モータージャーナリスト兼コンサルタントの二階堂仁です。今回も多く寄せられている質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、レクサスブランドの新しいコンパクトSUV「LBX」に魅力を感じつつも、「自分の年収で購入できるのだろうか?」という現実的な疑問や不安をお持ちなのではないでしょうか。
私も実際にLBXを所有しており、その質感の高さと運転の楽しさを日々実感しているからこそ、多くの方にこの車の良さを知ってほしいと思う反面、購入に関する資金計画の重要性も痛感しています。憧れの車だからこそ、購入後に支払いで苦しむようなことにはなってほしくありません。
引用 : TOYOTA HP (https://lexus.jp/models/lbx/)
この記事を読み終える頃には、レクサスLBXを購入するために必要な年収の目安や、あなたに合った賢い支払いプランについての疑問が解決しているはずです。
記事のポイント
- レクサスLBXのリアルな乗り出し価格と維持費
- 購入の目安となる具体的な年収ライン
- 年収300万円からシミュレーションした支払いプラン
- ローンと残クレのメリット・デメリット完全比較

新しい車に乗り換える際、今乗っている愛車をどれだけ高く売却できるかは、次の車の選択肢にも大きく影響します。
私自身、一括見積もりサイトを活用したことで、ホンダヴェゼルからレクサスRXに乗り換えることができました。
レクサスLBXの購入に必要な費用はいくら?
まず、レクサスLBXを手に入れるために、具体的にどれくらいの費用が必要になるのかを把握することから始めましょう。車の購入は、車両本体価格だけでなく、様々な諸経費や購入後の維持費も考慮に入れる必要があります。

引用 : TOYOTA HP (https://lexus.jp/models/lbx/)
レクサスLBXのグレード別車両本体価格
レクサスLBXは、現在大きく分けて3つのグレードが展開されています。それぞれの特徴と価格を見ていきましょう。
グレード | 駆動方式 | 車両本体価格(税込) | 特徴 |
---|---|---|---|
Cool | 2WD (FF) | 4,600,000円 | 本革とウルトラスエードのコンビシート、専用の内外装デザインが特徴のスポーティなモデル。 |
AWD | 4,860,000円 | 2WDの装備に加え、後輪をモーターで駆動する4輪駆動システムを搭載。 | |
Relax | 2WD (FF) | 4,600,000円 | セミアニリン本革シートなど、上質さと落ち着きを重視したラグジュアリーなモデル。 |
AWD | 4,860,000円 | 2WDの装備に加え、後輪をモーターで駆動する4輪駆動システムを搭載。 | |
Bespoke Build | 2WD (FF) | 5,500,000円 | 内装色やシート素材、刺繍パターンなどをオーダーメイドできる最上級グレード。 |
AWD | 5,760,000円 | 2WDの装備に加え、後輪をモーターで駆動する4輪駆動システムを搭載。 |
最もベーシックな「Cool」または「Relax」の2WDモデルでも、車両本体価格は460万円です。ここにオプションを追加していくと、価格はさらに上がります。例えば、人気の高い12.3インチフル液晶メーターやカラーヘッドアップディスプレイ、先進安全装備のセットオプションなどを追加すると、50万円〜70万円程度は簡単に追加費用として発生します。
意外と見落としがち?乗り出し価格の目安
車の購入には、車両本体価格以外にも様々な「諸経費」が必要です。これらを合計した金額が、実際に車を手に入れるために支払う「乗り出し価格」となります。
主な諸経費の内訳
- 税金・保険料
- 自動車税(種別割):登録翌月から年度末までの月割り
- 環境性能割:燃費性能に応じて課税(LBXは高燃費のため非課税)
- 自動車重量税:車重に応じて課税(エコカー減税対象)
- 自賠責保険料:法律で加入が義務付けられている保険
- 販売店に支払う費用
- 登録代行費用:車両登録手続きの代行手数料
- 納車費用:自宅などへ車を運んでもらう費用
- 車庫証明代行費用:車庫証明取得手続きの代行手数料
- 希望ナンバー代行費用(希望する場合)
これらの諸経費は、一般的に車両本体価格の10%〜15%程度が目安と言われています。
仮に、460万円の「Cool」2WDモデルに、50万円のメーカーオプションを追加した場合、車両価格は510万円になります。 この場合の諸経費を約10%と見積もると、約51万円。 つまり、乗り出し価格の目安は560万円前後になると考えられます。
所有してからかかる年間の維持費
車は購入して終わりではありません。所有している限り、継続的に維持費が発生します。レクサスLBXの年間維持費の目安を項目別に見ていきましょう。
項目 | 年間費用の目安 | 備考 |
---|---|---|
自動車税 | 30,500円 | 1,500cc以下のため |
任意保険料 | 60,000円~150,000円 | 年齢、等級、車両保険の有無で大きく変動 |
ガソリン代 | 約66,000円 | 年間1万km走行、燃費25km/L、ガソリン165円/Lで計算 |
駐車場代 | 0円~360,000円 | 地域差が大きい(月極3万円の場合) |
メンテナンス費用 | 30,000円~60,000円 | オイル交換、点検費用など。レクサスのメンテナンスプログラム加入で変動。 |
車検費用(2年ごと) | 約50,000円~80,000円 | 1年あたりに換算した金額。法定費用+点検整備費用。 |
合計(駐車場代除く) | 約236,500円~386,500円 |
駐車場代を除いても、年間で約24万円〜39万円程度の維持費がかかる計算になります。月々に換算すると、約2万円〜3.2万円です。この維持費に、購入時のローン返済額が上乗せされることを忘れてはいけません。
レクサスLBXの購入は年収いくらからが現実的か
さて、最も気になる「年収」の話に移りましょう。一般論と具体的なシミュレーションを交えながら、LBX購入の現実的なラインを探っていきます。

車の購入予算は「年収の半分」という定説
昔からよく言われる車の購入予算の目安として、「年収の半分程度」というものがあります。例えば、年収500万円の人なら250万円、年収800万円の人なら400万円の車が身の丈に合っている、という考え方です。
この基準に当てはめると、乗り出し価格が500万円を超えるLBXを購入するには、年収1,000万円が必要ということになります。しかし、これはあくまで古い定説であり、現代の多様なライフスタイルや低金利のローン事情には必ずしもマッチしません。
より現実的な指標は、「毎月の返済額が手取り月収の何%を占めるか」で考えることです。これを返済負担率と呼び、一般的に20%〜25%以内に収めるのが無理のない範囲とされています。
年収300万円での購入は可能か?
結論から申し上げると、年収300万円でレクサスLBXを新車で購入するのは、極めて困難と言わざるを得ません。
年収300万円の場合、手取り年収は約240万円、ボーナスなしと仮定すると手取り月収は約20万円です。 返済負担率を上限の25%で計算すると、毎月の返済に充てられる金額は5万円となります。
5万円の返済額で、560万円の車をフルローンで購入しようとすると、金利を考慮しなくても返済期間は9年以上かかります。多くの自動車ローンは最長でも7年〜10年程度であり、審査も厳しくなります。さらに、月々5万円の返済に加えて、先ほど算出した維持費(月々約2万円〜)が重くのしかかります。
家賃や食費、通信費などの生活費を考えると、車だけで毎月7万円以上の出費は、生活を著しく圧迫する可能性が非常に高いです。
無理なく購入できる年収の目安は500万円から
では、どのくらいの年収があれば、無理なくLBXを所有できるのでしょうか。 私自身の経験や多くのお客様のケースを分析すると、一つの目安として年収500万円が挙げられます。
年収500万円の場合、手取り年収は約400万円、手取り月収は約33万円(ボーナスなしの場合)です。 返済負担率を20%に設定すると、毎月の返済上限額は約6.6万円。
この予算であれば、頭金を少し用意したり、返済期間を7年(84回)に設定したりすることで、現実的な支払いプランを組むことが可能になります。もちろん、独身か既婚か、子供の有無、住居費など、個々の状況によって余裕度は大きく変わりますが、検討のスタートラインに立てる年収と言えるでしょう。
【年収別】レクサスLBX購入の現実度チェック表
年収別に、LBX(乗り出し価格560万円と仮定)を購入した場合の現実度を一覧表にまとめました。ここでは、頭金なし、金利3%、ボーナス払いなし、返済期間7年(84回)のフルローンでシミュレーションしています。
年収 | 手取り年収(目安) | 手取り月収(目安) | 月々の返済額(概算) | 返済負担率(対手取り) | 維持費込みの月間費用 | 判定 |
---|---|---|---|---|---|---|
300万円 | 約240万円 | 約20万円 | 約74,000円 | 37% | 約99,000円 | 困難 |
400万円 | 約320万円 | 約26.7万円 | 約74,000円 | 27.7% | 約99,000円 | 厳しい |
500万円 | 約400万円 | 約33.3万円 | 約74,000円 | 22.2% | 約99,000円 | 検討可能 |
600万円 | 約470万円 | 約39.2万円 | 約74,000円 | 18.9% | 約99,000円 | 現実的 |
700万円 | 約540万円 | 約45万円 | 約74,000円 | 16.4% | 約99,000円 | 余裕あり |
800万円 | 約600万円 | 約50万円 | 約74,000円 | 14.8% | 約99,000円 | 安心 |
※あくまでシミュレーション上の概算値です。 ※維持費は月額25,000円で計算しています。
この表からもわかるように、年収500万円が返済負担率20%前後のボーダーラインとなり、ここから年収が上がるにつれて余裕が生まれてきます。年収400万円でも不可能ではありませんが、他の支出をかなり切り詰める覚悟が必要です。
支払い方法を徹底比較!あなたに合うのはどれ?
購入の目処が立ったら、次に考えるべきは支払い方法です。主に「現金一括」「銀行ローン」「残価設定クレジット」の3つが挙げられます。それぞれのメリット・デメリットを理解し、ご自身の資金計画に合った方法を選びましょう。
金利負担ゼロが魅力の「現金一括払い」
手元に十分な資金があれば、現金一括払いが最もシンプルな方法です。最大のメリットは、当然ながら金利の負担が一切ないこと。総支払額を最も安く抑えられます。
ただし、デメリットとして、一度に大きな資金が手元からなくなるため、急な出費に対応できなくなる可能性があります。ある程度の貯蓄は残しておける場合に選択すべき方法です。
低金利で自由度の高い「銀行マイカーローン」
銀行や信用金庫が提供する自動車ローンです。ディーラーローンに比べて金利が低い傾向にあるのが大きなメリットです。金利は年1%台〜3%台が主流で、審査はディーラーローンよりやや厳しいですが、総支払額を抑えたい方にはおすすめです。
また、ローンを完済すれば車の所有権は完全に自分自身のものになるため、売却や乗り換えも自由に行えます。
月々の支払いを抑えられる「残価設定クレジット(残クレ)」
近年利用者が増えているのが、残価設定クレジット、通称「残クレ」です。これは、あらかじめ数年後(3年後や5年後)の下取り価格(残価)を設定し、車両本体価格からその残価を差し引いた金額を分割で支払うという仕組みです。
メリット:
- 残価を差し引くため、通常のローンよりも月々の支払額を大幅に抑えられる。
- 契約満了時に「車を返却」「新しい車に乗り換え」「残価を支払って買い取り」の3つから選択できる。
デメリット(注意点):
- 金利は残価を含めた車両価格全体にかかるため、総支払額は銀行ローンより高くなることが多い。
- 契約時に定められた走行距離を超えたり、車に傷をつけたりすると、契約満了時に追加の精算金が発生するリスクがある。
- あくまで「借りている」という感覚に近く、車の所有権はローン会社にあるため、カスタマイズなどに制限がある。
ローンと残クレの支払いシミュレーション比較
同じくLBX(560万円)を5年間(60回)で支払う場合、銀行ローンと残クレで月々の支払額がどう変わるか見てみましょう。
- 前提条件
- 車両価格: 560万円
- 頭金: なし
- 支払い期間: 5年(60回)
- 銀行ローン金利: 年2.5%
- 残クレ金利: 年4.5%
- 残クレの5年後残価設定率: 40%(224万円)
支払い方法 | 月々の支払額(概算) | 5年間の総支払額(概算) |
---|---|---|
銀行ローン | 約100,000円 | 約6,000,000円 |
残価設定クレジット | 約69,000円 | 約4,140,000円(+残価224万円) |
残クレは月々の支払いが約3万円も安くなります。しかし、5年後に車を買い取る場合、残価の224万円を支払う必要があり、その際の総支払額は銀行ローンを上回る可能性があります。
ライフプランに合わせて、「数年で乗り換える前提」なら残クレ、「長く乗り続けたい」なら銀行ローンというように、賢く選択することが重要です。
レクサスLBXオーナーが語る真実
コンサルタントとして、そして一人のオーナーとして、私が感じるレクサスLBXの魅力と、購入前に知っておいてほしい注意点をお伝えします。
ここが素晴らしい!LBXの3つの魅力
- クラスを超えた内外装の質感 コンパクトなサイズでありながら、ドアを開けた瞬間に感じる上質さは、まさにレクサスそのものです。手触りの良い素材、緻密なステッチ、静粛性の高い室内空間は、日常の運転を特別なものにしてくれます。
- 軽快で上質な走り TNGA(GA-B)プラットフォームの採用により、ボディ剛性が非常に高く、運転していて安心感があります。ハンドリングは素直で、ハイブリッドシステムによる滑らかな加速と低燃費を両立しており、街乗りから高速道路までストレスなくこなせます。
- 所有する満足感 レクサスブランドが持つ独自の価値と、手厚いおもてなし(アフターサービス)は、他のブランドでは味わえないものです。オーナーズラウンジの利用や、きめ細やかなメンテナンスサポートなど、車を所有する喜びを多角的に感じさせてくれます。
購入前に知っておきたい3つの注意点
- 後部座席と荷室の広さ デザインを優先しているため、後部座席のスペースは決して広いとは言えません。大人が長時間乗るには少し窮屈に感じるかもしれません。また、荷室容量もコンパクトカー相応なので、ファミリーでの利用や大きな荷物を頻繁に積む方には不向きな場合があります。
- 独特のシフト操作 LBXに採用されているエレクトロシフトマチックは、慣れるまで少し戸惑うかもしれません。特に、従来のゲート式ATから乗り換える方は、試乗の際にしっかりと操作感を確認することをおすすめします。
- オプション価格 前述の通り、魅力的な装備の多くがオプション設定となっています。カタログの価格だけを見ていると、最終的な見積もり額とのギャップに驚く可能性があります。自分にとって本当に必要なオプションは何か、冷静に判断することが大切です。
まとめ
今回は、レクサスLBXの購入に必要な年収や費用について、具体的な数字を交えながら詳しく解説しました。
- LBXの乗り出し価格はオプション込みで550万円以上が目安
- 駐車場代を除いた年間維持費は約24万円から
- 無理なく購入できる年収の目安は500万円から
- 年収300万円台での購入は現実的に厳しい
- 支払い方法はライフプランに合わせてローンと残クレを賢く選択
レクサスLBXは、価格以上の価値と満足感を与えてくれる素晴らしい車です。しかし、その魅力に惹かれるあまり、無理な資金計画を立ててしまうと、豊かなカーライフを送ることはできません。
まずはご自身の収入と支出を正確に把握し、返済負担率を意識しながら、現実的なシミュレーションを立ててみてください。そして、ぜひ一度レクサスのディーラーに足を運び、実車に触れて、試乗してみてください。そこで得られる感覚こそが、あなたにとってLBXが本当に「買い」なのかを判断する最も重要な材料になるはずです。
あなたのカーライフが素晴らしいものになるよう、心から応援しています。