モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、フェラーリが本当に資産になるのか、そのリセールバリューや残価率はどうなっているのか、という点が気になっていると思います。 私も実際に複数のフェラーリを所有し、その価値の変動を肌で感じてきましたので、気になる気持ちはよくわかります。

引用 : フェラーリ公式HP
「車は負債」とよく言われますが、フェラーリに関してはその常識が当てはまらない、むしろ「資産」として語られることが多いのはなぜか。 その真相を、具体的なデータと私自身の経験を交えながら、徹底的に解説していきます。
この記事を読み終える頃には、フェラーリの資産価値に関するあなたの疑問が解決しているはずです。
記事のポイント
- フェラーリが資産と呼ばれる本当の理由
- 人気車種の驚異的なリセールバリューと残価率
- ライバル車と比べた資産価値の優位性
- 価値を最大限に高めるための戦略的な所有方法

フェラーリの資産価値|リセールバリューと残価率の徹底解説
「フェラーリは資産になる」という言葉を一度は耳にしたことがあるかもしれません。 しかし、なぜ数ある自動車メーカーの中で、フェラーリだけがこれほどまでに特別な扱いを受けるのでしょうか。 このセクションでは、フェラーリが持つ驚異的な資産価値の源泉を、リセールバリューと残価率という具体的な指標を基に、多角的に解き明かしていきます。

引用 : フェラーリ公式HP
なぜフェラーリは「資産」と言われるのか?その理由を深掘り
フェラーリが単なる移動手段を超え、資産として認識される背景には、いくつかの複合的な要因が存在します。 それは、創業以来一貫して守られてきたブランド哲学と、巧みなマーケティング戦略の賜物と言えるでしょう。
圧倒的なブランド力と歴史
フェラーリの価値を語る上で、そのブランド力と歴史は切り離せません。 1947年にエンツォ・フェラーリが設立して以来、F1をはじめとするモータースポーツの頂点で輝かしい成績を収め続けてきました。 レースで勝利するために市販車を売る、というエンツォの哲学は今もなお受け継がれており、一台一台の車にレースで培われた技術と情熱が注ぎ込まれています。 この「勝利の血統」こそが、他のスーパーカーブランドと一線を画す絶対的な価値の源泉となっているのです。 人々はフェラーリに対して、単なる速さや豪華さだけでなく、歴史や物語、そして憧れを抱きます。 この無形の価値が、中古車市場においても価格を強く支える要因となっています。
厳格な生産台数管理
フェラーリが資産価値を維持できる大きな理由の一つに、徹底した生産台数の管理が挙げられます。 フェラーリは常に「需要が供給をわずかに上回る」状態を意図的に作り出しています。 これにより、市場に車両が溢れることを防ぎ、希少性を高く保っているのです。 欲しくてもすぐに手に入らない状況が、中古車市場での価格を高騰させ、結果として高いリセールバリューに繋がります。 特に限定モデルに関しては、生産台数が極端に絞られるため、その価値は時として新車価格を大きく上回ることも珍しくありません。 これは、車を「作品」として捉えるフェラーリならではの戦略と言えるでしょう。
時代を超えて愛されるデザイン性
フェラーリのデザインは、いつの時代も人々を魅了し続けてきました。 ピニンファリーナをはじめとする伝説的なカロッツェリアが手掛けた流麗なボディラインは、まさに走る芸術品です。 そのデザインは単に美しいだけでなく、エアロダイナミクスに基づいた機能美を兼ね備えています。 流行り廃りの影響を受けにくい普遍的な美しさを持つため、年式が古くなってもその魅力が色褪せることがありません。 むしろ、クラシックモデルになればなるほど、その時代のデザインの価値が再評価され、価格が上昇する傾向にあります。 このタイムレスなデザイン性も、フェラーリが長期的に資産価値を維持できる重要な要素です。
【車種別】フェラーリの驚異的なリセールバリューと残価率
フェラーリの資産価値を具体的に理解するために、実際のモデルのリセールバリュー(再販価値)と残価率(新車価格に対する残存価値の割合)を見ていきましょう。 一般的な国産車の場合、3年後の残価率は50%~60%程度、5年後には30%~40%まで下落するのが普通です。 しかし、フェラーリの世界ではこの常識は通用しません。
ここでは、近年の主要モデルを例に、その驚異的な数値を表にまとめました。
モデル名 | 新車時価格(目安) | 3年後の買取相場(目安) | 3年後残価率(目安) | 5年後の買取相場(目安) | 5年後残価率(目安) |
---|---|---|---|---|---|
F8 Tributo | 約3,300万円~ | 約3,800万円~ | 約115%~ | 約3,500万円~ | 約106%~ |
488 GTB | 約3,070万円~ | 約2,800万円~ | 約91%~ | 約2,600万円~ | 約85%~ |
812 Superfast | 約4,128万円~ | 約4,000万円~ | 約97%~ | 約3,700万円~ | 約90%~ |
Roma | 約2,750万円~ | 約2,600万円~ | 約95%~ | – | – |
458 Italia | 約2,830万円~ | – | – | 約2,600万円~ (10年後) | 約92%~ (10年後) |
※上記はあくまで市場動向に基づく目安であり、車両の状態やオプション、売却時期によって大きく変動します。
表を見ていただければ一目瞭然ですが、多くのモデルで3年後、5年後も90%近い、あるいはそれを超える残価率を維持しています。 特にF8 Tributoのような生産終了したV8ミッドシップの最終モデルや、458 Italiaのような最後の自然吸気V8エンジン搭載モデルは、希少価値から新車価格を上回るプレミア価格で取引されることもあります。 これはもはや「車」という工業製品の枠を超え、投機的な価値を持つ「資産」と呼ぶにふさわしい現象です。
さらに、F40やF50、エンツォ・フェラーリといったスペチアーレ(限定生産モデル)に至っては、その価値は数十倍に跳ね上がり、オークションで数億円という値がつくことも珍しくありません。 これらのモデルは、もはやリセールバリューという言葉では表現できない、文化遺産的な価値を持っているのです。
リセールバリューが高いフェラーリのモデルランキングTOP5
すべてのフェラーリが高いリセールバリューを誇りますが、その中でも特に資産価値が高いとされるモデルが存在します。 ここでは、私自身の経験と市場の評価を基に、独断と偏見でランキングを作成しました。 これらのモデルは、単に希少なだけでなく、フェラーリの歴史において重要な転換点となった、語るべきストーリーを持つ車たちです。
- F40 (1987-1992) 創業者エンツォ・フェラーリがその生涯の最後に手掛けた「遺作」として、あまりにも有名なモデル。 快適装備を一切排し、速さのみを追求したスパルタンな作りは、まさに公道を走るレーシングカー。 その伝説的な背景と唯一無二の存在感から、今やコレクターズアイテムの筆頭となり、価格は高騰し続けています。 新車価格は約4,500万円でしたが、現在では3億円以上の値がつくこともあります。
- 458 Speciale (2013-2015) フェラーリ最後の自然吸気V8エンジンを搭載したスペシャルモデル。 458 Italiaをベースに、さらなる軽量化とパワーアップを果たし、官能的なエンジンサウンドと鋭いハンドリングを実現しました。 「最後のNA V8」という称号は非常に重く、将来的な価値の上昇が確実視されています。 中古車市場では常に新車価格を上回る価格で取引されています。
- LaFerrari (2013-2016) エンツォ・フェラーリの後継となるスペチアーレであり、フェラーリ初のハイブリッドスーパーカー。 F1で培ったHY-KERSシステムを搭載し、合計963馬力という異次元のパワーを発揮します。 世界限定499台という希少性に加え、フェラーリの新しい時代を象徴するモデルとして、その価値は計り知れません。
- F12tdf (2015-2017) 812 Superfastの前身であるF12berlinettaをベースにした限定モデル。 「tdf」は伝説的な耐久レース「ツール・ド・フランス」に由来し、その名の通りサーキット走行を強く意識したチューニングが施されています。 799台限定という希少性と、V12自然吸気エンジンの最終進化形の一つとして高い人気を誇ります。
- 360 Challenge Stradale (2003-2004) ワンメイクレース車両「360 Challenge」の公道バージョン。 徹底的な軽量化と足回りの強化により、ノーマルの360 Modenaとは別次元の走りを見せます。 近年のネオクラシックフェラーリ人気の火付け役であり、その評価と価格は年々上昇しています。
フェラーリの残価率を左右する重要な要素とは?
同じ車種であっても、いくつかの要素によって残価率は大きく変動します。 将来的に高い資産価値を維持するためには、購入時にこれらのポイントを意識することが極めて重要です。
人気のボディカラー
フェラーリといえば、やはり王道の「ロッソ・コルサ(Rosso Corsa)」が最も人気が高く、リセールバリューも安定しています。 次いで、白系の「ビアンコ・アヴス(Bianco Avus)」や黒系の「ネロ・デイトナ(Nero Daytona)」、黄色系の「ジャッロ・モデナ(Giallo Modena)」なども定番カラーとして人気があります。 もちろん、個性的なカラーを選ぶ楽しみもありますが、純粋に資産価値を重視するのであれば、これらの定番カラーを選択するのが賢明と言えるでしょう。
走行距離と車両の状態
これはフェラーリに限った話ではありませんが、走行距離は査定額に大きく影響します。 年間走行距離の目安としては、3,000km~5,000km程度に抑えておくのが理想です。 走行距離が極端に少ない、いわゆる「低走行車」は高値がつきやすくなります。 また、内外装の状態も重要です。 飛び石傷や内装の擦れ、ベタつきなどがないか、日頃から丁寧な扱いと保管を心がけることが価値の維持に繋がります。 特に、屋根付きガレージでの保管は塗装の状態を良好に保つために必須条件と言えます。
オプション装備の有無
フェラーリはオプション装備が非常に高価ですが、これがリセールバリューに大きく貢献します。 特に人気の高いオプションは以下の通りです。
- カーボンファイバー製パーツ: 内外装の随所に使用されるカーボンパーツは、見た目のスポーティさを向上させるだけでなく、軽量化にも寄与するため非常に人気があります。
- サスペンションリフター: 車高が低いフェラーリにとって、段差などでフロントバンパー下部を擦るのを防ぐサスペンションリフターは、実用性の高い必須オプションとされています。
- スポーツエキゾーストシステム: より官能的なサウンドを奏でるスポーツエキゾーストも、査定額アップに繋がる人気の装備です。
- LED付カーボンステアリング: F1マシンを彷彿とさせるこのステアリングは、コックピットの雰囲気を一変させるため、装着率が非常に高い人気オプションです。
これらの高額オプションが多数装着されている車両は、中古車市場で非常に魅力的に映り、高価買取が期待できます。
定期的な正規ディーラーでのメンテナンス履歴
フェラーリのような精密機械の塊は、定期的なメンテナンスが不可欠です。 特に重要なのが、正規ディーラーでの点検・整備記録がしっかりと残っているかどうか。 「ディーラー記録簿完備」であることは、その車が適切な管理を受けてきたことの証明となり、次のオーナーに大きな安心感を与えます。 結果として、査定額にもプラスに働きます。 2011年以降の新車には7年間の無料メンテナンスプログラムが付帯しているため、これを確実に実施しておくことが重要です。
フェラーリは本当に儲かるのか?投資対象としての側面
これまでの解説で、フェラーリが驚異的なリセールバリューを持つことはお分かりいただけたと思います。 では、「フェラーリを買えば儲かるのか?」という問いに対しては、どう答えるべきでしょうか。
結論から言えば、「モデルとタイミングを選べば、購入価格を上回る利益を得ることは可能」です。 特に、生産台数の少ない限定モデルや、何らかの「最後」という称号を持つモデル(例:最後の自然吸気エンジン)は、価格が上昇する可能性が非常に高いです。 しかし、これを純粋な投資として捉えるには注意が必要です。
まず、高額な維持費がかかります。 税金、保険、メンテナンス費用などを考慮すると、たとえ売却時に利益が出たとしても、トータルではマイナスになるケースも少なくありません。 また、自動車市場は世界経済の動向に影響を受けやすく、常に価格が上昇し続ける保証はありません。 安易な気持ちで投機対象と考えるのは危険です。
しかし、こう考えることはできないでしょうか。 「最高のドライビングプレジャーを味わいながら、その価値がほとんど目減りしない。 運が良ければ、支払った維持費以上の利益さえ生み出してくれる可能性がある。」 このように考えれば、フェラーリの所有は、他のどんな車にもない、極めて魅力的な「趣味と実益を兼ねた体験」と言えるのではないでしょうか。
フェラーリの資産価値を最大化する知識とライバル比較
フェラーリの資産価値について深く理解したところで、次はより実践的な知識に目を向けていきましょう。 ライバルとなる他のスーパーカーブランドと比較して、フェラーリは本当に優位性があるのか。 そして、その価値を最大限に引き出すためには、どのような購入・売却戦略を取るべきなのか。 さらに、所有する上で避けては通れない維持費の現実や、オーナーだけが享受できる特別な世界についても、私自身の経験を踏まえて詳しく解説します。

引用 : フェラーリ公式HP
【ライバル比較】ランボルギーニやブガッティとのリセールバリュー対決
スーパーカーの世界には、フェラーリ以外にも魅力的なライバルが数多く存在します。 中でも永遠のライバルと称される「ランボルギーニ」や、究極のハイパーカーを生み出す「ブガッティ」、F1の血統を受け継ぐ「マクラーレン」などは、常に比較対象となります。 では、これらのブランドと比べて、フェラーリの資産価値は本当に高いのでしょうか。
以下に、同クラスのモデルにおける一般的な残価率の比較表を作成しました。
ブランド | モデル例 | 3年後残価率(目安) | 特徴 |
---|---|---|---|
フェラーリ | F8 Tributo | 約100%~ | 圧倒的なブランド力と希少性で、残価率は群を抜いて高い。限定モデルはプレミア化しやすい。 |
ランボルギーニ | Huracán EVO | 約80%~90% | フェラーリに次ぐ高い残価率を誇る。派手なデザインで若者からの支持も厚い。 |
マクラーレン | 720S | 約70%~80% | パフォーマンスは非常に高いが、ブランドの歴史が浅く、中古車価格の下落率が比較的大きい傾向。 |
ポルシェ | 911 GT3 | 約100%~ | フェラーリに匹敵する、あるいはそれ以上のリセールを誇る。特にGT系の限定モデルは投機対象となっている。 |
ブガッティ | Chiron | 計測困難 | 生産台数が極端に少なく、市場にほとんど出回らないため一般的な残価率では測れない。コレクターズアイテム。 |
この表からもわかる通り、スーパーカー全体のリセールバリューは一般的な車に比べて非常に高い水準にあります。 その中でも、フェラーリとポルシェのGT系モデルは頭一つ抜けた存在です。 ランボルギーニも健闘していますが、ブランドの歴史やレースでの実績、生産台数のコントロールといった点で、フェラーリに一歩及ばないのが現状です。 マクラーレンは最新のテクノロジーと性能で高い評価を得ていますが、ブランドとしての熟成がこれからの課題であり、それがリセールバリューにも反映されています。 ブガッティは別格であり、もはや自動車というよりは動く美術品といった方が適切でしょう。
総合的に見て、「資産価値」という観点では、依然としてフェラーリがスーパーカー界の王者に君臨していると言って間違いありません。
フェラーリの価値を最大限に高める購入方法と売却のコツ
フェラーリの資産価値を最大限に引き出すためには、出口戦略、つまり売却時のことまで考えて購入することが重要です。
購入は正規ディーラーが有利か?
結論から言うと、特に最新モデルを購入する場合、正規ディーラーでの購入が最も有利です。 正規ディーラーで購入した「ディーラー車」であることは、売却時の信頼性に大きく寄与します。 また、限定モデルの購入権を得るためには、正規ディーラーとの良好な関係が不可欠です。 フェラーリを複数台乗り継いできた優良顧客でなければ、スペチアーレの招待状は届きません。 これはまさに、フェラーリというブランドの世界観に足を踏み入れるためのパスポートなのです。 中古車を購入する場合でも、正規ディーラーが認定する「Ferrari Approved」車両は、1年間の保証が付帯するなど品質面での安心感が大きく、結果的に売却時も有利になります。
売却タイミングの見極め方
売却のタイミングは非常に重要です。 一つの目安は、後継モデルが発表される前です。 新しいモデルが登場すると、旧モデルの相場は一時的に下落する傾向があります。 また、メーカー保証や7年間の無料メンテナンスが切れる前に売却するのも賢い選択です。 保証が残っている車両は、次のオーナーにとって魅力的に映ります。 市場全体の動向にも注意を払い、中古車相場が盛り上がっている時期を狙うのも良いでしょう。
専門店での売却が有利な理由
フェラーリを売却する際は、一般的な中古車買取店ではなく、フェラーリを専門に扱う買取店や販売店に依頼することを強くお勧めします。 専門店は、モデルごとの特徴や人気のオプション、最新の相場動向を熟知しています。 そのため、あなたの愛車の価値を正当に評価してくれる可能性が非常に高いのです。 一般的な買取店では、オプション装備の価値がほとんど査定額に反映されないケースも少なくありません。 複数の専門店に査定を依頼し、最も高い評価をしてくれたところに売却するのが、価値を最大化する鉄則です。
所有してわかったフェラーリの維持費と現実
さて、ここまでフェラーリの華やかな資産価値について語ってきましたが、オーナーとして現実的なコスト、つまり維持費についても触れておかなければなりません。 夢のようなスーパーカーライフにも、相応の対価が必要です。
以下に、私が所有するF8 Tributoを例に、年間の維持費の内訳をまとめてみました。
項目 | 年間費用(目安) | 備考 |
---|---|---|
自動車税 | 66,500円 | 排気量3.5L超4.0L以下 |
任意保険 | 約300,000円~500,000円 | 車両保険付、年齢・等級により変動 |
駐車場代 | 約600,000円 | 都内、セキュリティ完備のガレージ(月5万円と仮定) |
ガソリン代 | 約140,000円 | 年間3,000km走行、燃費5km/L、ハイオク180円/Lで計算 |
メンテナンス費 | 0円~ | 新車から7年間は主要メンテナンス無料。タイヤ交換等は別途。 |
合計(年間) | 約1,106,500円~ |
最低でも年間100万円以上の維持費がかかることがわかります。 特に高額なのが任意保険料です。 車両価格が高いため、車両保険を付帯させると保険料は一気に跳ね上がります。 また、7年間の無料メンテナンスが終了した後のメンテナンス費用は、内容によっては数十万円から百万円を超えることもあります。 例えば、クラッチ交換やブレーキローター交換などは非常に高額です。
資産価値が高いとはいえ、これらの維持費を許容できる経済力がなければ、フェラーリを所有し続けることは困難です。 購入を検討する際は、車両価格だけでなく、ランニングコストまで含めた総額で資金計画を立てることが不可欠です。
フェラーリオーナーの世界|特別な体験とコミュニティ
フェラーリを所有するということは、単に車を手に入れるだけではありません。 それは、特別なコミュニティへの参加証を手にすることと同義です。 フェラーリは、オーナー向けに様々な公式イベントを開催しています。 例えば、新型モデルの発表会や、富士スピードウェイなどのサーキットを貸し切って行われる走行会「Ferrari Racing Days」、全国のオーナーが集うラリーイベントなど、その内容は多岐にわたります。

引用 : フェラーリ公式HP
これらのイベントに参加することで、同じ価値観を持つ仲間と出会い、交流を深めることができます。 そこには、普段の生活では決して得られない出会いや発見があります。 また、自分の愛車でサーキットを全開走行するといった非日常的な体験は、何物にも代えがたい喜びを与えてくれます。
こうした特別な体験やコミュニティの存在が、オーナーのブランドに対する忠誠心(ロイヤリティ)を高め、フェラーリというブランドの価値をさらに強固なものにしています。 そして、この強固なブランド価値こそが、巡り巡って高い資産価値を支える土台となっているのです。 車というモノを超えた「体験」を提供すること。 これもまた、フェラーリが他のブランドと一線を画す所以なのです。
これから価値が上がる?将来有望なフェラーリモデルを予測
最後に、自動車ジャーナリストとしての視点から、これから資産価値の上昇が期待できる、将来有望なモデルをいくつか予測してみたいと思います。 もちろん、これはあくまで私個人の見解であり、その価値を保証するものではありません。 しかし、過去の傾向から、これらのモデルが将来的に評価される可能性は非常に高いと考えています。
- 296 GTB/GTS V6プラグインハイブリッドという、フェラーリの新しい時代を切り開いたモデル。 「ピッコロ・フェラーリ(小さなフェラーリ)」の愛称で呼ばれた往年の名車「ディーノ」を彷彿とさせるV6エンジンと、電動化技術の融合は、今後のフェラーリの方向性を示す重要な一台です。 時代の転換点に位置するモデルとして、将来的にその歴史的価値が評価されるでしょう。
- 812 Competizione 812 Superfastをベースにした限定生産モデル。 自然吸気V12エンジンの最終到達点ともいえるこの車は、もはや説明不要のコレクターズアイテムです。 電動化が進む現代において、このような大排気量自然吸気エンジンは二度と現れないかもしれません。 その希少性は計り知れず、価値は上昇し続けると予測されます。
- Roma 「La Nuova Dolce Vita(新しい甘い生活)」をコンセプトに、これまでのフェラーリとは一線を画すエレガントなデザインで登場したFRクーペ。 その美しさと日常的に使える乗りやすさから、新しい顧客層の獲得に成功しました。 モダンクラシックとしての素質を秘めており、10年後、20年後にそのデザインが再評価される可能性を秘めています。
これらのモデルに共通するのは、フェラーリの歴史における何らかの「節目」に位置するということです。 時代の変化とともに、過去のモデルが持つ意味合いも変わってきます。 長期的な視点でフェラーリと付き合っていくことは、単なるカーライフに留まらない、知的な楽しみを与えてくれるのです。
まとめ
今回は、「フェラーリは資産価値が高い」と言われる真相について、リセールバリューや残価率という具体的なデータを基に、ジャーナリスト兼オーナーという視点から徹底的に解説してきました。
結論として、**「適切なモデルを、適切なタイミングで、適切な方法で所有すれば、フェラーリは資産となり得る」**というのが私の答えです。
その背景には、レースに裏打ちされた圧倒的なブランド力、巧みな生産調整による希少性の維持、そして時代を超えて愛される普遍的なデザインがあります。 一般的な自動車が時間とともに価値を失っていくのとは対照的に、フェラーリは時として価値を維持し、さらには上昇させることさえあるのです。
もちろん、そのためには高額な維持費という現実も受け入れなければなりません。 しかし、それを補って余りあるドライビングの喜びと、オーナーだけが体験できる特別な世界が待っています。
フェラーリの所有は、単なる見栄や贅沢ではありません。 それは、歴史と文化、そして最高のエンジニアリングが詰まった芸術品を、一時的に預かる管理人(カストディアン)になるようなものです。 その価値を理解し、愛情を持って接すれば、きっとフェラーリはあなたの期待に応え、人生を豊かにする最高のパートナーとなってくれるでしょう。 このレビューが、あなたの夢の実現に向けた一助となれば幸いです。