冬のEV利用に対する不安がよく聞かれます。特に、「冬は充電が遅い」「寒さで能力が思ったより出ない」など、ネット上にも不安を加速させる情報が飛び交っています。
引用 : 価格コム HP (https://kakaku.com/item/K0001215150/)
しかし実際には、テスラモデルYのような最新EVは、それらの論言を大きく乱すものでした。
本レビューでは、実際に冬の外気温わずか8度の中でモデルYをスーパーチャージャーにて充電した結果を詳細に解説します。
記事のポイント
- モデルYは冬でも充電性能が落ちない
- バッテリープレコンディショニング機能が充電を支える
- 計測結果は24.5分で能力の80%を充電
- 他社EVと比べても充電速度は頑丈

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テスラの充電性能は冬は落ちるのか?徹底検証
冬の外気温はEVにどう影響するのか
冬の寒さはEVの充電性能にさまざまな影響を与えます。特に注目すべきは、バッテリー内部の化学反応が低温では遅くなり、充電・放電効率が下がるという点です。
これにより、「満充電にかかる時間が長くなる」、「走行可能距離が短くなる」といった現象が起きがちです。
LFPバッテリーは特に温度変化に敏感
LFP(リン酸鉄リチウム)バッテリーは、その耐久性と安全性の高さから多くのEVに採用されていますが、低温下ではリチウムイオンの移動が鈍くなるため、充電速度や電圧の安定性が著しく低下する傾向があります。特に外気温が5度以下になると、実用的な能力が大きく減少することも。
バッテリー温度の低下がもたらすリスク
充電の効率だけでなく、低温状態のバッテリーは輸出性能も落ちるため、モーターの動作やヒーターの効率も低下することがあります。そのため、遠征や通勤などで能力管理をしっかりすることが必要となります。
実際の充電状況を再現
本テストは、外気温8度という冬の入り口の気温条件下で実施しました。具体的には、バッテリー残量が10%の状態からスーパーチャージャーで充電を開始し、わずか24.5分で80%まで充電を完了させることができました。

充電開始時の状態
充電開始時には、車両側のBMS(バッテリーマネジメントシステム)上でのバッテリー残量は約9.5%、バッテリー温度は約36.3度を示しており、すでに人肌に近い温度まで予熱されていました。これが、プレコンディショニング機能によってあらかじめ整えられていた環境です。
充電中の出力推移
充電が開始されてすぐに、出力は最大約170kW近くまで上昇。アンペア数にして450A近くを記録し、急速充電としては理想的な数値でした。この高出力は、低温時でも事前加温によって達成されているもので、充電中も大きな変動なく安定して推移しました。
夏と比較しても変化がない速度
同様のテストを気温24度の環境でも行っていますが、24.5分という充電時間はまったく同じ。これは、冬であってもプレコンディショニングによって夏と遜色のないパフォーマンスを維持できている証拠です。
競合車種との明確な差
一方で、同等条件下での日産アリアやトヨタBZ4Xは、冬季に約40分近くの時間を要するケースも見られます。テスラのシステムがいかに優れているかを実証する結果となりました。
充電速度を支えるプレコンディショニング
テスラが誇る「プレコンディショニング」機能は、冬場におけるEV充電性能の鍵を握る重要な技術です。これは、目的地のスーパーチャージャーに到着するまでの走行中に、バッテリーを事前に加温することで、低温時でも充電効率を最大化する仕組みです。
プレコンディショニングの作動タイミング
プレコンディショニングは、ナビゲーションでスーパーチャージャーを目的地として設定した場合に自動的に作動します。これにより、ユーザーが意識せずともバッテリーは適温に保たれ、スムーズな急速充電が可能になります。
温度管理の重要性
バッテリーは温度によって性能が大きく左右される繊細な部品です。理想的な充電温度帯はおおよそ30~40度前後であり、それを自動的に維持できるのがこの機能の強みです。低温のまま急速充電を行うと、リチウムイオンバッテリーに物理的なダメージを与えるリスクもあるため、長期的に見てもプレコンディショニングはバッテリー寿命の延伸にも寄与します。
他社車種との機能差
日産アリアやBZ4Xでは、充電器到着後にようやくバッテリーを温め始める仕組みが多く、結果として最初の数分間は極めて低い出力でしか充電できません。テスラのように走行中から温度を整えておく機能がないと、冬場の時間的ロスは無視できないレベルになります。
実体験に基づく効果
本レビューのテストでも、実際に充電器に到着した際には、バッテリー温度は36.3度と非常に安定しており、外気温が8度にもかかわらず、バッテリー内部はまるで夏場のような状態に保たれていました。
実際の充電性能に現れた成果
この予熱状態により、充電開始直後から170kW近い高出力が即座に確保されました。これは、EVにとって非常に理想的な条件であり、寒冷地での充電性能の低下という常識を覆すものでした。
テスト中の変動も安定
加えて、充電中も出力が大きく上下することはなく、終始安定した供給を維持。これにより、充電完了までの時間は予測通り24.5分であり、冬の環境でもモデルYが高い信頼性を保つことを証明しました。
走行スケジュールへの影響を最小限に
充電にかかる時間が冬でも夏と変わらなければ、移動計画に余計なバッファを取る必要がありません。特に遠出やビジネス利用においては、時間管理がしやすく、日常の使い勝手のよさに直結します。
心理的な安心感にもつながる
「冬はEVが不便」という漠然とした不安も、実際にこのような安定した充電体験をすれば払拭されるはずです。実体験に基づく結果として、モデルYは寒冷地でも心強い相棒となることが分かります。
テスラの冬の充電性能を他社EVと比較
日産アリアやトヨタBZ4Xより優位

日産アリアやトヨタBZ4X、ヒョンダイアイオニック5といった他社の主要EVと比較しても、テスラモデルYは明確な優位性を誇ります。特に冬季の充電性能に関しては、システム面と設計思想の違いが大きな差となって表れています。
プレコンディショニング機能の有無
テスラ以外の多くの車種では、プレコンディショニング機能がそもそも搭載されていないか、あってもナビ連動ではなく手動操作に頼っているケースがあります。これにより、充電器到着時のバッテリー温度が低く、充電性能が著しく落ち込むことがあります。
実際の充電時間の違い
例えば、テスラモデルYが24.5分で10%から80%まで充電可能であるのに対して、同等条件下での日産アリアやBZ4Xは約35~40分以上かかるケースが報告されています。これは、バッテリー温度が充電開始時点で十分に温まっていないためです。
充電曲線の推移にも差
テスラは充電開始直後から最大出力に近いレベルまで立ち上がり、その出力を維持し続ける特性があります。これに対し、他社EVでは充電開始直後は控えめな出力でスタートし、徐々に上昇するパターンが多く、結果として充電完了までに時間がかかってしまいます。
長距離移動における実用性の差
長距離移動では「短時間でどれだけ電力を回復できるか」が重要になります。モデルYはわずか25分弱の滞在時間で200キロ以上の走行距離を回復可能であり、これは高速道路での遠征にも強い味方となります。
充電グラフでも確認できる性能の安定性
夏(外気温24度)と冬(外気温8度)という全く異なる気象条件下で取得した充電データを比較してみると、驚くべきことにそのグラフの傾きは非常に類似していました。これは、モデルYのバッテリー制御と温度管理技術の高さを如実に示す結果です。
充電出力の立ち上がりに差がない
どちらのシーズンでも、充電開始直後から150kWを超える高出力が瞬時に得られており、プレコンディショニングの効果が安定していることが見て取れます。特に冬場は出力が上がるまでに時間がかかる車種も多い中、テスラの制御は常にフラットでスムーズ。
出力維持率の高さが安定性を支える
通常、バッテリー残量が30%を超えると出力が落ちてくるEVも多いのですが、モデルYはその後も130〜140kWの出力をキープ。これは、効率的な電圧制御と冷却・加温システムの連携が取れているからこそ実現できるものです。
冬でもグラフが「へたらない」意味
冬場においても充電グラフが夏とほぼ重なるという事実は、単に性能が落ちないというだけでなく、ユーザーにとって「予定通りの時間で目的地に着ける」ことを保証するという意味で非常に大きなメリットです。これこそがEVに求められる「信頼性」と言えるでしょう。
充電速度は他社EVより絶対的に優勝
メルセデスEQBやトヨタBZ4Xなど、主要な他社EVでは30分での充電回復距離はおおよそ210〜220キロ程度が一般的です。これに対して、テスラモデルYはわずか24.5分という短時間で、約224キロ分の走行距離を回復可能であり、これは同クラスEVにおける最上級の性能と評価できます。
時間あたりの回復距離で比較
車種 | 充電時間 | 回復距離 | 回復速度(km/分) |
---|---|---|---|
テスラ モデルY | 24.5分 | 224km | 約9.1km/分 |
トヨタ BZ4X | 30分 | 212km | 約7.1km/分 |
この比較からもわかる通り、モデルYは1分あたりに回復できる距離でも圧倒的に優れており、充電ステーションでの滞在時間を短縮できるメリットが明確です。
充電完了までのストレス軽減
長距離移動中における充電待ちの時間は、ドライバーにとって大きなストレス要因になります。モデルYのように、20分強で実質80%の充電が完了する車両であれば、トイレ休憩や軽食の合間に充電を終えることができ、時間的なロスが最小限に抑えられます。
走行距離×充電速度で見た実用性
単に距離だけでなく、「どれだけ早くその距離を回復できるか」が重要です。モデルYは、充電時間と回復距離のバランスに優れ、都市部での利用から長距離移動まで、幅広い用途で圧倒的なパフォーマンスを発揮します。
最新ソフトウェアアップデートも力強
テスラは定期的にソフトウェアアップデートを提供しており、今回の冬季テストではその恩恵を実感することができました。特に充電関連のチューニングが強化され、バッテリー残量20%〜30%という区間でも出力を落とさず高速充電を継続できるようになっています。
出力低下ポイントの引き延ばし
従来の充電プロファイルでは、残量20%前後から徐々に出力が落ち始めていました。しかし最新アップデートにより、この「出力の谷間」を先送りできるようになり、30%を超えてもしばらく高出力を維持できるように改善されています。
実際の充電グラフに見られる変化
アップデート前のグラフでは、25%付近から出力が120kW台に下がる傾向がありましたが、アップデート後は140〜150kWを維持。冬場でも充電の勢いを失わずに済みます。
モデルYオーナーにとっての恩恵
この変更は、日常利用での充電効率を大きく引き上げるだけでなく、長距離ドライブ時の時短にも直結します。急速充電スポットでの滞在時間が数分でも短縮されれば、結果的に旅の快適さが変わってきます。
継続的な進化に期待
テスラはハードウェアに手を加えずとも、ソフトウェアの改善だけで充電性能を進化させられるという独自の強みを持っています。今後もさらなる最適化が期待される中、既存オーナーにとっても価値が増すアップデートであることは間違いありません。
冬のロングドライブも完全支援
外気温-10度という極寒の北海道遠征でも、テスラモデルYはその真価を発揮しました。プレコンディショニング機能のおかげで、スーパーチャージャーに到着する頃にはバッテリー温度が適温に保たれており、寒冷地でもスムーズに充電が開始されます。
寒冷地でも変わらぬ充電性能
冬場の遠征において最も気になるのは、充電待ちによる時間ロスです。しかし、北海道のような厳しい寒さの中でもモデルYは、充電出力の立ち上がりや安定性において他のEVを凌駕。実際の旅程中でも「寒いから充電が遅い」と感じることはありませんでした。
高速道路上でも安心のネットワーク
北海道の高速道路沿いにはスーパーチャージャーが要所に配置されており、ルート設定時に自動で立ち寄りポイントも表示されるため、安心感は段違い。走行中はナビがプレコンディショニングを開始し、到着と同時に高出力での充電が可能になります。
遠征やスキー旅行にも最適
スキーやスノーボードなど、冬のレジャーで山間部を訪れる機会が多い方にとっても、この性能は極めて有効です。標高が高く冷え込みの厳しい地域でも、モデルYは変わらずスムーズに充電が可能であり、計画的に移動を進めることができます。
安心感がもたらす行動範囲の拡大
「充電できるだろうか」という不安がなくなることで、行動範囲も自然と広がります。気温に左右されず安定した移動手段を確保できる点は、特に冬季において大きな価値となります。
まとめ
冬場でEVは使い物にならない―そんな伝説を打ち破するような結果となったのが、本記事で解説したテスラモデルYの充電テストです。
冬の外気温8度というシーズン元でも充電速度は落ちず、24.5分で能力の80%まで充電。これは、プレコンディショニング機能あってこその結果です。
日産アリア、BZ4Xなどの小型EVはまだまだ変わらなければなりません。少なくとも、自動車が日常利用となる冬地で、通勤や遠征をしながら安心してドライブできる、そんなモデルYの存在は魅力としか言いようがありません。