モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、メルセデス・ベンツのSUV「GLB」に魅力を感じつつも、その購入や維持にかかる費用、特にご自身の年収で見合うのかという現実的な点が気になっていることと思います。私も実際にGLB(GLB 200 d 4MATIC)を所有しており、そのデザインや使い勝手の良さを日々実感する一方で、やはり維持には相応のコストがかかることも経験済みです。気になる気持ちはよくわかります。

引用 : メルセデスベンツHP (https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/models/suv/glb/overview.html)
「世帯年収800万円だけど、住宅ローンや子どもの教育費もあるし、GLBは背伸びしすぎだろうか…」 「ベンツは維持費や修理代が高いって聞くけど、実際はどれくらいかかるんだろう?」
そんな疑問や不安を解消するため、今回はオーナーとしての実体験とジャーナリストとしての客観的なデータを基に、ベンツGLBを無理なく購入し、安心して維持していくための具体的な情報を徹底的に解説します。
この記事を読み終える頃には、ベンツGLBを所有するための具体的な費用感と、ご自身のライフプランに合うかの疑問が解決しているはずです。
記事のポイント
- ベンツGLB購入のリアルな年収目安
- 年間維持費の詳細な内訳とシミュレーション
- 突然の故障に備えるための修理費用の実例
- 後悔しないための賢い購入方法とコスト削減術

ベンツGLBの基本情報と魅力
本題に入る前に、まずはベンツGLBがどのような車なのか、その基本情報と人気の理由を簡単におさらいしておきましょう。すでにご存知の方は、次の章へ進んでいただいても構いません。

引用 : メルセデスベンツHP (https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/models/suv/glb/overview.html)
ベンツGLBとはどんな車?特徴をサクッと解説
メルセデス・ベンツGLBは、2020年に日本で発売された比較的新しいモデルのSUVです。同じメルセデスのSUVシリーズには、コンパクトなGLAからフラッグシップのGLSまで幅広いラインナップがありますが、GLBはその中で「ちょうどいいサイズ感」と「高い実用性」を両立しているのが最大の特徴です。
スクエアで力強いデザイン
まず目を引くのが、近年のSUVに多い流線形のデザインとは一線を画す、スクエアで力強いエクステリアです。本格オフローダーであるGクラス(ゲレンデヴァーゲン)を彷彿とさせる武骨なデザインは、都会的なシーンにも、アウトドアレジャーにも見事にマッチします。私自身、このデザインに一目惚れして購入を決めた一人です。
3列シート7人乗りのパッケージング
そして、GLBの最大の武器とも言えるのが、このサイズのSUVでありながら3列目シートを備えた7人乗り仕様を選択できる点です(オプション)。全長4,650mm×全幅1,845mmという日本の道路事情でも扱いやすいボディサイズに7つのシートを収めたパッケージングは、非常に秀逸です。
もちろん、3列目シートは大人が長時間快適に過ごせるほどの広さではありませんが、「たまに両親を乗せたい」「子どもの友達を一緒に送迎したい」といったシーンで絶大な威力を発揮します。使わない時はラゲッジスペースの床下に完全に格納できるため、普段は広大な荷室として利用できる点も高く評価できます。
先進的なインテリアと安全性能
インテリアは、メルセデス・ベンツならではの先進性と質感を両立しています。2枚の大型液晶パネルが繋がったインストゥルメントパネルは視認性が高く、未来的なコクピットを演出。「ハイ、メルセデス」でおなじみの対話型インフォテインメントシステム「MBUX」も搭載されており、運転中に視線をそらすことなく様々な操作が可能です。
もちろん、安全性能も世界最高水準です。衝突被害軽減ブレーキや車線維持支援、アダプティブクルーズコントロールといった機能を含む「インテリジェントドライブ」が、あらゆるシーンでドライバーをサポートしてくれます。
グレード構成と新車価格一覧
現在(2025年8月時点)日本で販売されているGLBの主要なグレードと新車価格は以下の通りです。
グレード名 | エンジン | 駆動方式 | 新車価格(税込) |
---|---|---|---|
GLB 180 | 1.4L ガソリンターボ | FF | 6,380,000円 |
GLB 200 d 4MATIC | 2.0L ディーゼルターボ | 4WD | 6,940,000円 |
Mercedes-AMG GLB 35 4MATIC | 2.0L ガソリンターボ | 4WD | 8,810,000円 |
最もベーシックな「GLB 180」でも600万円を超え、人気のディーゼルモデル「GLB 200 d 4MATIC」は700万円に迫る価格帯です。ここにオプションを追加していくと、乗り出し価格はさらに上昇します。例えば、私が所有するGLB 200 d 4MATICも、パノラミックスライディングルーフやAMGラインパッケージ、メタリック塗装などを追加した結果、乗り出し価格は約780万円になりました。
ガソリンとディーゼル、どちらを選ぶべき?
GLBの購入を検討する上で、多くの方が悩むのがガソリンモデル(GLB 180)とディーゼルモデル(GLB 200 d 4MATIC)の選択でしょう。それぞれの特徴を比較してみます。
項目 | GLB 180 (ガソリン) | GLB 200 d 4MATIC (ディーゼル) |
---|---|---|
エンジン | 1.4L 直4ターボ | 2.0L 直4ターボ |
最高出力 | 136ps | 150ps |
最大トルク | 200Nm | 320Nm |
燃費(WLTC) | 14.1km/L | 15.9km/L |
駆動方式 | FF (前輪駆動) | 4WD (四輪駆動) |
価格差 | – | +560,000円 |
メリット | ・車両価格が安い ・エンジン音が静か | ・トルクフルで力強い走り ・燃費が良い・燃料代(軽油)が安い・4WDによる安定性 |
デメリット | ・ディーゼルに比べると非力 ・燃費で劣る | ・車両価格が高い ・特有のエンジン音・振動がある |
私がディーゼルを選んだ理由
年間走行距離が多い方や、高速道路を頻繁に利用する方、アウトドアレジャーなどで雪道や悪路を走る機会がある方には、間違いなくディーゼルモデルの「GLB 200 d 4MATIC」をおすすめします。太いトルクによる余裕のある加速性能と、燃料代の安さは大きな魅力です。私自身、長距離の取材移動や家族でのキャンプにGLBを使用することが多いため、迷わずディーゼルを選びました。
一方で、主な用途が街乗りで、年間走行距離もそれほど多くないという方であれば、ガソリンモデルの「GLB 180」も十分魅力的な選択肢です。価格が50万円以上安く、エンジンも非常に静かでスムーズなので、都市部での運転には最適と言えるでしょう。
中古車市場の動向と狙い目のモデル
新車価格が予算的に厳しいという方は、中古車に目を向けるのも一つの手です。GLBは2020年デビューと比較的新しいモデルですが、中古車市場にも徐々にタマ数が増えてきています。
2024年後半から2025年にかけては、最初の車検を迎える3年落ちの車両が市場に多く出回ることが予想されます。走行距離が2万〜4万km程度の「GLB 200 d 4MATIC」が、新車価格よりも150万円〜200万円ほど安い価格帯で狙えるようになるでしょう。
中古車を選ぶ際にぜひ活用したいのが、メーカーの「認定中古車制度」です。メルセデス・ベンツの認定中古車は、厳しい基準をクリアした高品質な車両のみが販売されており、最大2年間の走行距離無制限保証が付帯します。価格は一般の中古車店より少し高めですが、購入後の故障リスクを考えると、非常に安心感の高い選択と言えます。
ベンツGLBが無理なく買える年収を徹底検証
それでは、いよいよ本題です。ベンツGLBのような高級輸入車を無理なく購入し、維持していくためには、どれくらいの年収が必要なのでしょうか。

引用 : メルセデスベンツHP (https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/models/suv/glb/overview.html)
一般的な車の購入予算は「年収の半分」は本当?
昔から「車の購入予算は年収の半分までが目安」とよく言われます。これは、車をローンで購入した場合、無理のない返済を続けられるラインとして語られてきたものです。
しかし、この目安はあくまでも一般的なものであり、全ての人に当てはまるわけではありません。なぜなら、家計の状況は人それぞれ大きく異なるからです。
- 住宅ローンや家賃の負担額
- 子どもの人数や教育費
- 個人のライフスタイルや趣味にかかる費用
これらの固定費や変動費によって、車にかけられる予算は大きく変わってきます。年収1,000万円でも家計がカツカツの人もいれば、年収700万円でも余裕のある生活を送っている人もいます。
したがって、「年収の半分」という数字を鵜呑みにするのではなく、ご自身の家計のキャッシュフローを正確に把握し、毎月いくらまでなら車の支払いに充てられるのかを算出することが何よりも重要です。
年収800万円でベンツGLBは背伸びしすぎ?リアルな資金計画
今回のレビュー記事のペルソナである「世帯年収800万円で住宅ローン・養育費あり」というケースで、具体的な資金計画をシミュレーションしてみましょう。
年収800万円の手取り額
まず、年収800万円の場合、所得税や住民税、社会保険料などが引かれた後の手取り額は、おおよそ600万円前後になります(扶養家族の状況などにより変動)。月々に換算すると約50万円です。
ローン返済額の目安
一般的に、無理のないローン返済額は「手取り月収の20%〜25%」と言われています。しかしこれは、住宅ローンなど他のローンがない場合の話です。
すでに住宅ローンの返済がある場合は、それを含めた総返済額が手取り月収の30%〜35%程度に収まるように計画するのが賢明です。これを「総返済負担率」と呼びます。
仮に、手取り50万円のうち、住宅ローンで毎月12万円を返済しているとします。この場合、他のローンに充てられる金額は、
- (50万円 × 35%) – 12万円 = 5.5万円
となり、自動車ローンは月々5.5万円程度までが無理のない範囲ということになります。
月々5.5万円でGLBは買えるのか?
では、月々5.5万円の支払いで、乗り出し価格750万円の「GLB 200 d 4MATIC」を購入できるのでしょうか。
頭金200万円、ローン元金550万円、金利2.5%、60回(5年)払いでシミュレーションすると、月々の返済額は約98,000円。これでは予算を大幅にオーバーしてしまいます。
では、返済期間を延ばしたり、頭金を増やしたりするとどうでしょうか。
頭金 | 返済期間 | 月々の返済額(金利2.5%) |
---|---|---|
200万円 | 84回 (7年) | 約71,000円 |
300万円 | 60回 (5年) | 約81,000円 |
300万円 | 84回 (7年) | 約59,000円 |
このように、頭金を300万円用意し、7年ローンを組むことで、ようやく月々の返済額が目標の5.5万円に近づいてきます。
しかし、忘れてはならないのが維持費の存在です。車の出費はローン返済だけではありません。税金、保険料、ガソリン代、メンテナンス費用などが毎月・毎年かかってきます。GLBの場合、これらの維持費は安く見積もっても月々3〜4万円は見ておく必要があります。
つまり、ローン返済(5.9万円)と維持費(3.5万円)を合わせると、毎月9.4万円がGLB関連の出費となる計算です。手取り50万円のご家庭にとって、これは決して楽な金額ではないでしょう。
無理なく購入するための年収ラインはズバリ1,000万円以上!
上記のシミュレーションから導き出される結論として、新車のベンツGLBを無理なく、かつ安心して購入・維持するためには、世帯年収で1,000万円以上が一つの目安になると私は考えます。
もちろん、これはあくまで一つの目安です。 「車が最大の趣味で、他の出費は極力抑えている」 「親からの資金援助がある」 といったケースであれば、年収800万円でも十分に購入は可能です。
重要なのは、購入後の生活を具体的にイメージし、家計を圧迫しないか、万が一の出費(冠婚葬祭、病気、家電の故障など)に対応できるだけの貯蓄を残せるかを冷静に判断することです。憧れだけで購入に踏み切ってしまい、維持できずに手放すことになっては元も子もありません。
もし年収面で少し不安がある場合は、
- グレードを下げる(GLB 180にする)
- オプションを厳選する
- 頭金を増やすために貯蓄期間を設ける
- 状態の良い認定中古車を狙う
といった選択肢を検討することをおすすめします。
見逃し厳禁!ベンツGLBのリアルな年間維持費
車の購入では車両価格に目が行きがちですが、本当に重要なのは購入後に継続してかかる「維持費」です。ここでは、私が所有する「GLB 200 d 4MATIC」を例に、年間のリアルな維持費を項目別に詳しく解説します。

引用 : メルセデスベンツHP (https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/models/suv/glb/overview.html)
費用項目 | 金額(年間) | 備考 |
---|---|---|
自動車税 | 36,000円 | 排気量1.5L超~2.0L以下 |
自動車重量税 | 0円(1〜3年目) | エコカー減税対象。車検時に2年分納付 |
自賠責保険料 | 9,395円 | 25ヶ月契約の1年あたり換算 |
任意保険料 | 85,000円 | 35歳、ゴールド免許、20等級、車両保険あり |
燃料代 | 100,628円 | 年間1万km走行、燃費15.9km/L、軽油160円/L |
駐車場代 | 240,000円 | 月20,000円で計算(地域により大きく変動) |
メンテナンス費用 | 50,000円 | オイル交換、洗車代など |
合計(駐車場代除く) | 281,023円 | 月あたり 約23,400円 |
合計(駐車場代含む) | 521,023円 | 月あたり 約43,400円 |
※上記はあくまで一例であり、走行距離や運転状況、お住まいの地域によって金額は変動します。
必ずかかる税金(自動車税・重量税)
自動車税は、毎年4月1日時点の車の所有者に課せられる税金です。税額はエンジンの排気量によって決まります。GLBの場合、ガソリン(1,331cc)、ディーゼル(1,949cc)ともに「1.5リットル超~2.0リットル以下」の区分に該当するため、税額は年額36,000円です。
自動車重量税は、その名の通り車の重量に応じて課せられる税金で、通常は新車購入時と車検時にまとめて支払います。GLB 200 d 4MATICはエコカー減税の対象となるため、新車購入時の3年分は免税となります。その後の車検時には、2年分で32,800円が必要になります。
年齢・等級で変わる任意保険料の目安
自賠責保険だけでは万が一の事故の際に補償が不十分なため、任意保険への加入は必須です。保険料は、年齢、免許証の色、ノンフリート等級、車両保険の有無などによって大きく変動します。
参考までに、いくつかのパターンで保険料をシミュレーションしてみましょう。(車両保険あり、年間走行距離1万kmで試算)
年齢 | 免許証 | 等級 | 年間保険料(目安) |
---|---|---|---|
25歳 | ブルー | 8等級 | 約180,000円 |
35歳 | ゴールド | 20等級 | 約85,000円 |
50歳 | ゴールド | 20等級 | 約75,000円 |
やはり、年齢が若く等級が低いと保険料は高額になります。また、GLBは車両価格が高いため、万が一の自損事故や盗難に備えて「車両保険」に加入することを強く推奨します。車両保険を付けると保険料は上がりますが、安心感は何物にも代えがたいものがあります。
車検費用はいくら?ディーラーと専門店の違い
新車購入後、最初の車検は3年後、以降は2年ごとに受ける必要があります。車検費用は、どこに依頼するかで大きく変わってきます。
正規ディーラーの場合
- 費用目安: 18万円~30万円
- メリット:
- メーカーの専門知識を持った整備士による質の高い点検
- 純正部品の使用による安心感
- 整備記録が残り、売却時に有利になる場合がある
- デメリット:
- 費用が最も高額になる
輸入車専門の整備工場の場合
- 費用目安: 12万円~20万円
- メリット:
- ディーラーより費用を抑えられる
- OEM品(純正同等品)などを使用し、安価に修理できる場合がある
- デメリット:
- 工場の技術力に差がある
- 最新モデルへの対応が遅れる場合がある
私の場合は、新車保証が適用される期間は正規ディーラーに依頼し、保証が切れた後は信頼できる輸入車専門の整備工場に依頼するなど、状況に応じて使い分けています。初めての輸入車で不安な方は、多少高くても正規ディーラーに任せるのが最も安心でしょう。
燃料費シミュレーション(年間1万km走行の場合)
日々のランニングコストとして最も気になるのが燃料費です。年間1万km走行した場合の燃料費を、ガソリンモデルとディーゼルモデルで比較してみましょう。
- GLB 180 (ガソリン)
- 燃費: 14.1km/L (WLTCモード)
- 使用燃料: ハイオクガソリン (180円/Lと仮定)
- 年間燃料消費量: 10,000km ÷ 14.1km/L ≒ 709L
- 年間燃料代: 709L × 180円/L = 127,620円
- GLB 200 d 4MATIC (ディーゼル)
- 燃費: 15.9km/L (WLTCモード)
- 使用燃料: 軽油 (160円/Lと仮定)
- 年間燃料消費量: 10,000km ÷ 15.9km/L ≒ 629L
- 年間燃料代: 629L × 160円/L = 100,640円
シミュレーションの結果、年間で約27,000円の差が出ました。車両価格の差(56万円)を燃料代だけで元を取るのは難しいかもしれませんが、走行距離が年間2万kmを超えるような方であれば、ディーゼルモデルの経済的なメリットはさらに大きくなります。
「ベンツは壊れやすい」は過去の話?故障と修理費用の実態
「輸入車、特にベンツは壊れやすくて修理代が高い」というイメージをお持ちの方は少なくないでしょう。実際のところはどうなのでしょうか。

引用 : メルセデスベンツHP (https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/models/suv/glb/overview.html)
近年のベンツの品質と故障率の真実
結論から言うと、「最近のベンツが国産車に比べて著しく壊れやすい」ということはありません。かつては電装系のトラブルなどが散見された時期もありましたが、近年のモデルは品質が飛躍的に向上しており、信頼性は国産高級車と遜色ないレベルに達しています。
ただし、国産車と比べて部品点数が多く、構造が複雑な部分があるのは事実です。そのため、全く故障しないわけではありませんし、ひとたび故障が発生した場合の修理費用は、部品代や工賃が国産車よりも高額になる傾向があります。
重要なのは、「壊れやすい」と過度に恐れるのではなく、「万が一の故障時には、国産車よりお金がかかる可能性がある」ということを正しく認識し、それに備えておくことです。
よくある故障箇所と修理費用の目安
GLBに限らず、近年のメルセデス・ベンツで報告されることがある故障事例と、その修理費用の目安をいくつかご紹介します。これらは必ず発生するものではありませんが、知識として知っておくと良いでしょう。
故障箇所 | 症状 | 修理費用(目安) |
---|---|---|
各種センサー類 | 警告灯の点灯、アイドリング不調など | 3万円~8万円 |
ウォーターポンプ | 水温計の上昇、冷却水漏れ | 8万円~15万円 |
エアコンコンプレッサー | 冷房が効かない、異音 | 15万円~25万円 |
トランスミッション | 変速ショック、走行不能 | 30万円~(高額になる場合も) |
MBUXシステム | 画面フリーズ、操作不能 | 5万円~20万円 |
見ての通り、修理箇所によっては数十万円単位の出費となる可能性があります。こうした突然の出費に対応するためにも、日頃からある程度の貯蓄をしておくことが精神的な安心に繋がります。
高額な修理費を回避する「保証」の重要性
こうした高額な修理リスクを回避するために、絶対に活用すべきなのがメーカーの保証制度です。
新車保証「メルセデス・ケア」
メルセデス・ベンツの新車には、3年間・走行距離無制限の一般保証とメンテナンス保証がパッケージになった「メルセデス・ケア」が無料で付帯します。この期間内であれば、消耗品や定期交換部品の交換、点検・整備、そして万が一の故障修理も原則無料(一部消耗品を除く)で受けることができます。
つまり、新車購入から最初の3年間は、維持費を大幅に抑えることができるのです。これは非常に大きなメリットと言えるでしょう。
延長保証プログラム「保証プラス」
「メルセデス・ケア」が終了する4年目、5年目以降も保証を延長したい場合は、有料の「保証プラス」に加入することができます。加入料はかかりますが(GLBの場合、2年間で約17万円)、保証期間中に高額な修理が発生した場合のリスクを考えれば、十分に価値のある投資だと私は考えます。特に、エアコンやトランスミッションといった高額部品の故障は、保証期間が終了した4〜5年目あたりから発生する可能性が高まるため、加入を強く推奨します。
これらの保証制度を賢く利用することが、輸入車と安心して付き合っていくための最大の秘訣です。
ベンツGLB購入で後悔しないための最終チェック
最後に、GLBの購入を決める前に、オーナーとして「ここは知っておいた方が良い」と感じる点をいくつかお伝えします。

引用 : メルセデスベンツHP (https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/models/suv/glb/overview.html)
3列目シートの実用性は?ファミリーカーとしての評価
GLBの大きな魅力である3列目シートですが、その実用性については正しく理解しておく必要があります。メーカーも公表している通り、3列目シートの推奨身長は168cmまでとされており、大人が長時間乗車するには正直言って窮屈です。足元スペースも限られているため、あくまでも「短距離用のエマージェンシーシート」と割り切るのが良いでしょう。
しかし、小学生くらいまでのお子さんであれば、問題なく座ることができます。普段は夫婦と子ども2人の4人家族で使い、週末に祖父母を乗せたり、子どもの友達を乗せたりする、といった使い方には最適です。
ラゲッジスペースは、3列目シート使用時でも130Lの容量が確保されており、日常の買い物程度なら対応できます。3列目を格納すれば500L、2列目も倒せば最大で1,680Lという広大なスペースが出現し、キャンプ道具やゴルフバッグなども余裕で積み込めます。ファミリーカーとしての実用性は非常に高い一台です。
リセールバリューは期待できる?
リセールバリュー(再販価値)は、将来車を乗り換える際の総コストに大きく影響する重要な要素です。一般的に、輸入車は国産車に比べて値落ちが大きい傾向にありますが、その中でもメルセデス・ベンツ、特に人気のSUVモデルは比較的高いリセールバリューを維持しています。
GLBも、その人気の高さと中古車市場でのタマ数の少なさから、当面は安定したリセールが期待できるでしょう。特に、
- 人気のボディカラー(ポーラーホワイト、コスモスブラック)
- 人気のオプション(AMGラインパッケージ、パノラミックスライディングルーフ)
- ディーゼルモデル「200 d 4MATIC」
これらの条件を満たす車両は、査定額が高くなる傾向にあります。購入時に少し高くても、人気の仕様を選んでおくことが、将来的な売却時に有利に働く可能性があります。
オーナーが語るGLBのメリット・デメリット
最後に、私がオーナーとして約2年間、3万kmを走行して感じたGLBのリアルなメリットとデメリットをまとめます。
メリット
- 唯一無二のデザイン: Gクラス譲りのスクエアなデザインは所有満足度が非常に高い。
- 絶妙なサイズ感: 取り回しが良く、日本の道路環境にジャストフィット。
- いざという時の7人乗り: 普段は不要でも、あるとないとでは大違い。精神的な余裕が生まれる。
- ディーゼルエンジンの力強さと経済性: 長距離移動が本当に楽で、燃費も良いためお財布に優しい。
- 高い静粛性と乗り心地: ディーゼルとは思えないほど静かで、乗り心地も上質。家族からの評判も良い。
デメリット
- 硬めの乗り心地(AMGライン): AMGラインパッケージを装着すると、タイヤが19インチになり、乗り心地がやや硬めに感じられることがある。気になる方は、標準仕様の18インチも試乗してみることをおすすめします。
- 2列目シートのスライド幅: 3列目へのアクセス性を確保するためか、2列目シートのスライド幅がもう少し広ければと感じることがある。
- ナビの操作性: MBUXは非常に高機能だが、タッチパッドの操作には少し慣れが必要。
- やはり気になる維持費: 国産SUVと比較すると、車検やメンテナンス、万が一の修理費用はやはり高め。
これらの点を総合的に判断し、ご自身のライフスタイルや価値観に合っているかをじっくりと見極めることが、後悔しない車選びに繋がります。
まとめ
今回は、ベンツGLBの購入に必要な年収から、リアルな維持費、そして故障のリスクまで、オーナーとしての視点を交えながら徹底的に解説しました。
- 購入の年収目安: 安心して購入・維持するなら世帯年収1,000万円以上が望ましい。ただし、家計状況や車の優先順位次第で、それ以下の年収でも購入は可能。
- 年間維持費: 駐車場代を除いても年間約30万円。これに車検費用や消耗品交換費用が別途加わる。
- 故障と修理: 近年のモデルは壊れにくいが、修理費用は高額になる可能性あり。「メルセデス・ケア」や「保証プラス」の活用が必須。
メルセデス・ベンツGLBは、デザイン、実用性、走行性能、安全性の全てを高次元でバランスさせた、非常に魅力的なSUVです。所有することで得られる満足感や生活の質の向上は、何物にも代えがたいものがあります。
しかし、その魅力を最大限に享受するためには、やはり経済的な裏付けが不可欠です。この記事で示した具体的な数字を参考に、ご自身の家計とライフプランをしっかりと見つめ直し、無理のない資金計画を立ててみてください。
時には、認定中古車を選んだり、購入時期を少し先に延ばして頭金を貯めたりすることも賢明な判断です。ぜひ、あなたにとってベストな形で、素晴らしいGLBライフを手に入れてください。