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ランボルギーニ

カウンタックLP400を買ったら後悔すると言われる真相|デメリットを解説

モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。

この記事を読んでいる方は、長年憧れたランボルギーニ カウンタック LP400の購入を検討しつつも、本当に買って後悔しないだろうか、という不安を抱えているのではないでしょうか。 私も実際にLP400を所有し、その強烈な魅力と同時に、厳しい現実も経験してきましたので、その気になる気持ちはよくわかります。

引用 : ランボルギーニHP

この記事を読み終える頃には、カウンタックLP400を購入した後のリアルな日常と、後悔しないために知っておくべき全ての疑問が解決しているはずです。

記事のポイント

  • 衝撃的な維持費と驚愕のパーツ代
  • 日常利用を阻む数々の物理的制約
  • 現代の車とは別次元の運転の難しさ
  • 後悔を避けるための具体的な対策
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カウンタックLP400で後悔する最大の理由|避けては通れない「お金」の問題

カウンタックLP400を手に入れるという夢。 それは多くのカーマニアにとって究極の目標の一つでしょう。 しかし、その夢の実現には、車両価格と同じくらい、あるいはそれ以上にシビアな「お金」の問題が立ちはだかります。 スーパーカー、それも50年近く前のヒストリックなモデルを維持するということは、現代の車と同じ感覚では到底太刀打ちできません。 むしろ、美術品や文化財を個人で所有する、という覚悟に近いものが必要です。

引用 : Lexury Motors Journal イマージ

「購入後に後悔した」という声の大部分は、この維持費用の過酷さに起因します。 ここでは、私が実際に所有して経験した、そして多くのオーナーが直面するであろう、リアルな金銭的事情を徹底的に解説します。 このセクションを読み終え、それでもなお情熱が薄れないのであれば、あなたはカウンタックLP400のオーナーになる資格があると言えるかもしれません。

維持費の内訳:年間300万円は最低ラインと心得る

まず大前提として、カウンタックLP400の年間維持費は、何もトラブルがなくても国産高級セダンの車検費用をはるかに超えます。 コンディションや走行距離によって大きく変動しますが、一つの目安として「年間300万円」は最低限の予算として見ておくべきだと、私は断言します。 もちろん、これは大きな故障がなかった場合の数字です。

税金・保険料という名の固定費

まず、避けて通れないのが税金です。 カウンタックLP400のV12エンジンは排気量3,929cc。 自動車税は4リッター以下の区分になりますが、新規登録から13年以上が経過した重課対象となるため、年間で88,000円です。 自動車重量税は車重が1,065kgなので1.5トン以下の区分ですが、こちらも18年経過の重課対象で、車検ごとに50,400円(年間25,200円)がかかります。 このあたりは、他の旧車と大きくは変わりません。

問題は任意保険です。 特に車両保険は、その希少性と時価額の高さ(現在では2億円を超えることも珍しくありません)から、多くの保険会社が引き受けを拒否します。 運良く加入できたとしても、保険料は年間100万円を超えるケースもザラです。 多くのオーナーは、盗難や火災など、限定的なリスクに対応した保険に加入するか、あるいは車両保険を諦め、その分をセキュリティ対策や保管場所の充実に充当しています。 対人・対物保険だけでも、料率クラスや年齢条件によっては年間10万円以上になることを覚悟しておきましょう。

燃料代と油脂類:走るほどに財布を軽くする

LP400の燃料タンク容量は120リットル。 そして、もちろんハイオク指定です。 気になる燃費ですが、市街地ではリッターあたり2〜3km、高速道路を巡航してようやく5〜6kmといったところです。 満タンにすれば、現在のガソリン価格(仮に180円/L)で21,600円。 300kmも走れば、再び給油の心配をしなければなりません。 ツーリングに出かければ、1日の燃料代だけで数万円が消えていくことも珍しくありません。

また、エンジンオイルもシビアな管理が求められます。 V12エンジンは10リットル以上のエンジンオイルを必要とし、オイルフィルターも特殊です。 オイル交換一回で、工賃を含めれば10万円を超えることもあります。 交換サイクルも現代の車より短く、走行距離が少なくても半年に一度は交換することが推奨されています。

想像を絶する修理費用とパーツ代

カウンタックLP400の維持で最も頭を悩ませ、そして費用がかさむのが、予期せぬ故障と修理です。 50年前のイタリア車ですから、「壊れない個体」は存在しません。 「いつ、どこが壊れるか」というスリルと付き合っていくことになります。

クラッチ交換は100万円コース

カウンタックのクラッチは非常に重く、消耗も早いです。 特に渋滞路など、ストップ&ゴーを繰り返す環境はクラッチに多大な負担をかけます。 そして、このクラッチ交換が非常に高額。 ミッションを降ろす大掛かりな作業となるため、パーツ代と工賃を合わせると100万円から150万円ほどかかります。 走行状況によっては1万kmも持たないケースもあり、LP400を維持する上での大きな関門の一つです。

エンジン・ミッションのオーバーホールは小さな家が建つ

もしエンジンやミッションに深刻なトラブルが発生した場合、その修理費用は青天井です。 エンジンオーバーホールとなれば、500万円から1,000万円以上かかることも覚悟しなければなりません。 これはもはや修理というより、レストアの領域です。 中古の高級車が買えてしまう金額が、一度の修理で吹き飛ぶ可能性があるのです。

パーツは「無い」「高い」が当たり前

LP400は生産台数がわずか150台程度と非常に少なく、専用パーツも多数使われています。 当然ながら、メーカーからの部品供給はとうの昔に終了しています。 そのため、パーツは世界中のネットワークを駆使して探すか、あるいはワンオフで製作することになります。 例えば、フロントのウインカーレンズ一つが数十万円、オリジナルのマフラーは数百万円という価格で取引されることもあります。 小さなパーツ一つが、あなたの月収を軽く超えていく。 それがカウンタックLP400の世界なのです。

タイヤ代:特殊サイズゆえの悩み

カウンタックLP400の美しいスタイリングを足元で支えるタイヤ。 実はこれもまた、オーナーを悩ませる種の一つです。 LP400が純正で装着していたのは、ミシュランXWX、もしくはピレリCinturato CN12です。 サイズはフロントが205/70 VR14、リアが215/70 VR14という、現代ではほとんど見かけない特殊なサイズです。

引用 : Lexury Motors Journal イマージ

幸いなことに、ピレリがクラシックカー向けに復刻版タイヤ(Pirelli Collezione)を製造しているため、入手自体は可能です。 しかし、その価格は決して安くはありません。 4本交換すれば、工賃込みで40万円から50万円は見ておく必要があります。 また、タイヤのコンパウンドも現代のハイグリップタイヤとは異なり、その乗り味も独特です。 年間の走行距離が少なくても、ゴムの劣化を考慮すれば5年程度での交換が望ましいでしょう。 「タイヤ交換で50万円」という出費を、定期的に受け入れる覚悟が求められます。

駐車場問題:どこに停めるのが正解か

カウンタックLP400を所有するということは、その保管場所にも最大限の注意を払う必要があるということです。 「どこにでも停められる」という考えは、即座に捨てるべきです。

車両サイズとセキュリティの壁

まず、そのサイズ。 全長4,140mmは現代の車と比べると短いですが、全幅は1,890mmとかなり広いです。 さらに、シザードアを開けるためには、横に最低でも50cm以上のスペースが必要です。 つまり、一般的な機械式駐車場や、隣の車との間隔が狭い月極駐車場では、乗り降りすらままなりません。 シャッター付きのガレージ、それも十分な広さとセキュリティが確保された場所が必須となります。 都心部でそのようなガレージを借りれば、月々の賃料だけで5万円から10万円以上かかるでしょう。

盗難・いたずら対策は必須

車両の価値を考えれば、セキュリティ対策はいくらやってもやり過ぎることはありません。 ガレージには複数の防犯カメラ、センサーライト、物理的なロックなどを設置し、車両自体にもGPS追跡装置やイモビライザー(後付け)などを装着することが強く推奨されます。 前述の通り、車両保険に加入できない可能性も高いため、自衛策が何よりも重要になるのです。 「ちょっとコンビニへ」と路上に停めるなど、言語道断。 常に人の目に晒されるリスクと、それをどう回避するかを考え続けなければなりません。

専門ショップとの付き合い方:主治医を見つける重要性

カウンタックLP400のような特殊な車を維持する上で、車両そのものと同じくらい重要なのが、信頼できる専門ショップの存在です。 彼らはいわば、あなたの愛車の「主治医」。 この主治医選びに失敗すると、時間もお金も、そしてLP400への情熱さえも失いかねません。

ディーラーでは対応不可

まず知っておくべきは、現代のランボルギーニ正規ディーラーでは、カウンタックのようなヒストリックモデルの整備は基本的に受け付けてもらえない、ということです。 知識もなければ、専用工具やパーツもありません。 頼るべきは、長年カウンタックを専門に扱ってきた、経験豊富なスペシャルショップです。

ショップ選びのポイント

日本には幸い、世界的に見てもレベルの高いカウンタック専門ショップがいくつか存在します。 ショップを選ぶ際は、以下の点をチェックすると良いでしょう。

  • 実績と評判: 長年にわたり、多くのカウンタックを扱ってきた実績があるか。
  • LP400の入庫歴: LP400は他のカウンタックとも異なる点が多いため、LP400の整備経験が豊富か。
  • パーツ供給網: 独自のネットワークで、国内外からパーツを調達できる力があるか。
  • **コミュニケーション:**整備内容や費用について、丁寧に説明してくれるか。オーナーの要望に耳を傾けてくれるか。

良いショップは、単に修理をするだけでなく、予防整備の提案や、あなたのカーライフに合わせたアドバイスもしてくれます。 複数のショップに足を運び、実際にメカニックと話をして、信頼関係を築けるかどうかを見極めることが非常に重要です。 そして、彼らが提示する工賃や整備費用は、決して安くはありません。 しかし、それは唯一無二のLP400を最高のコンディションに保つための「保険」だと考えるべきです。

カウンタックLP400で後悔する「お金以外」のリアルな現実

さて、ここまで主に金銭的な側面に焦点を当ててきましたが、カウンタックLP400との生活で後悔につながる可能性のある要因は、それだけではありません。 むしろ、日常のあらゆるシーンで「普通ではない」ことを受け入れ、それを楽しめるかどうかが、オーナーとしての資質を問われる部分かもしれません。 現代の車がいかに快適で、いかに運転がイージーであるかを、LP400は骨身に染みて教えてくれます。 その「非日常」を楽しめなければ、ガレージの肥やしになってしまうことは間違いないでしょう。

引用 : Lexury Motors Journal イマージ

運転の難しさ:現代の車とは全く違う操縦性

カウンタックLP400の運転は、現代のスポーツカーを運転するのとは全く次元が異なります。 パワーステアリング、ABS、トラクションコントロールといった、今では当たり前の電子デバイスは一切存在しません。 すべてがドライバーの操作に直結しており、非常に繊細かつ大胆な操作が求められます。

拷問器具のようなクラッチとステアリング

LP400のクラッチペダルは、冗談ではなく本当に重いです。 渋滞にはまれば、左足が痙攣しそうになるほどの踏力を要求されます。 これはもう、スポーツではなくトレーニングの領域です。 また、パワーステアリングがないため、特に駐車時などの低速域では、ステアリングを回すのに全体重をかけるような力が必要です。 非力な方では、車庫入れだけで汗だくになるでしょう。 この重い操作系と格闘する覚悟がなければ、運転すること自体が苦痛になってしまいます。

劣悪な視界と「カウンタック・リバース」

LP400のドライビングポジションは非常に低く、前方の視界も決して良いとは言えません。 しかし、それ以上に絶望的なのが後方視界です。 ルームミラーに映るのは、猛々しいV12エンジンのヘッドカバーがほとんど。 真後ろはほぼ見えません。 そのため、バックする際には「カウンタック・リバース」と呼ばれる、特殊な運転方法が必要になります。

これは、シザードアを開け、サイドシルに腰掛けながら、身を乗り出して後方を目視で確認しつつ、アクセル、クラッチ、ステアリングを操作するという曲芸のようなテクニックです。 慣れないうちは非常に難しく、危険も伴います。 この儀式なしでは、安全にバックすることすらできないのです。

乗り心地と快適性:スーパーカーに求めてはいけないもの

カウンタックLP400に、現代のGTカーのような快適性を期待してはいけません。 この車は、快適に移動するための道具ではなく、走ること、そしてそのスタイリングを味わうためのマシンです。

エアコンは「送風機」

一応、LP400にもエアコンは装備されています。 しかし、その効きは「無いよりはマシ」というレベル。 真夏の炎天下では、外気より少しだけ冷たい風が出てくる程度で、車内はサウナ状態になります。 渋滞にはまれば、エンジンからの熱も相まって、熱中症の危険すら感じることでしょう。 夏場のドライブは、早朝か深夜に限られます。

騒音と振動、そして乗降性

V12エンジンが発するサウンドは、ドライバーのすぐ背後から轟き、官能的であると同時に、長時間の運転では疲労の原因にもなります。 ロードノイズや風切り音も盛大に侵入してくるため、車内での会話は困難です。 乗り心地も硬く、路面の凹凸をダイレクトに拾います。

そして、多くの人が憧れるシザードアですが、実は乗降性は最悪です。 開口部は狭く、サイドシルは幅広。 体をかがめ、足を巧みに入れ込まないと乗り込むことすらできません。 女性がスカートで乗り降りするのは至難の業でしょう。 スマートに乗り降りできるようになるまでには、かなりの練習が必要です。

注目度の高さ:良くも悪くも目立つ存在

カウンタックLP400で街に出れば、良くも悪くも、周囲の視線を一身に集めることになります。 子供から大人まで、誰もが振り返り、写真を撮り、指をさすでしょう。

引用 : Lexury Motors Journal イマージ

賞賛と好奇の視線

多くの場合は、「すごい」「かっこいい」といった賞賛の視線です。 サービスエリアや駐車場に停めれば、人だかりができることも珍しくありません。 オーナーとして、それは誇らしい瞬間であり、この車を所有する喜びの一つでもあります。 他のスーパーカーオーナーとの交流が生まれるきっかけにもなるでしょう。

プライバシーの喪失

しかし、その注目度は時として煩わしく感じることもあります。 どこへ行っても常に見られているという感覚は、プライバシーの喪失につながります。 コンビニに寄るだけでも一苦労ですし、不用意に煽られたり、危険な幅寄せをされたりといったトラブルに巻き込まれる可能性もゼロではありません。 常に冷静で、紳士的な運転を心がける精神的な強さが求められます。

故障との闘い:JAFは親友

「イタリアの旧車は壊れる」というのは、残念ながら真実です。 どれだけ完璧に整備された個体であっても、いつ、どこで機嫌を損ねるかは誰にも予測できません。

突然のエンジンストール

信号待ちで、あるいは高速道路の走行中に、何の前触れもなくエンジンがストールする。 そんな経験は、多くのカウンタックオーナーが通過儀礼のように語るエピソードです。 原因は電気系統のトラブルであったり、燃料ポンプの問題であったりと様々ですが、出先で立ち往生するリスクは常に付きまといます。 JAFや、任意保険のロードサービスの電話番号は、携帯電話の短縮ダイヤルに登録しておくべき必須項目です。

トラブルを楽しむ余裕

重要なのは、トラブルが発生した際に、それを楽しめるかどうかです。 「またか」と笑って対応できるくらいの心の余裕がなければ、この車との付き合いは難しいでしょう。 高速道路の路肩で、美しいLP400を眺めながら積載車を待つ時間すらも、特別な体験だと捉えられるか。 それが、真のオーナーになるための最後のテストかもしれません。

まとめ

カウンタックLP400を購入して後悔しないために知っておくべき、金銭面、実用面でのリアルな現実を、私の経験を交えながら解説してきました。 改めて、重要なポイントを整理してみましょう。

  • 経済的覚悟: 年間数百万単位の維持費、いつ訪れるか分からない高額な修理費用を受け入れる覚悟が必要です。
  • 物理的制約: 劣悪な視界、重い操作系、劣悪な快適性など、現代の車では考えられない数々の制約を受け入れなければなりません。
  • 精神的強さ: 周囲からの過剰な注目、予期せぬトラブルにも動じない、冷静かつ寛容な精神力が求められます。
  • 最高のパートナー: あなたのLP400を安心して任せられる、信頼できる専門ショップ(主治医)を見つけることが何よりも重要です。

これだけを読むと、「なんて大変なクルマなんだ」と、購入を躊躇してしまうかもしれません。 しかし、断言します。 これらのデメリットをすべて凌駕するほどの、圧倒的な魅力と感動がカウンタックLP400にはあります。

ウェッジシェイプの極致とも言える、マルチェロ・ガンディーニによる芸術的なスタイリング。 背後から響き渡る、V12エンジンの咆哮。 地面に張り付くような低い視点から見る、非日常的な景色。 これらは、実際に所有し、運転した者だけが味わうことのできる、至高の体験です。

カウンタックLP400は、単なる移動手段ではありません。 それは人生を豊かにするパートナーであり、歴史的な自動車文化を後世に伝えるという責任を伴う、特別な存在です。 この記事で挙げた数々の困難を乗り越える覚悟と、深い愛情を持って接することができるのであれば、カウンタックLP400はあなたにとって、後悔どころか、生涯忘れられない最高の宝物になるはずです。 あなたの夢が実現することを、同じオーナーとして心から願っています。

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