モータージャーナリスト兼コラムニストの二階堂仁です。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、憧れのフェラーリを残価設定ローン(残クレ)で購入できないか、その場合、月々の支払いはいくらになるのか、といった点が気になっていると思います。

引用 : フェラーリ公式HP
私も実際に複数のフェラーリを様々な支払い方法で購入してきたので、その気になる気持ちはよくわかります。 特に高額な車両だからこそ、賢い買い方を模索するのは当然のことです。
この記事を読み終える頃には、フェラーリと残価設定ローンに関するあなたの疑問が、すべて解決しているはずです。
記事のポイント
- フェラーリ公式の残価設定ローンという選択肢
- 人気車種別の驚異的な残価率と月額シミュレーション
- 残クレ利用時に絶対に知っておくべきメリットと注意点
- 正規ディーラーと中古車販売店での購入プロセスの違い

フェラーリは残価設定ローン(残クレ)で購入できるのか
結論から先に申し上げましょう。 憧れのフェラーリは、残価設定ローン(残クレ)を利用して購入することが可能です。 「スーパーカーは現金一括で買うもの」というイメージはもはや過去のものです。

引用 : フェラーリ公式HP
現代では、よりスマートに、そして計画的にフェラーリオーナーになるための道筋が用意されています。 このセクションでは、フェラーリを購入するための残価設定ローンの具体的な仕組みや利用できる場所について、詳しく掘り下げていきます。
結論:フェラーリでも残クレは利用可能
多くの国産車ディーラーでお馴染みの残価設定ローンですが、実はフェラーリにも同様の購入プログラムが存在します。 これは、将来の買取価格(残価)をあらかじめ設定し、その残価を差し引いた金額を分割で支払うという仕組みです。 この方法により、通常のローンと比較して月々の支払い負担を大幅に軽減できるため、これまで一括購入や高額なローンに躊躇していた方々にとって、フェラーリのオーナーシップがより現実的な選択肢となりつつあります。
私自身、新しいモデルを試す際にはこの種のプログラムを活用することもあります。 それは月々のキャッシュフローを最適化し、他の投資や事業へ資金を回すためにも非常に有効な手段だからです。
フェラーリ・ファイナンシャルサービスとは?
フェラーリの残価設定ローンを語る上で欠かせないのが、「フェラーリ・ファイナンシャルサービス」の存在です。 これはフェラーリが公式に提供する金融プログラムの総称で、世界中の正規ディーラーネットワークを通じて、オーナーを志す人々に最適なファイナンスプランを提供しています。
単なるローン会社とは異なり、フェラーリというブランドの価値を深く理解しているのが最大の特徴です。 そのため、一般的な金融機関では算出が難しい、フェラーリの高い資産価値を反映した大胆な残価設定が可能になるのです。 彼らはフェラーリを購入する顧客の特性やニーズを熟知しており、一人ひとりのライフプランに合わせた柔軟な提案をしてくれます。
残価設定ローン「フェラーリ・プレミアム・オーナーシップ・プログラム」の仕組み
フェラーリ・ファイナンシャルサービスが提供する残価設定ローンは、正式には「フェラーリ・プレミアム・オーナーシップ・プログラム」といった名称で呼ばれることがあります。 基本的な仕組みは以下の通りです。
- 残価の設定: まず、契約年数(例:3年、4年、5年)に応じた将来の車両価値(残価)を設定します。 フェラーリの場合、その驚異的なリセールバリューから、非常に高い残価率が設定されるのが特徴です。
- 分割払いの対象額: 車両本体価格から、設定した残価と頭金を差し引いた金額が、分割払いの対象となります。
- 月々の支払い: 上記の対象額を、契約月数で割って支払っていきます。 金利もこの対象額に対して計算されます。
- 契約満了時の選択: 契約期間が満了した際には、以下の3つの選択肢から選ぶことができます。
- 新しいフェラーリに乗り換える: 車両を正規ディーラーに返却(売却)し、残価を精算します。 その時の査定額が残価を上回れば、差額を次の車の頭金に充当できます。 これが最も一般的な選択肢です。
- 車両を買い取る: 設定された残価を現金一括、または再ローンを組んで支払い、車両を完全に自分のものにします。
- 車両を返却して終了する: 車両を返却し、契約を終了します。
この柔軟性が、ライフプランの変化に対応しやすいと好評を得ている理由です。
「フェラーリ・プレミアム・オーナーシップ・プログラム」が利用できる場所は?
この公式プログラムは、原則として全国のフェラーリ正規ディーラーを通じてのみ利用可能です。 正規ディーラーはフェラーリ・ファイナンシャルサービスと直結しており、最新の金利情報やキャンペーン、各モデルの残価率データに基づいた最も正確なシミュレーションを提供してくれます。
新車はもちろんのこと、厳しい基準をクリアした「フェラーリ認定中古車(Ferrari Approved)」に関しても、このプログラムを適用できる場合があります。 認定中古車は新車同様の保証やメンテナンスプログラムが付帯することも多く、賢い選択肢の一つと言えるでしょう。
中古車でも残クレは使える?
では、正規ディーラー以外の一般的な中古車販売店ではどうでしょうか。 答えは「YES」ですが、少し条件が異なります。
多くの中古車販売店では、信販会社と提携して独自の残価設定ローンを提供しています。 フェラーリ・ファイナンシャルサービスほどではありませんが、フェラーリの高い資産価値を考慮した残価設定を行ってくれる場合が増えています。
中古車販売店の残クレの特徴
- 多様な車種: 正規ディーラーでは扱っていないような少し前のモデル(例えばF430や458イタリアなど)も対象になります。
- 金利や残価率の違い: 提携する信販会社によって金利や残価率が異なります。 複数の販売店で見積もりを取り、比較検討することが重要です。
- 自由度の高いプラン: 支払い回数を120回(10年)といった長期間で設定できるなど、より柔軟なプランを提示している販売店もあります。
ただし、公式プログラムほどの高い残価率は期待できないケースが多いこと、そして車両のコンディションが残価に大きく影響する点は理解しておく必要があります。
なぜフェラーリは高い残価率を維持できるのか?
フェラーリの残価設定ローンがこれほど魅力的なのは、その根底に「圧倒的に高いリセールバリュー(再販価値)」があるからです。 では、なぜフェラーリの価値は下がりにくいのでしょうか。 ジャーナリストとしての視点から、その理由を解説します。
- 厳格な生産台数管理: フェラーリはブランドの希少価値を維持するため、意図的に生産台数を市場の需要よりも少なく調整しています。 これにより、中古車市場でも常に供給が需要に追いつかず、価格が維持されやすいのです。
- 揺るぎないブランドイメージ: 創業以来、レース活動を通じて築き上げてきた「勝利」と「情熱」のブランドイメージは、他のどの自動車メーカーも追随を許しません。 この絶対的なブランド力が、資産価値を支えています。
- 時代を超越したデザイン: フェラーリのデザインは、常に時代の最先端でありながら、数十年後も色褪せない普遍的な美しさを持っています。 古いモデルであっても「クラシック」としての価値が生まれやすいのです。
- 投資対象としての側面: 限定モデルや特定の車種は、年々価値が上昇し、投機的な対象として見られることもあります。 これが市場全体の価格を引き上げる要因にもなっています。
これらの要因が複雑に絡み合い、フェラーリは「単なる移動手段」ではなく「資産」としての側面を強く持つのです。 だからこそ、金融機関も高い残価を設定することができるというわけです。
【車種別】フェラーリの残価率と月々の支払額シミュレーション
ここからは、皆さんが最も関心のあるであろう、具体的な車種ごとの残価率と月々の支払額についてシミュレーションを見ていきましょう。 フェラーリを所有するという夢が、どれほど現実的なのかを数字で感じていただけるはずです。

引用 : フェラーリ公式HP
シミュレーションの前提条件
正確なイメージを持っていただくために、まずはシミュレーションの基本的な条件を統一します。 実際の金利や残価率は、購入時期、モデル、ディーラーのキャンペーン、個人の審査内容によって変動するため、あくまで参考値としてご覧ください。
- ローン種別: フェラーリ・プレミアム・オーナーシップ・プログラム(残価設定ローン)
- 支払い期間: 37回(3年契約)
- 金利(実質年率): 2.4%(※キャンペーン等により変動します)
- 頭金: 車両本体価格の約10%
- ボーナス払い: なし
- 残価率: 各モデルの市場価値を考慮した参考値
それでは、人気の現行モデルを中心に、具体的なシミュレーションを見ていきましょう。
Ferrari Roma (ローマ) の残価率と月額シミュレーション
ローマの車両概要と魅力
「La Nuova Dolce Vita(新しい甘い生活)」をコンセプトに登場したローマは、1950〜60年代のイタリアンデザインを彷彿とさせる、流麗でエレガントなスタイリングが特徴のFRクーペです。 私も所有していますが、その美しさは格別で、日常からワインディングまで、あらゆるシーンでドライバーを魅了します。 フロントに搭載されたV8ターボエンジンは620馬力を発生させ、0-100km/h加速はわずか3.4秒。 快適性とパフォーマンスをこれほど高い次元で両立させたフェラーリは稀有な存在です。
シミュレーション結果
項目 | 金額 |
---|---|
新車価格(参考) | 30,150,000円 |
頭金 (10%) | 3,015,000円 |
残価率 (3年後) | 75% |
残価額 | 22,612,500円 |
ローン元金 | 4,522,500円 |
月々の支払額(概算) | 約138,000円 |
月々約14万円という数字を見て、どう思われたでしょうか。 もちろん決して安い金額ではありませんが、3,000万円クラスの車であることを考えれば、驚くほど現実的な数字に見えるのではないでしょうか。 これが高い残価率の威力です。
Ferrari 296 GTB/GTS の残価率と月額シミュレーション
296シリーズの車両概要と魅力
296GTB(クーペ)および296GTS(スパイダー)は、フェラーリの新時代を象徴するプラグインハイブリッド(PHEV)モデルです。 新開発の120°V6ツインターボエンジンと電気モーターを組み合わせ、システム合計で830馬力という凄まじいパワーを発揮します。 そのサウンドは「ピッコロV12(小さなV12)」と称され、官能性は健在。 モーターのみで約25kmのEV走行も可能で、深夜の帰宅時などには重宝します。 私も最近296GTSをオーダーしましたが、その革新的な技術とパフォーマンスには期待しかありません。
シミュレーション結果 (296 GTB)
項目 | 金額 |
---|---|
新車価格(参考) | 40,200,000円 |
頭金 (10%) | 4,020,000円 |
残価率 (3年後) | 78% |
残価額 | 31,356,000円 |
ローン元金 | 4,824,000円 |
月々の支払額(概算) | 約148,000円 |
最新のPHEVモデルであり、市場での人気が非常に高いことから、ローマを上回る残価率が期待できます。 4,000万円の車両でありながら、月々の支払いはローマと大差ないレベルに抑えることが可能です。 これは、最新技術を搭載したモデルがいかに市場で高く評価されているかを示しています。
Ferrari Purosangue (プロサングエ) の残価率と月額シミュレーション
プロサングエの車両概要と魅力
フェラーリ史上初となる4ドア4シーターモデル、プロサングエ。 フェラーリはSUVとは呼ばず、「フェラーリ・ユーティリティ・ビークル(FUV)」と位置付けています。 心臓部には自然吸気のV12エンジンを搭載し、最高出力は725馬力。 大人4人が快適に移動できる実用性を備えながら、その走りは紛れもなくフェラーリそのものです。 観音開きの「ウェルカムドア」も特徴的で、新たな顧客層から絶大な支持を集めています。 現在、注文が殺到しており、納車まで数年待ちという状況が、その価値をさらに高めています。
シミュレーション結果
項目 | 金額 |
---|---|
新車価格(参考) | 52,600,000円 |
頭金 (10%) | 5,260,000円 |
残価率 (3年後) | 85% |
残価額 | 44,710,000円 |
ローン元金 | 2,630,000円 |
月々の支払額(概算) | 約82,000円 |
驚くべき結果が出ました。 5,000万円を超える車両にもかかわらず、月々の支払額は約8万円台に収まる可能性があります。 これはプロサングエの圧倒的な需要と供給のアンバランスが生み出す、異常とも言える高い残価率によるものです。 ただし、これはあくまで理論値であり、そもそも新車をオーダーする権利を得ること自体が非常に困難であるという点は付け加えておきます。
中古フェラーリの残価設定ローンシミュレーション (F8 Tributoを例に)
中古モデルを選ぶメリットとF8 Tributoの魅力
次に、中古車販売店で残クレを利用するケースを考えてみましょう。 例として、V8ミッドシップ・ベルリネッタの最後の純内燃機関モデルとして人気の高い「F8 Tributo」を取り上げます。 新車ではもう手に入らないモデルを狙えるのが中古車の醍醐味です。 F8 Tributoは、488GTBの後継として登場し、720馬力を誇るV8ターボエンジンは数々の賞を受賞しました。 そのシャープな走りとデザインは、今なお多くのファンを魅了しています。
シミュレーション結果 (中古 F8 Tributo)
中古車のシミュレーションは条件が複雑になるため、より一般的な信販会社のローンを想定します。
- ローン種別: 中古車販売店提携の残価設定ローン
- 支払い期間: 61回(5年契約)
- 金利(実質年率): 3.9%
- 残価率: 5年後の残価率は、車両状態や走行距離に大きく左右されます。
項目 | 金額 |
---|---|
中古車価格(参考) | 45,000,000円 |
頭金 (10%) | 4,500,000円 |
残価率 (5年後) | 50% |
残価額 | 22,500,000円 |
ローン元金 | 18,000,000円 |
月々の支払額(概算) | 約330,000円 |
支払い期間を5年に延ばし、残価率を50%と現実的な数値で設定すると、月々の支払額は新車のケースよりも高くなります。 これは、金利の差や中古車特有のリスクが反映されるためです。 しかし、5年という長期間で計画を立てられる、頭金の額やボーナス払いを調整して月額を下げるなど、柔軟なプランニングが可能です。 憧れのモデルを、時間をかけてじっくり自分のものにしていきたい方には、こちらも有力な選択肢となるでしょう。
フェラーリを残クレで購入するメリットとデメリット
ここまで見てきたように、残価設定ローンはフェラーリを所有するための非常に強力なツールです。 しかし、どんな物事にも光と影があるように、メリットだけでなくデメリットや注意点も存在します。 契約を結ぶ前に、双方を冷静に比較検討することが、後悔のないカーライフを送るための鍵となります。

引用 : フェラーリ公式HP
メリット1:月々の支払額を圧倒的に抑えられる
これは残価設定ローンの最大のメリットであり、これまで解説してきた通りです。 車両価格から数千万円単位の残価が差し引かれるため、月々のキャッシュアウトを最小限に抑えることができます。 これにより、ワンランク、ツーランク上のモデルを視野に入れることも可能になります。 浮いた資金を事業投資や他の趣味、家族サービスに使うなど、生活全体の豊かさを向上させることができます。
メリッ2:ライフプランに合わせて乗り換えやすい
3年や5年といった比較的短いスパンで契約が満了するため、その時のライフスタイルや興味の変化に合わせて柔軟に次の選択ができます。 「子供が生まれたから4シーターのプロサングエに」 「最新のPHEVモデルが出たから296GTSに」 といった乗り換えがスムーズに行えます。 特にテクノロジーの進化が著しい現代において、常に最新のフェラーリを体験し続けたいという方には最適なプランと言えるでしょう。
メリット3:常に正規ディーラーの保証とメンテナンスを受けられる
特に正規ディーラーのプログラムを利用して新車を乗り継ぐ場合、常にメーカーの新車保証期間内で車を所有することになります。 フェラーリには「7年間メンテナンス・プログラム」という、新車登録から7年間、基本的な定期メンテナンスが無償で受けられる手厚いサービスが付帯しています。 残クレの期間中はこの恩恵を最大限に享受できるため、突発的な高額出費のリスクを大幅に軽減でき、安心してフェラーリライフを楽しむことができます。
デメリット1:総支払額は高くなる傾向
残価設定ローンは、あくまでローン元金が「車両価格 – 残価」の部分に圧縮されるだけで、残価部分が免除されるわけではありません。 そして金利は、残価を含めたローン残高に対してかかってくるケースが一般的です。 そのため、最終的に車両を買い取る場合、通常のローンと比較して金利負担が大きくなり、総支払額は高くなる傾向にあります。 乗り換えを前提とするか、最終的な買い取りまで見据えるかで、その評価は変わってきます。
デメリット2:走行距離制限やカスタマイズの制約
残価を保証する代わりに、契約時には年間走行距離の上限(例:5,000km/年など)が定められます。 この距離を超過すると、契約満了時の査定で超過料金が発生します。 また、車両はあくまで「借りている」状態に近い(所有者はローン会社)ため、エンジンチューニングや派手な外装の変更など、原状回復が困難なカスタマイズは基本的に認められません。 サーキット走行を頻繁に楽しみたい方や、自分だけの1台を自由に作り上げたいという方には、不向きな側面もあります。
デメリット3:車両の状態維持に気を使う必要がある
契約満了時に設定した残価で買い取ってもらうためには、車両を良好な状態に保っておく必要があります。 事故による修復歴はもちろん、内外装の傷や汚れ、タイヤの摩耗なども査定に影響します。 つまり、日常的に丁寧な運転と保管が求められます。 私のように複数の車を所有し、1台あたりの走行距離が少ない人間には好都合ですが、「毎日ガンガン乗りたい」という方にとっては、少し窮屈に感じるかもしれません。
所有者としての本音:残価設定ローンはフェラーリと相性が良いのか?
ジャーナリストとして、そして一人のオーナーとしての私の見解を述べさせていただきます。 結論から言うと、「乗り換えを前提とするならば、残価設定ローンとフェラーリの相性は非常に良い」と考えています。
フェラーリの魅力の本質は、常に進化し続けるそのパフォーマンスとテクノロジーにあります。 残クレを利用して数年ごとに最新モデルへ乗り換えていくスタイルは、その進化をリアルタイムで体験し続けるための、極めて合理的で現代的な付き合い方だと言えるでしょう。 高額な維持費や予期せぬトラブルのリスクも、保証期間内で乗り換えることで最小限に抑えられます。
ただし、「一台のフェラーリを一生の相棒として、じっくり付き合っていきたい」という伝統的な価値観を持つ方にとっては、最終的な支払総額が増える残クレは最適とは言えないかもしれません。 ご自身のカーライフのビジョンと照らし合わせて、最適な選択をすることが何よりも大切です。
フェラーリ購入前に知っておきたい残クレ以外の選択肢と注意点
残価設定ローンは非常に魅力的ですが、それが唯一の選択肢ではありません。 他の支払い方法と比較したり、購入後の維持費まで含めた総コストを把握したりすることで、より深く納得した上でフェラーリオーナーへの第一歩を踏み出すことができます。

引用 : フェラーリ公式HP
通常のオートローンとの比較
一般的な銀行のマイカーローンや信販会社のオートローンも、もちろん利用可能です。
- メリット:
- 最初から車両の所有者が自分になる。
- 走行距離やカスタマイズに制約がない。
- 総支払額(特に金利)を残クレよりも抑えられる可能性がある。
- デメリット:
- 月々の支払額が高額になる。
- 審査のハードルが残クレよりも高くなる場合がある。
頭金を多く用意できる方や、長期間(7年〜10年)のローンを組んででも月々の支払いを抑えたい、そして何より自由に車と付き合いたいという方には、こちらも有力な選択肢です。
リースという選択肢
法人名義での購入を検討している場合、「リース」も非常に有効な手段です。 月々のリース料を経費として計上できるため、節税効果が期待できます。 個人事業主の方も対象となる場合がありますので、税理士などの専門家と相談してみることをお勧めします。 ただし、リースも残クレと同様に走行距離制限などがあり、契約満了時は基本的に車両を返却することが前提となります。
ローン審査は厳しい?年収はどれくらい必要か
「そもそもフェラーリのローン審査に通るのか?」という不安をお持ちの方も多いでしょう。 明確な基準は公表されていませんが、一般的に車両価格の3分の1から半分程度の年収が一つの目安と言われることがあります。 つまり、3,000万円のローマであれば、年収1,000万円〜1,500万円程度が一つのラインになるかもしれません。
しかし、これはあくまで目安です。 重要なのは年収の額そのものよりも、「安定した収入があるか」「他に多額の借り入れがないか」「自己資金(頭金)をどれだけ用意できるか」といった総合的な信用情報です。 医師や弁護士、会社経営者などでなくても、上場企業の会社員や公務員の方でも、堅実な資産背景があれば審査に通る可能性は十分にあります。 まずは臆することなく、正規ディーラーのファイナンス担当者に相談してみることが第一歩です。
維持費を忘れてはいけない
フェラーリを購入するということは、車両代金だけでなく、その後の維持費も支払っていくということです。 残価設定ローンで月々の支払いを抑えられたとしても、以下のコストが別途発生することを忘れてはいけません。
- 自動車保険(任意保険): フェラーリは料率クラスが最高ランクのため、車両保険を付けると年間50万円〜100万円以上になることも珍しくありません。
- 税金: 自動車税(種別割)、環境性能割、重量税などが発生します。
- 燃料代: ハイオク仕様で燃費も決して良くはないため、走行距離に応じて燃料代がかさみます。
- 駐車場代: 盗難やいたずらを防ぐためにも、セキュリティのしっかりした屋根付きの駐車場は必須です。 都心部では月々5万円以上かかることもあります。
- メンテナンス・消耗品費: 7年間のメンテナンスプログラムでカバーされないタイヤやブレーキパッドなどの消耗品は、交換時に高額な費用がかかります。
これらの維持費を考慮せずにローンを組んでしまうと、後々の生活が苦しくなってしまいます。 車両のローン支払額に加えて、少なくとも月々10万円〜15万円程度の維持費は見込んでおくのが賢明です。
購入後のリセールバリューを高く保つコツ
最後に、将来の乗り換え時に有利になるよう、愛車のリセールバリューを高く保つためのコツをいくつか伝授します。 これは、どんな支払い方法を選んだ方にも共通する重要なポイントです。
- 正規ディーラーでの定期点検: 「7年間メンテナンス・プログラム」を活用し、全ての点検・整備記録を正規ディーラーで残しておくことが最も重要です。 これが最高の信頼性の証となります。
- 走行距離を抑える: 年間走行距離は少ないほど評価が高くなります。 特に年間3,000km未満に抑えられていると、好条件での売却が期待できます。
- 内外装のコンディション維持: 定期的な洗車やコーティング、内装のクリーニングを心がけ、美しい状態を保ちましょう。 紫外線による劣化を防ぐためにも、屋内保管は必須です。
- 人気のオプションとカラー: オーダー時に、カーボンパーツやリフターシステム、人気の高いボディカラー(ロッソコルサ、ビアンコアヴスなど)を選んでおくと、リセール時にプラス査定となることがあります。
- 純正状態を保つ: 過度なカスタマイズは避け、純正の状態を維持することが高額査定の基本です。
これらの点を心がけることで、残価設定ローンの最終回でプラスの査定額を出し、次のフェラーリへの乗り換えをよりスムーズにすることが可能になります。
まとめ
今回は、フェラーリを残価設定ローン(残クレ)で購入する方法について、私の知見を交えながら徹底的に解説しました。
重要なポイントを改めて整理します。
- フェラーリは公式の金融プログラム「フェラーリ・ファイナンシャルサービス」などを利用して、残価設定ローンでの購入が可能です。
- その背景には、厳格な生産管理などによって維持される驚異的に高いリセールバリューがあります。
- ローマや296GTBといった人気モデルでは、75%を超える高い残価率が設定されることもあり、月々の支払いを大幅に抑えることができます。
- メリットだけでなく、総支払額や走行距離制限といったデメリットも理解した上で、自身のカーライフに合っているかを判断することが重要です。
- 車両代金だけでなく、高額な保険料やメンテナンス費用といった維持費まで含めた、長期的な資金計画を立てることが、夢のフェラーリライフを成功させる秘訣です。
残価設定ローンというツールは、これまで一部の富裕層のものとされてきたフェラーリのオーナーシップを、より多くの人々に開かれたものへと変えつつあります。 それは、計画性と情熱さえあれば、夢は実現できるという証明でもあります。
この記事が、あなたの夢への第一歩を踏み出すための、信頼できるロードマップとなれば幸いです。 まずは一度、お近くの正規ディーラーに足を運び、その雰囲気と実車に触れてみてください。 きっと、数字だけでは語れない新たな発見と感動が、あなたを待っているはずです。