モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。今回も多く寄せられている質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、メルセデス・ベンツのスタイリッシュなコンパクトSUV「GLA」に魅力を感じつつも、その購入や維持にかかる費用、特にご自身の年収で見合うのかという点が気になっていることでしょう。
私も実際にGLAを所有し、その走りや使い勝手の良さを日々体感している一人として、そのお気持ちは痛いほどよくわかります。憧れの車だからこそ、購入後に「こんなはずじゃなかった」と後悔はしたくないものです。
引用 : メルセデスベンツHP (https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/models/suv/gla/overview.html)
ご安心ください。このレビューでは、ジャーナリストとしての客観的な視点と、一人のオーナーとしてのリアルな実体験を交えながら、GLAにまつわるお金の話を徹底的に掘り下げていきます。
この記事を読み終える頃には、ベンツGLAをあなたのライフスタイルに無理なく取り入れられるかどうか、その疑問が解決しているはずです。
記事のポイント
- GLA購入のリアルな年収目安
- 税金から保険まで年間維持費の全貌
- реаlな故障事例と気になる修理費用
- 後悔しないための賢い購入術とコスト削減法

ベンツGLAの購入と年収のリアルな関係
憧れのメルセデスを手に入れる―。その第一歩として、まずは車両価格とご自身の年収とのバランスを現実的に見極めることが重要です。ここでは、GLAがどのような車なのかを再確認しつつ、価格、必要な年収、そして賢い購入方法について深掘りしていきます。
引用 : メルセデスベンツHP (https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/models/suv/gla/overview.html)
ベンツGLAはどんな車? オーナーが語る魅力と特徴
私が数ある車の中からGLAを選び、所有し続けているのには明確な理由があります。メルセデス・ベンツGLAは、ひと言で言えば「都市をアクティブに楽しむためのジャストサイズな相棒」です。
メルセデスのSUVラインナップである「GL」シリーズの中で最もコンパクトなモデルでありながら、その存在感は決して小さくありません。SUVらしい力強さと、クーペのような流麗なフォルムを融合させたデザインは、都会の街並みにも自然に溶け込みます。
実際に運転してみると、その取り回しの良さに驚かされるでしょう。全長約4.4mというサイズ感は、日本の狭い道や駐車スペースでもストレスを感じさせません。それでいて、室内空間は大人4人が快適に過ごせる広さを確保しており、後部座席を倒せば大きな荷物も楽に積める実用性も兼ね備えています。
走りについては、さすがメルセデスと唸らせるものがあります。コンパクトながらも剛性の高いボディとしなやかな足回りが、安定感のある快適な乗り心地を提供してくれます。私が所有するディーゼルモデル「GLA 200 d 4MATIC」は、力強いトルクで高速道路の合流もスムーズですし、静粛性も非常に高い。長距離ドライブでも疲れ知らずです。
そして何より、メルセデスならではの先進安全装備「インテリジェントドライブ」がもたらす安心感は絶大です。先行車追従機能や車線維持アシストは、運転の負担を大幅に軽減してくれます。
「ベンツ」と聞くと少し敷居が高いイメージがあるかもしれませんが、GLAは良い意味でそのイメージを裏切ってくれる、非常にフレンドリーで実用的な一台。普段使いから週末のレジャーまで、あらゆるシーンで満足感を与えてくれる、それがGLAの最大の魅力だと私は感じています。
ベンツGLAのグレード別新車価格
現在、日本で正規販売されている現行モデル(2代目・H247型)の主なグレードと新車価格は以下の通りです。
グレード | 駆動方式 | エンジン | 新車価格(税込) |
---|---|---|---|
GLA 180 | FF | 1.4L ガソリンターボ | 5,990,000円 |
GLA 200 d 4MATIC | 4WD | 2.0L ディーゼルターボ | 6,360,000円 |
Mercedes-AMG GLA 35 4MATIC | 4WD | 2.0L ガソリンターボ | 8,810,000円 |
Mercedes-AMG GLA 45 S 4MATIC+ | 4WD | 2.0L ガソリンターボ | 10,950,000円 |
※2025年8月現在の価格です。オプションや諸費用は含まれていません。
多くの方が検討されるのは、「GLA 180」か「GLA 200 d 4MATIC」でしょう。ここにナビゲーションパッケージやAMGラインパッケージなどの人気オプションを追加すると、乗り出し価格は650万円~750万円程度になるのが一般的です。
ベンツGLA購入の年収目安は1,000万円以上が理想か?
さて、本題です。このGLAを無理なく購入できる年収はいくらなのでしょうか。
よく言われる目安として「車両価格は年収の半分まで」というものがあります。これをGLAの乗り出し価格700万円に当てはめると、年収は1,400万円必要ということになります。しかし、これはあくまで一般的な指標であり、絶対的なものではありません。家族構成や住居費、ライフスタイルによって自由に使えるお金は大きく異なるからです。
私の見解としては、メルセデス・ベンツGLAを新車で、かつ安心して所有するための年収目安は1,000万円以上が一つのラインだと考えています。しかし、年収800万円でも、計画的な資金計画とライフスタイルの見直しをすれば、決して不可能な目標ではありません。
重要なのは、年収の額面だけでなく「可処分所得」と「年間維持費」をしっかりと把握することです。
なぜ年収1,000万円が一つの目安なのか
年収1,000万円の場合、手取り年収はおおよそ720万円~780万円ほどになります。月々に換算すると約60万円~65万円です。 ここから住居費や教育費、生活費などを差し引いて、車にいくら使えるかを考えます。 例えば、5年ローン(金利2.5%)で700万円のGLAを購入した場合、月々の返済額は約12.5万円。ボーナス払いを併用すれば月々の負担はさらに軽減できます。 月収60万円の中から12.5万円を捻出し、さらに後述する月々の維持費(約4~5万円)を支払っても、生活に一定の余裕を保ちやすいのがこの年収ラインです。
年収800万円でベンツGLAを所有する際の家計シミュレーション
では、ご相談者様のように世帯年収800万円の場合はどうでしょうか。 年収800万円の手取り年収は約600万円~650万円、月収に換算すると約50万円~54万円です。 すでにマンションのローンやお子様の養育費があるとのことですので、そこから車の費用を捻出するのは、決して楽な道のりではありません。
【シミュレーション:世帯年収800万円のAさんの場合】
- 手取り月収: 52万円
- 住居費(ローンなど): 12万円
- 教育費・養育費: 8万円
- 生活費(食費・光熱費・通信費など): 15万円
- 残額: 17万円
ここから車の費用を支払うことになります。 先ほどと同様に、700万円のGLAを5年ローンで購入すると月々約12.5万円。これに維持費約4.5万円を加えると、合計で月々約17万円が車関連で消えていく計算です。
シミュレーション上は残額の17万円でギリギリ支払える計算になりますが、これでは貯蓄や予期せぬ出費(冠婚葬祭、医療費など)に全く対応できません。まさに「車のために働く」状態に陥ってしまう可能性があります。
したがって、年収800万円で新車のGLAを目指すのであれば、
- 頭金を多めに用意し、月々のローン返済額を抑える(例:頭金300万円→月々約7.1万円)
- 他の固定費(通信費、保険など)を見直し、車に使える予算を増やす
- 中古車を視野に入れる といった工夫が不可欠になります。
ローン審査の観点から見るベンツGLAと年収
ローンを組む際には、金融機関による審査があります。審査で重視されるのは「返済負担率(年収に占める年間ローン返済額の割合)」です。一般的に、この比率は25%~35%が上限とされています。
年収800万円の場合、年間返済額の上限は200万円~280万円となります。 700万円を5年ローンで組むと年間返済額は約150万円(12.5万円×12ヶ月)となり、返済負担率は18.75%。この数字だけを見れば、他の借り入れがなければ審査に通る可能性は十分にあります。
ただし、これはあくまで机上の計算です。金融機関は他のローンの状況や勤続年数、信用情報などを総合的に判断します。特に住宅ローンを組んでいる場合は、その返済額も合算して返済負担率が計算されるため、注意が必要です。
中古車という選択肢|年収のハードルを下げる賢い方法
もし新車にこだわらないのであれば、中古車は非常に賢明な選択肢です。特にメルセデス・ベンツが展開する「サーティファイドカー(認定中古車)」は、品質と保証の面でおすすめできます。
認定中古車のメリット
- 厳しい基準をクリアした高品質な車両: 走行距離や年式、修復歴などの厳しい基準が設けられています。
- 充実した保証: 新車同様の保証が1年または2年付帯し、有償で延長も可能です。
- 価格的な魅力: 新車に比べて100万円~200万円以上安く購入できるケースも珍しくありません。
例えば、走行距離1万km~2万km程度の2~3年落ちのGLAであれば、400万円台後半から探すことも可能です。車両価格が500万円になれば、年収800万円の方でもローン計画にかなり余裕が生まれます。
ただし、中古車は一点物です。希望のカラーや装備の個体に出会えるかはタイミング次第。こまめにディーラーのウェブサイトなどをチェックすることをおすすめします。
ベンツGLAのライバル車種との価格比較
GLAを検討する上で、競合となる輸入車コンパクトSUVの存在も無視できません。代表的なライバルとの価格帯を比較してみましょう。
車種 | メーカー | 新車価格帯(約) | 特徴 |
---|---|---|---|
GLA | メルセデス・ベンツ | 599万円~ | スタイリッシュなデザインと先進性 |
X1 | BMW | 586万円~ | スポーティーな走りと実用性 |
Q3 | アウディ | 525万円~ | 洗練された内外装とクワトロの安定感 |
XC40 | ボルボ | 529万円~ | 北欧デザインと世界トップクラスの安全性 |
これらのモデルはそれぞれに魅力があり、価格帯も近いため、悩まれる方も多いでしょう。デザインの好み、走りのフィーリング、安全装備への考え方など、ご自身が車に何を求めるかを明確にした上で試乗し、比較検討することが後悔しないための鍵となります。ジャーナリストとしての私の視点では、内外装の質感の高さと先進安全装備の充実度において、GLAは一歩リードしている印象です。
リセールバリューから考えるベンツGLAの価値
車を所有する上で、将来手放す際の価値、つまり「リセールバリュー」も重要な要素です。高価な買い物だからこそ、出口戦略まで考えておきたいところです。
一般的にメルセデス・ベンツのリセールバリューは輸入車の中では安定していると言われています。特にGLAのような人気のSUVモデルは、市場での需要が高く、値崩れしにくい傾向にあります。
リセールバリューを高める要素としては、
- 人気カラー: ホワイト系、ブラック系
- 人気オプション: AMGラインパッケージ、パノラミックスライディングルーフ
- 走行距離: 年間1万km以下が目安
- 車両の状態: 禁煙車、内外装の綺麗さ、定期的なメンテナンス履歴 などが挙げられます。
購入時に数年後の売却価格をある程度想定しておくことで、実質的な負担額を把握することができます。例えば、700万円で購入したGLAが5年後に350万円で売却できれば、実質的な負担は350万円+維持費となります。この視点を持つことで、購入のハードルを少し下げることができるかもしれません。
ベンツGLAの維持費を徹底解剖!年間いくらかかる?
車両本体の支払いに目処が立っても、それで終わりではありません。輸入車、特にメルセデス・ベンツを所有するということは、相応の維持費と向き合うことを意味します。ここでは、GLAを所有した場合にかかる年間の具体的なコストを、項目別に詳しく見ていきましょう。

引用 : メルセデスベンツHP (https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/models/suv/gla/overview.html)
ベンツGLAの税金(自動車税・重量税)
車を所有する上で避けて通れないのが税金です。毎年課税される「自動車税」と、車検時に支払う「自動車重量税」があります。
自動車税(種別割)
自動車税は、毎年4月1日時点の所有者に課税され、排気量によって税額が決まります。
- GLA 180 (1,331cc): 30,500円
- GLA 200 d (1,949cc): 36,000円
自動車重量税
自動車重量税は、車両の重さに応じて課税され、新車購入時と車検時に支払います。GLAの車両重量は1.5t~2.0tの区分に該当します。
- 新車購入時(3年分): 49,200円
- 車検時(2年分): 32,800円
なお、ディーゼルモデルのGLA 200 d 4MATICはエコカー減税の対象となる場合があり、購入時の重量税が免税になるなどの優遇措置を受けられる可能性があります。購入時期によって制度が異なるため、詳しくはディーラーにご確認ください。
ベンツGLAの任意保険料の相場
任意保険は、自賠責保険だけではカバーしきれない損害に備えるための重要なコストです。保険料は年齢、等級、補償内容、そして「車両保険」の有無によって大きく変動します。
メルセデス・ベンツのような高価格帯の車は、修理費用も高額になりがちなため、万が一に備えて車両保険への加入は必須と考えるべきです。
【任意保険料シミュレーション】
- 年齢・等級: 35歳・15等級
- 年間走行距離: 10,000km
- 使用目的: 日常・レジャー
- 車両保険: あり(一般条件)
- 補償内容: 対人・対物無制限、人身傷害5,000万円
この条件で見積もりを取ると、年間でおおよそ10万円~15万円程度が相場となります。等級が低い場合や年齢が若い場合は、さらに高額になる可能性があります。保険料を抑えるためには、複数の保険会社から見積もりを取る「相見積もり」が非常に有効です。
ベンツGLAの車検費用|ディーラーと専門店の違い
新車購入後、最初の車検は3年後、以降は2年ごとに受ける必要があります。車検費用は大きく分けて「法定費用」「車検基本料」「整備費用」の3つで構成されます。
- 法定費用: 重量税、自賠責保険料、印紙代。どこで受けても同額です。(約4万円~)
- 車検基本料・整備費用: 依頼する工場によって大きく異なります。
ディーラー車検 vs 専門工場車検
車検をどこに依頼するかで、総額は大きく変わってきます。
正規ディーラー | ベンツ専門工場・一般工場 | |
---|---|---|
メリット | ・専門知識と専用診断機による高い信頼性<br>・純正部品使用による安心感<br>・整備記録が残り、リセール時に有利 | ・費用を安く抑えられる<br>・リビルト品や社外品など部品選択の自由度が高い |
デメリット | ・費用が高額になりがち<br>・予防整備で部品交換が多くなる傾向 | ・工場によって技術力に差がある<br>・専用診断機がない場合がある |
費用相場 | 15万円~30万円以上 | 10万円~20万円程度 |
私自身は、新車保証が残っている間は安心感を優先してディーラーに任せ、保証が切れた後は信頼できる専門工場に依頼するなど、状況に応じて使い分けています。初めての輸入車で不安な方は、多少高くてもディーラーに依頼するのが無難でしょう。
ベンツGLAのメンテナンス費用(オイル交換など)
車のコンディションを良好に保つためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。特に重要なのがエンジンオイルの交換です。
- エンジンオイル交換:
- 交換時期の目安: 1年または15,000km
- 費用の目安(ディーラー): 約20,000円~30,000円(オイル、フィルター交換含む)
その他、ブレーキフルード(2年ごと)、ワイパーブレード(1~2年ごと)、エアコンフィルター(1年ごと)などの定期交換が必要になります。
メルセデス・ケアの活用
新車で購入した場合、3年間は「メルセデス・ケア」という保証プログラムが付帯します。これは、定期メンテナンスや一般保証、24時間ツーリングサポートなどが無償で受けられる非常に手厚いサービスです。つまり、最初の3年間は、税金や保険料、燃料代以外の突発的なメンテナンス費用や修理費用は基本的に発生しません。 これは購入計画を立てる上で非常に大きなメリットと言えるでしょう。
ベンツGLAの燃料代(燃費とガソリン代)
日々のランニングコストとして最も身近なのが燃料代です。GLAはガソリンモデルとディーゼルモデルで燃費と使用燃料が異なります。
グレード | 燃費(WLTCモード) | 使用燃料 |
---|---|---|
GLA 180 | 14.3 km/L | ハイオクガソリン |
GLA 200 d 4MATIC | 16.5 km/L | 軽油 |
年間10,000km走行した場合の燃料代をシミュレーションしてみましょう。(ハイオク:185円/L, 軽油:155円/Lで計算)
- GLA 180 (ガソリン):
- 10,000km ÷ 14.3km/L ≒ 699L
- 699L × 185円/L = 約129,000円
- GLA 200 d (ディーゼル):
- 10,000km ÷ 16.5km/L ≒ 606L
- 606L × 155円/L = 約94,000円
カタログ燃費の差以上に、燃料単価の違いが大きく影響し、年間で約35,000円もの差が生まれます。長距離を走る機会が多い方や、ランニングコストを少しでも抑えたい方には、ディーゼルモデルの「GLA 200 d 4MATIC」がおすすめです。
ベンツGLAの消耗品(タイヤなど)の費用
走行距離に応じて交換が必要になるのがタイヤやブレーキパッドなどの消耗品です。
- タイヤ交換:
- GLAはグレードによって18インチ~20インチのタイヤを装着しています。
- 交換費用はタイヤのブランドにもよりますが、4本セットで12万円~25万円程度が目安です。寿命は走行状況によりますが、3~5年(30,000km~50,000km)が一般的です。
- ブレーキパッド・ローター交換:
- 欧州車はブレーキダストが多く出る代わりに、ブレーキの効きが良いという特徴があります。これは、パッドとローターを同時に削ることで高い制動力を得ているためです。
- そのため、国産車に比べて交換サイクルは短く、30,000km~50,000kmでの交換が推奨されます。
- 費用は前後輪の交換で10万円~20万円程度かかる場合があります。
これらの費用は毎月発生するものではありませんが、数年に一度の大きな出費として予め備えておく必要があります。
ベンツGLAの年間維持費トータルシミュレーション
ここまで解説してきた項目を合計し、GLAを所有した場合の年間の維持費をまとめてみましょう。(新車購入後4年目以降、メルセデス・ケア終了後を想定)
費目 | GLA 180(ガソリン) | GLA 200 d(ディーゼル) | 備考 |
---|---|---|---|
自動車税 | 30,500円 | 36,000円 | 毎年 |
任意保険料 | 120,000円 | 120,000円 | 年齢・等級により変動 |
車検費用 | 75,000円 | 75,000円 | 15万円を2年で割り返し |
燃料代 | 129,000円 | 94,000円 | 年間1万km走行時 |
メンテナンス費用 | 30,000円 | 30,000円 | オイル交換、その他 |
駐車場代 | 240,000円 | 240,000円 | 月2万円で計算(地域により変動) |
合計(年間) | 約624,500円 | 約595,000円 | |
合計(月々) | 約52,000円 | 約49,600円 |
※タイヤ交換などの消耗品費、高速道路料金は含みません。
このシミュレーションから、GLAを維持するためには、駐車場代込みで月々約5万円程度の費用がかかることがわかります。ここに車両のローン返済額が上乗せされるわけです。ご自身の家計状況と照らし合わせて、この金額が許容範囲内かどうかを冷静に判断することが重要です。
ベンツGLAの故障と修理費用|「壊れやすい」は本当か?
「外車は壊れやすい」「ベンツの修理代は高い」という話を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。購入後の予期せぬ出費は、最も避けたいシナリオの一つです。ここでは、その噂の真相と、リアルな故障事例、そして万が一の備えについて、私の経験も交えながら解説します。

引用 : メルセデスベンツHP (https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/models/suv/gla/overview.html)
「ベンツは壊れやすい」という噂の真相
結論から言うと、**「現代のベンツが、国産車に比べて著しく壊れやすいということはない」**というのが私の見解です。
かつては日本の高温多湿な気候に合わない部品が使われていたり、電装系のトラブルが多かったりした時代もありました。しかし、近年のモデルは品質管理が徹底されており、耐久性は飛躍的に向上しています。
ではなぜ「壊れやすい・修理代が高い」というイメージが根強いのか。それにはいくつかの理由が考えられます。
- 部品代・工賃の高さ: 輸入車は部品を本国から取り寄せるため、輸送コストなどが上乗せされ、国産車に比べて部品代が高額になります。また、整備には専用の知識や工具(診断機など)が必要になるため、工賃も高く設定されています。
- 設計思想の違い: 国産車が「壊れないこと」を最優先に設計されているのに対し、欧州車は「性能を最大限に発揮するため、消耗品は定期的に交換する」という思想が根底にあります。そのため、定期交換部品が多く、メンテナンスコストがかさむ傾向にあります。
- 電子制御の複雑化: 近年の車はあらゆる部分が電子制御されています。これは快適性や安全性を高める一方で、センサー類の故障など、原因の特定が難しいトラブルを誘発する可能性も秘めています。
つまり、「壊れやすい」というよりは**「一度故障すると、修理費用が高額になりやすい」**というのが実情に近いと言えるでしょう。
ベンツGLAで実際に多い故障事例
とはいえ、工業製品である以上、故障のリスクがゼロではありません。GLAや近年のメルセデスで比較的よく聞かれるトラブルには、以下のようなものがあります。
- 警告灯の点灯: 最も多いトラブルの一つです。O2センサーやABSセンサーなど、様々なセンサーの不具合によって点灯します。センサー自体の交換は比較的安価(数万円)で済みますが、原因の特定に時間がかかる場合もあります。
- トランスミッション(DCT)の不具合: GLAに搭載されているデュアルクラッチトランスミッションは、ダイレクトな走りが魅力ですが、構造が複雑なため、ギクシャク感や変速ショックなどの不具合が出ることがあります。修理には基盤交換やクラッチ交換が必要になり、20万円~50万円以上の高額な費用がかかるケースもあります。
- ターボチャージャーのトラブル: ダウンサイジングターボエンジンは、タービンやアクチュエーターなどの部品に不具合が出ることがあります。これも修理には20万円以上の費用がかかる可能性があります。
- エアコン系の故障: コンプレッサーやエバポレーターなどの故障。夏場に発生すると非常に厄介で、修理には10万円~20万円程度かかることがあります。
- エンジンマウントの劣化: エンジンの振動を吸収するゴム部品ですが、経年劣化で振動が大きくなることがあります。交換費用は5万円~10万円程度です。
これらのトラブルは必ず発生するわけではありませんが、発生する可能性のあるリスクとして認識しておくことが大切です。
私自身のベンツGLAのトラブル体験談
幸いなことに、私が所有しているGLAはこれまで大きなトラブルに見舞われたことはありません。これは定期的なメンテナンスをディーラーで欠かさず行っていることや、比較的走行距離が少ないことも影響しているかもしれません。
しかし、一度だけヒヤリとした経験があります。高速道路を走行中に、突如として「エンジン警告灯」が点灯したのです。走行自体に異常は感じられませんでしたが、精神的には非常に不安になりました。すぐにディーラーに連絡し、最寄りのサービス工場で点検してもらったところ、原因はO2センサーの一時的なエラーでした。プログラムのリセットで対応可能とのことで、費用は数千円で済みましたが、もしセンサー本体の交換が必要だった場合は3万円~5万円程度の出費になっていたと説明を受けました。
この経験から、どんなに気をつけていても予期せぬトラブルは起こり得るということ、そして、すぐに相談できる信頼できるディーラーや工場の存在がいかに心強いかを改めて実感しました。
突然の出費に備える|延長保証や自動車保険の活用
メルセデス・ケアが終了した後の高額な修理費用に備えるためには、事前の対策が有効です。
- 延長保証プログラム「保証プラス」:
- メルセデス・ケア終了後も、有償で保証を1年または2年延長できるプログラムです。
- 加入しておけば、保証期間中の故障修理(消耗品を除く)は無償で受けられます。
- 加入料金はGLAの場合、2年間で20万円弱と安くはありませんが、「安心を買う」という意味では非常に価値のある選択肢です。
- 定期的なメンテナンス:
- 結局のところ、これが最大の防御策です。オイル交換などの定期メンテナンスを怠らないことで、エンジントラブルなどの致命的な故障を未然に防ぐことができます。
- 信頼できる専門工場の確保:
- ディーラー以外にも、メルセデスを専門に扱う優良な整備工場は全国に存在します。ディーラーよりもリーズナブルな価格で質の高い整備を受けられる場合も多いので、保証が切れた後の「かかりつけ医」として見つけておくと心強いでしょう。
まとめ
今回は、メルセデス・ベンツGLAの購入に必要な年収から、具体的な維持費、そして故障のリスクまで、お金にまつわる話を徹底的に解説してきました。
改めてポイントを整理しましょう。
- 年収: 新車購入の安心ラインは年収1,000万円以上。年収800万円でも頭金の用意や中古車の検討など、計画次第で十分に所有可能。
- 維持費: メルセデス・ケア終了後は、駐車場代込みで年間約60万円(月々約5万円)が目安。
- 故障: 「壊れやすい」わけではないが、修理費用は高額になりがち。延長保証や定期メンテナンスでリスクに備えることが重要。
メルセデス・ベンツGLAは、所有する満足感、優れた走行性能、高い実用性を兼ね備えた、非常に魅力的な車です。しかし、その魅力を存分に味わうためには、背伸びをしすぎて日々の生活を圧迫してしまっては本末転倒です。
年収の額面だけで判断するのではなく、ご自身のライフプランや価値観と照らし合わせ、ローン返済と維持費を無理なく支払い続けられるか、そして予期せぬ出費にも対応できる余力を残せるかを冷静に見極めることが、憧れのカーライフを成功させるための最も重要な鍵となります。
このレビューが、あなたの賢い車選びの一助となれば幸いです。