランドイメージの向上に繋がります。
これらのメリットを理解し、交渉の際に「私と協力することで、御社にはこれだけのメリットがありますよ」という点を暗に、あるいは明確に伝えることが重要です。
既存顧客であることの大きなアドバンテージ
今回のケースで特筆すべきは、あなたが「過去にレクサスの車両を正規ディーラーで購入しており、顧客関係ではある」という点です。これは、交渉において非常に強力なアドバンテージとなります。
信頼関係の基盤
新規の顧客が突然「YouTubeの撮影で…」と訪れるのと、既存顧客が相談するのとでは、ディーラー側の心象は全く異なります。あなたは既にレクサスブランドの価値を理解し、一度は正規ディーラーから購入している「優良顧客」です。この事実は、あなたが単なる冷やかしではなく、真剣にレクサスと向き合っていることの証明になります。
担当者との繋がり
もし、以前購入した際の営業担当者がまだ在籍しているのであれば、話はさらにスムーズに進むでしょう。気心の知れた担当者であれば、「実はYouTubeをやっていまして…」と相談しやすく、担当者側もあなたのことを理解しているため、親身に協力してくれる可能性が高いです。まずは、その担当者に連絡を取ってみるのが最善策と言えるでしょう。
ディーラー側の安心感
既存顧客であるという事実は、ディーラー側に大きな安心感を与えます。
- 車両の扱いが丁寧であることへの期待: レクサスオーナーであれば、車の価値を理解し、試乗車を雑に扱うことはないだろうと信頼してもらえます。
- ブランドへの理解: レクサスの世界観やブランドイメージを損なうような、品位のない動画を作る可能性は低いだろうと判断されやすいです。
このアドバンテージを最大限に活かし、自信を持ってディーラーに相談してみてください。
逆に試乗を断られるケースとその理由
もちろん、全てのディーラーが快く協力してくれるわけではありません。試乗や撮影を断られてしまうケースも存在します。その主な理由を理解しておくことで、事前に対策を立てることができます。
- 多忙な時期や時間帯: 土日祝日や、新型モデルの発表直後などは、購入を真剣に検討しているお客様で混雑します。そのような状況で、撮影に時間のかかる試乗の要望は断られる可能性が高まります。平日の午前中など、比較的空いている時間帯を狙うのが賢明です。
- 試乗車の不足: 希望する車種の試乗車が、他の予約で埋まっていたり、そもそも店舗に配備されていなかったりする場合があります。特に人気のモデルや特殊なグレードは、試乗車の数が限られています。
- 過去のトラブル: 以前に他のYouTuberがマナー違反(無断撮影、長時間の占有、危険な運転など)を起こした場合、そのディーラーが撮影に対して神経質になっている可能性があります。
- ディーラーの方針: 店舗の店長や運営会社の方針として、メディア露出や撮影に対して厳しいルールを設けている場合があります。こればかりは個別の交渉で覆すのが難しいケースもあります。
- 伝え方の問題: 高圧的な態度や、一方的な要求ばかりを伝えてしまうと、ディーラー側の心証を損ね、協力的な姿勢を引き出すことはできません。
もし断られたとしても、感情的にならず、丁寧にお礼を言って引き下がるのが大人のマナーです。そして、別のディーラーにアプローチしてみましょう。対応は店舗によって大きく異なる場合があります。
YouTube撮影に対するディーラーの一般的なスタンス
近年、自動車ディーラーのYouTube撮影に対するスタンスは、徐々に柔軟化してきています。一昔前までは、撮影自体をNGとするディーラーも少なくありませんでしたが、SNSや動画共有サイトの影響力の増大に伴い、その価値を認識する企業が増えてきました。
現在の一般的なスタンスは、「原則として許可が必要だが、内容と条件次第では協力的」といったところでしょう。
ディーラーが懸念する点
- 他の顧客のプライバシー: 他のお客様の顔や、個人情報がわかる書類などが映り込むことを最も懸念します。
- 従業員のプライバシー: 営業担当者の顔出しや、名前を無断で使用されることを嫌う場合があります。
- ネガティブな内容: 車の欠点ばかりを強調したり、批判的な内容の動画を公開されたりすることへの不安。
- ナンバープレートの映り込み: 試乗車のナンバープレートが映り込むと、車両管理上の問題に発展する可能性があります。
- 安全運転の遵守: 試乗中に危険な運転や、それを助長するような撮影が行われることへの懸念。
これらの懸念点を事前に理解し、「プライバシーには最大限配慮します」「ナンバープレートは編集で隠します」「安全運転を徹底します」といったように、相手の不安を払拭する言葉を伝えることが、信頼を得るために非常に重要です。
撮影許可を得るための最重要ポイント
撮影許可を得るための交渉において、最も重要なポイントは「信頼」と「メリットの提示」です。
信頼を勝ち取る
- 身なりを整える: 清潔感のある服装で訪問しましょう。レクサスディーラーの雰囲気に合った、少しフォーマルな服装が好印象です。
- 丁寧な言葉遣い: 専門用語を並べ立てるのではなく、誰にでもわかる丁寧な言葉で、誠実に目的を伝えましょう。
- チャンネルを見せる: 実際に運営しているYouTubeチャンネルを見せ、どのようなコンテンツを作っているのかを具体的に示しましょう。質の高い動画を制作している実績があれば、それが何よりの信頼の証となります。
メリットを具体的に提示する
- チャンネルの規模を伝える: 「チャンネル登録者数〇〇人」「月間再生回数〇〇回」など、具体的な数字を伝え、影響力をアピールしましょう。もし規模がまだ小さくても、「レクサスに特化したチャンネルで、熱心なファンが多いです」など、質的なアピールも有効です。
- 動画の企画を伝える: どのような切り口で車の魅力を紹介したいのか、簡単な企画書のようなものを用意していくと、本気度が伝わり、ディーラー側も協力しやすくなります。
- ギブアンドテイクの精神: 「動画の概要欄で、こちらの店舗様の情報を紹介させていただいてもよろしいでしょうか?」といった提案は、ディーラーにとって明確なメリットとなり、喜ばれることが多いです。
これらのポイントを押さえ、相手の立場を尊重しながら交渉に臨めば、きっと道は開けるはずです。
試乗と撮影に関するよくある誤解
最後に、試乗や撮影に関してよくある誤解を解いておきましょう。
- 誤解1:「試乗したら何か買わなければならない」 そんなことはありません。試乗はあくまで購入を検討するための一環であり、試乗後に購入しないという選択は全く問題ありません。プレッシャーを感じる必要は一切ありません。
- 誤解2:「撮影は隠れてやればバレない」 これは絶対にやめてください。ディーラーの敷地内や試乗車内は、プライベートな空間です。無断撮影はトラブルの元であり、発覚した場合は即刻中止を求められ、今後の出入りを禁止される可能性もあります。信頼関係を築く上で、最もやってはいけない行為です。
- 誤解3:「どんな機材を使っても良い」 大掛かりな撮影機材(大型の三脚、照明、マイクなど)を持ち込むと、他のお客様の迷惑になったり、車両を傷つけたりするリスクがあります。使用する機材については、事前に相談し、許可を得るのがマナーです。GoProやスマートフォンなど、コンパクトな機材であれば、許可も得やすいでしょう。
正しい知識とマナーを身につけることが、円滑なコミュニケーションと、質の高い動画制作への第一歩です。
YouTube撮影でレクサスに試乗するための完全実践ガイド
ここからは、実際にレクサスディーラーで試乗と撮影を行うための具体的なステップを、私の経験を交えながら解説していきます。このガイドに沿って行動すれば、成功の確率は格段に上がるはずです。

引用 : TOYOTA HP (https://lexus.jp/)
【ステップ1】ディーラーへのアポイントメントの取り方
成功の第一歩は、スマートなアポイントメントから始まります。いきなり訪問するのはマナー違反であり、成功率を著しく下げます。必ず事前に電話で連絡を取りましょう。

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誰に連絡するか?
過去に購入したディーラーであれば、当時の担当営業者に直接連絡するのがベストです。もし担当者が異動などで不在の場合は、電話口で「以前〇〇さんから車を購入した二階堂と申します。試乗の件でご相談したいのですが」と伝えれば、スムーズに話が進みます。 新規のディーラーであれば、代表電話にかけ、「試乗の予約をお願いしたいのですが」と切り出しましょう。
いつ連絡するか?
ディーラーが比較的落ち着いている平日の午後(14時〜16時頃)がおすすめです。週末や平日の夕方は忙しい時間帯なので避けましょう。
電話で伝えること
- 自己紹介と過去の購入歴: 「お世話になっております。以前、貴店で〇〇(車種名)を購入させていただいた二階堂と申します。」
- 試乗希望の旨: 「現在、新型の〇〇(車種名)に大変興味があり、ぜひ一度試乗させていただきたいのですが、ご都合いかがでしょうか。」
- YouTube撮影の相談(初回電話では軽く触れる程度に): 「実は私、YouTubeで自動車のレビューをしておりまして、もし可能であれば、試乗の際に簡単な撮影をさせていただくことはできますでしょうか?もちろん、ご迷惑にならない範囲で、事前にご相談の上で進めさせていただければと存じます。」
ここでのポイントは、あくまで「試乗がメイン」であり、撮影は「可能であれば」というスタンスで謙虚に伝えることです。最初から撮影を前面に押し出すと、警戒されてしまう可能性があります。まずは試乗のアポイントを取り付け、詳細な相談は訪問時に行うのが得策です。
【ステップ2】訪問時に伝えるべきこと、伝えないべきこと
アポイントの日時が決まったら、いよいよディーラーを訪問します。ここでのコミュニケーションが、撮影許可を得られるかどうかを左右する最も重要な局面です。
伝えるべきこと
- 明確な目的と誠意: 「本日はお時間をいただきありがとうございます。〇〇(車種名)の試乗、楽しみにしておりました。お電話でも少しお話ししましたが、私はYouTubeでこのようなチャンネルを運営しておりまして…(ここでスマホなどで実際のチャンネルを見せる)。レクサスの素晴らしいデザインや乗り心地を、私の視聴者にもぜひお伝えしたいと考えております。撮影に関しては、御社のルールを遵守し、ご迷惑のかからないよう最大限配慮いたします。」
- 具体的な撮影内容: 「主に、内外装のデザイン、走行中の静粛性や乗り心地についてのインプレッションを撮影したいと考えています。営業担当者様のお顔や、ナンバープレートなど、個人情報に関わる部分は一切公開いたしません。」
- ディーラーへのメリット: 「もしよろしければ、動画の説明欄でこちらの店舗様のお名前やリンクを紹介させていただき、宣伝に協力させていただくことも可能です。」
伝えない方が良いこと(避けるべき話題)
- 「購入の意思は全くありません」: これは正直すぎます。たとえ事実であっても、面と向かって言われると相手も良い気はしません。「今回はまず、純粋に車の魅力を体感し、それを視聴者に伝えたいと思っています。その上で、将来的な乗り換えの参考にさせていただきます」といったように、可能性を匂わせる表現に留めておくのが大人の対応です。
- 収益の話: 「この動画で広告収入を得たい」といった話は、ビジネスライクな印象を与え、敬遠される可能性があります。あくまで「車の魅力を伝えたい」という純粋な動機を前面に出しましょう。
- 他のディーラーとの比較: 「他のディーラーではOKだった」「〇〇店ではこうしてくれた」といった発言は、相手にプレッシャーを与えるだけで、良い結果には繋がりません。
誠実さと、相手への敬意を忘れずにコミュニケーションを取ることが、信頼関係を築く上で何よりも大切です。
【ステップ3】試乗当日の服装と持ち物
試乗当日は、準備も万全に整えて臨みましょう。細やかな配慮が、相手に好印象を与えます。
服装
レクサスディーラーの洗練された雰囲気に合わせ、スマートカジュアルを意識しましょう。
- 男性: ジャケットに襟付きのシャツ、スラックスや綺麗なチノパンなど。
- 女性: 綺麗なブラウスにスカートやパンツスタイル、ワンピースなど。
Tシャツ、短パン、サンダルといったラフすぎる服装は避けましょう。清潔感が最も重要です。また、運転しやすい靴を選ぶのは言うまでもありません。
持ち物
- 運転免許証: 必須です。忘れると試乗できません。
- スマートフォン・タブレット: 自身のYouTubeチャンネルをその場で見せるために必要です。
- 撮影機材: GoPro、ジンバル付きスマホなど。事前に許可を得た、コンパクトな機材に絞りましょう。
- 筆記用具・メモ帳: 車のスペックや感じたことをメモするために。熱心な姿勢が伝わります。
- (あれば尚良し)名刺: YouTuberとして活動している名刺があれば、本気度が伝わり、相手もあなたを認識しやすくなります。
- (あれば尚良し)菓子折り: 必須ではありませんが、「本日はお時間をいただきありがとうございます」という気持ちを込めて、ちょっとした手土産を持参すると、非常に丁寧な印象を与え、その後のコミュニケーションが円滑になることがあります。やりすぎない程度の、さりげない心遣いが効果的です。
準備をしっかり行うことで、心にも余裕が生まれ、当日の交渉や撮影を落ち着いて進めることができます。
【ステップ4】試乗中のマナーと撮影の注意点
いよいよ試乗と撮影です。ここでの振る舞いが、あなたの動画の質、そして今後のディーラーとの関係を決定づけます。
試乗中の運転マナー
- 安全運転の徹底: 当然ですが、法定速度や交通ルールを厳守し、常に安全運転を心がけましょう。急発進、急ブレーキ、無謀な追い越しなどは論外です。同乗している営業担当者を不安にさせるような運転は絶対にしてはいけません。
- 丁寧な車両の扱い: ドアの開閉は静かに、シートやステアリングも優しく扱いましょう。自分の車以上に丁寧に扱うくらいの気持ちが大切です。
撮影時の注意点
- 同乗者への配慮: 撮影を始める前には必ず「今から少し撮影をさせていただきます」と一声かけましょう。営業担当者が話している最中に、撮影に夢中になって話を聞かない、といったことがないように注意してください。
- プライバシー保護の徹底:
- ナンバープレート: 編集で必ず隠すことを約束し、実行してください。
- 営業担当者: 顔や名札が映らないように画角に注意しましょう。もし声が入る場合は、「お声が入るかもしれませんが、よろしいでしょうか?」と確認を取るのが丁寧です。
- 他の車や歩行者: 周囲のプライバシーにも配慮が必要です。
- 撮影時間の管理: 試乗時間は限られています。事前にどのポイントを撮影したいか計画を立て、効率よく進めましょう。内外装の撮影は、試乗前後の時間で手早く済ませるのが理想です。
- 機材の設置: 車内に機材を設置する際は、車両を傷つけないよう細心の注意を払いましょう。吸盤マウントなどを使用する場合は、設置場所に問題がないか、事前に確認を取るとより丁寧です。
営業担当者とのコミュニケーション
試乗中は、撮影だけでなく、営業担当者との会話も楽しみましょう。専門家から直接聞ける情報は、動画の深みを増す貴重なネタになります。
- 「このモデルで特にこだわった点はどこですか?」
- 「オーナーさんからは、どのような評価が多いですか?」
- 「私のようなユーザーにおすすめのオプションはありますか?」
積極的に質問することで、あなたの車への熱意が伝わり、相手も喜んで情報を提供してくれます。この会話の中から、視聴者が本当に知りたい「生の情報」が見つかることも少なくありません。
【ステップ5】試乗・撮影後のディーラーへのアフターフォロー
試乗と撮影が終わったら、それで終わりではありません。丁寧なアフターフォローが、次回の協力や良好な関係維持に繋がります。
試乗直後のお礼
試乗を終えてディーラーに戻ったら、まずは担当してくれた営業担当者の方に、時間を割いてもらったこと、撮影に協力してくれたことに対して、丁重にお礼を伝えましょう。 「本日は貴重なお時間をいただき、また撮影にもご協力いただき、誠にありがとうございました。おかげさまで、素晴らしい映像が撮れました。」
後日のお礼
当日のお礼に加えて、後日メールや電話で改めてお礼を伝えると、より丁寧な印象を与えます。 「先日は試乗させていただき、ありがとうございました。〇〇(車種名)の走りの素晴らしさに大変感動いたしました。動画の編集を進めておりますので、完成しましたらまたご報告させていただきます。」 このような一言があるだけで、相手は「しっかりした人だな」と感じ、あなたへの信頼を深めるでしょう。
動画公開後のディーラーへの報告は必要か?
結論から言うと、報告することを強く推奨します。
動画を公開したら、そのリンクを添えて、協力してくれたディーラーの担当者へ報告の連絡を入れましょう。 「先日はお世話になりました。先日撮影させていただいた動画が完成しましたので、ご報告させていただきます。この度はご協力いただき、誠にありがとうございました。」
報告するメリット
- 感謝の気持ちが伝わる: 協力してもらったことへの感謝の気持ちを行動で示すことができます。
- 成果の共有: ディーラー側も、自分たちが協力した動画がどのような形で公開されたのかを確認でき、宣伝効果を実感することができます。
- 良好な関係の維持: これにより、次回の新型車が出た際にも「二階堂さん、また撮影しませんか?」と、ディーラー側から声がかかる可能性も生まれます。良好な関係を継続することで、あなたは安定的に質の高いコンテンツを作り続けることができるようになります。
まさに「立つ鳥跡を濁さず」。終わりこそが、次の始まりに繋がるのです。
成功する試乗動画コンテンツ制作のコツ
最後に、自動車コンサルタントとして、そして一人の車好きとして、視聴者に響く試乗動画を制作するためのコツをいくつかお伝えします。
あなただけの視点を加える
ただ車のスペックを読み上げるだけでは、他の動画との差別化は図れません。あなたがレクサスオーナーだからこそ感じる「進化のポイント」や「従来モデルとの違い」、あるいは多数の車を所有するあなただからこそできる「他メーカーのライバル車との比較」など、独自の視点を盛り込みましょう。
メリットだけでなくデメリットも正直に
完璧な車は存在しません。良い点ばかりを並べる提灯記事のようなレビューは、視聴者に見抜かれます。「素晴らしい走りだが、個人的にはここの収納がもう少し広ければ…」といったように、正直に感じた懸念点やデメリットにも触れることで、レビュー全体の信頼性が格段に向上します。
ターゲット視聴者を明確にする
あなたの動画は、誰に届けたいですか?
- 購入検討者向け: グレードごとの違い、オプションの選び方、見積もり価格など、具体的な情報が喜ばれます。
- 車好き向け: 専門的な走行性能の解説、デザインの細かなこだわりなど、マニアックな視点が響きます。
- 初心者向け: 専門用語を避け、運転のしやすさや燃費など、基本的な情報を分かりやすく伝えることが重要です。
ターゲットを意識することで、動画の構成や言葉選びが明確になり、より視聴者の心に刺さるコンテンツになります。
映像美へのこだわり
レクサスの魅力の一つは、その美しいデザインと質感です。内外装のディテールが伝わるような、高品質な映像を心がけましょう。手ブレの少ない滑らかな映像や、ボディの曲線美を捉えるようなアングルは、視聴者の満足度を大きく高めます。
これらのコツを意識し、あなたならではの素晴らしいレクサスレビュー動画を制作してください。
まとめ
今回は、「購入意思なくYouTube撮影のためにレクサスディーラーへ試乗するのはアリか」というテーマについて、私の知識と経験を基に徹底的に解説しました。
結論として、しっかりとした準備と誠実なコミュニケーション、そして相手への敬意を忘れなければ、撮影目的での試乗は十分に可能です。特に、あなたが既存のレクサスオーナーであることは、交渉を有利に進めるための大きな武器となります。
重要なのは、ディーラーを単に「撮影場所」として利用するのではなく、共にレクサスの魅力を広める「パートナー」として捉える視点です。ディーラー側のメリットを理解し、Win-Winの関係を築くことを目指してください。
本稿で解説したアポイントの取り方からアフターフォローまでのステップを実践すれば、あなたはきっと素晴らしい動画コンテンツを制作できるはずです。あなたのYouTubeチャンネルが、多くの人々にレクサスの魅力を届け、車文化をさらに盛り上げてくれることを、一人の車好きとして心から楽しみにしています。