モータージャーナリスト兼コラムにすとの二階堂仁です。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、BMWの購入を検討する中で、レクサスのような豪華なオーナーズラウンジがBMWディーラーにもあるのか気になっていると思います。私も複数のブランドを所有する中で、購入後のサービスがいかに重要か実感しているので、そのお気持ちはよくわかります。特に、点検などでディーラーを訪れた際の待ち時間の過ごし方は、ブランドの満足度を大きく左右する要素の一つですからね。

引用 : BMW HP (https://motoren-glanz.bmw.jp/ja)
この記事を読み終える頃には、BMWディーラーのサービスの実態と、あなたに合ったディーラー選びのポイントについての疑問が解決しているはずです。
記事のポイント
- BMWに「オーナーズラウンジ」は原則ないという事実
- ラウンジ以上に魅力的なBMWの各種オーナーサービス
- BMW直営店とヤナセのサービス比較と賢い選び方
- ライバルであるレクサスやベンツのラウンジ事情

新しい車に乗り換える際、今乗っている愛車をどれだけ高く売却できるかは、次の車の選択肢にも大きく影響します。
私自身、一括見積もりサイトを活用したことで、ホンダヴェゼルからレクサスRXに乗り換えることができました。
BMWディーラーのラウンジ事情|結論から徹底解説
まず、多くの方が最も気にされているであろう結論からお話しします。BMWディーラーに、レクサスのような「オーナー専用ラウンジ」は存在するのでしょうか。

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結論:BMWにレクサスのような「オーナーズラウンジ」は基本的に存在しない
単刀直入に申し上げると、現在の日本のBMW正規ディーラーには、レクサスで提供されているような「オーナーズラウンジ」という名称の、オーナーだけが利用できる特別な空間は、原則として存在しません。
これは、BMW Japanの直営ディーラーであっても、ヤナセのような大手ディーラーであっても同様です。
「え、そうなの?」と少しがっかりされたかもしれません。確かに、レクサスオーナーズラウンジは、上質なドリンクやお菓子、マッサージチェアなどが用意され、まさに「おもてなし」の象徴ともいえる空間です。私もレクサスを所有しているので、あの特別感はよく理解できます。では、なぜBMWには同様の施設がないのでしょうか。
なぜBMWにはオーナーズラウンジがないのか?思想の違いを考察
これはBMWというブランドの哲学や歴史が関係していると、私は考えています。
BMWはご存知の通り「駆けぬける歓び」をスローガンに掲げる、ドライビングパフォーマンスを追求するブランドです。その哲学は、オーナーに最高の運転体験を提供することに主眼を置いています。
一方で、レクサスはトヨタが世界に誇るプレミアムブランドとして、「おもてなし」の心を非常に重視しています。車そのものの品質はもちろん、購入後の顧客体験全体で満足度を高めようという思想が根底にあります。オーナーズラウンジは、その思想を具現化した最たる例と言えるでしょう。
つまり、BMWは「車を運転している時間」の価値を最大化することにリソースを集中させ、レクサスは「車を所有しているすべての時間」の価値を最大化しようとしている、というアプローチの違いがあるのです。どちらが優れているという話ではなく、ブランドが何を大切にしているかの違いの表れだと私は解釈しています。
ラウンジの代わり?BMWディーラーの待合スペースの実態
「オーナーズラウンジがないなら、点検の時はどこで待てばいいの?」と不安に思う必要はありません。もちろん、BMWディーラーにも顧客が快適に過ごせるための待合スペース(ウェイティングスペース)はしっかりと用意されています。
多くのディーラーでは、以下のような設備やサービスが提供されています。
- 高品質なドリンクサービス: コーヒー、紅茶、ジュースなどがフリーで提供されます。店舗によっては、オリジナルのハーブティーや季節限定ドリンクを用意しているところもあります。
- Wi-Fi環境: ビジネス利用やスマートフォンの利用に困らないよう、無料のWi-Fiが完備されています。
- 雑誌・新聞: 最新の自動車雑誌や一般誌、新聞が置かれており、自由に閲覧できます。
- BMWライフスタイル(アクセサリー)展示: BMWオリジナルのアパレルやキーケース、ミニカーなどが展示されており、待ち時間にショッピングを楽しむことも可能です。
- キッズスペース: お子様連れでも安心して来店できるよう、キッズスペースを設けているディーラーも増えています。
店舗の規模や新しさによって設備の充実度は異なりますが、一般的なカフェのようにリラックスして過ごせる空間作りがされています。オーナー専用ではありませんが、商談客と点検客のスペースが緩やかに分けられているなど、プライバシーへの配慮がされている店舗も多いです。
【補足】一部の大型店舗ではラウンジのような空間も
原則としてオーナーズラウンジはない、と説明しましたが、例外もあります。
特に、都市部にある大規模な新車拠点や、近年リニューアルされた店舗の中には、「Isetta Bar(イセッタ・バー)」と呼ばれるカフェカウンターを併設しているディーラーがあります。ここでは、バリスタが淹れる本格的なコーヒーが楽しめるなど、さながら高級カフェのような空間が広がっています。
また、最上級モデルである7シリーズや8シリーズ、X7などのオーナーを対象とした、よりプライベート感の高い商談スペースや納車スペース「プレミアム・ラウンジ」を設けているディーラーも存在します。これらは厳密には「オーナーズラウンジ」とは異なりますが、実質的にラウンジとして機能しており、非常に上質な時間を過ごすことができます。
お近くのディーラーがどのような設備を持っているか、一度訪れてみることをお勧めします。
ラウンジだけじゃない!BMW正規オーナーが受けられる特別なサービス一覧
オーナーズラウンジがないからといって、BMWのオーナーサービスが見劣りするというわけでは決してありません。むしろ、BMWは「駆けぬける歓び」を支えるための、実質的で合理的なサービスを数多く提供しています。ここでは、正規オーナーだからこそ受けられる主なサービスをご紹介します。

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新車付帯のメンテナンスプログラム「BMWサービス・インクルーシブ(BSI)」
これはBMWオーナーにとって最も大きなメリットの一つと言えるでしょう。新車登録から3年間、主要なメンテナンス項目(エンジンオイル交換、フィルター類交換、点検など)を無料で受けられるプログラムです。
BSIの主な対象項目
- エンジン・オイル/フィルター交換
- マイクロ・フィルター交換
- ブレーキ液交換
- スパーク・プラグ交換
- ワイパー・ブレード交換(年1回)
- エア・クリーナー・エレメント交換
- 車両チェック(BMW指定点検)
これらの費用がすべて車両価格に含まれているため、3年間は消耗品の心配をほとんどすることなく、安心して駆けぬける歓びを堪能できます。有償で5年プランに延長することも可能で、リセールバリューにも好影響を与える人気のプログラムです。
24時間365日の安心「BMWエマージェンシー・サービス」
万が一のトラブルの際にも、BMWオーナーは安心です。新車登録から3年間(延長可能)、24時間365日体制でサポートを受けられる「BMWエマージェンシー・サービス」が自動付帯します。
主なサポート内容
- 電話でのサポート: 専門のスタッフがトラブルの応急処置などをアドバイス。
- 応急処置: バッテリー上がりやパンクなどの現場での応急処置。
- レッカー移動: 自走不能な場合に、最寄りのBMW正規ディーラーまで車両を無料で牽引。
- 代替交通手段・宿泊施設の手配: 遠方でのトラブルの際には、帰宅するための交通手段(電車、飛行機など)や、修理が終わるまでの宿泊施設を手配・負担してくれます。
私も一度、地方でマイナートラブルに見舞われた際にこのサービスを利用しましたが、非常に迅速かつ丁寧な対応で、全く不安を感じることなく事後処理を任せることができました。この安心感は、正規オーナーならではの特権です。
愛車とつながる「My BMWアプリ」と「BMWコネクテッド・ドライブ」
現代のBMWを語る上で欠かせないのが、スマートフォンアプリ「My BMW」を介した多彩なコネクテッドサービスです。
「My BMW」アプリでできること
- 車両のロック/アンロック: キーが手元になくても、スマホでドアの施錠・解錠が可能。
- ベンチレーション: 夏場など、乗車前に車内の換気を行うことができます。
- 車両位置の確認: 広大な駐車場で自分の車がどこにあるか、地図上で確認できます。
- ナビゲーション目的地の送信: スマホで検索した目的地を、事前に車のナビゲーションシステムに送信できます。
- 車両ステータスの確認: 走行可能距離、オイルレベル、タイヤ空気圧などをいつでもチェック可能。
- リモート3Dビュー(対応車種のみ): 車の周囲の状況を3D画像でスマホに表示できます。
これらの機能により、車に乗っていない時でも常に愛車とつながっている感覚が得られ、カーライフがより便利で豊かなものになります。
オーナー限定の特別な体験「BMWイベント&アクティビティ」
BMW Japanや各ディーラーは、オーナー限定の様々なイベントを企画しています。
- BMW Driving Experience: 富士スピードウェイなどのサーキットで、プロの指導のもと、愛車の限界性能を安全に体験できるドライビングレッスン。
- ゴルフ・トーナメント: オーナー同士が交流を深めることができる、大規模なゴルフ大会。
- ニューモデル特別内覧会: 新型モデルが発表された際に、一般公開前にいち早く実車を見ることができる招待制のイベント。
- 季節のイベント: クリスマスパーティーやオーナーズミーティングなど、ディーラーが独自に開催するイベント。
これらのイベントは、単なる移動手段としてだけでなく、BMWを所有する歓びを仲間と分かち合う貴重な機会となります。
ディーラー独自のキャンペーンやサービス
メーカーが提供する上記のサービスに加え、各ディーラーが独自に展開するサービスも見逃せません。
- アクセサリーの割引キャンペーン
- 車検・点検時の無料洗車サービス(手洗いなど高品質な場合も)
- 代車の優先的な貸し出し
- 担当セールスによるきめ細やかなフォローアップ
特に、購入後のお付き合いで重要になるのが、担当セールスやサービスフロントとの関係性です。信頼できるスタッフがいるディーラーで購入することは、何物にも代えがたい価値があると言えるでしょう。
【比較】レクサスオーナーが受けられるサービスとは?
ここで改めて、比較対象であるレクサスのオーナーサービスを見てみましょう。
サービス項目 | BMW | レクサス |
---|---|---|
オーナーズラウンジ | 原則なし | 全正規販売店に設置 |
メンテナンス | BSI(3年無料) | メンテナンスプログラム(3年無料) |
緊急時サポート | エマージェンシー・サービス | G-Link(ヘルプネット/オペレーター) |
コネクテッドサービス | My BMW / ConnectedDrive | G-Link / My LEXUS |
コンシェルジュ | なし | レクサスオーナーズデスク(24時間365日) |
イベント | ドライビングレッスン、ゴルフ等 | コンサート、文化体験イベント等 |
表で比較すると、レクサスは「おもてなし」や「パーソナルサポート」に非常に力を入れていることがわかります。特に、24時間対応のオペレーターサービス「レクサスオーナーズデスク」は、ナビの目的地設定からレストランの予約まで行ってくれる、まさに秘書のような存在です。
一方でBMWは、メンテナンスや緊急時サポートといった、車の根幹に関わる「安心」と「機能」を重視したサービス構成になっています。どちらのサービスが自分に合っているか、ライフスタイルと照らし合わせて検討することが重要です。
BMW直営店とヤナセ、ディーラーによるサービスの違いと選び方
BMWの正規ディーラーは、実はいくつかの異なる会社によって運営されています。購入するディーラーによって、受けられるサービスに違いはあるのでしょうか。

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そもそもBMWの正規ディーラーの種類とは?
BMWの正規ディーラーは、大きく分けて以下の3種類に分類できます。
- メーカー直営ディーラー: BMW Japanが100%出資する子会社が運営。首都圏の「BMW Tokyo」や関西圏の「BMW Osaka」が代表例です。
- 大手資本系ディーラー: ヤナセやモトーレングループなど、国内外の複数ブランドを扱う大きな資本を持つ企業が運営しています。全国に広範なネットワークを持っています。
- 地場資本系ディーラー: 特定の地域に根ざして、長年BMWの販売を行ってきた企業が運営しています。地域社会との結びつきが強いのが特徴です。
BMW Japan直営ディーラー(BMW Tokyoなど)の特徴
- 情報が早い: メーカー直営のため、新型モデルの情報やキャンペーン情報が最も早く、正確に入手できます。
- 試乗車・展示車が豊富: 首都圏の旗艦店などでは、多くのモデルやグレード、ボディカラーの試乗車・展示車が用意されています。
- 最新設備の導入: CI(コーポレートアイデンティティ)に基づいた最新のショールーム設備が導入されていることが多いです。
- 良くも悪くもスタンダード: メーカーの方針に最も忠実な運営がされているため、良くも悪くもサービスは画一的で、良く言えば安定的、悪く言えばマニュアル通りの対応と感じる場合もあるかもしれません。
ヤナセ(YANASE)など大手ディーラーの特徴
- 歴史と信頼: 特にヤナセは、輸入車販売の長い歴史で培われた信頼とブランド力があります。
- 広範なネットワーク: 全国に店舗網があるため、転勤や引っ越しをした際にも、系列店で変わらぬサービスを受けやすいというメリットがあります。
- 複数ブランドの取り扱い: ヤナセであればメルセデス・ベンツやアウディも扱っているため、ライバル車との比較検討が同じ会社内でしやすいという側面もあります。(ただし、店舗は別です)
- 独自のサービスや社風: 長年の歴史の中で培われた独自の顧客サービスや社風があります。例えば、ベテランの優秀なセールスパーソンやメカニックが多く在籍している可能性があります。
サービス内容の比較表
基本的なメーカー提供のサービスはどこで購入しても同じですが、ディーラー独自のサービスには違いが出ます。
比較項目 | BMW直営ディーラー | ヤナセなど大手ディーラー | 地場資本系ディーラー |
---|---|---|---|
メーカー提供サービス | 共通 | 共通 | 共通 |
情報量・速報性 | ◎ | 〇 | 〇 |
試乗車・展示車の豊富さ | ◎(特に旗艦店) | 〇 | △ |
店舗ネットワーク | △(特定エリアのみ) | ◎ | △(担当エリアのみ) |
ディーラー独自イベント | 〇 | ◎ | ◎ |
担当者との関係性 | 〇(異動の可能性) | 〇 | ◎(長く続く傾向) |
経営の安定性 | ◎ | ◎ | 〇 |
あなたに合ったディーラーを選ぶための3つのチェックポイント
では、最終的にどのディーラーを選べば良いのでしょうか。私は以下の3つのポイントをチェックすることをお勧めします。
- 店舗の「人」と「雰囲気」 何よりも大切なのが、担当してくれるセールスパーソンとの相性です。あなたのカーライフを親身になって考えてくれるか、知識は豊富か、信頼できる人物かを見極めましょう。また、店舗全体の雰囲気や、他のスタッフの対応も重要です。何度か足を運び、居心地が良いと感じる店舗を選びましょう。
- アフターサービスの拠点 車は購入してからが本当の付き合いの始まりです。点検や修理で通うことになるサービス工場の場所や規模、予約の取りやすさは非常に重要です。自宅や職場からアクセスしやすいか、代車はすぐに用意してもらえるかなどを事前に確認しておきましょう。
- 試乗体験の質 同じ車種でも、ディーラーによって試乗コースや試乗にかけられる時間が異なります。高速道路を試乗させてくれるか、様々な機能をじっくり試せるかなど、納得いくまで試乗させてくれるディーラーを選びましょう。質の高い試乗体験を提供してくれるディーラーは、顧客満足度を大切にしている証拠とも言えます。
最終的には、直営かヤナセかという「看板」で選ぶのではなく、実際に足を運んでみて、あなた自身が「ここなら安心して任せられる」と思える店舗、そして担当者を見つけることが最も重要です。
【番外編】気になるライバル!メルセデス・ベンツのラウンジ事情
BMWを検討されている方の中には、同じドイツのプレミアムブランドであるメルセデス・ベンツも候補に入っている方が多いのではないでしょうか。特にヤナセで検討している場合、気になるのがメルセデス側のラウンジ事情です。

ヤナセで購入した場合のメルセデス・ベンツのラウンジは?
メルセデス・ベンツのディーラーにも、レクサスのような全店共通の「オーナーズラウンジ」という制度は基本的にありません。しかし、多くの店舗、特にヤナセが運営する店舗では、非常に豪華で居心地の良いウェイティングスペースが用意されています。
店舗によっては、商談スペースとは別に、点検などで訪れた顧客専用のサービスラウンジを設けているところもあります。提供されるドリンクやアメニティも高品質で、BMWディーラーと同様、あるいはそれ以上に快適な時間を過ごせる場合が多いです。
また、AMGモデルのオーナー専用の展示・商談スペース「AMGパフォーマンスセンター」が併設されている店舗では、より特別感のある空間を体験できます。
メルセデス・ミーなどブランド体験施設も充実
メルセデス・ベンツは、ディーラーとは別に「メルセデス・ミー」というブランド情報発信拠点を東京(六本木)と大阪に展開しています。
これらの施設には、カフェやレストラン、グッズショップが併設されており、オーナーでなくても誰でも気軽に立ち寄ることができます。最新モデルの展示はもちろん、試乗も可能で、メルセデスの世界観を存分に味わうことができます。こうしたブランド体験施設を通じて、顧客との接点を増やしているのもメルセデスの特徴です。
まとめ
今回は、BMWディーラーのオーナーズラウンジの有無と、正規オーナーが受けられるサービスについて、私の知見を交えながら詳しく解説しました。
最後に要点をまとめます。
- BMWディーラーには、レクサスのような「オーナーズラウンジ」は原則として存在しない。
- ラウンジがない代わりに、BMWには「BSI」や「エマージェンシー・サービス」といった、実質的で合理的なオーナー向けサービスが充実している。
- ディーラーは直営、ヤナセなどの大手、地場の3種類があり、基本的なサービスは共通だが、店舗の雰囲気や独自のサービスに違いがある。
- ディーラー選びは「看板」ではなく、「人」「アフターサービス」「試乗体験」を重視し、自分に合った店舗を見つけることが最も重要。
オーナーズラウンジの有無は、確かにブランドの姿勢を示す一つの指標ではあります。しかし、それが全てではありません。BMWが提供する「駆けぬける歓び」という本質的な価値と、それを支える数々のサービスを総合的に判断し、あなたのカーライフにとって最高の選択をされることを願っています。
この記事が、あなたのBMW選びの一助となれば幸いです。