レクサスLBXは、高級コンパクトSUVとして人気を集める一方で、特定の使用環境において「バッテリー上がり」が頻発するという報告が相次いでいます。
引用 : TOYOTA HP (https://lexus.jp/models/lbx/)
筆者自身も所有しており、実際に複数回のバッテリー上がりを経験したため、今回はその実体験をもとに、原因や対応策、注意点を徹底的に解説します。
記事のポイント
- レクサスLBXはバッテリー上がりが起きやすい構造的リスクがある
- 接近オートアンロックやE-LATCH、ACCカスタマイズ設定が主な原因
- 実際の復旧方法と必要な準備を詳細に解説
- 上がらないための工夫・日常の注意点も多数紹介
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レクサスLBXのバッテリー上がり|どのように起きるのか?

引用 : TOYOTA HP (https://lexus.jp/models/lbx/)
一般的なバッテリー上がりの原因とは
バッテリー上がりは、車にとって避けられないトラブルの一つですが、その背景にはいくつかの共通要因が存在します。
以下では、特にレクサスLBXに限らず、あらゆる車において想定される代表的な原因を具体的に解説します。
長期間の未使用による放電
クルマを長期間動かさないと、バッテリーが自然放電し、電圧が低下してエンジン始動が困難になります。
- 特に週1回未満しか乗らない場合は注意が必要。
- 短距離走行を繰り返すと充電不足になることも。
駐車監視付きドライブレコーダーの常時稼働
ドライブレコーダーの中でも、駐車中に動作を続けるモデルはバッテリーへの負荷が大きくなります。
- 夜間の監視や常時録画機能が原因で数日間で上がることも。
- 特に外部電源を使わないタイプは影響大。
社外セキュリティ機器の電源消費
後付けのセキュリティ機器やGPSトラッカーは、常にバッテリーから電力を消費します。
- 安全性は向上するが、電圧監視を怠るとバッテリー上がりを招く要因に。
気温低下によるバッテリー性能の低下
寒冷地ではバッテリーの化学反応が鈍くなり、容量が低下しやすくなります。
- 氷点下付近では新品バッテリーでも始動不良のリスクが。
これらの要因は従来の車両にも共通するものですが、レクサスLBXの場合、こうした要素が全くない状態でもトラブルが発生する事例が報告されています。つまり、根本的に電装系統における電力消費が高めであるという、構造上の要因が関与している可能性があるのです。
実体験:筆者が遭遇した異常なバッテリー上がり
筆者が初めてレクサスLBXのバッテリー上がりを経験したのは、納車から1年が経過した頃。以下のような条件下で突然のトラブルが発生しました。
- 週に複数回の短距離運転あり(1〜11km)
- 社外セキュリティ機器・駐車監視ドラレコなし
- 気温が低下した冬季、リモートエアコン使用時に発覚
上がる要素が見当たらない中での発生
筆者の使い方は、一般的な都市部ユーザーと同様で、特にバッテリーを酷使するような使い方はしていませんでした。1週間に3〜4回は車を動かしており、長期間放置するようなこともなかったため、「なぜこのタイミングで?」という強い疑問が残りました。
発覚したのはリモートエアコンの作動エラー
真冬の朝、いつものようにスマホアプリからリモートエアコンを起動しようとしたところ、”起動に失敗しました”との通知が表示。エアコンが作動せず、現地で車両を確認したところ、エンジンが始動できず、完全なバッテリー上がり状態であることが発覚しました。
ドアロックやライトが作動する状況でも油断禁物
興味深い点として、バッテリーが完全に死んでいたわけではなく、リモートでのドアロック解除は可能でした。これはバッテリーに最低限の電力が残っていた証拠ですが、エンジン始動に必要な電圧には届いていなかったようです。つまり”半上がり”の状態だったと言えるでしょう。
環境変化がトリガーだった可能性
筆者は当時、車両の駐車場所を変更しており、玄関前にLBXを停めるようになったことで、鍵を持った状態で何度も車の近くを通る生活に。そのたびにルームランプや電子制御システムが作動していたと考えられ、それがバッテリー負担の蓄積につながった可能性があります。
このように、表面的には通常使用であっても、レクサスLBX特有の仕様や環境の変化が複合的に影響し、突然のバッテリー上がりを引き起こすケースが存在するのです。
ACCカスタマイズとE-LATCHの影響
新世代のレクサス車、特にLBXにおいては、見た目や操作感を革新するための先進機能が数多く搭載されていますが、それらが意図せずバッテリーへの負荷を高めてしまっているという側面があります。
エンジンOFF後も電力消費が続くACCカスタマイズ
ACCカスタマイズがオンの状態では、エンジン停止後もナビやオーディオが数十秒〜数分稼働し続けます。
- 映像再生や音楽鑑賞を意識した高機能だが、電力を消耗しやすい
- ドアを開けるまでスタンバイモードが続く仕様も影響
電子ドアラッチE-LATCHの電力スタンバイ問題
E-LATCHは、ドアノブではなくスイッチによる電子的なドア開閉方式。
- 車両がアンロックされるとドアハンドルまわりが通電状態になる
- ユーザーが気づかぬうちに電力が消費される設計
組み合わせによる消費電力の累積
ACCカスタマイズがオン、E-LATCHが常時スタンバイ、さらに接近オートアンロックまで設定していると、
- 車に近づくたびに複数の電装系が同時に起動
- 通電頻度が高まることで日常的に電力が蓄積消費される
これらの機能自体は便利ですが、設計上の想定を超えた頻度で作動させるとバッテリーへの負担が急激に高まり、結果として上がりやすい状態を招いてしまいます。
- エンジンOFFでもナビやオーディオがしばらく動作する(ACCカスタマイズ)
- 電子式ドアラッチ(E-LATCH)が常時スタンバイ状態になる
これにより、ドアの開閉や車両への接近で頻繁に電力が消費される構造です。
接近オートアンロックが引き金に
便利機能が裏目に出る瞬間
レクサスLBXでは、ディーラーオプションとして「接近時オートアンロック」を設定することができます。
- 鍵を持って車に近づくだけでロックが解除されるスマート機能
- 利便性が高い一方で、誤作動・不要な作動が繰り返される危険性も
車の周囲を歩くだけで繰り返される動作
筆者の実体験では、玄関前に駐車していたLBXの横を鍵を持ったまま10回程度通過しただけで、
- ドアロック解除 → ルームランプ点灯 → 数十秒後に自動ロック というサイクルが何度も繰り返されていたことが判明。
一度も乗らずとも電力が減っていく仕組み
このような「非乗車時の電力消費」は、ユーザーにとって想定外の動作です。
- 短時間に何度も起きれば、実質的にはエンジン停止状態での電力放出が加速
- 毎回乗車していればまだ回生発電できるが、そうでない場合はバッテリーがただ消耗されるだけ
このように接近オートアンロックは、使用状況によっては非常にリスキーな設定となるため、日常的に車のそばを頻繁に通る環境では見直しが必要となります。
- ドアロック解除
- 電装系起動
- ルームランプ点灯
が繰り返され、結果としてバッテリーに負担がかかる仕組みです。
レクサスLBXのバッテリー上がり|復旧方法を解説

引用 : TOYOTA HP (https://lexus.jp/models/lbx/)
レクサスオーナーズデスクを活用
G-Link契約者はJAF非加入でも安心
レクサスの新車またはCPO(認定中古車)オーナーで、G-Linkサービスに加入していれば、万が一バッテリーが上がった場合でも、JAFに加入していなくても無料で救援が受けられます。
- 連絡先は「レクサスオーナーズデスク」
- 24時間対応で安心
- 基本的にはJAFが派遣されて現場で対応してくれる
オーナーズデスクができることと注意点
レクサスオーナーズデスクを通じて手配されたJAFスタッフは、バッテリー上がり対応に慣れているプロ。
- 安全かつ確実にブースト作業を実施
- 車両を傷つけずに復旧が可能
ただし、緊急対応が混雑している場合には、到着まで1〜2時間かかることも。
- 早朝や深夜は特に時間がかかるケースがある
- 出先や急ぎの用事がある場合は、自己対応の準備も一案
利用のための事前登録・確認事項
オーナーズデスクの利用には、以下の条件を満たしている必要があります:
- G-Linkサービスが有効な状態であること
- 契約情報(車両ナンバー、氏名等)が登録されていること
- 対象のトラブルが「走行不能」に該当すること
これらが満たされていれば、電話一本でサポートが受けられる非常に頼もしいサービスです。レクサス車を所有するうえで、G-Linkの価値はここにもあるといえるでしょう。
- 電話一本でJAFが現場に派遣される
- 専門スタッフによる安全な復旧
自力で復旧する方法
筆者は急ぎだったため、自力で復旧を実施しました。この章では、具体的な復旧手順とその注意点をより詳しく解説します。
必要なアイテムの準備
自力で復旧するには、以下のアイテムをあらかじめ用意しておくことが重要です。
- ジャンプスターター(モバイルタイプ推奨):充電済みのものを車内に常備しておく
- ブースターケーブル:プラス・マイナス端子用
- 絶縁グローブ:感電防止と安全確保のために必須
ボンネットの開け方と注意点
LBXのボンネットはダンパー式ではなく手動で支えるタイプ。
- レバー位置はエンブレム下、手を差し入れて左右にスライド
- スティックを差し込んでボンネットを固定する必要あり
復旧専用端子のアクセス方法
ボンネット内には救援用のプラス端子が専用カバーで保護されています。
- カバーは3箇所の留め具を同時に押し込んで開ける形式で、やや硬め
- マイナス端子は車体金属部に接続(エンジンルーム内のシルバー部分が指定位置)
ジャンプスタートの正しい手順
- プラス端子(赤)を接続
- マイナス端子(黒)を接続
- ジャンプスターターの電源をオン
- 10秒程度待機後、車内でエンジン始動
この時、逆接続を避けることと、赤ボタンの押下タイミングを守ることが成功のカギです。
復旧後に起こる可能性のあるトラブル
- クラクションが作動する可能性:物理キーによる解錠後にスマートキーで解除が必要
- エラー表示や時計リセット:場合によってはディーラーでのリセット対応が必要
- 一部モデルではステアリングやアシスト系統の異常動作も報告あり
それでもJAFが安心な理由
筆者のように自力で復旧することも可能ですが、
- 十分な電力がジャンプスターターにない場合、始動に失敗する可能性もある
- 操作に不安がある場合はプロに任せた方が安全
レクサスオーナーであれば、G-Link経由でJAFを無料手配できるため、基本的にはこちらの利用が安心です。
準備物
- 充電済みのジャンプスターター
- 絶縁グローブ
- ブースターケーブル
手順の流れ
- ボンネットを開けて復旧専用端子にアクセス
- 赤(プラス)端子を接続 → 黒(マイナス)端子を接続
- ジャンプスターターを起動し、車内からエンジン始動
注意点とトラブル事例
バッテリー上がりの復旧作業には、いくつか注意すべき重要なポイントがあります。また、復旧後も予期せぬトラブルに見舞われる可能性があるため、事前にそれらを把握しておくことが重要です。
- クラクション警告音の作動
- システムエラー表示
- 一部のモデルでは、復旧後もディーラー入庫が必要
レクサスLBXのバッテリー上がり|防ぐための日常的な注意点
キーの管理と持ち歩き方
レクサスLBXに搭載されている「接近時オートアンロック」は非常に便利な機能ですが、誤作動や不要な作動が繰り返されることで、知らず知らずのうちにバッテリーへの負荷が蓄積される可能性があります。
特に日常的に車の近くを通る環境にある方は、この機能の使い方を見直すことが重要です。
キーの保管場所を意識する
- 接近オートアンロックを利用する場合、キーは家の中に保管
- 駐車中に車の近くを何度も通らない
ACCカスタマイズの見直し
レクサスLBXでは、エンジンを停止したあとでもナビやオーディオが動作し続ける「ACCカスタマイズ」機能が搭載されています。この機能は一見便利に思えますが、実はバッテリーに対して大きな負担となる場合があります。日常の使い方次第ではバッテリー上がりの大きな要因となるため、設定の見直しが重要です。
出荷時設定をそのままにしない
- 工場出荷時はOFFだが、設定を見直して消費電力を抑える
- 利便性と消費電力のバランスを考慮
定期的なロングドライブの実施
都市部では日常的な走行距離が短くなりがちなため、バッテリーが十分に充電されないまま使用され続けるケースが多く見受けられます。
特に短距離運転を繰り返すと、エンジン始動時に大量の電力を使う一方で、発電量がそれを補えないまま終わってしまうため、バッテリーの劣化が加速します。
週1回は20km以上の走行を
- 短距離移動ばかりだと発電量不足になりやすい
- 週1回程度は20km以上走行を推奨
バッテリー監視ツールの活用
バッテリーの状態を常に把握しておくことは、上がりを未然に防ぐうえで非常に有効です。
最近ではBluetooth接続によりスマートフォンで手軽に確認できるバッテリーチェッカーが多数存在しており、特に複数台持ちや普段あまり乗らない車を所有している方には必須アイテムといえます。
バッテリー状態を“見える化”する
- Bluetooth対応のバッテリーチェッカーを導入
- スマホでバッテリー状態を確認可能
レクサスLBXのバッテリー上がり|車種特有の問題と根本的な対策
小型バッテリーの採用
レクサスLBXでは、車両サイズや設計上の制約から、他のレクサス車に比べて小型のバッテリーが採用されています。
一見すると燃費や軽量化に有利なこの仕様ですが、電装負荷とのバランスを考えた場合、実はバッテリー上がりを引き起こしやすいという大きな弱点を抱えています。
バッテリー容量と電装負荷のアンバランス
- 小型バッテリーでは、ACCカスタマイズやE-LATCHといった先進機能に対応しきれないケースがある
- 長時間の駐車や短距離運転を繰り返すと、電力の供給と消費のバランスが崩れやすい
上位モデルとの差別化による設計上の制限
- RXやNXなどの上位モデルと比較すると、LBXはバッテリー容量が明らかに少ない
- コンパクト化とコスト削減の影響と見られるが、都市部での実用性を考えると再考の余地あり
頻繁なエンジン停止と再始動が与える影響
- ハイブリッド車ではストップ&ゴーによる再始動が頻発し、そのたびにバッテリーへ負荷がかかる
- 特に冷間時や渋滞時は電力消費が多くなり、充電が追いつかない事態に
このように、小型バッテリーの採用はLBXにおける利便性を損なうリスク要因となり得ます。ユーザー側の工夫も求められるため、購入前にはその点を十分理解しておくことが重要です。
- 電装負荷に対しバッテリー容量が不足
- NXやRXより上がりやすい傾向あり
エラー状態の回避・リセット
バッテリー上がり後にエラーが発生する場合は、
- マイナス端子を外して放置 → リセット可能
- ただし自己判断では危険なため、可能ならディーラーに依頼
構造的課題:バッテリー位置のアクセス性
レクサスLBXでは、メインバッテリーが車両のリアシート下に配置されており、他の車種と比較してアクセス性が著しく劣る構造となっています。
これにより、定期的なメンテナンスや監視ツールの取り付け、端子の確認・清掃といった作業が煩雑になり、迅速な対応が難しくなるという問題があります。
- シート下にバッテリーがあるため、アクセス困難
- 監視機器の取り付けや端子作業が非常に面倒
まとめ
レクサスLBXは洗練されたデザインと高い快適性を誇る一方で、特定の条件下ではバッテリーが上がりやすいという構造的な課題を抱えています。筆者自身の経験から、使用環境や設定によってはバッテリーへの負荷が想像以上に大きくなることが判明しました。
以下の点を意識することで、バッテリー上がりのリスクを大きく低減できます。
- 鍵の管理と車両への接近頻度のコントロール
- ACCカスタマイズ設定の見直し
- ロングドライブの習慣化
- 監視ツールの活用による予防的対策
構造的に見れば、将来的にはバッテリーの容量増強やシステム改善が望まれますが、現時点で私たちオーナーができることは、知識と対策をもって日常的に注意を払うことに尽きます。
レクサスLBXの購入を検討している方には、魅力だけでなくこうした課題も理解した上で検討することをおすすめします。