新車購入時、多くの人が気にする「リセールバリュー」。特に人気のミニバン「ヴォクシー」はその残価率が高く評価されてきましたが、2025年現在ではその状況が大きく変化しています。
引用 : TOYOTA HP (https://toyota.jp/voxy/design/)
本記事では、新型ヴォクシーのリセールバリューが崩壊しつつある現実を直視し、損をしないための賢い購入戦略や乗り方を徹底的に解説します。
記事のポイント
- 新型ヴォクシーの最新リセールバリューは過去と比較して下落傾向
- おすすめグレードはハイブリッドSZ、購入時の装備が重要
- ガソリン車とハイブリッド車のリセール差と推奨乗り換えサイクル
- ヴェルファイアとの比較で見える“損しない選び方”

新しい車に乗り換える際、今乗っている愛車をどれだけ高く売却できるかは、次の車の選択肢にも大きく影響します。
私自身、一括見積もりサイトを活用したことで、ホンダヴェゼルからレクサスRXに乗り換えることができました。
新型ヴォクシーのリセールバリューは本当に崩壊しているのか
年式ごとの落札価格の推移
2025年式ヴォクシーの業者オークションにおける実例から見ても、かつて高水準を誇っていたリセールは明らかに弱まっています。

引用 : TOYOTA HP (https://toyota.jp/voxy/design/)
年式別・走行距離別の残価率一覧
まずは具体的な数値から確認しましょう。以下はガソリンSZグレードの支払総額と買取価格、そこから算出される残価率を表形式でまとめたものです。
経過年数・走行距離 | 支払総額 | 買取価格 | 残価率 | 損失額 | 年間車体費 |
---|---|---|---|---|---|
未走行(新車) | 418万円 | 371万円 | 89% | 47万円 | 約47万円 |
1年・1万km未満 | 418万円 | 356万円 | 85% | 62万円 | 約61~62万円 |
2年・2万km未満 | 418万円 | 349万円 | 84% | 69万円 | 約34.5万円 |
3年・3万km未満 | 418万円 | 345万円 | 83% | 73万円 | 約24万円 |
走行距離が少ないほど高リセール…ではない現実
注目すべきは、「未走行」に最も高い価値があると思われがちですが、1年未満で売却しても損失は大きいという点です。これは“新車プレミアム”が消えた現状を反映しており、短期保有ではコスパが悪くなっている証拠です。
長期保有ほど“損が緩やかになる”構造
3年間乗ってから売却すれば、1年ごとの損失は大幅に下がります。このことから、ヴォクシーは「短期よりも中期保有」に向いているモデルと言えるでしょう。
1年目の売却が“最も損”するパターン
ガソリンSZでは、1年目で売却した場合の年間車体費は約61万円と非常に高く、1年で60万円以上の損失になる可能性も。
2~3年で売却するのが賢い選択
年間車体費を抑えるには、2~3年目の車検前に売却するのがベスト。3年でならすと年間車体費は24万円程度まで抑えることができます。
新型ヴォクシーハイブリッドは今でも“お得”に乗れるのか
ハイブリッドSZの実際の相場推移
以下は、ハイブリッドSZの支払総額・買取価格・残価率を年数別に整理した一覧です。

引用 : TOYOTA HP (https://toyota.jp/voxy/design/)
経過年数・走行距離 | 支払総額 | 買取価格 | 残価率 | 損失額 |
未走行(新車) | 450万円 | 456万円 | 101% | -6万円(※プレミア価格) |
1年・1万km未満 | 450万円 | 409万円 | 91% | 41万円 |
2年・2万km未満 | 450万円 | 394万円 | 88% | 56万円 |
3年・3万km未満 | 450万円 | 380万円 | 84% | 70万円 |
年間車体費の目安
以下はハイブリッドSZの年数ごとの年間車体費を表にまとめたものです。
経過年数 | 総損失額 | 年間車体費の目安 | 月間コスト換算 |
1年目 | 約41万円 | 約41万円 | 約3.4万円 |
2年目 | 約56万円 | 約28万円 | 約2.3万円 |
3年目 | 約70万円 | 約23万円 | 約1.9万円 |
ハイブリッドSZなら、2〜3年乗って売却すれば月2万円以下で“プレミアムミニバン”を楽しめる計算になります。
ハイブリッドはガソリンより“静粛性・燃費”で満足度が高い
静粛性の高さは日常使用で明確に体感できる
ハイブリッドSZは、エンジン音が非常に静かで、EV走行時には無音に近いドライブが可能です。市街地の低速域ではモーターのみでの走行が多く、特に早朝や深夜の住宅街での走行でも周囲への配慮がしやすいのが特長です。小さなお子様がいる家庭や、音に敏感な方には非常に高い満足度を得られるポイントといえるでしょう。
燃費性能は長距離通勤や週末ドライブに効く
ハイブリッドは実燃費でもガソリンモデルと比べて大きく優れており、街乗り中心でもリッター18〜20km、高速走行では22km/L超えも現実的です。燃料代の高騰が続く中で、ランニングコストを抑えたい家庭にとっては長期的な経済メリットが大きいと言えます。
ガソリンとの差額は数年で回収可能
購入時の車両価格ではガソリンモデルよりもハイブリッドの方が高価になりますが、燃費の良さにより2〜3年の保有で十分にその差額を回収できます。さらに、リセールバリューも高いため、トータルコストではハイブリッドの方が安くつくケースも多くなっています。
走行性能・乗り心地の満足感も高水準
ハイブリッド特有のモーターアシストにより、加速がスムーズで発進時の力強さも感じられます。加えて、回生ブレーキの制御が滑らかで、運転中の違和感が少ない点もドライバーから高評価です。家族を乗せた遠出でもストレスの少ない移動が可能となるのは、ヴォクシー・ハイブリッドの大きな魅力といえます。 燃費面の差だけでなく、静かで滑らかな走りも魅力。ガソリンとの差額は運用コストで十分カバーできるため、結果的に満足度は高くなります。
新型ヴォクシーをリセールバリューを考慮し損せず買うにはどのグレードが正解?
おすすめは「ハイブリッドSZ」or「Zグレード」
Zグレードの強み:安定したリセールバリューと装備充実
リセールの観点から最も安定しているのがZグレード。標準装備のレベルが高く、特に10インチディスプレイオーディオやLEDヘッドライト、パワースライドドアなど、家族での使用に便利な装備が充実しています。これらの装備が中古市場でも評価されやすく、相場が安定しているのが特徴です。

引用 : TOYOTA HP (https://toyota.jp/voxy/design/)
ハイブリッドSZはコスパ最強グレード
一方、ハイブリッドSZはリセールバリューの高さに加え、燃費性能や静粛性にも優れたモデル。とくに、月々の維持費を抑えたいファミリー層には非常に人気があります。燃費による経済効果だけでなく、ガソリンモデルに比べて年間の維持コストがトータルで安く済むため、長期保有でも不満が出にくいのが魅力です。
どちらを選ぶべきか?タイプ別おすすめ
- 短期保有やリセール重視派:Zグレード
- 購入後3年以内に売却を予定しているならZグレードがおすすめ。装備充実+安定相場で出口戦略を立てやすい。
- 長期保有・家族重視派:ハイブリッドSZ
- 年間1万km以上乗る家庭や、車内の快適性を重視する方にはSZが最適。静かで低燃費、家族全員が快適に使える一台。
ZグレードとハイブリッドSZは、それぞれ異なる価値を持っており、自身のライフスタイルや乗車頻度に合わせて選ぶことで、失敗しない買い物が実現します。
ガソリンモデルを選ぶなら「3年乗り換えサイクル」がおすすめ
ガソリンSZは1年目で売ると損が大きい
ガソリンモデルは新車購入直後からの値落ちが激しく、特に1年目での売却では約60万円以上の損失が出るケースも珍しくありません。これは初期費用に対してリセールバリューが下がりやすい構造が背景にあります。
3年保有でリセールが安定する
ガソリンSZは3年間乗ることで、年間あたりの車体費用が約24万円程度に落ち着きます。これは新車価格からの値落ちが緩やかになり、リセールバリューが安定するタイミングにあたるためです。
メリット:メンテ・車検費用の回避
3年サイクルでの乗り換えを実践すれば、初回車検前に売却できるため、車検代や大きなメンテナンス費用を回避できます。さらに、常に最新モデルに乗れるため、装備や安全性能の進化を享受できるのも利点です。
デメリット:長期所有よりランニングコストは高め
一方で、3年ごとに乗り換えるというスタイルは、初期費用を短期間で回収できないため、総支出としては長期保有より高くなる可能性もあります。そのため、リセールの良いグレードや装備選びが必須となります。
結論:短期ではなく“中期保有”で最大メリットを得る
ガソリンモデルは、1〜2年で売るよりも、3年乗ってからの売却が最も効率的。この中期保有の戦略によって、損失を最小限に抑えつつ、新車ライフを繰り返すというサイクルが成立します。 新車価格と買取価格の差を年間平均で見ると、ガソリンSZの方がややコスト高ですが、3年サイクルでの新車乗り換えを実行すれば満足度は十分確保できます。
新型ヴォクシー購入時のオプションは何をつけるべきか
付けた方が良いオプション
ヴォクシーを購入する際、どのオプションを装着するかによって、将来のリセールバリューに大きな差が生まれます。特に中古車市場では「人気装備」が備わっているかどうかが、査定価格を左右する大きな要因となります。また、自分自身の満足度にも直結するため、費用対効果を見極めながら、付けるべきオプションは戦略的に選びましょう。
- 10インチディスプレイオーディオ:装着していないと明らかに相場が下がる
- 快適利便パッケージ(15万円):付けている方が査定アップ
様子見でもいいオプション
一方で、すべてのオプションがリセールに直結するとは限りません。市場のニーズやトレンドによって評価が上下する装備も多く、判断が難しいケースもあります。ここでは、「絶対ではないが、条件によっては装備してもよい」と考えられるオプションについて紹介します。
- ディスプレイ以外の装備は相場の変動が激しいため、好みに応じて判断
新型ヴェルファイアと新型ヴォクシーのリセールを比較すると?
ガソリンZプレミア:圧倒的なリセール力
- 登録5ヶ月:残価率116%
- 登録12ヶ月:残価率131%
ヴェルファイアの強さは、輸出需要によって生まれており、国内需要とは別の相場形成がされています。
ハイブリッドは微妙な傾向
- ハイブリッドZプレミア:未走行なら残価率100%前後を維持
- 走行車は100%を下回る傾向で、今後の下落リスクも
結論:予算に余裕があるならヴェルファイアもアリ
ヴェルファイアの方が支払額は大きいですが、リセールで逆転する可能性も高いため、トータルでの出費は抑えられるケースもあります。
新型ヴォクシーの出口戦略を立てる重要性
1年で売却する戦略はすでに崩壊
新車プレミアム消失のタイミング
以前は新車発売直後のヴォクシーに付く“新車プレミアム”が1年以内の売却でも利益を生みました。しかし、2025年現在では登録台数の増加と市場在庫の過多により、そのプレミアムは短期間で消失しやすくなっています。
実例:1年保有で発生する損失額
- 購入価格:418万円(ガソリンSZ)
- 1年後買取価格:356万円
- 差額:62万円(年間約62万円のコスト)
さらに税金・保険料を加えると、実質的に約70万円の出費に相当。月々に換算すると6万円近いコストとなり、コストパフォーマンスは著しく低下します。
市場飽和と価格下落のメカニズム
未使用車や登録済未使用車の台数増加によって、1年落ちモデルは市場に大量に流通。加えて輸出需要も一時的には減退しているため、リセール価格は急激に下がりやすい状況です。
心理的誤算を避けるために
「1年で売却すれば損がない」との神話に踊らされず、購入直後の売却を前提にしない意識改革が必要です。特にフルオプション装備を期待して買うと、査定額とのギャップで大きな失望を招きがちです。
ベストは“3年乗って車検前売却”
車検費・整備費を丸ごと回避
3年ごとの乗り換えサイクルでは、初回車検前に売却できるため、30万~50万円ほどかかる車検費用や大規模な整備費用を支払わずに済みます。これまで車検を通すために必要だった部品交換や法定費用を一切負担せず、コストを大幅に抑制できます。
最新モデルへのスムーズな移行
約3年でモデルチェンジが行われることが多いトヨタミニバン。サイクルに合わせて乗り換えることで、新しい安全装備や快適装備をいち早く体験可能です。特に安全支援システム(自動ブレーキ、レーンキープなど)は年々進化しており、最新技術を逃さず得られるメリットがあります。
中古市場での評価が安定するタイミング
走行距離2万~3万kmの3年落ちモデルは、相場が最も安定するタイミングです。残価率は約83%前後で推移し、売却価格の予測もしやすくなるため、出口戦略を立てやすくなります。
購入・売却時のポイント
- 残価設定ローンを活用し、月々の支払額を軽減
- 人気色・定番オプションを抑え、中古需給に合った仕様を選ぶ
- 買取相場の定期チェックを行い、売却タイミングを逃さない
このように、3年乗って車検前に売却するサイクルを確立すれば、維持費を抑えつつ常に最新モデルを楽しめる「賢いカーライフ」を実現できます。
次の車種選定にもつながる“戦略的乗り換え”
明確なコストコントロールで無駄をカット
戦略的乗り換えは、買取価格の見通しを立てた上で次の車を選ぶことで、購入と売却の差額を最小化します。これにより「気づかぬうちに膨らむ保有コスト」や「突発的な大きな出費」を防ぎ、年間維持費を計画的にコントロールできます。
市場変動リスクを分散する
自動車市場は需給バランス、為替動向、輸出規制など多様な要因で変動します。一定の車種に固執せず、複数モデルを短中期で乗り換えることで、特定モデルの相場急落のリスクを分散できます。
最新技術・安全装備を逃さない
メーカーはおよそ3年でマイナーチェンジやフルモデルチェンジを実施し、新しい安全支援機能や快適装備を導入しています。3年サイクルで乗り換えることで、家族の安全性や快適性を常に最新水準で維持できます。
次回愛車選びを成功させるためのポイント
- 残価率の安定したグレードを選定:買取相場が高く安定しているグレードを事前にリストアップ
- 需要の高い仕様・オプションを把握:カラーや人気装備を調査し、中古市場で評価されやすい構成を選択
- オプション費用と残価率のバランス検証:追加費用をかけすぎず、査定に効く装備への投資を優先
- 定期的な市場相場チェック:売却タイミングを逃さないために、半年ごとに最新の買取相場を確認
このように、次の車種選定も見据えた戦略的乗り換えを行うことで、コストを抑えながら常に新鮮なカーライフを楽しむことができます。
まとめ
ヴォクシーはかつて“リセール最強ミニバン”とされていましたが、2025年時点では明らかにその勢いが弱まっています。しかし、戦略的に乗り方を工夫すれば、今でも非常にコスパよく乗ることが可能です。特にハイブリッドSZグレードは、燃費・静粛性・残価率のバランスが優れており、長期的な満足度も高くおすすめです。
1年で売却する短期保有では損失が大きくなりますが、2〜3年のサイクルでの乗り換えを視野に入れれば、依然としてヴォクシーは“賢い選択”となり得ます。
予算に余裕がある方には、ヴェルファイアのガソリンZプレミアグレードという選択肢も視野に入れつつ、ライフスタイルや使用目的に応じた出口戦略をしっかり立てた購入をおすすめします。