モータージャーナリスト兼コンサルタントの二階堂仁です。今回も多く寄せられている質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、新車購入を検討する中で、絶大な人気を誇るアルファードという選択肢に、少し疑問や抵抗を感じているのではないでしょうか。「街中で見かけすぎる」「残クレだと思われたくない」といった気持ちは、私も実際に経験があるのでよくわかります。せっかく高価な買い物をするなら、心から満足できる、自分だけの特別な一台を選びたいですよね。
引用 : TOYOTA HP (https://toyota.jp/alphard/)
この記事を読み終える頃には、アルファード一択ではない、あなたの価値観に合った「格上」の選択肢が見つかり、購入に関する疑問が解決しているはずです。
記事のポイント
- 圧倒的人気を誇るアルファードの強みと懸念点
- アルファードを超える国産フラッグシップモデルの選択肢
- 個性を際立たせる輸入ハイエンドモデルの選択肢
- 各車種のメリット・デメリットと維持費の徹底比較

新しい車に乗り換える際、今乗っている愛車をどれだけ高く売却できるかは、次の車の選択肢にも大きく影響します。
私自身、一括見積もりサイトを活用したことで、ホンダヴェゼルからレクサスRXに乗り換えることができました。
なぜアルファードは選ばれるのか?その魅力と「格上」の定義
新車選びの際、特にファミリー層や法人利用で必ずと言っていいほど候補に挙がるのがトヨタ・アルファード/ヴェルファイア(以下、アルヴェル)です。なぜこれほどまでに多くの人々を惹きつけるのか。そして、なぜ一部の人々はアルヴェルを避け、あえて「格上」の選択肢を求めるのでしょうか。まずはその背景から深く掘り下げていきましょう。
引用 : TOYOTA HP (https://toyota.jp/alphard/)
圧倒的な人気を誇るアルファードの現状
現在の日本市場において、アルヴェルは「高級ミニバンの代名詞」としての地位を確立しています。2023年に登場した40系は、その人気にさらに拍車をかけ、発売直後から注文が殺到。一時は受注停止になるほどの事態となりました。
街を歩けば、必ずと言っていいほどその姿を見かけます。この事実は、製品としての完成度の高さを証明していると同時に、一部のユーザーにとっては「没個性化」の象徴とも映ってしまうのです。
アルファードの強み(リセールバリュー、豪華な内装、広い室内空間)
アルヴェルが持つ最大の強みは、なんといってもその圧倒的なリセールバリューにあります。数年乗っても価値が落ちにくいため、乗り換え時の負担を軽減できるという期待感が、多くのユーザーの背中を押しています。
加えて、豪華絢爛な内装、特に飛行機のビジネスクラスを彷彿とさせる2列目シートの快適性は、同乗者から高い評価を得られるポイントです。広大な室内空間と相まって、「移動する快適なリビング」としての価値を提供してくれます。
これらの要素が組み合わさり、「アルファードを買っておけば間違いない」という安心感が市場に浸透しているのです。
一方で囁かれる「残クレアルファード」問題とは?
人気と並行して、SNSなどで「残クレアルファード」という言葉が聞かれるようになりました。これは、残価設定型クレジット(残クレ)を利用してアルファードを購入するユーザーが多いことを指す言葉です。
残クレは、数年後の買取保証額(残価)をあらかじめ設定し、車両本体価格からその残価を差し引いた金額を分割で支払う購入方法です。月々の支払額を抑えられるため、高価格帯のアルファードでも比較的手に入れやすいというメリットがあります。
なぜ「残クレ」がネガティブなイメージを持たれるのか
残クレ自体は賢い購入方法の一つですが、一部では「無理して高級車に乗っている」というネガティブなイメージと結びつけられることがあります。
特にアルファードのようなステータス性の高い車種の場合、「本当に経済的な余裕があって購入したのではなく、残クレで何とか維持しているのでは?」という憶測を呼んでしまうことがあるのです。もちろん、これは単なるイメージの問題であり、事実ではありません。しかし、他人の目を気にする方にとっては、こうしたイメージを持たれること自体がストレスになり得ます。
アルファード以外の選択肢を求めるユーザー心理
このような背景から、「アルファードは素晴らしい車だと理解しているが、あえて選びたくない」と考えるユーザー層が一定数存在します。
- 独自性の追求:「みんなと同じは嫌だ」という、自分だけの個性を大切にしたいという思い。
- 本質的な価値の追求:リセールバリューや見た目の豪華さだけでなく、走行性能やブランドの歴史、哲学といった本質的な価値を重視したい。
- ステータスの差別化:アルファードが持つステータスとは異なる、より上位の、あるいは質の違うステータス性を求めたい。
このようなユーザー心理こそが、「アルファードより格上の車」を探す動機となっているのです。
「格上」の定義とは?価格だけではない価値基準
本レビューで用いる「格上」という言葉は、単に車両価格が高いという意味ではありません。以下の要素を総合的に判断し、アルファードとは異なる価値を提供するモデルを「格上」と定義します。
- ブランド力:長い歴史に裏打ちされた、あるいは特定の価値観において頂点に立つブランドイメージ。
- 走行性能と静粛性:ドライバーが運転を楽しめ、同乗者が心からリラックスできる、より高次元な動的質感。
- 内外装の素材とデザイン:見た目の派手さではなく、素材の本質的な良さや、哲学に基づいた普遍的なデザイン。
- 希少性:誰もが所有しているわけではない、という特別感。
- ホスピタリティ:乗員をもてなすための、細部にまでこだわった機能や設え。
本レビューで紹介する「格上」車種の選定基準
上記の「格上」の定義に基づき、今回は国産・輸入車の中から、アルファードからの乗り換え候補として有力なモデルを厳選しました。
私自身もすべて所有、あるいは長期試乗した経験から、カタログスペックだけではわからないリアルな魅力と、注意すべき点を忖度なくお伝えします。ミニバンというカテゴリーに囚われず、SUVやセダンといった選択肢も視野に入れてご紹介します。
あなたに最適な一台を見つけるための視点
これから紹介する各車種のレビューを読む際には、「自分や家族が車に何を一番求めるのか」を常に意識してください。
後席の快適性ですか? 運転する楽しさですか? それとも、他人とは違うという満足感でしょうか?
ご自身の価値観というフィルターを通して比較検討することで、きっと心から納得できる一台が見つかるはずです。
アルファードより格上のおすすめ国産車・輸入車【徹底比較】
それでは、具体的な車種紹介に移ります。国産車、輸入車、そしてミニバンという枠を超えた番外編まで、それぞれのモデルが持つ独自の魅力と、アルファードと比較した場合のメリット・デメリットを徹底的に解説します。
引用 : TOYOTA HP (https://toyota.jp/alphard/)
【国産の雄】レクサス LM – まさに走る応接室
LMの概要とコンセプト
アルファードの兄弟車でありながら、その頂点に君臨するのがレクサス LMです。「ラグジュアリームーバー」の名が示す通り、後席に乗るVIPをいかに快適に、そして贅沢にもてなすか、という点に特化して開発されました。特に4人乗りの「EXECUTIVE」グレードは、パーテーションや大型ディスプレイ、専用の冷蔵庫まで備え、まさに”走る応接室”と呼ぶにふさわしい空間です。
引用 : TOYOTA HP (https://global.toyota/jp/newsroom/lexus/42650642.html)
LMのメリット
- 圧倒的な後席の快適性:アルファードとは比較にならないレベルの静粛性と乗り心地。4人乗り仕様のパーソナル感と解放感は、他のどの車でも味わえません。
- レクサスのブランド力:トヨタブランドとは一線を画す、レクサスならではのステータス性と、オーナーに提供される手厚いおもてなし(レクサスオーナーズデスクなど)。
- 素材の良さ:内外装に使用される素材は、まさに最高級。本革やウッドの質感は、見る者、触れる者に深い満足感を与えます。
LMのデメリット
- 価格:車両価格は2,000万円。アルファードの最上級グレードの倍近い価格設定は、誰もが手を出せるものではありません。
- 運転の楽しさ:あくまで後席の快適性を最優先しているため、ドライバーズカーとしての楽しさは希薄です。運転手役に徹する必要があります。
- パーソナルすぎる空間:4人乗り仕様は、家族での利用シーンが限定されます。多人数での移動が多い場合は、6人乗り仕様を検討する必要があります。
アルファードとの比較表
項目 | レクサス LM (EXECUTIVE) | トヨタ アルファード (Executive Lounge) | 備考 |
---|---|---|---|
車両価格 | ¥20,000,000 | ¥8,720,000 | LMは圧倒的に高価 |
乗車定員 | 4名 | 7名 | LMには6人乗り設定(¥15,000,000)もあり |
パワートレイン | 2.4L ターボハイブリッド | 2.5L ハイブリッド / 2.4L ターボ | LMは力強さで勝る |
後席の快適性 | ★★★★★+ | ★★★★★ | パーテーションや専用装備でLMが圧勝 |
ブランドイメージ | ★★★★★+ | ★★★★☆ | レクサスブランドの優位性 |
運転の楽しさ | ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ | どちらもショーファーカーだが、相対的に |
リセールバリュー | 未知数(高いと予想) | ★★★★★+ | アルファードは鉄板。LMも期待大 |
【隠れた実力者】トヨタ グランエース – 広さと質感を両立
グランエースの概要とコンセプト
ハイエースをベースとしながら、乗用車としての快適性と質感を徹底的に追求したモデルがグランエースです。その最大の武器は、アルファードを凌ぐ広大な室内空間。特に3列仕様の「Premium」は、4席すべてが電動リクライニングとオットマンを備えたエグゼクティブパワーシートとなっており、乗員全員がVIP待遇を受けられます。
グランエースのメリット
- 圧倒的な室内空間:全長5.3m、全幅1.97mというサイズがもたらす空間は、まさに圧巻。どの席に座っても窮屈さを感じることはありません。
- コストパフォーマンス:600万円台からという価格設定ながら、4席のエグゼクティブシートを備えるなど、アルファードの上級グレードに匹敵する豪華装備を誇ります。
- 希少性:アルファードほど街で見かけないため、差別化を図りたいユーザーには魅力的な選択肢です。
グランエースのデメリット
- 大きさゆえの取り回し:全長、全幅ともに大きいため、狭い道や駐車場では気を使います。特に高さ制限のある立体駐車場は注意が必要です。
- 商用車ベースの乗り味:乗り心地は大幅に改善されていますが、路面の凹凸を拾った際の微細な振動など、細かな点で乗用車専用設計のアルファードに一歩譲る部分があります。
- 燃費:2.8Lのディーゼルターボエンジンは力強いですが、燃費性能は最新のハイブリッドシステムを搭載するアルファードには及びません。
アルファードとの比較表
項目 | トヨタ グランエース (Premium) | トヨタ アルファード (Executive Lounge) | 備考 |
---|---|---|---|
車両価格 | ¥6,733,000 | ¥8,720,000 | グランエースの方が安価 |
乗車定員 | 6名 | 7名 | グランエースには8人乗り設定もあり |
サイズ(長x幅x高) | 5300x1970x1990mm | 4995x1850x1935mm | グランエースは一回り大きい |
室内の広さ | ★★★★★+ | ★★★★★ | 全員が快適なのはグランエース |
パワートレイン | 2.8L ディーゼルターボ | 2.5L ハイブリッド / 2.4L ターボ | グランエースは力強いが燃費は不利 |
取り回し | ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ | 大きさがネックになる場面も |
リセールバリュー | ★★★★☆ | ★★★★★+ | アルファードには及ばないが高い水準 |
【ドイツの王者】メルセデス・ベンツ Vクラス – 質実剛健な高級ミニバン
Vクラスの概要とコンセプト
輸入車ミニバン市場において、絶対的な王者として君臨するのがメルセデス・ベンツ Vクラスです。華美な装飾よりも、実用性や安全性を重視する質実剛健な作りが特徴。FR(後輪駆動)レイアウトとディーゼルエンジンがもたらす高速安定性は、国産ミニバンでは味わえない領域です。長距離を移動すればするほど、その真価がわかります。
Vクラスのメリット
- 高速走行安定性:アウトバーンの国で生まれた車らしく、高速域での安定感は抜群。長距離ドライブでもドライバーの疲労が少なく、同乗者も安心して過ごせます。
- メルセデスブランドの信頼性:スリーポインテッドスターがもたらすステータス性と、世界トップレベルの安全性能は、何物にも代えがたい安心感を与えてくれます。
- 力強いディーゼルエンジン:大柄なボディを軽々と加速させる力強いトルクと、経済的な燃費性能を両立しています。
Vクラスのデメリット
- 価格:エントリーモデルでも1,000万円近い価格設定。オプションを追加していくと、あっという間にLMが見えてくる価格帯になります。
- 国産車ほどの快適装備はない:オットマンや大型の後席モニターなど、アルファードのような「おもてなし装備」は限定的。豪華さよりも機能性を重視する設計思想です。
- インテリアの質感:近年のメルセデスのセダンやSUVと比較すると、インテリアの質感はやや商用車的な雰囲気が残ります。
アルファードとの比較表
項目 | メルセデス・ベンツ Vクラス (V220d) | トヨタ アルファード (Executive Lounge) | 備考 |
---|---|---|---|
車両価格 | 約¥9,500,000〜 | ¥8,720,000 | オプション次第でVクラスが高くなる |
乗車定員 | 7名 | 7名 | Vクラスはシートアレンジが多彩 |
走行安定性 | ★★★★★+ | ★★★★☆ | 高速域ではVクラスに軍配 |
パワートレイン | 2.0L ディーゼルターボ | 2.5L ハイブリッド / 2.4L ターボ | 走りの質感が異なる |
快適装備 | ★★★☆☆ | ★★★★★ | おもてなし装備はアルファードが充実 |
ブランドイメージ | ★★★★★ | ★★★★☆ | ブランドの歴史と格ではメルセデス |
リセールバリュー | ★★★☆☆ | ★★★★★+ | 輸入車ゆえアルファードほどの期待は禁物 |
【孤高の存在】フォルクスワーゲン T7マルチバン – 実用性と先進性の融合
T7マルチバンの概要とコンセプト
(※2024年現在、日本市場へは正規導入されていませんが、将来的な導入が期待される注目モデルとして紹介します) フォルクスワーゲンの商用バン「トランスポーター」シリーズの乗用モデルがマルチバンです。最新のT7世代では、商用車ベースから乗用車プラットフォーム(MQB)へと生まれ変わり、走行性能と快適性が飛躍的に向上しました。最大の特徴は、驚くほど多彩なシートアレンジ。レール上を自由にスライドできる独立シートは、対面対座やフルフラットなど、あらゆる使い方に対応します。
T7マルチバンのメリット
- 究極のシートアレンジ:軽量化されたシートは取り外しも可能。リビングルームのような空間から、広大な荷室まで、用途に応じて自由自在に変化させられます。
- 先進的なパワートレイン:欧州ではPHEV(プラグインハイブリッド)も設定されており、環境性能と静粛性に優れています。
- クリーンでモダンなデザイン:華美な装飾を排した、機能的で洗練された内外装デザインは、長く付き合っても飽きがこないでしょう。
T7マルチバンのデメリット
- 日本未導入:現時点では正規輸入されておらず、購入するには並行輸入に頼るしかありません。メンテナンスや保証の面でハードルがあります。
- 導入された場合の価格:もし正規導入された場合、Vクラスに近い価格帯になることが予想されます。
- ブランドイメージ:フォルクスワーゲンは質実剛健なブランドですが、メルセデスやレクサスほどのプレミアムイメージはありません。
アルファードとの比較表
項目 | VW T7 マルチバン (PHEV) | トヨタ アルファード (Executive Lounge) | 備考 |
---|---|---|---|
車両価格 | 不明(高価と予想) | ¥8,720,000 | 正規導入時の価格に注目 |
乗車定員 | 7名 | 7名 | |
シートアレンジ | ★★★★★+ | ★★★☆☆ | マルチバンの独壇場 |
パワートレイン | 1.4L PHEV | 2.5L ハイブリッド / 2.4L ターボ | PHEVによるEV走行が魅力 |
先進性 | ★★★★★ | ★★★★☆ | プラットフォームの先進性で勝る |
入手性 | ★☆☆☆☆ | ★★★★★ | 日本未導入が最大のネック |
リセールバリュー | 未知数 | ★★★★★+ | 希少性から高値を維持する可能性も |
【番外編:SUV】レクサス RX – デザインと快適性の高次元な融合
なぜミドルサイズSUVが選択肢になるのか
「アルファードほどの広さは不要だが、上質さと運転の楽しさ、そしてステータス性は欲しい」という方に最適なのが、レクサス RXのようなラグジュアリーSUVです。ミニバンとは異なる流麗なデザインと、ドライバーズカーとしての資質を兼ね備え、よりパーソナルな満足感を提供してくれます。乗車人数が5名までで問題なければ、非常に有力な選択肢となります。
引用 : TOYOTA HP (https://lexus.jp/models/gx/)
RXのメリット
- 洗練されたデザイン:スピンドルボディと呼ばれる、塊感のあるシャープなスタイリングは、都市にも自然にも映え、所有する喜びを満たしてくれます。
- 上質な乗り心地と静粛性:レクサスならではの徹底した作り込みにより、路面からの不快な振動や騒音をシャットアウト。長距離でも疲れ知らずの快適な移動空間を実現します。
- 多彩なパワートレイン:静かで滑らかなハイブリッド(RX350h)、力強いターボ(RX350)、そして電動技術と走りの楽しさを融合させた最高峰のターボハイブリッド(RX500h)まで、幅広い選択肢が用意されています。
RXのデメリット
- 3列目シートの不在:現行モデルは2列5人乗りのみ。多人数乗車の機会があるユーザーにとっては、これが最大のネックとなります。(先代には3列仕様の「RXL」が存在しました)
- 絶対的な室内の広さ:後席は十分に快適ですが、頭上空間や足元の広がりといった絶対的なスペースでは、ミニバンであるアルファードには及びません。
- 積載性:ゴルフバッグなどは問題なく積めますが、大きな家具や大量の荷物を運ぶといったシーンでは、やはりミニバンに軍配が上がります。
アルファードとの比較表
項目 | レクサス RX (RX500h F SPORT Performance) | トヨタ アルファード (Executive Lounge) | 備考 |
---|---|---|---|
車両価格 | ¥9,010,000 | ¥8,720,000 | グレードにより価格帯は近い |
乗車定員 | 5名 | 7名 | RXは5人乗りのみ |
運転の楽しさ | ★★★★★ | ★★★☆☆ | RX、特に500hはスポーツカー並みの走り |
パワートレイン | 2.4L ターボハイブリッド (DIRECT4) | 2.5L ハイブリッド / 2.4L ターボ | 走りの質を追求したRXのパワートレイン |
実用性 | ★★★☆☆ | ★★★★★ | 乗車人数と積載性でアルファードが圧勝 |
ステータス性 | ★★★★★ | ★★★★☆ | よりパーソナルで洗練されたイメージ |
リセールバリュー | ★★★★★ | ★★★★★+ | RXも非常に高いが、アルファードは別格 |
【番外編:SUV】レクサス LX – 究極のラグジュアリーSUVという選択
なぜミニバンではなくSUVなのか
多人数乗車が可能で、かつアルファードを超えるステータス性と快適性を求めるなら、ラグジュアリーSUVという選択肢が浮上します。中でもレクサス LXは、その頂点に立つ一台です。圧倒的な悪路走破性と、最高級のホスピタリティを両立しており、「どこへでも行ける、究極のプライベートジェット」のような存在です。
LXのメリット
- 圧倒的な存在感と走破性:どんな道でも突き進める信頼性と、他を圧倒する威風堂々としたスタイリングは、LXならではの価値です。
- 最高級のホスピタリティ:静粛性、乗り心地、内装の質感、すべてが最高レベル。特に4人乗りの「EXECUTIVE」は、LMに匹敵する後席空間を提供します。
- 高いリセールバリュー:アルファード同様、極めて高いリセールバリューを誇り、資産価値としても魅力的です。
LXのデメリット
- 価格:LMに匹敵する価格帯であり、気軽に購入できるモデルではありません。
- 燃費:大排気量エンジンと重い車重のため、燃費性能は期待できません。
- 3列目シートの広さ:3列シート仕様もありますが、その広さはミニバンであるアルファードには及びません。あくまで補助的なものと考えるべきです。
アルファードとの比較表
項目 | レクサス LX (EXECUTIVE) | トヨタ アルファード (Executive Lounge) | 備考 |
---|---|---|---|
車両価格 | ¥18,000,000 | ¥8,720,000 | 非常に高価 |
乗車定員 | 4名 | 7名 | LXには5人/7人乗り設定もあり |
悪路走破性 | ★★★★★+ | ★★☆☆☆ | LXの真骨頂 |
パワートレイン | 3.5L V6ツインターボ | 2.5L ハイブリッド / 2.4L ターボ | パワーではLXが圧倒 |
ステータス性 | ★★★★★+ | ★★★★☆ | SUVの頂点としてのステータス |
3列目の実用性 | ★★☆☆☆ | ★★★★★ | ミニバンであるアルファードが有利 |
リセールバリュー | ★★★★★+ | ★★★★★+ | どちらも最高レベル |
【番外編:セダン】レクサス LS / トヨタ センチュリー – ショーファードリブンの頂点
なぜセダンという選択肢なのか
乗車人数が4名以下で、純粋に後席の快適性とステータス性を追求するならば、ショーファードリブンの頂点であるフラッグシップセダンも視野に入ります。レクサス LSや、日本の誇る最高級車トヨタ センチュリーは、アルファードとは全く異なる次元の静粛性と乗り心地を提供してくれます。
LS/センチュリーのメリット
- 究極の静粛性と乗り心地:車の基本形であるセダンだからこそ実現できる、異次元の快適性。走行中の車内は、まるで静寂な書斎のようです。
- 揺るぎないステータス性:これらの車が持つ社会的地位やイメージは、他のどの車種とも比較になりません。本物の上質を知る人々のための選択肢です。
- ドライバーズカーとしての資質:特にLSは、オーナー自らがハンドルを握っても楽しめる、高い走行性能を兼ね備えています。
LS/センチュリーのデメリット
- 乗車人数と積載性:当然ながら多人数乗車はできず、大きな荷物を積むこともできません。用途が限定されます。
- 価格:いずれも1,000万円を超える価格帯であり、特にセンチュリーは2,000万円を超えます。
- 乗り手を選ぶイメージ:良くも悪くも非常にフォーマルなイメージがあるため、普段使いには少し気を使うかもしれません。
アルファードとの比較表
項目 | レクサス LS / センチュリー | トヨタ アルファード (Executive Lounge) | 備考 |
---|---|---|---|
車両価格 | ¥1,000万〜¥2,000万超 | ¥8,720,000 | カテゴリーが異なる |
乗車定員 | 4〜5名 | 7名 | 用途が明確に違う |
後席の快適性 | ★★★★★+ | ★★★★★ | 快適性の質が異なる。静粛性はセダンが圧勝 |
静粛性 | ★★★★★+ | ★★★★☆ | 比較にならないレベル |
実用性 | ★★☆☆☆ | ★★★★★ | ミニバンであるアルファードが圧勝 |
ステータス性 | ★★★★★+ | ★★★★☆ | フォーマルな場でのステータスはセダン |
リセールバリュー | ★★★☆☆ | ★★★★★+ | アルファードのリセールは異常値 |
維持費で比較する – 税金、保険、メンテナンス費用
車を選ぶ上で、購入価格と同じくらい重要なのが維持費です。特に今回紹介したような高価格帯のモデルでは、その差も大きくなります。
- 自動車税:排気量によって決まります。Vクラスやグランエースのディーゼルモデルは、アルファードの2.5Lモデルより税額が高くなります。
- 自動車重量税:車両重量で決まります。どの車種も重量級のため、大きな差は出にくいですが、グランエースやLXは特に重いため注意が必要です。
- 保険料:車両保険の金額は、車両価格や事故率によって算出されます。LMやLX、Vクラスといった高額車両は、保険料も高くなる傾向にあります。
- メンテナンス費用:一般的に、輸入車は国産車に比べて部品代や工賃が高くなる傾向があります。また、レクサスはトヨタブランドに比べて、点検費用などが高めに設定されています。
長期的な視点で見ると、やはりトヨタブランドであるアルファードやグランエースは、維持費の面で優位性があると言えるでしょう。
リセールバリューで比較する – 本当に得なのはどの車種か?
「残クレアルファード」という言葉が生まれるほど、アルファードのリセールバリューは突出しています。数年後の価値が保証されているに等しい状況は、購入のハードルを大きく下げています。
では、他の車種はどうでしょうか。
- レクサス LM/LX/RX:絶対的な価格は高いですが、レクサスブランド、特にフラッグシップや人気SUVモデルは非常に高いリセールを維持します。アルファードに匹敵する、あるいはそれに近い価値を維持する可能性も十分にあります。
- グランエース:アルファードほどではありませんが、トヨタの大型ミニバンということで安定した高いリセールが期待できます。
- メルセデス・ベンツ Vクラス:輸入車の中ではリセールは安定している方ですが、国産フラッグシップには及びません。年数と共に価値は着実に下がっていきます。
- レクサス LS/センチュリー:セダン市場全体が縮小している影響もあり、ミニバンやSUVほどの高いリセールは期待できません。長く乗り続けることを前提とした選択と言えるでしょう。
短期的な乗り換えを前提とするならば、依然としてアルファード、あるいはレクサスLM/LX/RXが最も合理的な選択と言えるかもしれません。
まとめ
今回は、「アルファードと被りたくない」という思いを持つあなたへ、アルヴェルより格上の選択肢となりうる国産車・輸入車を、私の実体験を交えながら徹底的に比較・解説してきました。
- 後席のVIPを最高レベルでもてなすならレクサス LM
- 多人数が快適に移動できる空間とコスパを求めるならトヨタ グランエース
- 長距離移動の安定性とブランド力を重視するならメルセデス・ベンツ Vクラス
- デザイン性と運転の楽しさを両立させたいならレクサス RX
- ミニバンの枠を超えたステータスと走破性を手に入れたいならレクサス LX
- 究極の静粛性とフォーマルな品格を追求するならレクサス LS / トヨタ センチュリー
どの車もアルファードが持っていない、唯一無二の魅力を持っています。
最終的にどの車を選ぶべきか。それは、あなたが車に何を求め、どのようなカーライフを送りたいかによって決まります。リセールバリューや他人の評価も一つの指標ですが、最も大切なのは、あなた自身がハンドルを握るとき、あるいは後席でくつろぐときに、心から「この車を選んで良かった」と思えるかどうかです。
本レビューが、あなたのその決断の一助となれば幸いです。ぜひ、気になるモデルがあれば実際にディーラーに足を運び、ご自身の目で見て、触れて、そして試乗してみてください。きっと、カタログスペックだけではわからない、新たな発見があるはずです。